ピーコ




 はじめてこのコを見たのは、1993年のことだ。行きつけの海水魚屋さんの奥さんが飼っていたので、店にもよく連れてきていたから。小さな娘さんが欲しがったので飼ってあげたのだそうだが、もともと動物好きなため、他にも犬や猫を飼っているらしい。
 青色のオスとつがいだった。私も小さいころから鳥とか小動物が好きだったので、お店に鳥かごが来てるときは、よく手に乗せて遊ばせてもらってた。当時はこの付近で、こういうペットを扱ってるところを知らなかったので、なんだかうらやましく思っていた。

 そんなある日、その奥さんが「このコ達、もらってくれない?」と相談されたのだ。
 じつは二人目の赤ちゃんを妊娠しているので、家に置いとけないということらしい。いわゆるトキソプラズマを心配してのことだ。
 私はその頃まだ独身だったし、家も買ったばかりだったし、以前から小鳥好き動物好きなことは話していたし、というわけで白羽の矢が立ったというわけだ。
 もちろん即座にOKした。この日から、このコは我が家の一員となったのだ。

 もらってきた鳥かごは、かなり窮屈そうだったので、大き目のものにすぐに交換したのだが、セキセイインコにはこれでもまだ窮屈そうである。もっと背の高い大きな鳥かごに代えてやりたいのだが、そうすると家の中では飼えなくなってしまう。
 屋外で飼えればなんの問題もないのだが、うちの近所では猫の放し飼いが横行しているので、キケンすぎて屋外でなぞ飼えなかった。


 つがいのはずのオス(ピッピ)とは、なぜか仲が悪かった。ピッピは積極的にピーコにアッピールするのだが、まったく相手にせずといった感じ。巣箱も入れてやり、発情促成用の餌なども食べさせてみたが、やはり相性が悪かったのだろう。一度も産卵にはいたらなかった。
 そのうち、ピッピは☆になってしまった。寿命ではない。私の不注意で長期不在の時の餌の分量を間違え、餓死させてしまったのだ。この時、ピーコもかなり危険な状況だったのだが、なんとか乗り越え、現在まで元気でいる。

 手乗りなので、人間にはとても愛想がよいピーコ。近くを通れば、かごにかじりついて、手を齧ろうと寄ってくる。その仕草につられて、ついつい手を思う存分がじがじさせてしまう。時々触れる舌の感触が、くすぐったい。
 羽は切ってないので、かごから出すことはあまりしていない。以前、部屋で飛ばして壁に衝突してから、事故の危険を予感したから。

 青菜は大嫌いらしい。キャベツとか白菜なんかを入れてやると、それはそれは大慌てで逃げ惑う。嫌いというよりは、その姿が恐ろしいらしい。これは幼鳥のころに、一度もこういう生の葉っぱモノを食べさせてもらってないからでは?と思っている。小鳥が葉っぱを食べる姿は、けっこう好きなので、葉っぱがダメとわかるとちょっとショックだった。
 かわりに乾燥のグリーンフードを与えている。これでほんとに代わりになってるのだろうか?

 ボレー粉は、ピーコにとっては食べ物というよりは、おもちゃである。ボレー粉入れに入れてやっても、すぐに全部くちばしで掘られて掘られて、なくなってしまう。まぁ、ちょびっとは食べてるみたいなのでよしとしてる。塩土は、これもやはり恐いらしい。うーん、困った。

 あと1つ、ピーコを悩ませているもの。それはナメクジだ。夜になるとどこからともなく侵入してきて、ピーコの餌やら水をなめてゆく。夜中に、ピーコが暴れるときには、たいていかごの中に巨大ナメクジが出現しているのだ。ナメクジは神出鬼没なため、退治しても退治しても一向に減らない。ナメクジ忌避シートでも使ってみようかと思っている。



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