2009.2.4(Wed)
イオンエンジン再点火
地球からはるか3億km彼方で、長らく冬眠状態にあった小惑星探査機『はやぶさ』のイオンエンジンが、午前11時35分、再点火に成功したことが確認された。なんというタフネスぶり。
イオンエンジンから放出されるキセノンは、秒速30km。猛烈な速度だが、推力は小さいので、地球に戻ってくるまでまだ一年以上かかる。
はやぶさ帰還まで、あと1年と4ヶ月あまり。
まぁ、帰還とはいってもはやぶさ本体が地球に降下してくるわけではないのだけれど、無事、接近することができたなら、街の灯火を全部消しておいて………、という“お約束”のイベントなどJAXAが企画しないものだろうか。というかぜひやってほしい。
ところで、はやさぶが小惑星イトカワから持ち帰ったであろう地表サンプルを収めたカプセルは、地球への放出後、無事に見つかるんだろうか。もしも人知れず大地に激突して、その衝撃でカプセルが壊れ、中に潜んでいたイトカワ星人が……、なんてことにならないといいのだが。
はやぶさが小惑星イトカワに着陸した時、みこりんはまだ小学2年生。そして、はやぶさが地球に戻ってくる2010年には、みこりん中学1年生。うーん、なんというか、しみじみである。
2008.11.19(Wed)
系外惑星
米カリフォルニア大学バークリー校が、 ハッブル宇宙望遠鏡を使った観測で、恒星周囲の軌道上を周回している太陽系外惑星をとらえた。観測の詳細は、11月13日付の科学誌サイエンスの電子版で発表された。
日本惑星協会メールマガジン“TPS/Jメール”2008.11.18
先週、何かのフィードで見かけて気になりつつも、チェックしてなかったニュースを、今朝、日本惑星協会メールマガジン“TPS/Jメール”にてしっかりと確認できたので、さっそく当該サイトを確認してみることにした。
地球から25光年離れた南天の「南の魚座」に位置するフォーマルハウト(Fomalhaut )星。その星から 17.2 billion kilometers 離れた軌道を、872年かけて周回している惑星“Fomalhaut b”。質量は木星の約3倍とか、周囲に土星のようなリングがあるかもしれないとか、なかなか興味深い。
実際に撮影されたのは2004年と2006年で、その時の差分によって惑星が移動していることがわかったというのも、苦労がしのばれる話だ。発表が2008年になったということは、その間、ずーーーーっと、ひたすら画像解析やら、軌道計算の推定やら、仮説の検証やらに時間が必要だったということなのだろう。ハッブル宇宙望遠鏡クラスの望遠鏡となると、撮影の予約入れるだけでも超大変そうだし、撮影に割ける時間もきっと分単位とかなのだろうなぁ…。
可視光イメージの画像を見てみると、躍動する宇宙を実感させるような、なにやらダイナミックなエネルギーを感じる。しかしこんな中から、針でついたような点にしかみえない小さな惑星の痕跡を探し当てるのは、とてもとても大変そう。しかもそれが同一の軌道を有しているという結論に至る道のりは…、途方もなかったんだろう。
久しぶりに、いいものを見せてもらった。
2008.10.19(Sun)
講演会『国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の建設』
年に一度、この季節、市の文化行事の一環として、宇宙関係の講演会が開かれる。去年は、水谷仁氏による『月の起源と進化』というものだったが、今年はJAXA(宇宙航空研究開発機構)からJEM運用プロジェクトチーム サブマネージャの横山哲朗氏が招かれ『国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の建設』についての講演が行われる。
約一ヶ月前、学校から申込用紙を持って帰ってきていたみこりん自身も、「行ってみたい」ということだったので、参加申込をしておいた。申込人数が多ければ抽選ということだったのだが、後日あっさりと参加証をゲットすることに成功した。
おそらく抽選という事態にはならなかった模様。これはこれでいいのか悪いのか、少々複雑な気分ではある。
今日がその講演会当日。定刻の30分前に家を出て、会場を目指す。
10分前に到着したものの、かなり広い駐車場はぎゅうぎゅうで、停める場所を求めて彷徨う事、約5分。どうやら講演会以外にも、運動系の大会やら、会議なんかも併設された建物で開催されてるらしい。
どうにか空きスペースを見つけてクルマを停め、会場へ。時間的にはけっこうぎりぎりだったためか、座席にはあまり余裕がなく、わりと後方に着席。とはいえ、そんなに巨大なホールではないため、プロジェクタで映し出される文字が見えない程ではない。
ほどなくして横山哲朗氏による講演が始まった。対象が小学生をメインとしているので、国際宇宙ステーション計画の生い立ちや、現在までの道のり、そして日本モジュールの概要など基礎的な事を、わかりやすく話されていた。途中、与圧部の組み立てミッションの動画映像など交えつつ。
やはりスペースシャトル打ち上げから、ブースター離脱に至るシーンは、かっこいい。有翼の宇宙船が漆黒の空間に浮かぶ姿は、それだけで好奇心を刺激する。これを見ている子供達も、同じような気分を味わっているのだろうか。隣に座っているみこりんの様子が、なんとなーく夢の世界に旅立ってそうな雰囲気を時々感じるのがちょっと気がかりだが、それはほんの一瞬で、しっかり手元のパンフレットを読んだり、プロジェクタの方を見つめているようなので、たぶん大丈夫…
それら一連の話が終わったあと、横山哲朗氏が「今日一番話したかったのは、ここからです」と、プロジェクタが新しいパートを映し出す。それは、地上でミッションを支える裏方のメンバー写真と説明画面だった。
JAXAの筑波で撮影された管制室の写真には、背後のスクリーンにNASA管制室の中継画面と、宇宙ステーションからの中継画面が一緒に映しこまれており、日本モジュールの打ち上げというミッションの、具体的な姿というかリアルな雰囲気が伝わったのではないかと思う。NASA管制室の映像は、映画でも結構使われてたりするので割とポピュラーだけれど、日本のそれは、あんまり一般の目には触れてなかったような気もする。小惑星探査機“はやぶさ”のタッチダウンの時にインターネット放送されてた映像も、たぶんマニアな人しか見てないと思うし…
こういう映像は、ぜひ各種動画サイトに置いて欲しいのだが、JAXA広報の中の人にはぜひ検討いただきたいところだ。
講演最後の質問タイムには、子供達の手が活発に挙がっていたのが印象的だった。その質問の1つに、「流れ星は宇宙ステーションにぶつかりますか?」というのがあったのだけれど、横山哲朗氏は地表から見た流れ星という前提で返答されていて、それゆえに、「流れ星は宇宙ステーションから地球を見下ろしている時には見えます」となっていたのが、個人的にちょっと気になった部分。おそらく、質問した子供の真意はそこではなくて、いわゆるデブリの類が宇宙ステーションに衝突することはあるのか?ということを聞きたかったんじゃなかろうか。
実際、デブリを避けるために軌道変更した事例もあることだし。ステーション外壁は何重構造にもなった防弾チョッキみたいになってることとか…。でも実際のところ、地表から肉眼で流れ星に見えるほどの粒子が、宇宙ステーションに衝突したら、どうなるのか。既知のデブリと違ってあらかじめ軌道計算できない場合は…。このあたりは確率の話になってくるのかな。
さて、質問タイムも終わり、最後にNASA編集による与圧部組み立てビデオ映像を見て、講演は終了した。
出口にて、参加証に刻印されたシリアル番号で景品が当たるという話があり、さっそくみこりんと確認してみたところ、1枚当たっていた。おぉぉ、なんてラッキーな。
いそいそと景品と交換してもらったみこりんは、パッケージに書かれた“MITSUBISHI PENCIL”というのを目敏く見つけ、「これきっと中は鉛筆かボールペンよ」と言っていたのだが、果たして中身はその通り、3色ボールペンだった。限定品大好きなみこりんにとっては、このボールペンは宝物になることだろう。
2008.10.1(Wed)
『宙のまにまに (5)』
『宙のまにまに (5)』(作:柏原 麻実)、読了。
他校の天文部との合同合宿の続きから。自前の望遠鏡を持ってない弱小天文部の美星達だったが、お父さんの遺品のアイピースだけはいいものが揃ってる。そんなわけで、他校の望遠鏡を貸してもらい、土星を導入。小さくてもリングを持つ独特の姿が確認できた瞬間の感動は、私にも覚えがある。
図鑑等で土星の写真を見てはいるものの、実際にその姿をリアルに望遠鏡で捉え、自分の目で土星のリングを確認した時の、ぞくぞく感は、今でも忘れられない。120倍程度の倍率だと、最初は小さな点にしか見えないのだけれど、目を凝らすにつれ、輪っかが見えるようになる。ほんとうに宇宙にはこんな星があるんだと、飽きる事なく見つめ続けたものだ。
さて、今巻で路万部長、卒業。巻数を重ねるごとに、キャラが安定してきたというか、あいかわらず病弱ネタで笑わせてくれるのだけれど、それだけじゃない部分が描かれることで、深みが増したキャラ。今後もちょこちょこと登場して欲しいなぁと思ったり。
卒業と言う事は、新しい春到来ということで、新入生勧誘の季節でもあり。
新入部員として入ってきた2名、特に女子の方、なかなか濃ゆいキャラでいい具合。
寡黙だけれども、内側で静かに燃えてる鉱物“命”の炎とか、ものすごくマイペースなところとか、そのキャラ設定にはなんだかとても既視感が……。どこかでこんな感じの子が出てくる小説だかコミックだかを読んだ記憶があるんだけれど、それが何なのかもやもやーっとして、思い出せず。
『ARIA』の登場初期頃のアリスかとも思ったのだけれど、別の作品でもっと雰囲気似てる子がいたような気がして仕方がない。
まぁそれはそれとして、全般的に天文ネタに集中してきたのは、よい傾向だと思う。学園ラブコメなら、巷に溢れているが、天文ネタの作品はそうそうないから、ある意味貴重。今後もこの路線維持で、ぜひお願いしたい。
2008.7.15(Tue)
きぼう
国際宇宙ステーションに、日本の実験モジュール“きぼう”の本体(船内実験室)が取り付けられて、かれこれ1ヶ月。
それを記念して、JAXA有志の呼びかけで作られた記念品が、今日、私の元に届いた。
国際宇宙ステーション日本モジュール稼動記念のタイピン
ブツはタイピンなので、この仕事に関わった女性エンジニアの人は、本当に飾っておくしかないのが玉に瑕…、かもしれない。とはいえ、私もこれはこのまま永久保存にする予定だけれど。
なんとなく、銀と赤という色彩に、ウルトラマンを連想してしまうのだが、これはやはり幼児期の刷り込みが原因だろうか。自分のPCの傍らに置いているので、目に入るたびに頭の中でウルトラマンの姿が蘇ってくるのが、なんともかんとも。でも、渋くてこざっぱりしているので、自分的にはOK。
2008.6.13(Fri)
空気調和制御装置
JAXAからのリリースがないようで、いままで気付いてなかったのだが、このような報道を見かけた。
その後、前日とは別系統のシステムを起動させたが、空調用のファンに備え付けられたセンサーが基準以上の湿度を検知し、一時作動しないトラブルがあった。
ある関係者は、前日の初入室時に定員以上の飛行士が室内で“はしゃぎすぎた”ため、基準を超える汗などの水分が空気中に残されていたのではないか−との見方を示したが、原因は今のところ不明。*
日本実験棟「きぼう」の空調用ファンのトラブルは“はしゃぎすぎ”の汗などの水分でなく、結露によるものだと分かった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の長谷川義幸ISSプログラムマネージャは「冷却水の温度を下げる過程で発生した多量の結露が原因だったようだ」と説明した。
6月6日10時45分配信 産経新聞
この産経新聞の記事と同じトラブルを報じたと思われる、読売新聞の記事では、こんな感じ。
国際宇宙ステーション(ISS)に設置された「きぼう」の船内実験室の空調の一つが米中部時間の5日朝から、約5時間40分停止したのは、日本人宇宙飛行士の星出彰彦さん(39)を含め10人の宇宙飛行士が、実験室に約30分間滞在したためであることが宇宙航空研究開発機構の調べでわかった。
初入室を祝して、船内を泳ぎ回った10人の体から出た汗や息に含まれる水分に、湿気を取る装置のセンサーが正常に作動したため、停止したと見られる。
6月13日3時3分配信 読売新聞
興味深いのは、“乗員の汗や息に含まれる水分に反応した”のではなく、“冷却水の温度を下げる過程で発生した多量の結露”だったようだとしている産経新聞の記事が6月6日のものなのに対して、読売新聞の方は6月13日と新しいにも関わらず、産経新聞では否定された方の原因であるように報じている点。
どっちが本当なのか。
産経新聞の方は、長谷川義幸ISSプログラムマネージャが語ったと明記してあるので、個人的にはこちらの方が信頼性が高いように思われるのだが…。
まぁ、そういうトラブルもあったおかげで、空気調和制御装置が正常に動いていることがわかっただけでも、一安心。たしかにこの装置には水分センサが付いており、一定量以上の水分を検出すると、停止する仕様だったはず(あまりに昔すぎて記憶もあやふやになりつつあるが)。
ある程度の水分なら、同装置に内蔵される水分離機を作動させて水分を除去するのだけれど、水分離機でも対処できないくらい大量の水分がセンサに付着すると、水分の飛散防止のため停止する。
無重力での水分飛散は、電子機器のショートの原因になりかねないから。
仕様通りにプログラムが動いているようで、なによりだ。
それにしても、こうして“きぼう”の外観を眺めてみると、曝露部が付いてないのがとても、もったいない。あれがくっついたらもっとかっこよくなるのに。すべての完成まで、もうしばらく待たねばならないのが、じつに悩ましい。
2008.6.11(Wed)
きぼう
今月初めに、1Jミッション(STS-124ミッション)としてスペースシャトル“ディスカバリー号”によって宇宙ステーションに向けて打ち上げられた、日本実験モジュールの“船内実験室”は、5日目には無事、ステーション本体との接続も完了した。システムの電源投入も問題なく行われ、モジュール内へ宇宙飛行士が入ることが出来た。
日本初の、宇宙空間における有人システムの稼動だ。
モジュール内の制御システム用のラックは、まだがらがらのようなので、自分の担当した機器(のプログラム)がすでに作動しているのかどうか定かではないのだが、これでようやく区切りがついたなという感じ。それにしても、本当にここまでくるのに、こんなに時間がかかるとは…。長かった。20年待ってる間に、みこりんが生まれ、はや小学五年生だ。私もヒトの寿命の半分以上を生きてしまった。うーん、諸行無常なり。
宇宙ステーションの耐用年数は10年だが、NASAのスペースシャトルは計画前倒しで廃止される可能性も高いし、果たしていつまで宇宙ステーションとして活動することができるのか、不安は尽きないのだけれど。
今日、ディスカバリー号は宇宙ステーションを離れ、地球へと帰還する。耐熱タイルの破損が、なんでもなければよいのだが。
2008.4.3(Thr)
旅立ち
先だって、スペースシャトルで打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)に無事取り付けられた、日本の実験モジュール“きぼう”の船内保管室(旧称は補給部)だが、あれはまだ“きぼう”の一部分でしかない。どっちかというと、次回、1J(STS-124)ミッション(打ち上げ日時は日本時間6月1日午前6時01分頃)で打ち上げられる船内実験室(旧称は、与圧部だったかな)が本命だ。でも個人的には、さらにその次のミッションで打ち上げられ、宇宙空間に曝露された状態で運用される船外実験プラットフォーム(旧称は、曝露部)が、メカメカしくて好き。
とはいえ“きぼう”がまだJEMと呼ばれていた頃から、そのソフトウェア開発に携わってきた身としては、次の打ち上げ(船内実験室)こそが正念場といえよう。まさに我が身の分身ともいえるソフトが、いよいよ宇宙に上がるのだから。
長かった…。とてつもなく。かれこれ19年か。
そんなこともあり、社内で開発関係者限定で、寄せ書きが回ってきたのだった。なんでも、これをスキャナで取り込み、CDだったかDVDだったかに焼いて、一緒に宇宙に乗せて行ってくれるらしい。でも搭載重量(データ量)の関係で、寄せ書きに書けるのは氏名のみ。思いのたけを書く余裕はないとのこと…。かように、宇宙にモノを打ち上げるのは厳しいのだ。
というわけで、サインペンでしっかりと名前を記入。あとは無事に打ちあがることを祈るのみ。
開発中には、さまざまな出来事があった。よかったことも、わるかったことも。いろいろと。私もまだ20代で若かったし…
そんな中で、今でも鮮烈に思い出すのは、やはり不具合が出た時のこと。すでにソフトはROMに焼き、基板に半田付けされてしまっており、しかもCPUも半田付け状態ゆえ、普通なら使えるデバッガの類(ICE:インサーキットエミュレータ等)が使えなかった。宇宙用の基板ではCPUソケットは使わないのである(2008.4.4追記:このような最終形態に至るまでの試験では不具合は確認されていなかったのだが、組込み系のソフト開発では微妙なハードウェアとの相性とか仕様のシビアさで、このような事態は、ままあるのであった)。
ハードメーカー含めて対策会議が開かれることになったが、不具合がどんな時に出て、どんな状況になってるのかすら定かではない状況だった。そんな状態で、やみくもに会議をして、いったい何がわかるというのか。私は、クリーンルームに篭り、なんとかして状況を確認しようとした。同じ思いを抱いていた同期のハード技術者が、ロジックアナライザを持ち出してきて調査を手伝ってくれた。
メモリバスをロジックアナライザで見れば、今、どのアドレスをプログラムが実行しているのかわかる。それを、アセンブラのソースコードとつきあわせてみれば、だいたいどこらへんで異常が起きているのか確認できる。
いろいろとセンサやリミットスイッチの状態を変え、何度もチェック。4時間ほどかけて、どうにか原因を特定することに成功したのであった。
そのデバッグの真っ最中、会議室から当時の私の上司が電話をかけてきて、どうしても会議に出ろと言ってきたときには、正直、きれた。
「バグは会議室で起きてるんじゃない!
現場で起きてるんだ!!」
と叫んだかどうかは、今となっては定かではない。でも、この時、同じく会議には出ず、クリーンルームで状況を見守っていた、さっきのハード屋さんの上司の言葉は、今でもよく覚えている。彼は一言、こう言った。
「会議で時間つぶしてる暇があったら、現場に来いってんだ」
いや、まさにその通り。
ま、なにもかも、懐かしい思い出だ。
2008.3.30(Sun)
『碧 水惑星年代記』
昨日の陽気が幻だったかのように、今日は朝から柔らかな雨が降り続いている。
それでもあまり肌寒くないのは、いかにも春らしくてほっとする。
というわけで、届いたばかりの『碧 水惑星年代記』(作:大石まさる)を、リビングに寝転び読み進めてみることにした。
『水惑星年代記』シリーズも5作目となる、今作品。贔屓のシリーズが続くのは、とてもうれしい。
前々からそうじゃないかな、とは思っていたのだが、大石まさる氏は、けっこうシスコンの気があるのでは…。本作にも、存分にそのテイストがあふれんばかりににじみ出ているような。血の繋がらない姉に恋する弟が、プロポーズのために土星まで宇宙機を飛ばしてしまう第2話“どってん☆”とか、“ちょっとガサツだけど、少年を放っておけずについつい面倒みてしまう第5話“ホシテルムシ”の華(ホア)さんとか、第4話“凪と波”で移民船の最後の生き残りである男の子を一人前に育てるべく奮闘しているホログラム(AI)の女の子(子というのは語弊あるかな)ナミさんとか。
雰囲気的に、鶴田謙二氏の作風にだぶるところが結構あるのだけれど、大石まさる氏の方は、わりとSFネタは小道具的扱いで、少年少女のピュアな感じを描き出すことに長けているように思う。体はオトナでも、どこか子供っぽいところに重点を当ててみたり。
ほのぼの、しんみり、どきどき、きゅーん、などという擬音(擬態語もまじってるけど気にしない)が漏れ聞こえてきそうな臨場感。今回の作品も、秀作揃い。基本、短編集だから、どこからでも読めるのがいい感じ。
心に休息を、そして、明日への活力を、ちょっぴりもらえるような、そんなお話。
2007.11.13(Tue)
約38万km
月の周回軌道に乗ったら、やはりこの映像は逃せない。というわけで、『かぐや(SELENE)』から送られてきた“地球の出と入り”の映像。さっそく動画を見てみようとしたのだけれど、重すぎて接続すらできず orz...
【地球の出(Earth-rise)」ハイビジョンカメラによる映像】
【地球の入り(Earth-set)」ハイビジョンカメラによる映像】
1968年、アポロ8号のビル・アンダーズ飛行士によって撮影された“地球の出”から、およそ40年が過ぎ去った今、ようやく次の新しい“地球の出/入り”が届けられた。近くて遠かった天体、月が、これから観測ラッシュを迎える。そう遠くない将来、月資源を巡って『MOONLIGHT MILE』のような事態になる可能性もなきにしもあらず。願わくば、月にクレーターが新たに作られたりしませんように。
“月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)による「地球の出」撮影の成功について”
月面越しに地球が昇っていく「地球の出」は、アポロ計画で初めて撮影されました。暗黒の宇宙空間にただひとつ浮かぶ青い地球が印象的なこの画像のハイビジョン撮影に、今回、「かぐや(SELENE)」が世界で初めて成功しました。
また、この画像は約38万km隔てた遠い宇宙から地球をハイビジョン撮影したもので、これも世界で初めてです。
JAXA プレスリリースより(2007年11月13日)
2007.11.7(Wed)
月夜
ついに『かぐや(SELENE)』から、月の動画が届いた。
個人的には後半の“北極付近”の映像が、かなりツボ。荒涼とした月面に、無数にできた大小様々なクレーター。そしてその影。やがて月の境界線が、漆黒の宇宙へ消えてゆく様は、見ていて背筋がぞくぞくした。宇宙はこんなにも闇が濃いのだということを、まざまざと見せ付けてくれた。
本物が持つ絶対的な迫力に満ちている。今も月を『かぐや』が周回しているかと思うと、肉眼では見えないとわかってはいても夜空を見上げてしまいたくなる。
次は、いよいよ“月面からの地球の出”かな。子供の頃、図鑑で見た一枚の写真。あれが鮮やかな動画となって届く時代になろうとは…。
感無量である。
“月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)による世界初の月面撮影の成功について”
宇宙航空研究開発機構(JAXA)および日本放送協会(NHK)は、平成19年10月18日(日本時間、以下同様)に高度約100kmの月周回観測軌道に投入した月周回衛星「かぐや(SELENE)」から、世界初のハイビジョンによる月面撮影に成功しました。
撮影は「かぐや(SELENE)」に搭載されたNHK開発の宇宙仕様のハイビジョンカメラ(HDTV)によって行われたもので、上空約100kmからの月面のハイビジョン撮影は世界で初めてのことです。
JAXAプレスリリースより(2007年11月7日)
2007.10.14(Sun)
『月の起源と進化』
先月だったか、さらにその前だったか、みこりんが学校でもらってきたという一枚の紙に書かれていたのは、地元のホールで開催される科学講演会の案内だった。タイトルは、『月の起源と進化』。
これにみこりんが行きたいというので、私もくっついていくことにして申し込んでいたわけなのだが、無事、募集枠(定員350名)に入れたことがわかり、入場券を持って帰ってきたのが今月の始めくらいのこと。そして今日が、その講演日である。
開場12:30、開始13:00なので、12:45には会場に着けるように家を出て、予定通り到着。すでに同目的と思われる親子連れなどが、ちらほらと周囲に見受けられる中、私達もその流れに混ざる。
エントランスで入場券を渡し、ホールに入った。たしかここには、みこりんが保育園くらいの頃、エレクトーンの発表会で一度来たことがあるはず。微妙に記憶に残っている。みこりんも同様らしい。
市役所の係の人が、「出来るだけ前に詰めて」と声を掛けていたのだが、こんな機会にわざわざ後ろの方に座るはずもなく、ベストポジションを確保する。でも、あと5分遅かったら演壇から遠い所しか空いてなかったかもしれない。早めに到着して正解だった。
定刻になり、司会の人が挨拶を述べている。今日の講演者は、水谷仁先生だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究本部 名誉教授にして、科学雑誌『Newton』編集長。これだけの人が、こんな田舎町によく来てくださったと思う。『Newton』といえば、1981年の創刊。初代編集長は、あの地球物理学者で東京大学名誉教授の、故 竹内均先生である。私も少年時代、この科学雑誌を創刊号から購読していたので、よけい身近に感じる。
講演内容は、日本人と月の関わりから始まって、月の観測の歴史から、現在判明している科学的データ等の紹介。そして、今まさに月を目指して航行中の探査機『かぐや』のミッションの説明、打ち上げに至るまでの苦労話など、まさに月づくし。中でも、『かぐや』に搭載している月磁場観測装置の取り付けられている長い支柱(打ち上げ時には短く縮んでいる)に関するお話は、個人的にとてもツボであった。この支柱、アメリカ製なのだが、やはり最初からちゃんと動作するはずもなく、しょっぱなからネジが外れていたのでアメリカまで送り返して修理してもらわねばならなかったとか、伸展させるとその長さゆえ、クリーンルーム内では狭すぎて完全な作動確認ができず、結局、そのまま打ち上げざるをえなかったとか、もういろいろ。果たして本番でちゃんと伸びてくれるんだろうか。私もとても心配だ。
宇宙空間では、地上用の機械駆動装置からは想像できない苦労がある。真空ゆえに、潤滑油は使えない(最近は特殊な宇宙用グリスが存在するとかしないとか…)。温度が低くて固着する可能性がある。etc... 今から十数年前、私が仕事でとある宇宙機器の試作品にたずさわっていた頃にも、いろいろそういう話は聞いていたが、今もあんまり状況は変わってないような感じ。
最後に質疑応答の時間があった。やはりこれに応募してくるような人は、それなりに宇宙に興味を持ってる人ばかりというわけで、活発に手が挙がっていた。私もプロジェクタの映像の中に『かぐや2』の文字がちらっと見えていたので、それにからめて(存亡の危機にある)『はやぶさ2』の件を聞いてみたい衝動にかられた…。しかしながら、空気が固まったりしたらあれなので、ぐっと我慢。
逆に、先生の方から聴講者達に「地球から肉眼で月を見たとき、どのくらいの大きさになるでしょうか?」と3択問題を出された。私は先月の中秋の名月をケータイのカメラで撮影しているため、リアルにその大きさを思い出すことができたけれど、みこりんは「100円玉くらいはあるよね?」と、やや不安げである。正解は「次回の満月で確かめてみてください」と言うわけで、実際にみこりんにも確認させてみようと思う。
【参考リンク】
2007.10.11(Thr)
月へ
『かぐや』搭載の、ハイゲインアンテナモニタ用カメラにより撮影された月の映像。月からの距離は約800km。
着々と接近しつつあるのが、よくわかる。この角度(月の北側高緯度)からの月は、地上の望遠鏡では見えないだけに、クレーターの見え方とか、新鮮でいい感じだ。それにしても…、月って結構でこぼこしてるのぅ、というのも改めて実感する。
今回のプレスリリース“月周回衛星「かぐや(SELENE)」のリレー衛星(Rstar)の分離及び主衛星搭載カメラによる月撮像について”の本題、リレー衛星(Rstar)も無事に分離された模様。順調そうでなによりだ。
- リレー衛星(Rstar)
- 世界で初めて月の裏側の重力場を観測するための小型衛星。VRAD衛星とともに電波干渉という手法を利用してより精密に月重力場を観測する。
それにつけても…、動画はまだなのか。本番までのお楽しみということで、ずっとじらし続けるのだろうか。まちきれなさすぎる。
2007.10.3(Wed)
地球は青かった…
う、うつくし…
それにしても、711,036バイトの画像データを普通にサーバへアップロードできるようになったのが感無量。今使ってるレンタルサーバに移る前は、サーバ容量50MBしかなかったから、画像データも削りに削ったものだが、もはやそんな小細工しなくても全然平気なのが素晴らしい。…なんていうのも今時の人には、もはや昔話なのだろうなぁ…
それはそうと、動画も同時に公開してくれればよかったのに。間欠撮影でもいいから。微妙に大気の動きが見られるだけでも、臨場感が200%アップだったにちがいないのだが。
月周回衛星「かぐや(SELENE)」のハイビジョンカメラ(HDTV)動画撮影成功について
地球からの距離は約11万kmで、これだけ遠い宇宙からハイビジョン撮影が行われたのは世界初(今まではスペースシャトル及び国際宇宙ステーション(ISS)の軌道からの撮影で、距離は約340km)。地球の昼間の部分には、南アメリカ大陸の西海岸線が映っています。
この画像は、平成19年9月29日21時46分(日本時間)に「かぐや(SELENE)」から8倍の間欠撮影(8分間を1分に縮めて収録)で撮影され、JAXA臼田宇宙空間観測所にて平成19年9月30日9時40分に受信した動画の一部を静止画像として切り出したものです。
JAXAプレスリリースより
2007.9.25(Tue)
月光
「今夜はお月見だよ」と、みこりんに言ってみたところ、「そうかー、それでススキ取ってる人おったんやね」と何事か納得している様子。
ススキか。そういえば、昨日みこりんも、近所のお友達と一緒に空き地でススキを何本か摘んできていて、箒を作っていたような。見せてもらったが、とてもきれいなススキで、穂が出てきたばかりのような雰囲気だった。やはり今頃が旬なのかもしれない。
皆が寝静まった真夜中、一人庭に出て、ケータイをカメラモードに変形して、はるか頭上に煌々と輝く月光を撮ってみた。露出などまったくいじっていない完全オートで撮っているため、月表面の詳細な模様などはまったく見えなくなってしまっているが、それほど今宵の月は明るく輝いていた。
完全な満月まであと二日。狼男の血を引くわけでもあるまいに、なぜか昔から満月の夜は無性に血がたぎる。不思議なめぐり合わせであることよ。
2007.9.18(Tue)
Saturn's Moon Iapetus
探査機カッシーニが送ってきた、土星の衛星イアペタス(Iapetus)の最新映像“Saturn's Moon Iapetus Is the Yin-and-Yang of the Solar System”は、なかなか興味深い。
もともとこの衛星が白と黒のツートンカラーになってるらしいことはわかっていたみたいなのだけれど、今回の探査機の接近はこれまでにない近距離まで寄って撮影しているので、くっきりとその表面の様子が見て取れる。
本当に白と黒に、きれいに分かれてるところが、なんとも不思議。
ちなみにTechnobahnの記事には、次のような見解が述べられていた。
この黒い部分に関して、カッシーニ探査衛星の画像解析を担当している米スペースサイエンス研究所(Space Science Institute)の担当者は、恐らく、2〜3メートルの深さしかないのではないかと見ている。ただし、2〜3メートルの深さしかないのにも関わらず、なぜ、真っ黒にしか写らないのかに関しては分からないとしか答えようがないとしている。
『アーサー・クラーク本人もびっくり! 土星のナゾの衛星イアペトゥス』Technobahn 2007/9/15 00:20
ただ、この日本語訳のソースが何なのか記述されてないので、本当にSSIの担当者がこういう内容のことを言ってるのかどうかは不明。JPLのニュースリリースには書かれてないようだが…。Arthur C. Clarkeが“びっくり”しているのは、本当らしい(ソースはこちら)。
探査機カッシーニが送ってきた画像データはまだまだあるので、その解析途上、もしも衛星イアペタス表面に、黒くて黒くて黒くてとても黒いモノリスのような物体が立っていたと想像するとき、私は興奮を抑えることが出来ないだろう。あぁ、宇宙は謎で満ちている。
2007.9.10(Mon)
かぐや/H-IIA13号機 打上げ特設サイト
月探査機『かぐや』を搭載したH-IIAロケット13号機の打ち上げが、迫る。打ち上げ日時は9月13日(木)10時35分47秒。
“かぐや/H-IIA13号機 打上げ特設サイト"にて、打ち上げライブ中継が行われる。ぜひ見なくては。
無事、打ちあがりますように。
月といえば、今朝、月の観察ができていないことを気にしていたみこりんだったが、帰宅してから聞いてみたところ、同様に月が見えなかったクラスメイトは結構いたらしい。まぁ、あの空模様ではいたし方あるまい。
ところで今宵は新月だとか。新月前の、切れそうなほどに細い月とあれば、なおさら見えにくかったに違いない。
2007.8.28(Tue)
赤い月
皆既月食の夜、欠け始めたと思しき時刻にみこりんと共に宇宙を見上げてみたが、濃密な雲に遮られて、その存在を確認できず。みこりんは月が赤くなるのをとても見たがっていたけれど、この空模様ではちょっと不安な予感…
月の全体が地球の影に隠れたと思われる頃、再度、みこりんと夜空を見上げてみた。
南東の空高く、うっすらと細い三日月状のものが見える。すでに影から離脱しつつある状況のようだが、相変わらず分厚い雲に覆い隠され、微妙な色彩の妙がまったく観測できず。おそらく影の部分は、赤銅色をしているに違いないのに。む、無念…
みこりんと皆既月食を初めて見たのが、今から7年前の2000年7月16日のことである。当時はみこりん、まだ3歳。月食の記憶も残ってはいまい。
次回の皆既月食は、3年後の2010年12月21日らしい。次こそは必ず、晴れますように。
2007.7.30(Mon)
『宙のまにまに (3)』
雨の音で目覚めた今日、『宙のまにまに (3)』(作:柏原 麻実)、読了。
高天ネット(県内高校天文ネットワーク)いいね。他校の同好の士と知り合うのは、なかなか刺激があっていい(私の場合は、大学入ってからのサークルからだったけれど)。
今回は病弱部長が、ちょっとかっこいい。最後の“おつまみおまけまんが”のエピソードが、ぐぐっと…
ところで、学校の屋上の天体望遠鏡の話し。じつは私が通っていた小学校の屋上にも同じようにドームがあった。で、内部には天体望遠鏡が格納されているという噂だったのだが、卒業までの6年間、ただの一度もその実物を拝んだことなし orz...
小学校だから天文部なんてなかったしなぁ。あれは、誰かの役に立ってたんだろうか。ふと、そんなことを思い出してしまった。
2007.7.28(Sat)
月と花火
19時半過ぎ、月は南東の空高く昇っていた。それを窓越しに見つけたみこりんは、さっそく望遠鏡片手にウッドデッキへと降りてゆく。望遠鏡は学研の付録だったが、レンズは5枚使用されており、倍率も約30倍と、私の子供時代には考えられないような高性能な付録であった。
私と並んで月を見上げたみこりんは、望遠鏡を右目に当てて、覗き込んでいる。今宵の空模様は、あいかわらずぼんやりと薄明るくガスで曇っており、他の星々もまったくといっていいほど見えない最悪な状況。これでも雲が出てないだけましなのだが、月の周囲にはなにやら赤っぽいリング状の光芒があった。
みこりんが「よく見えない」と言うので、今度は私が試してみることにした。これには一応三脚も付属していたのだけれど、脚の長さ10cmほどの超ミニサイズゆえ、取り外されていたのだった。だからしっかり保持しないと、30倍とはいえ振動の影響は侮れない。
月は大きいので、すぐにレンズの視界に入ってきた。ピントを慎重に合わせてゆく。
大気の揺れがリアルに見えた。ちょっとぞくっとする。クレーターの影も、見ようと思えばそれなりに見えそうだった。が、やはり手で保持しているだけだと“ぶれ”が激しくて、たしかによくは見えない。ちゃんとした三脚に固定できればいいのだけれど、留め具がオリジナルなので、そのままではうまく取り付けられそうにないのが少々残念。
月の他に面白そうな星はないかな…?ぐるっと視線を巡らせていると、東の方向に鮮やかな光の明滅があった。どこかの花火大会が始まっているらしい。距離があるため大迫力といはいかないものの、一応爆発音も届いてくるので、それなりに楽しめそう。
というわけで、2階のみこりんの部屋に移動し、そこからベランダへと出てみる。1階のウッドデッキからでは、庭のプラムの木に遮られていまひとつすっきりと見えなかったから。
みこりんはエアコンの室外機の上に座り、右目で望遠鏡、左は裸眼で花火を楽しんでいた。そうやって見ると、大きな像と小さな像とが重なり合って、なにやらゆかいなことになるのだそうな。
ひとしきり夏の夜の花火を堪能したあと、私は南の空にぽつんとひとつきりで輝いている赤い星が気になって、望遠鏡で覗いて見た。ピントを合わせても輪郭がすっきりしないということは、惑星ではないっぽい。どこか遠くの恒星なのだろう。私がそう言うと、みこりんはさっそく星座盤を取り出してきてぐるぐると日時をあわせてみている。そしてじっと見比べてみた結果、みこりんは「アルタイル、かな?」と言った。
ふむ、赤いし、そうかもしれない。
あれがアルタイルだとすると、夏の大三角形を構成する残りの2つはどうしたのか。目を凝らして夜空を見つめてみたが、やはり薄ぼんやりとガスっていてよく見えず。晴れていてこの有様ではなぁ………。みこりんの見たがっている天の川は、未だ写真の中の世界でしかなかった。
ちゃんとした星空の見えるところに、みこりんを連れて行ってやらねばなるまい。
2007.6.6(Wed)
SELENE
JAXAが今年夏に打ち上げる月周回衛星セレーネ(SELENE:SELenological and ENgineering Explorer)の愛称募集がちょっと前に行われていたので、私も応募していたのだが、その結果が判明した。
愛称“かぐや”
私が応募した愛称も、たしかこれに類するものだったはず…。やはりみんな考えることは同じか。月だものなぁ。
アポロ計画で得られた月の画像、中でも月の地平線よりやや上にぽっかりと浮かぶ青い惑星地球の写真は秀逸だった。子供心に、「月に行ってみたい…」と思わせるに十分な魔力を秘めていた。あれに匹敵するような映像を“かぐや”が伝送してきてくれたら、私的にはもうそれだけで十分かもしれない。
無事にミッションが達成できますように。
2007.4.25(Wed)
宇宙…
Astronomers Find First Earth-like Planet in Habitable Zone
Astronomers have discovered the most Earth-like planet outside our Solar System to date, an exoplanet with a radius only 50% larger than the Earth and capable of having liquid water. Using the ESO 3.6-m telescope, a team of Swiss, French and Portuguese scientists discovered a super-Earth about 5 times the mass of the Earth that orbits a red dwarf, already known to harbour a Neptune-mass planet. The astronomers have also strong evidence for the presence of a third planet with a mass about 8 Earth masses.
25 April 2007.ESO 22/07 - Science Release
地球から20光年先に、地球型惑星発見。液体の水の存在が予想される…。
20光年か……、ワープ航法を知らない人類には、まだまだ遠い遠い世界の話。
でも、宇宙の途方もない時間に比べると20光年の距離というのは、案外短いような気もしてくる。どこか、探査機飛ばさないかな。
探査機といえば、“はやぶさ”がえらいことになっているようだ。
状況はますます厳しくなっています。イオンエンジンはついに1台のみの運転となりました。
川口:プロマネとしてはもっと押さえた言い方をしなければならない。スラスターについては1万4000時間で設計しても1万時間以下で調子が悪くなる個体が出てきている。だから、1万4000時間から2万時間はエキストラだと思っている。エキストラがなければかえってこれない。ホイールは壊れるかも知れませんね。3台のうち2台は壊れているわけだから。
松浦晋也のL/D 2007.04.24
満身創痍というか、まともに動くパーツの方が少なくなってきてるような。まさに、未知へのチャレンジ。それにしても、よくここまで生き残ってるなと感心してしまう。はやぶさの“生命力”に、ちょっと期待。
2007.3.16(Fri)
エンセラダス:Enceladus
“土星の衛星・エンセラダスに生命存在か…NASA”
エンセラダスの表面は氷点下約200度だが、地球の南極にあたる部分で火山のように水蒸気が噴出しているのが、米探査機カッシーニによるこれまでの観測で昨年確認されている。その後の分析で、水蒸気に窒素ガスが混じっていることが新たに判明。この窒素ガスは、アンモニアが熱分解したものとみられることから、外部の研究者も加わったNASAの研究チームは「地中に高温高圧の場所があり、熱水の中で有機物が豊富に合成されたはずだ」と結論づけた。
アンモニアの熱分解にはかなりの高温が必要なことから、この熱源について研究チームは、〈1〉放射性のアルミニウムと鉄が700万年余で急速に崩壊し、衛星内部が熱くなった〈2〉その余熱とともに、他の放射性物質の緩やかな崩壊が今も続いている――とみている。
2007年3月13日11時52分 読売新聞
ちょっと前に見かけて気になっていたニュース。読売以外で日本語の記事にしてるところがないようだけれど…。というわけで、NASAのカッシーニ・ホイヘンスのサイトから、これのソースと思われるニュースリリースを探してみた。
“A Hot Start Might Explain Geysers on Enceladus”
"Deep inside Enceladus, our model indicates we've got an organic brew, a heat source and liquid water, all key ingredients for life," said Dr. Dennis Matson, Cassini project scientist at NASA's Jet Propulsion Laboratory, Pasadena, Calif. "And while no one is claiming that we have found life by any means, we probably have evidence for a place that might be hospitable to life."
Jet Propulsion Laboratory - News Releases - March 12, 2007
おぉぉ、なかなかこれは有望かも?今後の調査も要チェック。
ちなみに最近のカッシーニから送られてきた映像でお気に入りは、これ。“The Great Crossing”、んー、衛星がくるくる回ってる。素晴らしい。
2007.3.14(Wed)
「あんなの飾りです! 偉い人にはそれが分からんのですよ!」
「足がついていない」
「あんなの飾りです! 偉い人にはそれが分からんのですよ!」
『機動戦士ガンダム』第42話“宇宙要塞ア・バオア・クー”より
昨夜のこと、私がたまたま見ていたニュースサイトの映像を背後から覗き込んで、みこりんが言った。
「それ何?ロボット?」
なかなか勘のするどいみこりんである。
これはNASAが開発中の宇宙ロボット『ROBONAUT』。ちなみに、足はない(移動機構は状況に応じていろいろ取替え可のようだ)。
頭部が某映画に出てきた某キャラにそっくりなので、みこりんも親近感を覚えたのだろうか。盛んに「すごいすごい!」と興奮している。
「人間の代わりに宇宙に行くの?」と聞くので、「ロボットだからね、ヒトが行けないようなところでも行けちゃうんだよ」なんて応えていると、ふいにみこりんがこんなことを言った。
「じゃぁ、クローン人間も、そう?」
く、くろーん人間…。まさかみこりんの口からそんな単語がするっと出てくるとは予想してなかったので、かなり意表をつかれてしまった。
動揺をみこりんに悟られないよう「クローン人間は…、人間と一緒だから、ロボットみたいには行けないかなぁ」などと、答えてみる。
みこりんは「クローン人間って宇宙でも平気なんじゃないの?」と、やや不思議そう。
うーむ、これはもしかしてみこりんの言ってるクローン人間というのは、アンドロイドのことを指してたり?あるいは人間離れした機能を持ったクローン人間の登場する本でも読んだのだろうか。
クローン人間とは、というあたりからじっくり説明しようと私が身構えた時、みこりんは歯磨きのためにとっとと洗面所に消えていったのであった。…平日の夜は何かと慌しい。週末にでも、再度クローン人間の話題でもふってみるとしよう。
2007.3.11(Sun)
『MOON LIGHT MILE (14)』
『MOON LIGHT MILE (14)』(作 太田垣 康男)、読了。
宇宙(月)の覇権をめぐるアメリカと中国のせめぎあい。フィクションとはいうものの、現実世界でも中国の背後にはロシアがついているので、宇宙に限定すると案外いい勝負になるかもしれない。実際、中国は月面に赤い旗を立てる気満々のようだし、そう遠くない将来、月資源を巡っては一悶着ありそうだ。
ところで双方の宇宙軍による戦闘が描かれるのは、今回で2回目と記憶しているが、中国軍はそうでもないのに、アメリカ軍の戦闘艦が妙に不恰好にグレードダウンしてるのはなんとしたことだろう。図体がでかいだけの鈍ガメで、武装も貧弱、装甲も少々のデブリには耐えるが、砲撃されると一撃で破壊されてしまう程度の柔らかさ。そんでもって乗員の数が不必要なくらいに多い。これでは戦闘艦というより、兵員輸送艦なんじゃなかろうか。
大人数のレスキューという本作の根幹に関わるシーンを作り出すにはうってつけだったのだろうけど、なんだかしっくりこなかった部分だ。前回、アメリカ軍のそこそこ使える宇宙戦闘機を登場させてるだけに、その時との落差の大きさにがっかり感は否めない。でもまぁ中国軍の宇宙用軍服のデザインセンスはとてもよい。まるで60年代のB級SFに出てきそうなストレートさが、かの国らしくて微笑ましい。これでアメリカ軍のスマートなロボット兵に対抗して、中国軍が“先行者”もどきなロボットを繰り出してくれたら、さらにツボなんだが…
今後の展開に期待。
2007.2.5(Mon)
“火星の夕暮れ”
“火星の夕暮れ”
火星の地表で撮影された、これらの写真の中で、私もやはりこの作品が一番ぐっとくるものがあった。
荒涼とした大地に、沈みゆく太陽。この惑星上に、何らかの生命体が存在するかどうかは、いまだ確証はない。この、もの悲しくも美しい光景を見つめる瞳は、無人の機械達に搭載された人工の“目”だけなのかもしれない。
何千年、何万年、いや、何億年にもわたって繰り返されてきた、自然の営み。
私が子供の頃にも、やはり火星に到達した探査機があり、地表の画像を地球に送ってきたことがある。赤い惑星“火星”を象徴するかのような赤茶けた画像は、しかし、もう1種類、赤のフィルタを外したような画像も出回り、NASAの情報操作云々が、そっち系ではまことしやかに語られもした。
しかし、事の真相はともかく、一枚の写真に、どれほどわくわくさせられたことか。
あれから機械達に搭載される装置は、格段に進歩し、ここまでの映像を届けることができるようになった。これからさらに20年後、ヒトはあの惑星に降り立つことができるようになっているかもしれない。そしてさらにその20年後には……、私の肉体は滅びている可能性の方が高いが、もしも情報体としてネットワークに生きる術を人類が見つけ出したならば、私も自分の“目”で、昔、機械達がそうしたように、火星の夕暮れを、見ることができるのかもしれない。
そんなことを考えながら、見上げる地球の夜空は、ガスでぼんやりと曇っていた。
2007.1.11(Thr)
『宙のまにまに(2)』
『宙のまにまに(2)』(作:柏原 麻実)、読了。
高校の天文部の話。降るような星空に背筋がぞくぞくした人ならば、たぶん問題なくはまれるのではないか、と。
私の場合は、中・高と、このような見目麗しき女子達のまったくいない野郎共オンリーな科学部で、真夜中、星見をした記憶しかないのがちょっと痛いが、それでもやっぱり星空はいいのぅ…、と遠い目をしそうになってしまう。
たとえ、“初めて流星群をカメラで撮ってみたら、外灯に照らされた電線しか写ってなかった”とか、“シャッター開放で撮りまくってたら早々にカメラの電池が切れて茫然自失した”とか、そういう失敗があったとしても、やはり、“夜明けを迎える天空の色彩変化があまりに美しすぎて…”とか、“夏の夜のキャンプ地で、圧倒的な星の数に思わず声が出なかったり…”なんて貴重な思い出もあったりするので、まぁそれはそれで満足していたりする。
いやほんと、夜を徹して活動するエネルギーは若さの特権でもあるのだから、これからみこりんにもたくさんの宇宙を見てほしいと思わずにはいられない。でも近頃は、夏の休みときたら梅雨が終わってなかったりして星見が不発気味なのが残念だ。
さて、今年の夏は、長いか短いか…。そこが問題だ。
2006.12.1(Fri)
「月に願いを!」
来年夏、日本の月探査機『セレーネ』が打ち上げられる。この探査機にも、『のぞみ』や『はやぶさ』と同様、名前を乗せてくれるキャンペーンが始まったが、今回はメッセージも“可”になってるところが、これまでよりもちょっとすごい。
20文字までという制限はあるものの、みこりんの得意な俳句ならば十分すぎるサイズだ。
応募期間は来年の1月31日まで。
うっかり忘れないうちに、メッセージ考えて応募しておこうと思う。