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〜水のある生活〜
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10月 2000 お魚日記
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ひみつ日記読む!

2000.10.1(Sun)

黒い春
 昨夜は模造水草にはさまって、もはや万事休すといった状態に見えた“ふりひら金魚”だが、今朝は何事もなかったかのように餌をねだっていた。まったくドキドキさせてくれる。
 安心したあとに、視線をザリガニ水槽に転じて驚きの光景を目撃する。
 二匹のザリが、抱き合うように絡まっていたのだ。2号が1号のハサミを押さえ、両者身動きとれない状況。そういえば、こんなことが以前もあった。いつだったかな?と日記を検索したところ、あったあった。
2000年7月11日のことだ。その時は1号が2号を押さえつけていると記録してある。なんだか最近どっちがどっちだか分からなくなる時もあるので、正確ではないかもしれないが。
 いずれにしてもこの状況は良いことなのか悪いことなのか、わからなくなってきた。喧嘩というには、どうも様子がおかしい。どちらも性別はオスのはずだから、交尾というのは考えにくいが、腹部をよくよく観察してみると、2号の突起物が1号の方に差し込まれているように見えてしょうがないのだ。いったいどうなっているんだろう。差し込まれている先は、どう見てもメスのそれではない(はず)。……まさか。
 とりあえず両者を分離させることにする。水槽に手を入れつかみあげると、いともかんたんに解けた。離れたザリ達は、それぞれの居場所へさかさかと戻っていく。やはり闘争の真っ最中だったとは思えない。

 メスがいない水槽で、オス2匹を飼っていれば、いつの日かこういう“黒い春”が訪れることもあるかもしれぬ。さて、これからどうしたものやら。あたたかく見守ってやるべきか…、あるいはメスをなんとかして入手するか。“スーパーホワイト”が手に入れられなければ、最悪、普通種のアメザリを使うべきか。


2000.10.2(Mon)

APNへ
 仕事帰りにAPNへクーラーの修理代を払いに行った。2万円に消費税分1000円。やはりどう考えても高すぎる。レイシー以外のメーカーでも似たり寄ったりなのかは不明だが、次回は別のメーカー製のにしようと思う。
 レジの横にマリンアクアリストの最新刊が積んであったので、ついでに買うことにする。今回のはベラの特集か。これらの画像データが有償でもいいからデジタルデータになってればいいのに。

 展示水槽にカスミチョウが1匹。もう少ししたら連れて帰ろうと思う。

2000.10.4(Wed)

ハオコゼの餌やり
 水槽の苔掃除をしてからというもの、ハオコゼがいつもの場所から去ってしまった。水槽前面から奥への移動だ。そのため毎日の餌やりが、とても難しくなってしまった。
 クリルを水中でもみもみしても、奥の方に引っ込んでいる状態では滅多なことでは出てきてくれない。泳ぎが苦手な魚だから、ここぞという時にしか動かないのだろう。

 しかし今朝、みこりんを保育園に送っていこうと玄関を出ようとした時のこと。ハオコゼが以前の居場所に戻ってきていた。水槽前面、左側。絶好の餌やりタイミングだ。あぁしかし、みこりんを先に連れて行かねば。帰ってくるまでハオコゼの気が変わっていないことを祈りつつ。

 約10分後に帰宅。ハオコゼはどこだ?
 またもや奥の方に戻ってしまっていた。でも、目線は前方にきょときょと注がれ、興味を惹いているようす。これなら餌にも食いついて来そうだ。さっそくクリルをもみもみもみ。その振動と匂いに反応して、さらに前の方にそそそと出てくるハオコゼ君。ついにクリルを落下させると、以前のように丸飲みにしてくれた。かなりお腹が空いていたらしい。いつになくワイルドな食いっぷりだ。クリルを2匹分、たっぷり食べて、ようやく満足したらしい。奥の方へと戻ってゆく。明日はどこで待っていてくれるだろう。楽しみ楽しみ。


2000.10.6(Fri)

カイヤン君の食欲変動
 いつも水換え後は、カイヤン君の食欲が失せる。回復には少々時間を要するのが常だったが、今回は比較的早く食欲が戻ってきたようだ。昨夜は3つほどプレコタブレットを入れてやっていたが、キレイになくなっていた。そのまえは1つ。では今夜は6つといこう。全部食べてくれるといいんだけど。


2000.10.7(Sat)

原体験
 休日恒例の水槽メンテ。今日は田舎から“じじばば”がやって来るので、海水36cmの苔掃除だけにしておいた。ここのライブロックに住み着いているウニやら貝やらカニやらは、きっとじじの興味を惹くことだろう。思い起こせば二十ウン年前、実家に初めて“熱帯魚”が飼われ始めたのは、じじ(私からいえば親父:普段はみこりん用に“じじ”と称している)が言い出したからだったように記憶している。それまではごく普通にコメットやら丹頂やらの金魚とか、川や池でつかまえてきた小魚類を飼っていた。そこに突然現れた“熱帯魚”たち。スマトラ、レッドソードテール、エンゼルフィッシュ、ゼブラダニオにディスカスといった面々が金魚に混じって泳ぐさまは、その後の私に大きな影響を及ぼしたと思われる。でなければ、今こうして大小さまざまな水槽に囲まれ、高額の電気代に打ちのめされつつも暮らしてはいなかっただろう。

 じじは、今も水槽で熱帯魚を飼ってるという。でも、水槽は安定していないらしい。下手に閑ができてしまった結果、水槽丸洗いを頻繁にやってしまうのが原因のような気がするけど、今度帰省したときにでもちゃんと診てあげようと思う。


2000.10.9(Mon)

モンスター != ゴースト
 さて、うちの水槽の中で、じじが一番興味を持ったのはどれかといえば、淡水90なのだった。殊にブラックゴーストがお気に入りになったらしい。次いでカイヤン君。
 ゴーストの、あの魚離れした挙動と容姿のせいだろう。もしも、イバラタツの竜之介が存命ならば、どうなっていただろうか。海モノということで、竜之介に軍配が上がったかもしれない。

 ところでじじは、何度名前を教えてもブラックゴーストのことを“モンスター”と言っていた。ゴーストもモンスターも、どっちも似たもの同士ではあるけれど、そろそろ記憶力のほうが怪しくなりつつあるのではと心配になってしまう。
 夜、ゴーストに餌をやっていると、じじが寄ってきて熱心に観察していた。ゴーストのために廊下は暗がりのままなので、どこまで水槽内部が見えているのかわからないが、あの前後左右軽やかな機動をみせるゴーストの姿に魅了されているのだろう。
 今度帰省したときには、実家の水槽にゴーストがちゃっかり住んでいそうな予感。


2000.10.10(Tue)

家計にやさしい装置のために
 全然違うことをしているときに、ふっと閃いたことというのは、意外に侮れないものがあったりしないだろうか。今夜の私に降りてきたのは、水流発生用のパワーヘッドに対する新しい可能性だった。
 今、我が家の海水2m水槽では水流発生用に RMD-550 を1基、専属で使用している。しかしながら効果に対して消費電力はいかにも大きすぎて無駄が多い。もしもこれを使わなくても、同程度いやそれ以上の効果を生み出せる装置があるとしたら、我が家の火の車の家計にも、ずいぶんと貢献できることだろう。
 工作好きのLicのアイディアも加えて、いろいろと試作してみようと思う。


2000.10.11(Wed)

バイコム
 今夜のワールド・ビジネス・サテライトでは、山間部における高級海水魚の養殖の様子が紹介されていた(
大分県日田郡上津江村の「森のヒラメ」)。円筒形の水槽の中では、ヒラメがわらわら状態に泳いでいて、そろそろ初出荷を迎えるのだという。その養殖技術を支えているのが、バイコムだった(バイコムでは、このシステムを Inhouse Pure System − IPS と称している)。我々アクアな人間には硝化菌BICOM78で有名なあの会社ということになる(園芸農業分野でも地中の有効バクテリアを開発販売しているので、一般の知名度も高くなっているのではなかろうか)。
 そして使っている濾材(濾過バクテリア吸着材)は、マリンアクアリウム誌上でも評価されていた BICOM Bafi、不織布を使った例のあれだと思われる(製造は日本バイリーン株式会社)。我が家の次期水槽システム(カイヤン君の生け簀)では、バイコムのシステム構成図を参考にさせてもらうとしよう。
 番組では水も換えていないようなことを言っていたので、反硝化の設備も入っているのかと思ったが、システム図では見あたらないようだ。実際は水換えをどうしているのか気になるところ。で、これらシステム一式の値段が約1200万円とか。キャスターは「高い」とコメントしていたけど、意外に安いという印象を私は持った。もし量産されて規格品が大量に製造可能になれば、さらにぐぐっと値段は下がるはず。
 バイコムのシステムが、熱帯魚用品から発展していったのか、あるいはその逆なのかはわからないけれど、濾過システムという、これまでどっちかというと熱帯魚の世界では経験と勘、そして“伝統”に重きを置かれた分野が、工業技術と化学の手により変化をもたらされそうな予感がする。期待したい。


2000.10.13(Fri)

カスミチョウのこと
 最近カスミチョウ達に餌をやっていて気づいたのだが、以前から口元が変に癒着してシュアーMサイズを上手に食べることができなくなっていた“おちび”が、かなりの確率で食べられるようになっていた。いつからこうだったか正確に思い出すことは難しいのだが、たぶんここ2〜3週間のうちのことではなかろうか。
 まぁ餌の摂取量自体が“おちび”の場合、他の個体よりも少ないため、まだまだ安心はできないのだけれど、希望の光が彼方に見えてきたような感じ。この調子でいけば、そのうちカラダも大きくなって、どんどん餌も取り易くなるにちがいない。負の連鎖から、正の連鎖への転換。カスミチョウ5匹体制も、盤石になってきたもよう。そろそろ新しい個体を追加してもいいかな。ちょうどAPNにカスミチョウが入荷したようだし。

 カスミチョウの話題ついでに、もう1つカスミチョウのことを。
 以前、シュアーMをメインの餌にするまえは、フレークを与えていたのだが、その頃のカラダの厚みのほうが、今よりも分厚かったような気がする。ただ、じゃぁ現在のが貧弱か?といえばそういうのでもなく、どちらかといえばより筋肉質にシェイプアップされたといった感じ。チョウチョウオらしい体形といったらいいだろうか。なので個人的にはシュアーにして正解だったかなと思っている。我が家のカスミチョウには、フレークよりもシュアーのほうが性に合ってるのだろう。


2000.10.14(Sat)

新しいクリル缶
 数日前から粉々になったのばかりが残ってしまって使い物にならなくなっていたクリル缶を、ようやく新調することができた。帰宅後、さっそくクリルを待ち望んでいるであろう面々にご馳走してやる。

 ロングフィンスナッパー、いつもは朝にクリルをやっているので、夜という条件変化に多少とまどいが見られたものの、すぐにいつものがっついた“いやしんぼ”に戻っていた。口を水面から1cmくらい突き出してぱくついてくる様子は、とてもキュートである。

 ハオコゼ君。夜なのにいつもの定位置にいたのでさっそくクリル片を1つづつ千切って沈めてやろうとしたら…。なんと水面ぎりぎりまで上昇してきたのだった。あの泳ぎの苦手な、いつもは半分の高さまでがやっとの彼なのに。かなり空腹だったにちがいない。あやうく指を舐められてしまうところだった。軽く2尾分を平らげて、それでもまだ足りない気配。でも夜なのでほどほどに、これでおしまい。

 海水36cm。“岩”に、指で粉砕したものを振り掛けてやった。たちまち出現してくるうねうね触手。こちらも待ちかねていたもよう。

 さて、古いクリル缶をどうすべきかな。捨てるのももったいないし…


2000.10.15(Sun)

リフトアップ終了
 Licに昨日買ってきてもらったガラス蓋を、玄関上の水槽2つに装着した。これでようやくライトのリフトアップを止めることができる。そろそろ本格的な冷え込みがやってきていたので、ライトも貴重な熱源だ。
 もともとガラス蓋は使っていたのだけれど、1枚割れて、もう1枚は淡水90に移動させたのでちょうど2つ足りなかったという次第。今年は残暑が厳しかったので、ついつい今日までリフトアップし続けてしまった…。
 あ、他にも理由が1つ。餌やりが楽だから。リフトアップ時には、いちいちライトをどかしてガラス蓋を取って、という作業が不要。これは朝の忙しい時間にはけっこう効いてくるのだった。明日からちょっとだけ早起きせねば。

残クリルの活用法
 というわけで、Licから提案があった。我が家の飼い猫“にゃんちくん”の餌にしてはどうかというのだ。もちろん主食としてではなく、フリカケとして。猫缶の中にも、種類によってはエビが殻のまま丸ごと入っていたりするので、オキアミであるクリルも、だいたい似たようなもんではなかろうかということらしい。
 たしかに使えそうな予感がする。我が家のクリル缶の消費はだいたい1ヵ月に1つなので、それほど古くなるわけでもなく、たぶん問題はないと思う。明日、ちょびっとだけ試してみよう。


2000.10.16(Mon)

くたっとした首
 帰宅して、玄関を開けるとまず目に飛び込んでくるのは、廊下に鎮座する淡水90水槽だ。ライトはまだついたままなので、カイヤン君もブラックゴーストも、定位置で静かに闇を待っている……。と思ったら、むむむ!?ゴーストがいない。いや、いるのだがいつもの場所とは違う場所にいた。
 石で組まれた隙間は2つ。今夜は日ごろまったく使っていなかった向かって左の、狭いほうに挟まっている。私を不安にさせたのは、そこから“にょ”と出ている首から上が、仰向け加減に“くたっ”となっていることだった。ま、ままままままままさかっ…

 駆け寄る私。その隙間の天井となっている石が、なんだか崩れているように見えたことも、さらに不安をかきたてる。
 じっと表情を伺うものの、目玉がどこにあるのかすぐにはわからないのが、怖い。口が半開きになってるのも怖い。エラの動き、唯一そこだけがゆるやかに開閉しているのを確認して、ようやく私は安堵に胸をなでおろす。

 いつもと違うというのは、たいてい悪いことが起きる前兆だった。まったくゴーストにはいつも不安にさせられる。そこがまた可愛いのだけれど。


2000.10.17(Tue)

振動対策
 たまたま別件でジンバルなどを調査していたら、
フレキシブルジョイント倉敷化工株式会社)のページに行き当たったのだった。現在、我が家の海水2m水槽では、モーター類を屋外設置したことで騒音レベルは“やや”改善しているとはいうものの、モーターの振動がパイプを伝って室内へと導かれ、騒音問題は依然として残っている。その解決策の一環として、濾過槽もろとも屋外設置しようという案まで出ている状態だ(濾過槽のアクリル板が、パイプの振動を拾ってスピーカーみたいな役目をしているようだから)。
 このフレキシブルジョイントを接合すれば、かなり静かになるのではあるまいか。塩ビ管の途中にホースをかますよりも、効果は期待できそうな予感。なにしろこの製品は、管の騒音、すなわちモーター類の脈動やら振動やらを消す目的で作られたものなのだから(しかも工業用というあたりが、いかつくて素敵)。ついでにモーターも空気バネの上に乗っければ言うことなし。
 オープン価格になっているので値段が不明なのがちょっと怖いが、検討に値するアイテムである。


2000.10.21(Sat)

ゴーストの寝床
 なんと10月に入って、始めての水換えである。
前回の水換えから3週間も経っていたという時間感覚が、今月は特に希薄だった。この調子では、あっという間に冬が来て、クリスマスが来て、大晦日を迎えて、新年ってことにもなりかねない。おぉぉ恐ろしい。

 今日の天気は素晴らしく秋晴れだった。なので庭仕事を終えてからの作業となる。かなり疲労が蓄積しているのが自分でもわかるのだが、無理にでもやってしまおう。まずは淡水30cmから。
 ヒーターなしの2本の水温は、感覚では20度オーバーだった。比較のためにヒーター装備の水槽にも指をつっこんでみたが、それほど差を感じることが出来なかった。これなら水の温度あわせもやりやすい。作業は順調に進んでいった。

 金魚水槽は3週間ぶりということもあり、かなり白濁していた。なので丸洗い実施。ここも底面濾過にしておけば、これほど白濁しないのではなかろうかと思ってみたり。
 透明な水の中では、金魚達がまるで空中を浮遊しているかのような錯覚を憶える。やっぱり金魚水槽の敷き砂は、が似合う。

 淡水30cmを無事、4本とも水換えし終わると、次は淡水90の番だ。少々残り餌が出ていて、カイヤン君やらゴーストやらが水底付近を通過するたびに舞い上がるのが目立つ。しかもゴーストの寝床用の石には、表面びっしり茶苔の嵐。水槽のガラス面にも茶苔がスポット状に付着していた。ここはなぜか茶苔ばかりだ。まるで海水水槽のような。
 まず石を全部取り出し、ブラシで洗った。キレイになった石を戻すまえに、水底に堆積した残り餌を吸い出し、浮遊するゴミを網ですくって、水を抜くこと45リットル。頭痛が酷くなってきたので、これ以上は無理だった。手早く済ませてしまわねば。
 しかし、石で再び寝床を組んでやろうとして、なかなかよいカタチにおさまらずに結構時間を食ってしまった。下手に積むと崩れてしまいそうで怖いし、ここは手を抜けない。カイヤン君を驚かせないように細心の注意を払いつつ、慎重に慎重に。どう配置したらゴーストが気持ちよくなれるか、それを考えながら積んでいった。

 最近ゴーストは寝床を替えているのだった。以前より狭い場所だけど、ちょうど手頃な石が頭の下にあって、枕のような感じになってるのがいいのかもしれない。そこにあのどでかい頭をのっけてくつろぐ様は、なんともぐうたらしていて、じつにうらやましい眺めになっていた。今回は、それをさらに改善してやろうと思ったのだ。
 石の高さ、配置、隙間の大きさなどを考慮しつつ、ようやく完成。あとはゴーストに寝心地を確かめてもらうだけだ。気に入ってくれるといいのだが。
 最後にウールマットを久々に洗って、水槽メンテは終了した。2時間かかった。やはり体力を消耗していたようだ。頭痛ばかりでなく、腹痛までも寄せては返す荒波のように襲いかかっている。明日、海水水槽の方をやるつもりだったが、どうも予定どおりには行きそうにない。


2000.10.22(Sun)

冷たい朝
 冷たい朝だった。たぶんこの秋いちばんの冷え込みを記録した一日の始まり。徹夜明けで少しぼんやりした頭のまま、水槽を見て回っていたときのこと。
 淡水90の下に置いてあるザリガニ“スーパーホワイト”水槽で、異変を発見。ざり2号(たぶん)が、なんだか妙な位置関係で静止していたのだった。ウイローモスに絡まるように、斜め前方に向かって伸び上がるような姿勢のまま動かない。彼らがこうして固まっていることは、まれに見かけたことはあった。でも、今日のは少し雰囲気が違う。なんというか、静かすぎた。
 相棒の、ざり1号は、底面濾過のパイプにつかまってじっとしている。こちらもじっと動かない。しかしその瞳にはきらめきがあった。2号のそれとは明らかに違う輝きだ。

 水槽道具入れから細長い柄のブラシを取ってきて、確かめてみた。つついてみても、2号はもはや動かない。1号は、ゆったりと下に降りていった。私は水槽に手を入れ、2号の体を掴み出す。くたっとした脚が、いっそう寒々としたイメージを放射した。

 そのまま庭へと歩み出て、花桃の下に埋めてやった。外の空気は、さらに研ぎ澄まされた冷気に包まれ、いつもより動きがゆるやかに感じる。
 2年目の冬を迎えることなく逝ってしまった2号。残った1号は、もうじき冬眠に入るのだろう。無事、春になりますように。


2000.10.23(Mon)

見慣れぬモノ
 真夜中、日記を書いている隣で、R360がぱちゃぱちゃと水音を静かに発している。そろそろ蒸発した分を足してやらねば。そんなことを考えつつ、ちらと視線をはしらせる。走らせる……。
 見慣れぬモノがいた。部屋の照明を落としているので、最初、何がなんだかわからなかったが、どうやらそいつは薄緑色をした直径1cm足らずの“塊”ということがわかった。いや、塊というには少し妙だ。まるで折り畳まれた無数の脚があるような。そう、エイリアンが卵から孵化した直後のような形状に、似ていなくもない。思い当たるものといえば、1つしかなかった。
 ヤドカリの抜け殻に違いない。ここの水槽に住んでるやつは、とてもとても小さなサイズなのだ。ちょうど脱皮したらこんな状態の抜け殻になるだろう。
 肝心のヤドカリはどこにいるかなと探してみたら、(彼にとっては)広々した砂地の上に、ちょこんと座っているのを見つけることが出来た。そういや最近こうしてじっくり姿を見てなかったな。ライトの照射時間が増えたのに伴い、水底の茶苔が目立つようになってきていた。小さな彼独りでは、砂をかき混ぜるにも限度があるのだろう。でも、その細い細い触角を、小刻みに震動させながらたたずむ姿は、あいかわらず元気そうで安心する。今週末には、ここの水換えをしよう。海水2mと一緒に。


2000.10.24(Tue)

底なしの口
 ここ最近のカイヤン君の食欲は素晴らしいものがある。以前から絶好調なときには10やそこらのプレコタブレットは、軽く平らげていたのだけれど、今は20でも楽勝だった。しかも食いが早い。最初の1つを落とし、ゆらゆらと舞い落ちるうちにカイヤン君が到着する。そしてその大きな口を開け、ひとのみにしてしまうのだった。続けて投入した餌も、落下するや否や、まるでそこに見えない次元の狭間でもあるかのように消滅してゆくのだ。おそるべき吸引力である。
 現在カイヤン君の全長は、約38cm。それよりも体高が逞しくなったのが印象的だ。たしかにこの腹ならば、20やそこらのタブレットはいとも簡単に収まるだろう。そう思わせるに十分な容量である。近くで見ていると、以前水族館で見た体長1mクラスのカイヤンを思い出す。だんだんあの体型に近付いてゆくのを、嬉しく思うと同時に、生け簀計画がだんだん現実味を帯びてくるのを感じるのであった。


2000.10.25(Wed)

光学迷彩
 帰宅して靴を脱ぐと、ちょうど目の高さの位置に海水60水槽が来る。ちらとそちらを見やると、ハオコゼと視線があった…気がした。彼は今、定位置の水槽前面左隅で、自前の光学迷彩を疲労してくれている真っ最中。浅く砂に埋もれているが、ほとんど体は露出している。にもかかわらず、目立たないのは光学迷彩がかなりうまく機能している証である。
 小豆をうすーくしたような色と、鈍く浅い灰色のまだら模様。見事な模倣だ。大粒の珊瑚砂、しかも年数を経て、少々黒い部分や茶色の部分があるところまで再現している。そこにいると知っていなければ、すぐには発見できないだろう。
 指先で、こんこんとガラス面の前をノックしてみたが、少し身じろぎしただけだった。でも、目だけはじっとこちらを見つめたままだ。そういう一直線なところが気に入ってる。


2000.10.27(Fri)

アクリルを磨く
 明日は海水2m水槽はじめ、海水水槽4本分の水換えをする予定なので(気力がもつのか不安だが)、今夜は一足先に、海水2m水槽の苔掃除をすることにした。数日前までそれほど苔っていなかったのだが、一気に薄い緑色の膜がはったようになってきたので、急速に視界は悪くなっている。苔用ブラシでいつものようにお掃除お掃除。
 水槽の半分を覆うガラス蓋にも、びっしりと緑苔があった。どうりで最近水槽内が暗くなったような気がしたはずだ。これではハイラックスランプでも透過するのは厳しいだろう。ついでなのでここもキレイにしておいた。
 そうすると目立ってくるのが水槽本体の上部。徐々に付着した緑苔が見苦しい。こいつをやりだすと時間がかかるけど、ここが透明になってるのと苔ってるのとでは部屋の印象まで変わるほど重要な部分だ。やってしまおう、いまのうちに。今夜やっておけば、明日の水換え作業もはかどるはず。

 一時間後、水槽から緑色の部分はほとんど消滅した。明日の朝は輝く水槽を目にすることができるだろう。その状態が続くのも、わずかだけれど…。


2000.10.28(Sat)

APNへ
 午後からとうとう雨が降ってきた。どんよりとした憂鬱な土曜日だ。
 それでも夕方、APNに買い物に出かけた。水換えのためには人工海水の素が必要だった。

 ハタタテハゼがいた。水換えが首尾良く終了すれば、連れて帰ってもいいなと思う。カスミチョウは残念ながら売れてしまったようだ。
 シュアーMがなくなってしまっていたので、それも買う。さらにウールマットも買う。2m水槽用なので、どでかいロールのやつにした。2600円。ちまちま小さいのを買っているより安上がり。
 レジのところに新発売の苔掃除用のアイテムが大量に置いてあった。Licはその正体に心当たりがあるようだ。最近、TVショッピングなどでもよく見かけるという。そいつはメラミンで出来たものだった。店の兄ちゃんも使ってみた結果はかなりよいと言う。ふむふむと話を聞いてると、試供品を2つもらってしまった。
 最後に800リットル用人工海水の素を買い、店を出る。塩の詰まったバケツは重い。これを自力で運べなくなるほど“じじい”になる日が来ることを、今はまだ信じたくはない。

 結局、今日やる予定の水換えは明日に順延とした。


2000.10.29(Sun)

魔法のバケツ
 あいかわらず空はすっきりしない。でも、早起きした分、今日は気力が充実していた。やろう、水換えを。

 午前11時近く、海水2m水槽からスタート。大物を制しておけば、あとは惰性でもなんとかなるはず。
 順調にバケツに水を注ぎ込み、昨日買ってきた人工海水の素を溶かす。200リットル分だ。このとき魔法のアイテム“みこりんのバケツ”を久々に使った。いつもはみこりんがどこかにしまっていて発見できないのだが、今日は庭に転がっていたのを見つけておいたのだ。このバケツを使えば、きっちり2杯分の塩で、ちょうど100リットルの真水が適正比重の海水になるはずだった。いちいち塩の加減を調整しなくていいので、作業時間の著しい短縮になる。
 それでも一応比重の確認をしておこうと比重計を探したのだが、なぜか見つからない。いつもは水槽用具をしまってるカゴに入ってるのだが、まるで神隠しにでもあったかのように姿は見えず。さてはみこりんか!?とおもちゃ箱までひっくり返し始めた私に、Licが援軍に来てくれた。そしてさきほどまで私が発見できなかった水槽用具入れのカゴの中に、ちゃんと比重計が収まっていることを指摘したのだった。
 魔法だ。これは魔法に違いない…

 金曜の晩に、苔掃除をやっておいたのがよかった。水換え作業はサクサクと進み、ウールマットを交換し終えた時点で、時計の針は午後12時半付近。まぁまぁの進捗である。海水2m水槽、水換え終了。

 次に海水小型水槽3本用に、新たな海水を作りおく。その真っ最中のこと……。
 私はとんでもないことに気が付いた。さっき2m水槽に入れた海水、結局、比重を計っていない!!ってことに。なんてこった。大急ぎで比重計を手に水槽へ。ちゃっぷんと海水を汲んで、比重チェック!
 「0.0023…」
 おぉ、魔法のアイテム“みこりんのバケツ”の威力か。
 危機を脱した私は、萎えつつあった気力も一気に回復して海水36cmに向かう。こちらは緑苔がぼんやりとガラス面を覆っていて、まずは苔掃除から始めないといけなかった。さっそく昨日もらってきたメラミンの出番。

 かるーくこすってみただけなのに、面白いほど苔がとれた。ここの緑苔は、ぺったりしたタイプではなく、エアブラシで吹いたような感じの頑固なヤツだ。いつもは苔ブラシで力任せにがしがしやっても完全には落ちてはくれない。それがなんとメラミンを使えば、なでるようにこするだけで、“きゅっきゅっ”と“音”がするではないか(実際に音が聞こえるわけじゃなくて、そういう擬音がしそうなくらいつるっつるになるってのが正解)。
 メラミンの威力により、これもいつもより短時間に苔掃除終了。水換えはバケツに1杯分15リットルだけなので、あっというまに完了した。
 最近姿を見ないなと思っていたウニ坊やが、パワーヘッドの奥に引っ込んでいるのを発見。出られないのかと一瞬思ったが、相手はウニである。好きでそこにいるのだろう。とげとげもずいぶん立派になった。ライブロックの穴では狭くなってきたのかもしれない。

 エアチューブにかなり長い緑の藻がゆらめいていた。今日は水槽が異様にぴかぴかになったので、そいつも撤去することに決めた。無造作に手でつかんで流しに捨てる。ふむ、これでよし。そう思った瞬間、指先をくすぐる妖しい感触!
 そこにいたのはヨコエビあるいはトビムシの仲間だった。数匹が指先に貼り付いている。なぜそんなところに……と考えようとして、理由を発見。さっき捨てた藻は、彼らの住処だったにちがいない。拾い上げてみると、案の定、無数の小さなヤツらが出たり入ったりしている。こいつは捨てられない。私は藻を再び元の位置に戻してやった。
 ところでメラミンは、耐久性に劣るとは聞いていたが、ついうっかりスポンジのつもりで握り洗いしてしまって千切ってしまうところだった。取り扱いは丁寧に丁寧に。

 次の水槽はR360。こちらはほとんど苔は発生していない。でもいちおうメラミンでこする。うっすらと茶色の染みができた。ティッシュで拭くよりもぜんぜんいい。
 20リットルの水換え実施。

 最後に海水60水槽。メラミンで苔掃除。ハオコゼが住処をなかなか離れようとしなかったので、5mmまで接近してみた。なんとなく刺されるという気はしなかったから。しばらく指を見つめていた彼は、観念したのかその場を空けてくれた。再びここに戻ってくれればいいのだけれど…。
 同じく20リットルの水換え実施。

 作戦終了時刻は、1430。撤収……いや、まだ金魚水槽が残ってる。こっちは夕方からにしよう。ひとまず終了。

ふりひらの危機
 夕方、金魚水槽でも水換えしようとそばまで寄っていってみたところ。
 緊急事態発生中だった。ふりひら金魚2匹が、ずたぼろになって漂っている。自慢の尾鰭が見るも無惨な有様に。
 大急ぎで隔離してやった。1匹はまだ大丈夫そうだったが、もう1匹は付け根までヒレを失っており、かなりやばい状況。グッピー“ダブルソード”水槽に移してやることにする。ここなら今はグッピーが2匹だけなので養生には最適だ。
 それにしてもどうしてこんなことが?昨日まではうまく混泳できていたのに。

 そういや最近、大きな金魚たちの食欲がすさまじくレベルアップしていたような。だからつい空腹に耐えかねて襲いかかったのかもしれない。カイヤン君の恐るべき食欲魔人ぶりとも共通点があるかもしれない。この時期、淡水の一部の魚の食欲は、年間通して最大値を示すのでは……。

 金魚水槽は、再び白く濁って来つつあったので丸洗い。
 小魚水槽、グッピー“ジャパンブルー”水槽ともに、1/2の水換え。
 約30分で終了した。

不思議な生物
 ぴっかぴかの透明な水に変身した海水36cm水槽。ここでは相変わらず怪しげな生物達が蠢いている。
 そんな中、特に目を引くのが砂の上に直径2cmほどに拡がった白いヤツ。無数の突起のような短い触手が生えている。長さは3〜5mmくらい。中には管状になってるのもあった。まとめて1個の生物なのか、群れているのかはまったく不明。最初に出現を確認したのが、2ヶ月くらい前だったと思う。それから比べると、徐々に拡がってきているような。

 今後、こいつを定期的に観察してゆくことに決定!
 とりあえず、今日の様子はこんな感じ。

海水36cmの謎の生物


2000.10.30(Mon)

スナッパーの楽しみ
 水換え終わって一日目。食後のひとときを、ゆったり水槽を眺めつつ過ごしていたときのこと。
 ロングフィンスナッパーが、急に反転したかと思うと、口から何かを吐き出していた。今は亡きブラックキャップバスレットが巣材に使っていたサンゴ砂の塊でも食おうとしたのかと思ったが、どうも違うようだ。色が妙に黒い。そんな場所で、そんな色と形状をしたものといえば……。
 彼が吐き出したものは、水温計の温度センサだった。キスゴムでしっかり留めてあったはずなのだが、一昨日の苔掃除で触ってしまったのかもしれない。ゆるんでいたところを、スナッパーに狙われたのだろう。ということは、以前から彼はこのセンサを狙っていたことになる。

 食べようとしたのかと思ったが、その後の彼の行動を観察しているうちに別の可能性が浮上してきた。今、センサは長くコードを引っ張ったまま、ライブロックの上に乗っかっている。そして彼はそのコードの周りを、ぐーるぐる何度も何度も回っているのだった。楽しげに。
 彼は遊んでいるに違いない。センサはちょうどいい玩具がわりなのだろう。

 歯の鋭い魚でもないので、しばらくこのままにしておこう。はたして彼はどんな遊びを見せてくれるだろうか。


2000.10.31(Tue)

ヤドカリとカニ、それぞれの食事
 
日曜の日記で紹介した海水36cm水槽の謎の生物だが、ガラス面の苔がキレイになった結果、じつはもう1塊、同じようなヤツが発生しているのを確認した。場所は中央のライブロックをはさんで反対側だ。こちらのほうはまだ小さく、直径5mmほどで分布している。
 砂の中を移動して増殖するのか、あるいは海中を漂いつつ着床するのかも不明だが、なんとなくポイントは砂の中にありそうな予感。よほど砂を掘ってみようかと思ったが、崩れ去っては元も子もないので、じっと我慢だ。こちらのほうも定期的に観察していこうと思う。

 ところでヤドカリ君が夜中、餌を求めて砂の上を移動中、この謎の生物とニアミスしていた。もしかすると、脚の一部は乗っていたかもしれない。ただヤドカリ君の興味は砂粒についた苔にのみ集中していて、特に何かが始まったわけでもないのだが、じつに緊張の一瞬だった。
 このヤドカリの動きに歩調を合わせるかのように、ライブロックの穴から“にゅぅぅぅ”と伸びてきたものがある。カニのハサミだった。腕がやたらと長いのがここに巣くってるヤツの特徴だ。その長いハサミは、砂地をかすめるようにして何度も「ぱちん ぱちん」と繰り出されていた。そのさまは、まるで芝刈りでもやってるよう。
 ちょうどさっきクリルを砕いて水中に舞わせたところだったので、砂の中からゴカイの仲間が多数出現していたのだが、カニは、それらを狙っているようにも思える。カニが無意味に“舞い踊る”とは考えにくい。
 でも、結局ハサミは獲物にはヒットしなかった。もう一歩のところでゴカイ達は首をすくめてやり過ごすことに成功したのだ。カニがライブロックから降りてくれば勝敗の結果も違ったものになっただろうが、なぜだかカニはライブロックからは離れようとしないのだった。砂の上には、何か危険があるとでもいうかのように。

 砂の中でいったい何が蠢いているのか。そいつが水槽の外に興味を持たないことを祈るしかない。


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