2002.1.1(Tue)
みこりんの“お正月”
謹賀新年。
本年も当サイトでお楽しみいただければ幸いです。
さてさて、大晦日の夜から、ちょいと夜更かししていたみこりんは、“お正月”なるものに興味津々のようすだった。いったいいつになったら“お正月”をやるのか、はやく“お正月”をやろうと、意気込んでいた。
そして新年まであと10分となった時、毛布にくるまってこの時を待っていたみこりんに声を掛けた。「みこりん、もう少しで“お正月”だよ」と。
嬉々として起き出してくると思いきや、TVの方を向いたままのみこりんに変化はなかった。私は少々不安になった。……これは、もしかして…みこりん、寝てしまったんではあるまいか。急いで駆け寄り、くるんと体を回してみると、そこにはすぅすぅと心地よさそうに寝息をたてるみこりんの姿が。
みこりんの“お正月”の謎は、その後、解けたのかどうか定かではない。お昼まで寝ていた私を起こしに来てくれたみこりんは、いつもと同じように見え、その口からも“お正月”について言及されることはなかった。独自に解決できたのか、あるいは単に“忘れてしまった”のか、それともLicに教えてもらったのか…。でもみこりんの性格上、謎が解けたときには教えずにはいられないはずである。やはり“お正月”の謎を追究していたということを、忘れてしまったんだろう。
午後からは雨。小雨だ。雨のお正月というのも随分久しぶりのような気がする。明日は雪の予報らしい。出歩くならば今日の方がいい。
というわけで初詣に出掛ける。本殿の脇に設置された特設賽銭カゴの中は、底がすかすかに見える有様。…じつに寒々しい光景だ。気を取り直して、初売りのスーパーへ向かう。福袋ゲットに燃えるLicは、あっというまに人混みへと消えていった。でもその人混みも部分的なもので、どことなく閑散とした印象を受ける。
やがてLicが戻ってきた。その手には、しっかりと福袋の巨大な袋が3つ握りしめられている。なんて豪快な。すると聞いてもいないのに、Licが状況説明を始めてくれた。それによれば、1つは頼まれもの、もう1つはみこりんのものだという。でも、まだちょっと買い足りなさそうな……
2002.1.2(Wed)
みこりんの“す”
体全体を使って“文字”を表現するといえば、“命”とかが最近では例に挙げやすいが、今日はみこりんが突然“す”をかましてくれて、度肝を抜かれた。ちっこい両手をそれぞれ左右にぴんと伸ばし、片足をフラミンゴのようにひょいと上げれば“す”の出来上がり。いったいみこりんはこの技を、どこで会得したのだろう。
ところがみこりんの技は、“す”だけにとどまらなかったのである。風邪っぽいので昼間から寝ていた私の枕元へとやってくると、「の」と言いながら、“の”をやってくれたのだった。どうみても“の”というより、“へ”のような気がしたが、体文字初心者ゆえ、仕方あるまい。
“の”を披露したあとみこりんは、驚くべきことを言い放った。どんな文字でもやれるというのだ。そこで私は、五十音すべてを試してみることにした。“あ”から始まって、“ん”まで。その間、みこりんは“ね”とか“ぬ”とかのややこしいのを除き、ほとんどの文字をアクロバティックに体をねじ曲げながら表現してくれたのだった(それが似てたかどうかはおいといて)。
すべてをやり終えたみこりんは言った。元ネタはTVから得たのだと。“す”を、TVでやってるのを見たことが発端だったらしい。すると“の”以降のものは、みこりんオリジナルということか。なんとなく明日にでも“命”とか叫んでそうで、少々不安…
2002.1.3(Thr)
屋根からどどどっと
昨夜遅くから降り始めた雪は、すっかり積もってしまっていた。お昼過ぎには積雪18cmほどにはなっていただろう。
さっそくソリを抱えてみこりんが外に飛び出していった。この日が来るのを、みこりんは去年から、ずぅっっっと待っていたのだ。
去年までなら雪だるま作りにも興味を示したみこりんだったが、今年はソリ遊びだけに熱中している。だから雪だるまはLicの担当。みこりんは、自分のソリに雪を積み、あたかもそれが荷馬車であるかのように積み上げた雪の上にどっかと腰を据え、私に引っ張るように言うのだった。西部劇でも見たんだろうか。腰の据え方が、妙にさまになっていたが。
こうしたみこりんの助けもあり、雪だるまは徐々に巨大化していった。今回の積雪が、近年希にみる大雪だったことも幸いして、これまでのどんな雪だるまよりも丸く、立派な体型へと変貌を遂げてゆく。
雪だるまにもっともっと肉付けすることも可能だったが、ガレージの屋根に積もった雪の量に不安を抱いた私とLicは、雪下ろし作業にとりかかるのだった。この屋根は積雪20cmが限度と注意書きには書いてあった。今や20cmを越えそうな勢いだ。このままではいかん。
脚立を持ち出し、農具(ホー)やら漁具(タモ網)を繰り出し、手の届く範囲で雪を掻き落としてみたが、1/3も落とせぬままに終わってしまった。手が届かない部分をどうするかが課題である。
みこりんも、自分のタモ網を持ち出して見よう見まねでお手伝いしてくれている。と、その時、すさまじい勢いで、二階の屋根の上から雪が大量に落下してきたのであった。な、雪崩ぢゃ…。みこりんのおっきな声に反応したのかもしれない。おびえるみこりん。たしかに直撃を食らったら、ちょっと危なかった…かも。
ところでこんな日に限って、灯油がない。昨日の夜、切れてしまったのだ。しかもクルマのタイヤはノーマルのまんま。買い出しに行くには、スタッドレスに自力で履き替える必要がある。寒い、寒すぎる。
*
雪は夜になっても降り止まず。
昼間雪下ろししたガレージの屋根にも、新たなる積雪が約15cmほど……。でも、雪下ろししなかった部分の積雪が、昼間の20cmにプラスして15cmあるかというと、そんなことはなくて、あまり大差ないように見える。な、何故だ。
2002.1.4(Fri)
折れたゴールドクレスト
お昼過ぎに目覚めると、雪はまだしんしんと降りしきっていた。ただ、気温がやや高いのか“ぼた雪”である。積雪量がこれ以上増えることはなさそうだが、庭はすでにウッドデッキの高さまで雪で埋まっていた。およそ40cmはあるだろうか。“かまくら”でも作れそうな具合だ(作らないけど)。
明日はまた冷え込むらしい。となると雪は来週になっても残っている可能性大ありである。やはりタイヤを自力で交換せねばなるまい。灯油も買ってこないといけないし(エアコンの室外機は雪で埋もれてるし)。
重装備に服を着込んで、外に出る。クルマのトランクを開けたところで、ジャッキアップ用の工具がどこに収納されていたかを思い出そうとして、はたと気付く。そういやこのクルマの工具は一度も使ったことがなかったんだった。
さて、どこに収納されているかな。トランクルームの両サイドにはポケットが2つ。そして中央底部分にはスペアタイヤが埋まってるはず。
まず左のポケットを探る。……「む!」なんもはいってなかった。
ではここか。底の板を持ち上げてみる。黄色いホイールのスペアタイヤが1つ。その窪みに真新しい軍手が一組……、これも付属品なのだろうか。なんだか妙だ。ふと顔を上げると、板の裏側に、ヤモリのように貼り付いた細長い工具を2組発見。ジャッキを回転させる“棒”と、タイヤのナット締め用のツールである。よしよし、残るはジャッキだけだ。
最後に右のポケットを開けると、フレームの一部のように組み込まれたジャッキを発見。軸をゆるむ方向に回して、取り出してと。これで準備は整った。
ジャッキアップ。そしてナットを弛めて………って、めちゃくちゃ固い。まるで溶接されているかのごとく。それでも全体重をかけて、ぐるっと回すと、ようやく回転した。“タイヤ”が。…どうやら手順を誤ったらしい。
ジャッキを元に戻し、接地した状態でもう一度ナットを弛める。今度はタイヤが回ることなく、ナットだけが回転した。あとはひたすら同じ作業の繰り返し。
傍らでは、みこりんが雪に埋もれながら遊んでいる。風邪っぴきなのに。たまにこちらの様子を見に来ては、ちょこっと応援してくれるのだが、3本目を交換し終えたあたりで、私は早くもバテ始めていた。い、息苦しい…。我が家のクルマが6輪車とか8輪車でなく、4輪車で本当によかった。あと1本だ。
やがてスタッドレスタイヤへの換装は終了した。これで灯油も買いに行けるし、来週まで雪が残っても怖くはない。私は、満足しつつ玄関へと向かう。汗で火照ったシャツの中に、冷えた外気が侵入してくるのが心地よい。
玄関脇に3本並んだゴールドクレストに目が留まる。真ん中のヤツが変に深々とお辞儀をしているので、枝に積もった雪をどかしてみると……ぽっきりと折れているのがわかった。皮一枚で繋がった状態だった。2mほどの高さにまで育っていたのに、先端から60cmほどのところで、あっけなくいっていた。雪の重みに耐えられなかったのか。いかにも雪が似合いそうな樹木なのに。3本並んだ姿が美しかったのに……と落胆しつつも、折れてしまったものはしょうがないと、剪定バサミで切り口をきれいに切断しておく。あと何年かすれば、代わりの枝が伸びてくることを期待して。
昨日の夜は、こんな感じだった…
バッドトランス・B(WORM_BADTRANS.B)対策のすすめ
ピーク時よりは減ったとはいえ、今でもときおり「バッドトランス・B(WORM_BADTRANS.B)」が届く。Internet ExplorerとOutlook系のメールソフトを使っている人で、これまで一度もセキュリティパッチを当てたことがないという方は、すぐに次に示したサイト等を参考に対処されることをお勧めしたい。
てっとり早く、感染の有無を確認するなら「WORM_BADTRANS.B」修復ツールを利用しよう。もし感染していたら自動で修復してくれる。
このワームはOutlook系のメールソフト(Internet Explorerの機能を使ってプレビューするタイプのメールソフトはすべて該当するはず)で、ワームが添付されたメールをプレビューしただけで感染してしまうので、気づかないうちに感染してしまう可能性がとても高い。
セキュリティパッチをこまめに当てる自信のない方は、メールソフトをOutlook系から別のソフトに乗り換えた方がいい。
ちなみに私のお薦めメールソフトは鶴亀メール(現在は“秀丸メール”に名称変更されている)である。2000円のシェアウェアだが、秀丸エディタの正規ユーザーは無料で使用可能。鶴亀メールのウイルス対策の部分を作者サイトから引用してみよう。お勧めする理由をご理解いただけるだろう。
ウィルス対策について
最近、Internet Explorer等のセキュリティホールを利用した、「見ただけで感染する」タイプのウィルスが出回っています。鶴亀メールはこれらのウィルスに限らず、そもそもHTMLメールをテキスト形式に変換して表示する仕組みなので、見ただけでウィルスに感染することは絶対にありません。
また、仮にウィルス入りのメールを受け取ったとしても、受け取った添付ファイルをダブルクリックして実行しない限り、ウィルスに感染することはありません。さらに、鶴亀メールは添付ファイルを実行しようとした時に厳重な警告メッセージを出しているので、間違ってダブルクリックした場合でも簡単に感染することはありません。
また、V1.54の鶴亀メールから、特定の拡張子の添付ファイルやプログラムを含んだHTMLメール(のHTML部分)を自動削除する機能を追加しました。これらを使えばアンチウィルスソフトなしでもかなり安全な運用が可能です。
2002.1.5(Sat)
みこりんと遊ぶ
絶え間なく降りしきる雪。今日のやつは積もるタイプの雪らしい。ウッドデッキから庭をつなぐソリの特設コースを、さきほどからみこりんが何度も滑り降りてゆく。
雪に埋もれたみこりんが、なにやらうれしげに庭の一角を指さしている。タモ網?タモ網がどうしたの?え?ここに埋もってる?二日前に屋根の雪下ろしをした際、みこりんも自分のタモ網でお手伝いしてくれていたのだが、そのタモ網をそこに置き忘れたのだと言っている。永久凍土からマンモスを発掘するイメージが一瞬よぎっていった。
*
夕方、何気なくみこりんを“高い高い”してやった。ずしっと腕に体重がかかる。お、重い。そういえば、最後に“高い高い”してから、もう随分経つような…。
米一袋より遙かに重くなったみこりんを、そのまま天井に放り上げるように“ハイパー高い高い”3連発。「もういっかい」と言うみこりんの声は、なぜか控えめなものだった。怖いのと楽しいのが半々というところか。希望通り15連発ほどしたところで、そろそろ腰と腕が怪しくなってきたのでおしまいにする。雪に閉ざされた冬は、これで運動するのもいいかもしれない。
ROBODEX2002
最近のお気に入りなCMは、HONDAのASIMOケーブルカー篇である。子供らと共に階段を下りてくるASIMO。タッチの差でドアが閉まってしまう微妙な間が、いい。
でもそんなことよりASIMOの階段下りの性能は、子供と共演できるほどになっているのかということの方が感慨深い。今年、第二回目となるROBODEX2002で、どんなパフォーマンスを示してくれるのかが興味深い(ROBODEX2000の様子は2000年11月24日の日記を参照)。
2002.1.6(Sun)
『メリッサの旅』
しばらく前からトイレの友として読んでいた本がある。ドロシー・ギルマン著の『メリッサの旅』だ。あえて分類するならば、サスペンス・ミステリーになるのではないかと思われるこの本は、これまでの私の読書傾向からすると、おそらく一生接点がなかったにちがいない。私が好む活字媒体の作家/作風は、神林長平や谷甲州などのSFか、夢枕獏などの伝奇アクションで、翻訳物といえばほぼ99%をハヤカワSFが占めるという状況なのだ。しかも購入量に読書量が追いついておらず、好きな作家の本でも数ヶ月、いや時には数年も積読状態になってしまう有様である。そんな中、どうしてこの本を読み進めることになったのかといえば、ただの気まぐれだった。その日、たまたまトイレの中に、その本が置いてあったという、それだけの理由だった。そう、この本はLicが買ってきたものだった。
なにごとも変化を嫌い、うちに籠もり、人との接触を避け、内的世界だけがすべてだった一人の女性が主人公である。精神科医のすすめでヨーロッパを一人旅することになったが、その道中、ある男から一冊の本を託される。男は、本をマヨルカ島に届けてほしいと言い残し、そして殺された。物語は、メリッサの一人旅と共に進行してゆく。そして舞台はついにマヨルカ島へ。これまでの淡々とした展開からは予測もつかないような結末へと向かう場面は、圧巻であった。それでもなお、終始一貫していたのは、これはメリッサの自分探しの旅だということ。乾いた白壁の粉々が手にくっついてくるぐらいリアルな描写とも相まって、メリッサの心境の変化はとても説得力のあるものだった。見知らぬ男から渡された本と、自分の命との交換条件。なぜメリッサは最後まで本を渡さなかったのか。命を懸けてまで。たしかに自分もそういう状況ならそう言ってしまうかも…、と思わせてしまうほどに、物語世界に引きずり込まれていた。
あとがきを読んで、さらに驚愕する。なんと初版は1967年なのだ。それだけ時代が離れていると、作品世界にはどうしてもある種の“古さ”が滲み出てしまうのではないかと思うのだが、ぜんぜん気にならないどころか、気づきもしなかった(舞台設定がヨーロッパというのも影響してるだろうが)。恐るべし。
次回、Licがドロシー・ギルマンの本を買ってきたら、今度は偶然ではなく、必然をもって私はその本を手に取ってしまうだろう。
2002.1.7(Mon)
普通すぎる
テムザックIV号とかT-5 prototype00などは、まだ面白みがあったが、これはいったいどうしたことか。すでにこういうロボットが存在しているというのに(しかも歴史は古い)。
共同研究/受託研究ゆえか、無難路線すぎる。説明文の“既存の機器などにない革新的な点は、自律走行に加え、警備員の判断により遠隔操作が出来ることです。”というのも、じつに寒い。その機能を革新的というか。確信犯かもしれないが。
テムザックという会社にはちょっと期待していただけに、なんだか残念で仕方がない。
2002.1.8(Tue)
もう1つの癖
“足先でいつも何かに触れている”というのが、寝るときのみこりんの癖だ。しかしながら、最近ではこれにもう1つ加わったようだ。
ぺりっと布団をはがしてみると、ちんまりとみこりんが眠っている。じつに愛らしい。でもその寝顔ばかりに見とれていると、見逃してしまう。みこりんの手に注目だ。
どこかヘンなところはないか?ほらよぉく見て。みこりんの手のひらは、いったいどこにある。
そう、みこりんは手のひらを、体の下に隠すように腰の下に差し込んでいるのがわかるだろう。どことなく固まったペンギンを連想させるポーズ。これがみこりんの新しい癖なのだ。手のひらを差し込む場所は、腰の下ばかりとは限らない。より温かいもの、たとえば私とかLicとかの体の下なんかもよく利用される。枕の下とか、パジャマの中というのもありだ。
ただ、冬季限定っぽいこの癖には、1つだけ欠点があった。それは何か?ずぅっと手を体の下敷きにしているとどうなるか……。痺れるのである。ものの見事に。
朝目覚めて、「てがぴりぴりする〜」と泣くみこりんの姿は、ちょっと可愛そうだが微笑ましくもある。でも近頃は学習したのか、手をダイレクトに下敷きにしてることは少なくなったような気もする。いまにこうした記憶も、どんどん記憶の奥底に仕舞い込まれて、忘れ去っていってしまうのだろう。…などとしみじみ思ってしまうのだった。
2002.1.9(Wed)
『ブレードランナー2 −レプリカントの墓標−』
先月末には本屋にまだ山と積まれていたはずの『サムライ・レンズマン』(古橋秀之 著/徳間デュアル文庫)が、忽然と姿を消していた。やはりあのとき買っておくべきだったか。と言いつつ、注文してまで買おうという気はまだないのだけれど。
本といえば、『ブレードランナー2―レプリカントの墓標』(K・W・ジーター 著/ハヤカワ文庫)を3日かけてようやく読み終えたところだ。改めて言うまでもなく映画『ブレードランナー』/原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の続編である。
あの日、地球に逃亡してきたレプリカントは6人いた…というくだりで、本当にそういうやりとりがあったのかビデオで確認したくなってしまったが、再生可能な状態になかったので果たせず悶々としながらも読み進めていた。いったい第6のレプリカントは誰なのか。死してなお動き続けるプリスは、ほんとうに人間なのかっ。レイチェルはこのままもしかして一度も目覚めることなく終わってしまうのでは…とか、なかなか楽しい読書時間を過ごすことが出来たと思う。
ところで、外見そっくりで記憶も部分的に重なり合っている、人と人ではないが非常に人と似ている生物(というか機械というべきか)がいたとしよう。片方の寿命はもうじき尽きようとしているが、あなたの愛人…もとい恋人である。もう片方の寿命はまだたっぷりとありそうだ。しかもなぜだかあなたに好意をよせている。さて、あなたならばどちらを選ぶ。
デッカードの気持ちもわからなくはないが、その結末ではレイチェルがあまりに哀れすぎやしないか…と思ったのであった。とはいえ、すでに死んでしまった人を嘆き悲しむよりも、新しい人生を選ぶというのも悪くはないか。…とか、なんだか生々しい思いが後に残るお話だった。
2002.1.10(Thr)
あったら便利そうなもの
『車載Webや電子メールツールはお呼びでない?』(ZDNet 2002.01.08)
あったら便利だろうと思うもの。それは、GPS等を用いて得た位置情報を、互いのクルマ同士で共有できる機能。いや、携帯サイズにコンパクト化できれば、歩行者も利用できるようになるだろう。もちろん100%の保証はないが、かなりの正確さで死角から接近してくるクルマの存在を知ることが出来るだろう。異常接近時には問答無用でブレーキングさせるとか、そういう技を備えていれば、泥酔した運転手に殺されなくても済むようになるにちがいない。
この位置情報交換は、せいぜい半径500mくらいの領域でOKなので、たとえば交差点ごとに中継装置あるいはサーバを設けるとかすれば、ある程度リアルタイムに情報更新が可能なのではなかろうか。
心配があるとすれば、この装置に甘えてしまって安全確認が甘くなってしまうタイプの人間が出現しそうなこと、かな。
2002.1.11(Fri)
似たもの同士
たまたま地上波で『風の谷のナウシカ』をやっていたので、遅い夕食をとりながら聞き耳を立てていた。みこりんも何がそんなに気に入ったのか、歯ブラシを持つ手も止まるほどに真剣な見入りようだ。
ふと、“王蟲”がいったい何に見えるか気になったので質問してみたのだが、明確な答えは得られなかった。ひそかにアレを期待していたのだが、みこりんもそこまでおこちゃまではなかったということか。
ラスト目前。生き返ったナウシカの肩で、こそこそっと喜びを表現している小動物について、「あれは何か?」と問うてみた。するとみこりんは自信たっぷりにこう答えてくれたのだった。
「ぴかちゅう!」
な、なるほど…
2002.1.12(Sat)
声の違い
久しぶりにドン・ジョンソンの顔をTV画面で見たような気がしたので、しばらくチャンネルを変えずにおいた。『刑事ナッシュ・ブリッジス』、こちらでは真夜中にやっているらしい。
あぁしかし、ドン・ジョンソン担当の声優は、野沢那智さんなのか。違和感ありまくり。私の中ではドン・ジョンソンといえば、『マイアミ・バイス』の時の隆大介さんと決まっているので、その激しすぎるギャップにどうしても馴染めそうにない(いや、野沢那智さんが下手とかそういう話ではなく、以前のイメージを払拭できないというお話だ)。
結局、エンディングまで見届けても、やっぱり違和感は残ったままだった。でも、まだ望みはある。なぜならば、ドン・ジョンソンの“腹”が、やや出始めたように見えるからだ。恰幅の良い体型ならば、なんとなく野沢那智さんの声質の方が似合うかもしれない。
青い海、輝く太陽…のマイアミを舞台にしつつ、どこかダークで泥臭いひたむきさがあって、妙に気に入っていた『マイアミ・バイス』。これよりも面白いかどうか、『刑事ナッシュ・ブリッジス』の方も、しばらく忘れないようにチェックしておこうかと思う(今更だが)。
2002.1.13(Sun)
国華園より
国華園より『花カタログ 2002年春の特大号』が届く。表紙の下にさりげなく『メールマガジン 花王国』のお知らせが載っていたので、さっそく登録しておいた。妖しげなブツの特売リストが送られてくるのであろうか。
それにしても国華園の顔というべき“菊”のページがどんどん薄くなっているような……。
さて今回も変わった果物特集である。もはや特集というよりは、これが国華園の特長といえるだろう。その中でも特に驚きの逸品といえば、これ。
幻の種なしザクロ“アークデニズ”1株5200円(300本限定)
もちろん日本初上陸らしい。果肉部分よりも種のほうが多い(ような気のする)従来のザクロは、じつに食べにくいものだったが、種なしとあればもはやそんな心配もない。画期的だ。しかし重大な問題は残ったままである。男がばりばり食っても大丈夫なのか、女性ホルモン“エストロゲン”…
その他にも“New”マークのついた変わったやつがそこここに。ゆで卵の黄身のような味らしい“クダモノタマゴ”やら、果物マニアも知らないはずという“グルミジャーマー”、鱗片をもいで食べられる“スナックパイン”etc...
だが熱帯の果物は冬の置き場に困る。カタログで楽しむのにはいいのだけれど。いっそのこと国華園(あるいは提携農家でもいいけど)で“実”のほうも通販やってくれないかな。
そして野菜。トマト好きの私としては“ブランデーワイン”が気になるところだ。“トマト中、ズバ抜けたウマさを持つ”とか“かつて口にしたことのないジューシーな食感!”などという謳い文句に、ついくらっときてしまいそう。1袋500円。
花モノは……、あとでじっくり選ぶとしよう。
2002.1.14(Mon)
みこりんの謎
あと半年もすれば、みこりんは5歳になる。そんなみこりんの本日の謎は、次のようなモノだった。
- 【その1】“乾燥剤”は何をするものなのか?”
- まず“湿気”というものを教えてやる必要があったが、仕事帰りの摩耗した脳みそではうまい具合に例題を示すことが出来なかった。ふ、不覚…
いちおう“湿気”というものを中のシリカゲルが吸い込んでくれるのだと、言葉で説明しておいた。いずれちゃんとした実験をしてみせてやらねばなるまい。
- 【その2】“人間はどうやってできているのか?”
- “腕とか脚がばらばらにならないのは何故か?”ということが知りたかったらしい。いったいどうしたらこんな疑問が湧いてくるのか、ちょっと怖い気もしたが、それが幼児の大胆さなのかもしれない。鶏の脚などを例にとって実演してみせれば、理解も早いかも。
じつは最近少しみこりんの謎が少なくなってきているように思えて、少々気になっていたのだ。もしかするとみこりんは自分であれこれと空想膨らませているうちに、その結論に満足してしまっているんじゃなかろうか…、なんて考えることもあった。あるいは謎を追究することなく自然に受け流してしまっていたりして…、とか怖い想像もあった。みこりんの表情が妙に自信たっぷりだったり、ぽやぁとして“なんも考えてません”みたいな顔つきだったり、そういう場面がよく記憶に残っているものだから。
みこりんなりにいろいろ謎を究明しているのだということが再確認できて、なんだかほっとした夜であった。
2002.1.15(Tue)
天の目
気象観測衛星NOAAからの画像というと、たとえば“NOAA HRPT Image Galley”というものがある。高みから見つめる“目”が捉えた情景に、何か怪しげな“影”はないだろうか。
………何かあってもこの解像度ではだめか。次回はIKONOSで探さないと。
2002.1.16(Wed)
風呂釜の穴の向こう
風呂釜の蓋を“じゃらららら”と広げつつ、みこりんと二人、湯の中に顎までつかって隠れんぼ。こういう狭い空間は、なんとなく非日常な雰囲気が漂っていて、つい想像力が過敏になってしまうようだ。
みこりんの背後で、指先を弾いて水音を数回立ててみる。あとに残った奇妙な沈黙の中、みこりんはじっと音のした辺りを凝視していた。薄暗い湯船の中は、その時、たしかにちょっと異質な気配があったのかもしれなかった。みこりんは“何かがいる”と思ってしまったらしい。
ゆらゆらと静かに波打つ湯の表面を、懸命に透かして見ようとしているみこりん。その視線の先にあるのは、2つの“穴”だった。
我が家の風呂釜は“自然循環式”で、側面に穴が2つ上下に並んで開いている。ここから冷えた湯が吸い込まれ、温められた熱い湯が出てくる仕組みになっているのだが、みこりんの見解はこれとはちょっと違っていた。
「何かがその穴を通ってこちらにやってきている」
それがみこりんの主張であった。でも、今はもう栓がされているので大丈夫、ということらしい(冬場は冷水が逆流してくるのを防止するため、ヤクルトの空き容器を刺しているのだ)。
穴はいったいどこに繋がっているのかと問う私に、みこりんは慎重に答えてくれた。なんと、穴の向こうは“川”へと続いているらしい。いったいどこの川をみこりんが想像しているのかじつに興味深かったが、その想像の世界では、異形の黒い小さな魚が、こちら側へとやってきたりしているのかもしれなかった。
それにしても息苦しい。蓋をしていたせいで、湿気がすごいことになりつつあった。そろそろ出よう。みこりんが数を30まで数え終わると、がばっと勢いよく蓋を開ける。
今夜の風呂場は、いつになくまばゆい光に包まれていたような気がした(それは目が暗がりに慣れていただけでは…)。
2002.1.17(Thr)
移動した放送日
すっかり見逃したとばかり思っていた『トリック2』の第一話だが、じつはこの地方では11日ではなく、17日深夜に放送日がズレ込んでいたのだ。なんという幸運、なんという偶然か。今夜確認しておいて、ほんとうに良かった。
さっそく録画予約をすましておく。夜中の2時といえば、まだ起きていられる時間ではあったが、念には念を入れるのにこしたことはない。うっかり寝てしまう可能性は大いにあった。疲労が溜まると、睡魔の誘惑にはとてもとても弱くなる。
布団に潜り込み、頭の位置を正して無理のない姿勢を……とろうと思ったが、こいつがなかなか難問だった。ゴージャスな羽毛布団を愛用しているため、もこもこに遮られてTV画面が死角に入ってしまうのである。肘枕で頭を高く保持しようとすると、今度は布団の隙間から、いい感じに冷気が潜り込んでくる。
肘枕が高すぎるのだ。私は折衷案をとることに決めた。
腹筋の要領で、頭をそこそこの高さまで持ち上げ、静止する。これでいい。この高さなら布団の隙間もそれほど気にはならなかった。いよいよ放送が始まる。仲間由紀恵ちゃんとの再会だ。
それにしても、どうしてこう深夜枠にばかり割り当てられるのか。雰囲気はいいけど、うっかり寝てしまいそうだ。ほぅらいわんこっちゃない。眠い……、眠すぎる。あ、記憶がぷつりと。
2002.1.18(Fri)
セキュリティ対策といえば
“[WSJ] Microsoft,「機能よりセキュリティ重視」に戦略転換”(ZDNet 2002年1月17日 03:26 PM 更新)
セキュリティ重視というと、あれかなやはり。初期状態ではフロッピーディスクが使用不可になっていて、さらにCD-ROMドライブも使用不可になっていて(むろんCD-R,CD-RW,DVD系もだめ)、おまけにシリアルポートもUSBポートも使用不可になっていて、唯一開いているのがイーサネットポートだけとか。フロッピーディスクを使いたいときには、あらかじめネットワーク経由で最寄りのマイクロソフトステーション(MS)に転送しておき、そこまで出掛けていってコピーする、と。
で、ユーザーは自由にソフトウェアをインストールできなくて、いちいちマイクロソフトに許可を得なくてはならなくて、フリーウェアやシェアウェアなどのインストールにあたっては書面で申請が必要で、おまけにアドミニストレータの権限が剥奪された状態しか選べなくてデバイスドライバのインストールとかは、ぜんぶマイクロソフトの社員に出張してもらわないとできなくなっている、と。
ついでに自分で開発したソフトウェアなんかも自由にはインストールできなくて、いちいちこれも書面で許可が必要、と。たとえそれがソフトウェア開発を生業としている人のPCであっても例外ではない、と。
誰が使うかそんなもん。と、言えたらいいけど仕事でこんなマシン使わされた日にゃたまらんね。ちなみに上記の例は、じつは某企業で実践されている“セキュリティ対策(と言っているが、穴だらけでセキュリティ対策になっていなくて、使いにくいだけというシロモノ)”の実話である……。虚しい……
2002.1.19(Sat)
『新暗行御史』
贔屓にしている本屋では、毎週土曜日にはスタンプ2倍デーになる。1冊でスタンプ1個(値段に比例する場合もあり)、50個で500円分の図書券と交換なので、かなり割はよい。2倍デーばかりを狙えば、25冊で500円。土曜日を逃す手はない。
何冊か小脇に抱えて店内を巡る。その中の1冊に『新暗行御史 第一巻』(作画 梁慶一/原作 尹仁完)があった。梁慶一、その名には覚えがある。平井和正の『死霊狩り』コミック版の作画を担当していた人だ。わりと好きな絵柄だったので、今回も大きく外すことはなかろうと踏んだ。
帰宅後さっそく読みふける。最初のあたりは説明口調というかこなれていない口語体なのが気になったが、途中からはそれほど違和感なく作品世界に入っていけた。
まぁまぁ良し。たぶん続巻が出たら買うだろう。新刊で。
ところで春香はずっとあのコスチュームのままなのか。ボディスーツ系の方がいいように思うが……
2002.1.20(Sun)
雪の去った庭にて
脚立を抱えて庭に出る。最近まで日陰にはなおしぶとき溶け残っていた雪も、ようやく観念したのだろう。久しぶりに見る庭土は、なんだか新鮮な色彩を帯びていた。遠い遠い山々の頂にまで撤退していった雪景色…、遠方を見つめると目玉がじつに心地よい。眼球のストレッチも十分終わったところで、本日の庭仕事を始めよう。
正月早々雪に埋もれて以来、ゆっくり庭に出る暇もなかったが、思ったほどには雪の影響はなさそうに見える。『完璧な防壁』が、部分的にずり下がりつつあったのと、木々の枝が少しだけ地面と仲良しになったのがあるくらいだ。
脚立に乗って『完璧な防壁』の修復を始めるそばで、みこりんが南天の赤く色づいたパチンコ玉のような実に驚嘆していた。昨年末には“BB弾の方がいい”なんて言っていたのに、どういう心境の変化があったのやら。あるいは私との会話のネタに使っただけかもしれないが。
『完璧な防壁』の修復を終えたあとは、木々の枝を整えてやる。
ゴールドクレストにローズマリー、この2つが常緑樹ということもあってもっとも手ひどくやられていた。葉っぱがついていると、それだけ雪の抵抗も増すということだろう。それにしても鼻孔を刺激するスパイシーな香り。折れたローズマリーの枝を2〜3本、部屋の中に飾ってみてもいいかもしれない。
数少ない常緑の空間を除けば、冬の庭はじつに殺風景である。立ち枯れたものを裁断し、地面に還してやるとなおさら広がってみえる。みこりんの大好きなパイナップルセージは、軒下にあったのが幸いして、しぶとく新芽を伸ばしつつあったが、ばっさりと刈り込んでおいた。地中でゆっくりと春を待て。みこりんが小さな手を合わせて春の再会を祈っていた。
逆立った茶髪のようなスティッパの葉も、今刈り込んでおけば春には綺麗な新緑に生まれ変わるだろう。去年はうっかりそのままにしたばっかりに、茶と緑のまざった妙な色彩になってしまったが、同じ失敗は二度と繰り返すまい。
ところが根元をぐいと掴み、剪定バサミをまさに差し込もうとしたそのときだった。何かが動いたのである。鮮やかな黄緑色をしたそれは、まるで糸で出来たオモチャのような動きで、折り畳んでいた長い手足を展開したのだった。長い…といっても、全長が1cm足らずの小さな生物(にちがいない)だ。特筆すべきはその細さ。まるで糸のようだった。
一瞬、カマキリの幼生かとも思ったが、鎌がない。カマキリでないとすれば……、ここで電撃的にその虫の名前が脳裏に浮かび上がってきた。暗く沈んでいた電光掲示板が、突然生き返ったかのようだった。
そう、たしかにこれは“ナナフシ”に似ている。細長い身体、そして同じくらい細長い手足、一見するとスティッパの細い葉の一部かとも思えるほどに。だからここを越冬場所に選んだのだろう。私はハサミを持つ手を引っ込めざると得なかった。
ナナフシ(?)よ、無事に大きくなってくれたまえ。
2002.1.21(Mon)
ことりさんとの触れ合いタイム
ジャンガリアン・ハムスターは、昔ながらの普通のハムスター(いわゆるゴールデン・ハムスター)よりも随分と小さい。体長にして約半分以下だ(参考:ハムの種類と飼い方)。まさに手のひらサイズ。
我が家の“ことりさん”は、そんなジャンガリアン・ハムスターの中でも“ブルーサファイア(あるいはサファイアブルー)”と呼ばれる品種である。その品種名(というか流通名か)のとおり、やや体色が青みががった灰色をしている。なかなか涼しげでよい。でも冬はちょっと寒そうなのが玉に瑕。
ハムスターは夜行性、従って“ことりさん”もやっぱり夜が活動の主体となる。
午前0時を過ぎた頃、冷蔵庫からキュウリとニンジンを取り出し、一口大に切り分けケージに向かう。チップに半ば埋もれた陶器製の餌入れを、そっと持ち上げケージから出し、餌置き場までいったん戻って中身を新しく取り替えるのだが、このときすでにことりさんはチップからその愛らしい鼻面を覗かせ、こちらをじっと窺っているのだった。
餌入れを戻す前に、ヒマワリの種を1粒、直接ことりさんに手渡すのが習慣になっている。おそらくことりさんもそれを期待して待っているのだろう。待ちかねたようにちっちゃな手で器用に受け取り頬袋にしまうのだった。そしてそのまま手のひらをチップの上に置くと、ことりさんは恐縮したようによじ登ってくる。小さな小さな肉球のもっちりした感触と、ささやかな爪のひっかかりがじつに心地よい。きっと目尻が下がってすっかりふにゃけた顔になっているにちがいないが、この一瞬の触れ合いがあるのとないのとでは、おそらく夢見もずいぶんと違ってくることだろうと思う。
この間わずか5分ほど。これが私とことりさんとの、平日のコミュニケーションのほぼすべてである。
2002.1.22(Tue)
みこりんと数字
「1+1は?」とLicが問えば、みこりんは迷わず「2」と答えてくれる。ここまではいい。いくら4歳とはいえ、このくらいは記憶可能だ。しかし、続けて「2+3は?」とか「1+2+3は?」とか「3+3は?」という質問についても、みこりんは時には両手を駆使しつつ、なんとか正解にたどりつくのを見て、私は少なからず衝撃を受けていた。なんだこれは。いつのまにみこりん、足し算ができるようになったのだ。
数を数えるだけならすでに30までは楽勝のみこりん。それが功を奏しているのだろうか。いちいち指折り数えなくとも、頭の中で即座に数字が増えていくのがイメージできているのではなかろうか。この技を自力で編み出したのか、誰かの手助けがあったのかはわからないが、少なくとも私はまだそこまでの助言は与えていなかったと思う。でもこの調子ならな、すぐに引き算もマスターしてしまいそうな予感に、私は興奮を禁じ得ないのであった。
2002.1.23(Wed)
ランキング変動
なんということか。みこりんの“好きな人ランキング”に変動があったというのだ。
これまで長らく堂々の第一位を獲得していたのは、もちろん私。と、保育園の担任の先生だった。この両名が同率一位の座を、ずっと維持し続けていたのである(ちなみにLicは第三位)。ところがその微妙なバランスが、ついに崩れたらしい。果たしてどちらが単独一位に輝いたのか。あるいは思いもよらぬダークホースの存在が……
気になる結果は、
第一位『保育園の担任の先生』
第二位『おかあさん』
第三位『おとうさん』
だった。
な、なぜだっ。保育園でもっとも可愛いとされる担任の先生に破れたのはまだいいとして、いきなり第三位にまで転落とは。えぇ解せぬ。
…と、今宵もみこりんの気紛れに一喜一憂させられてしまっているのであった。
2002.1.24(Thr)
研究もの
“ウワサの“パワーアシストスーツ”を着ちゃいました”(ZDNet Japan 2002年1月23日 10:06 PM)
気持ちは分からなくはないのだけれど、やはりこういうタイプのブツは、どうしても“研究のための研究”みたいな雰囲気を感じてしまう。なんというか進化の系統樹をイメージした場合に、袋小路にはまってしまってその先がぶっつりと途切れているタイプの感触だ。枝分かれして生き残るものもなく、ただひたすら1本の道を突き進む…。
ふと思い出したが、あの地雷探査ロボット(2000年2月18日の日記参照)はどうなったんだろうか。ちょいとサーチエンジンで探ってみると、このようなページを見つけることが出来た。“ロボフェスタ神奈川2001 川崎会場”で、下のほうに紹介されているのがそれだ。II型に進化したらしい。
ところで研究テーマの方にはやはり地雷探知技術に関するものはない。まぁロボット工学関係の研究室だから、当然という気もしつつ、それでなお“地雷探査”と銘打っていることに対するある種の不快感は今もある。不整地自律移動の汎用プラットフォームってことに特化してくれたほうが、もっと利用範囲も応用範囲も広がると思うのだが、なぜそうしないのか。謎である。
2002.1.25(Fri)
“本屋さん”という本屋さん
“本屋さん”というオンライン書店がある。ここの売りはコレ。『配送料0円サービス』。期間や金額条件ではなく、カード限定でこれを実現しているらしい。つまり、“本屋さんカード”で購入すれば、1冊からでも送料ゼロ円となる。しかも3000円以上の利用から5%のポイントがつく。おまけにカードの入会金&年会費は“本屋さん”持ちである。太っ腹な。
我が家がひいきにしているリアルな本屋さんの特典は、スタンプ2倍デーでも1冊あたり20円の割引換算のため、オンライン“本屋さん”の方が割はよい。一度どんなもんか利用して感触を確かめてみるとしよう。
2002.1.26(Sat)
メモリの呪い
いつもより少々厚着をして仕事に向かう。休日出勤の常で、だだっぴろいオフィスはたとえ空調を作動させたとしても、多数の人体による発熱が得られない結果、骨身に染み入る寒さとなるのだ。
靴下二枚重ねに上着をセーター含めて3枚着込んできて正解だった。数少ない休日出勤者は、現場のデバッグ作業へと出掛けてしまったので、大部屋には私独りしか残らなかった。指先が凍える。
だが気温が低いことを除けば、まさに仕事するにはパラダイス。心頭滅却すれば火もまた涼しの境地にはほど遠い私でも、しんと静まりかえった環境では神経も鋭敏に研ぎ澄まされるというものだ。
快調に仕事が進むかにみえた、まさにその時である。突然、トラブルはやってきた。
PCがいきなりフリーズしてしまったのである。前触れもなく、まったくの唐突に、いっさいの応答がなくなってしまった。再起動を施すも、今度は「ぴ」とも言わずに、画面は暗転したまま復活しない。何十度目かの再起動で、ようやく「ぴ」と呟いてくれたが、それも途中でダウン。どうやらハードウェアのどこかが逝ってしまったようだ。
気になるのはハードディスクの中身である。サーバにバックアップがあるとはいえ、本日のこれまでの作業はまだこの中にしか存在しない。消えてもらっては、かなり困ったことになる。一度やったことを、もう一度繰り返すことほど脱力する作業はない。できればそんな無駄は避けたいところだが。
起動しなくなったPCのハードディスクの中身が無事かどうか確認するには、てっとりばやくハードディスクだけ取り出して、別のPCに繋げばよい。自分の管轄するPCはわりと多いほうだが、ここは1つただの確認作業ではなく発展的作業としてみようと思う。じつは1台、そこそこのスペックを持ったPCが、ただ置いてあるだけになっているのだ(なぜそのPCが使われないまま放置されているのかは、諸般の事情によりここでは詳しく書けない…が、過去のひみつ日記を読破してこられた方ならば想像に難くないと思われる)。
こうしてハードディスクの移植手術が始まった。放置されていたPCはいわゆるベアボーンタイプで、内部はじつに狭い。各構成品は数ミリの余裕もなく、ぴっちりとあるべきところに収まっていて、拡張性もほとんどない。だが大量生産品の組み立ての用意さが幸いして、バラすこと自体は割と簡単だった。
奥底にひっそりと眠るように隠されていたハードディスクを、慎重にそろっと取り外す。空いたその隙間に、起動しなくなったPCのハードディスクを同じように装着すれば、ハード的な融合は完了だ。あとはソフト的な融合を施すのみ。ケースを開け放ったままで、電源を入れる。
身体は替わっても記憶は元のままだった。ハードディスクは活きていた。よしよし、そうこなくては。
あとはボディに合わせて、適切な調整が必要だ。ほとんどはOSが自分で調整を完了したが、肝心のネットワークカードとビデオカードは手動と相成った。あらかじめメモっておいたそれぞれのチップ名称から、該当するドライバをネットから探し出し、ダウンロード。ところがネットワークカードは、何度やっても認識しない。何かが微妙に違っているのかもしれない。仕方がないので、起動しなくなったPCからネットワークカードも抜いて、新しいボディに挿してやることにした。2ヶしかない拡張スロットの1つが、これで埋まってしまった。
以上で作業はすべて終了………と思ったが、臓物を曝したPC内部で、寂しそうに空いているメモリスロットに目が留まってしまった。ここにメモリを挿してもばちは当たらないだろう。起動しなくなったPCは当分ハードディスクのあてがないので使えないし。プラス128MBとはいえ、メモリが増えるのはいいことだし。
だが残念、メモリの仕様が古すぎて使えない。でも一度増やそうと思ったものを、増やさないままケースを閉じてしまうのは、なんだか居心地が悪い気がする。なんとかならないか…、そう考え始めたとき、Linuxサーバとして使っている旧型PCに、最近豪勢なプレゼントをしてやったのを思い出していた。そのサーバに増設したメモリの仕様ならば、この蘇ったPCにも適合するに違いない。もともとがオーバースペックだったのだから、サーバの方に、余った古いタイプのメモリを挿してやればいいのだ。
こうして、私の愛機はボディを替えて無事復活した。
これで万事うまくいったかというと、じつはそうではない。例のサーバに挿し直した古いタイプのメモリだが、どうやらこいつが今回の元凶だったようだ。メモリを挿した状態では、起動がひどく不安定になってしまったのだった。壊れたメモリは破棄するしかない。サーバのメモリが半減以下になってしまったのが心残りだが、Xを動かさなければ大丈夫だろう。いつかこそっと増やしてやらねば。
さて、午後の仕事はといえば、来週から仕事に使うPCのセッティングだった。今回の仕事には、合計で7台のPCが必要だった。機動部隊と、中継基地、そして本部と、それぞれを無線データ通信でネットワークを形成するためには、手持ちのPCだけでは数が足らないのだ。
ところがこのPCも起動が安定しない。やはりこいつもメモリが逝ってしまいつつあるのか。筐体を開け、内部をじっと観察する。挿さっているメモリは2枚。そのうち1枚に、なぜだか紙のシールだか何かが破れて貼り付いたような跡があった。なんとなく、それが怪しいような気がした。勘だ。ばしっと外す。
起動。まったく問題なし。
メモリに呪われているような一日だった。
ところでじつは最近、我が家に新しいPCが1台やってきた。うちの実家の父母用に買い換えたものだが、もちろん父母がパーツレベルでPCを組み立てるなぞ不可能なので、私が代行して組み立てているのである。無事動くようになったら、宅急便で送るという案配になっている。
で、組み立てたはいいが、こいつも起動が不安定極まりない。メモリの呪いは、ここから始まっていたのではなかろうか。そう思いつつも、今日はPCいじるのはもう飽きたので、またいずれ確認しよう。
2002.1.27(Sun)
連帯責任とか
重大な少年犯罪が起きた場合、少年法とやらで本人を厳罰に処すことが出来ないことがけっこうある。そうした場合、子供の養育責任者およびその関係者(担任の教師含む)に、さらに厳しく責任を負わすべきではないのか。そうすれば無責任な子育て、あるいは無関心ではいられんだろう。
起きてしまった犯罪に対して、加害者が誰であるのかによって結果的に追う責任が軽減されてしまうシステムは、奇怪である。
2002.1.28(Mon)
たまにすすめるRPG
初めてパーソナルコンピュータに触れた二十数年前から数えても、私が唯一クリアした(というかまともにクリアしようと思った)RPGは、『幻想水滸伝』シリーズだけである。そして今、『幻想水滸伝III』の発売をあと……2ヶ月後?(でいいのかな?)に控え、再プレイ中のまま長らく中断していた『幻想水滸伝II』を、再びちまちまと始めている。
この作品には仲間が108人ほど集うことになるため、皆を等しくレベルアップさせようと思ったりすると、なかなか根気が必要なる。あまりにそればっかりに集中していたため、自分がストーリーのどのあたりにいて、次にどんな重要なイベントが待っていたかをすっかり失念してしまっているのだった。でも、もしかするとこの『II』のクリアデータが、『III』で何かいいことあったりするとうれしいかもしれないので、なかなかやめられないでいる。
でも、こののったりとしたペース(一夜で1パーティ、しかも週一とかだから…)で進めていては、『III』の発売日に間に合わないかもしれん。こうしていつのまにか本に続いてゲームまでもが、死ぬまでに開封することすらかなわぬ状態で残っていってしまいそうな…
2002.1.29(Tue)
なぜか連想するもの
hitomiの新曲『SAMURAI DRIVE』のPVを見るたびイメージするのは、あの古き良きサイバーパンク『ニューロマンサー』……を、ちょいと小洒落た感じにしたような雰囲気。あのどでかいグラスがそれを連想させるのかどうか、定かではない。
グラス除去状態、つまり裸眼のときの目許はなかなかよろしい。
2002.1.30(Wed)
在宅にて
熱が上がったり下がったりと、いまだ症状の不安なみこりんなので、今日も保育園を休ませる。午前中は私が仕事に行き、午後はLicが仕事に出る。私の仕事も来週からがヤマなのだが、幸い、ノートPCを一台持ち帰る許可が下りた。これだけあれば、あとは家のPCと併せて、ソフトウェア開発は十分に行える。
静けさに包まれた昼下がり、リビングでかたかたとキーを打つ。みこりんは隣の部屋で熟睡中だ。熱は徐々に上がりつつある。時々様子を見ながら、仕事を続けた。意外にはかどる。
夕方、坐薬のおかげでようやく熱の下がったみこりんが、そっと起きてきて空腹を訴えた。いい兆候だ。
当然の帰結
詰めが甘すぎる。相手の非を追及するならば、簡単には言い逃れのできない断固とした証拠なりを確保しておかねば意味がない。挙げ句に「言った」「言わない」で“国会”が大混乱か。馬鹿馬鹿しい。これでは更迭されてもいたしかたあるまい。というかこんな甘々な人物が、百戦錬磨の連中を相手にする外交の場で何か役に立つとはとうてい思えない。これまでも失言やらいろいろあった人物だが、とうとう自分で自分の首を絞めてしまったか。
と記しておこう(特集記事)。
追記。NGOが市民の代表などと、何の疑問もなく当然のようにしゃべる人物も信用ならない。
2002.1.31(Thr)
エンプティ予告
クルマのエンプティランプが、ゆるやかに点いたり消えたりを繰り返している時というのは、なかなかスリリングである。大きな道路沿いならば、咄嗟にGSを見つけて飛び込めばなんとかなりそうだが、昨今はGSも淘汰される一方なので油断できない。下手すると10キロほど走っても見つからないなんてことも珍しくはないのだから。おまけに閉店時間も早まっているので、いよいよ危険である。
今夜は仕事もいつもよりは1時間早めに切り上げて、早々に燃料を満タンにしていくことにする。こんな冷え込む夜に、エンストして人家もないうらぶれた山道なんかに取り残されたくはなかった。
ちらちらと、オレンジのランプが明滅するのを気にしつつ、GSへと急ぐ。やがて暗い道の向こうに、ぼぅっと明るい看板が見えてきた。ほっとする瞬間だ。
レギュラー満タン。低いモーター音が心地よい。なみなみと注がれてゆく液体を想像しつつ、フロントガラスから外を見やる。なんだかやけに曇っているようだが……
まるでクリスマスのショーウインドウのように、白く視界が閉ざされてしまったクルマの中で、ぼんやりと考える。これは何だ。ガラス拭きサービスの布に、何か着いてたんだろうか?
とてつもなく冷え込んだ夜、あっというまの氷結であった。