2001.9.1(Sat)
“状況”のただ中で
予定どおり朝5時半起床。音量をしぼったTVが、なにやら重大事項を伝えるかのように緊迫した画面を流していたので、リモコンを探る。…あれ?もう防災訓練始まったんかな?……って、こいつはホンモノだ。新宿でビル火災、しかも死者十数名。おおごとである。
身支度をすすめるうちに、死者の数がいきなり41名に増えた。なんかこう、数字にしてしまうと41っていうのは簡単だが、最近こうした多数の死者が出る事件が多いような。まだ初秋だというのに、これから年末にかけて、もっとどえらい事がおきそうで、気味が悪い。
結局、死者数は44名。なんて語呂が悪い…
朝っぱらから不吉な事件が起きてしまったが、訓練そのものは順調な滑り出しを見せたようである。定刻通り、ヘリは離陸したもよう。刻々と変わる現在位置をモニターで注視しつつ、各装置が正常に作動していることを確認する。
それからしばらくして、病院でも“状況”が開始された。リアルな訓練とするため、事前にテント建てたり机を準備したりはしないと言っていたとおり、まさに“状況”が始まると同時に、病院内は一変した。待合室が臨時の対策本部となり、人の動きが激しくなる。患者役の人たちが、黒いスス汚れ、血糊も生々しく登場しては、奥へと消えてゆく。ときおり、役者じゃないのかと思うほどに、錯乱した風に、喚きながら出現する患者役の人がいた。事前にそういう設定があったのか、アドリブなのかはわからない。でも、妙にリアルな演技だった。阪神大震災当時の状況が、ふっと脳裏をかすめていった。
*
いよいよヘリが病院に向かってくる。その様子が時々刻々と画面に表示されてゆく。まだ“音”は聞こえない。でも確かに西の方向から接近しつつあった。
やがてモニタに表示されたヘリのシンボルが動かなくなった。着陸したようだ。あぁ、この瞬間を屋上ヘリポートで見たかった…。なんてしみじみ思ってるうちに、ヘリはふたたび移動を開始。ほどなくして、院内放送が「状況中止」を伝え始めた。
訓練は無事、終了だ。
どっと脱力。朝から変調をきたしていた喉の調子が、いっそう酷くなっていた。どこかで風邪菌をもらってきてしまったようだ。本格的に調子を崩す前に、とっとと撤収しよう。
願わくば、来年もまた、訪れる機会がありますように。
2001.9.2(Sun)
うつろう季節
なんとなく風邪っぽい雰囲気を感じつつも、貴重な日曜日なので“活動”することにした。夏も終わり、急速に秋めいてゆく庭を横目で眺めつつ、とりあえず今日は家の中のことを片付けてしまおう。来週あたりから秋まき野菜の準備とか始めないといけないので、それまでに雑用は片づけておくのが吉。
午前中は水槽の水換えで終わり、午後はリビングの模様替えの時にテンポラリ領域として使用したまま放置していた座敷の片づけで暮れていった。みこりんが「ごはんできたよ」と玄関前に泥団子とお皿を並べてくれていたのだが、結局、御馳走になることはできず。すっかり暗くなっても、まだひっそりと並んでいる無人の“食卓”が、なんだかもの哀しい。
花桃の実が、いつのまにかほとんど落果してしまっているのに気づく。桃酒にするだけの果実を確保するのも厳しいかもしれない。今年は完熟するまえに落ちてしまうものが多かった…ような気がする。8月に入っても、ヒヨドリ達が姿を見せていたのが原因かもしれない。どうして夏にヒヨドリがいたのか……、まったく季節感も何もあったもんじゃない。これで冬にツバメでも舞えばおあいこなんだが、さすがにそこまで狂っちゃ気色悪い。
数の秘密
10匹の“おばけ”が出てくる絵本を、みこりんに読んでやっていたときのこと。いつものように10匹並んだおばけ達を、1つ1つ指さしながら数えてゆくみこりん。でも、今夜はなんだか様子がヘンだ。
「いーち」と、人差し指で1匹のおばけ。
「にぃ」と、人差し指と中指で2匹のおばけ。
「さん」と、人差し指と中指と薬指で3匹のおばけ。
「しぃ」と、人差し指と中指と薬指と小指で4匹のおばけ。
以上で、10匹のおばけを数え終わった。つまり、1+2+3+4=10というわけである。偶然なのか、なにか意図があってのことなのか、結局みこりんは何も語らなかったけれど、数の秘密の一端に触れたことはまちがいあるまい。
明日も何かすごい発見をしてくれそうで、楽しみな毎日である。
2001.9.3(Mon)
おとなしく月曜日
結局、風邪が悪化してしまったので仕事をお休み。みこりんもなんだか風邪っぽかったので、一緒にお休み。風邪っぴきが二人そろって布団でころころ。やがてころころするのに飽きたみこりんが、階下へと消えていった。しばらくして戻ってきたその手には、トランプが握られていた。最近みこりんはすっかりトランプにはまっているのだった。
トランプを2分割して、1つを“ばば抜き”、もう1つを“神経衰弱”に使用した。これだと同じ時間で2種類のゲームが楽しめるので、みこりんも大満足である。
トランプが終わると、みこりんは予定をすべて消化しきったかのように晴れやかな顔で、お昼寝モードに入っていった。隣で私は、最近Licが古本屋で買ってきた『未来のうてな』(日渡早紀 全11巻)を一気に読みにかかる。
前作の『ぼくの地球を守って』はリアルタイムに単行本を買っていたけれど、最終回で燃え尽き、その後なんだか気力が戻らず、結局『未来のうてな』には手を出さずじまいに終わってしまっていた。たぶん、『ぼく球』(私の近辺ではこのように略して呼んでいた)を越えられないのではないか…という漠然とした思いがあったから。
輪廻転生。古代より対立する2つの勢力。超常的な力(能力)……、読み進めるうち、どうしても『イティハーサ』の影を感じずにはいられなかったのである。もっとも、『イティハーサ』は輪廻転生には『うてな』ほど重きを置いてなかったと思うので、あくまで“そんな気がする”程度の類似度なのだけれど、新鮮味に欠けたことは否めない。でもそんなことより、最後まで謎だったというか、唐突だったような気がしたのは“大地”との関わりであった。“大地”すなわち“地球”というものが、結局、物語のキーであったのに、それを表現するエピソードが足りなかったように思う。そこらへんがくどいくらいに描かれていた『ぼく球』とは、あまりに対照的。ちょっともったいない。
就寝前、がらっと趣向を変えて、先日古本屋から届いた『Day in,day out』(内田美奈子)を読む。なんだか懐かしい感じがして、こんな季節にぴったりかもしれないと思いつつ、寝た。
2001.9.4(Tue)
“肉”ができるまで
仔猫を殺して料理する過程を撮影したビデオが、ネットで出回っているらしい。大変な反発を招いてるとのことだったが……、日本のアンコウの吊し切りなんかも、慣れない人から見たら、すごい映像かもしれない。臓物をぞろぞろとバケツに落としていくさまは、魚とはいえ、ちょっとグロかった。
でもまぁ、日頃口にしている牛とか豚とか鶏とか馬とか羊とか兎とか熊とか鴨とかが、どういう過程を経て我々の腹におさまっているのかは、知っていた方がいいようには思うのだった。
2001.9.5(Wed)
一日違い
職場のPC環境が一新されるのに伴い、各部門のLAN管理者に教育が施されることとなった。私の場合、昨日がその講習会の割当日だったので参加してみたのだが…
いまさらWindows2000の基本操作を教えられてもなぁ……、希望者だけに受講させるとかすればいいのに、と部屋に入るまでは思っていた。が、ドアを開け、中でたたずむお姉さん(メーカーから派遣されてきていたインストラクターであろう)を見た瞬間、気持ちは変わった。180度変わった。
“山咲千里”を3倍ほど美形にしたようなお方が、このようなむさ苦しい場所におわすとは。すべて許可である。
そのお姉さんが、今日も会社内を歩いてるのを見かけた。昨日よりもセクシー度280%増しなお姿に、いけないと思いつつ目で追ってしまう。昨日は膝下10cmほどのわりと上品系なタイトスカートだったのだが、今、目の前を横切っていったのは、膝上15cmは確実なミニスカート。……は、反則や。
2001.9.7(Fri)
“踊り”生命体の謎
数年前のことだ。腕が寂しくなると、つい、腕を交互に波打たせながら踊ってしまうという不可解な現象に見舞われていたことがある。ただ、さすがに無意識の“良心回路”が作動したのか、屋外でこの怪しげな踊りを披露せずに済んだのは、不幸中の幸いといえよう。
まったく、アレは奇妙であった。いったい何が楽しいのか自分でもよくわからないまま、勝手にカラダが動くのである。まるで何かに操られているかのように。でも、いつかは夢から醒めるのだろう。あの猛烈な“踊り”の衝動は、いつのまにやらキレイさっぱり消えてなくなっていたのだった。
ところが先月末、私は目撃してしまった。TV画面の中で、狂ったように腕を交互に波打たせながら踊る人々を。妖しげな笑みを浮かべ、憑かれたように腕をウェイブさせていたのは、河村隆一の『ジュリア』PVでのことだった。
……アレは消えてしまったのではない。別の宿主に移ったのだ。
恐るべし“踊り”寄生体。視覚感染で増殖するタイプでないことを、祈るのみである。
想像して欲しい。道行く人々が、クルマを運転している人たちが、職場の連中が、腕を交互に波打たせながらうすら笑いを浮かべている光景を。…怖すぎる。
2001.9.8(Sat)
久々に庭で土と戯れる
ここ数日というものすっきりしない天気が続いていたが、今朝はまるで真夏のような晴れ具合である。この機を逃してはなるまいと、久方ぶりに庭仕事の鬼と化す。
夏の間、盛大に花壇を飾ってくれたダリアやら百日草やらといった面々を、ばっさりと整理し、空間を開けてみた。すると奥の方から“ひょろりん”とした帝王貝細工が現れてくる。今年も失敗してしまったようだ。帝王貝細工だけが群生する一角というものを、来年は用意してやろう。というか百日草、でかくなりすぎ。どうして180cmにもなるのか。よっぽどこの土と相性がよかったらしい。
まだ花をつけていたものは、少々切り花にして飾ってみた。残りはみこりんが花びらを全部むしって大事そうに袋に仕舞い込んでいた。花の姿よりも、花びらそのものにみこりんはより惹かれるらしい。保育園でお友達に見せてあげるのだと教えてくれた。
菜園の方でも古びたトマトやらを抜き去り、ついでに草むしりなんかもやっていると、いきなり目の前を“ばさっ”と横切っていったものがある。
「な、なにやつ!?」
なんだか丸っこい雉色したやつだったが……。そいつが消えたのはウッドデッキの下あたり。くいっと覗き込むと…、待っていたかのようにそこにいたのは、例のヒキガエルであった。「で、でかい」体格はほぼ倍増。初めて我々の前に姿を見せたときにはのっそりのっそり悪魔のような足取りで歩いていたが、今回はカエルらしく跳んだらしい。重量級の跳躍だ。
今年、家の中にムカデザウルスがほとんど出現しないのは、彼の活躍によるところ大だったりして。
ムカデ系がほとんど姿を見せない代わりに、今年、庭でもっとも繁栄していたのはカメムシである。もともとはホオズキトマトをはじめ、トマト系にくっついていたのだが、今では葉っぱものの中国野菜“エンサイ”に、これでもかっと言わんばかりに群れている。トマトが勢いをなくしたのを察知して、徐々に移動していったものと推測されるが、数える気力さえ失うほどの大群、いったいどうしてくれようか。この調子では、来年も大発生しそうな気配だ。
といって薬剤使用はできれば避けたいし……。やはりこのままなるようにまかせるしかないのか。それにしてもカメムシの天敵ってなんだったっけ?庭に巣くう虫達の種類はかなり豊富だと思っているのだが、カメムシだけがこんなに栄えるには、何か特別な理由があるのではなかろうか。…カメムシの匂いに圧倒されて、カマキリなどの捕食昆虫の餌食にならずに済んでいるとか、そういうのかもしれないが。
ところで春頃、菜園のすみっこに見慣れない植物が芽吹いていた。最初は葉っぱの柔らかそうなところから、きっとレタスに違いあるまいと思っていたのだが、途中からどうも様子が違うことに気がついた。いわゆる野草の種が風で運ばれてきたのかもしれない…と、あやうく抜きそうになったこともあったが、どうしても正体が気になってそのままにしていた。
初秋になり、とうとう、それの正体が判明した。
これである。
チコリだったとは。あ、結局、チコリの食べ方、今年も調べるの忘れてた。
2001.9.9(Sun)
その頭部、見覚えあり
プランタで育てていた白菜達は、夏が来るころにはすっかり虫どもに食い散らかされ、やがてロウソクの炎が消えるように静かに消滅していった。その後、プランタはそのままにしてあったのだが、そろそろ撤収の頃合いだ。丁度、花壇の雑草を抜いたあとにぽっかり穴が開き、そこを埋めるためにも土がいる。
このプランタは野菜用ということで、土が軽く60リットルは入る大型タイプ。けっこう重い。腰をいわさないように慎重に持ち上げて、花壇方面に“ばさっ”と裏返してやった。
軽くなったプランタをどかしてみると、底敷き網が外れていて、そこには何だかぺっとりと軟らかそうな“ぬめっ”としたものが貼り付いているのが見えた。3重くらいに巻いていて、伸ばすと全長30cmほどにはなろうかという不気味さである。記憶にあるものより少々サイズが大きいが、これはたぶんプラナリア類であろう。
じっと見ていると、徐々に独特な頭部が出現を始めた。
面白い。
庭で“おかあさんごっこ(ままごと)”の準備をしていたみこりんを呼んでやる。興味深そうに覗き込んだみこりんは、すかさず「なめくじ!」と答えてくれたが、三角形の頭部に気がつき、それを「シュモクザメみたいなあたま…」と評したのだった。トランプのJOKERでシュモクザメを日々学習した効果だろうか(我が家のトランプには1枚づつ魚の絵が描いてある)。
プラナリアの切断/増殖実験をよっぽど実演してみせようかと思ったが、全長30cm弱というでかさに、断念する。もっと可愛いサイズのを発見したら、その時こそ、みこりんにプラナリアの神秘を見せつけてやろうと思うのだった。
秋の小川
秋まき野菜の種を、例によってプラグトレイに播いてみた。葉っぱものと根っこものばかり。もう少し寒くなってきたら豆類も登場してくるが、寒い季節は少々地味になってくる。
夕方、久方ぶりに市民農園へと出向く。
脇を流れる小川では、どうしたことか流れが滞っていて、魚の姿が確認できない。なんとなく不安になって、さらに目を凝らしていると、岸辺の草陰、その水中に懐かしい姿を発見したのだった。
“ミズカマキリ”、その姿を生で見たのはもう二十数年ぶりになるだろうか。これはぜひともみこりんに見せてやらねば。手にしたホーで、そぉっとすくってみたところ、ミズカマキリはとても元気で、なんだか安心してしまう。これを見たみこりんの反応はといえば、いわゆる普通に虫を見つけたときと同じだった。……みこりんにとっては、どんな虫でも“初めて”のほうが多いのだから、当たり前か。
水に戻してやると、ミズカマキリは元いた場所に泳いでいった。
畑では、長茄子の実が巨大になりすぎて、腐ってしまったもの多数発見。雨がたたったようだ。トマトはもうお仕舞い。キュウリも同様。カボチャは、もはやどれがどれの茎なのか判別できないほどにこんがらがって広がってしまっている。そしてここにきて一大勢力を形成しつつあるのが紅芋である。猛烈に蔓を伸ばし、あちらこちらで根をおろしつつあった。これはなかなか期待できそう。
雑草を整理すると同時に、ズッキーニと紅芋、そして茄子類だけを残して、あとはすべて撤去することにした。
おもちゃカボチャが数種類で、ほぼカゴ一杯の収穫である。でも、これはたぶん食べられない。みこりんのオモチャにするにしても、ちょっと数が多すぎるような…。まぁ“収穫”の喜びはみこりんもたっぷり堪能したようだからいいのだけれど、たぶん来年はもう作らないだろうな。
隣の田圃で、稲刈りが始まった。赤いトラクターが、エンジンを轟かせて稲穂の海に乗り出してゆくのを、みこりんが興味深そうに見つめている。あ、稲が“お米”だと教えてやってないような?あとで確認しておこう。
秋の夕暮れは早い。西の空が急速に暗くなってゆく。でも、なんとなくこれは嵐の予感…。畑をあとにし、家路を急ぐ。今夜は秋刀魚を炭で焼こうかと思っていたが、風が強くなってきたので中止。代わりに、電子レンジ(3匹3分)とオーブントースター(15分)で焼いてみた。なかなかふっくら仕上がり、いいようである。
2001.9.10(Mon)
準備万端
やはり台風が接近していたか。しかも今度こそ直撃コース。上陸予定は“夜”ということだったので、仕事も夕方には切り上げ帰宅した。
徐々に強くなってくる雨足に、合羽を着込んでの鉢植え避難。そして屋外水槽設備の防水加工。みこりんのオモチャも忘れずにサンルームへと仕舞い込む。
早めにみこりんを寝かしつけつつ窓の外に神経を集中させていたが、いっこうに嵐の気配がない。……もしかして、今回もそうなのか。いや、歓迎すべきことなのだが。
2001.9.11(Tue)
信じがたいこと
洗い物しながら何気なくニュース10なぞ聞いていると、ビルが燃えているとかいっていた。「火事か…」と特に気にも留めずにいたが、“2機目の航空機が…”などと伝え始め、まさに激突の瞬間を映像で流し始めたところで、手が止まる。ツインタワービルに航空機がそれぞれ1機づつ衝突?…こいつはテロだ。そう思ったものの、その時には小型機が無人操縦で突っ込んだのだろう程度の認識だった。あるいは犯人単独で特攻したか。
この重大ニュースをLicに伝えるべく、2階へと上がる。二人してTVを前に…
甘かった。ハイジャック機をぶつけるとは、常軌を逸している(テロリストに常識なんてあったのかという問題はあるが)。
次々と明らかになってゆく深刻な事態に、正直、鳥肌がたってきた。ハイジャック機が11もある?たしかに燃料満載の旅客機ほど攻撃手段として強力なものはないだろうが、それにしてもハイジャックってこんなに簡単にぽんぽんできるようなものなのか。アメリカでは国内線ってそんな程度なのか?そうではないとすれば、これは相当深刻な事態のような……
小康状態になってきたような気がしたので、いったん階下へ降りる。すると、ビルが消えてしまってた。400m級の高層ビルが2基、まるで映画でも見ているように倒壊していった。
状況はまだ継続中なのだ。ペンタゴンもまだ燃えている…
歓喜するパレスチナ人の様子が中継された。どこまで状況が正確に伝わっているのかが重要だが、ものには限度ってものがある……ってことは、彼らには通じないのかもしれないなぁ。だとすると、これはもう行き着くところまで行くしかないような。
なんてこった。
で、これでもっとも利を得るヤツってのは……たぶん、イスラエル。ひょっとすると今回の真犯人ってやつは……
2001.9.12(Wed)
夜も明けて
朝になると、映像にもヴァリエーションが少々出てくる。
世界貿易センタービルに激突する映像も、角度を変えて捉えたものがあり、その瞬間の様子をありありと見せつけられる。まるで大鉈でビルをなぎ払うかのように突っ込んでいく様は、いまだに何かリアル映像とは思えないほどに衝撃的だ。
あの速度で突入して、反対側から抜けてこないのが怖い。
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金価格発表日付 2001/09/12
金価格発表時間 10:00:00
本日の金小売価格(税込) 1207 円/g
本日の金買取価格(税込) 1155 円/g
前日比 +44 円/g
海外金相場 288.00 $/oz(10:30現在)
為替相場 119.52 円/$(10:30現在)
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2001.9.13(Thr)
旅客機に装備しておきたいもの
旅客機をテロリストの武器とさせないための方策を、つらつらと考えてみる…
- 操縦席のドアロック。と同時に、各客席の緊急射出機構……
(うーん、それができるならとっくに実用化されてるな) - 客室乗務員に保安要員を入れる。
(きっとコストがかさむとかで採用されてこなかったんだろうな) - 緊急着陸モードへの強制移行。しかも解除不能なやつ。
どっか近場の空港なり、海なり、砂漠なりを自動検出して、オートパイロットで着陸してしまうモード。
(技術的問題というより、たぶん別の理由でこれまで搭載されなかったような…) - 自爆シーケンスの搭載。エンタープライズとかヴォイジャーとかが、まれに発動するアレである…
(やはり最後の手段はコレのような………)
2001.9.14(Fri)
ひょっこり現れたもの
目覚めてから出勤までの、あわただしい朝のひととき。庭では雨が降った形跡があった。しっとりと湿った花壇の様子が気になって、ちょいとウッドデッキを降りてみる。
いきなり顔面に貼り付くモノが…。まったく、この蜘蛛の糸ってやつは、どうやってこんななんにもない空中に張り巡らされてるんだろう。もしかすると2階のベランダからずっと続いているのではなかろうか。
指に糸を巻き付けながら、顔面の違和感を取り除いていると、目の端になんだか見慣れないものがあったような気がした。「ん?」
枝垂れ桜の奥の方、以前、ヒキガエルが暗闇に潜んでいたあたりだ。紙くずみたいな白い物体が、こじんまりと転がっているのが見えた。記憶にあるどんなものとも一致しないその姿に、強い興味を惹かれて歩み寄る。……おぉ、こいつはもしかして…
キノコ…のように見える。しかもこちら側が“ぱっくり”とちぎり取られたみたいに開いていて、内部が露わとなっていた。
カメラだカメラ。こういうのは記録に残しておかねば。
激写していると、みこりんが背後にやって来ていた。ちょうどいい、みこりんも見たまえ。これはいったい何に見える?
みこりんは言った。「わからん」
よく考えてごらん。そう言うと、みこりんはしばらく「うーん」と唸っていたが、やがて口を開くとこう教えてくれた。「りんご!」
な、なるほど。そう、見えなくも、ない、かな。
それにしても奇妙な傷口だ。まるで何者かに囓られたかのように。
その瞬間、ヤツの姿が脳裏をよぎる。いいや、まさか、それはあるまい。と思いつつも、庭の主であるヒキガエルが、このキノコにかぶりついている姿を想像してしまうのだった。
2001.9.15(Sat)
突然、現れたもの
今にも泣き出しそうな空、というには至っていないけれど、なんとなく西の方にどす黒いイヤな雲の見える朝だった。みこりんと一緒に、菜園1号&2号の種播きをしようと庭に出たとき、ふと気になったので昨日のキノコがどうなっているのかと見に行ってみると………
「な、なんじゃぁこりゃぁ」
変形していた。しかも、昨日の姿からは予想もできないほどに、巨大に。
それにしてもどういう変形プロセスを辿ればこうも見事に変われるものなのだろう。ゲッター線でも浴びたんじゃないのか、と思ってしまうほどの変わりようだ。
変形したキノコ(上から見た図)
変形したキノコ(横から見た図)
ちなみに昨日はこんな姿だった
面白い。まだまだ知らない事が多すぎる。
みこりんも、自分なりに何かを納得したかのような表情だった。
では当初の予定通り、種を播こうか。
菜園2号のほうで、発芽したばかりの双葉が無数に顔を出しているのを発見。そのカタチには見覚えがあった。えーっと、なんの双葉だったかな。なんとなくヒマワリを彷彿とさせるような肉厚の濃緑色な葉っぱ…そうそう、瑠璃球アザミがこんな感じだったかな。なんて思っていたとき、ふいに気がついた。
「ゴボウだ」
先週抜き去ったゴボウには、無数の種をつけた花ガラが残っていたのだ。ゴボウはアザミのような花を咲かせる。双葉のカタチが似ているのも道理。
今からゴボウを育てると、ちょうどお正月ごろには収穫できるかな。でもそれまでに寒さで地上部は枯れてしまいそうな気もするが……。とりあえず新たに種を播くところはキレイに双葉を撤去しておいた。ゴボウの葉っぱはとてつもなく巨大になる。残しておいたらあとで大変なことになるのは明白だった。
ニラ、大根、カブ、太葱、人参、そして大根と、みこりんと手分けして種播きをする。無事に芽を出しますように。ぱんぱんと土の表面を叩いて固めておいた。さて、そろそろおしまいかな?………って、
うわぁ!
菜園の仕切りにそってこちらに這い進んでくるのは、ヘビだった。長さにして約1m。ちろちろと舌先を覗かせながら、余裕で近寄ってくる。黄土色のカラダに、縦縞が数本、たぶん5月に玄関先で見かけたヘビに違いあるまい。
このままだと確実にヘビと我々は接触する。たぶんシマヘビだろうとは思うけれど、ひょっとして別の毒蛇だったりしたら……。私よりもみこりんの方がヘビに近い位置にあった。おおおおおおおおお。
「ヘビだぁ!」と私は叫んでいた。なんともストレートな、少しの捻りも効いていない台詞になってしまったが、それでも効果はあったらしい。ヘビは突然進行方向を直角に変え、菜園を横切り、しゅるるるるっと崖下に消えていったのだった。みこりんはヘビに背を向けた格好だったので、何が起こっていたのかわかっていない。先にみこりんに声をかけとくべきだったかな。でもさすがにベビーサイズを通り越し、みこりんよりも長く大きくなったヘビだと、「かわいい」なんて答えてくれそうにはないけれど。
*
午後、ホームセンターで秋植え球根を物色。去年、盛大に色とりどりな花を咲かせてくれたユリ咲きチューリップ混合12球しかも“そろい咲き”を選んでみた。今年の春はユリ咲きオレンジ色の“バレリーナ”だけだったが、ちょっと華やかさに欠けてしまった。やはりいろいろ混ざってるほうがいいようだ。
で、今回はさらにこれに追加してヒヤシンス“紫”9球で、ぐるりと取り囲んでみようと思う。どんな具合に咲くかは来年のお楽しみ。
2001.9.17(Mon)
コクワガタの一生
先日、本屋に行ったときのこと。みこりんに絵本を立ち読みしてやったりしつつ、子供用図鑑のコーナーを眺めていると、ふと目にとまったのが『クワガタムシ』の図鑑だった。かなり厚みがあったので、『クワガタムシ』と言いつつ昆虫全般について書いてあるのかも、なんて思いつつケースから出してページを開き、ぱらぱらと読んでみた。
おそるべし。タイトルに違わず、この図鑑は『クワガタムシ』についてだけ記述された本らしい。日本全土に渡って棲息するクワガタムシすべてについて、かなり詳しい解説が延々と続いていた。
ふむふむと読み進めていると、横からみこりんが興味深そうに覗き込んできた。クワガタのメスの写真を見つけるたびに、「これ、おうちの“くわがた”」と指さしてくれる。確かにオスと違って、メスの種類を同定するのはなかなか難しい。うちのもひょっとするとコクワガタではないかもしれない…。コクワガタのページを読みつつ、そんなことを思う。
やがてみこりんが飽きてきたのか「このほん、もうおわりにしよ」なんて言い始めた。あ、いまいいところだからちょっと待って。コクワガタの飼育に関するページに、重要な事実が書いてあったのだ。
なんとコクワガタは、成虫になってから2〜3年生きるというのだ。冬は土中等に潜んで越冬するらしい。特に加温などは要らなさそう。
これはいいことを聞いた。我が家のコクワガタも同様に生きてくれるに違いない。子供の頃、飼ってたコクワガタが夏の終わりとともに死を迎えていたのは、単に飼い方がまずかったのだ。
コクワガタがそうなら、カブトムシはどうなのだろう。あれも種類によっては越冬するのかもしれない。でも、みこりんの保育園で飼われているカブトムシは、もはや手遅れみたいだったが。プラケースの中で、カブトムシの屍累々……。それでも死骸が入ったままなのは、小さい子供にとっては生きてる虫でも死んでる虫でも、それほど違いがないからなんだろう。みこりんも死んだ蝉とか死んだコオロギとか、大事そうに“飼って”るし。動いてる虫は触れないけど、死んだ虫になら触り放題というのも影響してそうである。
死体を飼う子供達。外骨格を持つ生物ならまだしも、これがふにゃふにゃのしおしおになってしまうような生物だったりしたら。…ちょっと怖い。
2001.9.18(Tue)
ちょこっと妖しい
“Mean Machine”の歌を、今日初めて聴いた。より正確に言うならば、プロモーションビデオを見たのだ。
最初「スーハー」という題名から、てっきり色物系なのかと思ったが、そうではなかった。色物系というより、妖しい系といったほうがいいかもしれない。妖しいといっても、異様というのとは違って、艶がある。ビジュアルも悪くはないが、私がやられたのはヴォーカルの伊藤歩が放つ、その声であった。
惚れ惚れするほど可愛らしい声。そしてどこか切なそうに響く声質が、素晴らしい。青空よりも地下とか夜とかが似合いそうなアンダー系な雰囲気が混じってるのも、惹かれるポイントである。加えてCharaにも、デビュー当時の妖しさが戻ってきたようで、そこもまたよし。要チェックである。
2001.9.19(Wed)
水に浮かんだお客様
鉢植えの水やりは、いちいちホースを使うのも面倒なので、バケツに水を張り、そこからジョウロで何往復かするようにしている。真夏ならばバケツに水が残ってしまうこともなかったが、めっきり秋めいてきた今日この頃では、鉢の乾きもそれほど激しくはないので、10cmほどの深さで余ってしまうことが多くなった。
溜め水はよくない…ような気がしつつも、なんとなく余った水がもったいなくて、翌日その上から水を注ぎ足しては使っていたのだが、今朝はそのバケツの中に、お客様を発見してしまったのだった。
それはそれは立派なカマキリが、両鎌もたげて羽根を拡げ、今にも飛びたたんばかりの迫力で浮いておられた。さっそく救出してやらねばと、そっと手を差し伸べた時、私は気付く。もはや手遅れであったことを。
カマキリの気門がどこに存在するのか詳しくは知らない。でも、この様子はどうみても窒息死だ。そっとすくい上げると、ぴんと反り返ったまま、硬直した冷たい体の感触が手のひらに伝わってくる。
花桃の樹の下、ドングリの芽が出そろったあたりに、カマキリを降ろしてやった。
やはりバケツの溜め水はよくない。今日からは、余った水はそのまま大地に還すことにしたのだった。
2001.9.20(Thr)
NIMDA
朝の出勤はフレックスを使って、いつも10時ごろ職場に辿り着くようにしている。今朝は、途中の踏切にひっかかってしまったので、いつになくぎりぎりになってしまった。早足でちゃかちゃか進む。目指す建屋は目の前だ。よぉし、間に合った。
入り口のドアをくぐる直前、なにやら構内放送が轟き渡る。何か緊急事態があったのだ。
コンピュータ・ワーム“NIMDA”、これが社内ネットワークに接続されたPCから検出されたというものだった。ただちに全PCのLANケーブルを外すようにという指示である。
日々の仕事の成果は、サーバに格納されていることが多い。LANケーブルを抜き、LANから切り離されてしまうと、まったく仕事にならない人がそこここに溢れ始める。さくっとローカルディスクにファイルをコピーできた人はラッキーだったが、そんな1つや2つのファイルだけでは一日分にはぜんぜん足りない。
やがて、各部門のLAN管理者宛にFAXが届く。指令書には、“各部門サーバのウイルスチェックを行うべし”とのお達しが。もちろんその前にはLAN管理者自らのマシンのウイルスチェックを済ませておく必要がある。
さっそく作業にとりかかった。
午後3時。まだサーバのチェックが終わらない。というか、始まったばかりと言ってよい。ファイル数が多いのと、巨大ファイルが結構あるため、遅々として進まないのだ。
LAN管理者以外の人たちは、まだウイルスチェックすらできない状況だった。なにしろ最新のウイルス定義ファイルがネット経由で配布されてくるので、LANに接続できない現状では受け取りようがない。…でも、なんか時間がもったいない気がする。
LANにつながずに最新の定義ファイルを各自が得るには……、やはりフロッピーディスクを使うしかあるまい。うちのグループだけでも先に配ってしまおう。そうだそれがいい。
さきほどLANから落としてきたファイルを確認する。サイズはどうかな?……2Mちょいあった。1枚のFDには収まりきらない。分割だ分割だ。
だがここで重要なことに気がついた。「しまった、このマシンには分割ツール入れてなかった!」
なんてことだ。今はインターネットに繋ぐこともできないので、どこかから落としてくるわけにもいかず……。で、結論。作ろう。
ファイルを任意サイズに分割するだけなので簡単だ。GUIに懲りたくなる衝動を抑えて抑えて、プロトタイプ完成。結合用バッチファイルの自動作成機能は付けておいた。
手頃なファイルで実験したのち、いよいよ本命を分割にかかる。とそのとき、会議に呼ばれた。残念ながらおあずけだ。
夕方5時過ぎ。まだサーバのチェックは終わらない。半分にも達していなかった。他の人たちのウイルスチェックは順調に進んでいる様子。でも、全社のPCすべてが完了するまで、LANには接続できないのである。PCがスタンドアローンで存在していた数年前に逆戻りだ。
まぁこういう機会に日頃後回しにしていた雑事を片づけるのもいい。
*
帰宅して、我が家のPCは大丈夫なのかとチェックツールを実行させてみた。
すると……、HTMLファイル内にNIMDAを発見したとメッセージが出ていた。ブラウザのキャッシュファイルの中に、そいつが混じっていたらしい(そのファイルはとある公募サイトのものだった)。
でも、幸いなことに我が家のPCには感染できなかったようだ。IEに当てておいたパッチが有効に機能したということだろう。でもこの騒ぎがおさまるまでは、しばらくブラウザのセキュリティレベルは上げておくに限る。
しかしCode RedであれほどIISのセキュリティホールを報じられていながら、いまだに放置しているサーバ管理者がいるとは。NIMDA、予想以上に蔓延してるのかも…
2001.9.21(Fri)
冷気
午前9時28分、いつものように家を出る。いつになくひんやりした空気に、みこりんが「ふゆみたい!」と言った。たしかにこれは“涼しい”というレベルを越えている。Tシャツの中に侵入してくる冷気に触れた瞬間、脳裏に横殴りの吹雪がイメージされた。吐く息は、さすがにまだ白くはならなかったが、昨日までの穏やかな気候はもう戻ってこないような、そんな予感がした。
午前中、昨日に引き続いてNimdaの処理に追われる。所属のPCすべてをチェック終了したのがお昼前。幸い、うちの管轄で感染したPCはなかった。が、他のセクションには少なからず感染したPCがあったらしい。
あますところなく駆除が終わり、ようやくLANへの接続が許可されたのは午後4時近くになっていた。丸二日に渡るNimda処理は、こうして収束したのであった。これで全社にIEとOutlookExpress使用禁止令が出たらラッキーなのだが、情報システム部門はこういうセキュリティには目をつぶるのだろう。なにしろ今までIEとOutlookExpressを全社標準に指定してきた手前、そう簡単に前言撤回もできないだろうし。
夜。今度は主要な客先でNimdaのためにLANが停止しているとの情報が流れる。このモグラ叩きが、来週まで続いていませんように…
秋の園芸リスト
そろそろ注文期限が来るのではないかということで、“国華園”と“サカタのタネ”にそれぞれ秋モノ植物の注文書を書き上げた。リストアップは随分前に終わっていたのだが、さらなる取捨選択に悩んでいるうちに夏が終わってしまうとは。まったく油断も隙もない。光陰矢のごとしである。
名称 | 価格 |
---|---|
阿州ゆり(2球) | 1100 |
赤鹿の子ゆり(3球) | 550 |
笹ゆり(3球) | 1800 |
エレムルス “クレオパトラ” | 700 |
デルフィニューム “メラル” | 900 |
大実クランベリー | 700 |
打木源助大根 | 125 |
紀州白大根 | 100 |
京都三号白菜 | 100 |
飛騨紅かぶ | 100 |
スイートピー オレンジ | 50 |
スイートピー 空色 | 50 |
今回は日本産のユリ3品が目玉である。阿州ゆりは白地に赤のスプラッシュ模様、赤鹿の子ゆりは名前のとおり赤に黒のスプラッシュ模様と、正反対な色合いのものをチョイスしてみた。これの植え場所はすでに決めてある。花桃の足元だ。春の球根モノが一段落したあと、この周辺の色彩が寂しくなるのを補ってみようと思う。
笹ゆりは、最後まで乙女ゆりとどっちにしようか迷ってしまった。いずれも似た形状の、薄桃色の花を咲かせる。高さ約50cmという背格好もそっくり。ただ違うのは花の大きさで、笹ゆりが10cmなのに対して乙女ゆりは5cmとミニサイズ。そして値段は笹ゆりのほうが乙女ゆりの2倍。……結局、値段と花の大きさをトレードオフして、笹ゆりに決定。こちらの植え場所もすでに春先から決めてある。プラムの足元だ。そのために今年の春、このあたり一帯にはびこっていた苺を撤去したのだった。あぁ早く来い来い笹ゆりたち。
名称 | 価格 |
---|---|
ペルシャン ジュエル | 210 |
ツボサンゴ “モネ” | 800 |
レッドカーラント | 1260 |
かたくり(5球) | 1000 |
長年気になっていた“かたくり”を、ついに買ってみることにした。
レッドカーラント(赤すぐり)は、こちらの方が国華園よりも安かったので。
そしてカタログを眺めていて一目惚れしたツボサンゴ“モネ”。みこりんの樹“ハリエンジュ”の足元に植える予定。明るめの葉っぱが、日陰に似合いそう。
2001.9.22(Sat)
犬であって犬でないような感じ
腎臓を患っているにゃんち君のために、療養食を動物病院に買いに行くようになってほぼ半年が経過した。かりかりの固形タイプの餌なので、ネコ缶に慣れ親しんだにゃんち君は最初はあまり食べてくれなかったが、いまでは一日の規定量35グラムをほぼ完食してくれるようになった。痩せていたカラダも、近頃ではなんとなくふっくらしてきたような気さえする。そして餌代も、“安物のネコ缶”を与えていた時と大差なく、“ちゃんとしたネコ缶”に換算すると、確実に安上がりな計算となる。なんか意外な感じもするけれど…
さて動物病院では、二匹のパグが待合室にいた。いずれも丸々と太って、人なつっこそうな顔をしている。
1匹のパグが、さっきから奇妙な息づかいをしてるのが気になって、ついついそちらに目がいってしまう。喉がつまってるように「かはっかはっ」とやっているのだった。あんまり苦しそうなので、病気なのかと思ったけれど、どうもそうではないらしい。単に興奮して息が切れているのだとか話していた。
それにしても、咳き込むパグの顔は、ますます何か別の生物っぽく見えてしまう。エイリアンに寄生されて、そこから生まれ出てきた異形の新型エイリアンみたいな感じ。ボールみたいな半球状のツルっとした顔面に、ぎょろりとした大きな目玉、そしてひしゃげた鼻、大きく裂けた口、そこから覗き見える白い牙…。
このあたりがパグ好きな人を虜にしてしまうのかも、と思いつつ、新しい餌を受け取り、病院をあとにするのだった。
思い違い
寒い寒いと思っていたら、朝の気温は15度きっかり。寒い、寒すぎる。エアコンを“暖房”モードにしてスイッチを入れた。あぁこれで安心だ。はやめに灯油も買ってこなければ…。10月も終わりに近付くと、さすがに冬っぽくなることよ。
そしてLicに指摘される。「今は9月、だよ」と。
なんと、期限(10月末日)に間に合わそうと昨夜急いで書き上げた注文書は、じつはまだ1ヶ月以上も余裕があったのだ。
2001.9.23(Sun)
今日の園芸
菜園1号&2号に秋モノ野菜の種をまいて、はや一週間。無事発芽しただろうか。
庭に出てみると、朝方の冷え込みが錯覚かと思うほどに太陽の照りつけが厳しく、たちまち汗がにじんでくる。菜園の土はすっかり乾いて、触れると熱いほどに地温は高くなっていた。嫌な予感がする。
たしかこのあたりに種を埋めたはずだが…と、まっさらの土の表面を軽く手で撫でてみる。……なんもない。手応えがなかった。
場所を変えてもう一度。あ、発芽苗発見。しかし、なんか元気がないような?そっと手で触ってみると、ぽろりと根元から倒れ伏す可愛い双葉ちゃん。こ、これは、根切り虫だな!
付近の土をほじくってみると、私の薬指ほどもある黒いヤツが“ぽろり”と現れ出でた。ぬぅ、こんなに丸々と太りおって。……でも、いやに静かだ。動きがない。改めて根切り虫を観察してみると、ヤツはすでに事切れているのがわかった。
朝晩の寒さにやられたのか、それとも昼間のこの暑さゆえか。だが、根切り虫がいなくなったとはいえ(まだ潜んでいる可能性もあるが)、残ったわずかばかりの苗(確認できただけで3本ほど)では、とても冬を越せないだろう。せめて大根とカブそれぞれで半ダースづつは欲しいところだ。しかも今回もまた、ニンジンがまったく発芽していない。種まきのあとの踏み固めが足りなかったのだろう。
さっそくまき直しである。
今日は前回のに加えて、ほうれん草も2種類ほど播いてみた。いつもは一昼夜水に浸すというプロセスを経るのだが、今回は何もせずに直まきである。それでも十分発芽する、いや発芽しないほうがおかしいと、ものの本には書いてあった。はたして我が家の菜園ではどうだろう。わんさか採れたら、ホウレンソウ鍋にしてやるのだが。
*
みこりんがユスラウメの陰に隠れるように残ってたホオズキの実を見つけた。さっそくオレンジ色に染まった実を取りだして、口に放り込んでいる。でも、すぐに「ぺっ」と吐きだしたもよう。まずかったらしい。
去年まではたしか「おいしい」と食べていたように記憶しているのだが…。野生の味に、舌が拒否反応を示しつつあるのかも?
2001.9.24(Mon)
桜切る
庭にも、徐々に秋の訪れを感じさせる情景が目に付くようになってきた。
枯れ葉散る、枝垂れ桜の傍らに、根っこを同じくして山桜が二本生えている。接ぎ木の土台だと思われるのだが、ハリエンジュと同様、こちらも徐々に土台の方が優勢になりつつあった。本当は土台からの芽はすべて欠かなければならないのだろうけれど、どんな花が咲くのかなと、つい見逃してしまったのが運の尽き。二本のうち一本は、いい感じに枝が張り、これを切ってしまうのはいかにももったいない。どうせなら花を咲かせてやろう…なんて思ってしまうのだった。
でも、残りの一本は……。
こちらの方はあまりいい枝振りとは言い難い。……切るなら、こっちだ。
剪定ばさみで細い枝を落とし、金ノコ(まだ金ノコを使ってる)で、そこそこに太い幹をぎーこぎーこ。
みこりんも剪定ばさみを使いたいらしい。まだその小さな手には余る刃物だが、使わせてみることにした。すると、竹籤みたいに細っこい枝を、ちょきんとやってくれたのだった。意外に使えるようである。
伐採終了。長さにして2mほどの桜の枝が、7〜8本。なにかに使えそうな気もするが、何に使うかすぐには思いつかなかったので、とりあえずガレージに積んでおくことにする。Licはスモークのチップに使えると言っているが、たしかに自家製ソーセージやら薫製やらに挑戦してみるのも悪くはない。いずれ挑戦してみたいものだが…
とりあえず、ちゃんとしたノコギリ買わなくては。
古の怪獣
ずんぐりとした丸い背中に無数の吸盤がついている怪獣といえば、タッコング。ツインテール、ベムスターと、私の心を鷲掴みにする造形美を与えられた怪獣が多かった『帰ってきたウルトラマン』の中でも、タッコングの印象はもっとも強烈だったと言ってよい。
まだ記憶もあやふやな保育園時代、何かのお祭りだったか運動会だったかのハリボテとして組み上げられつつあったタッコングが、夕暮れの黄金色に染まる体育館にそそり立っているのを見たときから、私の心の中では、怪獣といえばタッコングということになってしまったのかもしれない。静まりかえった巨大な部屋に、タッコング…。恐いというより、畏怖の念すら感じていたような気さえする。
そのタッコングのフィギュアが、今、目の前にある
買って帰ろうか。そう思う気持ちが7分。でも、いったいどこに飾るんだ…といらんことを心配する冷静な私が3分。あぁ、悩ましい。
はっと気が付くと、みこりんとLicの姿が見えなくなっていた。広いオモチャ売り場で迷子になっては大変だ。タッコングは次回にしよう。次、出会えたら、そのときこそ、きっと。
久方ぶりに訪れた、トイザラスでの出来事である。
2001.9.25(Tue)
『MOONLIGHT MILE - THE END OF THE EARTH -』
SFを筆頭に宇宙開発モノはデフォルトで“買い”なのだが、昨日買ってきた『MOONLIGHT MILE - THE END OF THE EARTH - 1巻』(太田垣康男)は久しぶりに脳天がしびれた。
国際宇宙ステーション完成後の近未来、月面開発がまさに始まろうとしている時代のお話である。
宇宙開発が、研究段階から応用段階へとシフトしてゆくとき、それまでのいわゆる“ライトスタッフ”である宇宙飛行士に加えて、“土木系”などの技術者が必要になってくる。現在でもミッションスペシャリストとしての宇宙飛行士は存在するけれど、この作品世界に登場してくる“ビルディング・スペシャリスト”はさらに技術者(あるいは職人)サイドに寄ったものとして描かれてゆくことになるのだろう。
物語冒頭で、なぜ“彼等”が宇宙に行こうと思ったのかを“語る”重要なシーンがある。“彼等”が地上でもっとも高い“地べた”−エベレスト山頂−に立ち、もはや地球上にはここより高いものなど何もないのだと思い知る。でも、そこから見上げた天空には、国際宇宙ステーションの姿がおぼろげに現れてくるのである。
そうだ、宇宙へ行こう。その思いを、つい共有してしまうほどに臨場感ある情景だった。
“土木系”+“宇宙”といえば、谷甲州。というのがお約束だが、この作品は谷甲州の泥臭さにプラスして、夢枕獏風味の人間模様が加わっているように思える。ちょろっとしか登場しない人物でも、その背後には膨大なサブストーリーが展開してそうな厚みを感じるのである。おそらくこのあたりに私の想像力が刺激されているように感じる。だから面白いのだ。
続巻が楽しみである。
2001.9.26(Wed)
無言電話
押入の中を漁り、永き眠りについていたモデムを2つほど発掘した。14.4kbpsと2400bpsの品だ。いまさらこんなものをどうするのかというと、ちょいと仕事でモデムを利用したソフトウェアを開発中なので、そのテストに使うのである。
まずは内線電話につないで、発信できるか確認してみよう。昔の記憶をたどりつつ、モデムの制御コマンドであるATコマンドを入力。ところが、モデムはちゃんと応答してくれるのに、電話をかけさせても呼び出し側の電話機は沈黙を保ったままだ。やがてそのうち“NO CARRIER”。……なにか設定が違ったかな。
マニュアルも一緒に発掘してくるんだったと激しく思いつつ、片っ端から手近な資料のページをめくり、なんとかATコマンド一覧表を探し出すのに成功した。よしよし、これでなんとかなるだろう。先日来のNimdaワーム騒動の影響で、会社ではいまだに社外のWebサイトへのアクセスが禁止されているのだった。ATコマンド一覧なぞ、Webで探せばすぐに見つかるだろうになぁ。
で、いろいろ設定を変えてみたりしつつ電話をかけさせようとしたが、やはりいかん。……さて、どうしたもんか。
ふと思いついて、外線にかけてみることにした。電話番号は、…えーと、どこにしよう。やはり家がいいかな。ゼロ発信を加えて、と。
モデムが“じーころじーころ”ダイアル中……
やがて、モデムから囁くように小さな声で、「もしもーし?」というLicの声が聞こえてきた。をを、つながったようだ。これにて一件落着。
「もーしもーし??」
モデムからさらにLicの声が。そ、そうだった、これをどうにかせねば。咄嗟にモデムに向かって話しかけようとしていた。だめだ、これにはマイクがついてない。モデムにつながってる電話機の受話器をとってもみたが、これも当然ながらつながるはずもなく……しばし躊躇したあと、「ぶちっ」とモデムの電源を切ったのだった。
ただちに家に電話をかけ、さっきの無言電話の主がモデムであることを告げたのは、言うまでもない。
2001.9.27(Thr)
ネコの草
真夜中、日付が変わる頃、リビングのカーペットの上でくつろいでいたはずのにゃんち君が、突然「けふけふけふけふ」と奇怪な音をたてはじめた。驚いてそちらを見やると、肩をがくがくと震わせ、頭を妙に下げた格好で、ぷるぷると何かに耐えている感じ。………一瞬何事かと思ったが、直後には思い出していた。いかん!このままではカーペットが危ない。
咄嗟に洗面器の代わりになるものを探したが、そんな適当なものが都合良く転がってるはずもなく、つい己の両手を差し出しそうになった。差し出しつつ、頭の中では「い、いかん、このままこの手に……されてしまったら……」という後悔の念がぐるんぐるん渦巻いている。なぜかスローモーションに事態が進行してるような気がした。
幸い、にゃんちくんは私の気迫に驚いたのか、カーペットの上を離れ、フローリングの方に移動してくれた。よしよし、そこなら思う存分やってくれてもいいぞ。心底安堵した。
ほどなくして、にゃんちくんは…………
ちなみに、にゃんち君が食べていたのは、先日みこりんが庭から摘んできていた“ねこじゃらし”の草。まったく、どうしてこんなおいしくなさそうなものを食べるのやら。どうせならもっと軟らかい葉っぱとか、そういうのにしとけばいいのに。
後始末をする私の足元で、さっぱり顔のにゃんち君が“撫でて欲しい”ポーズで横たわる。こいつめ。
2001.9.28(Fri)
路傍の狸
団地を下りると、しばらくは道の両側に田圃と畑が続き、その向こうには深い山々がぐるりと取り囲むように迫っている。こんな環境だから、狸やイタチといった獣も、わりとよく見かけるように思う。でも、今年は生きてる姿よりも、道ばたで冷たくなってる状態の方が多いような気がする。春から憶えているだけでも、4〜5頭は見たと思う。
今朝も狸が1頭、倒れていた。数週間前には、その近くで子狸が倒れていた場所だ。もしかすると親子だったのかな、とかそんなことを思いつつ、クルマで傍を通り過ぎる。一瞬のことだが、絶命した狸の表情が克明に瞳の奥に焼き付いてしまった。
なんだかやりきれない思い。このへんの道は人通りもほとんどないので、クルマは結構スピードを出している。狸が路上を歩いていても、夜だったりするとなかなか気付かないかもしれない。おまけにドライバーのマナーは、それほど良いとはいえない地域柄。路上を渡る野生動物にとってはデンジャラスな棲息環境かもしれない。
でも不思議なのは、去年まではこんなに頻繁に交通事故にあった狸を見かけなかったこと。いきなり数が倍増したとも思えないし、山の中ではいったいどんな環境変化があったのだろうか。変わったことといえば、山の奥の方で自然公園が整備されたことかな。一度、どんなのが出来たのか確認してこよう。
2001.9.29(Sat)
希望的観測
さて、みこりんが夜寝るときに紙オムツをしなくなって、約2ヶ月が経とうとしている。いつもうまくいくとは限らなかった。真夜中、しっとり冷たい感触に、がばっと跳ね起きたことも2度3度4度5度………。でも、そんなときでもみこりんはぐっすり熟睡したまま微動だにせず。そんなときには、やはりまだ早かったのか…と思いかけたものだ。
しかし、継続は力なり。日々是精進である。街にジングルベルが流れるころには、たぶんきっと我が家に安眠が訪れているにちがいない。…そうあってほしい。そうなんじゃないかな。
2001.9.30(Sun)
いつのまにやら“さかあがり”
「“さかあがり”できた!」と、みこりんが報告に来てくれた。室内用ジャングルジムをみこりんの部屋に設置してから約3年。その間、“飛行機(てっぺんで真横になること)”とか“ヘリコプタ(さらにそこから脚を上に“くぃ”と曲げること)”とか“逆さ落とし(付属の滑り台を頭から滑り降りること)”とか、さまざまに新技を披露してくれたが、ついに“さかあがり”ときたか。無意識のうちに軽く頷きながら、みこりんのあとを付いていく。
見せてもらおうじゃないか。“さかあがり”を。
定位置についたみこりんは、一段目のポールにつかまり、ひょぃっと両脚で畳を蹴った。そのまま脚が宙に浮く。よし、そのままぐぐっと脚を上げて……。思わず拳を握りしめる私。
だが、みこりんのちっこい脚はポールの下側を通過した。ぶら下がった両手と、ポールの間の空間に、脚を割り込ませるつもりらしい。
その試みは見事成功した。たしかに一回転している。両手はまだポールをつかんだままだ。そして着地。ちょっと前傾姿勢になったが、大丈夫だろうか…、と見ているうちに、フィニッシュ。両手を離した。
ぼて
「あ」
顔面から畳みに突っ伏するみこりん。だ、だいじょうぶなのか?
でも、次の瞬間には晴れやかな笑顔で起き上がったのだった。
大丈夫らしい。
“逆上がり”とはちょっと違ったけれど、ずいぶん上手に出来るようになったものだ。以前、私が手を掴んだ状態で一回転していたときには、まだ手を握ってやっていなければすぐに落ちてしまっていたのに、いつのまにか己の握力だけで回転できるようになったとは。いずれ鉄棒で前回りするのも時間の問題に違いない。そしてそのうち本当の“逆上がり”も見せてくれるようになるのだろう。…でも、今はこの瞬間を記録しておこう。私はそっとビデオカメラを構えるのだった。