2005.11.1(Tue)
夢の記憶
みこりんが気になることを言った。
夢で見たことが、現実になることが多いらしい。今日など、ほとんどがそっくりだったそうな。
正夢、予知夢…。あるいは記憶の混乱で現実のことが夢と重なっている、とか。
しかし、具体的にどんな事がそっくりだったのか、という問いには、みこりん答えられなかった。漠然と“夢に似ている”と感じているだけなのかもしれない。
みこりんの現実の生活が、ある程度パターン化してきた結果、似たような現実と夢とが、ごっちゃになっている、というのもありそうな気がする。ある意味、“学校慣れ”してきたのかも。
2005.11.4(Fri)
怖いもの
毎週金曜日は可燃ゴミの日。というわけで、朝食を終えると、ゴミ袋を提げてゴミ捨て場まで。
戻ってきた私に、みこりんが不安そうに聞いた。
「カエル、どこいったの?」
みこりんの言うカエルとは、土曜日の夜に発見した轢死体のヒキガエルのことだ。あのあと、さらに車に轢かれてひどい状況になりそうだったので、火バサミでどうにかこうにかアスファルトから引き剥がし、袋に詰めて庭に置いていたのだ。どうやらみこりんは、その袋が気になっていたらしい。なにしろ私の両手からはみ出すくらい大きなヒキガエルなので(素手で触ったわけじゃないけど)、袋詰にしても結構存在感があったのだ。
もしかするとみこりんは、映画『ペット・セメタリー』みたいな感じに、死んだはずの生物が怖いものになって戻ってくる…、というような想像をしていたのではなかろうか。真夜中、袋の中から、ずるっ…、ずるるっ、ぺた…、ずずず…、とか。そりゃ怖い。
カエルの死体が入った袋は、ゴミ袋に入れて、ちゃんと捨ててきたのだということを伝えると、みこりんはほっとしたような表情で「ふーん」と言った。ほんとうに怖いモノだったら、いくら捨てても戻ってくるのだが…、まさか今ごろ庭に戻ってきてたりは。特に念仏を唱えるとか、手を合わすとか、そういう取り憑かれそうなことはしてないので、たぶん大丈夫、なはずだけれど…、じつは私にとってはカエルというものには少なからず怖い体験が…、まぁこの話はいずれまた。
2005.11.5(Sat)
水族館にて
勤務先の会社では、毎年一回この季節に無料で、社員達をいろいろな娯楽施設に招待する催しを行っている。今年は名古屋港水族館(とその周辺設備)が、該当施設に選ばれていた。シャチの“くーちゃん”がやって来てからは一度も行ったことがなかったので、みこりんもわくわくである。本当はみこりんが一番楽しみにしているのは、当日子供達にのみ配られるお菓子の袋詰なのだが、ここは気付かない振りをしておこう。
水族館までは、クルマでも2時間ほどで到着できる距離だったが、今回は電車での移動を選んだ。事前に「混雑が予想されるので公共交通機関の御利用をお願いします」というアナウンスがあったのが、ちょっと気になっていたからだ。駐車場が満杯になっていたら、少々面倒なことになりそうだし、みこりんも電車の方がいいらしいので、そっちに決めた。
JRと地下鉄を乗り継いで、現地到着。水族館入り口に受け付けが設けられており、社員証の提示と引き換えに入館チケットが渡される仕組みである。本来ならここで、子供達にお菓子の袋詰が手渡されることになっていたのだが、私達が到着した時点ですでに用意していたものを使い果たしていたらしく、後日本物と引き換え可能な券のみの配布となっていたのであった。みこりん大ショック。
イルカのショーまで1時間ほどあったので、先に館内を見て回ることにした。ここには何回か来ているので、だいたい記憶にあるのと同じような展示(1999年の記録、2000年の記録、2002年の記録)。でも、みこりんにとっては、けっこう昔のことに属するらしく、何事も新鮮に映ったようだ。潮溜まりを模した水槽では、何が潜んでいるのかとじっと眼を凝らし、水流に常に頭を向ける魚の水槽では、水流を作るハンドルを回してみたり、水深に応じて照明の明るさと色が変化する水槽では、ボタンをかちゃかちゃ押してみたり。
そして幼児だった頃のみこりんがもっとも恐怖した深海コーナーでは、なんと一人で歩くことが出来るようになっていた。“どぅんどぅん”という心臓の鼓動にも似た重低音や、薄暗い照明、途中の通路に飾られている昔の潜水具を着た怖い人形、大昔の海の不気味な怪物の絵、それらはもはやみこりんにとって、「ちょっと怖いかもしれない」程度にスケールダウンしていたのである。
深海コーナーを無事に抜けると、珊瑚礁の海が広がっている。ここは何度見ても美しい。街の観賞魚屋さんで高額取引されているような魚が、そこここに。水槽の大きさからして圧倒的なので、本物の海を切り取ってきたかのような臨場感がある。私的には、ここの水槽(というか巨大プール)は横方向から見るのよりも、階上から見降ろす情景が気に入っている。普通、海といえば、水平方向からしか見られないのだけれど、ここでは縦方向にも空間が広がっているので、上空から見る事が可能なのだった。
そろそろ時間なので、イルカプールへと移動する。開始15分前には到着したのだけれど、すでに観客席はほぼ埋まっていた。が、端っこの方に空きを見つけて、座ることは出来た。15分の間に、軽く昼食。
ここのイルカショーは、わりとテンポよく様々な技を披露してくれていたような記憶があるのだが、始まったショーは、なんとなくまったりとした感じ。途中、ステージ背後にあるプールで、シャチのくーちゃんが、イルカのジャンプにつられて“ばっしゃん”とジャンプしたのが微笑ましかった。
続いて、シャチのくーちゃんによる訓練風景の再現。イルカと一緒に泳ぐことで、その巨大さが強調される。水中カメラによる映像では、のったりのったり泳いでいるような印象だったが、実際にはイルカと変わらない速さで移動していることもあり、ジャンプ後の水しぶきも半端ではなかった。事前アナウンスのとおり、最前列の席は水浸し。
ショーが終わり、出口へと。ここにはタッチプールといって、海の生物に触れるコーナーがあり、みこりんはヒトデやらアメフラシやらウニやらとしばし戯れていた。はじめのうちはヒトデを手に乗せるだけでも一苦労だったが、数分で慣れたのか、アメフラシにも積極的に手を伸ばしていたのが印象的だ。
水族館を出ると、眼前の港にはオレンジ色の船体も目に鮮やかな南極観測船『ふじ』が展示されている。今回は水族館だけでなく、ここいら一帯の関連施設も無料で入れる券が渡されているので、さっそく船内探検。いきなり、厨房で料理する人形に驚かされたが、人形とわかっていても、古びた船内にリアルに設置されていると、ちょっと怖い。
想像よりも船内は結構広くて、方向感覚に優れたLicがいなければ、私は外に出られなかったのではなかろうか。ところで気付いた点が1つ。ブリッジに椅子がなかった。船って、そういうものだったのかと改めて思う。いや、最近のスタートレック・シリーズとか見てると、椅子に座ってることが多いので、ブリッジには椅子があるものという先入観が…
船を降りると、次は近くにあるというイタリア村へ移動。Licの仕入れてきた情報によれば、ここのジェラート屋さんが結構いけるらしい。入るには、大人一人1000円の商品券を買わねばならないシステムにちょっと驚きつつ。
さて、ジェラート屋さんは情報通り、あった。あったのだが、Licは店名を聞いてなかった。が、ここには2軒のジェラート屋さんが並んでいた。おぉぉ。
片方はものすごい行列。50人くらい並んでいたろうか。もう1軒の方は、ほとんど行列なし。待ち時間の少ない方を選んで、購入。…でも、ひょっとしたら“いけてるジェラート屋さん”とは、行列のできてる方なんではないかという予想が…。まぁ、おいしかったからいいか。
みこりんが博物館と展望台にもいきたいというので、さくさくっと移動。
博物館と展望台は、海沿いの同じ建物にあった。現在午後4時。入館受付が双方とも午後4時30分で、閉館が午後5時。
博物館を15分で見て回り、ボトルシップの謎にちょいと興味を惹かれつつ、展望台へと移動。みこりんは1回100円の双眼鏡で、辺りを探索。何か変わったものは見つかっただろうか。午後4時30分過ぎ、撤収。
帰りの電車で、みこりん爆睡。乗り換えのため抱っこして歩くと、つくづくみこりんの成長を実感する。かなり重い。10kgの米袋で2つと半分くらいなのだから、それも当然といえば当然。でもLicが抱っこすると、意外に軽やかに持つ。やはり抱っこするコツみたいなものがあるのかもしれない。
午後7時半、帰宅。足がいい感じに棒のようになっている。今日は結構歩いたということだろうか。というか、帰りにみこりん抱っこしたのが、かなり響いているような…。というわけで、足の裏にサロンパス貼って、寝た。
2005.11.6(Sun)
西へ
降りしきる雨の中、クルマを走らせていた。国道をひたすら西へ。
みこりんが通う音楽教室の担当の先生が、今日、結婚式を挙げるというので、向かっているのであった。招待されたというのではなく、どっちかというと“押し掛け”みたいな感じ、らしい。同じ教室の母子達が集うというのだが、私の役目は、Licとみこりんを結婚式場まで運ぶことなので詳細はよく知らない。
Licの的確なナビで、迷わず式場到着。駐車場にクルマを停めると、二人はさっそく雨の中へと消えていった。待ち合わせ時間まであと3分。ぎりぎりで間に合ったらしい。
クルマで待っている間、Licの携帯プレーヤーのトランスミッターをONにして、カーステレオに音楽を流す。シートを深く倒して、大きく伸びをしつつ、目を閉じた。ボディを叩く雨の音が、なにげなく心地よかった。
…コツコツという音で目を覚ます。いつのまにか眠っていたようだ。音のする方を見やると、Licとみこりんがいた。時計を見ると、あれから1時間くらい経過していただろうか。式の前に、ちょっと会ってお話するだけと言っていたが、やはり流れ的にそのまま結婚式にも参列してきたのだろう。ドアを開ける。
来た道を逆順にたどって、東へと。家に着くなり、猛烈な睡魔に襲われ、そのままリビングに倒れ伏す。その間、外はいよいよ雨風が激しくなり、時には雷も混じるようになっていたらしい。秋の嵐が荒れ狂った日曜日…
2005.11.7(Mon)
死
集団登校に間に合わなかったみこりんを、クルマで学校まで送り届けていると、ボリュームを絞ったラジオから、囁くような声で聞こえてきたフレーズ。「……さんが、亡くなりました」
だれが死んだって?なんだか聞き覚えのある名前だったような気がする。それにさっきから流れているこの歌は、もしかして…
本田美奈子 逝去。みこりんが「だれ?」というので、私が大学生の頃に流行った歌手だと教えてやった(その後も歌っていた事は知っていたけど、私が持っているのは初期の頃の曲だけ)。みこりんには昔すぎたか、なんとなくわかったようなわからなかったような、複雑な表情をしてみせてくれた。
同年代の死というのは、心を不安にさせる。ぜんぜん知らない人ならともかく、1980年代後半、CDをレンタルしてきてカセットテープに落とし、少なからず聞いていた身としては、まったく無関係というわけにもいかない。
ざわついた心のまま、みこりんを学校に送り届け、そのまま職場へと向かい、淡々と仕事をこなした。
夜、帰宅して押入れのカセットテープの山から、彼女の曲を探し当てる。20年近く昔のものだが、褪せた感じはなかった。聞いてみようかと一瞬思ったけれど、今夜はあまり気乗りがしない。代わりにAmazonで検索をかけてみる。カスタマーレビューに、今日の日付のものがあった。こういう使い方もできるのだなと、感心する。
安らかに…
2005.11.10(Thr)
タイトル不明
こんな平日な夜には、押し入れから古いカセットテープを発掘してきて、PCにコピーするのに限る。22時頃から始めると、だいたい23時には終了するので、その日の内に布団に入れて具合がいいのだ。
さて、どのテープにするかな。
タイトルの付いているものは、だいたいどんな曲なのか記憶しているのでわかりやすいが、まったくタイトルを付けてないやつもそこそこあって、困ってしまう。これとか、それとか、あれとか。そのうちの1本を手にとって見ると、内側に“バイファムとか”とペンで記してあった。「とか、って何だ?」と興味を惹かれたので、これに決定。
さっそくカセットデッキに入れて、再生してみた。なんだかノイズが多い。カセットテープのタイトルも満足に書いてないくらいなので、ノイズリダクションを何に設定して録音したかなんて情報は書いてあるはずもなく…。ためしにノイズリダクションをdbxにしてみたところ、一転してすかすかな音になってしまった。これではないようだ。というわけでDOLBY-Cに変更。やっぱりまだおかしい。音がこもったような感じになるので、これでもないらしい。すると残るはDOLBY-Bかな。ボタンを押して変更してみると、なんとなくまだ違うような気もしたが、これ以外に設定できないので、このままいくことにした。ノイズは多少軽減されたようだが、dbxを効かした時ほど劇的には変わらなかった。
1曲目。バイファムのオープニング。英語歌詞で、機体と母船との通信の様子とかが背後に流れる、当時としてはちょっと変わった曲だが、私は結構好きだった。2曲目は何かな、と早送り。どうやらBGMっぽい。これもバイファムのもの。その次の曲もそうだった。4曲目にエンディングが来て、5曲目はタッチのオープニング。あぁ、そういえば当時TVでやってたなぁ、とか思いつつ。
B面は出だしからしばらくはクリィミーマミ関係の歌が続いた。音質が極端に悪くなったが、いったい何から録音したのかはぜんぜん思い出せない。というか、なぜマミ関係の曲が入っているのか?まったく心当たりがない。はて。
B面最後の曲が、Zガンダムのエンディング。これはなんとなくわかるけど。謎の多いテープだった。また今回も曲のタイトルが不明なものがてんこもり。オープニングとかエンディングなら、まだ調べがつく可能性もあるけれど、BGMになるとちょっと…。こうやって謎なまましまい込まれてゆくのだろうか。
2005.11.11(Fri)
黒いアスファルト
5階の窓から、そろりと下を見下ろしてみる。黒いアスファルトの帯が続き、その向こうにはだだっ広いグランドがあった。再び視線をアスファルトの上へと戻す。じぃっと、ひたすらじぃっと見つめていると、ふと「ここからジャンプしても大丈夫なんじゃなかろうか」なんて思い始めている。
足から着地したら、案外倒れずにいけるかも…、とか。
私とアスファルトを隔てるものは、空間と、そして一枚の網戸のみ。つい、うっかりひょいと飛び降りてしまっても、ぜんぜん平気なような気がしているのを、どこか怖い気持ちで見ている自分がいる。
ふいにリアルに視界が狭まり、アスファルトの粒までがはっきりと感じられるほどにイメージが先鋭化した時、恐怖がどっときた。危ない危ない。
窓枠から離れ、奥のドアを目指す。分厚く重い鉄のドアを開け、がちゃりと閉めると、いやな気配は去っていった。
2005.11.12(Sat)
分解されたフロッピーディスク
以前、我が家の家庭内LANで使っていたファイルサーバ用のPCは、ピーポーピーポーとBeep音が発生して以来、手をつけずそのまま2階の物置に眠らせたままだった。停止させる前に必要なデータは別のPCに転送しておいたので、特に不都合はなかったし、その後の各クライアントPCにおけるHDD大容量化に伴い、わざわざファイルサーバとしてたかだか40GB程度のディスクスペースを共有するためだけに、専用のPCを立ち上げておく必要性が薄れていたというのもある。
しかしながら、性能的にはメモリ768MB、CPUにDuron700MHz、グラボはRadeon名無しの64MBと、今でこそかなり古さを感じさせるものの、Webサイトを見たり、テキストエディタで何かを書いたりする程度なら必要にして十分。最近、私が自分のPCを録音用途で使ってることが多くなったこともあり(録音中は、基本的に他のアプリケーションは動かさない)、もう1台自由に使えるPCがあった方が何かと便利かもしれない、というわけで、そろそろ復活させてやることにしたのだった。
Beep音が発生した原因は、その後、同様な現象が別のPCでも発生したことから、判明していた。CPUクーラーへのホコリの蓄積による放熱不足だ。
リビングにてケースカバーを外されたPCに、みこりんがさっそく興味を示していた。このPCにはフロッピーディスクドライブを装着していたのだが、みこりんにはそれが気になったらしい。Licとみこりんが使っている2台のPCには、そういった外部記憶装置の類を一切取り付けていなかったので、新鮮に映ったのかもしれない。しかもフロッピーディスクを挿し込んだままにしていたため、抜き挿しして遊ぶ、ということができてしまったのもおおいに影響しているかもしれない。
さて、さっそくCPUクーラーを見てみると、案の定、ホコリが分厚く堆積していた。まるで綿を詰め込んだようだ。掃除機の出番である。が、そのまえに、このままでは掃除しにくいのでCPUをクーラーごとマザーボードから取り外さねばならなかったが、ソケットタイプが古いSlotAだったので、しばし悩む。
記憶を頼りに、どうにか取り外しに成功し、掃除機でごぉぉぉぉぅ。一瞬にしてキレイになった。
ところでその様子を見ていたLicが、重要なポイントを指摘した。「うちにはCRTモニタとLCD併せて3台しかないで?」
現役稼動中のマシンが3台、表示装置ももちろん3台。ファイルサーバ時代は、モニタとキーボードなしでやりくりしていたのが、ここにきて足をひっぱることになろうとは。…とりあえず私が使ってるLCDを代理で使用することにした。ケーブル長の関係上、このPCの置き場所は、私のPCの真横ということに。もともと私はPCケースの上にキーボードとマウスを乗っけて作業していたので、あまり不便は感じないが、この場所はみこりんの部屋への通路となっている個所だけに、ちょっと狭くなったことは否めない。いずれ、どこかにいい場所を見つけねばなるまい。
とりあえず起動確認。ぴっと鳴って、RedHat Linuxのブートが始まった。まだネットワークにはつないでいないが、正常に起動が完了したようである。大丈夫っぽい。
で、今回はこのPCでFFXIを動かそうという企みもあるので、OSはWindows2000に変更することにした。一連の退屈なインストール作業の合い間、ふとみこりんを見ると、フロッピーディスクの窓の部分をしきりと、動かしたがっている。もういらないフロッピーだったので、「開けていいよ」と言ってやった。さっそく実行するみこりん。中に黒っぽいフィルムを発見して、驚いている。「これってどうなってるの?」と言うので、「分解してみ」と先を促す。
みこりんは一生懸命に分解を試みるも、フロッピーディスクは子供の手にはちょっと頑丈すぎたらしい。2つに割れないっぽいので、私がぱかっと割ってみてやる。中にあったのは黒っぽい円盤状のフィルムと、窓開閉用のバネ、そして上書き禁止用のスイッチ。じつに簡素なつくりになっている。
その円盤状のフィルムを指して、「ここに磁石で記録するんだよ」と言うと、みこりんは何事か思い当たるフシがあったようで、自分の部屋でがさごそと何かを物色し始めた。やがて戻ってきたみこりんが手にしていたのは、乳児時代に使っていた1つのおもちゃ。専用の磁気カードを溝に沿って通すことで、音を録音したり再生したりする品である。
「これも音が出る?」と、みこりんは円盤状のフィルムを手にして、聞いた。たしかにフロッピーディスクも磁気記録されたデータだから、何らかの音は出るだろう。出るだろうけど、まさかそっち方向に話が進むとは予想してなかったので、正直驚いた。みこりんは磁気媒体について、どこまで正確に知っているのだろう。
私自身も、フロッピーディスクの“音”は聞いたことがなかったので、みこりんがいそいそと溝に円盤を流し込むのを興味深く見ていた。ある場所まで円盤が達すると、ガイド機構が作動し、自動的に円盤を先に進めるようになる。その先に磁気ヘッドがあるので、何か記録されていれば、それは“音”に変換されて聞こえてくるはず。
がぎゃぎゃぎゃぎゃ〜
そう聞こえた。昔のカセットテープに記録したプログラムの音とか、モデムの音に似ている。みこりんも面白がって、その音を聞いていた。音が鳴ったことで、自分の仮説が立証されたことに満足しているのかもしれない。
円盤は微妙な摩擦力の加減で、排出されることなく磁気ヘッドの場所でぐるぐると回転していた。まるでレコード盤のように。
みこりんは次に録音を試みている。しかし、こちらはうまくいかなかったようだ。録音した音が再生されるには、記録した場所をある程度正確にトレースしなければならないが、回転中の円盤の動きはかなり波打っていて、不安定なのだった。
みこりんは実験を終えると、心地よさそうに眠りについた。私は、みこりんが完全に寝入るのを待って、布団から這い出し、インストール作業を続行した。その間中、みこりんに次は何を分解してみせてやろう、なんてことを考えているのだった。
2005.11.13(Sun)
HUB
我が家の家庭内LANは、現在リビングのみで運用されている。しかし、PCを東西2つの領域に分けて置いてあるので、スイッチング・ハブを2つ使って接続していた。…のだが、私のPCを置いてある方のハブが、昨年くらいに壊れてしまったので、LicのPC側のハブから直接私のPCに繋ぐように変更していた。
ところがこのたび、もう1台PCを復活させ、しかもそれを私のPC側に置くことにしたため、どうしてもハブを新調せねばならなくなったのであった(もう1本長いケーブル買ってくるという選択肢もあるけれど、さすがに2本も部屋の中を引き回すのは、ちょっと…)。
というわけで、家電量販店に出撃である。
みこりんはゲーム売り場へ、新しいPCを欲しがっているLicはPC売り場へ、私はスイッチング・ハブ売ってるコーナーへと、それぞれに散ってゆく。
家庭内LANをギガビット化する案も、じつはひそかに考えてもいたのだが、カテゴリー6のLANケーブルが売り場になかったので、諦めた。いまのところギガビット化してうれしいのは、私だけだし…。
さて、5ポートのスイッチング・ハブで、だいたい2500円の値段がついていた。もっと安いのもあったが、なんとなくあっさり壊れそうな気がしたので、やめておく。
前回はバッファロー製だったので、今回はコレガあたりにしてみた。というかその2社しか選択肢なかったし、この売り場じゃ。LANケーブルは5メートルくらいのにして、と。以上で私の買い物終わり。
Licが望んでいるFFXIがさくさく動くPCというのは、今付けてるグラフィックボード(GeForce440MX)をある程度高性能なものに替えるだけで、かなり体感速度の向上が見込めるのだが(ちなみにCPUはAthlonXP2400+)、今の旬はやはり PCI-Express …、これを付けるにはマザーボードから交換しなくてはならなくなるので、悩ましい。2世代くらい前のAGP対応品でいいから、まだ出回ってる今のうちに買っておくのが吉かもしれない。
みこりんはみこりんで欲しいものがあるらしい。こっそり教えてくれたところによれば、ニンテンドーDSと、たまごっちのゲームソフトだそうな。売り場に置いてあったDSの値段は14800円。想像よりも安かった、けど私の好きそうなソフトがあまりなさそうな…。みこりんは今年のサンタさんにお願いしておけば、きっと届けてくれると思っているようだが、さてどうしたものかな。
私にも気になるゲームがある。『ワンダと巨象…、いや巨像』。デモ映像の水中戦を見て、ぐぐぐっと惹かれているのだけれど、6000円(約一割引)か。それ以前に私にクリアできるのか?という問題もあり。Licのフレ情報によれば、前作のICOよりはワンダの方がやりやすいとかなんとか。ICOなら1800円の廉価版が出てるとか。おぉぉ。
こうして迷っている間が一番楽しかったりして。
2005.11.14(Mon)
手書き
今夜の録音対象カセットテープは、SHOW-YA の『ニュー・ベストナウ 70』。メモによれば1988年7月21日午後7時57分に、CDから録音したことになっている。昔は、このように録音日時まで記入していたのかと、妙に細かい習性に驚きつつ…。
しかも曲タイトルとか、全部手書きなので、よけいにノスタルジーを感じさせる。他のテープには友人に録音してもらったものなどもあり、曲タイトルは彼(もしくは彼女)の手書きということになるので、なんとなく捨てるにしのびないあたりが悩ましい。せっかくPCに保存して、カセットテープの置き場所をすっきりさせよう(つまり全部捨てよう)と思い立ったというのに、このままでは企画倒れになってしまいそうな予感。
とりあえず、録音レベルを調節して、録音開始。メタルテープにdbxで録っているためか、デッキ側のレベルメーターのピークポジションは、かなり高い。モニター用にヘッドフォンを繋いでいるのだが、そこから漏れ聞こえてくる音は、まるでPCのスピーカーから流れ出してきているかのような、結構な音量だ。しかも夜だから、よけい響くような気がする。
80分テープなので、片面40分ずつ。その間、復活させたPCでネットサーフィンでも…、と思っていたのだけれど、結局、録音用ソフトのレベルメーターの振れが気になって、最初から最後までLCDを見つめ通しになったのだった。このままでは、なんのためにPCを蘇らせたのかわからないことに…。
2台のPCでLCDを共用するのは、無理があったのかも。3インチくらいの小さいやつでいいから、モニタ用に激安のLCDが欲しい今日この頃。
2005.11.15(Tue)
web 1.0
web 2.0 に浮かれている(ように見える)人達が、web 2.0 と比較して、それ以前の web 1.0 時代が、いかにダメだったかを語っている文章を、いろいろと見かけることが多くなった。しかし、その大半が「それはちがうやろ」という感想が真っ先に来るのはどうしたことだろう。特にブログ関係の話題について、違和感が多い。この感じは、例えていうならその昔、日本にブログを紹介し始めた人達が、ブログのなかった時代のインターネットには、個人の主張を述べ合う環境(習慣)がなかったと言い切った事件に似通った印象を受ける。
いうまでもなく、ブログが日本に紹介される以前から、日記を中心とした文章主体の個人サイトは、テキスト系と称され、活発に個人が自分の意見を述べあい、相手の文章にリンクを張って互いに批評しあう環境が、すでに整っていたのである。さらに遡れば80年代後半から90年代前半にかけてコミュニティが拡大していたパソコン通信時代にも、同様な傾向は見られた。
ところが web 2.0 を礼賛する人達は、ブログの特長として、“記事が時系列に並んでいること”と、“個別の記事にリンクできること”というのを挙げ、過去にはそのような環境などなかったというのである。まったくおかしな話だ。
テキスト系サイトのコンテンツは、日記を始めとしてたいていが時系列に並んでいるし、アンカータグを用いたり、日付ごとにファイルを作成してゆくことで、個別の日付の文章にリンクすることは当たり前のようになされていた(文中からリンクされることが多かったので、この行為を文中リンクと言ったりもした)。個々の文章がリンクで結ばれ、読者はそのリンクを辿る事で、いろいろな意見に触れることが可能だったのだ。
ブログの良いところは、“自動”で日付ごとにファイル化してくれたり、さらにトラックバックとして比較的簡単にリンクしたことを通知できるようになった点だろう。以前ならファイル化は手動で行い、リンク通知はメールや、掲示板を使ったり、コメント機能があるサイトならばそこにコメントすることで、互いに伝えあったものである(リンク通知は別にしなくてもよかったが、一部の人達は、無断リンクと呼んで嫌っていたこともある)。
ブログのコメント機能については、従来のテキスト系サイトにも、個別の文章ごとにコメント欄を設けていたサイトもあるので、あえてブログだけの特長ということもない。コメント欄というのは簡易な掲示板みたいなものなので、荒らしにあったり、スパムに悩まされたり、管理が大変ということもあって、現在のブログツール使用者でも、コメント機能を切っている人もいるのではなかろうか?
コメント欄のような読者からのダイレクトな意見反映を行うかどうかというのは、web 2.0 だから“あり”で、web 1.0 だから“ない”というような類のものではない、というのが私の考えである。自サイトの管理運営に十分な時間をとれるか、あるいは荒らしに負けない強靭な精神力をもっているか、といったきわめて個人的な理由によるところが大きいのではないか。たしかにブログツールを使えば、簡単にコメント機能を実現できるので、自分でCGIの設置や記述ができない人でも、その気になればコメント機能を活用できるという点において、ブログツールの貢献を否定するものではない。
次に文章の更新通知が出来る点を上げて、ブログ独自の利点としている意見について。これも勘違いである。そのような機能はブログ以前から存在していた。自分が読みたいサイトを登録しておくと、文章が更新されるごとに通知される仕組みがあったのである(おもにフリーソフト等で実現。こんな感じ)。逆に、サイト作成者側から更新報告を行う場所というのもいろいろあって、現在も稼動中である(たとえば日記才人とか)。このように、書き手読み手双方から、更新確認の手段は用意されていた。
web 2.0(ブログ) になって突如現れたかのように思っている人がいるかもしれないが、じつはこのように昔からあった技術を、ブログツールが“自動化”してくれただけのこと。
web 2.0 に浮かれる気持ちはわからなくもないが、煽っているのがいわゆる“業界側の人間”であったりすることも多いので、注意が必要だ。
2005.11.16(Wed)
猫とヒーター
まるで冬が来たかのような、寒い夜のこと。ウッドデッキに置いてある温度計の目盛りは、ついに10度を下回り、8度を記録してしまっていた。そろそろ霜が降りるのかもしれない。屋外に置きっぱなしの観葉植物たちも、取り込まないといけないな、とか思いつつ。
暗い廊下の片隅で、にゃんちくんが専用のふかふか布団の上で丸まっている。ふかふかとはいっても、熱源が入ってるわけではないので、ちょっと寒そう。私が近寄っても、軽く「にゃ」と挨拶してくれただけだった。
じつはこの布団、もともとは立体形状をしていて、中に入れるようになっていたのだが、にゃんちくんが上に乗っかってばかりいるので、ついに座布団のようになってしまったものである(新しいのを買ってきてやらねば、と思いつつ、いつも忘れてしまう)。で、この中にはなんとペット用ヒーターまで仕込んであったのだ。
ヒーターがあるとはいっても、肝心の電源を入れてないので、ぜんぜんあったかくはないのだけれど。しかも座布団状態になってしまっているので、たとえ電源を入れたとしても、上の方までぬくもりが伝わるかどうか…。でも、もしにゃんちくんに熱源を敏感に察知する能力が備わっていれば、この座布団状態の布団の中に、もぐりこんだりはしないだろうか?
さっそくコンセントをたぐりよせ、電源投入。その様子を、にゃんちくんはじぃっと見ていたのだが、猫ゆえにそれが何を意味しているかわかるはずもなく、ただひたすらに丸まっている。
30分後、様子を見に行ってみると、まだ布団の上にいた。中に入れることを、にゃんちくんは知っているはずなので、熱源に気が付いていないのかもしれない。…いや、もしかして微妙にあったかいのが伝わっていて、それで満足してたりは。
にゃんちくんがあんまり気持ちよさそうに眠っているものだから、起こすのも気が引けてそのままにしておいた。でも、もし明日もこのままだったりしたら、その時にはちゃんと中に入れてやろうと思う。
2005.11.17(Thr)
rootkit
このリンクの中の記事“SONY BMGが加速した、セキュリティベンダーのrootkit対策”に、興味深い事が書いてあった。
「誰も入るべきではないネットワークにソニーが侵入している。どことは言えない。だが、ソニーのrootkitが本来いるはずのない場所に侵入したことを示す証拠がある。いま問題にすべきは、この事実が引き起こす副次的なダメージだ」
ITmedia 2005.11.17の記事より
もしこの結果が正しいのだとすれば、結構ヤバイことになるのではないか。日本のPCに潜むソニーのrootkitの数が21万台(“XCP「rootkit」組み込みマシン、日本は最多の21万台?――専門家が指摘”)という話もあり、もしかしてソニー、やっちゃったのか?そうなのか?別のCDとか別のメディアとかに仕込んでいたりしない限り、こんな結果にはなりそうにはないのだけれど…。今後も要チェック。
*
@ITにソニーのrootkitに対する詳細な解説(翻訳)
2005.11.18(Fri)
RSS 1.0
今日からRSS1.0による配信を可能にした。本当はAtomが良さそうなのだが、微妙にまだ紆余曲折ありそうなので、もう少し様子見。Atomが固まってきたら、そっちに移行する…、かもしれない。
今回のも相変わらずほとんど手作業(基本形をRSSファイルエディタで作成して、あとはコピペ)だ。まぁ、趣味なので。というか、こっちのフォーマットの方が、よりコンピュータにとっては扱いやすいデータになってるから(XMLそのものだし)、今後はこちらを主、XHTMLの方を従にした方がいいような予感。
それはそうとRSSで配信開始したとたん、更新ペースが落ちる…、なんてことにならないように気をつけねば。
*
参考にしたサイトなど
2005.11.19(Sat)
おサルと遊園地
Licが勤務する会社では、毎年一回この季節に無料で、社員達をいろいろな娯楽施設に招待する催しを行っている。今年は日本モンキーパークが、該当施設に選ばれていた。家からクルマでも30分以内に辿り着ける近場なので、結構気楽に参加できるところがポイントだ。
みこりんはこの日が来るのを約2週間前から楽しみにしていて、今朝も一番に起き出すほどの気合の入れようである。なにしろ小学生以下のお子様には、もれなくお菓子の袋詰がもらえるので、一日の中でおやつの時間をもっとも楽しみにしているみこりんにとっては、外せない一日なのだった。
10時半出発、10時56分到着。途中、慢性的に渋滞している国道があり、受付終了時刻の11時に間に合うのかちょっと心配だったが、ぎりぎりセーフ。みこりんは無事お菓子をゲットすることができた。2週間前に水族館でもらったお菓子がまだ半分以上残っているのに、今回もてんこもりな袋詰なので、あきらかにキャパシティオーバーな気がするのだが、冬に備えてどんぐりを貯め込むリスのように、みこりんも本能的にお菓子を手放さないのかもしれない。
空はほどよく晴れ渡り、お日様が目に眩しかったが、風が思いっきり冬の匂いを含んでいて、体感温度を10度は下げてたんじゃないかと思われる。とても寒い。
乗り物はすべてフリーパスなので、みこりんが乗りたいというやつから順番に制覇してゆくことにした(ここはおサルの飼育設備と遊園地が合わさったようなところ)。ぐるぐる回る系の遊具は、とにかく風の冷たさがこたえたが、風の子みこりんにとっては些細なことらしい。まったくひるんでいる様子は無い。
そしてなぜか幽霊屋敷なんかもあったりするので、みこりんと二人で入ってみることになった。Licはこういう系は苦手なので、表で待機。
幽霊屋敷の中は、トロッコのような乗り物で定められたコースをゆっくりと回るタイプだった。入った瞬間真っ暗闇で、みこりんちょっとびびる。読経の声とか、赤子がさびしげに泣く声とか、低いうめき声とか、いろいろ。
ときおり左右の壁から、リアルな造りの幽霊人形が、すすすすっと寄って来る。みこりんピンチ。さっきから私の右腕にかじりついたままだが、ちゃんとこの怖いのを堪能してるだろうか。気になったので「ほら、みこりん、あそこにお化けがおる」と言っても、あまり反応がない。でも、怖いもの見たさの好奇心に負けて、ちょろっと顔を上げると、ちょうど井戸からにゅぅぅぅっと上がってきた女の幽霊に、ノックアウト。うーん、たしかにこの人形はちょっと怖いかも。目が据わっている。…、こういう雰囲気の場所には、とかく本物も混じっているという噂だが、もしやこれやばくない?目と目が合っちゃったよ。
入る前はあまり期待してなかったが、外観のチープさに比べて、中のつくりはほどよく不気味で意外に楽しめたかも。パラダイス系な施設に有りがちな、いかにも手製って感じの人形じゃなくて、その道のプロが作ったのがありありとわかる、いい仕事の品が多かったような。妖怪系がやや脱力気味だった点を差し引いても、まぁまぁよかったんじゃなかろうか。みこりんも怖がってたし。
みこりんが以前から乗りたがっていたジェットコースターは、身長制限120cmの壁を突破できず、断念。あと5ミリほどだったので、来年は確実に乗れるだろう。それまでこの施設がつぶれずに、もってくれればよいのだが。なにしろ、一度も待ち行列に遭遇していないのだ。少なくともLicの会社の従業員とその家族(推定2〜300人くらい?)が、いつもの入場者数にプラスされているはずなのに。
午後3時。おやつの時間だが、みこりんはおやつを食べることも忘れて遊具に夢中になっていた。電動モノはあらかた制覇したので、次は木製のアスレチックに挑戦中。かなり大きな木の骨組みで作られた滑り台は、あわせて4本。ここも待ち行列はないらしい。するるる〜っと滑っては、次の滑り台へと順繰りに移ってゆく。
楽しそうに遊んでいるみこりんを見ながら、私とLicは椅子に座って寒風に耐えていた。とてもとても寒い。
午後4時、撤収。どことなく閑散としたおサル方面を抜け、駐車場へ。弱々しい西日が、じつにもの悲しい雰囲気を漂わせている。あぁもう秋は終わったのだなぁと、しみじみと感じつつ。
帰り道、買い物のためスーパーに寄り道していたら、いつのまにかあたりは真っ暗になっていた。冬の夕暮れはとても短い。帰りのクルマの中で眠ってしまったみこりんは、結局、目覚めることなくそのまま布団へと直行したのであった。
2005.11.20(Sun)
はやぶさ、タッチダウン…
明け方に、遥か宇宙の彼方で“はやぶさ”が小惑星イトカワにタッチダウンを試みる。リアルタイムで状況を追ってみたい気持ちは有り余るほどあったが、どうしても睡魔に勝てず、昼まで爆睡。だめだめである。
午後、Webを回って情報収集。こういう時、頼りになるのは昔から松浦氏のサイト(今回はこちら、はやぶさリンク参照)。
小惑星表面約17mまで降下して、そこからなにやらあやしげな挙動に入ったらしい。でも地球からの距離を考えると、誤差の範囲のような途方も無い精度で制御していることが想像できる。ここまで行っただけでも大成功では。
あやしげな挙動に入ってる時にいったい何が起きていたのか。JAXA推定では小惑星表面をゆるやかにドリフトしていた…。私の脳内ではこうだ。その時、小惑星表面からサンドウォーム(by『デューン/砂の惑星』)のようなヤツが地を割ってするするっと伸びてきた。そして、はやぶさを「はぐっ」。でもおいしくなかったので、はやぶさを放し地面の中に戻っていった…。うーん、マンダム。
ところで今回、はやぶさは88万人の名前を記したターゲットマーカーを持ち込んでいた。そこには、うちの家族3人分の名前も入っている。そのターゲットマーカーの小惑星への投下は成功したらしい。よくやった、はやぶさ。
というようなことを、みこりんに話して聞かせたら、なにやら神妙な顔つきで「なんでそういうことするの」と怖そうな声。どうやらみこりんは、自分の名前が宇宙人に知られて、連れ去られるんじゃないかと思ったらしい。まぁそういう可能性も、まったくゼロとは言えない…、かな。でも宇宙人に漢字は読めないから、と安心させたが、みこりん的にはどうにも不安がぬぐいきれないようだ。
みこりんに『未知との遭遇』もしくは『E.T.』を見せてやったらどんな反応するかな?と興味が湧いたので、近々実行してみる予定。
2005.11.21(Mon)
曲の名は
今度のエレクトーン発表会で、みこりん達のグループが演奏する曲は、「どんぱん節」なのだという。…どんぱん節?どんぱん節というと、あれかな、「どーんどーんぱーんぱーんどんぱーんぱん」っていうやつ?とみこりんに聞いてみたが、歌詞は知らないということで、どんな曲なのかはよくわからないらしい。
でも、すでにパート分けも終わっていて、みこりんは第2パートをやると言っていた。鼻歌でちょっとだけ歌ってくれたメロディによれば、どうも「どーんどーんぱーんぱーん」とは違ってそうな気もするが…。
というか、エレクトーンで「どんぱん節」って、ありなんだろうか。私の知ってる「どんぱん節」なのだとしたら、かなり風変わりな演奏会になりそうな予感がするのだが…。いやいや、この業界ではそういうのも当たり前のようにアリなのかもしれない。実際、エレクトーンで弾いてみると、めちゃカッコイイ曲になるのかも。
それに私が「どんぱん節」だと思ってる曲が、じつはぜんぜん違う曲だという可能性もある。なにしろ先生がわざわざ選曲してくれたのだから、それなりのエレクトーン向きな曲にちがいない。いったいどんな「どんぱん節」を披露してくれるのか、今からとても楽しみである。
2005.11.22(Tue)
フレックスタイム制
フレックスタイム制といえば、コアタイムだけは絶対に会社にいなくてはいけないが、出勤&退勤時間を自由に選べるという気楽さがある。もちろん1ヶ月の総労働時間は、出勤日数×8時間を満たしていなければならないので、遅く出勤して早く帰ると、別の日に早く来て遅くまで残ってないといけなくなる。このあたりが裁量労働制とは根本的に違っているが、それでも自分の都合で出退勤時間を決められるというのは、そこそこ心地よいものだ。
私の所属する職場でも、平成2年度からこの制度が導入されているので、かれこれ15年は続いていることになる。朝が弱い私にとっては、まさに夢のような制度であった。
ところが、来年度からこの制度が全社的に凍結されることになってしまった。まだ労働組合への提案段階だが、決まったも同然であろう。裁量労働制は残されることになっているので、中途半端なフレックスタイム制は止めてしまおうということになったっぽい。その代わりに導入されるのが時差出勤。出勤時刻を、自分で申請できるというものだ。
時差が認められるなら、そうたいした影響はないような気もするが、ここに罠があった。時差が認められる時間帯が、朝の7時〜9時になるのである。フレックスタイム制では午前10時までの出勤ならOKだったので、影響の出てくる人は多そうだ。
時差の範囲が午前10時までにならなかったのは、どうも工場の現業職の人達からのやっかみがあるらしい。この人達はその仕事の性格上、裁量労働制でもなく、フレックスタイム制でもなく、昔ながらの朝8時〜夕方5時までの定時労働なので、自分達が仕事してる時に、フレックスタイム制の人がゆっくり出勤してくるのがむかつくということのようだ。実際そういう指摘が労働組合の方にあって、午前8時前後のぎりぎり出勤はやめるようにというお達しが出ていた。その時間帯はちょうど現業職の人達が体操するために工場から一斉に出てくるので、余計目立つのだ。
さて、私の所属する職場は、会社規定では裁量労働制が適用されるべきセクションにあたるのだが、昔、労働基準監督署からの指導があって、そうはならなかった経緯がある(フレックスタイム制はOKだった)。だから今回も裁量労働制は認められないだろう。
で、来年度からは時差出勤。以前の私ならば、午前10時が選択肢にないのはかなりピンチになるところだが、今はわりと平気になった。みこりんが小学校に通うようになり、起床時間が早まったというのがその主な理由。みこりんを集団登校に間に合わせるには、午前6時半には起きてないとまずいので。その時間に起きるのだったら、そのまま余裕で8時出勤が可能なのであった。“慣れ”とは素晴らしい。
でも時々8時半とか9時出勤になってるのは、秘密だ。
2005.11.23(Wed)
はやぶさ、タッチダウン!
どうやらタッチダウンしていたらしい。GJ! はやぶさ
どんな障害物があったのか、今後のデータダウンロード待ち。岩だったのだろうか。岩じゃない、“なにか”が映ってたら興味深いのだが…
2005.11.24(Thr)
はじめの月
みこりんと湯船であったまりつつ、九九の問題を出し、それにみこりんが答えるという遊びを数十回。九九の暗記が結構楽しいらしく、はやく問題を出してくれるようにとせっつかれること多し。9の段まで習ったとのことで、今夜は11の段なども追加してみたり。
ところで、ふと我に返ったみこりんが、「おとうさんが1年生になったときは7才で、2年生になったときには8才よね?」と言った。私の誕生日は1月某日なので、いわゆる早生まれだ。だから、本当は1年生になったときには6歳で、2年生になったときは7歳なのだが、この関係がみこりんには謎らしい。
「だって、1年は1月からはじまるでしょ?」だから1月生まれの子が、一番先に年をとるのだ、というのがみこりんの理屈。「そうなんだけど、学校は4月から始まるからね」と私が何度も訂正するので、みこりんだんだん混乱してきた模様。しまいには、うひょひょひょひょと込み上げる笑い虫にとりつかれて、どうにもならなくなってしまっていた。一度笑い虫にとりつかれると、なかなか去ってはくれないので、二人してわははははと笑っておいた。
風呂上りに、今度はLicに同じ事を聞いているみこりん。やっぱり私と同じように答えられて、いよいよ混乱の度合いは深まる一方である。一度、図に書いて説明したほうがいいのかもしれない。もちろん0歳からずっと順番に。
でもまぁ着眼点はなかなか良いので、自力で気がつくまで様子見というのもいいかな。
今日のはやぶさ
「はやぶさリンク」:25日から26日にかけて第二回着陸を実施
ますます目が離せなくなってきた。今度こそ夜を徹してモニターしておかねばなるまい。どうか壊れませんように。
2005.11.25(Fri)
キッズケータイ
そう、こういうのが欲しかったんだよ、というような逸品になるかもしれない。子供を守る5つの機能。
- 100デシベルの大音量ブザー。ブザーに連動して、自動的に緊急通報の電話とメールの送信を行う。この時、GPS測位による位置データがメールで送信される。加えてスイッチ操作で音を止めても、電話とメールの発信は止まらない。
- 電源を切ってもGPS測位による位置データの送信を自動的に行う。しかも15分ごとに自動起動して、位置データをメールするようになっている。バッテリーを外すには、専用工具が必要で、容易には外せないようになっている。
- 発話ボタンに「直デン機能」が付いた。5人分の連絡先を登録可能で、発話ボタンを押すだけで、登録先に連絡がとれる。
- ひらがな表示メニューの「キッズモード」を備えている。
- 子供専用のiモード「キッズメニュー」を備えている。URLフィルタリングで有害サイトにアクセス不可能になっている。
GPSによる位置情報発信機能は、これまでauの独壇場のようなところがあったが、結局使える子供用ケータイは、auからは出てこなかった。よくやったドコモ。次にケータイ買い換える時には、auにしようかと思っていたけど、気が変わった。ドコモにしよう。
最近も広島で、下校途中の女の子が何者かに殺される事件があったばかりだ。もし、この子が、この端末を持っていたら、どうだったろうか。違った可能性があったかもしれない。
ただ1つ気になるのは、緊急通報機能は子供がスイッチ操作しなければ発動しないところだろうか(電源オフによる位置情報発信は素晴らしいアイディアだが)。緊急時、子供はパニックに陥るだろう。スイッチを押している時間はないかもしれない。そこでぜひ追加してほしい機能がある。
あらかじめ登録した音声や、鼓動の急激な上昇という、スイッチ操作以外のトリガーでも緊急通報が起動する機能だ。パニック状態の子供でも、騒ぐだけでスイッチオン。極度に興奮状態になってもスイッチオン。犯罪者に対してはかなりの抑止力になるのではなかろうか。
*
ドコモの報道発表によると、ITmediaの記事に出てくる5つの機能と、微妙にズレが…
2005.11.26(Sat)
はやぶさ、ダッチダウン!!
昨夜からPCの前で寝ずの番。JAXA TVとHAYABUSA Liveと、松浦氏のサイトと、野尻ボードの4つほどを転々と彷徨いつつ、じりじりと降下してゆくはやぶさの状況をかなり緊張して見守った。
はやぶさが高度100mに達するまでが長かった。しかし、100mを切ったあたりから、するするっとあっというまに高度14m、緊張の一瞬だ。なかなか各サイト更新されない。JAXA TV によるライブ中継は音声がないので、どのような状況なのか把握しづらいものがあったが、かえってそれが緊迫感を増してよかったのかもしれない。
このへんで、かなりどきどき。も、もしかして…。悪い予感が。
「はやぶさリンク」:3つ目のターゲットマーカーを放出せず、前回のマーカーを使用
これを見て、を、これはいけるかも?と根拠のない自信(私が自信をもってもまったく役立たない)が。
起きて来たみこりんのために目玉焼きを作りながら、待つ。
食べ終えた頃に、件のシーンがあったらしいが、残念ながら見逃すorz...
よっしゃー!たぶん、はやぶさの制御ソフト書いた人、感無量だろうなぁとうらやましく思いつつ、はやぶさの無事を喜ぶ。ターゲットマーカー残ってるから、まだやろうと思えばもう1回。
それにしても、3億km彼方の探査機を自在にあやつる様は、ほんとうに素晴らしい。自律制御ソフトもなかなかのものだと思う。実環境でのテストができないので、相当苦労したのでは…。
今この瞬間を共有できたことが、まだ信じられない気持ちだが、よい時間をありがとう。
2005.11.27(Sun)
その後の、はやぶさ
Licとみこりんが、子供会の集まりでモーニングしに出かけていくのを、まどろみつつ聞いていた。なんだかとてつもなく長い夢を見ていたような気分だったが、まだまだ寝足りないらしく、再び眠りの中に落ちてゆく。
はやぶさの姿勢制御は取り戻せたのだろうか。ずっとそのことが気になっていた。
お昼過ぎ、ようやく目覚めた。でもなんだか頭が重い。しかも寒気がする。
とりあえず、はやぶさ関連の話題を探すが、今日はあまり動きがない。動きがないということは、良くも悪くもなってはいないということか。
昼食後、再び猛烈な睡魔に襲われる。そのまま階段を上がり、布団の中に潜り込んだ。爆睡。たぶんはやぶさの夢を見ていたような気がする。イトカワ星人がちょろちょろとはやぶさのスラスター周りに取り付いて、なにかをしている様子とか。やっぱりイトカワ星人の仕業か…orz
夜、ふっと目覚めると、ちょうど晩御飯の用意ができたところだった。相変わらず眠気は残っていたが、お腹はちゃんと空くらしい。…と、ここまで書いてきて、晩御飯のメニューが思い出せないことに気付く。かなりやばい。
2005.11.28(Mon)
筋肉
みこりんを学校まで送っていった帰り道、微妙に出勤時刻まで間があったので、いったん家に戻ることにした。特にコレといって用事があったわけではない。ただ、なんとなくそっちのほうがいいような気がしたのだが…
クルマをガレージに入れようと、後方確認のため振り返ったその瞬間。“びちっ”というような怖い音が聞こえた感じ。そして背中に、激痛が襲いかかる。ナイフで肩甲骨の下あたりを刺されたような(ナイフで刺されたことはないけど、たぶんそんな感じなんじゃ…)体験したことのない痛さだった。
思わず痛い箇所に手をやろうとして、腕がつりそうになる。体が固いので、肩甲骨の下まで手が届かない。ぬぉぉぉ。しばし苦悶。
どうやってクルマをちゃんと停めたのかは記憶にない。でも、どうにかしてクルマを降り、そのまま体を丸めるように家に入って、寝室へ。ゆるゆると布団の中に転がり込む。
寝ていると、少し痛みがやわらぐような気がする。でも、ちょっと体勢をおこそうなんて思うと、激痛が。しかたがないので、しばらく横になっていたのだが、午前10時までに出勤できそうにないことがわかったので、午前中は休みにした。
そしてお昼。そろそろ出掛けなければ。ゆるりと体を起こす。あいかわらず左の肩甲骨の下あたりが、みしみしと痛い。あまり痛みは減ってないような気もしたが、ひどくもなっていないようなので、そろーりそろりと身支度を整えて、家を出た。
クルマの運転は、しっかりとシートベルトで固定されているので比較的ラク。しかし、到着して一歩踏み出すと、その衝撃で痛みがはしる。
仕事中、思いっきり風邪をこじらせた時のような筋肉の痛みを、常時肩甲骨の下あたりに感じ、集中できず。いったい私の背中で何が起きたというのか。できれば怖いことになってなってませんように。というかとっとと病院行ったほうがよかったんじゃ…
2005.11.29(Tue)
はやぶさピンチ
「はやぶさリンク」:速報、はやぶさ、A/B両系統のスラスターでトラブル発生
冗長系になっている両方の系統のスラスターが不調とは。まるでイトカワからの離脱を許さない“何か”が存在するかのようだ。
何が起きているのか現状を把握するには、探査機からのテレメトリデータが必要。でも、姿勢制御が正確に行えないので、データの受信ままならず。NASAの70mアンテナを使えばなんとかなりそうだが、そのアンテナは他のミッションで使用中なので、簡単には使わせてもらえない。
日本が独自のアンテナを持っていれば…、と今更ながら思う。何事につけても金だ。金さえあれば。今回のミッションにしても、金と引き換えに人的資源の酷使でどうにか乗り切ってきたようなもの。管制室にリポDの箱が並ぶような過酷な状況にしないために、もっとうまい方法を考えないと、この先も困難ばかりがやってきそうだ。
宇宙は金になると思うのだがなぁ。たとえば惑星探査機を送り出す場合、探査機本体とは別に、カメラマンとなる随伴機をペアにしておけば、タッチダウンの瞬間だって、そうとう見ごたえのある映像がとれたんじゃなかろうか。探査機の表面に“Canon”とか“TOYOTA”とかスポンサーがついててもいいじゃん。『未踏のフロンティア イトカワ』って写真集だってDVDセットだって出せるじゃん。
“はやぶさ”関連のニュースがいまいちメディアで盛り上がってないのは、そういう視覚的に訴えるものが少なすぎたからではないかと思う。私は脳内で懸命に映像化を試み、その瞬間を自分だけの決定的瞬間にしたが、あまり宇宙に興味のない人には、専門的なデータの羅列を示しても理解してもらうのは難しいだろう。というか無理。
ビジュアル収集専門の随伴機、いくらくらいで作れるかな。探査機本体にくらべたら、オマケみたいなものだろうけど。それにしても、くやしい。くやしすぎる。
2005.11.30(Wed)
酔う
赤ん坊から幼児にかけての時期は、乗り物酔いしにくいというのを何かで読んだ記憶がある。実際、みこりんはバスに乗ってもクルマに乗っても電車に乗っても、ぜんぜん平気だった。しかし、私自身は結構乗り物酔いしやすいタイプなので(新幹線でさえたまに酔うことがある)、もしかするとみこりんも…、という心配は少なからずあった。
そして今日、みこりんがこっそり教えてくれたことによると、最近、乗り物に乗ると気持ち悪くなることがあるのだという。「でも、これ食べてたらだいじょうぶよー」と言って見せてくれたのは、ハイチュウ“パイナップル味”だった。たしかにスカっとするものを食べてると、気分も爽快になるが、みこりんの場合はどっちかというとただのお菓子好きなだけのような。
ともかく、みこりんも小学2年生となり、ついに乗り物酔いの季節がやってきたようである。
特にバスがだめらしい。私もバスは苦手だ。閉塞感のある車内、窮屈な座席、独特の匂い、振動、etc...思い出すだけでも気分がずーんと重くなってくる。負の連鎖だ。
一度激しく酔ってしまうと、その時のイメージがリフレインして悪循環に陥る可能性が高いので、みこりんには早めに子供用の酔い止め薬を用意してやろうと思う。こういうのは気分の問題というのも結構あるので、薬があれば大丈夫と思ってるのと、そうでないのとではかなり差が出てきそうだし。