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〜水のある生活〜
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月 2002 お魚日記
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2002.1.1(Tue)

新年の水槽
 謹賀新年。
 本年も、当サイトでお楽しみいただければ幸いです。


 さてさて、やはりカニはもう1匹いた。海水R360水槽で、以前カニの死体が不自然に移動していたのでもしやとは思っていたのだが、死体となっていたカニよりも体格のいいヤツが、今夜ライブロックの一部に化けつつ、もしゃもしゃと藻を食ってるところを目撃したのだった。
 いかめしい面構えである。もしかするとこんなのがまだわらわらと潜んでいるのでは……。

 ヤドカリも2匹とも元気なことが確認できた。貝殻放り出してどこに消えたのかと思っていたちっちゃい方も、以前脱ぎ捨てていた星形の貝殻に再び戻っていて、ほっと一安心(その間、いったいどんな貝殻に入っていたのかというのが気にはなるが…)。

 ロングフィンスナッパーは、なんとか年は越せたものの、かなり状況は悪い。


2002.1.3(Thr)

野生のロングフィンスナッパー
 南の海の底がTV画面に流れていたのでしばらく見ていると、やがて見覚えのある魚の姿が現れた。イレズミフエダイ、そう、ロングフィンスナッパーだ。

 パウダー状の砂地で餌を採っている様子ということだったが、ロングフィンスナッパーは、その大きな口で海水を吐き出し、その勢いで砂を掘っていた。これが彼等の常態なのかどうかはこの画からはなんとも言えないが、そうやって餌を採ることもあるのだろう。なんだか意外な一面を垣間見たようで、驚きである。その姿形から、勝手に想像していたのは、豪快に回遊しつつ小魚などを捕食している図だったのだが、認識を改めなければなるまい…。

 我が家のロングフィンスナッパーは、やや頭を下向き加減にしていることが多くなった。まずい状況に変化はない。

 カスミチョウの中に、1匹だけ片目にやや白濁が発生したものがいる。目の表面に無数のかすり傷がついたような感じの濁り方だ。今のところ、餌食いに変化はないように見えるが、少々気になる。


2002.1.4(Fri)

静かなる水槽
 台所で米でも研ごうと流しの前に立った時、なんだか違和感を感じたのでその原因を探っていると………、おぉ!水槽のモーターが止まってる。海水R360のシャワーパイプからは、ぴくりとも水がしたたっていないのだった。
 たぶん昨夜の停電が原因だろう。最近、ここの水中モーターは調子が悪かったところに加えて、たっぷりと降り積もった雪で、二回も停電があった。変に電源がON/OFFしたことで、再起同時にうまく回転しなくなってしまったにちがいない。

 さっそく水槽に手をつっこんでモーター部分をぐりぐりとねじってみた。これでたいていは動き始めるのだが…。
 ところが今回はなかなかしぶとかった。いくらねじっても埒があかない。仕方ないので、ライブロックをどかし、砂を掘る。モーターを取り外してみよう。
 汚れが極力舞わないように注意しつつ、ゆっくりと連結部を砂から発掘し、慎重に外す。水から出したところで、モーターはようやく意識を回復した。でもなんだか回転が弱々しい。そろそろ交換の時期か。

 モーターを取り付け直し、ライブロックも元に戻し、蓋を閉めたところで気がついた。苔掃除もついでにやればよかった、と。


2002.1.5(Sat)

陸ヤドカリの近況
 陸ヤドカリの越冬限界温度は15度付近だという(参考:
おかやどかり研究所)。
 我が家の陸ヤドカリ達は、今、リビングにケージを設置しているが、最近ではずっと水入れの下に潜ったまま動いているのを見たことがない。先月あたりの昼間ぽかぽか陽気な時には、こっそり散歩に出てきていたものだが、もはやそんな余裕もないのだろう。室内温度はファンヒーターが作動しているときには二十度ほどあるものの、深夜ともなれば一気に冷気に取り囲まれて10度を切ってしまうのだから油断できない。

 そんな彼等のために、パネルヒーターを敷き砂に埋めてやっているのだが、これが果たしてどれだけ役に立っているのかはいまだによくわからない。なぜなら、彼等はこのパネルヒーターからは随分離れた位置に固まっているのだ。まるで暑すぎるとでもいうように。室温が10度を下回る現在でも、その状況に変化はない。

 一番大きな貝殻に入ったやつが、一匹だけ離れた場所にうずくまっているのが気になって、昨日の夜ちょいと水入れの近くまで移動させてやっていた。彼を移動させるとき、しばらく手のひらに乗せてみたが、ぴくりとも動かないのでなんとなく不安だった(普通こうすれば彼等は貝殻から這い出してきたものだが…)。匂いを嗅いでみても特に腐臭とかは感じなかったので、たぶん生きているとは思うのだけれど。
 そして今朝、彼の姿が消えていた。水入れの下に、潜り込んでいたのだ。安堵する。

 今日も雪は降り止まなかった。


2002.1.6(Sun)

白点出現
 体表にグラニュー糖をまぶしたような状況というのは、ここ最近は見かけた記憶がなかっただけに、ショックも大きかった。海水2m水槽に白点病が蔓延しつつあるのだ。
 とはいえ、
去年の10月に買ってきたカスミチョウ2匹には、ほとんど白点が見られない。残るカスミチョウ5匹の中でも、程度にはかなり差があるようだ。もっとも状態がひどいのは、目の表面に白濁が見られたやつ。ついで口が変形していて普段からあまり餌を食べられないやつ。そしてもっとも古くから水槽にいるやつ。あとのはそれほど気にならない程度。やはり体力のないものからやられていくのだろう。

 ケラマハナダイ4匹には白点の気配すらない。だが拒食のままのロングフィンスナッパーには白点あり。

 何か環境変化はあっただろうかと水温計を見てみると、「25.5度?」いつもより高い。妙だ。ヒーターのセンサ部分が水から出てしまっているのだろうかと、濾過層部分を露わにしてみると……。
 頭上で巨大な鐘が一打ちしたかのような衝撃を食らっていた。二つあるモーターへの配管のうち、1つの入り口が横になった黒いパイプで塞がれていたのだった。すっかり忘れてしまっていたが、3日前に停電があったのだ。それも2回。この配管部分には、殺菌用のヨウ素カプセル入りの筒が装着してあった。装着といっても、吸い込まれる水の勢いにまかせているだけなので、停電でモーターが止まれば当然筒は外れてしまう。1回目の停電のときには、外れた筒を装着し直したのだが、2回目のときにすっかりそのことを忘れてしまっていた。通電が再開されれば、外れた筒はどうなるか…

 外れたヨウ素カプセル入り筒、つまり黒いパイプは、その時からずっとこうやって貼り付いていたのだろう。丸い筒ゆえ、完全に入り口を塞ぐには至っていなかったが、それでも筒を装着した状態よりは水の抵抗が少なかったのか濾過層の水位はいつもより下がっていた。その結果、ヒーターのセンサ部分が露出しかかっていたのである。
 すぐに筒を元通りに直しておいた。だがそろそろこのヨウ素カプセルも交換時期かもしれない。
 この水槽では過去、1度だけこっぴどく白点病にしてやられたが、それ以外は自然治癒が可能だった。もうしばらく様子を見てみようと思う。


2002.1.8(Tue)

カスミと白点
 朝の水槽が奇妙に静かなのは、あまりよい兆候とはいえない。7匹いるはずのカスミチョウだが、目の前を元気に泳いでいるのは4匹だけだ。不安な気持ちのまま、餌をやる。シュアーを1杯。…すると、いつのまにか5匹に増えた。シュアーをもう1杯。カスミチョウは6匹になった。残る1匹はどこだ。もしや水底に横たわってやしないかと、顔を水槽にくっつけんばかりに探して、ようやく見つけた。左のコーナー部分で、ライブロックの隙間にはさまるようにたたずむ1匹を。

 死んではいない。ただちょっと元気がないような気がする。呼吸が心持ち速い。体表の白点は、若干その数を減らしたように見えるが、まだ少しも油断はできない状況だ。
 じぃっと見つめていると、やがて“はっ”と気がついたかのように、餌を食べる仲間の元へと泳ぎ去っていった。カスミチョウの体力が勝るか、白点が勝つか…。気になる日々は続く。


2002.1.10(Thr)

つかの間の観察
 目覚めれば、すでに出勤時間まであとわずか。それでも忘れてならない魚の餌やり。だが、じっくり観察しているだけの余裕はなく、泳ぎ出てきたカスミチョウの数を数えて、体表の白点のありさまが昨日とはどのくらい変わったかをざくっと比較するくらい。
 そのわずかな調査の結果わかったこと。元気な3匹、やや元気な1匹。3匹が調子悪そう。白点の具合は相変わらずだ。隠れたままの3匹に集中的に発生している…ように見える。餌も食べに出てこない。
 やや元気と思えた1匹は口先の変形したやつなのだが、餌食いがいつになく悪いのが気になった。食が細いなりに食い気だけは旺盛だったのに、今朝はそのどん欲さが見られない。
 これ以上自然にまかせるのはどうか。迷うも時間にせっつかれてそのままに…


2002.1.11(Fri)

白点治療開始
 もはや迷っている状況ではないようだ。相変わらず元気な3匹にも、徐々に白点の兆しが見えてきた。やや元気だった口先の変形したヤツも、今朝はまったく餌に興味を示さなかった。
 隔離治療を施すよりも、この水槽のままですべての魚を薬浴させたほうがいい。今はなんともない(ように見える)ケラマハナダイにも、いつ白点の魔の粉がふりかかるやもしれん。それにさっきから4匹いるはずのケラマハナダイなのに、3匹しか姿を見ないような気もするし。
 だが今夜も帰宅はかなり遅い。唯一の最寄りのショップ、APNの営業時間までにはとても帰れそうになかった。

 夕方、APNに電話を入れる。状況説明と今後の相談の結果、必要なブツを用意してもらうことができた。あとはLicに受け取りに行ってもらえばよい。ケータイでLicを呼び出すと、妙に声のトーンが低かった。Licもまだ仕事中だったらしい。用件を手短に伝える。手はずはすべて整っていると、そう言い置いて電話を切る。
 最初からこうすればよかったのだ。

 *

 残業食をむさぼり食っているころ、Licからメールがあった。ブツはちゃんと受け取れたらしい。帰ったらすぐに治療開始だ。

 そして帰宅。APNから受け取ってきたものは、グリーンFゴールド22グラム分に、おにゅうのヨウ素カプセル入り殺菌筒、そして青い液体ボトル1瓶にバクテリアの素ワンセット。最後の2品は店長からのプレゼントだという。いつもかたじけない。

 紫外線殺菌灯のコンセントプラグを外し、グリーンFゴールドを10グラム、バケツで溶かして水槽にどぼどぼと投入する。しゅわわわわっと海水2m水槽は黄色くなっていった。そして最後のとどめに青い液体を660リットル分。このボトルはワンプッシュで10リットル対応なので、66プッシュしておいた。ヨウ素カプセル殺菌筒も忘れずに交換して、と。今回の殺菌筒は以前のものよりも太くて逞しい。同じ水量1トン対応の業務用タイプだが、メーカーが違うのだった。

 無事効果が現れてくれればよいのだが。明日はゆっくりと見守っていたいが、こんな日に限って休日出勤である。間の悪いことこのうえない。


2002.1.12(Sat)

白点治療二日目
 薬剤の投入は昨夜遅くのことだったが、今朝の水槽は明らかに昨日よりは活気があった。泳ぎ出てきているカスミチョウの数が4匹から5匹はいる。なかなかいい兆候だ。
 安堵しつつ仕事に向かう。

 帰宅後の夜の水槽も、朝と同じように常時4匹のカスミチョウと、4匹のケラマハナダイが確認できた。昨日1匹見えなくなっていたケラマハナダイは、ちゃんと戻ってきたようだ(隠れていただけだったらしい)。試しにシュアーをやってみると、カスミチョウ4匹の餌食いはなかなか猛烈な勢いで、ほとんど心配無用なレベルにあるのではないかと思われた。他にも昨日までは岩の背後から出てこなかったカスミチョウ2匹も、しばしば顔を見せるようになり、餌にも興味を示し始めている(うち1匹は少なくとも5粒のシュアーを口にした)。
 ただ、その2匹については目の白濁がおさまっていないので、まだまだ油断禁物である。

 その一方で、口先の変形したカスミチョウの状態は、悪化の一途だった。ふらふらとした泳ぎで、体色もまだらに色が抜け始め、ヒレもばさばさになってきている。しかも背肉が極端に落ちた。一番体力がなかった魚だけに、調子を崩して餌が食べられなくなったというのが追い打ちをかけてしまったのだろう。

 昨夜と同じくらいの時刻に、グリーンFゴールドを6グラム溶かして水槽に追加投入した。青い液体も同様に66プッシュ。


 *

 真夜中、薄暗い灯りの中で、弱っていた例のカスミチョウが静かに息を引き取っているのを発見した。
 残ったカスミチョウ6匹は、なんとしても生き延びさせねば。


2002.1.13(Sun)

復活の兆し
 残ったカスミチョウは6匹。活発に泳ぎ回っているのは、やはり4匹。残りの2匹は、まだ岩の奥でじっとしている時が多い。
 しかし、餌をやったら状況は一変した。どこから湧いてきたのかと思うほどに、自然に6匹がそろって餌を奪い合うように食べ始めたのだ。1週間ぶりのカスミチョウ乱舞の図であった。
 ケラマハナダイも4匹ともに絶好調。そんな中、やはりロングフィンスナッパーだけは、相変わらず餌を食べない。目をやられて拒食に陥ってから、かれこれ3ヶ月……。もはや見ているのも辛い状況だが、まだしっかりと泳ぐ気力の残っている彼の姿には、万に1つの可能性に賭けてみようかという気にさせてくれるものがある。決断するのは今ではない。


2002.1.14(Mon)

思わぬ死
 朝からすべてのカスミチョウが目の前を横切っていく光景には、心底ほっとする。餌の食べ具合は、まだ2匹ほどが本調子ではないようだが、活発に食べている。他の4匹については、もはや不安の欠片もない。
 その有様を脳裏に焼き付けてから、仕事に出掛けた。

 *

 帰宅後まっさきに水槽の前に立つ。
 「む!」思わず我が目を疑った。
 水底に横たわっていたのは、ケラマハナダイ。1匹のケラマハナダイが、かぱっと大きく口を開き、エラブタを全開にした状態で沈んでいたのだ。昨日はあんなに元気そうだったのに…
 もしや一昨日、1匹だけ姿が見えなかったやつだろうか。元気そうな外見とは裏腹に、何か病魔に冒されつつあったんだろうか。

 そっと水槽から出してみた。目玉はまだきらきらと輝いており、いまにも息を吹き返しそうだが、これ以上は無理と言わんばかりに開かれたエラブタと口は、あまりに異様な光景だった。いったい何が原因だろう。もしもこれが病気などではなく、水質悪化とかそういう想像したくない類のことで落ちてしまったのだとしたら…。

 夜の餌やりでは、残ったカスミチョウ6匹、ケラマハナダイ3匹共に、朝と同じく特に気になる点はなさそうだった。
 死の連鎖はここでお終いであってほしい。そう願わずにはいられなかった。


2002.1.15(Tue)

さらに薬剤追加
 カスミチョウ5匹は今朝も元気良く出迎えてくれた。だが、残る1匹はちょっと辛そうだった。左の隅っこで岩に沿って縦になり、ぱたぱたと胸びれを団扇のようにあおいでいる。餌の方には興味を示してはくれなかった。だが体表の白点には、もはや最盛期の勢いはない。踏ん張りどころだ。

 ところで帰宅後にさらに気がついたことがある。朝には見つけられなかった変化である。一番小さなケラマハナダイの体表に、白点らしき物体が無数に付着していたのだ。時折身体を“ぶるっ”とわななかせるところをみると、かなり痒いのかもしれない。この魚に限っては、餌食いも朝より落ちている。体長4cmほどの小さな魚だけに、体力のほうが心配だ。

 そんなわけで、今夜はグリーンFゴールドを追加で6グラム投与しておいた。ついでに濾過層のウールマットが変に色づいていたので撤去する。薬剤の影響もあるのだろうが、やや水面の泡切れが悪くなったような気もする。そろそろ水換え時期か。


2002.1.16(Wed)

状況変化
 夜になっても昨夜と同じ位置で岩と一体化していたカスミチョウに、アクリルごしに手を振ってみた。すると意外に素早い動作で泳ぎ出てくるではないか。まるで催眠から突如醒めたような感じだった。しかもその後の行動が、さらに意表を突いていた。
 仲間のカスミチョウ達が餌をむさぼり食っている中に、そのまま割って入っていったかと思うと、ものすごい勢いで餌を食べ始めたのである。たしかにここ2〜3日、餌をほとんど採っていなかったのだからわからなくもないが、それにしてもこの豹変ぶりはどうしたことか。

 まぁそれなりに元気そうなのでよしとしよう。

 そしてもう1匹気になる魚はどうしたろうか。白点に覆われつつあった小さなケラマハナダイは。
 探すまでもなく、彼は悠然と目の前を泳ぎ過ぎていった。体表は、もとの綺麗な朱色に戻っている。餌食いもまぁまぁ。目に宿った力強い輝きが、頼もしい。
 このまま状況が上向いてゆくことを願う。


2002.1.17(Thr)

ひさしぶりに6匹そろった
 今朝はいつになく水槽が賑やかな気がした。餌缶を手にしたまま、ひぃふぅみぃと呼び刺し数えてみると…、「おぉ、6匹いる」。カスミチョウは6匹すべてが餌の予感にぐるんぐるん私の前で円を描いて泳いでいるのだった。
 餌食いも上々。ただ1つ気になるのは、最後まで調子を崩していた1匹のカスミチョウの体色が、元に戻っていないことだ。通常は鮮やかな黄色と白のツートンカラーなのだが、体調が悪いと黄色い部分がまだらに黄土色というか茶色というか、そんなくすんだ感じになってしまうのである。

 しかし、餌を食べに出てきてくれるようになればかなり安心してもいいだろう。たっぷり食べて元気を回復していけば、体色もいずれ元通りになってくれるはず。
 そろそろ飼育水から薬剤を抜いてもよさそうだ。


2002.1.19(Sat)

ロングフィンスナッパーのその後
 カスミチョウにケラマハナダイ、海水2m水槽の面々は、ほぼ回復した。しかしロングフィンスナッパーの拒食は続いている。ポップアイから拒食へと至り、しかも視力をほぼ失ったと思われる魚に、いったいどのような事をしてやれるか、いまだ考えはまとまっていない。

 その名の通り、背びれ先端が長くヒモ状に伸びるロングフィンスナッパー。3ヶ月前は体長の2倍に達したその美しいヒレも、いまでは短く千切れてしまったままだ。
 無理やり口をこじあけて餌をねじ込んだら食べてくれるのだろうか。そんなことまで考えてしまう日々である。


2002.1.20(Sun)

ガンガゼにはプテラポゴン
 1匹も欠くことなく、海水2m水槽の魚たちは我先にと餌に群がっていた。この状況の報告も兼ねて、久しぶりにAPNへと出撃することにする。

 展示水槽にはソメワケヤッコにカスミチョウ、ケラマハナダイなどがいて、じつに購買意欲をそそられた。今月末まで20%オフなので、買うならばこのときを逃す手はない。はやいとこ水槽の薬剤を抜き、水換えを済ませておかねば。
 ちょっと変わったところでは、ガンガゼが1匹、砂地にぽつねんと置かれているのが見えた。むろん売り物だろう。だがプテラポゴン・カウデルニィの姿が見えない。できれば一緒に飼いたいものだ。そして今度こそ稚魚の繁殖に成功させ、ガンガゼの長いトゲトゲの隙間に隠れるところを見てみたい。

 じっくりと飼いたいものリストを頭の中に優先順位をつけながら並べてゆく。こうして迷っているひとときというのも捨てがたい。あれやこれやと水槽のあるべき姿を思い描きつつ、たっぷり30分。そろそろ帰ろう。今日の獲物は『マリンアクアリスト』の最新刊のみ。月末まで、カスミとケラマハナダイが待っていてくれることを祈りつつ店を出る。今月もあと10日か…


2002.1.22(Tue)

カスミ玉
 シュアーの粒をスプーンで落とすと、ぶわっとカスミチョウの玉が水中で出来上がる。餌食い速度は明らかに最盛期のそれに匹敵していた。あっというまになくなる餌の粒は、見ていてもじつに爽快で心地よい。

 その迫力にやや押され気味なのが、ケラマハナダイの中でも一番身体の小さなやつ。そぉっと端の方に流されてゆく餌を待ち、着実に1粒2粒…とゲットしているようなので、それほど心配はしていないが、流れ餌を増やすべく散らしすぎると今度は底に沈むのが増えてしまうし、なかなか餌やりのタイミングとばら撒き方には気を遣う。

 ロングフィンスナッパーの動きが、いよいよ怪しくなってきた。不自然に身体を震わせる回数が増えたようだ。いよいよ…なのか…


2002.1.24(Thr)

その時
 出勤前、Licがロングフィンスナッパーの変調に気付いて報告してくれた。横になっているらしい。だが今朝は時間厳守の仕事がいきなり待っているので遅れるわけにはいかなかった。後ろ髪を引かれつつ、仕事に向かう。


 夜。
 帰宅するなり海水2m水槽を隅々まで見渡してみる。ロングフィンスナッパーの姿がない。どこか岩陰に落ちてしまったのではあるまいか。慎重に視線を変えていると、やがて左隅の岩の間で逆さまになっているのを発見した。まだエラは動いている。だが瀕死状態には違いない。

 深夜。
 水槽左前面に、やはり逆さになった状態でロングフィンスナッパーが苦しげに大きく息をついている。約3ヶ月、拒食のままよくがんばった。強い魚。


2002.1.25(Fri)

ロングフィンスナッパー、絶命
 朝はまだ、昨夜と同じ位置で逆さまに沈んでいる状態だった。しかし、まだ心臓は止まってはいなかった。なんという生命力か。これほどの魚を失ってしまうことに、私は、胸の奥底が抜けたような無力感に苛まれる。無念だ。


 夜。帰宅した私は、水槽の奥でひっそりと息を引き取った魚を見つける。体長およそ30cm、伸展したヒレの先まで含めたらおよそ50cmには達したロングフィンスナッパーだ。
 凍てつく夜気の中、庭先の3本並んだゴールドクレストの根元に穴を掘る。大きく深く。ロングフィンスナッパーの身体がすっぽりと隠れるほどに。

 合掌。


2002.1.27(Sun)

薬剤残った水槽は
 APNの生体20%オフセールは今月末まで。というのに、海水2m水槽の薬剤を抜く作業が終わっていない。仕事が鬼のように忙しい時というのは、休日もなんだか慌ただしくあっというまに過ぎていき、この一ヶ月というものほとんど水槽のメンテができないでいる。じつにまずい。
 薬剤を活性炭(たぶんブラックホールを使うことになる)で抜くだけでなく、水換えもしておきたいところだ。でも、そのために使える時間はもうほとんどない。

 そのわずかな時間を縫って、淡水60cm水槽の水換えを行った。やはり人工海水を溶く手間がないだけ、かかる時間も格段に少なくて済む。海水60cm水槽の方は、今日は苔掃除だけ。水換えは、海水R360水槽と併せてやったほうが効率的だからだが、その海水R360水槽の苔掃除はパス。気力がどうにも湧いてこない。

 川魚水槽のガラス表面が、まるで磨りガラスのように曇っている。さっきまではなんともなかったのに…
 ここにはヒーターが入っていないので、水槽の中は手を切る冷たさだ。湿気が局所的かつ突発的に増加したのだろうか。奇怪な。


2002.1.29(Tue)

ささいな変化
 いつものように餌にがっついてくるカスミチョウ達、そして飾り珊瑚の隙間からこそっと顔を覗かせているケラマハナダイ。日常の光景だ。しかし、明らかに変わった点が1つだけある。
 それはケラマハナダイの隠れている場所だった。白点病の発生前から、彼等は水槽左側の、エアレーションを施しているライブロック周辺でたむろしていることが多かった。岩の隙間からぽこぽこと吹き出してくる細かなエアを浴びるように、岩の上に鎮座している姿も、わりとよく見かけていた。それが今はまったくない。彼等の新しい隠れ家は、水槽右側の巨大な飾り珊瑚の隙間だった。

 ロングフィンスナッパー亡き後、カスミチョウ達のたまに勃発するケンカにも、少々荒っぽい部分が増えてきたような。
 考え過ぎかもしれない。だがなんとなく雰囲気は変わったと感じる。ロングフィンスナッパーが絶対的なボスというわけではなかったと思うが、大きな魚の存在というのは、他魚にちょっかいをかけるかけない以前に、そこにいるだけで少なからずプレッシャーになるのだろう。
 パワーバランスが、微妙に変化しつつあるのかもしれない。

 もう少し落ち着いたら、ふたたびロングフィンスナッパーを迎え入れてやろうと思う。


2002.1.31(Thr)

じわっと上がる水温
 帰宅後の習慣である海水2m水槽の水温チェック。

 「25点……9度!」

 このくそ寒いのに、なぜに上昇するのか。25.9度。なにかがおかしい。いつもよりコンマ7度も高いってことは、サーモスタットか何かにトラブルが発生したに違いあるまい。

 ここで水面がやけに泡々しいのに気がついた。こ、こいつは……。
 ある可能性に思い至ったと同時に、耳に届く不気味なノイズ。

 ぎゅるぎゅるぎゅるぅ〜

 やはりそうか。このくぐもったイヤな響きは、濾過槽の水位が低下している証拠である。強力モーターの吸い込み口に、エアが噛みそうになっているのだ。そしてサーモスタットのセンサは、そこに設置してあった。水位の低下でセンサの水没が不十分になっているのだろう。

 アングルのパネルを外し、濾過槽を露わにすると、そこには予想通りの光景があった。差し水差し水。急いでバケツを取りに走る。
 バケツで3杯、約50リットル分の真水を加えて、ようやく水槽に平穏が戻ってくる。どうりで最近、水槽から発する各種騒音が大きくなってたわけだ。神経が過敏になってたわけじゃないとわかって、少々ほっとする(そう思った時点で水位を確認しとけばよかった…)。


 真夜中。水温は25.4度に下がっていた。3時間半でコンマ5度か。もうすこし緩やかに下げた方がよかったかな。まだ薬剤残った水槽の中を覗き込み、カスミチョウの様子をしばらく観察してみたが……、違いは目に見えてはわからなかった。油断大敵だ。

 APNの生体20%オフセールは今日でおしまい。結局、水槽の準備は間に合わず、見送りだ。


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