視線 何かを訴えかけるような視線に、ふとそちらを見てみれば、そこには陸ヤドカリがいた。 水入れの中に、こじんまりと収まっている。何事かと近寄ってみると、事態が飲み込めた。水入れは、空っぽだったのだ。 さっそく陸ヤドカリをつまみ上げ、水入れを取り出すと、新しい水を入れてやった。すぐにでも水入れに向かうかと思ったが、陸ヤドカリはしっかりと貝殻の奥にすっこんでしまって、出て来る気配がない。多少はヒトに慣れたかと期待していたが、まだまだダメらしい。 そこで、貝殻を少しだけ水に浸してやった。これで新しい水が入ったことに気付いてくれるだろう。 しかし、いつから水入れの中で待っていたのだろうか。陸ヤドカリは水分がないと呼吸できなくなるらしいので、危ないところだったのかもしれない。そろそろ暖かくなってきたので、日々水入れの水は新しいものに交換してやらねば。
活気付く川魚達 水温む季節。水槽の川魚達は、すっかり復活したように餌に食らいついてくるようになった。心配していたウグイ達も、クリルにがつがつと寄ってくるし、小さいオイカワ達も、水槽の奥から前面に出てきている。冬の間、小さいオイカワ達は、彫像のように微動だにせず水槽奥にいて、餌にもぜんぜん寄ってくる気配がなかったので、体調でも悪いのではと心配していたところだった。単に寒かっただけらしい。一安心だ。 川魚達に活気が出てきたので、餌もこれまでより多めにやるようになった。金魚の餌を3つまみ、そしてクリルを3匹ほどである。特にクリルの人気は高く、あっというまに口の中に消えてなくなるので、見ていても気分がいい。 ところで冬の間、ほとんど餌を食べていなかったように見えるウグイ達だが、なんだか体格が、さらに良くなっているような。石で組んだ隠れ家が、随分と狭く見える。彼等のために、少しレイアウトを変えてやった方がいいかもしれない。
ある決断 水換えの時にウールマットを交換しようと思っていたが、肝心の水換え作業になかなか入れないので、先にウールマットだけ取り換えることにした。海水2m水槽のウールマットは50cm四方ほどの広さが必要なため、布団ができるほどの量を一気に買って、そこからハサミで切り取って使っている。以前は洗って使い回していたのだが、そこまで神経質にならなくても、膨大なウールマットはそうそうなくならないことがわかったので、今では使い捨てだ。捨てる時には、一応きれいに洗ってからにしているので、使い捨てにする意味があるのかないのか微妙なところだが、まぁ気分の問題だ。 まず水槽のモーターを止め、濾過槽の水の流れを停止させた。リビングの中に静寂が戻る。あぁこの静けさが永遠に続けばいいのに…、といつも思ってしまうあたりがジレンマだ。 今回、私はしばらく前から考えていた重大な決心を、ついにLicに告げることにした。その決心とはこうである。“現在、水槽の中に泳いでいるカスミチョウ6匹と、ケラマハナダイ3匹、これらの魚がすべて死んでしまったら、この海水2m水槽は撤去する”。つまり、新しい魚はもう追加はしないで、あとは寿命まで飼うだけに専念することに決めたのだ。 一番の問題は、やはり電気代だ。おそらく我が家の電気消費量は、一般家庭の軽く2倍から3倍はいっているはず。これを今後もずっと継続するのは、かなり困難であろう。そして二番目の問題は、時間がないということだ。みこりんと触れ合う時間や、その他にやりたいことのために時間を使うには、この大型水槽のメンテに要する時間は結構負担になってきているのだった。たしかに日頃のメンテはさしてないのだが、いったん苔掃除やら水換えやらを始め出すと、その大きさ故、小型水槽の比ではない時間を要してしまう。これは問題だった。三番目に、水槽のたてる騒音問題がある。静寂のリビングを取り戻すには、濾過槽を屋外設置にしたりキャビネットに防音対策を施さねばならないが、さらなる出費と、これ以上時間を費やすことは難しい。 結局、私の中で海水2m水槽の占める重要度が相対的に低下してきた、ということらしい。 ウールマットを交換し、その下に新しいブラックホールを並べて、セット完了。電源を入れる。リビングは再び、ごごごごという騒音に包まれていった。 でも、さっきまでよりTVの音声が聞き取りやすいような気がする。ウールマットの目詰まりで、水音が激しくなっていたのかもしれない。とはいえ、電源切った時の静寂とは比較にならないのだけれど。 カスミチョウ達は、今日も元気にシュアーに群がり、艶やかな色を誇っていた。
ニンジン 真夜中、陸ヤドカリの食事を交換してやる。昨日入れたニンジンは、小さな断片と化していた。気温の上昇と共に、食欲も旺盛になってきているのだろう。しかも最近は食事の交換時にも、よくニンジンの上に乗っかっていることが多くて、ささやかな触れ合いを楽しむことができるようになった。とはいえ、手を入れたらじゃれついてくれるなんてことはないのだけど。それでも以前にくらべると、格段の進歩といえる。 ところでここ数ヶ月というもの、ずっとニンジンばかりを与えてきたのだが、果たして彼らはこれで満足してるのだろうか。たまーにキャベツや白菜やキュウリも入れてみたのだけれど、ちっとも囓った形跡がなかったので、ニンジンが好きなんだろうと勝手に思っているのだが。 でもそろそろ脱皮の季節かもしれないので、クリルをちょっと入れてやっておこうかなとは思う。今回も無事に脱皮できますように。
ウグイの食事風景 もはや餌のクリルは3匹では、ぜんぜん足りないほどになっていた。オイカワ達川魚は、朝、人影を見るとダンゴ状にぐるぐると泳ぎ回って、餌を要求してくるのだが、金魚の餌はあっというまに食い尽くされ、続いてクリルを投入しても、やはり素早い動きのオイカワ達によってまたたくまに水面から消え去ってしまうのだった。 水底の餌をさぐっているウグイ達が、これでは食いっぱぐれてしまう。彼等は、オイカワと違って水面の餌にはあまり興味を示さない。そこで、下に沈んでいくことを期待して、クリルを10匹ほどに増やしてみた。これならばいくらオイカワ達の食欲がすさまじくとも、いくつかは落下してゆくだろう。 期待通り、ゆるゆると落ちて行くクリル片。ウグイの動きに変化があった。一直線にクリル片めがけてダッシュしてくる。ところが、突如その鼻先からクリル片が消えた。悔しそうなウグイ。ターンしてゆくその後ろ姿が、なにやら哀しげである。 ウグイよりも先にクリル片を口にしたのは、やはり一番大きなオイカワであった。沈下性の餌“チャーミー川魚”を、もっと投入してやりたいところだが、あいにくと切れてしまった。しかも大きくなったウグイの口には、少々小さすぎるようでもある。もっと別の餌を探さねばならないようだ。
衣更えの季節 しわくちゃのヤドカリのようなものが、R360の水底に転がっていた。中身の透けてみえることからして、脱皮殻であることは明らかだった。R360に暮らしているヤドカリは大きいのと中くらいのと、都合2匹がいる。今回脱皮したのは、大きい方らしい。かなり大きな脱皮殻だった。 古い皮を脱いで、どことなくすっきりした面持ちのヤドカリが、ライブロックの上にいた。ほんのり桜色、のようにさへ見える白さ加減だ。砂の上に転がる薄緑色した脱皮殻には、トビムシ達が無数にとりつき、むしゃむしゃとやっている。明日には、きれいさっぱりと消えてなくなっている事だろう。 ところで陸ヤドカリの方も、近頃なんだか肌の色が美しくなったような気がする。こっそりと脱皮したのかもしれない。春、衣更えの季節。ヤドカリ達には少し早く訪れる。
みこりんの知識 水槽の水はなぜ減っていくのか?というのが、みこりんの今朝の質問である。普通に答えてやるよりも、こういう場合は、まずみこりん本人に考えさせてみるのがよい。 ちょいと小首をかしげて、みこりんは沈思黙考。その間、およそ10秒ほど。なにやら瞳を輝かせて、みこりんはおもむろに口を開いた。「すいじょうきになってしまうから!」 驚いたのは私の方である。いったいみこりんは水蒸気なんて言葉を、どこで覚えてきたのだろう。というか水蒸気の発生するメカニズムも、おぼろげながら把握してるにちがいあるまい。そうでなければ水の蒸発という事象を、水蒸気で説明しようとは思わないだろう。 みこりんは答えを知っていて質問してきたようにも思えた。私の知らないみこりんが、またここにいる。みこりんの旺盛な知識欲は、日々“何か”で満たされているのだろう。それが保育園なのか、TVの中なのかはわからないが、その“何か”に私も加わり続けていたいものだと思う。
脱皮中 水入れのそばで、貝殻が1つうずくまっている。もちろんただの貝殻ではない。中には陸ヤドカリが入っているはずだ。 もう1匹の陸ヤドカリは、すでにすべすべほんのり桜色な肌に生まれ変わっているので、こちらの方もただいま脱皮中ということなのだろう。無事に古い殻を脱ぎ終えて欲しいものである。 ところで陸ヤドカリのケージには、まだペットヒーターを作動させたままにしている。春とはいへ、夜などは急に冷え込む時もあり、まだまだ油断できない。
沈下性の餌 かねてよりウグイ達が浮上性の餌を食べにくそうにしていたので、ペットショップに寄ったついでに新たな餌を物色してみた。狙うは金魚用の沈下性のやつだ。 この店では金魚用の餌は、他の熱帯魚用の餌に比べて種類が豊富なため、探し出すのにちょいと時間を食ってしまったが、ようやく見つけた。ランチュウ用の餌が、どれも沈下性となっている。ランチュウはあの独特の形状をした頭部のため、水面の餌を食べにくいらしい。まさにウグイ達にもうってつけである。 3種類ほどある中から、迷いに迷って選んだのは株式会社キョーリンの“ランチュウ ベビーゴールド”である。100gで380円は、高いんだか安いんだか、なかなか微妙。 ところでパッケージには“やわらかく食べやすい”と記載されているのだが、ランチュウは餌を噛んで食べるんだろうか。あるいは固い餌より柔らかい餌の方が、喉ごしが良いのかもしれない。それはともかく、犬猫用のフードみたいな謳い文句がランチュウ用の餌についてるのも、愛敬があってよし。 久しぶりのヤマトヌマエビ 冬の間、ずっとほったらかしにしてあった熱帯魚水槽の水換えを、ようやく実行。水も蒸発しまくりで、半分ほどに減って水音がばしゃばしゃやかましいし、苔まみれだったので、さすがにもう限界だった(というかもっと早く水換えしてやるべき)。 いきなり半分以上を新しい水にしてしまって大丈夫なのかと、少々不安でもあったが、皆、無事に乗り切ってくれた。クリアなガラス面を通して、久しぶりにヤマトヌマエビのくつろいでいる姿を発見。なにやらほっと安堵する。 植え込んでいたミクロソリウムが、ほとんど抜けて水中を漂っていたので、改めて植え直しておいたが、夕方にはやっぱり浮き上がってしまっていた。どうも金魚が底をつっつく拍子に、砂を動かしてしまうのが原因らしい。根本的に敷き砂の量を増やさない限り、浮き上がりを防止するのは無理っぽいようだ。
ランチュウ用の餌の具合 昨日買ってきたランチュウ用の餌を、いよいよ川魚達に試すときが来た。ガラス蓋をちょいとずらして、まずはひとつまみ、ぱらぱらっと。 “沈下性”の表示に偽りはなく、すぐさま沈下が始まった。と、その時、魚達に動きがあった。 ものすごい勢いで、落下してゆく餌に食らいついてくるオイカワとウグイ。狙い通り、ウグイにもこれならば存分に味わってもらうことができるようだ。 総勢10匹近くの川魚が、まさに魚団子状に、ぐるんぐるんと舞っている。すさまじい食いっぷり。昨日までの金魚の餌よりも、さらに激しくアタックを仕掛けてくる。オイカワにしても、浮上性よりは沈下性の餌の方が得意っぽい雰囲気である。ただ、体格の劣る個体が、少々弾き飛ばされ気味なのが気になった。彼等にも餌を回すには、ひとつまみの量を適度に多くしておかないといけないようだ。 結局、10つまみほどやってみたが、ウグイ達にはまだまだ食べ足りないらしい。小粒タイプのため、体長25cmサイズのウグイ4匹分の腹を満たすには、もっともっともっと餌をやらないと駄目なのかもしれない。しかしこの調子では、100gなぞ、あっというまになくなってしまいそうな予感がする。とはいへ、クリルと違って残り餌がほとんど発生しないのは魅力的だ(沈んでしまった餌も、残らずウグイ達が吸い込んでくれる)。もう少し買いだめしておこう。
今度の引越しは… みこりんが陸ヤドカリのケージを指差して「ちっちゃくなってる!」と言うので、何事かと見に行ってみると、たしかに小さくなっていた。これまで一番大きな貝殻に入っていた個体が、突然、引越しをしていたのである。 その新しい貝殻は、旧貝殻に比べると半分以下の大きさしかない。当然、体を貝殻の中に収めてしまうと、じつに窮屈そうに見える(ヨガを見ているような気になってくる)。ハサミとか脚とかが、微妙にはみ出してるし。大丈夫なんだろうか、と心配になってしまうが、他にもたくさんある空き貝殻の中から、あえてこれを本人が選んだのだから、問題はないのだろうけど…。 あるいは、もしかして痩せた、とか?
ヒーター停止 だいぶ暖かな日が続くようになってきたので、陸ヤドカリ用に入れておいたペットヒーターのコンセントを抜いた。そろそろ敷き砂も洗ってやった方がよさそうだが、替えの砂がないので、しばらくはこのまま。 最近は、よく水場で姿を見かけるようになった。傍に立っていても、平気そうな顔で動いているのが、なんだかうれしい今日この頃。