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〜水のある生活〜
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11月 2000 お魚日記
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ひみつ日記読む!

2000.11.1(Wed)

投下のタイミング
 
日曜の水換え以来、奥の方に待避したままだったハオコゼだったが、今朝はようやく餌のクリルに気づいてくれた。
 小さくちぎって落としてやると、いつになくがっついて食べているようす。ハオコゼの喉は、大きな口に対してやや細いのか、飲み込むのに少々時間がかかる。それを見越して次の肉片を落としてやったつもりだったが、まだちょっと早かったらしい。うまそうなぷりぷりのクリルの肉は、ごろりと砂地に転がってしまった。いつもクリルは頭から順にちぎっていくので、今のが待望の胴体部分になる。つまり、メインディッシュだったわけだ(クリル頭部はいかにもぱさぱさしているうえに、肉もあまり詰まっていないから、勝手に胴体が一番だと思ってるのだけど、実際のところは魚に聞いてみないとわからないのは言うまでもない)。

 幸い、胴体部分は長く、まだあと2回分は残っている。今度こその期待を込めて、第二段を落下。……なんとこれも虚しく脇をすり抜け砂地へと。よほど最初の頭部に苦戦しているようである。
 さらに少し待つ。いくらなんでももう大丈夫だろう。第三段投下。
 だが、ハオコゼは思い出したように頬を“ぐわっ”と膨らませたのだった。まだ引っ掛かっていたらしい。肉片は3つとも、砂地に並んでしまった。このままでは砂の中に巣くう、ひょろ長い生き物たちの餌食となるだろう。ハオコゼが豪快に飲み込んでくれるのを期待していたので、ちょびっともったいない気持ち。

 しばらくしてもう一度水槽を覗いてみると、ハオコゼはまださっきの位置にいた。砂地のクリルはどうなったかな?と思ったら、きれいさっぱりなくなっている。微少な破片ならともかく、ハオコゼ用の大きめの肉片を、数分で食い尽くすような生物が砂の中にいるとは思えない。とすれば答えは1つ。喉のつかえがとれたハオコゼが食べたのだ。
 これまで動くものにしか食いついてこなかったハオコゼだが、空腹が変化をもたらしたにちがいあるまい。ようやくここまで餌付くようになってくれたかと、感慨深い出来事であった。

 *

 夜、ハオコゼはいつもの水槽前面左隅の定位置に戻っていた。めでたしめでたし。


2000.11.2(Thr)

いつもの場所に
 定位置に戻ってくれたハオコゼのために、今朝はクリルを2匹食べさせてやろう。そう思って海水60cm水槽のところまでやってきた。そこで私が見たものは、白い砂地に転がるレンガ色の小さなボール。
 それはカニの死骸だった。
 ライブロックと共にやってきたカニだった。
1998年7月17日からなので、約2年と3ヶ月。他の付着生物たちが軒並み落ちていく中で、彼だけはうまく水槽に適応してくれた。左側のライブロックの穴がお気に入りで、いつもそこに潜んでいた。しかし一度も出てきたところを見たことがなかった。それほど用心深いやつだった。
 最後にこうしてすべてを晒したのを見て、意外に小さかったのだなと思う。
 いつもの穴は、ぽっかりと空洞のまま。初めて見る空洞の奥の光景。


2000.11.3(Fri)

ウニ坊やの冒険
 海水36cmのガラス面に、ほんのわずかだが緑苔が発生しつつあったので、例のメラミンで拭き掃除を行った。このメラミンを用いた苔掃除アイテムの謳い文句には、つるっつるっに苔を除去するので苔の付着量も減るとあったが、たしかにその効果は見られるようだ。以前ならば同量の水換え後でも、1週間もすれば緑のフィルタがかかったようになっていたはず。

 珍しくウニ坊やがガラス面の中程まで上ってきていた。居場所は相変わらずパワーヘッドの付近なのだが、そこから立ち上がっているパイプの下をくぐり抜けようと苦心しているらしい。側面の棘が、パイプの下に何本もめり込むように潜り込んでいた。でも、骨格の高さはその隙間よりも明らかに高く、いかにウニといえどもすり抜けるのは不可能であろう。そういうことならと、少し手を貸してやることにする。この状態ならパイプを抜けばウニ坊やの進行を邪魔するものはなくなるはず……だった。
 ところが、パイプを抜くとき少しだけ彼の触手を引っ張ってしまったらしい。うねうねと、細い触手を何本も水流にたなびかせていたウニ坊やは、これに驚いたか一目散にしゅるしゅると退却を始めたのであった。うーん、失敗。
 なかなか手前に出てきてくれないので、ちょっと寂しい今日この頃。


2000.11.4(Sat)

亡霊
 今朝もハオコゼにクリルを千切ってやっていた。その貪欲な食欲に満足しつつ、新しいクリルを用意してやろうと視線を動かしたその瞬間……私は“亡霊”に気がついたのだった。
 あり得ない。そんなはずはなかった。でも、たしかに動いた。
木曜日に死んだはずのカニが、舞い戻ってきたかのように。

 砂地には、いまだ彼の亡骸が転がっている。すると、今動いたヤツは別の生物だろうか?視線を穴の奥に集中させる。じっとヤツが動くのを待った。

 ぞろり。甲羅のこすれる音が聞こえるかと思うほどの重量感だ。ヤツはいた。たしかに以前カニが暮らしていた穴の中に。サイズはひとまわりどころか、ふたまわりはでかい。こんなのを今まで見逃していたのだろうか?…それはじつに考えにくいことである。しかも、見れば見るほどその姿は以前のヤツと似通っている。ただ、色彩は、かなり違っていた。以前のが石灰藻のような赤紫色だったのに対して、こいつはデザートイエローといった感じの薄い灰色だった。
 サイズが大きくなったこと。色彩が変化したこと。それらの現象をふまえつつ、カニの同一性を説明することは可能だろうか。

 答えは1つ。ヤツは死んではいなかった。ただ、“脱皮”したのだ。
 そしてしばらく気配を断っていたに違いあるまい。しかもよくよく見れば、穴蔵の出口付近は格子状になっていたはずなのに、それがない。おそらくカニが脱出のために内部から破壊したのだろう。この穴蔵で大きくなりすぎたカニは、脱皮にあたって出るに出られないことに気づき、全力で入り口をリフォームしたにちがいない。冷静に観察しておればすべてが符号することばかりだった。

 やられた。甲殻類の脱皮殻には、これまで何度となく「どきっ」とさせられてきたが、今回は完全に騙されてしまった。
 いや、そんなことはどうでもよい。いまはただ、カニの生存を喜ぶとしよう。


2000.11.5(Sun)

マンネリがもたらしたもの
 どうも最近カスミチョウの様子がヘンだ。正確に言えば、2匹の体表に闘争で出来たと思われる傷跡が、多数見られるのだった。特に夜間など、体色を暗くしたときに目立つ。だが、ヒレには損傷がほとんどなく、弱っているふうでもない。餌食いもほどほどだ。
 ただ背ビレ先端だけは、ヒレの中でも例外的に傷ついていた。この部位はチョウチョウウオにとっては武器である。このことからも、間違いなくこの2匹は何ものかと戦闘状態にあったことを物語っていた。
 しかし、水槽でそんな激しい闘争があった記憶はない。それだけやりあえば、イヤでも目に付いたはずだ。特に今週は金曜から休暇なので、普段よりも水槽を見ている時間は長い。それなのに、そんな気配を少しも感じられなかった。
 いったい彼らは何と闘っているのだろうか。

 答えは夜になって判明した。
 なんとカスミチョウ2匹が喧嘩していたのだった。これが他の魚ならば、“闘争”など当たり前ということになろうが、温和で知られるカスミチョウである。しかも、新参者ではない。それがどうして喧嘩という事態になってしまったのか。

 これまで我が家では新入りに対して1週間ほど闘争した例はある。だが、それ以外で彼らが互いに喧嘩する状況など見たことがなかった。いたって穏やかな水槽だった。たまーにロングフィンスナッパーが、餌を横取りされたお返しにカスミチョウを追っ払うことはあっても、カスミチョウ同士が闘争するなど、なかったはずだ。
 だがしかし、今回彼らは1つのライブロックを巡って喧嘩している。穏和とされるカスミチョウといえど、長らく顔つき合わせていれば、こういう状況にもなるのだろうか。思えばこの水槽のライブロック・レイアウトは、ここ数年というものほとんどいじっていない。
 そろそろ変化を与えてやる時期なのかもしれない。


2000.11.6(Mon)

消えた管集合体
 例のヤツが消えた。海水36cm水槽の、あの砂地に増殖しつつあった白い無数の管の集合体。大きな方は健在なのだが、小さな向かって左側の方が、跡形もなく消え去っていたのである。いったい何が起きたのか。この狭い水槽で、どんな異変が発生したというのか。
 よく見れば、中央のライブロックもなんだか居心地が悪そうだ。砂地と接している部分が、不自然にえぐれている。まるでライブロックが自ら移動したかのよう。

 ……こんな破壊工作を行えるヤツはそうそういない。きっとあいつだ。砂地に潜って生活しているらしいカニが1匹いるのだ。きゃつが関わっている可能性は非常に高い。とはいえこの水槽は極力自然にまかせようと思っているので、このまま観察することになるのだが。できれば残った管集合体が無事でいますように。


2000.11.8(Wed)

嵐が去って
 カスミチョウの闘争がその後どうなったかというと…
 あっけなく幕切れを迎えていた。あの痛々しい傷も、今では順調に回復に向かっており、昼間ならばまったく気づかないほどだ。闘争の原因になっていた左隅のライブロックも、まるでそんなものがなかったかのようにどうでもいい存在になったらしい。

 闘争は去った。めでたいことである。この調子で平穏が続いてくれることを願いつつ、新しい血を入れることを真剣に考え中だ。タイミング良く、APNからの新着魚メールにはカスミチョウの文字が。頃合いや良し。週末、出撃だ。


2000.11.9(Thr)

夜の水換え
 ド平日の夜だが、どうも金魚水槽の白濁した水が気になって、水換えを敢行する。時刻はすでに午後11時を回りつつあった。

 30cm水槽なので、丸洗いのほうが手っ取り早い。金魚達をバケツに避難させたあと、そのまま洗面所で5〜6回の砂洗い。それにしてもこの汚れはなんとしたことだろう。長さ2〜6mmほどの半透明なゼラチン状のモノが多数浮遊しているのだ。金魚水槽に特有な汚れだった。
 水温はかなり低め。まったく温水を混ぜなくてもOKだ。再び輝く水槽に戻したあと、つい淡水60水槽にとりかかってしまっていた。ここは水の蒸発が著しく、今はばしゃばしゃと水音が轟いている。まずはこいつを黙らせなければ。

 ついでなのでメラミンの苔取りスポンジで磨いてみた。頑固な緑苔&黒苔が、面白いように取れる。水槽の見通しがよくなると、伸び放題の水草が気になる気になる。ウイローモスも激しくジャングル状態だし。というわけでトリミングを行った。時刻はとうとう12時を回り、明日へと突入する。それでも気になる“ざり水槽”。

 ざり水槽の茶苔が気になった私は、ふたたびメラミンスポンジを手に、がしがし擦り洗いをやっていた。もはやここまでくると、徹底的にやってしまおうという気になっている。まだ淡水90の水換えをしたかったので、ざり水槽は苔掃除と差し水だけに留めておく。
 そしていよいよ淡水90水槽だ。

 かなり水が黄色っぽくなっているので、大胆に水を抜いた。およそ75リットル分。ほぼ半分の水換えということになる。
 それと同時に苔掃除。カイヤン君が暴れないように気を付けて気を付けて…
 新しい水を投入。このとき、プラケがちょびっとカイヤン君に触れてしまい、激しく暴れられてしまった。し、しまった。
 それからしばらくの間、カイヤン君はかなり敏感になっていたので、これ以上ないくらいに慎重に水を注ぎ終え、濾過槽のウールマットを交換して、一連の水換え作業を終了したのだった。
 時刻は午前1時過ぎ。すっかり眠気は失せている。夜はまだまだこれからだった。


2000.11.10(Fri)

おっとうっかり
 なぜかハオコゼが、またしても奥にすっこんでしまっている。不用心に驚かせてしまったのだろうか。水槽は靴箱の上にのっかっていて、水槽の手前に3cmほどのスペースがあり、いつも出勤時や帰宅時に、クルマのキーとか水筒とかそういう細々したものを、ついつい置いてしまうのだ。そしてその場所は、不幸にもハオコゼ君の目の前なことが多い。ハオコゼが我が家に来る前からの習慣なので、ついうっかりやってしまうのだった。

 別に小物置き場でも作ったほうがいいかも。


2000.11.12(Sun)

海幸彦山幸彦
 APNの新着魚メールの中に、こそっと混ざっていたこの名前−“ヒメヤマノカミ”−。漢字で書くとこうだろうか?“姫山乃神”…“媛山ノ神”…“姫耶麻埜守”…。海のモノなのに山の神とは、これいかに。なんと想像力をかきたててくれることか。

 “ヤマノカミ”とくれば、まっさきに思い浮かぶのはオオカミウオだ。“ヒメ”なのでたぶん小型の可愛いサイズにちがいあるまい。じわじわと、イメージが湧いてくる、湧いてくる。しかしこれは理屈で思い浮かべた魚の姿だ。直感だけで思い描いた魚の姿は、どちらかというと異形であり、かつ美麗な色彩と柔らかなヒレを持った竜宮城にいそうな魚であった。…いったいどんな魚が入荷したのだろう。

 夕方、その真相を確かめに我々はAPNにいた。展示水槽を順に見て回る。どれが“ヒメヤマノカミ”なのか。あ、カスミチョウ3匹確認。つ、連れて帰りたい…が、3匹で8500円か…。安いけど、安いけど…もうちょっと悩んでも罰は当たるまい。
 いやいやそんなことより“ヒメヤマノカミ”だ。ぐるっと一周してしまったが、私の想像に合致する魚は影も形もなく……。降参だ。店の兄ちゃんに聞いてみよう。

 過去形で聞いてみた。「どんな魚だったのか?」と。最初の反応は「他の魚を食っちゃうから」というものだった。む!?するとやはり…。「カサゴ系なやつでした」そう続いた。
 カサゴ系…オオカミウオというイメージもそう外したものではなかったらしい。理屈で想像した魚のほうに近かったようだ。しかも同類がもう1匹入荷しているのだという。な、なんと、さっき見たときにはそれらしいヤツはいなかったけども??示された水槽を覗き込む。…なるほど、たしかにいた。真っ白に近い黄土色したヤツが、じっと微動だにせずたたずんでいる。体長8〜10cmといったところだろうか。でかい口だった。おそらく自分と同等なサイズの獲物でも食ってしまうのだろう。なんだかひしゃげた蛙のようだなと思った。なかなか愛嬌があってよいが、ハオコゼ程度ならばともかく、これほどの肉食なやつを収納するには、また1本水槽を立ち上げねばならなくなるだろう。今回は遭遇できただけで良しとしよう。

 それにしても“ヒメヤマノカミ”、いつか実物を拝んでみたいものだ。


2000.11.13(Mon)

ライト冬仕様
 先週から海水2m水槽のライトの点灯時間を変えてある。それまでは午後1時〜午後8時だった。変更後は午前9時〜午後4時だ。ちょっと極端すぎたかもしれない。
 もともと遅い時間に点灯していたのには理由があって、帰宅後にも餌を食べさそうということだった。でも、そのために300Wのハイラックスランプを夜遅くまで煌々とつけておくのは、やはり妙だなと思うようになったのが最近のこと。立冬もすぎ、昼間の時間が短くなったので、点灯時間もより自然な領域へとシフトしたほうがいいのではないかということで、変更した。
 幸い、夕方にはLicが帰ってきているので、部屋が真っ暗闇になることはない。60Wの部屋の灯りでも十分だ。
 ただ、朝がちょっと問題のようだ。私が起きてカーテンを開けるまで、冬配置の太陽の軌道では明かりがほとんど差し込まないことに気がついたのだった。だからカスミチョウ達も、どことなくぼんやりと夢うつつな状態が最近多い。点灯開始時間をあと1時間早めたほうがよさそうだ。


2000.11.14(Tue)

その後の経過“ふりひら金魚たち”
 
尾鰭を失うというアクシデント(2000.10.29)に見舞われて以降、ふりひら金魚達は“ダブルソード”水槽で順調な回復ぶりを示している。当初はヒレだけでなく体表にも出血がみられたのだが、いまではすっかり傷も癒え、失われた尾鰭はわずかではあるが復活の兆しが見て取れる。乳白色のいかにも柔らかそうな新しい組織が、輪郭を描くように再生しつつあるのだった。まだ1mmにも満たない再生だが、いずれは完全に元通りになるに違いない。

 完全に尾鰭を失っていた方は、さすがに泳ぎづらそうだが、その小さな身体全体を激しくくねらせ、餌に向かって突進してくる。以前にも増して食欲はすさまじい。なにしろ金魚水槽にはヒーターが入っていなかったが、この水槽は常時25°の水温に維持されている。代謝が活発に行われているのだろう。
 先住のグッピー“ダブルソード”達ともトラブルは皆無のようで、一安心。新しい住処はふりひら金魚達に気に入ってもらえたようだ。ゆっくり養生して、また美しい優雅な舞いを見せてもらいたいと思う。


2000.11.16(Thr)

山の上の餌場
 どうやらハオコゼは本格的に“ねぐら”を変えてしまったらしい。今朝も餌をやろうとライトをどかしてガラス蓋をとっぱらうと、水面下1cmのところで彼と目が合ってしまった。泳ぎの下手な彼がいったいどうやってそんな場所にいられるのかといえば、左側に切り立つライブロックの背後から、垂直にロッククライミングを行った結果だと思われる。彼はまさに天を向いて直立しているのだ。
 その麓、水槽左奥のヒーターカバーの下側が、新しい“ねぐら”のようだった。何日かそこに寝転がったままでいたようだが、餌が回ってこないことにようやく気がついたのだろう。昨日から彼は、ロッククライミングで頂上付近まで上ってくるようになった。その場所ならば、奥とはいえ水面から顔を見ることが出来るので、餌を直接やることができる。昨日もたらふく食べさせてやった。食い物系の記憶がいいのはあらゆる生物の基本のようだ。

 これでハオコゼの餌問題も解消したかに見えるのだが、1つだけ問題がある。それは水面下1cmという、いまにも触れそうなくらいの至近距離での餌やりは、けっこうタイミングが難しいってことだ。
 彼は動くモノにより興味を惹かれるため、水中を落下するわずかの間が捕食のチャンス。これまでは水底にいたので、狙いをつけるのも、そのために移動するのも余裕があった。ところが今は、まさに“あっというま”に通り過ぎていってしまう。しかも天を向いて直立不動の姿勢をとっているため、もともと動きが鈍いのがさらに輪をかけて遅くなってしまっているのだ。今日も狩りに失敗したのが3回はあった。由々しき事態である。

 いずれにしても、彼はまた学習したことだろう。このままロッククライミングを続けていては、食いっぱぐれることのほうが多いのだということに。明日、彼がどんな場所で待っていてくれるのか、じつに楽しみである。


2000.11.17(Fri)

で、どこに現れたかというと
 今朝はやっぱりハオコゼがどこで待機してくれているのかが気になるところ。さっそくクリルを2つばかりつまんで様子を見に行ってみると……。
 彼は、ちゃっかり水槽の一番よく見える場所に陣取っていたのだった。そう、古巣に戻っていたのだ。
 やはりそこが一番食い物にありつけるのだということを知っているらしい。そしてお腹がある程度膨れる日々を過ごすうちに、冒険したくなってしまうのだろう。あるいは、水槽前面は身を隠すにはあまりに不向きなため、常に己の位置を晒しておくのはハンターとして心安らかにはいられないのかもしれない。
 まぁいずれにしても、しばらくはここに落ち着いてくれるだろうから、その間、たっぷり食わしてやろうと思う。


2000.11.18(Sat)

謎の突起物
 さすがに少々苔が目立つようになってきたので、海水36cm水槽の苔掃除を行った。メラミンスポンジはかなりズタボロになってきたが、性能にあまり変化はないようだ。でもそろそろ取り扱いに細心の注意をしていないと壊してしまいそう。

 苔がなくなりクリアなガラス面になったと思ったら、さっそく巻き貝が1匹貼り付いていた。苔を食べる貝だと思うのだが、いつも苔がなくなってから出てくるので、不思議に思っている。もしや緑苔は苦手なのか。そういや紫苔は食べ痕を見かけるけど、緑苔にはなかったような。それにしても大きくなったものだ。初めてその存在に気がついた時から3ヶ月ほどで、二倍にはなっている。ただ、巻き貝を年単位で生かせたためしがないので、これからが正念場といえよう。

 ところでライブロックには以前から規則性のある微少な突起物があった。それはあまりに小さく、はたして生物なのか、それともただの岩の模様なのか判断が付きかねていたものだ。それが最近、ようやく何者なのかわかってきたような気がする。なにしろ徐々に成長しているのだから、生物であることはほぼ間違いではないと思われる。しかも整然と2列に並んだ複数の突起は、まだ1mmほどにもかかわらず、私にはよく見覚えのあるものだったのだ。ただ、結論するにはもう少し待った方がよさそうだ。予想では、“フジツボ”か“カメノテ”なのだが、はたして合ってるかな。正体がはっきりするには、来世紀まで待たねばなるまい。


2000.11.19(Sun)

闘争の結果
 闘争は収まったはずだった(
11月8日の日記)。ところが、最近どうも気になることがある。餌をやるとき、カスミチョウの中で1匹だけが、いつも水槽の右隅にいるようなのだ。最初は偶然かもしれないと思っていたが、さすがに毎日同じ情景が続くと、これは偶然などではなく、何らかの結果、彼はここにいるのだと考えるようになった。
 観察の結果、彼は闘争に敗れたのだとわかった。彼がその場所から少しでも離れるそぶりを見せると、別の1匹が押し戻しにかかる。それは激しいものではなかったが、執拗に繰り返されるため、その場所から離れられないらしい。ただ、餌のときだけはみんな食うのに一生懸命なので、彼も自由になれるようだ。だから他の魚にみられるような上下関係の結果、餌をとれずに餓死するといった危険性はあまりない。とはいえ、このままの状態が長く続くようなら少々ストレスも心配だ。さて、どうすべきか。やはり変化をもたらすのが手っ取り早いかもしれない。


2000.11.20(Mon)

肉食なやつら
 歯磨きタイムのお楽しみ。クリアなガラスの向こうに広がる小さな箱庭、海水36cm水槽を眺めつつ…
 なんだか今夜はヤケに水槽がにぎやかだ。砂地からは無数にゴカイの類が伸び上がり、餌を求めて頭部をゆるやかに振っている。その数が、いつになく多い…ように見える。砂地の下にも、まだまだ潜んでいるようだ。ものすごい増殖力…
 それだけではない。トビムシやらヨコエビやらといった小さな甲殻類も、やたらと目に付いた。彼らがねぐらにしていた緑の髪の毛状にふわふわした藻が消滅してからというもの、拠点を砂地に移したらしく、砂粒の中から這い出したり潜ったり、あちらこちらで忙しそうだ。
 もしやゴカイたちは彼らを狙って出てきているのかもしれない。そんな気がしたので、顔をじっと近づけて、一番近くにいたヤツをじっと見やること数十秒。……こ、これはっ!?私は意外な展開に驚きを隠せなかった。なんと食っていたのはトビムシの方だったのだ。体長8mmほどのトビムシが、長大なゴカイを抱きかかえるように頭部に取り付き、むさぼっていた。肉をむしりとる“音”が聞こえてくるような、生々しい食いっぷりに、私はすっかり歯磨きどころではなくなっていた。そしてデジカメを手に戻ってきたのは言うまでもない。

トビムシがゴカイを食ってるとこ
トビムシがゴカイを食ってるとこ


2000.11.23(Thr)

メンテの一日
 今週は、今日が休みの代わりに土曜が出勤日になっている。なので水槽のメンテは今日のうちにやっておくのが吉。というわけでさっそく海水2m水槽からとりかかる。
 といっても今日のところは苔掃除のみ。脚立を立てて、ちゃきちゃきやる。水槽上部の水面から出てる部分をはじめ、ガラス蓋にいたるまで苔を取っておいた。
 続いて淡水90cm。こちらは昨夜少しカイヤン君に餌をやりすぎてしまって、残り餌がふやけて大変なことになっていた。さっそく水抜き開始。でも、それだけでは不十分なようだ。敷き砂にもかなり汚れがたまってる感じだったので、久々に毒抜きも実行する。石組みをすべて撤去し、まんべんなく底をさらう。そうやってるうち、いつのまにか水位はどんどん下がっていて、気がついたときには半分以下まで吸い出してしまっていた。カイヤン君がなにやら不穏な動きをみせるようになってきた。背ビレが出そうなのを気にしているのか?
 急いで新しい水を入れ戻す。洗った石を底にならべて、その上からバケツでダイレクトに投入だ。2つのバケツを効率よくつかえば100リットルほどのバケツリレーもさほど時間をかけずに終了することができた。やはり砂掃除をやったのが効いたみたいで、いつになく水槽がクリアに見える。

 大物を仕上げたあとは、海水60cmの苔掃除。メラミンで約2分、たちどころに透明度が戻ってくる。次はどれにしようかな…と、視線を他の水槽群に散らしていると、金魚水槽の異変に気がついたのだった。この夏、みこりんがすくってきた小さいヤツが、なんだか水面付近で頼りなげにしている。ただちに隔離だ。プラケに移して、ふりひら金魚たちのいる水槽に浮かべて置いた。しかし手遅れだったようだ。おちび金魚は、落ちてしまったのだった。
 それだけではない。同じく今年すくってきた金魚がもう1匹、頭部になんだか白っぽい薄い膜をまとわりつかせている。しかも両眼が、なんだか引っ込んでいるように見える。体表よりも低い位置にまで沈み込んでしまっているので、なんだか妙な感じだ。残りの2匹(去年からいるやつ)は、見た目どこにも異常なし。元気そうに見える。でも、とりあえずみんなをバケツに避難させて、メチレンブルーを投入、薬浴開始。その間に、水槽は丸洗いだ。いつになく浮遊物が多いようだ。やはりいつもと違う何かが起きていたらしい。洗い終わった水槽にもメチレンブルーを溶かし込んで、金魚達を戻してやる。なんとか回復してほしい。

 最後に淡水30cmを3本、それぞれ1/2ずつ水換えして本日のメンテナンスは終了となった。


2000.11.25(Sat)

青い鼻
 木曜日、弱っていた金魚が、餌をねだるまでに回復していた。もともと体力のあるやつなので、ここまでくれば大丈夫だと思う。ところで1つだけ気になる点が。
 それは3匹とも、鼻の穴が青っぽくなってしまったことだ。メチレンブルーで染まってしまったらしい。でも、こんなことは初めてなので、少々困惑している。金魚特有の現象なんだろうか。それとも…。


2000.11.26(Sun)

大脱出
 日曜のおだやかな朝。みこりんとリビングに入ってきたところ、台所方面でなんだか違和感を感じた。咄嗟に視線を向けると、いつもはないものが、そこにいた。ガラス面に、ぺったり貼り付いたもの。それは、ウニ坊やだった。
 ようやくパワーヘッドの奥地から脱出できたらしい。うねうねと細長い触手を何本も波打たせながら、ガラス面をゆっくりと移動している。晴れやかな、伸びやかな、そんな印象であった。
 よく見ると、下の方の棘が、何本か折れているようだ。もしかして奥地から抜け出すときに、折ってしまったのだろうか。やはり自力では脱出が困難な場所だったのかもしれない。いずれにしても、これでウニ坊やとも晴れて毎日顔を合わせることができるようになったわけだ。めでたしめでたし。

 ところで、この水槽にいる“フジツボ”か“カメノテ”ではないかと書いた謎の生物のことだが、どうもそのいずれでもないような気がしてきた。なぜなら今日、きゃつらのしぼんでいる姿を見てしまったからだ。それまで、硬い殻で出来ているのだとばかり思っていた部位が(フジツボの殻の部分だと思っていた箇所)、じつは“肉”で出来ていて柔らかく、しぼんだり膨らんだりするようなのだ。こいつはどう見ても“フジツボ”とかそういう類のものとは思えない。どちらかといえば、バブルコーラル系な動き…。いったい何者なのか、さらに観察を続けることにする。

ネッタイ君の移住
 カスミチョウ3匹を買いに、APNに行った。はたして彼らは待っていてくれるだろうか。売れてなければいいのだが……。どきどきしながらドアを開ける。先客と話し込んでいる兄ちゃんに挨拶してから、展示水槽に向かう。

 いなかった。カスミチョウは1匹も残っていない。売れてしまったようだ。
 接客の終わった兄ちゃんの話によれば、昨夜遅く、閉店間際に3匹とも買われていってしまったのだという。な、なんという…一日違いで逃してしまったのか。また次回の入荷をお願いして、では今日は何にしようかと改めて水槽を見やった。
 やはりハナミノカサゴが気になるところだ。慣れると、水面まで指を目指して泳いでくるようになるので、また飼ってみたいと思っていた魚だった。でも、クリルに餌付いているのかどうかが問題だ。試してもらうと、じぃっとお見合いはするものの、最後の一押しができないみたい。クリルを見つめて、悩んで悩んで、結局ぷいっと泳ぎ去る。小さな水槽でならば、生き餌を使って徐々に餌付かせることもできそうだが、これを入れる予定の2m水槽では少し難しいだろう。諦めるしかあるまい。

 では、こっちのスミレナガハナダイのペアはどうだろうか。じつに色彩が鮮やかでよい。しかもペアの仲も、かなりよさそうだし。
 シュアーには餌付いてなかったが、冷凍イサザアミは食べていたので、購入決定。ペアで4500円也。

 買って帰って、さっそく2m水槽に浮かべておいた。この水槽の魚は黄色が主体になってるので、スミレナガハナダイのようなハナダイ系の赤は目立つ。いいアクセントになりそうだ。
 温度合わせの後、水槽投入。すかさず岩陰に隠れて行ってしまった。

 それからしばらくして、メスのほうがネッタイスズメにしつこく追われているのを発見!どうやら、色彩が似ていたのがまずかったようだ。オスのほうにはほとんどちょっかいをかけていないが、メスには何度も何度もつつきにいっている。すでに背ビレがかなり囓られてしまっていた。

 メスは、水面近くでずっと立ち泳ぎをしている。そのすぐ近くにオスがいて、仲の良さを見せつけていた。でも積極的にメスを守るというわけでもなく、あまり頼りにはなってないのが少々残念。
 ここにいたって、私はネッタイスズメをこの水槽から出すことを決意していた。今回に限らず、将来、小型ヤッコなどを入れたいと思ったときにも同じような闘争が起きそうだから、早めに対処しておこうと思ったのだ。
 幸い、ネッタイスズメには隠れ家が決まっていた。大きなライブロックに開いた穴の中だ。電気を消してしまえば、ヤツはそこに隠れてしまうだろう。それが狙い目だった。

 ヘッドライトの薄明かりの中、私はまずその穴の出口を網で塞いだ。そしてゆるやかにライブロックを持ち上げる。ネッタイスズメは警戒して穴の奥にひっこんだままだ。よしよしその調子、まだ出てくるなよ〜と念じつつ、ついに岩を水面から出すことに成功。あとは逆さにして、海水とともにネッタイスズメをプラケに移せばおしまいだ。やはり魚の捕獲は暗闇に限る。
 ネッタイスズメの新しい住居は、海水60cm水槽に決めた。ここには先住のスズメの仲間が1匹いるのだが、さてどうなることやら。とにかく、これでスミレナガハナダイは助かったのでよしとする。明日、勃発するであろう新たな闘争は、また明日考えればいいのだ。


2000.11.27(Mon)

果たして2匹はどうなったか
 ネッタイ君と、先住スズメは、うまく住み分けてくれたようだ。私が目覚めたときには、すでに平穏な水槽になっていたのだと思う。互いのカラダにも傷らしい傷は見あたらず、水槽内も乱れた様子はない。双方、相手の力量を瞬時に把握し、無益な闘争を避けたのか…。
 ただ、ネッタイ君が昨夜まで先住スズメのいた場所、つまり一番イイところに収まってるところを見ると、力関係はネッタイ君に分があったようだ。先住の利よりも体格で勝ったらしい。いずれにしても、殺し合いにまで発展しなくてほんとうによかった。海水魚の場合、相手を死に至らしめるまで闘争するなんてのはよくあることなのだから。

 さて、ネッタイ君のいなくなった海水2m水槽では、スミレナガハナダイのペアが、悠然と水槽の左方面に滞空している。メスの背ビレの傷が少し痛々しいものの、元気よさそうで一安心。まだ餌は食べてくれなかった。


2000.11.28(Tue)

クリルはOK
 今朝もスミレナガハナダイのペアは、適度な距離を保ちつつも微妙に寄り添いながら、水槽左方面にいた。じつに体色が良い。目の輝きも申し分なく、健康そうに見える。
 カスミチョウ達に食べさせているシュアーが、たまーにそちら方面に流れていくのだが、特に食べるような素振りは見せてくれなかった。ただ、メスのほうは、すぐそばまでやって来ているカスミチョウ達の食事風景を、少し興味のある風貌で見ていたような。

 まぁいきなりシュアーは無理だろう。というわけで、クリルを砕いて漂わせてみたところ…細かなチリみたいなやつを、メスが飲み込んでくれた。続いてオスも。量はわずかなものだったが、クリルに餌付いてくれれば心強い。シュアーを食べるようになるのも時間の問題だと思われる。


2000.11.29(Wed)

食われてる?
 ところで海水36cmのライブロックにくっついている例の謎の生物が、今夜はカタチが違っているような気がしてならない。たしか整然と2列に並んでいたように思うのだけれど、途中で列が途切れてしまっているような…。
 夜になるとヤドカリが上に乗っかっていることが多かったなぁ、と思い出す。…まさか、囓られていたりして。


2000.11.30(Thr)

パワーバランス
 今朝の海水2m水槽の水温は24度ジャスト。ここ数日、ずっとこういう日が続いている。帰宅する頃には24.5度とか25度とか。もうちょっと温度を上げてやったほうがいいかもしれない。せめて最低水温が24.5度くらいにはなるように。

 スミレナガハナダイのオスに少々白点が見られたが、夜にはすべて消えていた。雄雌ともに、あまり活発に餌を食べるにはまだ至っていないが、それぞれが同じようにか細い“糞”をくっつけているのを発見。それなりには食べているようだ。

 ところで移住してもらったネッタイ君なのだが、先住スズメとの休戦協定はじつにうまく機能しているようだ。まったく闘争は見られない。居場所も、それぞれが好きなように移動しているようで、いい場所をネッタイ君が独占してるわけではなさそうだった。最初はネッタイ君優勢と思ったのだが、どうやら完全に拮抗しているらしい。
 そろそろこの海水60水槽にハタタテハゼでも入れようかなと思っていたのだけれど、現状の微妙なバランスが崩れやしないかと心配だ。一気に殺戮水槽になったりするのは勘弁願いたい。


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