2003.5.1(Thr)
もう1台のPC
GW初日は、素晴らしい天気で始まった。なにもかもが輝いて見える爽やかな緑の庭での、ガーデニングにはぴったりの気候だ。けれども、私にはもう1つ気がかりな事があった。それは、先月、組立てたばかりのPCを使えるようにすることだ。庭仕事と並行して、このセットアップ作業もやらねばならない。
新型PCは、長時間の動画変換に特化したマシンにするため、FDDやCDドライブ等、余計なものは一切つけていない。このPCにどうやってOSをインストールするかといったら、もう1台のPCのCDドライブをちょいと拝借するわけである。互いに筐体を開けた状態で隣接させ、IDEケーブルを相手の臓物内に“ぶすっ”割り込ませて、準備完了。インストールディスクを装着し、粛々とインストール作業は進んでいった。
ところが、再起動させるとHDDからOSを起動できない。どうやらMBRが逝ってしまったような雰囲気である。復旧を試みたが、ことごとく失敗に終り、一瞬途方に暮れかけた。
MBRが逝っただけで、データ領域が生きていることは確認済みである。となれば、もう1台のPCに増設してある大容量HDDと、こっちのHDDとを入れ替えるのはどうだろう。もともと長時間の動画変換に使う予定なのだから、HDDの容量が増える分には何も問題はない。HDD容量が減る方のPCにしても、長時間の動画変換は新型PCにやらせればいいので、こちらも特に問題はない。これで万事まるくおさまった、はず。
さっそくHDDを入れ替えて、OSのインストールからやり直し。今度はきちんと起動できた。
LCDを共有するため、新旧2台のPCを並べて置くことにした。もっとも、旧PCとはいえ、組立てたのはこの冬のことなので、どっちも新型PCである。旧PCは録画とDVD焼き専用マシン、新PCはMPEG変換用マシンとする予定だが、空いてる時間はみこりんに触らせてみようかと思う。というのも、この2台のPCの置き場所が、みこりんの部屋の入り口にあるため、なにかにつけて興味を示しているように思われるからである。きっとみこりんには、何かやりたいことがあるに違いあるまい。
2003.5.2(Fri)
ラッキー死す
みこりんの可愛がっていたカマキリの赤ちゃん“ラッキー”が、その後どうなったか気になったので、そぉっとプラケを覗いてみると…
ラッキー死す。
干乾びた状態で、底の方に転がっていたのだった。やはり蟻やニボシだけでは無理だったか。バッタとか、もっと食いでのある餌が必要らしい。
試しに庭の雑草のところを丹念に探ってみたが、バッタの赤ちゃんはその姿を少しも見掛けることはできなかった。小さくて黒いヒシバッタの子供とか、ちょっと大きなイナゴの子供は、そこそこいるようだが、オンブバッタの手頃なサイズの子供は、まったくいない。季節が早いのだろうか。
この状態で、ラッキーと同時期に孵化した他のカマキリの赤ちゃんはいったい何を食べているのか気になった。ときおり花の影でぴょんと跳ぶ姿を見掛けるので、もしかすると花に飛んでくる虫の類を捕食しているのかもしれないが…
ところで裏庭がものすごいことになりつつある。昨年、掘りそこねたゴボウ達が、一斉に葉っぱを展開してしまったので、もはや通過するのも一苦労といった有り様だ。座布団サイズの葉っぱは、あまりに大きく、菜園1号2号を、ほぼ覆い尽くしてしまいそう。このままではいずれ足を踏み入れることさへかなわぬ、ジャングル地帯と化してしまうだろう。今の時期、ゴボウを食すことが可能なのかどうか不明だが、とにかく掘ってしまわねばなるまい。ただ、ゴボウが生えているのが菜園の中ではなく、普通の庭土の方なので(こぼれ種で増えたから)、掘るのも大変そうだ。ゴボウがこれほど雑草化するとは…、おそるべし。
2003.5.3(Sat)
焼き焼き
天気予報通り、今日も素晴らしい天候だった。庭でバーベキューをするには絶好の日和である。さっそく食材を買い込んできて、焚き火台に炭を並べた。炭の下には剪定屑の乾燥したやつを一並べ。風やや弱し。条件は整った。
着火。徐々に火が回って行く。突然、もうもうと白煙が立ち上り始めた。まさに一寸先は白、みたいな猛烈な煙だ。お手伝いしようとスタンバっていたみこりんも、思わず家の中に避難するものすごさ。い、いかん。このままでは隣り近所に大迷惑になってしまう。早く燃してしまわねば。
思いっきりウチワで仰ぎ、白煙の元を燃やし尽くしにかかる。おそらく剪定屑の中に、十分乾燥していないのが混じっていたに違いあるまい。
およそ2、3分して、ようやく白煙はおさまった。炭の爆ぜる心地よい音が、響いている。それにしても暑い。火も熱いが、太陽もじりじりと容赦なく照り付け、帽子がなければそのまま倒れてしまいそうなくらいだ。
頃合いを見計らって、大アサリを網に乗せる。やがて漂い始める磯の香り。みこりんはグロテスクな貝の姿に最初引いていたのだが、おいしそうな匂いにつられて、自ら食べてみたいと申し出るほどになっていた。ところが匂いにつられたのはみこりんだけではなかった。またしてもスズメバチが飛来してきたのだ。しかし今回はあまりしつこくは飛び回らずに、上空を3周ほどして消えていってくれた。アサリよりも生肉が狙いだったのかもしれない。あいにく生肉は今回ちょびっとしか用意していなかったので、スズメバチには魅力的には映らなかったのだろうか。
たらふく食い、アルコールの酔いも回って、火の始末をしたあとは、みこりんと一緒にお昼寝タイム。ところが、これが大失敗。夕方になり、急速に冷え込んできたにもかかわらず、薄着のままで寝転んでいたものだから、なにやらひどい頭痛がする。おまけに体が異様にだるい。…もしや太陽に当たりすぎたせいなのか。若干の不安を残しつつ、夜は更けて行くのであった。
2003.5.4(Sun)
長良川へGO
長良川に釣りに行くという約束を、みこりんと交わしたのは昨日のこと。それからずぅっとみこりんは、釣りに行くのを楽しみに待っていたらしい。持っていく装備の確認をしてる頃から、みこりんはちゃっかり車の助手席に座り、待つほどの入れ込みようだった。
持っていくものは、例によってバケツが1個と、プラケが1つ。大中小の網3種類に、人数分の釣竿3本。釣りセットを収めたBOXと、ビーチパラソル、下に敷く銀マットに、そして折り畳み椅子といった具合である。これらの大部分を巨大なバッグに詰め込んで、一気に運ぶ。こうでもしないと、車から河原まで何往復もしなければならなくなるのだった。
目的地は、いつもの橋のたもとである。日曜日、しかもGW真っ最中ということもあり、10組ほどの先客がいたが、もともとが広大な河川敷のこと、ほとんど人の気配は漂っていない。ただただ豪快な水の流れの音に包まれている。
装備を展開終ると、さっそくみこりんの手を引き、水の中に入ってみた。浅瀬はぬるいが、やはりふくらはぎまで水に浸かると、冷水であった。雪融け水が流れ込んでいるような気配だ。何分もそうしてはいられないほどに、冷たい。でも、みこりんは意外に平気そうな顔をしている。「冷たくない?」と聞いても、「ぜんぜん」などと答えてくれる。みこりんは暑さには弱いが、冷たいのにはとことん強いようだ。冬でも布団を蹴飛ばして平気で寝るし、夏はちょっとでも布団がかかってると暑がって転がっていってしまう。体内に蓄積されたエネルギーの差なのだろうか。
足元を、ちょろちょろとよぎって行くものがいた。おそらくハゼ子だろう。うっかり踏んでしまいそうなほどの数だ。
ふと河原の方に視線を転じると、Licが折り畳み椅子で昼寝を決め込んでいる。たしかに今日もいい天気だ。ビーチパラソルの日陰は、怖いくらいに心地よいにちがいあるまい。
みこりんがハゼ子を捕まえてみたいというので、浅瀬へと移動した。流れの中に網を沈めてひたすらに待ち、寄ってきたところでそぉっと網の方に追い込んで行く戦法なのだが、みこりんは待つのが苦手だった。ついつい網の近くでばしゃばしゃとやってしまって、せっかく寄ってきていたハゼ子が蜘蛛の子を散らすように消えていってしまうことしばし。それでもようやく2匹ほどをゲットすることができた。体長1.5cmほどの、可愛いサイズだ。
これで満足してしまったのか、みこりんは肝心の釣りにはあまり興味を示してはくれなかった。釣りよりも、水の中に浸かってる方が楽しいらしい。そこで、釣竿1本だけに仕掛けをセットし、魚達が潜んでいる土手の方まで行ってみることにする。みこりんは、ずっと川の中を歩いて付いてきていたが、徐々に水深が深くなってくると恐くなったのか、ざばぁと河原へ上がってきた。
きらきらと鱗をきらめかせて魚たちが群れている。あまり大きいのはいないようだ。大きくても5cmくらいしかない。魚種はいまいちはっきりしないが、カワムツっぽいのと、オイカワっぽいのが無数にまざってる気配。
そっと仕掛けを水中に投じてみたが、魚たちは針よりも、仕掛けの籠の方に興味を示してしまってさっぱり釣れない。針が大きすぎるような気もする。何度か餌を詰め直してチャレンジしたが、結局、1匹もかかってはくれなかった。そろそろみこりんが飽きてきたらしいので、引き返す事にした。釣りは、もう少し魚が育ってからのほうがいいようだ。
再度、浅瀬で水遊びに興じるみこりん。遠くで石投げしてる子供達の姿を見て、自分でもやってみたくなったのか、川底に沈んだ石を拾い上げ、ばしゃっとやっている。でも角度が深すぎて、石は跳ねることなく水中へと消えた。しばらくその様子を観察してみたが、なかなか石は跳ねていかない。そこで私が手本を見せてやろうと、平べったい石を選んで、横からぴしっと投げてみる。
頭の中のイメージでは転々と石は跳ねて、幅広い川の半ばまで達するはずだったのだが、一回跳ねただけで、二度めはなく、そのまま水中へと没してしまった。むぅ、なんということだ。
いつしかみこりんよりも真剣になって石を投げている私。でも結局、石は毎回1度しか跳ねてはくれないのだった。単に投げ方を忘れてしまったのか、腕の振りが鈍ったか…、いずれにしても、ショックなことである。
頭上をトンビが多数旋回している。ひたすら昼寝中のLicを、獲物と定めているかのように。
そろそろ帰ろう。
帰りの車中、みこりんは案の定、爆睡状態。私も一緒になって眠ってしまいたいところだが、帰ったら装備の洗浄とハゼ子の水槽投入という仕事が待っている。昨夜の頭痛の種が、徐々にまた膨らみつつあるような気もして、これまた油断できないところだ。
2003.5.5(Mon)
補助輪外し
4月の後半あたりから、みこりんは自転車の補助輪を外して欲しい旨、訴えていたのだが、我が家には工具が不足していたため今日までそれは実現しなかった。しかし、ついにモンキーレンチを買いに行くべく、ホームセンターに向かっている。
助手席のみこりんも、なんだかいつもより顔が凛々しく見える。が、途中で睡魔にやられたようで、すっかり熟睡モードに入ってしまった。昼食後の心地よい満腹感と、穏やかな陽気に加えて、ちょうどよい振動が、みこりんを夢の世界へと誘ってしまったのだ。揺り起こしても「ねる〜」と言うので、仕方なく一人で店に入る事にしたが、車にみこりんを残して行くのは実に心配だ。買物は速攻で済ませてしまわねばならない。
工具の棚から、もっとも頑丈そうなヤツを選び出し、1本手に取ってみた。メタリックな輝きと、ずしりと手に沈み込む重量感が、なんとも言えず気色良い。こういう得物を手にすると、ついついぶるんと振ってしまいたくなるのが悩ましい。その衝動にかろうじて耐え、会計を済ませた。
眠るみこりんを乗せたまま、家に帰る。と、ぱちりとみこりんが目を開いたのだった。おそるべき執念。さっそく自転車の補助輪を外しにかかる。みこりんも車体を保持して、お手伝いしてくれた。
二輪走行の初披露は、公園で行う事になった。公園までの道のりは、ずっとみこりんが押して歩いた。邪魔な補助輪がないので、いつもよりハイペースで公園へと到着。いよいよみこりんが自転車にまたがった。両足は、かなり着くようになっているので、不安定感はあまりないように見えた。
そろりと、みこりんは発進した。じつにあっけなく、二輪走行をこなしているように見える。スピードを落とすと、ハンドルが多少ふらついているが、転ぶことはなかった。
4月に入ってから、保育園では年長組さんには、補助輪を外した自転車が遊具として与えられる。そのわずか1ヵ月あまりの間、みこりんは独力で二輪走行をモノにしてしまったらしい。4月の第二週目くらいには、すでに補助輪なしでも走行できるようになったとみこりんから報告を受けてはいたが、ここまで上達していようとは、少々意外であった。
補助輪を外しての自転車走行の練習ときたら、やはり「ちゃんともっててよー」と叫ぶみこりんに「もってるもってる」と相づち打ちながら、ちゃっかり手を離してたりする光景を思い描いていたのだが、まったくそんな必要はなかったようだ。それはそれでちょっと寂しい気もするが…
公園からの帰り道は、二輪走行を随所に織り込みながらとなった。さすがに坂道には苦戦しているようだ。でも、いずれこの坂道も難なく克服してしまうのだろう。今のみこりんには、それだけの勢いが感じられる。自転車に限らず、読み書き計算の能力、その他諸々の自然現象への興味は、以前よりも強く発揮されているように思える。オトナのペースでみこりんに接していては、適期を逃してしまうかもしれない。この時期の子供の観察は、通常よりも鋭くなければならないようだ。
時間の流れ
寝る前のひととき、みこりんがこんなことを言い始めた。「おとなは、こどもが7さいになるまでせわしないといけないから、それまではみこりんがぴーちゃんとにゃんちくんのせわする〜」
つまり、みこりんが7歳になるまでは私にいっぱい世話してもらわねばならないから、私がウズラやら猫やらの世話をしなくてもいいように、みこりんがやってあげようと、そういうことらしい。
なぜ7歳なのか?その答えはみこりんにもよくわからないらしい。では8歳になったら、もうみこりんの世話をしなくてもいいのだろうか?そう質問してみると、それはそれでダメらしい。7歳という線引きにはあまり意味はなさそうである。でも、どこでこういう考えに至ったのか、が気になった。おそらく何かそれに類する絵本かTVを見たのだろうとは思うが…。あるいは保育園でそういうお話を聞いてきたのかもしれない。
近頃のみこりんは、将来の事を考える機会が多くなっているような印象も受ける。私が何歳まで生きるのか?と考えたり、小学生ごっこをやってみたりと、そのタイムスケールは様々だが、みこりんの中で時間の概念が強く形成されつつあることは確からしい。それと同時に、ちょっと前まではあれほど鮮明に覚えていたはずの2歳から3歳頃の記憶が徐々に薄れつつあることも確認した。これらに相関関係があるのかどうか、興味深いところである。
2003.5.6(Tue)
ADSL開通
Yahoo!BBの開通日、私は熱っぽいので寝込んでいた。届いたADSLモデムを、Licがなんとかしようとしていたが、いつかこういうこともあろうかと、我が家ではISDNルータを使っていた頃から、もう1台ルータを繋いでいたのだ。このルータのWAN側はDHCPでIPアドレスを取得するように設定しているため、Yahoo!BBのADSLモデムの場合は、そのまま接続すればOKなのだった。
というわけで、ぷちっと繋いでみた。
おぉぉぉ、Webブラウザがさくさくと動く。ISDN時代とは、えらい違いだ。Licがアッピーやりながらでも、メールもFTPもWebアクセスも自由自在。か、感無量である。
ちなみに速度チェックをしてみたところ、255Kbps(WinXPの場合)と出た。Licがアッピーやってるとはいへ、局から1kmの地点とは思えない数値。まぁそれでも64KのISDNに比べると段違いなので、そこそこ満足してしまうところがちょっと哀しい。余裕が出来たら、ちょっとチューニングなりノイズ対策なりしなければなるまい。
2003.5.7(Wed)
いきなり不通
朝のこと、Licがインターネットに繋げなくなったと言う。確認してみると、ルータでIPアドレスを取得できていないことがわかった。確かにこれでは接続できない。しかし昨夜までは何の問題もなく動いていたはずだが…、PCの電源は落としてないし、いったい寝ている間に何が起きたのか。
試しにルータを経由せずに、直接PCをADSLモデムに繋いでみると、正しくIPアドレスが取得できる。ということは、ルータ用のPCに何か問題が発生しているようだ。
問題点を追求せねばならないが、あいにく今日は日が悪い。とりあえずLicのPCを直結してアッピーはできるようにしておいたが、このままではメールも日記の更新もままならない。こういう時に限って、妙に体調が悪かったり、忙しかったりするのは、なんだか罠のような気もするので、無理はしないが吉。早々に床についたのであった。あとでゆっくり考えるとしよう。
2003.5.8(Thr)
丸いナメクジ
夜、家族揃っての帰宅。この季節、夜ともなれば、いろんな生き物たちが蠢き出す。
門のところに、一匹のナメクジがいた。それを目敏く見つけたみこりんが、じぃっとしゃがんで見つめている。ふいにみこりんが枯れ葉をつまみ上げると、その軸の部分でナメクジを、軽くつんつんと突っつき始めた。
突かれたナメクジは、触覚を縮めて反応している。それが面白かったのか、みこりんの突きは、少し激しさを増した。ナメクジは、今度は体全体を縮めて丸まるように横になった。ころころのドングリみたいな感じに転がっている。
みこりんは私を見上げて言った。「なめくじ、かわいー!」
昨日までナメクジ気持ち悪いと言っていたのに。丸いもの好きのみこりんらしい。
2003.5.9(Fri)
ハリエンジュの芽吹き
毎年この時期になると、みこりんの木“ハリエンジュ”の芽吹きが気になってしまう。今年もじつにあやうげに、わずかの枝先にちょぼちょぼっとしか葉っぱが出ていない。それでいてもう花が咲いているのだった。
ぱっと見、枯れ木のようなのに、局所的に桃色の花が垂れ下がっているのだ。この状況では、他の枝に芽吹きはあまり期待できないかもしれない。たしか去年は花が咲く頃には、だいたい他の枝にも葉っぱが展開済みだったはず。
冬の剪定がまずかったのだろうか。かなり大胆にばっさりといった部分もあるし…。もしやこのまま枯れてしまうのでは、という怖い予感もあったりするのだが、もはやこうなってしまってはただ見守るしかない。
この木は、夏頃が一番葉っぱの勢いがあるので、まだ望みはある、とは思うのだけれど。
ハリエンジュの地下茎で増えた方の白花のヤツは、それとは対照的に満開の花と鮮やかな緑の葉っぱに包まれて、じつに元気がいい。も、もしや昨年、この地下茎を途中で切断したのが今ごろ響いているのでは?じつは白いヤツが本体の栄養を吸ってたんじゃなくて、本体がこっちの白いヤツから栄養を補助してもらってたんではなかろうか。………はたして、どっち。
2003.5.10(Sat)
結婚式前日
明日、義妹(Licの真ん中の妹)の結婚式が執り行われる。この日の為に、みこりんのドレスも新調した。白を基調として、淡いピンクのレースに花の模様があしらわれた、華やかなものだ。今回は靴も合せて買ったので、髪を飾るバレッタと共に、まさに頭の先から爪先まで、めかしこむことになる。
衣装と、一泊分の荷物を車に積み込み、駅へと向かったのが夕方4時。電車の発車時刻4分前に駅に到着したが、車を駐車場に停めねばならないので、タイミング的にはじつにきわどいものだった。駐車場は駅から徒歩でも、5分以上はかかる場所にある。駅にLicとみこりんを先に降ろして、私は駐車場へと急いだ。1本逃すと、次は30分後、下手すると1時間後なんてのがざらな、田舎の駅のこと。ここはなんとしても間に合っておきたいところだ。
車を所定の位置に停めた時には、すでに3分前になっていた。果たして大丈夫なのか。線路に沿った道を、全力疾走。しかし、ほどなく息が上がり、走っているのか歩いているのか、どっちとも言えないような状態に至る。日頃の運動不足がうらめしい。仕方なく、早足で歩いた。やがて耳に届いてくる踏み切りの鐘の音。振り返ると、遠くに電車のヘッドライトが見える。減速しつつ接近してくる電車は、あっけなく私を追い越して、駅へと吸い込まれていった。そして停車。
駅まであとわずか。気力でダッシュを試みる。駅ではLicとみこりんが、「はやくはやく」と言っている。どうやら電車は対向待ちで、一服しているらしい。チャンス到来。
みこりんの手を引き、階段を駆け登り、ホームへと急いだ。
*
定刻よりやや遅れて電車は発車した。間に合ったのだ。ぜぇぜぇと息が上がるのを、しばらく止められないでいた。
ローカル線を乗り継ぎ、名古屋から新幹線でひとっとび…、もとい、ひとっぱしり。2つの座席を、3人で座る。この体勢も、来年はもう無理だろうなと思いつつ。
Licの実家では、明日の花嫁が自らブーケ作りに精を出していた。できるところは自作するのが、費用を節約する第一歩だ。
すでに義妹達はみんな実家を出て生活しているので、結婚式を明日に控えているとはいっても、さほどしんみりしたムードは漂っていない、ように思えた。淡々と、家族の団欒があり、おそらくいつもの土曜日と同じように、夜は更けていったのだろう。ただ、私が眠りに落ちたあとも、義母とLicそして義妹は起きていたようなので、そこでどんな会話が交わされたのかは、謎である。
2003.5.11(Sun)
結婚式当日
朝早くから女性達は、髪のセットやら着付けのために、式場へと向かっていった。残された私と義父は、小一時間ほどくつろいだのち、ゆるりと出かける準備を整える。私が礼服に着替えるのに、約10分ほど。じつに簡単なものだ。
外は小雨。明るい曇天である。式場となるホテルまでは駅からずっと人工物の中を通って行くため天候は関係ないのだが、気分的にはからっと晴れてて欲しかったような。
さて、親族控え室にて。着飾ったみこりんが、ちょろちょろっと入ってきた。うん、華やかだ。そのあとからLicが続く。黒い。既婚女性はとても地味。Licの末の妹は、一転して艶やかな振り袖姿。もちろん未婚である。じつに対照的だ。
やがて花嫁登場。オーソドックスだが純白のウェディングドレスは、場の雰囲気を一気に結婚式ムードに盛り上げる。みこりんがそんな花嫁の姿を、じぃっと見詰めていたのが印象的だった。自分のドレスと比べてるんだろうか。
教会式の結婚式では、聖歌隊のお姉さん達のコスチュームが、これまた一風変わっていて印象に残った。コスプレ会場にいそうな感じの、青と白のずぼっとした服で、どこか浮世離れした雰囲気。赤い珠の埋め込まれた杖を持ってても不思議ではない。かといって浮きまくっているというわけでもなく、しかるべき場所に落ち着いてるのが、かえって奇妙でもあった。
続いて披露宴である。親族よりも友人連中の方が多く、しかも新郎新婦が社内恋愛であったため、双方の上司が顔見知りらしい。なにやら和やかな空気が漂っていた。
ところがみこりんの顔が曇ったままだ。カメラを向けても、両手でレンズを遮って隠れてしまう。どうもご機嫌斜めらしい。まぁたしかに結婚式のスピーチを聞くというのは、あまり面白いものではない。特に幼児であるならなおさらか。
でも、ようやく興味あることを見つけたようだ。持参していたデジカメを手にすると、みこりんは花嫁の写真をばしばしと撮りはじめたのだった。あとで確認してみたところ、構図はいいのだが、オートフォーカスの罠にはまってほとんどが手前の人影やらモノにピントが合ってしまっていた。じつにもったいない。
みこりんと、Licの末の妹が、会場のすみっこで、音楽に合せて二人してぴょんぴょんとジャンプしている。みこりんの顔は、さっきまでとはうってかわって満面の笑みである。退屈の虫は去ったらしい。ここぞとカメラで激写を試みるも、今度はご機嫌がよすぎてきゃっきゃと駆け回り、手動ピント合せのAE−1ではちょっと苦しい。
最後に花嫁が、両親に対して手紙を読み上げるイベントがあった。義妹はマメな性格らしい(ちなみにLicの時にはそういうイベントは組込まれなかった)。高砂の対面に並んだ義父母が、かなり神妙な面持ちで聞いていた。たしかに娘に小さい頃の思い出を涙ながらに語られると、ぐぐっとくるにちがいあるまい。思わず、花嫁とみこりんがだぶって感じられ、同調しそうになった。みこりんは今はまだ「みこりん、おとーさんがいいからけっこんしない〜」なんて言ってくれてるが、あと数年もすればどうなることやら。
つつがなく、すべてのイベントが終了したあと、義父は妙にハイテンションであった。さっきの反動だろうか。
そんな午後、できればゆっくり明日も休みにしたいところだが、あいにく私は早朝から出張がある。否が応でも今日中に家に帰り着かねばならない。
新幹線の中で、みこりんは爆睡していた。家に着いてからも、そのまま眠り続けていた。明日、記憶がどのようにつながっているのか興味あるところだ。
2003.5.12(Mon)
眠りの浅い日
夜明けよりも早く起きだして、出張の準備をする。昨夜は、睡眠中によく目が覚めて、あまり寝たような気がしない。何かが心にひっかかっているような違和感がずっとあるのだが、その原因がわからないまま、電車に乗り込む事となる。
新幹線の中でも、電光ニュースが妙に気になって居眠りの1つもできずに終ってしまった。ふっと見逃した語尾が『…残忍』だったりしたのも影響しているに違いない。
朝からねっとりした疲れに覆われているような。空からは小雨もぱらついてくるし…。
さて、そんな状況でも仕事は仕事で、時間通りに会議は始まり、そして夕刻にはきっちりと終了した。長引かなかったのが、せめてもの救いといえよう。
Licからケータイにメールが入っていたので、その指示どおりに秋葉原でお買物。なんでも、スプリッタと分配器が欲しいらしい。Yahoo!BBになったのはいいのだが、ADSLモデムに電話機をつないでいると、着信したとたんにリンクがいったん途切れるのが、Licには不満なのだった。オンラインゲームしてる真っ最中に、サーバとの接続が切れてしまうのは、たしかに不便だろう。
いろいろとスプリッタやら対ノイズ用品を物色し、ついでにブロードバンドルータも買った。そこそこの性能で、しかも消費電力が3W程度とかなり低い。常時稼動するものなので、これはなかなかポイント高かった。これで5000円切ってるのだから、今使ってるルータ用PCの不調の原因を究明する気も失せてくる。新型PCの新たな置き場所にも困っていたところだし、この際、ルータ用PCは撤去だ。
帰りの新幹線でも、やっぱり睡魔はやってきてはくれなかった。眠れそうで眠れない。なんだかどっと疲れが蓄積してしまったような一日であった。
2003.5.13(Tue)
ねむい日
昨日買ってきたブロードバンドルータの接続やら、いろいろとやらねばならなことは溜まっていたが、最近は諸般の事情で夜の自由時間が極端に短い。おまけに今宵は昨日の反動か、猛烈な睡魔が早々に降臨しつつある。こんな時には、逆らわずに流されるのがいい。へんにがんばっていると、すぐに喉に来たり、熱出たりするし…。しかも明日も出張、気力を充実させておかねば、もちそうにない。
弱々な今日このごろである。
2003.5.14(Wed)
チャルメラの正体
今日も出張。しかも、また雨。時間的には東京まで出向くのと大差ないが、距離的にはその半分以下のところまで行ってきた。ここのところ電車に乗ってる時間が妙に長いのだが、そのせいかどうか体に重い疲れが蓄積してきているような気がする…
さて、ようやく最寄りの駅までたどりつき、Licの運転で家まで戻ってきたときの事だ。チャルメラの音が聞こえた。去っていってるのではなく、接近しつつある気配。夜のチャルメラといえば、みこりんが眠ってる時にやってきては、恐怖のどん底に突き落としていくという怖いイメージが、みこりんにはあるようだ。いまだ見ぬ恐るべきチャルメラの正体を、いまここで明らかにしておくのも悪くない(ちょうど小腹も空いてきた事だし)。
年長組さんになって、みこりんにも多少、度胸がついてきたようである。今からチャルメラがやってくると聞かされても、以前ほどにはパニックを起こす事はなかった。恐怖よりも興味の方が勝っているらしい。
やや小降りになってきた雨の中、みこりんを抱っこして門の前で待つ。やがて…、独特の音色を奏でながら、チャルメラが今、角を曲がって姿を現した。赤い提灯が、暗がりに異様に目立つ。
ゆっくりゆっくりチャルメラは進んできて、目の前で静かに停止した。音量がぐぐっと下げられ、ガチャリとドアが開く。チャルメラのおじさん登場。みこりんの目は、後部ハッチをオープンにしたままの白いワンボックスに釘付けであった。
ぐらぐらと沸騰している鍋とスープの鍋が1つずつ、後部ハッチの内側に収まっていた。天井からぶら下がった手書きのメニューによれば、4品あるらしい。が、チャルメラおじさんによれば、今夜は1品しかできないのだという。そこで唯一残った“醤油”を注文した。
上に跳ね上げられた後部ハッチを傘代わりにして、チャルメラおじさんが調理にかかる。みこりんはその手元が気になるのか、抱っこされたままぐぐっと身を乗り出して覗き込んでいた。でもチャルメラおじさんの大きな背中で視界を覆われ、ほとんど見えない。忙しげに手を動かしているようだが…
ほどなくして、視界は開けた。完成したのだ。
チャルメラは、再び音量を上げ、ゆっくりゆっくりと去っていった。
リビングにてラーメンの味を、3人で交互に確認しあった。異様に麺が細い。でもまぁ出来立てなので、ほどほどにうまい。みこりんもラーメンを堪能したようである。さっそく次回のチャルメラが来たときにも注文しようなんて言っていた。
おそらく、今度寝ているときにチャルメラがやってきても、みこりんが泣く事はないであろう。今宵みこりんは、チャルメラの正体を、ついに知ったのだった。
2003.5.15(Thr)
夜のナメクジ
夜の玄関先で、静かに動くものがいた。無数に散った白いニセアカシアの花びらに混じって、ぬらぬらと鈍く光っている。いち、に、さん、し……、およそ10ほどの光が地面に落ちている。
花びらを食べているのは、ナメクジであった。みこりんが、そろぉっと脇を摺り抜けるようにして通っていく。踏まないように慎重に慎重に。先週は丸くなるナメクジを見て「かわいー」なんて言っていたみこりんだったが、やはり踏むのはイヤらしい。私もナメクジは踏みたくない。たとえ靴を履いていようとも。
雨上がりの夜は、ナメクジによく出会う。屋外だけでなく、屋内においても例外ではない。思わぬところにいて、うっかり生足で踏んずけてしまうことも二度三度…。
ところで昨年まではウッドデッキで育苗中の花苗を、ナメクジに多数食害されて痛い目にあってきたのだが、なぜだか今年はバジル数本だけで済んでいる。ナメクジが嫌いなタイプの植物が多いのか、はたまたナメクジ避けの効果のあるやつが混じっているのか真相は不明だが、このまま無事に育ってほしいものである。
2003.5.16(Fri)
設定完了
珍しくLicが発熱して寝込んでしまったので、思わぬ休暇が舞い込んでくる事となった。みこりんを保育園に送り届けると、さっそく懸案だったブロードバンドルータの接続にとりかかる。それと合せてルータ用PCを撤去した。
3台縦積みの真ん中から、そのルータ用PCを取り出して、空いたスペースに新型PCを持ってきた。これでLicはアッピーを、隣り合うモニタでプレイすることができることになる。
さてブロードバンドルータは、説明書通りあっけなく作動した。問題といえば、IPアドレスが変更できないため、Linuxサーバの各種設定ファイルに記述したアクセス制限用のIPアドレス等を、すべて書き換えなければならなかったことくらい…。あぁ、それともう1つ。このブルードバンドルータには“不正アクセス遮断機能”があるのだが、なにをもって“不正”とみなすのかマニュアルに記述がなかったことが不安といえば不安。ことによれば柔軟にセキュリティ設定のできるルータ用PCの復活もある得る、かもしれない(不調の原因は判明したので、いつでも交代はできる。ちなみにその原因だが、IPnutsとYahoo!BB特有の問題だった。こことかここに対策記述あり)。
2003.5.17(Sat)
イチゴいろいろ
バラと木イチゴの蕾がいい感じに膨らんできたなと思っていると、突然くたっと萎れてしまうことがある。調べてみると、たいてい折れた茎の周囲には、小さな穴が螺旋状に開けられているのだ。そして葉っぱの一部がロールキャベツのように巻かれている。
こういう芸を見せるのは、おそらくオトシブミの一種だろうと思うのだけれど、実際目撃した小さな甲虫と、図鑑に載ってるオトシブミの一覧には、一致するものが見当たらない。葉っぱを巻いてるのと、茎に穴を開けて折ってしまうやつとは、じつは違う虫なのだろうか。いずれにしても、花茎を折られてバラと木イチゴはかなりダメージを受けてしまった。昨年は木イチゴも盛大に枝を伸ばしていたので相対的に影響は少なかったが、今年は枝が1本しかないので被害は甚大である。みこりんと実を収穫することができるのかどうか、じつに微妙だ。
木イチゴはそんな具合で収穫が危ぶまれているのだが、雑草化しているイチゴの方は、そこここで赤い実をちらつかせている。それらの中から、みこりんは3つほど大きくてカタチのいいやつに目をつけていたらしい。先週の段階では、まだ色も白っぽかったので、みこりんも収穫を我慢していたようだ。それがようやく赤く色づき、収穫の時期となった。
さっそくみこりんは、勇んでイチゴの元へと駆けていき、葉っぱの陰から覗いている鮮やかな赤い実に、そぉっと手を伸ばし…
みこりんの顔が曇っている。いったい何事か。みこりんの指差す場所を、そっと見る。
どうやら先を越されたらしい。みこりんの狙っていたイチゴの実は、ナメクジとダンゴムシによって、大きな穴が穿たれていたのだった。
おいしい実は、虫もよく知っている。今年もまた、虫とみこりんとのイチゴ争奪戦が始まる季節となったようだ。
午後、みこりんはちょっと白っぽいイチゴを、庭から摘んできていた。これならば穴は開いていないのは確実。だが、ちょっと食べるには早いような。でもとりあえず、家族みんなで初収穫のイチゴを試食。
…やっぱり酸っぱかった。まぁそれでも、新鮮だからいいか。
2003.5.18(Sun)
みこりんの外出
今日は団地の春祭り。毎度のことながらフランクフルトを焼く係なので、一時間ほど役目を果たしてこなければならないのだが、この季節、なぜだかLicは熱を出すことが多い。そんなわけで、今年も私が出かけることとなる。
私が模擬店で焼き、Licは家で体を休める、となればみこりんはどうするのか。お祭り会場である公園までは、一緒にくっついてきているのだが。
昨年までだったら、私のそばにいたがっただろう。しかし今回のみこりんは一味違っていた。一人で大丈夫と言うのだ。あっというまにお友達を見つけて、とっとと駆けていってしまった。
まぁこれだけオトナの目があれば、たとえ不審者が混ざっていたにしてもすぐにわかるだろう。というわけで、みこりんを自由に遊ばせておいて、私は焼きに専念する。でも、時々みこりんの所在を確認することは忘れずに。みこりんの服装は、全身オレンジなのでよく目立った。
途中、二度ほどみこりんがおこずかいを「ちょうだい」しにきた。お友達と何か買物するらしい。自分だけで何かを買うというのも(模擬店とはいへ)、今回が初めてなのではなかろうか。みこりんなりにお祭りを堪能しているようだ。
さて、焼きタイムも終了し、帰ることにしたのだが、みこりんはもう少し遊ぶのだという。お祭りはまだ続いているし、お友達もいることだし、ちょっとだけ迷った末に残していく事にした。
みこりんがいない家の中は、やっぱり妙に寂しい。午後3時過ぎ、そろそろお祭りも終る時刻。公園までみこりんの様子を確認しにいくと、なんとっ!どこにも姿が見えない。一緒にいたはずの友達の姿もないので、その子の家にでも行ったのかもしれないが、やっぱりちょっと心配である。こんなときこそ位置情報確認サービスがあればと思うが、よく考えればみこりんはケータイを使えるのだから、私の分を手渡しておけばよかったのだ。そうすればいつでも連絡がついたのに。
「ただいま〜」と、みこりんが戻ってきたのは夕方になってからのことだった。「みこりん、だれにもさらわれなかったよ」と言うとおり、無事でなによりである。
カナヘビとニシキヘビ
みこりんも無事に戻ってきたことだし、ひとしきり一緒に庭で遊ぶ事にした。ガレージで自転車遊びなぞやっていると、コンクリートブロックの上にカナヘビ君がたたずんでいるのに気がついた。
長い尻尾をはみ出させて、じっとひなたぼっこをしているようだ。みこりんにも教えてやると、思わぬ行動に出たのだった。
みこりんは体を低くすると、そろぉっとカナヘビ君の方ににじりよってゆく。ま、まさか…。コンクリートブロックが高さ1m10cmほどあるため、みこりんが姿勢を低くすると、カナヘビ君の死角に入ってしまうらしい。カナヘビ君は、微動だにせずそこにあった。細い尻尾の先っちょも、ぴくりともせず、空間ににゅっと突き出たままだ。
そこへ、みこりんの手が伸びる。そぉっとそぉっと。そしてついに、みこりんが尻尾を、つかんだっ。しゅるるるるっと、脱兎のごとく庭へと消え去って行くカナヘビ君。そら驚いたろう。いきなり尻尾つかまれたら、私も驚く。ちょっと心配だったのは、尻尾を切っていかないか、ということだったのだが、幸いそれはなかった。
満面の笑みで、みこりんはカナヘビ君を触った感触を、こう評してくれた。「ニシキヘビみたい!」
なんと、みこりんはニシキヘビに触った事あるのか!?いったいいつ、どこで。頭上を“?”が回転し始める。
ところがみこりんは、平然とこう答えるのだった。「でもニシキヘビにさわったことないけど〜」って、なんやそれ。おちゃめなみこりんである。
2003.5.19(Mon)
“クワガ”
庭で捕まえたゴミムシの一種と、コガネムシの幼虫らしきものを、みこりんが大事にプラケで飼っている。最初は小さなプラケに入っていたのだが、幼虫が腐葉土を食べると私に教えられてから、急に昨年までクワガタを飼っていたプラケのことを思い出したらしく、移し替えられていたのだった。
ところでみこりんは、ゴミムシのことを“クワガタ”、幼虫のことも“クワガタの幼虫”と、思っているらしい。いずれも小さな一対の顎がある。たぶん保育園でそういう“噂”が流れているのだろう(保育園では“クワガ”と呼ぶのが通らしい)。もっとも、ゴミムシの方はともかく、幼虫の方は、じつは本当にクワガタかもしれないので、みこりんの期待は続くのであった。
2003.5.20(Tue)
TV画面
近頃、みこりんは早起きである。私やLicが目覚める一時間は早くに、すでに起床しているらしい。夢うつつで私が確認したところによれば、寝室のTVをつけて、何かをじっと見ているようである。何を見ているのかといえば、教育TVなのだった。
まるで、ひそかに何かを覚えようとしているかのように。…もしも、TV画面から何か別のメッセージが出ていたら、と考えるとちょっと怖い。
私も早起きした方がいいようだ。
2003.5.21(Wed)
虫食いイチゴ
毎朝、庭からイチゴを採ってくるのがみこりんの日課になりつつあった。でも、虫が食ってないのを探すのは、なかなか苦労しているようだ。まさに虫との争奪戦である。
でも近頃ではみこりんも慣れたもので、少々穴の開いたやつでも、中に虫が入ってなければ平気で摘んでくるようになった。そういう実は、穴のところだけナイフでほじればOKだとわかっているからだ(もちろん、ナイフを使うのは私)。
赤い実で、虫が食ってるのが今のところ8割くらい。ちょっと穴が開いてるだけならともかく、半分以上齧られていてはさすがに食用には適さない。そういうものもかなりあった。みこりんの野望であるところのイチゴジャムを作るには、まだまだイチゴの数は足りない。
2003.5.22(Thr)
蟻の海
朝の事、みこりんは例によってイチゴを摘み、私は鉢物に水遣りをしようと『完璧な防壁』のドアを開けた。水道のホースは防壁の外にあるのだ。
ジョウロにどばどばと水を入れていると、みこりんが「おとーさん!これめくって〜、これめくって〜!」と大騒ぎを始めた。
みこりんが「めくって」と言っているのは、防壁の扉の下に敷いたウッドパネルである。何故、めくってほしがっているのか。私はじぃっと目を凝らしてみると、そこに蠢く無数の小さきもの達。
蟻である。蟻がパネルの下からぞろぞろと湧き出してきているのだ。
私は思い切ってパネルをめくってみた。その腕に思わずおぞけが走る。そこはまさに蟻の海だった。蟻で地面が見えない。蟻が蟻の上に重なり、団子状にとぐろを巻いている。どうやら蟻の巣がこの下にあったようだ。で、ちょうど今はお引越しの真っ最中らしい。
みこりんは、その蟻達にせっせと水をかけはじめた。じつは最近、家の中に蟻が侵入してくるようになり、流し台のところが蟻まみれになることがしばしばあった。その時、熱湯をかけて退治していたのだが、どうもそれを真似ているようだ。
朝の忙しい時間帯ということもあり、うっかり庭にいる蟻は退治しなくてもよいのだということを言いそびれた事に気付いたのは、みこりんを保育園に送っていったあとのことだった。失敗失敗。あとで修正しておかねば。
2003.5.23(Fri)
雷と猫
にゃんちくんが、猫トイレの中でうずくまっている。名前を呼んでも、小さく「な」と返すだけで、どことなく視線が泳いでいた。
家の外では、さきほどから「がらがらがら」と、雷の音。にゃんちくんは、雷が大の苦手なのだった。
ときおり口を、ぺちゃぺちゃと舐めるように動かすのが印象的。なんだか喉が渇いてしょうがないような雰囲気だ。
それにしても、なぜ猫トイレなのか。にゃんちくんがいつも愛用している猫ソファではなく。もしかすると、本能的に下の方に逃げようと思うのかもしれない。猫ソファは地上80cmほどのところにあり、猫トイレは床上にある。下の方が安全だと、獣の勘が囁くのだろうか。
雷が去って、およそ3時間後、ようやくにゃんちくんは猫トイレから出てきていた。慎重なにゃんちくんである。
2003.5.24(Sat)
ウォークラリー
保育園の参観日、恒例のウォークラリーが催されるため、みこりんと共に私が出向くことにした。昨年に引き続きの参加である。今年が保育園最後の年ということもあり、ぜひとも自分の目で記憶に焼き付けたいという思いもある。
真夏日とまではいかないまでも、陽射しの厳しい天気だった。出発を待ってる間、早くも汗が首筋を伝ってゆく。手渡されたコース表によれば、昨年の山登りがなくなって、代りに2倍ほど遠くの場所(平坦地)まで歩いて行かなくてはならないらしい。個人的には山登りコースが楽しかったんだが、仕方あるまい。
昨年は出発時に先生とジャンケンして時間差を設けていたが、今回はそれがなかった。皆一斉のスタートである。園長先生が替わったことも影響しているのかもしれない。
通過すべき3つのポイントのうち、最初の場所は例によって牛小屋である。昨年は子牛を怖がって、そばに寄ることさへできなかったみこりんだったが、今年は年長さんの貫禄を見せてくれた。躊躇することなく子牛に接近すると、微妙なタッチで柔らかな毛並みに触れたのだった。時間にして1秒もなかったが、みこりんの顔は終始笑顔であり、恐怖心に好奇心が打ち勝っているのが見て取れる。もっとも、巨大な親牛の方はやっぱり怖いらしく、私の背後からそっと覗くだけにとどまっていたが、両脇から牛に迫られてパニックになることはなかった。これもまた進歩といえよう。
2番目のポイントに向かう。牛小屋の向こうに鶏舎があり、さらにそこを過ぎてどんどん歩いてゆくと、山間に田圃しかない場所に出る。景色だけ見ていると、はるか人里離れた僻地のような感じ。脇道に生えているアザミの花が、目に鮮やかである。
そこでの課題は、ヨモギ、セリ、スギナの3種類の植物を採取することだった。ヨモギとスギナはいいとして、問題はセリである。どんな形の葉っぱだったか思い出せない。むかーし、まだ私がみこりんくらいのころ、父親に連れられて、やっぱりこんな感じの田圃の用水路でセリを摘んだ記憶はあるのだが、肝心のセリの形は記憶の中からすっぽりと抜け落ちているのだった。
ところがみこりんは自信満々であった。セリのことならまかしとけ、といった具合にさっさと探しにかかる。そしてあっというまに見つけてしまった。「これが、セリ〜」と見せてくれたが、私にはそれが本当にセリなのかどうか判別できない。とりあえずみこりんの野生の勘を信用して先生に見せにゆくと…、合格だった。どうやらみこりん、日々のお散歩でセリをすっかり覚えてしまっていたらしい。
3番目のポイントは、昨年もやった草滑りだった。土手を段ボールで滑り降りるとOKなのだが、みこりんには“良い段ボール”と“悪い段ボール”の区別が明確にあるようだ。適当な段ボールでとっとと滑り降りるのは、みこりん的には不許可らしい。というわけで、“良い段ボール”が空くのを延々と待つことになった。
みこりんが果たしてどんな対処をするのか、ここは口出しせず見守ることにする。以前なら「かーしーてー」と自己主張していたように思うのだが、みこりんはただひたすらに待っていた。元気よく滑っているのが、活発そうな(悪く言えば乱暴モノっぽい)男の子ばっかりというのも影響しているかもしれない。時間は刻々と過ぎてゆき、気がつけば周囲に人影はまばらである。ここでようやくみこりんは“良い段ボール”をゲットし、喜色満面で土手を滑り降りてきた。じつに我慢強いみこりんである。土手の上では既に先生が段ボールを回収にかかっており、あやうく置いてけぼりを食ってしまうところであった。
こうしてウォークラリーは終了した。来年はもうないかと思うと、なにやら寂しくもあり。みこりんは日々大きくなってゆく。
2003.5.25(Sun)
生え替わり
子供の歯の裏側に、大人の歯が重なって生えてきたらどうする?みたいな意味のことを、さっきからしきりとみこりんが質問している。なんとなく鮫の歯をイメージさせるその言葉に、みこりんのちっこくて愛らしい口とのギャップが激しく、一瞬思考が停止しかけた。それにしても、妙にリアルな質問である。
とりあえず「子供の歯を抜くかも」などと答えてお茶を濁そうとしたのだが、その後もみこりんの質問は続いた。鮫の歯が、よっぽど気になるらしい。ついに不審に思ったLicが、みこりんの口をあーんとさせてみると…
なんと、大人の歯が生えてきつつあったのだった。
下側の右の前歯の背後から、にょっと姿を現している白い永久歯。まさにみこりんの質問通りの展開であった。どうやらみこりん、自分の舌でこの状況を敏感に察知し、不安になっていたのだろう。みこりんはストレートに「こんなになった」と言うのではなく、遠回しな言い方で状況を匂わすことがある。たとえば鼻血が出そうな時とか、お腹が痛い時とか。だからこちらもそれらのシグナルを鋭敏に察知しなければならないのだが、いつもうまくいくとは限らない。今回も危うく見逃してしまうところであった。
それにしても、乳歯が抜けてもいないのに、永久歯が裏側から生えてくるという状況は、大丈夫なんだろうか。それ以前に、永久歯って下の前歯から生えてくるものなのか。私が子供の頃は、たしか上の前歯からだったような…。Licもこれには同意見だった。上の前歯から抜け替わるので、しばらくはネズミのように見えた記憶がある。
こういう時には、さくっとググってみるのがよい。“永久歯”“生え替わり”など、思いつくキーワードを入れて探ってみると、徐々に状況がつかめてくる。どうやら最近の子供は、下の前歯から生え替わるのがデフォルトらしい(普通はその前に第一臼歯が生えるようだが)。昔は上の前歯からだったということなので、私とLicの記憶は誤りではなかったようだ(なぜ上と下の生える順序が入れ替わったのか、興味深いところである)。
永久歯が生え始めたみこりんの前歯の乳歯は、かなりぐらぐらになっていはいたものの、まだ抜けそうな気配はない。通常はこうなる前に、乳歯の根本は永久歯によって溶かされ、抜けてしまうものらしいが、たまにこうやってだぶってしまうこともあるのだとか。永久歯の成長を阻害するようなら乳歯の抜歯も必要と、とあるページに書いてあったので、来週はさっそく歯医者にみこりんを連れて行かねばならないようだ。一度ちゃんと診てもらっておかねばなるまい。
2003.5.26(Mon)
移る
仕事から戻ってみると、いつのまにか“しゃっくりの虫”に取り憑かれていたらしい。ひっくひっくと、息苦しいことこの上ない。自分で自分を驚かそうとしてみたが、それはいくらなんでも無理というわけで、水をぐいっとひとのみして経過をみてみる。
治まってるようで、治まってないようで、なんとも微妙な雰囲気が腹の奥にあった。やがてフェードインしてくる“しゃっくりの虫”。飲み干すことはできなかったようだ。
そんな状態で、ちょいとLicの傍に寄ってみると、即行で追い払われてしまったのだった。なんでも、「しゃっくりが移るから」だとか。移る?しゃっくりが?半信半疑の私を尻目に、Licはそそくさとキッチンの方へと去っていってしまった。
やがて、盛大なしゃっくりがLicから発せられる。移ったのだ。
摩訶不思議。ちなみに私の“しゃっくりの虫”は、それと相前後するようにフェードアウトしていったのだった。
2003.5.27(Tue)
外で日記書き
会議で二日に渡って出張となってしまったので、今回初めて日頃日記書き用に使用しているノートPCを持参してみることにした。ノートPCといっても、Licが独身時代から使っていた代物ゆえ、小型ながら結構重い(もっとも、最近の高性能&高機能ノートPCもかなりの重量ではあるが)。
まず午前中、待ち合わせの公園のベンチにて起動を試みる。待ち合わせ時間までは40分以上もあるので、ただぼーっと待ってるよりは日記書いてた方がなんぼかましだ。しかし、屋外環境ではこの古いノートPCの液晶画面は辛かった。ほとんど何が表示されているのか判読が困難なほどである。エディタの色設定を調整して、なんとか文字を読める程度に設定し、どうにか入力が可能になった。
一仕事終えて、夜、宿泊先のホテルにて。眠りにつくべき時間まで、3時間以上ある。さっそくノートPCを取り出し、テーブルに置いた。
この部屋の室内灯は、必要最低限の明かりしか提供してはくれない。それが今はとてもありがたかった。古びた液晶画面には、屋外での弱々しさが嘘のように、くっきりと明瞭に文字が並んでいるのがわかる。
溜まっていた1週間分の日記を、この限られた最良の時間の中で書き上げることができたのは、幸いだった。ちょっと重量が重たい(動作そのものはテキストエディタしか使ってないのでじつに快適)のが難点だが、やはり携帯型のPCの威力は日記書きには絶大だ。これで片手サイズの薄型軽量タイプだったりしたら、いうことなしなのだが…(たとえばこんなのとか)。まぁ贅沢は、しばらく言うまい。デスクトップPCを追加購入したばかりだし。
2003.5.28(Wed)
雑感
馴れ合い、というのと、場の空気を読む、というのは似ているようで微妙に違うのではないかと思う今日この頃。真に必要な意見ならともかく、当人のみの判断基準に基づいた執拗な“指摘”というのは、誰にとっても不幸である。第一、時間がもったいない。
…いや、今日の仕事は、じつに疲れた。
2003.5.29(Thr)
blog
“blogってどうよ?──ウェブ日記なのか、民主的メディア革命なのか、それとも・・”
という特集の中で、日本における考察がなされているのが次の記事。
個人的には blog だろうが Web日記だろうが、自分の書きたいもの、あるいは主張したいことを表現できれば、なんと呼ばれようと構わない。あるいは逆に、自分の興味ある文章を読めるのであれば、それがどのような呼ばれ方をしていようと関係ない。
blog礼賛派の人が書いた文章の中には、それ以前にそのようなものがなかったかのような物言いをすることがあるのでいろいろと反発を招くことになるわけだが、インターネットが一般に広く普及する以前は、パソコン通信がまさに個人の主張の場であったわけで、それ以前となると自費出版本とか何かのサークルとかになろうか。違うものは、聞き手となりうる人の数。何らかの“もの書き”にとっては、それこそが重要な違いとも言える。が、爆発的に“もの書き”が増えると、相対的に出会う確率は下がり、結果として一人の“もの書き”あたりの読者数に大きな変動はないような気もする。もっとも、突出した才能のところには、より集中する傾向はあるだろうけれど。
2003.5.30(Fri)
歯の保存
鮫の歯のように重なって生えてきつつあるみこりんの歯は、歯医者さんによれば放っておいても大丈夫とのことだった。いずれ、ぐらぐらの乳歯は抜けてしまうということなのだろう。はたしてその時が、いつ訪れるのか。みこりんには、抜けたら必ず持ってかえるように言いつけてある。みこりん自身も、抜けた歯を保存したいと言っているので、きっとなくさずに持ち帰ってくるにちがいない。
保存したいといっても、抜けた歯すべてを骨格標本みたいに並べて保存するというわけではないらしい。1本抜けたらそれを保存し、次の1本が抜けたら古いのは捨てて新しいのを保存する、と、そういうことのようである。なんでも取っておきたがるみこりんにしては、変わったコレクションの仕方だ。その心境の変化には、何か原因となるものがありそうな予感もするが、いまだつかめずにいるのであった。
2003.5.31(Sat)
結婚式その2
従弟の結婚式のため、横浜へと向かう。式が夕方からということもあり、うちの親族は皆、遠方からの参加となるので、ホテルに部屋が用意されていた。さっそくチェックインして長々とベッドに寝転び、背中を伸ばす。かなり広い部屋だった。ランドマークタワー内のホテルのため、見晴らしはとてもよい。が、外は季節外れの台風の影響で雨。視界は極端に悪くなっていた。じつにもったいない。
部屋を探検していたみこりんは、鏡張りのクローゼットが気に入った様子で、中に隠れてみたりしている。狭い所に一人で入るのも、いつのまにか平気になってしまったようだ。
一時間後、正装した我々は親族控え室にいた。しばらくぶりの従弟の姿は、凛々しい羽織袴姿。神式で行うらしい。ところでみこりんは、やはり久しぶりの私の末の弟との対面に、やや面食らっているようす。どうやら顔を覚えていないとみえる。みこりんの記憶も、古いものから順に抹消されていっているのだろう。
母方の親族が、こうして顔を揃えるのも随分と御無沙汰だった。私の記憶の中では、小学生時代のお盆休みに、親族一同が座敷で宴会やってた頃の方が鮮明に残っている為、すっかり年老いた叔父伯母達の姿は、時代の流れを否が応でも感じずにはいられなかった。それにしても年老いるごとに、皆、祖母の面影が強く出て来るのはどういうわけだ。若い頃はそれほどでもなかったというのに。
式は、つつがなく終了し、披露宴へと流れて行く。義妹の結婚式のときには、みこりんのご機嫌はこのあたりから下降気味だったが、今回は順調に推移しているようだ。“披露宴”というものにも慣れたのだろうか。
約3時間後、いよいよお開きとなり、部屋へと引き上げる。窓から夜景を眺めてみると、雨はすでに上がっていて、かなり遠方まで街の灯りが続いているのがわかった。ゆるやかに明滅する赤い光を遠くに見つめていると、じわじわっとピントがぼやけてくるような錯覚にとらわれる。ふと思い立ち、デジカメを夜間モードにして、撮影を試みた。広角レンズではないので、いまひとつ空間的広がりは再現できなかったが、記憶を補完するものとしてここに残そう。