小学生の頃、TVで映画版「宇宙空母ギャラクティカ」を見て、登場するメカデザインにハマってしまった。そのあと、ちょうどTVシリーズも日本で公開され、毎週録音(注:当時ビデオデッキなるものは一般家庭には普及していなかったので、カセットテープに音のみ記録するのが普通であった)したものだった。
宇宙船のデザインもさることながら、敵役として設定されている機械生命体(ただのロボットではなさそうな感じ)の“サイロン”の兵士が、やはり当時流行っていた音声をシンセサイザーで電気的に処理してしゃべるのにもわくわくしたものだ。
映画冒頭で、宇宙空母がずらっと艦隊組んで航行しているシーンは、圧巻であった。しかもすべて同型艦というのも、なんだかリアルでよかったなぁ。旗艦アトランティアが敵戦闘機の集中砲火を浴びて、爆散するところとか「あー、もったいない・・・」なんて思ったものだ。その後、次々に破壊されてゆく宇宙空母の中で、ギャラクティカのみ艦載機を発進させていたため生き残る(後のTVシリーズで明らかになるが、じつはもう1隻生き残っていた)。
艦載機を攻撃の要とした戦闘の描き方は、やはりスターウォーズに影響されたのかもしれない。それともアメリカでは第二次大戦の例をあげるまでもなく、艦載機による攻撃なんてのは当たり前すぎたのか。でも古典SFのスペースオペラ等では、昔ながらの戦艦中心による砲雷激戦がメインだったことを考えると、やはりSFの世界ではスターウォーズが1つのターニングポイントになっていたのかも。
ギャラクティカ艦載機 コロニアル・ヴァイパー
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艦載機が発進していないギャラクティカは、あまりに弱かった。まぁ「宇宙空母」とわざわざ設定がされているんだし、両サイドに取り付けられた長大な発進カタパルトを見れば、こいつが戦闘空母じゃなくて純粋に「空母」の役割しか果たしてないことは一目瞭然なのだが。ただ、日本の「宇宙戦艦ヤマト」の波動砲のような、超強力兵器が搭載されてても変化が出てより面白くなったんじゃないか、という気はする。
これはギャラクティカ搭載の主要ビーム兵器
けっこう活躍していたが、毎回使い回しの敵機撃墜シーンはちょっと勘弁してほしかった。
いわゆる速射砲と大砲の中間くらいの位置にある兵器に感じられる。艦載機相手ではちょっと動作が遅いし、敵艦相手では役不足だし、あいまいな感じ。
全長2キロの船体の両サイドに、長々とくっついている発進カタパルトから次々に飛び立つ艦載機群。 こうして同時発進機数を稼いでる図っていうのは、その後あまり見かけない。絵的に見せ場が1回で終わってしまうからだろうか? |
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加速のものすごさを表現するために、パイロットのヘルメットがシートにぐぐっと押し付けられる様子が、毎回写されていた。 |
最近のSF映画に登場する宇宙船は、なめらかな船体っていうのが再び流行の気配であるが、このギャラクティカや敵のサイロン軍の円盤型空母も、表面に微細な部品がむき出しの当時流行だった表面処理になっている。エンジンも、いかにも噴射してますぅというのがすぐわかる爆裂型だ。光速航行も可能らしいのだが、画面では見る事ができなかった。
旗艦アトランティア前方右よりから | ギャラクティカ前部 |
真横から見たギャラクティカ 発進カタパルトが船体デザインに効果的に配置されている |
ストーリーに関しては、TVシリーズラストで地球からの電波を受信するところが一番印象に残っている。アポロ宇宙船が月面に着陸している場面だった。未来の出来事だと思っていたこれまでのことが、じつは遠い過去の進んだ地球文明によるものだったのでは?と想像させて、ふっと終った。ここはけっこう気に入っている。
あと、ギャラクティカの艦載機が、異文明と接触してしまった個所。オーバーテクノロジーとの出逢いって、もともとSFではかなりわくわくするシーンなだけに、このギャラクティカでも大好きな回だ。本当にこういうコンタクトがあったらいいのに、なんて小学生だった私は思ったものだ。
最近、SkyPerfecTV! でTVシリーズが放送されていたのだが、フィルムの保存状態が極めて悪く、最初ビデオ録画していたが途中で止めた。記憶に鮮明な美しいギャラクティカが壊されそうだったから。
映画版は、2本ともβで保存してあるが、現在βデッキ故障による不在のため、見たくても見る事が出来ない。レンタル屋でも、ギャラクティカはいつのまにか姿を消した。どんどん記憶の中だけの作品になってゆくのが、ちょっと哀しい。