2001.7.29(Sun)

見えないチラシ

 それに気が付いたのは、本屋に入ってからしばらくしてからのことだった。いったい誰に見せるためのものかと思うほど低い低い場所に貼られていた一枚のチラシには、こんな文字が並んでいた。

 『攻殻機動隊 十年ぶりに発売決定。6月28日』

 ふ、不覚。ぬかったわ。これを買い逃すとは、どうかしている。もう一ヶ月も前に出ていたというのに。しかも初版限定でマウスパッド付きとある。のぉぉぉぉ〜っ。

 レジのお姉さんに聞いてみたが、やはり完売状態らしい。そりゃそうだ。店長が系列店に電話で確認してくれていたが、やはりどこにも残っていないっぽい。というわけで注文しておいた。バイトらしきお姉さんが、攻殻の“攻”を、甲殻の“甲”と間違えなかったあたりに、発売直後の状況が見えてくる。きっと一瞬で売り切れたんだろうなぁ……


2001.5.11(Fri)

『ひめねずみのみーま』

 『ひめねずみのみーま』(作 白石 久美子)という絵本がある。これにみこりんはすっかり夢中だ。ネズミが主役というだけでもポイント高いところに、木イチゴを取りに行くという、木イチゴ好きのみこりんにはまさにあつらえたかのような話の展開。さらにヘビイチゴまで登場するので、少々恐いくらいである。どうしてこうもみこりんを鷲掴みにするようなネタを、これでもかと詰め込んでくれるのか。
 以前みこりんがハマっていた『14匹のあさごはん』という絵本でも、ネズミが朝ご飯用に木イチゴを摘みに行くお話だった。もしやネズミに木イチゴっていうのは、ウサギにニンジン、リスにドングリ、ラッコに貝、などと同じくらいには定番なのかな?

 ところで『ひめねずみのみーま』には、みーまの他に、“もぐり”という男の子が登場する(みーまは女の子)。その男の子は、ヒメネズミではなく、カワネズミとして描かれているのだが、このカワネズミなる動物を私は知らなかった。小さいころから動物図鑑やら昆虫図鑑を読むのが大好きだった私にとって、この事実はかなり意外でもあった。いったいカワネズミってどんな生き物なのだろう。絵本では、川の中を自在に泳ぐ、少し鼻の尖った生物として描かれている。その姿には、まるで覚えがなかった。

 困ったときのサーチエンジン。というわけで、カワネズミ発見。

 ヒメネズミとは生息域が近いらしい(渓流付近、森林地帯など)。しかもヒメネズミは日本固有種。ということは絵本の舞台は日本ということになる。なぜかヨーロッパあたりの森林地帯を想像してたので、少々意外。この絵本には続編がありそうな気もするのだが、発見できていない。“みーま”と“もぐり”のその後が気になるところである。


2001.4.15(Sun)

“舌切り雀”改

 今夜みこりんに語って聞かせるのは“舌切り雀”。でも、肝心のストーリーはかなり怪しく、いったいこれのどこが“舌切り雀”かというほどに話をつくりながら言葉をつないでゆく(いちおう違ってるのがわかる程度の記憶状態)。

 奥深い大霊山。そこに棲むという巨大な龍。舌を切られた雀を助けたい一心で、おばあさんは山に入ってゆく…。龍との対峙。龍は、「雀を助けたくば、おまえのもっとも大事なものをよこせ」と告げるのだった…。なんとなく日本昔話というより、アーサー王の時代背景が似合いそうだなと思いつつ。

 「めでたしめでたし。おーしまぃっ!」
 やがて一大感動巨編は終わりを告げる。みこりんの感想が聞きたくて顔を覗き込むと……ぱかっとかわゆい口を開いて、すっかり寝入っていたのだった。い、いつのまに。途中までは目が開いてたのを覚えてるのだが……、たしか龍が出てきたあたり。「ごぅぅぅぅ」と炎を吐く効果音のとき、びくっとしたように目を見開いてたはず。あぁでもあの時すでに微睡んでいたのかも。

 まぁいい。また改めて“舌切り雀”を聞かせてやればいいのだ。さらにパワーアップさせて。


2001.4.6(Fri)

夜のお話

 沿線の桜の木に、はや、ちょろっと薄紫色した葉っぱの赤ちゃんが見え隠れしている。もう葉桜になってしまうのか…。はやいものよのぅ。

 ところで春といえば、春の小川、メダカの学校である。川面にちっこいボウフラみたいなメダカの赤ちゃんがたむろする光景も今は昔……その雰囲気をみこりんに伝えるべく、今夜の“お話タイム”では『メダカの学校パート2』を語って聞かせてみた。むろん、私の創作だ。パート1は先月の中頃に披露したのだが、ふっと続きを思いついてしまったのだった(日本昔話ネタが底をついてしまったから、というのもじつはある)。

 前回、赤ちゃんメダカ達は恐ろしいザリガニの追撃をからくも逃げ切り、滝壺に封じることに成功した。今回、赤ちゃんメダカ達に襲い来るのはタガメである。どうやって逃げる!?そこで一匹のメダカが提案する。滝壺にまた逃げ込んで閉じこめればいいじゃないか、と。さっそく実行に移す赤ちゃん達。よし滝壺は目の前だ。その隙間から飛び込めっ!ところがどっこい滝壺には前回閉じこめておいたザリガニがいた!あやうしメダカの赤ちゃん!この絶体絶命のピンチを乗り切ることは出来るのか!?
 ここでみこりんはその小さな手をぎゅっと握りしめたに違いあるまい。だがここで焦って声高に演じてしまっては元も子もない。あくまでこれは眠りへと誘うための心地よい導入でなければならないのだ。あえて落とした声で、でも、感情は込めて、言霊を発す。眠れ眠れそのままいい子でねんねしな〜の思いを乗せて、物語はクライマックスへ…

 メダカの赤ちゃん達は助かった。その背後には互いに闘い破れて共倒れたザリガニとタガメの図…。この時は知らなかったのだが、これではまるっきり『おたまじゃくしのひゃくいっちゃん』の結末だった。どうりでみこりんの食いつきが良かったわけだ。でも、語り終えたあとにみこりんの発する「おもしろかった!」の言葉は、やはりいいものだ。本当に面白かったときしかこう言ってくれないので、次回の励みにもなるし。でもそろそろ日本昔話の新ネタも仕入れないと夜も眠れない…ことになるかもしれない。


2001.3.3(Sat)

昔話

 今夜の昔話は『一寸法師』。鬼退治のシーンでは、みこりんに『桃太郎』との共通性を指摘されてしまった。なかなか鋭いみこりんである。
 打ち出の小槌をみこりんが理解できたかどうかはともかく、お話はめでたしめでたしで締めくくられ、朝までの幸せな眠りの中に入ろうかというとき、Licが入ってきた。

 こうして3人揃って眠りにつくのも久しぶりだ。眠りの前の他愛のない会話も心地よい。その中で、Licもみこりんに昔話を語って聞かせている事実が判明した。なんとなくそうなんじゃないかという予感はあったのだが、やはりLicの語るお話は、洋モノであった。これまでに『赤ずきんちゃん』『シンデレラ』とこなしているらしい。ヒロイン系を、ということでそうなったらしい。たしかに日本昔話で女の子が主人公のって、あんまりないような…。『かぐや姫』くらいしか覚えがない。これはちょっと調べてみなければ。


2001.2.26(Mon)

むかしむかしあるところに

 ここ最近は、みこりんを寝かしつけるときに絵本を読んでやるだけでなく、消灯後に“昔話”を語って聞かせるのが習慣になっている。私がうっかり忘れていても、みこりんが催促してくれるので、ついつい応えてしまうのだった。

 これまでに『桃太郎』『金太郎』『浦島太郎』と制覇した。お話の内容は、すべて私の記憶に頼る朗読であるため、かなり省略されたり脚色されたりした部分はあるものの、それなりに正しいストーリーになるよう努力した。が、どうしても『金太郎』のラストがどうだったのかを思い出せず、結局“クマと相撲して勝った”時点で、めでたしめでたしにつなげてしまった。なんだか不完全燃焼なもやもや感が残ってしまったので、いずれ記憶の補完を経て、完璧版『金太郎』にてリベンジを果たそうと思う。

 さていよいよ明日からは本命の『かぐや姫』だ。その次には『かぐや姫その後』、『かぐや姫それから』と続く。これでみこりんにSFな雰囲気が伝わってくれればと期待する。でもみこりんは今でもスタートレック・ヴォイジャを楽しみに待ってるようなので、すでに素質十分なのかもしれないけれど。

 ところで昔話には、どうしておじいさんとおばあさん赤ん坊を育てるパターンが多いんだろうか。若夫婦が桃太郎を拾ってきても、別におかしくはないような気もするのだが、何か深い事情があったんだろうなぁ…


2000.12.30(Sat)

<everything is ready...>

 今更ながら『グッドラック 戦闘妖精・雪風』を読了。買ってきたのが去年の6月19日のことだから、じつに1年と半年が過ぎ去っていた。といっても読み始めたのは、つい最近のこと…

 じつはあろうことか私はこの前作である『戦闘妖精・雪風』をつまみ読みしかしていなかったのだ。すでに買ってから十数年が経過しているというのに。だから、まずはこちらから読み始めたのが1週間前。
 なぜ今まで『雪風』(もちろん最初のやつ)をちゃんと読んでいないかと言えば、こういう理由からだった。「これはとんでもなく面白いに違いない。面白くないわけがない。ネタ的にはいかにも私好みだし、ネーミングが素晴らしい。こんな本を読んでしまったら、きっと私は燃え尽きるだろう。……ダメだ、読めない。読むのが怖い。読んだ後に待ち受けているであろう満足感と虚脱感、その有様が目に浮かぶ…」そう思いこんで封印したのが学生の頃。若かった私は、そんなことを本気で考えていたらしい。でも途中、誘惑に負けて、ぱらぱらっとページを繰っては、「おおぅっ!」とおののき本を閉じ…そんなことが2回3回4回5回…。

 『雪風』を来世紀まで持ち越すことは、悪である。私は今、かつてない爽快な読後感に満たされている。この本に出会えて良かった。


2000.12.27(Wed)

14匹の…

 毎夜、みこりんを寝かしつける前に読んでやっている絵本の中に、『14匹』シリーズがある。14匹の野ネズミが出てくるお話で、自然豊かな描写と、水彩の柔らかで透明な画がなかなか美しい絵本である。その中でも、みこりんがとりわけ気に入っているのが『14匹のあさごはん』という絵本だった。
 “早起き一番はおじいさん”で始まるこのお話は、朝起きてから、兄弟達が朝食の野いちご摘みに出かけ、お母さんお祖母さんがパン作り、お父さんがスープ作りと、それぞれがおいしそうな朝ご飯を準備する過程を綴ったものだ。

 今年、うちの庭でも木イチゴが実をつけてくれたので、野いちごがどんなものなのかみこりんもよぉく知っている。野いちご摘みの場面になると、きっとその時の味でも思い出しているのだろうか、画を指さしてはいろいろとお話してくれるのだった。特にこの絵本が優れているのは、細かな部分にもドラマが込められている点だ。描かれている画の1つ1つ、隅々にまで、何らかのサブストーリーが隠されている。まるで“だまし画”のようでさえあった。だからただ単にさらっと読み進めるてはもったいない。小さな指に棘を刺したの誰?とか、どんな風に野いちごを採ってるの?とか、いろいろと物語を拡張するのも楽しみの1つ。そんな空想の拡がりの1つに、最近みこりんがお気に入りなモノが1つあった。

 それの正体は野いちごの実を摘んだあとに残った“がく”の部分だ。でも、みこりんにはそれがどうしても“タコ”に見えるらしい。たしかに画的には、小さなタコが鎮座している姿に酷似しているので、みこりんがそう思っても無理はないのだが。で、そのタコはどうしてそこにいるのかと問えば、みこりんはいつもこう答えてくれる。「タコさんは、のいちごたべにきてるの」と。
 確かにタコは陸上でもある程度の距離は平気で移動するらしい。タコが海辺の畑から大根を食っていったとか、そんな話しは実際私もどこかで聴いたような記憶がある。でもそんなことは関係なしに、タコが野いちごを食べに来ているというみこりんのお話は、寝る前の穏やかなひとときにはお似合いだ。この世からすべての心配事が消え去ったかのような錯覚に浸れる。みこりんに絵本を読んでやるという目的の他に、自分もまたこの時間を楽しみにしているのは、そういう理由もあった。

 『14匹』シリーズは、ぜひとも全巻揃えたい逸品である。


2000.11.12(Sun)

イティ

 『イティハーサ 7巻』(作 水樹和佳子 早川文庫版)を読む。
 なんという穏やかで命溢れる物語であろうか。八百万の神、人を支配しない神、そうした神々と人間とのつながり合いは、もし自分が別の信仰を持っていればとうてい受け入れられなかったと思う。そういう意味において、私は幸運だった。この物語を心から楽しむことができたのだから。
 それにしてもこれだけの作品が当時打ち切りなったってのが不思議すぎる。まぁおかげで早川文庫で出ることになったのだから、結果的に良かったわけだけど。


2000.11.6(Mon)

迷い迷って…

 帰り道、本屋に立ち寄ってみた。いろいろ新刊が出ているのを数日前にチェックしてあったのだが、今日はどれを買っていってやろう。懐具合が寂しいので、念入りに選ばねばならない。

 『獣たちの夜 Blood the last vampire』(著 押井守)に目が止まる。新刊だ。裏表紙の要約、帯、あとがきの順に目を通したあと、冒頭を読んでみた。んん…いかにも、な展開かなと思いつつ、お話の最後に一気にジャンプ。……いかん、こういう結びに私は弱い。つい買ってしまいそうになる。1800円という値段に救われた。こういう高額な本は一週間待ってみてそれでも衝動を抑え切れぬならば現金買い、もしも手持ちがなければ bol 等、カードの使えるオンライン書店でというのがいい。
 『新宿鮫 風化水脈』(著 大沢在昌)も気になるところ。シリーズ最初からの読者としては、デフォルトで買いに変わりはないのだが、なぜにハードカバーなのか。やはり1700円という値段が脚を引っ張っている。文庫に落ちるのを待った方がいいかもしれん。
 などと結局、小説には手が届かず、今日の所はコミック1冊に落ち着くことに決めた。今日がボーナス直後とかなら、違った展開もあっただろうが、残念ながらボーナスは年に2回しかない。

 『BIRTH 4巻』(作 山口譲司)そして『DESIRE 9巻』(作 小谷憲一)、どっちにするか迷った末、『BIRTH 4巻』にした。こちらのほうが残量が1だったから。

 帰宅後、Licに指摘されて初めて気がついた。私は『BIRTH 4巻』はすでに持っていたのだ。く、悔しすぎる。


2000.10.15(Sun)

『神戸在住』

 『神戸在住』(木村紺 アフタヌーンKC 講談社)の1巻、2巻をひたすら読む。
 こ、これは不思議な作品だ。あまりに普通っぽすぎて、ノンフィクションでは?と思ってしまうほどに。震災のネタも、かなり生々しかった。なんというか、思わずあの瞬間を思い出してしまったほどに。このへん、神戸っこのLicには、もっと思うところがありそうな…。
 金城和歌子ちゃん、いいコだねぇ。学祭の回とか、『時には昔の話しを』(加藤登紀子)が自動的に頭の中で再生されてしまったよ。もう5年ほど昔にこれを読んでたら、かなりやばかったかもしれない(そのころこの本はなかったけど)。今はそんなに激しくぐぐっとくることもなく、穏やかに懐かしく過ぎ去りし学生時代を思うだけ。じつに秋向きな作品であった。
 そうそう、不思議だったのは、作中、登場人物らがTOM CATを車内のBGMにしてるとこかな。


2000.9.23(Sat)

読書の日

 雨の一日。神林長平『ライトジーンの遺産 上・下』をひたすら読む。
 先週は夢枕獏に浸っていたので、違いすぎる文体がはじめのうちは気になっていたのだけれど、第ニ話にさしかかるころにはすっかり神林節にはまってしまっていたのだった。
 読み終えたのは、すっかり明日になった明け方付近。すごい傑作とは思わなかったが、妙にあとを引くお話だった。次はぜひ“MJ”を主人公にしたやつを希望。


2000.9.17(Sun)

読書の秋

 思い立って、本棚にしまい込んだままだった『ピニュエルの振り子』を読み始めた。怖いくらいサクサク読める。私はどちらかといえば遅読だ。けして早くはない。Licがいつも、小一時間で文庫を読み終えるのを驚嘆して見てしまうクチである。その私が、なんと2時間ほどで読めてしまった。後戻りせずとも、すぅっと脳裡に状況が再現されるため、さらさらっとページをめくれたのが主たる要因と思われる。
 ラスト付近は、ついTNG(StarTrek The Next Generation)のパイロット放送分を思い出してしまった。生物つながりというだけで、理由は特にないのだけれど。そして、ほっとする読後感。次のシリーズも買おうと思う。

 1冊読んでしまうと、次から次へと読みたくなってしまい、やはり仕舞ったままだった『キマイラ』の13巻〜15巻を引っぱり出してきた。12巻を読んでから数年が経っているので、ストーリーをつなぐのに苦労したが、やがて引き込まれるように物語に没頭する。すさまじい。なんという背景描写だろう。いや、背景というのは不正確か。歴史と言ってよいかもしれない。どの登場人物とってみても、主役をはれそうな濃厚な舞台設定。それを軽く内包してしまう大陸の広大さ。あぁ、続きを早く読みたい。このフラストレーションを抑えるには、未読の神林長平作品がいいかもしれない。この機会に、本棚在庫一掃してしまおう。


2000.8.21(Mon)

ガーデニングとは

 『日本的ガーデニングのすすめ〜農のある庭』(農山漁村文化協会 発行:現代農業 2000年8月増刊)という雑誌を先日買ってきてからと言うもの、トイレの友として読み進めていた。全部で260ページという厚さながら、カラーページが冒頭36ページしかないという文章主体な雑誌で、いかにも地味なのだが、サブタイトルにある“農のある庭”というのにまず惹かれた。ぱらぱらっとめくってみて、BISES編集長の八木波奈子氏による「基本を忘れた花飾り現象?」の一節に目が留まり、購入を決めたのである。
 BISESといえば、おしゃれ系ガーデニングの火付け役とも言える雑誌として、世間一般にも広く認知されていることと思う。その編集長をして「花飾り現象?」と言わしめるのだから、他の記事にも興味深いものが目白押しに違いあるまい。この予感は、幸いなことにほぼ当たっていた。読み終えた今、我が意を得たりという満足感に、今夜寝るまで浸ってしまった。

 まぁ中にはつい「工業を馬鹿にしていかんよ」と、映画『王立宇宙軍』の台詞を思い出してしまうような記事もあったのだが、全般的に日本オリジナルな自然との関わりを再確認させてくれたものが多くて楽しめた。雑多な植物が混在する庭というのが、昔から私の理想であったことも影響しているだろう。植物だけではなく、蝶やトンボなどの昆虫やら、水生動物を呼び寄せる庭についての記事には、おおいに参考になるところがあったし。イトトンボを呼べる庭というのは、いずれ我が家の庭でも実践したいものだ。
 さらに、私には植物と昆虫との関わりで、最近ちょっと悩んでいたことがあった。カマキリやカナヘビ君などの捕食生物がいるとはいえ、草食性の昆虫の威力はすさまじく、ほうっておいたら丸坊主にされてしまうほどなので、やむなく捕殺してしまうのだが、これがどうにもしっくりこないのである。明らかに痛そうな“毛虫”とかだったらたぶん心も揺れないにちがいないのだが、ナス系の葉っぱをうまそうに囓ってるニジュウヤホシテントウムシなどの、見た目普通の昆虫を捕殺するのは、心が痛む。カメムシにしてもそうだ。子供の頃は、カメムシの独特のボディラインが好きだったので、今、ピーマン類に無数についてる彼らを捕殺するのは、古くからの友人を谷底に突き落としてるような気がしてしまうのである。かといって放置していては植物が枯れる…、ジレンマだった。でも最近は『踏んづけ〜る』もかなり平気にできてしまうようになっていて、自分は変わってしまったのではなかろうか…と不安な気持ちもちらほらとあった。
 そんな気分を一掃してくれる文章に出会うことができたのも、大きな収穫といえる。『バタフライガーデンで「自然」「いのち」を考える』と題して海野和男氏が書かれた文章がそれだ。以下に引用させていただく。

 だいたい虫は小さいから、地面にたくさん落ちて死んでいても、興味がなければ目に入らない。けれどぼくは、殺虫剤をまいた後の場所で虫たちが苦しみもがいているのを見るのはとても辛い。売るための花を栽培しているのならともかく、プライベートガーデンでは、植物が大切で憎たらしい虫を殺すなら、せめて自分で取り去ったり踏みつぶしてほしいなと思うのである。それは大変にフェアなことであると思うし、殺すことを実感することで、いのちとは何かという大きな命題に対しても、自然に自分なりの考え方がつくられてくるに違いない。

『バタフライガーデンで「自然」「いのち」を考える』p.234 下段中央より

 必要ならば捕殺もやむなし。でもそれは、殺戮であってはならない。
 そういうことなのだと、今ようやく自分の中で答えが見つかった気がする。
 来年からは、虫用にも余分に植物を植えておこう。そうすればもっとうまく共存できるはずだから。


2000.8.9(Wed)

中古

 久しぶりに『BOOK・OFF』で古本のチェック。100円均一コーナーがやけに充実していたので眺めていると、『ヤマタイカ』(星野之宣)の2巻3巻4巻を発見、ついふらふらっと買ってしまった。100円均一なので、これだけ買っても300円か。安すぎる。
 学生時代、友人に星野之宣のディープなファンがいて、途中までは読ませてもらったことはあるものの、やはり1巻がないのは落ち着かない。それにこの作品をまったく知らないLicには1巻は必須だ。というわけで帰宅後、さっそく古書検索のスーパー源氏でさくっと検索。ほぅ、6巻セットで4800円か。バラでも1冊600円というのが相場らしい。求める第1巻も、やはり600円だった。送料も込みだと1000円近くになってしまうが、とにかくこれがないことには2巻以降へ進めないので注文した。5巻6巻は、ばら売りがなかったので後日ということで。そのうちまた100円コーナーに並んでるかもしれないし。
 本と同じように中古CDの値段も、BOOK・OFFの評価基準は謎なところがあり、意外なものが100円になってたりするので見逃せない。本にしても、音楽にしても、内容こそが問われるべきなのに、新品だと大部分が一律の横並びっていう現状を相当に胡散臭く思っていたが、こうして中古になって激しい価格差の付いてる様を見ると、なにやら痛快である。


2000.8.4(Fri)

本屋にて

 仕事のストレスから一刻解放される金曜の夜は、本屋を楽しむにはちょうどよい。みこりんを抱っこしたまま、しばらく棚から棚へと漂流する。平積みに『トライガン・マキシマム 4』を見つけたので、とりあえず確保。表紙をよく憶えていないので、すでに持ってるのかどうかあやふやだ。今月新刊が出るという情報を何かで見たような気もするので、たぶんこれがそうなのだろう。だけど表紙絵にはなんだか見覚えがある。やや不安。Licに確かめてもらおう。
 みこりんがそろそろ抱っこに飽きたらしくて、降ろしてやったらさっそくLicがいるであろう方面へと駆けてゆく。目的地は同じか。『母』のコーナーで熱心に雑誌に目を落とすLicをほどなく発見し、表紙絵を見せた。たぶん買ってないらしい。ではこのまま持っているとしよう。Licの記憶力は私よりもきめ細かい。
 がらがらの絵本コーナーにみこりが陣取ったのを見届けたあと、私は一人SFコーナーへと向かう。『ピニェルの振り子』野尻抱介著を買ってみようと思ったから。やはり平積みのところにあった。ぱらぱらとめくった印象は、“会話が多い”。でも文体に違和感がなかったので、そのまま確保する。さらに周辺をうろついてみると、『ブレードランナー3』を発見。たしか先月『2』を買ったばかりのような気がするが、もう『3』?と思って奥付を見ると、それほど新刊というわけでもない。『2』がずっと以前に出ていただけらしい。作者のK.W.ジーターは『ドクター・アダー』で高得点をマークしているので、買うことに不安はない。だが今は、懐具合が気になるところ。またの機会にしよう。

 帰宅後、さっそく『トライガン・マキシマム4』を読む。なんか絵がどんどん私の嗜好から大きく外れて行ってるのが気になってしょうがない。内容はともかくとして、私には“手抜き”としか思えない描写が多数目に付いた。このシリーズの新刊を買うのも、今日が最後になりそうだ。


2000.7.3(Mon)

本屋へ

 仕事帰りに本屋へと寄る。頼みの図書券はわずかに4枚。最後の図書券だ。有効に使わねば。
 というわけで買ったものは…

  • 『犬夜叉16巻』(作:高橋留美子)
    意外に早く続巻が出たような(気のせい)。
  • 『エブリディおさかなちゃん』(作:国樹由香)
    熱帯魚にはまってく過程ってことで買い。こういうので海水魚バージョンがあれば…
  • 『田宮模型の仕事』
    子供の頃は、田宮模型のプラモデルにはずいぶん楽しませてもらったことだし。

 それにしても時間がいくらあっても足りない。生きてるうちにやりたいことを全部やってしまえるかどうか、最近とても不安になるのだった。寝なくてもいい体が欲しい…。


2000.5.18(Thr)

『イオ』

 ダイビング系ということで、買ってきた1冊。作者の“恋緒みなと”には、まったく心当たりがない。ないのだが、キャラはどこかで見たことあるようなのが目白押し。良く言えば無難、悪く言えば特長がない(個性がないともいう)。
 読み進めていくも、じつに凡々とした展開で、こりゃ失敗したかなと思いつつも、貧乏性が災いしてとりあえず最後まで読んでみることに。絵が下手、ギャグが寒い、などなど、かなりまずい状況だ。慣れないキャラを無理に描いてるという印象が、どうしてもつきまとう。でもまぁ、途中で放り投げない程度には、私の感性にひっかかる部分が少しはあったのかもしれない。そしてこのまま単調に終わってしまうのかというまさにその時、動きがあった。1巻最後の章、LOG.5『ポートレート』からだ。

 “親父”どもの若かりし時代。私は思いっきりこういうシチュエーションに弱い。おそらく本編では回想シーンにしか登場しないであろう場面に触れた瞬間、“勝手に妄想モード”に没入してしまったのである。野郎どもの熱い時代が、それまでの退屈な情景を吹き飛ばしてしまった。「こ、これは・・・もしかするととんでもなく化けるかもしれん」という期待が、否応なく膨らんでゆく。しかも、ラストの“アレ”はいったい・・・。
 2巻も要チェック。


2000.5.16(Tue)

『死霊狩り2』

 仕事で使う本を注文したついでに、コミック版『死霊狩り2』を買ってきた。読み進むにつれ、記憶との乖離が著しくなってくる。私はいったいどのあたりを覚えているのか、さっぱりわからなくなってきた。1巻以外のシーンらしいことは、なんとなく予想できるが。すると私は小説版を、やはり3巻通しで読んでいることになる。

 押入の本棚から、小説版『死霊狩り1〜3』を引っぱり出してきて確認したところ、コミックの2巻は、まだ小説版の1巻のラストまでたどり着いていないことがわかった。いいところで“続く”になっている。小説1巻ラスト付近を読み直していると、かすかに記憶が蘇ってきたような気がした、でも、それは“気がした”だけで、実際には小説2巻目がどういう出だしになってるかさえ、思い出せない程度のものだ。これを読んだ当時、よほど私の嗜好には合わなかったと見える。あるいは半分眠りながら読んでいたのかも知れない。布団に入ってからが、高校生当時の読書の大半を占めるという生活パターンだったから。
 今、改めて部分的だが読み返してみたところ、あの頃より楽しめるようになっているのがわかった。よしよし、今夜からトイレの友は、小説版『死霊狩り1〜3』に決まりだ。


2000.5.11(Thr)

『死霊狩り』続き

 私の記憶では、小説版のゾンビーハンターは、実戦でゾンビーどもと戦闘をしたことがない。ところが、Webの書評などを見る限り、2巻以降でゾンビーとの死闘が描かれているらしい。これはいったいどうしたことだろう。考えにくいことだが、もしかすると私は1巻だけしか読んでいないのではあるまいか。2巻、3巻は今も本棚に眠っているが、じつは一度も開いていなかったりして。1巻を読み切った段階で挫折してたら、このような記憶の食い違いが起きても不思議ではない。むぅ、これは今一度、1巻から読み直すべきかもしれん(たんに私がすっぱり読んだ記憶を無くしているだけかもしれないし)。


2000.5.10(Wed)

『死霊狩り1』

 を買ってきた。アスペクトコミックスからのコミック版だ。
 平井和正の小説『死霊狩り』を初めて読んだのが、高校の時だったと思う。1980年代初頭、『狼の紋章』で平井和正にのめり込み、次々に文庫・新書を買いあさっていた時期だ。『死霊狩り』は、やたら薄い文庫だったにもかかわらずなぜか3分冊で、奇妙に思ったことを覚えている。今では小説の主人公のことは、すっかり忘れてしまったが、ウルフガイ・シリーズにも登場する“林石隆”が、飛び抜けて印象に残った作品だった。

 小説版『死霊狩り』は、1997年から順次、新書として再刊されたので、最近の人でも読んだことがあるかもしれない。私も扉絵がお気に入りの山口譲司だったので、ちょっとだけくらっと来かけた。でも、結局買っていない。まぁ、それが私のこの作品への評価ということになるだろう。たぶん『狼の紋章』や『サイボーグ・ブルース』だったら、迷わず買っていたはずだ。
 そして今回のコミック版。梁慶一という絵描きに、まず惹かれた。絵柄が10年くらい昔に流行ったサイバーパンク・コミック風という懐かしさも、プラスに働いている。内容が、原作通りなのかどうかの情報は持っていなかった。まぁたとえ原作通りだったとしても、平井和正の小説世界がどんな風にコミックで表現されているのか見てみたいという気持ちは強く、買ってきたわけである。

 一気に最後まで読んだ。原作をほとんど忘れているため、特に違和感はなかった。ただ、林石隆のキャラクターが、「こんなに軽かったかな?」という思いは残った。それだけが、イメージとは違う部分だ。良い方向にキャラ転換されたなら許せるが、これではちょっと・・・。とかいってて、原作がこの通りのキャラだった可能性は大いにあるので(なんといっても15年以上読んでいない作品だから)、ここの評価は保留としよう。
 絵は、私の嗜好によく合っていた。台詞がそのまま英語表記になったほうが、よく似合う。
 2巻も早いうちに買ってこなくては。


2000.4.28(Fri)

見えないモノ

 寝室の音声モニタから、みこりんの泣き声が!だだっと階段を掛け上り、ふすまを開ける。みこりんはすでに起きあがっていた。何ごとか必死に訴えかけているようだ。
 泣きながらなので、ほとんど言葉になってなかったが、どうやら「何か」がいるらしい。腕を伸ばし、ソレを指し示そうとしていた。寝室の南西の隅、常夜灯のセピアの暗い灯りが、そこだけ影に覆われてよく見えない。いったい何が潜んでいるのか。もはや私にはなんにも視ることはできないが、みこりんの夢と現実の狭間では、たしかにそこに何者かがいたのであろう。
 なかなか泣きやまないみこりんを、なんとか寝かしつけるのに数十分。苦しげな寝息だったが、どうやら寝てくれたらしいのを確認して、布団から忍び出た。

 今夜は買ってきたコミック2冊を読むことにする。『犬夜叉15巻』『センチメントの季節5巻』。犬夜叉は、前巻の14巻を買ってなかったことが判明した。ふ、不覚。でも一応最後まで読んでしまう。ふむふむふむふむ。桔梗がどうなってしまったのか気になる。14巻、明日にでも買ってこなくては。
 センチメントの季節。今回は一冊通しで一編のストーリー。だが、どうも台詞が私には空回りして聞こえてならない。はっきりいえば、ちょっとくどいと思った。前巻までの短編集には、それなりに惹かれる作品もあったのだが…。もはや何の共感も示すことができなくなったらしい。私がオトコだからかとも思ったが、Licも同様みたいなので、これは作者の描く世界が我々には遠すぎたということなんだろう。ただ、モノローグで何度も似たような台詞を繰り返させるのは、少々鼻につく。次巻も同様だったら、この作者とも見切りをつけるかもしれない。


2000.3.26(Sun)

本屋など

 午後、ホームセンターに殺菌剤を買いに出る。
 ついでに古本屋で物色。こんなものを買ってみた。

  • 『唯 登詩樹 作品集I』(作:唯 登詩樹)
    昔、いろいろ持っていたので、つい懐かしく…
  • 『トップをねらえ!NEXT GENERATION〜発掘戦艦アレクシオン編〜』(作:矢野健太郎)
    同じく、むかし小説版『トップをねらえ!NEXT GENERATION』を読んだことがあったが、あまり印象に残っていない。これはどんな感じになってるのか気になったので…

 次に、本屋へGO。ここでも2冊ほど買ってみた。

  • 『楽園物語1』(作:山口譲司)
    この人のは、無条件で買う。
  • 『園芸ガイド2000年4月号』
    これも無条件で買う。

2000.3.5(Sun)

“犬”

 私が“プロテクトギア”に初めて出会ったのが、大学2年だか3年だかの年だ。いまから12〜3年前ってことになる。押井守が初の実写映画を撮るというので(たしか映研関係出身だから、アマチュア時代に実写はかなり撮ってたんじゃないかと思うけど)、一部では話題になった。そのときの作品が、『赤い眼鏡』である。出演者のほとんどが声優(加えて、ほとんど『うる星』つながりのスタッフのような)で、商用作品というより実験映画というかアマチュア作品風な匂いのする映画であった。

 プロテクトギアは、冒頭部分に使用された以外は、終盤に一度シルエットを見せただけなのだが、同時期にこれを見た私とサークルの野郎どもは、その美しい“強化型外骨格”の虜となってしまったのだった。その年の学園祭では、客呼び込み用“着ぐるみ”にも使ったし、数年の保管の後、会社での仮装大会にも、これでエントリーしたものである。

 それから数年後、私が就職した翌年にコミック作品『犬狼伝説』として、プロテクトギアと再開。そのさらに翌年、再び実写映画『ケルベロス・地獄の番犬』が公開されたが、プロテクトギアの造形はともかく、中身はもはや思い出せない程度のものだった。

 『犬狼伝説』は、他の2つの映画作品に比べると、かなり毛色の異なる作品である。いちおうストーリーっぽいものがあるので、難解さに歓びを見いださなくなった私でも、楽しむことが出来た。ただ、攻撃部隊の必要性を内乱に求めるあたりに、やや古風というかイデオロギー臭いというか、新鮮味には欠けるのだが。まぁ、プロテクトギアがわんさと登場するので、見ていて楽しいという利点のまえには、そんな欠点も補って余りある。問題があるとすれば、未完で終わっていたということか。
 その完結編を、ようやく昨日、手にすることが出来たわけだ。ケルベロス争乱に至る、重要なポイントが描かれるはずである。

 で、読んでみての感想。かなりはしょってしまってる印象で、無理にケルベロス争乱に持っていった感じがする。決起するまでに追い込まれた、というのが私にはそれほど伝わってこなかったのが残念だ。特に、“人狼”というキーワードが出てくる回、あれは余分に思う。映画のための伏線なんだろうが、唐突であり、説明不足にすぎるのではないか。
 もっと面白くできるのに、わざとテンション下げてるような印象もあり。人物描写をあえて避け、いきさつを淡々と描いている。うーん、創作意欲を失ったんでは?などと思ってしまうが、それほど映画『人狼』に入れ込んでるのだろうか。はたしてプロテクトギアが出てくるのかどうかが気がかりだが、今年夏公開らしいので、期待しつつ待ってみることにしよう。


2000.3.5(Sun)

かいちょー

 さて『ブレイク・エイジ』である。ゲームの世界でロボットに搭乗し、対戦するという、大昔の「コロコロコミック」に連載されてたマンガを連想するような始まりに、やや「早まったか?」と思ったのは事実。でも、登場人物が揃ってきたところで、なぜだか「ペリカン・ロード」を読んだときのような清涼感を覚えてきて、やめられなくなってしまったのだ。もはや午前4時だというのに、まだ6巻目。明日は仕事、とっとと寝ないときついんだけれど、“会長”が次にどんな技を繰り出してくるのか気になってしょうがない。
 “会長”面白すぎである。


2000.3.4(Sat)

雨の土曜日

 予報通りの雨。アクアリウムのページをリニューアルするために必要な画像データを、せっせと撮り貯めておくことにする。
 水槽3つ分が終わったところで、3時間経過。そろそろ集中力が切れそうなので、切り上げた。延々、不自然な姿勢でカメラを保持していたせいか、腕や首あたりが音をたてるほどに凝ってしまっていた。ガーデニング関係の撮影に比べると、小さな魚(しかもちょこまか動く)が被写体となる水槽関係は異常に疲れる。

 撮影のあとは、郵便局へ。昨日、不在通知が入っていたのだ。届け物は古本である。古書専門の検索サイト『スーパー源氏』で、『古書店 林語堂』に在庫があるのを見つけて注文しておいたのが先週末のこと。何を買ったかと言えば、『BREAK−AGE(ブレイクエイジ)』馬頭ちーめい+STUDIOねむ、9巻セットだ。とあるサイトで、“オススメ”されていたのが購入理由。普通にオススメされていたくらいでは、どうということはなかったのだが、そこではオススメ5作品の中に、“士郎正宗”に加えて、“内田美奈子”の名前も上がっていたのが、決定打となった。

 Licが、さっそく包みを破って確認している。何を買ったか教えてなかったが、作者名を見て、なにやら納得している様子。この作者について、私は予備知識も何も持っていなかったのだけれど、Licには覚えがあるようだった。

 このあと、ビデオレンタルのカード更新のため本屋へ移動。睡眠不足でいまにも眠ってしまいそうな私に変わって、Licが運転を交代してくれた。心おきなく、助手席で爆睡させてもらう。
 ビデオの旧作に、あまりピンとくるものがなかったので、カード更新だけしておくことにした。CDのほうでも、最近気になってる“4D-JAM”置いてなかったし。
 ついでに、本の新作チェック。買いたいやつがあったので、別の本屋に向かうことにした。新作ならば、どこの本屋でもすぐ手に入る。ならばよりサービスの充実したところで買おうとするのは、当然の帰結。今から向かう本屋では、本1冊ごとにスタンプ1個、あわせて50スタンプで図書券500円分になるのである。塵も積もれば山となる、だ。

 だがその前に、泣き喚く“腹の虫”をなんとかせねば。「なんか食べる?」と聞いてみたところ、みこりんが即座に「パン!」とリクエストしてくれたので、先にパン屋に寄っていくことにした。パン屋といっても、スーパーに併設されたパン屋では、他の食い物に目移りしそうだ。独自に店舗を構えているところがいい。
 Licに教えて貰ったその店は、パスタ&ピザを食わせるカフェなのだが、パンとケーキのテイクアウトもやっていた。最近みこりんは、こういう形式のパン屋によく連れていってもらっているらしく、慣れた感じでトレーとハサミ(あれの名称はなんていうのが正解だろうか)を手に、物色している。焼きたてパンの、香ばしくも甘い香りに包まれて、飢餓感はますます増大中。棚の上から順に吟味していると、興味深いパンが1つ目に止まった。その名も、“ネギ焼きパン”。白ネギとキャベツをトッピングして、焼き、さらに半分に折ってある。縁から濃厚そうなタレと、キャベツの姿が覗いていた。

 まるでお好み焼きのテイクアウトのような様相である。腹の空いてるときに、アンパン、ジャムパンのような甘いパンは胃に響く。かといって無地なやつでは、いまいち物足りない。やはり、惣菜系のパン、この“ネギ焼きパン”が最良の選択であろう。
 私が和風の“ネギ焼きパン”ならば、Licが選んだのはイタリアンの“ピザパン”だった。そしてみこりんは・・・。じぃっとハサミを持ったまま、自分の背丈にあった棚の前で迷っているようす。サツマイモの形状を模した、“イモパン”(黒パン生地にイモ餡)をプッシュしてみたところ、みこりんも気に入ってくれたようで、いそいそとトレーに乗せた。
 クルマの中でさっそくがっついてみると、ネギ焼きパンは、まんま“お好み焼き”であった。120円という値段設定ゆえ、肉系のものは一切入っていないが、そんなことなどおかまいなくエネルギーの濃い食感で、たちまち腹を満たしてくれたのだった。みこりんにはどうだろう?と思って、囓らせてみたところ、なかなか好評。ネギにも負けず、食べてくれた。

 一息ついて、本屋で散策。
 本日の購入品。

  • 『ラーメン狩り』(作:鬼窪 浩久)
    ラーメンとバイオレンスという煽り文句に、ついふらふらっと。
  • 『キマイラ群狼変 キマイラ・吼シリーズ15』(著:夢枕獏)
    定番。買わないと落ち着かない。
  • 『BREAK−AGE(ブレイクエイジ)10巻』(作:馬頭ちーめい+STUDIOねむ)
    なんとこの巻で完結とか。古本で買うまでもなく、今、買っておこう。
  • 『犬狼伝説 完結編』(作:押井守)
    や、やっと続きが出た・・・。
  • 『DESIRE 7巻』(作:小谷 憲一)
    いい!
  • そしていつものみこりんの絵本『子供の友012』
    月に一度のお楽しみ。

 ところで、今夜の夕食には、小カニの唐揚げが登場した。生協のカタログに載ってたやつだ。甲羅はとってあったが、足はそのままなので、とげとげしたところが生々しい。食ってみると、香ばしくてけっこううまい。“えびせん”をさらに揚げたような感じだ。
 尖った足の先で、口の中が多少“傷々”になるのさえ我慢すれば、やめられない止まらない状態になってしまいそう。でも、皿の底に散らばった足だけ見てると、“カニ”というより、何かの“虫”という感じもしないではなく・・・。もしかすると、揚げゴキブリとか揚げカブトムシも、これに似たような感じの“味”だったりして。あまり違わないような気がしてきた。


2000.2.14(Mon)

絵柄

 みこりんが絵本買いたいモードらしいので、帰りに本屋に寄った。図書券は、あとわずか。豪快に買えるのも、今日が最後だ。
 『Dr.モードリッド』外薗昌也、『ウルフガイDNA7』平井和正、『有機物を使いこなす』農文協編(農山漁村文化協会編集部)、『ローズ・ガーデン』わかつきめぐみ、『ペルソナ』高橋由紀、そしてみこりんの絵本2種を購入。

 みこりんが絵本を見て「おーい」と言った。私の記憶にも、かすかにひっかかっている言葉だ。「おーぃ」というフレーズの入った絵本を、昔みこりんに買ってやったような気もする。でも、なぜみこりんは今日買った絵本を見て、「おーい」と言うのか?
 この謎は帰宅後、解説で判明した。作者が同じだったのだ。つまり絵柄を見て、みこりんは「おーい」の絵本を思い出したということらしい。幼児の記憶力、侮り難し。

 『Dr.モードリッド』を読む。表紙と帯に興味を惹かれたのだが、さて。この作者名は、覚えがある。でも、何を描いてたかは思い出せない。
 扉絵で、いきなり隠し武器が披露されていた。銃がかなりちゃっちいのが、個人的には大きく減点。腕に仕込むなら、サイコガンくらいハデじゃないと…。せめてガッツの大砲くらいは…。
 で、読み進めてみた結果、物語が薄っぺらい、各パートの結末がありきたり、と、よい印象は残らなかったのだった。考古学者が、いつもいつも武器でカタつけてちゃ飽きる。そのアクションシーンにも、さして見るところがないのでは、どこも楽しむ部分が残らない。もう少し、知力で勝負するようなストーリーにならないものか(最初の“黄金”の話みたいなのを発展させていけばよかったのに)。古本屋行き決定。


2000.2.1(Tue)

本いろいろ

 会社帰りに本屋に寄ってみた。山口譲司の『BIRTH 3』がようやく出ていたので、迷わず買う。次に『C MAGAZINE 2000年2月号』をゲット。画像処理関連で減色処理アルゴリズムが載っていたのがポイント。で、ずずっと奥の方まで進み、ガーデニング関連の棚から『ベランダでおいしい野菜づくり』(たなかやすこ著)に目が止まったので、しばし立ち読みしたのち買うことに決めた。ベランダ菜園とはいうものの、各種野菜の基本的なところは参考になる。

 夕食後、みこりんが寝てからさっそく読書タイムである。『BIRTH』は、前回のお話をすでに忘れつつあったので、しばらく記憶を呼び戻すのに苦労した。科学技術と妖術の異能者どもの闘い、古典的スタイルゆえに妙な安堵感を覚える。中盤から後半にかけて、千獣観音の過去が明らかになってきたことで、物語に命が吹き込まれつつあるように感じた。このまま長編となってくれることを期待しつつ、『キ○イラ』のようにネバーエンディングになってしまっても困るかなぁと、いらん心配などもするのであった。

 次に、『ベランダで〜』を読んでいたらLicも横から覗き込んできた。海外の品種がけっこう多く紹介されていて、興味をそそるのだ。巻末の通販会社リストには、外国の種苗会社のオンラインで注文可能な Webサイト も載っていて、時代の変遷を感じさせる。ほんの数年前まで、海外からの珍しい種を個人輸入するといえば、かなりマニアな人の楽しみだったのだ。ところが今や、国内の通販以上にお手軽に買えてしまうのだから恐ろしい…、いや、ありがたいことである。外国ばかりではない、国内にあっても、地域限定の野菜などはまだまだ珍しいものがたくさんある。国華園のカタログでも『日本各地の銘柄野菜10選』コーナーがあったりするので、ガーデナー達は今夜も購入リストを睨みながらうんうん唸っているにちがいない。

 で、結局今夜も時計は午前2時を回ってしまった。こうして2月もあっというまに逃げてゆき、いつのまにか春が来てたりするのだろうな。


2000.1.23(Sun)

去りゆく本

 気合い入りまくりで菜園2号の開墾をする予定が、雨でぽしゃってしまったため、今日は本棚の整理でもすることにした。階段の手すりにまで置き場を探して溢れた本を片づけるには、もはや読む頻度の極端に低い本を、本棚から撤去するしかない。ターゲットとなったのは、古い科学書の類である。

 10年以上昔の人工知能の本や、生物の本、計算機工学の本。あるいは7〜8年前のファジィ理論、ニューラルネットワーク関係の本。なんだかとてつもなく古びた感じに見える。あの当時、たくさん勉強していたにもかかわらず、開発業務では一度も使うことがなかったのだった。「研究部門に転属すれば…」と何度思ったことだろう。だがそれは、私にとって宇宙開発分野から離れることと同義であったため、究極の選択でもあった。

 数年後、結局、研究部門に転属してからも、これらの本は一度も開いていない。因果なものである。
 本棚から撤去してしまえば、二度と存在を思い出さない可能性もある。少しだけ心にさざ波が立ったけれど、やはり段ボールへとしまっておいた。新しい本に、場所を譲ろう。


2000.1.19(Wed)

読み聞かせ

 みこりんが寝る前には、必ず絵本を読んでやっている。いや、“読んでやっている”のではなく、みこりんが自発的に「えほんよんで」と言うのだから、正しくは“読まされている”になるのだろう。最近では、ストーリー性のある本格的な“お話”の方を好む傾向があり、将来が楽しみな今日この頃。

 今夜もみこりん、読んで欲しい絵本を持参してきたのだが、絵本にしてはヤケに薄っぺらいけれど?と思ったら、それは見開きの“写真”だったのだ。移動動物園が保育園に来たときに撮った集合写真が1枚と、みこりんがヒヨコを手にしたアップのやつと、その2枚だけが台紙に貼り付けられている。躊躇する私におかまいなく、みこりんはにこやかに「よんで!」と差し出すのであった。

 “写真を読む”、なんと型破りな発想をするものよ。これがアルバムになってるタイプの写真集ならば、それほど違和感もないのだが、わずか2枚の写真をもって読んでやらなければならないのである。私は困惑しているのを悟られないよう、いたって平静に見せつつ、“写真を読む”にはどうすればよいか日頃使っていない脳の領域まで駆使して考えたのであった。時間にしてわずか数秒。答えは、それこそ天から啓示があったかのように思い浮かんだのである。

 並んで布団に入り、写真を開く。集合写真の端っこに写っている男の子を指さしながら、私はみこりんに聞いていた。「これ、だぁれ?」
 ようするに、みこりんはお話ができればOKなのである。架空のものにしろ、実在の写真であっても、そこで交わされる言葉にみこりんは興味を惹かれるのであろう。それさえ押さえておけば、“写真を読む”ことも可能なはず。いかに写真から物語りをつむぎ出せるかが勝負である。

 保育園での日々の遊びや、大好きな先生のこと、さらに、一番仲の良いお友達のことなど、お話はとどまることを知らず、次々に語られてゆく。20人からいるクラスメイト全員の、名前と顔が私にも一致し始めたころ、ふいにみこりんが写真を指さして言った。「みこりんねー、たいちゃんがいちばんすきぃ」
 いっ、いきなり何を言い出すかと思えば、好きな男の子の報告であった。だが、まてよ、たしかみこりんは“こうちゃん”が一番好きだったんじゃないのか?ただちにみこりんに確認してみると、「こうちゃんも、すきぃ」と言う。「あれ?一番好きなの“たいちゃん”じゃないの?」と突っ込んでみれば、さすがにみこりん悩んでいる様子。でもやっぱり「たいちゃんも好き」ということで落ち着くのであった。「そうそう、そうやって手広くいろんな男の子を知っておくのはいいことだよ」という私のアドバイスを、みこりんは何歳まで覚えていてくれるだろう。

 2歳5ヶ月とはいえ、やはり女の子なのだなぁとしみじみ思った夜だった。


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