2009.2.1(Sun)

春になるとやってくるもの

 ここ2〜3日、みょーに暖かな日が続いている。なので夜になってもストーブが点いてない、なんて事もわりとある。燃料費が節約できて結構な事だけれど、2月に入ったばかりだというのに、陽気だけなら春先の気配というのが何やらちょっと不気味…

 そういえば、なんとなく目が痒いような気もするし、クルマのフロンガラスもうっすらと“何か”でコーティングされてるように汚れてるし………。
 も、もしかして、もう花粉とか黄砂とか。あまり考えたくない事だが、この陽気、ただものではない、かもしれない。


2009.2.3(Tue)

ぬこ

 帰宅すると、廊下に小さくて黒っぽくて丸っこい物体が、まるで撒きビシのように散布されているのに気がついた。あぁ、今日は節分か。私の帰りが遅くなったので、もう豆まきしたのだろうかと思っていたら、これはただ、みこりんがちょっとだけ撒いてみたくなっただけらしい。本番は、とっておいてくれたようだ。

 撒く豆は、黒豆。食べる豆は普通の大豆。そして、赤鬼の面が1つ。でも今年は鬼の出動はなしとのこと。そのまま捨て置くのも、なんだかもったいないので試しに顔面へ装着してみる。
 子供用なのか、目の位置を合わせると、顔の下半分くらいが露出している気配。みこりんが私の顔を見て、けたけたと笑う。かなり変らしい。

 ふと、この鬼の面をつけた顔をにゃんちくんに見せるとどうなるだろうと思いつき、即、実行に移す。
 にゃんちくんは、ストーブの前でながーく伸びてくつろいでいる真っ最中。無防備だ。あまりに無防備なその背中目掛けて、そろっと近寄ってみると、さすが猫族。気配を察知したのか、ひょいと顔を上げ、こちらをじっと凝視する。

 そのままゆっくりと接近。
 にゃんちくんは微動だにせず、そこにいた。その鼻先にまで面をくっつけるように近づいても、にゃんちくんはけして動じる事はなく、ただ一言、「なー」と鳴いた。

 もうちょっと違うリアクションを期待していたのだが……。でも、これはこれでちょっとうれしい。にゃんちくんは、私の顔が鬼のようであっても、それをまったく意に介していないのだ。たぶんこれが象の面でも、宇宙人の面でも、変わりなく、普段どおり接してくれるに違いない。

 そんなにゃんちくんだったが、豆まきが始まったとたん、猛ダッシュでテレビの裏側へと消えていってしまった。
 どうやら猫は、視覚よりも聴覚で物事を判断しているようだ。豆の落下する音は、にゃんちくんにとって非日常。私の顔が鬼になってる事よりも、一大事ということなのだろう。

 豆まきが終わっても、なかなかにゃんちくんはテレビの裏側から出てこなかった。じつに用心深い。
 にゃんちくんが潜んでいるであろう箇所を覗き込み、その名を呼ぶと、ようやく暗がりからひょいと顔を覗かせ、まん丸な瞳でこっちを見、「にゃー」と鳴いた。そして壁で爪を2度3度と砥いでから、いそいそと現れ、そのまま私の膝の上で丸くなる。

 猫の愛らしさは、計り知れない。


2009.2.4(Wed)

イオンエンジン再点火

 地球からはるか3億km彼方で、長らく冬眠状態にあった小惑星探査機『はやぶさ』のイオンエンジンが、午前11時35分、再点火に成功したことが確認された。なんというタフネスぶり。
 イオンエンジンから放出されるキセノンは、秒速30km。猛烈な速度だが、推力は小さいので、地球に戻ってくるまでまだ一年以上かかる。

 はやぶさ帰還まで、あと1年と4ヶ月あまり。
 まぁ、帰還とはいってもはやぶさ本体が地球に降下してくるわけではないのだけれど、無事、接近することができたなら、街の灯火を全部消しておいて………、という“お約束”のイベントなどJAXAが企画しないものだろうか。というかぜひやってほしい。

 ところで、はやさぶが小惑星イトカワから持ち帰ったであろう地表サンプルを収めたカプセルは、地球への放出後、無事に見つかるんだろうか。もしも人知れず大地に激突して、その衝撃でカプセルが壊れ、中に潜んでいたイトカワ星人が……、なんてことにならないといいのだが。

 はやぶさが小惑星イトカワに着陸した時、みこりんはまだ小学2年生。そして、はやぶさが地球に戻ってくる2010年には、みこりん中学1年生。うーん、なんというか、しみじみである。


2009.2.6(Fri)

『付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います』

『付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います』(著:御堂 彰彦,イラスト:タケシマサトシ) 『付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います』(著:御堂 彰彦,イラスト:タケシマサトシ)、読了。
 シリーズ5巻目。1冊に4編が入るという基本構成は同じ。ただ今回は、真ん中の2章と3章が続き物になってる点が、これまでと異なる。

 1章。例によって付喪堂骨董店の姉妹店が売った、“アンティーク”によって引き起こされる事件のお話。事件といっても、今回のは人死にが出るとか(血は出るが)、そんな重いものじゃないのだが、最後に初お目見えの二人組みが、なかなか謎である。“アンティーク”を付け狙う…、秘密組織といっていいのかどうかまだ不明な点が多すぎる。
 それにしても、姉妹店を経営してるのはいったい誰なのか?というのは以前から気にはなっていた。二人組みと何か関係ありそうな、ないような。そもそも超常の力を持つ“アンティーク”を売るという行為が、すでにかなり危ないし。この謎は、いつ解き明かされるのか。……でも解き明かされたら、このシリーズ終わってしまいそうな気もするので、まだまだ謎のままで置いておいて欲しい気も。

 2章、3章は、とある有名な神話をモチーフにしたお話。グロイというよりは、哀しみと母の愛について、うむうむと感じ入るパート。
 そして、咲ちゃんの出生の秘密みたいなのを妄想するパートでもあるような。彼女は“アンティーク”を持っているのだろうか。これまでは明確に持っているとはされていないが、その瞳の奥に秘められた現実には、並々ならぬモノがあるらしい。たしか2巻か3巻にそんなような描写があった記憶がある。
 まぁこれもまた、明かされたらシリーズが終わってしまいそうなので謎のままでいいかもしれない。

 4章。例によって咲ちゃんと刻也のすれ違い話し。若い二人の初々しさに、全身がこう、ものすごくむず痒くなってくるパートだが、そこはいわゆるお約束なので、このシリーズにこのパートは欠かせないだろう。美麗なイラストも、相変わらずいい雰囲気である。カバーイラストの咲ちゃんに惹かれて表紙買いしたとしても、たぶんそれは後悔しないものと思われる。つまり何が言いたいかと言うと、咲ちゃん最高。


2009.2.7(Sat)

球根の怪

 冬は寒い。それゆえに、庭仕事も滅多にやらない超手抜きモードだったが、秋に植えたチューリップの球根がどんな状態になってるのか、ふっと気になったのでテラコッタを覗き込んでみると………

 ころん

 と、球根が1つ鉢土の上に横たわっていた。白い根っこが無数にすらりと伸び、球根の先っちょには黄緑色した芽もちょこっとだけ伸びている。そんな状態の球根が、何故?

 球根が自力で土から脱出を計った、というのをちょっと想像してしまったが、たぶんそれはない。それにしても、芽が伸び、根っこがわさわさ生えた状態の球根が横倒しになっている図というのは、なにやらマンドラゴラのようにも見えて、微笑ましい。
 いやいや、そんなことより早く埋め戻してやらないと根っこが痛んでしまう。

 さらさらロングヘア状態の根っこを埋め戻すのは、意外に大変だった。隣接した球根に被害はなかったのだが、すでに地中では根っこが張り巡らされた状態のため、下手に土を掘ると、ぶちっと千切ってしまいそうになる。
 丁寧に穴を掘り進み、球根を所定の位置に捧げ持ち、土をかけ。

 球根は無事、元の状態に戻った。
 それにしても…、いったいナニモノの仕業だろう。最近よく庭で見かける野良猫がじゃれついたにしては、球根がまったく痛んでいなかったのが不自然のような。そもそも土の表面には掘った痕跡はなかった。まさに球根だけが、すぽっと真上に引っ張り上げられた感じ…。となると、やはりアレかな。カラスが嘴で芽をついばんだまま、くぃっと。

 ………面妖な。


2009.2.15(Sun)

車検

 先週の土曜日から車検に出していた私のクルマが、ようやく仕上がったと連絡を受けたのが今日の午後。エンジンのパッキンから滲み出ているオイル漏れには私も気付いていたのだが、今回はそれ以外に水漏れが複数個所見つかったとのことで、そいつの部品交換と、再度水漏れしないことの確認に日数をくってしまったらしい。
 長かった。でも直ってよかった。平成3年モデルのサイノス。もうじき20年になるクルマだから、あちこちガタが来ても無理はないのだけれど、今では貴重なマニュアル車。できれば続けて乗っていたい。

 がしかし、メカマンの言う事には、次の車検を通すのはちょっと厳しいかもしれないらしい。それ相応の修理費用をかければもちろん直るのだろうけれど、それに見合う価値があるかのかどうか、というニュアンスも含まれているのだろう。自動車業界は今や空前の不況モードだしのぅ…。新車を買って欲しい気持ちはよくわかる。

 ただ……、私はマニュアル車が、やっぱり好きなのだった。そして適度な排気量。1000ccでもなく、2000ccほどでもなく。そのちょうど中間あたりの。
 そしてできれば車高は低い方がいい。となると、今の自動車業界のラインナップには、購買意欲をそそられるモデルがほとんどない。もしかすると、まったくないかもしれない。

 どっちにしても2年後どうなってるかは、このご時勢、予想するのはとてもとても難しい。しばし静観の構え。


2009.2.16(Mon)

Sphere

 昨夜、みこりんからミュージックレインの4人娘が、音楽(?)ユニット“Sphere”を結成したと聞いたばかりだったが、今日早速、数量限定で“Sphere”グッズの通販コーナーがオープンしたらしい。こういう限定モノに弱いみこりんは、私宛のメールで、「何か買っておいて欲しい」と書いてよこしていた。
 今日は夕方からエレクトーンのレッスンがあるから、みこりんは帰ってくるのが遅くなる。その間に、“完売”になってしまうのを恐れているのだろう。

 19時半、帰宅。みこりんのPCで通販のページを見てみると、たしかに数量限定の品々が表示されていた。でもまだ“Sphere”グッズで完売になったやつはなさそうだ。
 モノは、クリアファイルに、マフラータオルが2色、TシャツもSとLサイズが2色ずつ、あとはケータイストラップとか小物類。みこりんは「買っておいて欲しい」とメールには書いていたものの、肝心の“何を”を書いてなかったので、どれを買ったらいいのかしばし悩む。
 レッスン中だからメールで確認するわけにもいかず、さりとてみこりんの帰宅を待ってるうちに完売になっちゃってたら、それはそれで困ってしまうし…

 うーん。
 迷った末に私が出した結論は、クリアファイルと、青いマフラータオル1本だった。
 クリアファイルには4人娘の写真がプリントされているので、まず間違いなくみこりん的にはOKだろう。タオルも、もしダメだったとしても実用性はあるから無駄にはなるまい。ただ、マフラータオルにはオレンジと青の2色あったのが、悩ましかった。
 小さい頃からみこりんは青系を好む傾向にあったので、とりあえず青を選んでおいたのだが…

 *

 戻ってきたみこりんに、青いタオルにした事を告げると、「オレンジがよかったなぁ」と言う。理由は、オレンジ色が戸松遥ちゃんの色だからということだった。じつにわかりやすい。でも私はそこまでマニアではないので、イメージカラーがあるとは露知らず。……すると、青は誰のイメージカラーなんだろうか。でも4人いるんだから4色ないと不自然っぽい気もするが…。謎多し。
 ところでこのマフラータオル、1本1500円もする。みこりんの貯金から買うことになってるため、そうそう簡単にオレンジも追加注文というわけにもいかない。
 売り手側の主な想定購買対象は、きっと大きいお友達向けだろうから、この値段でも全グッズ(しかも使う用、観賞用、保存用の3種ずつ)揃える剛の者はいることだろう。でも小学生のみこりんには、少々高いハードルだ。

 私が自分用にオレンジ色のマフラータオルを買って、それをみこりんの青いのと交換するという手もなくはないが…、そこまでするのもちょっとどうかという気もするので、しばし静観の構え。


2009.2.18(Wed)

 揺すられて目覚め。何に揺すられているかと言えば、部屋だった。
 ぎっしぎっしぎっしと、普段味わえない程度に横揺れしている。しかも今回のは、わりと長く揺れが続いていた。体感で約10秒くらい。
 本棚が倒れてくるんじゃないかという不安が、ちらと脳裏をよぎる。

 どこかで大きな地震が発生したんじゃないだろうか。そんなことも思っていた。

 地震速報によれば、幸い、震源が近かっただけで、どこかで巨大地震が発生したわけではなかったらしい。震度分布によれば、このあたりで震度3。
 3でアレなら、5とか6が来たら……。

 ちなみに、にゃんちくんがどんな反応をしたかというと、しっかりテレビラックの裏側に逃げ込んでいた。でも名前を呼んだら、すぐに出てきたので、豆まきの時ほどには驚いてはいないらしい。自然現象には、耐性が高いのだろうか。獣ゆえに。

 何にしても…、目覚め前の地震というのは心臓に悪い……


2009.2.22(Sun)

ヴァルキリー

 SDF-1“マクロス”、進宙式の日。
 リアルでこの日を迎えることになろうとは…。感無量である (T^T)。

 TV版の『マクロス』が本放送されていた少年時代、たしか土曜だったか日曜だったかの昼間がその放送時間にあたってしまっていたので、友達と遊んでいても、わざわざマクロスを観るだけのために30分、家に戻っていたことを思い出す。あの当時、一般家庭でテレビ映像を録画する装置は、現代ほど当たり前のように普及してはいなかったので、見逃したらおしまいだった。

 マクロスの何にそこまで惹かれていたかといえば、やはり可変戦闘機ヴァルキリーの存在がとてもとても大きい。異星人が巨人ゆえ、それに対する格闘戦闘が可能なように設計されたという設定も、ツボを的確についていたと思う。人型に変形したヴァルキリーと、異星人のサイズがほぼ同じというのは、わたし的に当時はかなりデカルチャーな出来事だったのだと思われる。

 戦闘機状態のヴァルキリーが、当時最新鋭だった米国の可変翼戦闘機F-14とそっくりだったというのも、わたし的に重要な点だった。あの頃の私は、プラモデル作りにはまっていた。特に、米国の現代機、その中でもFシリーズのナンバーが与えられる“戦闘機”のプラモデルを作ることに熱中しており、当然のごとくF-14も持っていた。空軍のF-15ももちろん作ったが、やはり海軍仕様独特の可変式の主翼を持つという一点で、私はF-14が大好きだった。
 そんなリアル嗜好だった私が、アニメのロボットのプラモデルを買ったのは、マクロスのヴァルキリーが初めてだったと思う。リアル嗜好ゆえ、ガンプラには手を出してはいなかったのだ。ガンプラといえども、当時の造型は、いまのMG(もしくはHG)シリーズ等とは比較できないほどおもちゃっぽかったし…(値段も安かったけど)。

 まず人型のバトロイドを作ってみた。むろん頭部のクリアグリーンのカメラ部分と、両サイドの肩についてる照明用ライト部分には、麦球を仕込んだ。部屋を暗くして点灯させてみると、「うーん、マンダム…」
 ところで、ヴァルキリーには、戦闘機状態と人型の中間形態である、独特のガウォーク形態がある。この形態なくしてヴァルキリーは成立しなかったであろう、超重要な形態。当然、これも作りたかったのだが、しかし、ガウォーク形態のプラモデルには、致命的な欠陥があった。

 人型のバトロイドと同じ縮尺とは思えない貧弱なサイズ。そして脚部のひょろひょろさに愕然とした。リアル嗜好の私には、とうてい受け入れがたいシロモノだった。こ、こんなのガウォークじゃない…。そう思った。でも、双発のエンジン部分が脚部として鳥の脚のように逆“く”の字になってる点や、機体前半と主翼部分が航空機形状のまま、両腕が展開してる点とか、ガウォーク形態には底知れぬ魅力があった。
 ガウォーク作りたい。でも、このプラモじゃだめだ。……では、どうするか。ないものは自分で作ろうと決めた。
 とはいっても、ゼロからフルスクラッチなどという高度な技は持ってなかったので、脚部と腕と尾翼は、人型のプラモデルのやつを流用、コックピットや主翼、機体前半部分の胴体はガウォーク形態のやつを流用。併せ技である。

 この頃になると、電飾として仕込むのも麦球ではなく、発光ダイオードに進化していた。光らせるのはコックピットのマルチファンクションディスプレイと、航空表示灯。航空表示灯の方は、チカチカと周期的に点滅させたかったので、科学部の部室にあった雑誌を参考に、点滅回路を作って組み込んだ。ただ、この時はさすがに電池と電子回路の基板がどうしてもプラモデル内部に収まらなかったので、初めて飾る用の台を使った記憶がある。

 左腕を途中まで破壊された状態に改造してみたり、いつのまにか、プラモデルを作る事よりも、『マクロス』世界におけるヴァルキリーをいかに再現するか、というのが私にとっての重要なテーマになっていたような気がする。実際、その他のプラモデルからは徐々に手を引き、あれほどはまっていた米軍Fシリーズのコレクションやらナチスドイツ軍のジオラマ造型にも熱が入らなくなっていたし。
 それほどヴァルキリーの魅力には抗し難いものがあった…、のだと思う。

 *

 あれから25年が過ぎた今日この頃。基本形状とコンセプトをほぼ保って、ヴァルキリーは健在だ。プラモデルも、おそるべきことに無改造でプロポーションを崩すことなく3形態の完全変形が可能なほどの完成度となっているらしい。……プラモ製作のブランクが長いので、ちょっと手を出すのは躊躇われてしまうのだが、今ならシェリル仕様のデカールが付いてくるとかなんとか聞くと、うずうずと……。

 それにしても、プラモデルの値段、いつのまにか千円オーバーが当たり前なのだなぁとしみじみ思ったりもし。子供のお小遣いで買える範囲を超えてるような気もするが、いまどきの子供たちはプラモデルを作ったりはしないんだろうか。大きいお友達専用のマニアックな趣味になってしまったのかな…。ひょっとすると子供のお小遣い相場もインフレしてるのかもしれないけど。


2009.2.23(Mon)

“きゅるきゅる”の謎

 時間経過を早送りしているというのを表現する手段の1つとして、音声を“きゅるきゅる”いわせるのがある。カセットテープを通常再生させつつ、早送りボタンを押したら簡単に実現可能だったあの技は、しかし、現代っ子のみこりんには感覚的に理解不能らしいことが発覚し、時代の移り変わりを実感するのであった。
 そういえば、そもそもカセットテープを、みこりんは小学生になってからというもの使ってないしなぁ……。

 それならばと、私が昔のカセットテープの音楽データをPCに取り込む用に使ってるカセットデッキ“GX-R60(AKAI製)”を用いて、みこりんに実演してみせようと思った……、のだけれど、残念ながらカセットデッキのボタンが電子式ということもあって、早送りボタンを押すと、再生ヘッドが自動的に下がってしまって、“きゅるきゅる”再現できず orz...

 みこりんが携帯プレーヤーとして使っているPSP3000では、映像データについては早送り機能はあるものの、せいぜい数倍速程度の早送りしかできず、これでは滑舌がとてつもなく良い超早口になるだけで“きゅるきゅる”にはほど遠い。
 もはや“きゅるきゅる”という演出手法は、過去の遺物となってしまうのかもしれない。みこりん世代が二十歳になる頃、“きゅるきゅる”が何を意味しているのか理解できる若者はほとんど存在しないだろうから…。

 今の30代40代が、むかーしの映画を見ていて、電話のシーンによく出てくる“かちゃかちゃ”と受話器のフックを連打する意味がもはや何なのか直感的に理解できないのと同じ、なのだろう。
 逆に、若者世代にはすぐ理解できて、おっさん世代には理解不能な演出手法なんてのも遠からず出てくるのかと思うと……、それはそれで面白いかも?


2009.2.28(Sat)

納豆の怪

 朝から家の外に一歩も出ていないというのに、目玉が猛烈に痒い。取り出して丸洗いしたい衝動にかられつつ、まるで風邪の時のような頭痛に耐える。
 そんな私とは正反対に、みこりんはなにやらうれしそうに冷蔵庫から白いパックを取り出していた。
 お昼ごはんの時刻。

 白いパックは納豆らしい。
 ふむふむ、あつあつ白ご飯に、納豆とは、なかなかやるな。…と思っていたら、“ふりかけ”と、牛乳パックもテーブルに並べている。ふりかけはまだわかるとして、なぜそこで牛乳?

 私の怪訝な表情を感じ取ったのか、みこりんがにこやかに言った。

 「おとーさんも食べる?納豆牛乳茶漬け」

 ……………。

 い、いま、なんと?

 「なっとうぎゅうにゅうちゃづけ」

 ぜったいいや。

 練った納豆をほかほかご飯にかけ、ふりかけをまぶし、とどめに牛乳を注ぐみこりん。
 いったいそんなレシピをどこで覚えてくるのか…。きっと声優さんがらみのネットラジオか何かだろうと思いつつ、食べ始めたみこりんに感想を聞いてみると、「うん、おいしい!」と答える。
 うーーーーむ。

 新しい、世代、か。


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