U's aquarium.
〜水のある生活〜
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月 2002 お魚日記
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ひみつ日記読む!

2002.3.2(Sat)

水温む
 川魚達に、いつものようにフレークをひとつまみやってから、食べ終えるまでしばし観察。今週に入ってからというもの、なんだか春のような気候が続いている。おそらく水温もそれなりに上がってきているのだろう。魚達の動きにも、キレの良さが感じられた。水面の餌をもぎ取り、急角度でリターンしてくる水音も、以前にまして激しくなっているような。

 あっというまに食い尽くされるフレーク片。見るからに食い足りない表情が見て取れる。特にオイカワの腹の具合は、まだまだ余裕がありそうだった。というわけで、続いてクリル片投入。爪の先で適度に砕きつつ、ぱらぱらと。

 これまたあっというまに魚達の胃袋へと消えていってしまった。ブルーギル幼魚も、体格ではぜんぜん負けているというのに、食い気では対等以上にみえる。なにやら末恐ろしい。

 クリルをもう1匹与えてみた。まったく素晴らしい食いっぷりだ。ウグイ達のお腹はけっこういい感じに膨らんできたが、オイカワのはさっきからあまり変わってないような…。とどめに川魚用飼料をばらまいて、締め。これから徐々に増やしていこう。

 ハゼ子の姿は、未だ確認できず。


2002.3.4(Mon)

目敏いやつら
 もうじき日付が変わろうかという時刻のことだ。リビングの灯りはすでに暗く落としてあり、海水2m水槽の辺りはすっかり熟睡モードに包まれている…はず。
 そっと覗くと、カスミチョウ達が焦点のあってない目玉で、ゆらりゆらりと流れに身を任せているのがわかる。

 (ゆっくりおやすみ。)そう心の中で呟いた時であった。私は彼等の何匹かと視線が合ったのを感じた。直後、唐突に時間が移動したかのように、水槽内は活気づいていた。カスミチョウ達が、わらわらと目の前を乱舞し始めたのである。
 食い物を要求しているのだろう。いつも食事時にはこんな感じにカスミチョウ達は水槽の右側で激しく泳ぐ。

 思わず餌缶に手を伸ばしそうになってしまうが、さすがにチョウチョウウオとはいえこんな夜中に食べさせてはまずいような…、と思い直してぐぐっと我慢。そっと水槽の前を離れるのであった。
 しばらくはカスミチョウ達も乱舞を続けていたようだったが、やがて食事にはありつけそうにないことがわかったのか、おとなしくなった。今度こそ寝たらしい。でも、それを確認するのはやめておく。
 朝まで、ゆっくりおやすみ。


2002.3.6(Wed)

陸ヤドカリの近況
 締め切った部屋の中は、ファンヒーターが頑張ってくれているおかげでじっとり汗ばむほどの陽気である。真昼の太陽が、弱々しいながらも窓際のヤドカリケージまで光線を届けている。
水入れが大きく傾いているのに気がついた。陸ヤドカリに動きがあった模様である。

 しばらく気がつかないふりをしていると、一番大きなヤツが“かさっ”と這い出してきていた。いやそれだけではなかった。中ぐらいのやつも、1匹、同じように静々と歩み出ていたのである。なかなか元気そうであった。
思わず視線に力がこもってしまったらしい、次の瞬間には二匹とも殻の中に高速ですっこんでしまっていた。む、失敗。

 それからヤドカリ達は、30分ほど散歩を楽しんだあと、ふたたび水入れの下に戻ってきていた。あとの3匹は元気なのだろうか?ちょっと気になったが、無理矢理起こすのも可哀相なので、そっとしておくことにする。あと半月もすれば放っておいても皆活動を再開するだろう。…生きていれば。


2002.3.8(Fri)

奇怪なるもの
 恐らく触れると“ぶるるん”と震えるに違いない。そう思わずにいられない怪しげな物体……いや、生物が付着しているのに気づいたのが数日前のことだった。玄関に置いてある海水60cm水槽の中に、そいつは出現した。

 右側のライブロックの根元に、一辺が約8ミリほどのいびつな四角形が貼りついているのが見える。厚みは0.5ミリ〜2ミリほど。見るたびに違うような気がする。色は薄めすぎたカルピスのように透明な乳白色。そしてもっとも奇怪なのはその表面である。鶏肉の皮のような“ぽつぽつ”があるのだ。突起のように浮き出していることもあれば、まるで表面に描かれた紋様のように平らなこともある。これまた見るたびに変化しているような気がするのだ。

 はじめは、イソギンチャクの出来損ないだろうかと思っていた。が、どうもこれは違う生物のような気がしてしょうがない。これからどんな妖怪変化を見せてくれるのか、こっそり見届けてやろうと思う。


2002.3.10(Sun)

目覚めの季節
 秋も深まった頃から、陸ヤドカリの餌食いは極端に悪くなっていた。毎日、ニンジンとキュウリを薄くスライスしたものをやってはいるのだが、たいていそのまま手をつけられることなく乾燥しきった状態で翌日を迎えることが圧倒的だった。
ところが今夜は様子が違っていた。ニンジンがまるでシュレッダーにかけられたかのように、細切れにされていたのだ。こうなる理由はただ1つ、ゴキブリが侵入したのでなければ、陸ヤドカリが食い散らかしたに違いあるまい。

 ここのところ陽気に誘われて、陸ヤドカリ達もそろそろ目覚めの季節なのだろうか。引越し用に入れてある空の貝殻も、夜毎に配置を変えているような気もする今日このごろである。


2002.3.12(Tue)

隠れ住んでいたもの
 苔ったアクリル面を透かして、何かが水底に転がっているのが見える。薄ピンク色した艶々の肌、揃えられた細っこい脚……。カニだ。

 お決まりの、腹を上にした状態で、カニはそこに転がっているのだ。海水R360水槽ではない。海水2m水槽でのことだった。甲羅長は約1.5cmといったところ。

 この水槽にライブロックを投入してからおよそ6年。その間、もっぱら魚水槽としてのメンテしかしてこなかったので、すっかり“普通の岩”と化してしまった感もあったのだが、まだこのような生物が生き残っていたことに驚愕する。
 それにしても惜しい。ここまで育っていながら、何故ゆえに落ちてしまったのか。

 Licは言う。クリルをやらなくなったからではないか、と。そう、たしかにロングフィンスナッパーが絶命してからは、この水槽では滅多にクリルをやらなくなった。カスミチョウもケラマハナダイも、みんなシュアーで不自由していなさそうだったので、クリルの出番が極端に減っていたのだ。シュアーは食欲魔魚と化したカスミチョウ達にほとんど食い尽くされてしまうし、そうして残り餌が発生しなくなってしまったのがじわじわっと効いてしまったのかもしれない。
 な、なんてこった。


2002.3.14(Thr)

そしてやつらはいなくなった
 このことに気付いていたのは、もう随分と以前のことになるのだが、まだこの“お魚日記”では書いていなかったような気がするので報告しておこうと思う。
 おそらくは昨年末よりも以前、少なくとも秋あたりにはすでに変化があったはずだ。一時は海水2m水槽中をびっしりと覆い尽くさんばかりに広がっていたセイタクイソギンチャクの群れが、まるで溶けるようにしてその姿を消してしまったのだ。

 徐々に徐々にすぐには気が付かないほどのゆっくりとしたスピードで、その変化は始まっていたのだと思う。いったい何がトリガとなってその変化が始まったのか、今となっては記憶もあやふやで思い出せないのが残念だが、結果的によい方向へと変化したのでよしとしようと思う。やつらは現れたのと同じくらい唐突に、静かに姿を消していったのだ。

 もう二度と復活してきませんように。


2002.3.16(Sat)

レモンな水
 満を持して海水水槽の水換え作業に取りかかる。午後3時半、遅すぎるスタートだった。

 ぺっとりと焦げ茶色の苔が貼り付いた2m水槽を、キレイにクリーニングするだけでも1時間近くかかってしまった。できるだけ苔を水槽内に舞わさないように気を付けたつもりだったが、その努力は半分ほどしか報われていない。横から見た水槽内は、なんだかC.C.レモンか何かのような色水になってしまっている。だ、大丈夫なのか。
 水換え量を300リットルにしようかと思ったが、人工海水の素が残り少なかったので諦めた。今回も200リットルだ。

 どばっと抜いて、ごごっと入れて。若干薄くなったような気はするが、やはりまだ海水の色は黄色っぽい。どうやらこれは苔の色素というよりは、あの白点病治療に使ったグリーンFゴールドの色素が抜けきっていないのだろう。椰子殻活性炭には荷が重すぎたらしい。やはりブラックホールにお出まし願うしかあるまい。明日、APNに買いに行くとしよう。

 残った海水水槽2本も、ついでに水換え。R360、60cmともに、それぞれバケツに1杯、15リットルずつだ。R360の方のライブロックは、表面をかなり緑系のもけもけ藻に覆われつつあり、赤紫の石灰藻は風前の灯火であった。もはやこれまでか。小さなケヤリやら怪しい貝などはまだ元気そうなのだが、この水槽も徐々に60cm水槽に似て来つつあるのは間違いない。同じコンセプトの水槽が2つあってもなぁ……という決断の時期が今年中には訪れそうな予感。

 その海水60cm水槽では、メタリックブルーのダムセルが1匹だけ、水面を斜めに見上げつつたたずんでいる。彼の落ち着き先も、そろそろ考えてやらねばなぁ…と思う。現在もっとも有力な案は、こうだ。2m水槽の、どでかい濾過層に、パンチボード等で自作した生け簀を沈めるのだ。サイズ的には60cm水槽より多少狭くなるが、大きな問題ではない。あとはここに照明を完備してやれば、水質的にも問題なく暮らせるだろう。
 60cm水槽とR360、いずれか一方を減らせれば電気代的に助かるなぁ……なんて思ってるうちに、単独飼育しなければならない魚をついうっかり買ってきてしまうのもよくある話で、まだまだ油断禁物である。


2002.3.17(Sun)

腹の膨れたカスミチョウ
 2mの厚みを通せばうっすらレモン色とはいえ、正面からの60cm程度の奥行きではまったく気にはならない。毎度のことながら、水換え後の水槽のクリスタルな輝きには心が和む。1週間ほどは、この状態を維持せねばと強く心に誓うのだが、その決意を次週まで持ち越せたことがないのが痛すぎる。

 水槽の見通しがよくなって気付いたことが1つある。1匹のカスミチョウが、なんだかお腹が膨れすぎているような気がするのだ。まだ“ぱんぱん”とまではいかないが、ちょっと食べ過ぎちがう?というくらいにはぽっこりと膨れている。
 でも食欲は普通以上にあるようなので、なんだかよくわからない。要注意だ。

 午後、APNへ出撃。ブラックホールは大量に入荷していた。これでレモン色の水ともおさらばだ。2箱ほど鷲掴みにする。
 『MARINE AQUARIST』の最新号が出ていたのでこれも小脇に抱える。これで今日の買い物はおしまい。あとは展示水槽をゆっくりと見て回ろう。

 魚の入荷状況は、いまひとつ。カスミチョウもケラマハナダイも売れてしまっていた。残念というべきか、幸いというべきか。金欠な状況では悩ましい問題だ。

 ガンガゼが1匹、悠然と砂浜の上を這っていたのでしばし観察。てっぺん真ん中から、透明な袋みたいなのが出たり入ったりしてるのがとても気になった。その袋の中心にはオレンジ色の目玉みたいなマークが入っているのだが、それがいったい何をする器官なのかまるでわからない。ガンガゼって、普通こういうものなんだろうか。今度海に潜ったら、じっくり観察してみなくては。


 夜、ブラックホールを2個、濾過層最上段にセットした。週末には見違える効果が現れているとよいのだが。


2002.3.18(Mon)

幻の腹具合
 昨日はあれほど目立っていたカスミチョウの腹だったが、今朝はそれが幻であったかのように普通に戻っていた。便秘が解消したのかも、と思いつつも、なんだか解せない。……が、まぁいいか。元気そうだし。

 ブラックホールの効き目はうっかり確認し忘れたけれど、朝の魚達の晴れやかな表情から察するに、かなり海水の透明度は上がってきているようだ。まるでおにゅぅな水槽を立ち上げた翌日のような具合である。

 あとはこの状態をいかに維持し続けるか、だが、苔掃除用の長い柄のついたブラシと脚立を、水槽のすぐ横に常備していればたぶんなんとかなりそうな気がする。問題はそんなものを置くスペースがないってことだが(特に脚立)。
 それでも今度こそは、次の水換えまで苔まみれにならないように努力してみようかと思う(三日坊主になりませんように)。


2002.3.19(Tue)

静かなる見つめ合い
 岩の奥からじっとこちらを見つめる瞳に気が付いたのは、歯磨きを始めて数分が経過してからのことだった。流し台の向こうに設置してある海水R360水槽では、たまにこうした静かなる見つめ合いが起きる。今回の相手は、カニだった。岩と同化していたので、すぐには気が付かなかったのだ。

 わりと大きなカニだった。甲羅の具合に見覚えがあったので、以前見つけたヤツだと思う。頑丈そうなハサミで、岩の表面に付着した藻類を食べているらしい。緩慢な動作で、何度かハサミが口元と岩との間を往復している。
 水槽に顔をぐぐっと近づけてみても、びびる素振りも見せず、黙々と食っている。肝の据わったヤツだ。

 やはりこの水槽には魚は入れられそうにない。
 ところで気になるのは、最近ヤドカリの姿を見かけないことだ。特に小さい方。元気でいてくれるといいのだが。


2002.3.20(Wed)

活動的なカニ
 今宵もカニが活気付いていた。狭い水槽内を、さかさかとヒーターカバーの後ろにはまりこんで移動している。もしや腹が減っているのか?前回クリルを与えてからもう何日経っただろう。1ヶ月?いやそれ以上かもしれない。藻類や自然発生する生物達だけでは足りていないのだろうか。

 …と気にしつつ、結局、餌をやるのを忘れて眠りこけていたのであった。


2002.3.21(Thr)

赤いヤツ
 それに気付いたのは、やはり歯磨きタイムでのことだった。海水R360には、まだ知らぬ
“そこそこ大きい”生物がいるはずだという予感は、正しかったらしい。
 岩の奥底から、やたらと派手な色彩の、つるんとすべすべな“ハサミ”が覗いていたのだ。

 この水槽で、これまで見かけたどんなカニよりも、たっぷりと肉のつまったハサミである。それに続く胴体も、かなり明るい色彩のオレンジに見えた。だが、確認できたのはほんのわずかだ。大胆そうで、かなり慎重。その性格が、これまで発見を遅らせた要因になっているのかもしれない。

 砂を脚で蹴っているのか、真新しい白い粒が、防波堤のように彼の周囲には構築されつつあった。この水槽には、これほどのカニを生存させ得るだけの生物層があるということか。砂中に潜むゴカイの類を獲物としてきたのかもしれない。一時期、砂の表面にまでわらわらと出現するまでに増えそうだった彼等が、その後、ほどほどにしか見かけないのは、カニ達によって適度に食われているからなのかも。

 カニ水槽になるのなら、それもまたよし。
 ところで水換えしたばかりだというのに、やっぱりこの水槽ははやくもガラス面にはうっすらと茶苔が貼り付き、中が見えにくくなりつつある。それが日射の直撃する背面ではなく、室内を向いている前面だというのがどうにも解せないのであった。


2002.3.22(Fri)

ブラックホール
 濾過槽にブラックホールを設置して約5日が経過した。海水2m水槽の具合はどうかといえば、これがもうなんというか、恐いほどの透明度である。2mの厚みを通して、向こうがすっきりくっきりと見通せるのだ。まるで真新しいプールの奥底を覗いているかのように。海でいうならば、高知県の足摺海中公園付近が雰囲気的に近いだろうか。というか泳いだことのある海なんてたかが知れているので、他にもっとよい場所があったとしても、それ知らないだけなのだが。

 グリーンFゴールドの黄ばみは、もはやどこにも残っていない。正面から見る水槽は、まるで水が入っていないかの如しである。乱舞するカスミチョウは、まさに空を舞う魚だ。
 60cm水槽2回分用の二袋だけでコレとは。たしかに2箱もは必要なかったようだ。ブラックホール…恐るべし。


2002.3.23(Sat)

拒食な2匹
 そろそろカイヤン君の拒食シーズンも終わったかなと、好物のプレコタブレットを2枚ほど入れてやっていたのだが、どうもまだダメらしい。ふにゃふにゃの状態で、ぺたぁと広がったタブレットが2つ、そのままの位置に残っていた。
 何か“トリガ”となるものが必要なのかもしれない。特に根拠はないのだが、なんとなくそんな予感がする。
 たとえば水換えとか。

 同居のブラックゴーストも、同じく拒食中。こちらは石組で作ってやった穴蔵にも戻らない日々が続いている。昼間はずっとストレーナパイプに沿って逆立ちし、夜は適度に遊覧飛行。弱っている素振りは見せないが、本当に大丈夫なのかどうかはいまひとつ不明。
 やはり水換え、か。


2002.3.24(Sun)

奇妙な魚
 弟が川で釣ってきたという魚が、バケツの中で蠢いている。バケツというより、巨大な蛸壺のようでもあった。奥底の方が広く、地底洞穴のような不気味さが漂っていた。

 1匹1匹、魚の種類を見極めようとしたのだが、中にはどうにも見覚えのない魚影がある。その中の1つが、地味な色彩の中にあって、やたらと目立っていたのが気になった。こんな川魚がいただろうか?
 アクアマリンに輝く体表。鱗は薄い。体側に柔らかなオレンジ色のクロス模様が5組ほど並んで入っている。そしてもっとも特徴的なのが、その口であった。まるでオウムのように硬そうな1対の嘴が生えていたのだ。
 魚がぎょろりとこちらを睨み上げる。やけに白目の多い目玉だなと思った。

 その時、突然脳裏に浮かび上がった名前がある。私は弟に高らかに告げた。
 「オウム魚や。こいつは、オウム魚やで」

 オウム魚か。そのまんまやないか。もう一人の自分が冷静に突っ込みを入れている。場面はとある釣具屋へと切り替わり、私はボックスクーラーを物色していた。あの魚をもらって帰るつもりのようだった。いったいあの奇妙な魚をどこで飼うというのか。しかもよくよく思い出して見れば、2対の脚まで生えていたような気さえする。埴輪のような、空洞のある筒状の脚だった。それが前後にかちゃかちゃと動いて泳いだのだ。おぉ……


 という夢を見た。明け方、まだ窓の外は薄暗い時間のことである。


2002.3.25(Mon)

月日は流れ、カスミチョウ達は今
 あぁ大きくなったなぁと、しみじみ思う。海水2m水槽で今朝も餌にむさぼりついているカスミチョウ達には、もはやほとんど体格の差というものが見られない。もちろんじっくり観察すれば、どれが新入りだった2匹か、ほどなく分かる程度に有意差は歴然としてあるのだが、買ってきた当時のイメージからだと随分大きくなった印象を受ける。たくましく育ったものよ。

 最古参と思われる2匹は、相変わらず真夜中になっても、時折水面で激しく水音をたてて追っかけっこをやっている。いつも体表に擦り傷やら切り傷やらの生傷が耐えないやんちゃ坊主だ。でもまぁ殺し合いにまで発展しないのが、彼等カスミチョウの飼いやすいところでもある。
 この水槽だと、あと4匹は大丈夫だろう。早く10匹のカスミチョウ乱舞を見てみたいものだ。


2002.3.26(Tue)

白いヤツとの再開
 岩の影から白い貝殻が覗いていた。ヤドカリだ。白いヤドカリが、こっそりと岩の上を移動しているのだった。海水R360水槽は、だいぶ茶苔で中が見えなくなりつつあったが、さすがにヤドカリを見失うほどではない。それにしても久しぶりの再開だ。元気そうで何よりである。

 その斜め下に、やはり白い貝殻が岩に貼り付いていた。こちらは本物の貝だ。元々岩にくっついてきていた白い貝のうち大きかった方は、今、白いヤドカリが背負ってる貝殻を提供した主だが(つまり天に召された)、こちらの白い貝は、その当時まだ米粒大の可愛いサイズだったのだ。それがはや、長さ1.5cmにまで大きくなった。しっかり苔を食べてくれているようだが、いかんせん1匹では分が悪いようだ。水槽の苔はなかなか減らない。というか苔の繁殖スピードが圧倒的に貝の食事量を上回っている。

 新たなる貝を投入したいところだが、ショップで売られている貝は、皆かなりのサイズ。このR360のようなミニ水槽には、少々似合わない。やはり春の潮干狩りで適当なのを物色してくるのがいいようだ。ちなみに今年の貝掘り最良の日はGWの頃。混んでそう…


2002.3.28(Thr)

ROBODEXから水族館へ
 というわけで、
ROBODEX2002の次は、八景島シーパラダイスである。時間はすでに午後4時をぐるんと回り、5時に近い。しかも今日は日帰りである。午後6時40分には八景島駅まで戻っていなければタイムアップだ。
 アクアミュージアムまでぽてぽてと歩く。えらく遠い。みこりんが途中の遊具に惹かれていたが、とても寄り道している余裕はない。遊ぶのはまた今度にしようねと、なんとかなだめすかしつつ館内へ。

 シロクマ、ペンギン、じいさんヒゲのセイウチと、いきなりみこりんの好奇心を鷲掴みにする生物の出現だ。だが、ペンギンの水槽前でみこりんは怪訝そうな表情である。何かと思いみこりんの傍らにしゃがんでみる。そして水槽を見上げ………「な、なんじゃこりゃ」
 そこに浮かんでいたのは怪しげな黒いナスのような物体。ペンギンの腹だった。みこりんの目線だと、水面から上はまったく見えないのだ。これじゃペンギンとはわからんだろうなぁ。さっそく抱き上げて、ペンギンの顔を見せてやった。

 そしてようやく魚水槽へ。みこりんは巨大水槽を悠然と泳いでゆくエイ達を見て、突然なすべきことを思い出したように、カバンから例のものを取り出した。みこりん用のデジカメだ。
 ストロボが光らないようにモードを切り替えてやってから、自由に撮らせてみたのだが、みこりんはもう一度シロクマのところまで戻って全部の動物を1枚ずつカメラに収めてゆくのだった。かなりコレクターかもしれない。
 魚水槽の方も、1つ1つ覗き込んで生物を確認してから、シャッターを押している。特に興味を惹かれたらしいのがチンアナゴ。砂地から、そろぉっと頭をもたげてくる様子を見てみこりんは言う。「つくしみたい」と。たしかにそう見えなくもない、かな。

 手で触れる模擬タイドプールがあった。ヒトデがわんさかと溢れている。ナマコもあちらこちらでのったりのったり歩んでいた。みこりんにナマコ触ってみてごらんと勧めてみたのだが、「なんてこというの」みたいな目で拒否されてしまった。でもみこりん、そのナマコ、おいしいって食べてたやつだよ(みこりんはナマコの酢の物が得意である)。そう告げられたみこりんの顔は、じつに複雑そうであった。

 午後6時過ぎ。いよいよラストだ。アクアスタジアムで海獣達によるショーを見る。歌うシロイルカ、笛吹きセイウチさん、いずれもみこりんのハートをぐいぐいと掴んで離さない。イルカやらクジラによる曲芸もなかなか迫力いっぱいだ。特にイルカ2種による混成チームの演技は、演じているイルカ達が本気で楽しんでいるんじゃないかと思えるような仕草が随所に見られた。それは尾の動かし方がやたらダイナミックだったり、ジャンプにキレがあったりといった感覚的なものだけれど、イルカにとっては面白い遊びなのかも。

 気が付けば6時半。だが、しっかりと売店で獲物を物色する。水族館に来たら、やはりぬいぐるみを買わねばなるまい(Tシャツはどうした)。ここの売りは、やはりシロイルカかセイウチだろう。とぼけた可愛さでセイウチに決定。みこりんは、手のひらサイズのラッコの赤ちゃんを握りしめている。「みこりん、この“せいうちさん”かう」それがラッコだと教えてもらっても、やはり手放さないみこりんであった。小さいものにはとことん弱いらしい。

 午後6時54分。八景島駅を発つ。なんとか間に合ったようだ。逆算しても、帰りに予約した新幹線には数分の差で辿り着けるはず。
 みこりんは帰りの車中でお弁当を食べるのを楽しみにしていたのだが、爆睡していて果たせず。こうして我々の長い一日は終わったのだった。


2002.3.29(Fri)

いつのまにやら男になった
 3匹いるケラマハナダイのうち、もっとも図体のでかいヤツが、奇妙な動きを見せているのに気が付いた。一番小柄なメスに向かって、こう体を斜めにして“びびびびびびび”という具合に…………って、これは求愛舞踏だったような?以前飼っていたキンギョハナダイのオスも、同じような泳ぎをしていた記憶がある…

 顔面を水槽にくっつけんばかりにして観察してみたが、外見には大きさ以外に目立った変化は見つけられなかった。いまひとつ色彩が薄くなった気はするが、これは3匹に共通したものだ。……じつはその影響で違いが見えにくくなっていたりはしないだろうか、という予感はあるのだが、さて。

 何にしても“びびびび”やってるのがメス同士とは思えない。いつのまにやら性転換してしまっていたらしい。


2002.3.31(Sun)

食い気と食い意地
 リビングで暮らす面々は、今日もみんなたらふく餌を食べてくれた。じつにやり甲斐がある。ただ、あんまりカスミチョウ達の餌食いが良すぎて、ケラマハナダイの一番小さなヤツが食いっぱぐれる確率が、前よりもいっそう高くなってしまった。
 体格にして数倍も大きなカスミチョウと餌を巡る攻防戦を繰り広げたくはない、という彼女の気持ちは痛いほどよくわかる。餌のやり方にも工夫が必要だった。

 慎重にタイミングを計っての時間差攻撃、同時複数攻撃、etc...でもあんまりばらまいてしまっても、これではいかなカスミチョウといえども着底までに間に合わず、餌が無駄に散ってしまうので、限度があった。
 やはりもっとも効果的なのは、カスミチョウ達にたらふく食べさせて、餌への執着心を若干でも弱まった頃を見計らい、ケラマハナダイ周辺に集中的に散らしてやるパターンらしい。しかしながらカスミチョウの食欲が復活するまでの時間は短い。すぐに回復してしまうのだ。おまけにケラマハナダイも、早食いはあまり得意ではないようだ。この方法にも限度があった。

 なかなか悩ましい今日この頃である。


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