2000.4.1(Sat)

明け方にアイディアが浮かぶ

 “テキスト”と“見栄え”の分離について、痛切に必要性を実感しつつリニューアル用ページを、明け方まで作成していた。見栄えの分離といえば、スタイルシートに話が行きやすいが、私にとってはテキストさえ定義に従い分離可能になれば、HTMLがスタイル(見栄え)を定義していてもぜんぜんOKだったりするので、スタイルシートはさほど重要な位置にはない。というか、ユーザー定義のタグを作成不能な点で、“HTML は文書構造の定義だけをすべし”という主張には、はなはだ同意しかねるのである。世に出回るあらゆるテキストが、そのように既成の構造化だけで表現可能とは思えないのだ。
 それよりも XML である。テキスト構造を、作成者が自由に定義できる柔軟性と、定型化は、プログラミング言語の面影が見え隠れしている。今はまだデータ中心主義の昔を彷彿とさせるが、いずれオブジェクトとして扱われるようになるだろう。その時には、見栄えを定義する手続きと、テキスト内容を表現するデータ構造とは、満足すべき融合へと至るはず。
 現在の XML には、自分の理想とする XML(のようなもの)とは、まだ乖離があるようだ。当面、自分が不自由している作業を強力にサポートする仕組みを、おぼろに思いつつ。XMLがその方向に進むかどうかはまだ未知数だが、とりあえず、自分のアイディアをまずはカタチにしてみようと思うのであった。

ガレージ収納

 で、目覚めたのはお昼過ぎ。庭ではみこりんが「あそべん〜」と不服そうな声を上げている。ガレージから待避させておいた荷物が、庭に溢れているのだ。まずは、こいつらをとっとと片づけてしまおう。
 使っていないウズラのケージ、縁台、プランタ、タイヤ、資源ゴミ用コンテナなどなど、着々と運び込む。最後にバイクを戻せば終了。ところがバイクを門から出そうとして、はたと困ってしまった。入れた軌道をなぞって、バックさせているはずなのだが、どうしてもコーナーを曲がりきらない。もしかすると、入れたときに簀の子の上でタイヤが滑っていたのかも。仕方がないので、サイドスタンドを立て、“その場旋回”させることにした。軽い部類のバイクとはいえ、やはり140kgというのは、易々と扱えるものではなく、何度かやり直し。無事、脱出に成功したときには、春の陽気も手伝って軽く汗が伝っていた。

 広くなった庭で、みこりんが三輪車をこいでいる。でも、ほんのわずかなでこぼこを乗り越えられずに、癇癪をおこしはじめた。庭を平らに整備するのが先か、みこりんの脚力がついて“でこぼこ問題”が解消するのが先か…。庭の水はけが悪いこともあり、いずれは土を入れ替えなければ、とは思っているのだが。
 おにゅぅの屋根がついたガレージで、Licがみこりんを遊ばせようと連れていった。ここならコンクリート床なので、でこぼこはない。三輪車もすーぃすい…、のはずだったが、なぜかみこりんは日の当たる方へ日の当たる方へと進んでしまい、歩道との傾斜で、がっしゃんと何度もコケていた。太陽に誘われる虫のような動作が、本能に刻まれているらしい。

 午後1時〜2時の太陽光線が、カーポートによってどう遮られたかを見てみたが、ほとんど問題にならないレベルと思われた。たしかに影は映しているが、屋根材の透明度は思ったよりもよく、遮光率20〜30%といった感じである。まずは一安心。

今日の園芸

 ラッパ水仙が次々に開花し、チオノドクサも満開、沈丁花はそろそろ盛りも過ぎ、コブシの花びらはだいぶほころびつつある。花壇の様相は、一気に春景色へと変貌を遂げている。ユリの芽が、地面を割って出現しているのを発見。すかさずデジカメで激写である。花桃は、まだ蕾をほどかない。例年よりも遅いような。
 サンルームで越冬させていたデュランタなどの鉢植え植物たちを、庭へと散開させた。もう霜の心配はしなくてもいいだろう。今年もデュランタは丸坊主になってしまったが、小さな新芽がこそっと覗いているので、復活も時間の問題である。でも、このサイクルのままだと、ちっとも大きくならない欠点があるので、来年は葉を落とさずにすむ越冬場所を確保してやらねば。

 パキスタキス・ルテアも、酷い有様になってしまった。枯れ葉も残っておらず、しゃがれた色彩の茎だけとなり、どう見ても枯れているようにしか思えない。それでも一縷の望みをたくして、生きている証を探る。命の火が残っていれば、どこかに新芽の兆しが出ているはずだ。
 なかなか見つけられずにやきもきしたが、ついに発見。長さにして0.2mmほどという、まさに針の先ほどしか覗いていないが、ソレは間違いなく新芽であった。根元付近にしか見えないのが気がかりだが…。新芽の出ているあたりまで、切り戻しておこうと余計なことを考えたのがいけなかった。ハサミでぱちんとやったあと、落とした茎の1つにずらっと並んだ新芽の数々を見つけてしまったのだ。産毛ほどしか伸びていないが、これもまた新緑に燃える新芽が芽吹くしるし。迂闊だった。他の茎には新芽が上がってきてなかったので、全部をチェックせずに切ってしまったのだ。再生するのに、この夏いっぱいかけても足りないかもしれない。

 午後、セントポーリアに水をやったあと、雑草抜き。みこりんに手伝ってもらった。菜園では、残った聖護院大根に花芽がついているのを発見。し、しまった、はやく収穫しなければ。さっそくみこりんに抜いてもらう。ニンジンも2本ほどついでに収穫。太ネギは、結局、ただの“薬味ネギ”サイズのまま大きくなっていない。もしかすると、肥料のやりすぎかも…。


2000.4.2(Sun)

土入れ

 桜の足元付近では、瓦礫を撤去したままになっていた。ごぼっと窪んだ箇所に、今日は肥料と培養土を投入する。軽く耕してみたら、どこから沸いてくるのか再び瓦礫がごろごろ出現。ここの土は、石を産む特性があるらしい(としか思えないような奇怪さだ)。もっと徹底的に耕さねばと、クワをふるう。ざっくざっくやっていたら、窪みを見つけたみこりんが、「プールみたい!」と叫んで、入ってきてしまった。危ないからね、と私が言うより先に、「みこりんおるで、きをつけてねおとーさん」と、みこりんに先手を打たれてしまい、なんだか焦る。
 耕したあと、鶏糞少々と、培養土25リットル入りを3袋、それに赤玉土1袋を入れたが、まだ足りない。みこりんもカップに土を入れて、細々と土入れしてくれるのだが、やっぱり足りない。庭に点在する、あらゆる鉢植え(今は植物が植わっていないやつ)の古土も、構わず投入した。なんとか水平面は確保できたかも。

 途中、Licが髪をカットしてくるというので、お見送り。みこりん大泣きである。一緒に行くといって聞かなかったが、やみくもにワガママを言ってたわけではないようである。自分は行ってはいけないのだと、理性ではわかっているらしい。それでも幼児ゆえ、泣かずにはおれないという感じに見えた。Licがクルマで去ったあと、2〜3分でケロっと立ち直っていたし。
 昨日に引き続き、菜園でニンジンをさらに2本収穫してもらう。今回は、みこりんに好きなように採ってもらったのだが、上手に抜いてくれた。以前よりも、ニンジンの色にオレンジが濃く入ってきた感じだ。午前中の作業はこれでおしまいにしよう。

お散歩

 お昼ご飯のあと、みこりんと近くの山までお散歩に行くことにした。少し曇ってはいたが、暖かな日よりである。春の野山を見てみるのも、いいだろう。お昼寝させようという魂胆もあったので、ベビーカーに乗せていく。
 団地の下まで降りてくると、みこりんがだんだん無口になってきた。話しかけても、返事がない。そぉっと観察してみると、目がうつろであった。眠いのだろう。でも、一生懸命、目を開こうとしている感じ。お散歩は大好きなのだ。

 小川を越えて、道路を横断、向かいの山へ。タンポポがいくつか咲いている以外、まだ冬の名残が濃厚である。アレを見つけるのは無理かもしれないと思っていたころ、ようやく2本のツクシを発見した。さっそくみこりんに見せてやる。眠気で意識が朦朧としているらしいみこりんは、ちょんちょんとツクシをつっついてみてくれたものの、やはり静かであった。先に進む。
 山際にそって回り込み、団地方面へ。途中、どんぐりがたくさん落ちているのを見つけたが、やはりみこりんの関心は引けなかった。ベビーカーの背もたれを倒し、寝かせるモードへ移行。みこりん、なんだか窮屈そうである。ベビーカーも、そろそろ卒業だ。

 少し行くと、小さな沢の岸辺に、倒れ込むようにして一輪の桃色の花が咲いているのが見えた。見慣れない花である。葉っぱは胡蝶蘭のような感じに展開し、花茎が一本すっと伸び、先端にどことなくアザミを思わせるツンツンの花がついているのだ。寝ようとしているみこりんを抱き起こし、とりあえず見せておく。いつもいつも自生している花が、タンポポばかりではないことを記憶してくれただろうか。
 あとで図鑑で調べたところによれば、ショウジョウバカマに雰囲気が似ていることがわかったが、花の形がどうも違うように思える。来週、デジカメ持参で確認してこよう。

見知らぬ人

 みこりんがお昼寝から起き、「かーさん、おらん!」と泣きにかかったその時である。がちゃっと玄関のドアが半開きになり、女の人が入ってきた。みこりんは、じっと見上げたまま微動だにせず。髪をさらに大胆にカットしてきたLicを見て、なんだか訝しげである。明らかに意表を突かれていた。
 Licが何ごとが話しかけても、さらにじぃぃっ。まるで抱卵中の皇帝ペンギンのよう。“声はすれども姿は見えず”の謎に、取り憑かれたみこりんであった。

 さて、もしこのときLicが異形の変身マスク(リアルタイプのやつ)をも装着していたとしたら、どうなっていただろう。声だけでLicと認識するのだろうか。朝起きたら、Licが虫のような姿形になっていたとしたら。とてもとても実験してみたい気分。


2000.4.3(Mon)

桜、まだ

 新年度の始まりである。だが、みこりんはまだ保育園が始まらない。あさってが入園式なのだ。だから今日はLicもお休み。みこりんのために、お弁当を作ってくれていた。天気もいいので、どこかお出かけするのだろう。
 さっきまで「とーさんの、かいしゃいく」と言ってたみこりんだが、お弁当を見たとたん「おさんぽ、いく!」に変わった。自分用のちっちゃなリュックにお弁当を詰めて貰い、水筒を肩から下げると、いざ出発。

 小さい頃は、お弁当持ってどこかに出かけるのは、それこそ一大イベントだったなぁ。どこに行ったかなんてのは、ほとんど覚えていないが、そういうのがあったという記憶だけは妙に残っている。みこりんも大人になってから、私とLicがまだ若かった時代のことを懐かしく思い出してくれるのだろうか。
 そういや、今年は桜がまだ一輪も咲いていない。去年が早すぎたので余計遅く感じるのかもしれないが、例年でも4月の第1週過ぎたらあとは散りゆくのみだったような気もする。今年は、入学・入園式に桜が間に合わないかもしれない。今年の気象も、波乱があるような予感。


2000.4.4(Tue)

誘惑

 みこりんにとっては、今日も日曜みたいなもんだった。入園式は明日のこと。つかの間の春休みである。
 でも私には仕事がある。みこりんが「おにわであそぼ」と誘ってくれても、一緒には行けないのだ。支度を済ませて玄関を出ると、みこりんがさっそく走り寄ってきた。遊んでくれると思ったのだろう。右手を差し出しているので、何かなと見てみれば、小さな草っ葉が数枚、手の平に乗っかっていた。

 「くさとり、しよ!」みこりんは、そう言って私をじっと見上げている。おぉぉぉ、なんと甘美な誘いであろう。新年度二日目にして、はや有給休暇を使ってしまいそうな誘惑に、つい負けそうになってしまう。今日の仕事はいつでも出来るが、みこりんは日々育っていってしまうのだ。じじぃになってから、幼い頃のみこりんを思い出して懐かしんでも、遅すぎるのだ。
 あぁ、ダメだ。思い出した。試験用の計測機器が、今日までのレンタルだった。今日の仕事は、今日でなきゃダメなのだ。タイミングが悪すぎる。

 みこりんに「また、土曜日に草取りしようね」と頭をなでてやり、会社まで送ってくれるかな?と問えば、手にした草っ葉をぺしっと捨てて、「うんっ」ときた。やはりみこりんにとって、草取りとは、実用的な意味など微塵も含まれていないのであろう。言いかけた言葉は、そのまま飲み込んでおく。
 週末、晴れますように(どうも、雨くさいが)。

 会社の桜並木に、2〜3、花開いた箇所を発見した。

新たなるミニカー

 夕食後、みこりんのミニカー入れが変わっているのに気が付いた。入れ替えるのが大好きなみこりんのことだ、それだけならば別段気に留めるようなことでもないのだが、今夜はどうも違和感があった。何かが違う。思わず近づいて、しげしげと中を覗き込んでいると…。
 ずらっと並べられたミニカーの中に、見慣れぬクルマがさりげなく混ざっていることに気が付いた。ブラックのボンネットに、黄色い車体、いかにもレース仕様なステッカー。HONDA S2000 のようである。以前持っていた S2000 は、オレンジ一色だったはず。この改造は、素人の技ではあり得ない。ってことは〜。

 さらにもう一台、レース仕様のスカイラインGTRを発見。おぉ、その横にもノーマルながら、色違いのGTRが。ん!?こっこのカラーリング、白をベースに緑と赤の横線は、ランチアストラトスのラリー仕様ではないか。このタイプのストラトスって、トミカにあったっけ?(ちなみに、サーキットの狼仕様のストラトスは、青一色)
 続々と出てくる新車に、しばし呆然。レース仕様のものがほとんどだった。どうやら、トミカのシリーズものをLicが買ってきたに違いない。
 ふと見れば、みこりんが消防車を手にして遊んでいる。おぅ、これも新顔じゃないか。Zのパトカーまであるし。ミキサー車などは、専用のケースまであてがわれているし。なるほど、みこりん用には“働くクルマ”シリーズで、私用には“レース仕様”なのだ(私用とはいっても、遊ぶのはみこりんだけど)。

 Licが箱を示してくれた。『グランツーリスモ2』と書いてある。やはりこれも『サーキットの狼』シリーズと同じく、パッケージものだった。ラインナップを整理してみると、こんな感じになる。

  • SKYLINE GT-R V-spec
  • KURE R33 GT'97
  • Lancia Stratos(ラリー仕様)
  • Mini Cooper 1275S MK I
  • RX-7 Type RS
  • S2000 筑波9時間耐久レース仕様

 けっこうお買い得かもしれない。


2000.4.5(Wed)

入園式&衝撃の事実

 カントリー調ふりひら服でめかし込んだみこりんは、今日が待望の入園式だとわかっているようす。クルマに乗り込んでも、上機嫌だった。ところが。
 我が家には現在、クルマは一台しかないのだ。まずは、私を会社に送りとどけてから、Licは保育園に戻ることになる。いつもは保育園に曲がる交差点を、反対方向にハンドルを切ったことから、みこりんの不安は始まった。保育園には行かないのか!?みこりんはすかさず疑問を口にした。「ほぃくえんは?」
 先に会社に行ってからね、という答えは、みこりんの想像を超えたものだったらしい。おとうさんが会社から戻ってくるのは夜なのに、そのあと保育園に行くということだろうか。早く保育園に行かなきゃ、おとうさんが帰ってくるまで待てない!!
 「みこりん、ひとりでほいくえんいく。」そう宣言するみこりん。これから始まる大冒険を前に、不安でいっぱいになったのか、みこりんは急に無口になるのだった。

 会社前でクルマを降り、みこりんの髪にぱっちん留めをつけてやっても、みこりんはむっつりと押し黙ったまま。一人で保育園に行かねばならぬと、思いこんでいるその表情は、どこか哀愁を感じさせる。このあと、不安が解消されることを願いつつ、私は門をくぐるのだった。

 そして夜、お迎えにきてくれたみこりんは、重大ニュースを教えてくれた。なんと、みこりんの一番のお気に入りな先生が、担任を変わってしまったというのだ。みこりんクラスは、総入れ替えになったらしい。何度も何度も、その先生がいなくなったとみこりんは話してくれた。明日から、保育園行かないなんて言い出さないか、ちょびっと心配。


2000.4.6(Thr)

ナンバー2

 男の子は、泣いていた。保育園の通用門に“かきつくように”たたずんでいるので、続々と登園してくる人の波が、何度もせき止められている。みこりんよりも、1〜2歳は上のようだ。言葉を理解する子供の場合、泣いても無駄だとわからせるのが早道ということなのだろう。
 今日から通常保育の始まりだ。初めて親と離れる子供にとっては、まさに一大事である。みこりんの時も、やっぱり最初は大泣きされたらしい。といっても、そのときみこりんはまだ1歳になったばかり。何がなんだかわかってない時期だった。1週間は、別れ際に泣かれたらしいが、次の週には、クラスの先生を覚えて抱っこされても平気になっていた。みこりんの日常に保育園での生活が組込まれて、はや1年半。今や0〜3歳時クラスでは、古株ナンバー2となった。

 お気に入りの先生が去った今、新しい先生にうまく馴染んでくれたか心配だったが、伊達にナンバー2を名乗っているわけではなかったらしい。新しい先生達に、クラスの掟などをいろいろ教えてあげたという。頼もしいことである。

 今夜みこりんは、野菜サラダをお手伝いして作ってくれていた。


2000.4.7(Fri)

さくらさく

 火曜日にはまだ、桜の花はほとんどが蕾だった。それが今朝は5〜8分咲きである。全速力で春が駆け抜けようとしている。そんなイメージにとらわれて、まだ桜吹雪でもないのに、一瞬、寂しげな孤独を感じてしまった。

 仕事中、シャツだけでも汗がにじむ。まるで初夏を思わせる暑気である。このまま、あっというまにゴールデンウイークに突入してしまいそうな予感がして怖い。いちおう大まかな予定は考えてあるが、まだまだ心の準備ができていないのである。昨夜も、かなり冷え込んでいたし。体の隅々まで、“春”が行き渡っていない感じだ。
 明日は一日、春らしく、ぽかぽか陽気の日差しをあびつつ昼寝でもしようか。

 午後、ロボットをやってるやつらがデモの予行をやるというので、見に行く。野外であり、何も指標のない状況での環境認識、自己位置認識、etc...かなり高度なものだが、いまひとつインパクトに欠けたのは、指示したコースを誤ることなく走破してしまったことに尽きるような気がした。たぶん、コース設定からロボットにプランニングさせて、どんな最適解を示すか予測できない状況だと、手に汗握るデモになるのでは…(なんか目的が違うような気もするが)。

95円

 ビデオレンタルが95円というので、夜、さっそく借りに行く。
 今日は『エピソード1』のレンタル開始日なのだ。だから95円セールらしい。
 こんな田舎町でも、30本以上入荷していた『エピソード1』は、すべてレンタル中になっていた。だが今夜はついている。『マトリックス』がちらほら戻ってきていたのだ。これは95円の対象ではないが、構うことはない。新作料金でも、見てみたい作品である。
 あとはLicが『ドクター・ドリトル』他。私は『ドーベルマン刑事』『冷たい血』なども。

 今夜は何を見るか、まだ迷い中である。


2000.4.8(Sat)

撮影

 玄関横の花壇では、開花ラッシュのピークを迎えていた。花桃も、ちらほら開いている。今、記録しておかねば。平日は、いつも帰宅してから暗闇の中で撮影していたが、やはり太陽の下で輝いている姿も欲しい。みこりんを保育園に送っていったあとは、ひたすら地面に這いつくばるようにして、シャッターを切っていた。
 やはり花のような被写体だと、自動露光やホワイトバランスの自動調整がうまくいかないようである。すべてマニュアルに切り替え、試行錯誤しながらの撮影は、水仙1つにしても平気で15分は食ってしまうのだった。カメラ本体の液晶ファインダーでは、細部まで確認できないのがじれったい。

 花壇で咲いているラッパ水仙7種類のうち、6つめまでを撮り終えたとき、Licが「ご飯ができたよ」と呼びに来た。もうお昼か…。みこりんのお迎えに行かねばならない。今朝は、ほんとうなら殺菌剤と殺虫剤を噴霧する予定だったのだが、すっかり撮影に夢中になってしまって、時間を忘れていた。薬剤を使うので、みこりんがいないうちにやらなければならなかったのに。また来週の土曜まで延期である。

つくし摘み

 みこりんを保育園までお迎えに行く。教室の付近に姿が見えないので探していると、先生が声をかけてくれた。どの子を?と問われて、つい「みこりん」と答えそうになり、舌を噛んでしまう。この保育園一可愛いと評判の先生だったから、というのも多分に影響しているのだが。容姿が、というよりも私にとってはその“美声”にツボを突かれてしまった。こ、鼓膜がとろけそうである。
 みこりんは園庭の向こうの方で、遊んでいるとのことだった。なるほど、小さくみこりんらしき制服姿が確認できる。先生に呼ばれて、私に気が付いたみこりんが、おっきな声で私を呼びつつかけてきた。脚の回転がものすごい高速なのが、可笑しい。

 保育園からの帰り道、先週、みこりんと散歩に来た山の麓にクルマを止めた。今回はデジカメ持参である。もちろん“あの花”を撮影するためだ。さらに今日は、もう1つの目的もある。春の味覚、“つくし”を摘むのだ。
 まず、例の花が咲いていた場所へと向かう。途中、たくさんの“つくし”がにょきにょき顔を出しているのに気づいた。先週は、こんなに生えていなかったはずだ。たった1週間で、10cm以上も伸びるものだったとは。しかも、大部分の“つくし”が、はや胞子を飛ばしたあとらしく、頭の部分はすかすかになっているようだった。早業すぎる。

 さて、花は、幸いにもまだ咲いていてくれた。木の枝が網目状に通せんぼしているので、近づくのに一苦労だったが、なんとか接写に成功する。はたしてこの花が何なのか、帰ってから図鑑でじっくり照合してみよう(やはりショウジョウバカマだった)。
 ところでこの花、じつはこの先の山の斜面で群生しているのをLicが見つけてくれた。“一面に”といっていいくらい、広がっていたのだ。ただ、花の色が、最初に見つけたやつに比べると白っぽく薄いのが気になる。花期が終わりつつあるにしては、揃いすぎているような。咲いている環境の影響だろうか。この群生場所のほうが、下草などに覆われていて薄暗いのは確かだが。その他にも気になった点がある。咲いている花が、この花しかないということだ。たしかに道ばたには、タンポポやオオイヌノフグリなどメジャーな春の花は咲いているのだが、ひとたび山に入れば、咲いているのはこの花だけ。他の野草はどうしてしまったのだろう。杉山で、間伐もされていない荒れ山だから?どうにも気になってしょうがない。

ショウジョウバカマ

ショウジョウバカマ

ショウジョウバカマの花のアップ

花のアップ

つくしの子 では本日のメインイベント、“つくし摘み”といこう。みこりんはさっきから道なき道を踏破するのに夢中になっていたが、つくしを摘んでもよいとわかると、「こうやってとるの?」と首をもいだり、握りつぶしてしまったりと、面白がっているようす。「食べるんだからね」と、あまり下の方ではなく、適度に柄の部分を残しつつ、手折ることを教えてやった。
 つくしを食べるか食べないかは、どうやら地域性があるらしい。私が育った愛媛(東予地方)では、普通に食べていたようである。スーパーで、つくしの袋売りを見たような記憶もある。両親の出身地、香川県でも同じく。ただ、人によっては食べ方を知らなかったりするので、地域の食文化といえるほどにはメジャーではないのかもしれないが。
 Licは、最近までつくしが食べ物であるとは認識していなかったという。神戸では誰も食べていなかったというのだが、ある程度の都会ではつくしが自生していないと思われるので、つくしを食べる風習がないのかもしれない。こちら岐阜では、つくしを食べる風習は残っているようだ。実際、私たちがつくし摘みをやってる向こうでも、同じくつくしを摘んでいると思われる親子連れが見えた。

 私たちがいる辺りでは、どうも除草剤の痕跡がうかがえたので、場所を移動することにした。先ほどの親子連れがいた畑方面が、良さそうである。
 みこりんの手を引きつつ、あぜ道を歩いて探してみたが、すでにだいぶ摘まれてしまって残っていなかった。Licが用水路の土手のほうにいっぱい生えていたというので、さらに移動。こちらはほとんど手つかずのようで、一面につくしの群れが!みこりんにも採りやすいように平坦面を探して、さっそく摘みにかかる。どんな感じのつくしがいいのか?とLicが問うので、「胞子のつまって緑色になったやつ」と実例を示す。胞子が散ってしまったやつは苦味がなくて食べやすいが、やはりつくしの味は胞子の“ほろ苦さ”に特長があると私などは思ってしまうので、硬く胞子の詰まったやつを好む。だがLicは、どうもこの緑色した胞子が、気になるらしい。しきりと食べても大丈夫かと確認してた。

 幸い、胞子を飛ばしたあとのつくしが大部分だったので、Licもそれほど悩まずにすんだようである。みこりんも、その小さな手にいっぱい摘んでくれた。頭だけになったのもあったが、まぁそれはそれで楽しんでくれたならば、OKである。
 つくし摘みは、意外にはまるもので、気が付けば袋いっぱいになったりするのだが、気をつけねばならないことがある。食べるためには、このあと、重大な作業をやらなければならないのだ。そう、“はかま”取りである。つくしの柄の部分に巻き付いている“はかま”は、食用には適さないのですべて取り除く必要があるが、こいつがなかなか面倒くさい。剥きにくいうえに、1本のつくしに3つはついているので、もやしの尻尾切りより時間がかかる。実家では、いつも母親がやってたような…。最初こそ、摘んできた張本人の私や弟どもも手伝うのだが、途中で飽きてしまい、ほったらかしにしてしまうのだった。我が家でも、いずれLicが“はかまとり”マシーンと化すのであろうか。
 というわけで、袋が適度に膨らんだところで撤収。好評ならば、また来週採りに来よう。

 それにしても今回の散策では、みこりんが栗のイガの外し方を知っていたのに驚かされた。たまたま地面に栗のイガが落ちていたのだが、見つけるや否や、イガを靴底にしいて、両脇にねじるように脚をずらしていた。その動作はとても堂に入っており、たまたま思いついて、ではなく、明らかにそうすることを知っていたような感じだ。保育園では、よくお散歩に行っているらしいのだが、そこで教えてもらったのかな。

ちょこっとうれしい

ほうき性 花桃“照手桃” 一緒に液肥やりを手伝ってくれていたみこりんだが、途中で飽きてしまったらしく、一人でサンルーム方面へ消えていった。大きくなったとはいえ、まだ一人にしておくには不安が残る。早めに作業を済ませてしまおうと焦っていると、まさにサンルーム方面からみこりんの絶叫が!!な、何事!?と駆けつけてみれば、デッキチェアに仰向けになったみこりんの図があった。布地なので、怪我の心配はなさそうだ。どうしたのか?と聞いてみると、「ここで、ころんした」と言う。脚をとられて倒れ込んだだけらしい。2階で洗濯物を干していたLicが、ここで到着。みこりんは、はや何事もなかったかのようにケロっとしていた。

 そうこうしているうちに、道路に面した花壇のほうから、話し声が聞こえてくるのに気が付いた。どうやら我が家で咲いている花桃を話題にしているらしい。Licがそちらを覗くと、話し声の主と目が合ってしまった!
 犬を散歩させていたおばさん二人連れは、こちらが気づいたのを察知すると、さっそく話しかけてきた。花桃の素性を聞かれたので、いろいろ答える私。ほうき性の花桃“照手桃”は、たしかに普通のお店では滅多に見かけない品種である。花数の多さと花の大きさ、すらっと縦に伸びる美しい姿、清楚なやさしい桃色の花びら。おばさん二人は、口々に褒め称えてくれた。思わずこぼれ種で芽を出している花桃の苗を、プレゼントしようかと思ったほどだ。

チオノドクサ 次にその足元で咲くチオノドクサに話題が移った。どうやらこのチオノドクサは、おばさん仲間ではけっこう話題になっていたらしい。「変わったヒヤシンスだねぇ」と言うので、一瞬私の顔が怪訝そうになったのだろう。おばさんはすかさず「え、ヒヤシンスじゃないの?○○さんはヒヤシンスだって…」と、さりげなくお友達らしい○○さんが言い出したらしいことまで私に教えてくれた。“チオノドクサ”という正式名称を教えてあげると、何度も口の中でつぶやいて確認している。どうしても“チオノ”の部分が言いにくいようで、結局「なんたらドクサ」ということで落ち着いたようである。最近ホームセンターなどでも普通に買えるようになったのだと続けると、さらに安心してくれたようだ。通販では普通に見られる花でも、このへんのような田舎では、そうそうお店に出回るようなものではなかったのだ。昔からあるものを間違えたのではない、ということはかなり重要なのだろう。

ルッコラ(ロケット)の花 続いて話題は、奥で咲いているルッコラ(ロケット)の花へと移行する。たしかにルッコラをここまで花盛りには普通しないので、珍しいに違いない(3月28日の日記参考)。葉っぱをちぎって、ゴマの風味を確認してもらった。

ラッパ水仙“スプリング・プライド” ピンク色のカップが売り文句のラッパ水仙にも、もちろんチェックが入る。水仙は歴史があるので、田舎でも様々な品種を普通に買うことができるが、やはりこの“スプリング・プライド”という品種は、まだ珍しい部類に入るのだ。たとえカップの色が、ピンクにはちょっと遠い朱色系であったにしても、目立つことに変わりはない。逆に、このくらいの色調のほうが、落ち着いた感じがして私は気に入っている。

 やがておばさん二人は、犬に引っ張られるようにして去っていった。何食わぬ顔で、液肥やりを再開した私に、Licは「ちょこっとうれしいやろ?」と言う。ちょこっと?なんてことを言うんだLicよ。ちょこっとなわけがない。“めちゃくちゃ”うれしいんだよ。
 自分が確実に園芸家への道を歩みつつあることに、今さらながら気づいた出来事であった。

 プラムがいつのまにやら満開に。

はかまとり

 さて、はかまとりである。セーブしつつ採ってきたので、それほどつくしの量は多くないが、二十数年ぶりのはかまとりに少々気分も高揚気味だ。さっそく1本を手にとり、記憶を頼りに剥いてみる。やはり体で覚えたことは、意識しなくても即座に思い出せるらしい。途切れることなく、2本目、3本目と続くのだった。
 Licも、みこりんも、私のやり方を見て、参戦してくれた。3人でやれば、すぐ終わることだろう。親指の爪先が、はやくもアクで黒ずんできた。

 それにしても、どれもこれも胞子が散ったやつばかり。私の愛するぎゅっと固く胞子の詰まったやつは、数えるほどだ。もっと早い時期に摘みに行かねばならないなぁ。でも、私が小学生のころ、春の遠足でつくし採り競技があったのを憶えている。つくしの一大群生地を、前日に友達とはいずりまわり、大量のつくしをキープしておいたものである。遠足の途中で、そいつを取ってくれば、一位は確実…、と思われたが、子供の考えることなど、どいつもこいつも似たようなもんだ。他の班のやつらも、同様に“キープつくし”を持っていたので、目論見はものの見事に外れた。春の遠足の時期に最盛期ということは、4月の今頃のはずはない。しかも私の育った愛媛は、ここよりもずっと暖かい。つくしにも、地域変種があるんだろうか。

 無事、はかまを取ったつくしは、よーく水洗いして、沸騰した湯で2〜3分ゆがく。その後、水につけて灰汁抜きをする。私の実家では、半日もやれば料理してたような気もするが、料理の本によれば丸一日やるのがよいらしい。今回、Licがつくし初食いということなので、苦味は極力抑えたほうがいいだろう、というわけで一日コースを選択。つくしを食うのは、明日の夜ということになった。ちなみに、つくしの料理方法は、醤油と砂糖、みりん等で甘辛く味付けした卵綴じというのが、私の知っている手法である。
 今回のつくし、Licとみこりんは、おいしく感じてくれるだろうか。楽しみ楽しみ。

『マトリックス』

 『マトリックス』を見た。ん〜、感想はまた後日、書くことにしよう。


2000.4.9(Sun)

レタスバーガー

 いつものように、みこりんに起こされた日曜の朝の始まり。Licは花粉症で寝不足らしい。起こさず、みこりんと二人でこそっと階下へ。
 朝食を準備しようとして、昨日Licが買ってきていたハンバーガー用のパンズのことを思い出す。これがあるということは、Lic的には今朝はハンバーガーにするつもりだったのだろう。炊飯器の横には、新品のピクルスの瓶まで置いてあるし。そこで冷凍庫を物色してみたのだが、肝心の“肉”が見つからない。いつもハンバーガー用の肉は、ここで冷凍されているのになぁ…、試しにチルド室のほうを覗いて発見。照り焼きハンバーグがちゃんと3個、用意されていたのだった。

 野菜室からレタスとトマトを取り出し、ハンバーガーの製造開始。そばで見ていたみこりんが、ピクルスの瓶を見つけて「これはみこりんたべれんで」使わないでねと、すっかり岐阜弁に染まった口調で指示してくれた。
 完成したハンバーガーは、少々パンズを焼きすぎて、みょーにちっこくなってしまった。そのせいか、レタスと肉がつるんつるん滑り出して、みこりんには食べにくそうだ。結局、パンズと肉、野菜を別々に皿に取り出して食べることになった。ちょっとだけみこりん不服げ。次はもっと上手に作ってあげるからね、と約束する。

 食後、ついにリビングからストーブを撤去する。外の陽気がいくら春めいていても、これが残ってたばかりに、なんとなく寒い季節の残像を感じて仕方がなかったが、ようやくすっきりした。あとはホットカーペットをいつ撤去するか、だが、これはもう少し必要な予感。

 午前中のうちに、セントポーリアの水やりをする。みこりんもお手伝いしたいらしく、持ってきたのは開花用液肥。みこりん用のジョウロに入れてやると、さっそくチューリップにやってくれていた。チューリップの開花に肥料などは特に必要ないけれど、“開花用”なのでそれほど害にもならないだろう。やらせておく。
 終わったら、しばし庭で一緒に遊ぶ。コンビカーで爆走するみこりん。三輪車では、やはり地面のでこぼこを乗り越えられず、苦戦している。

 午後、水槽の水換えをする。みこりんは、最初は大きなバケツを覗き込んだり、人工海水を溶かすのを興味深そうに見ていたのだが、だんだん飽きてきたらしい。一人で庭に出ていってしまった。みこりんがもっと大きくなったらお手伝いしてね、と声をかけたら、元気に「うん!」なんて答えてくれるのがうれしい。
 2時間くらいかかってしまったので、その間、何度かみこりんの様子を見に行かねばならなかった。そのたび「もうおわった??」と聞かれるので、なんだか心苦しい。

 水換え終了!
 みこりんを呼びに行くと、なんだか困った顔をしてた。鍵が落ちたというのだ。そういやさっきから私のキーケースを持って遊んでたな…。ガレージの階段の下に落ちたらしい。取ってきてやろうと階段入り口のドアを開けようとして、「あれ?」。鍵がかかってる?
 「みこりんが鍵かけたの?」とびっくりして聞いてみると、そうだという。鍵は6つついていた。よく合うヤツを探し出したなぁ。でも、鍵をかけておいて、その鍵を向こう側にポイしたら、ヤバイぞぉみこりん。
 玄関から表に回り込んでガレージに入ると、ウッドデッキからみこりんが「おとーさん、ダメ!」と焦ってる。何かと思えば、みこりんはちゃんと私のサンダルをウッドデッキまで持ってきてくれてたのだった。恐いくらい気の利くみこりん…。サンダルに履き替え、再びガレージに入り直す私であった。

タイヤ交換

 明るいうちに、スタッドレスタイヤの交換に行く。後席を倒してタイヤ4本積んだので、チャイルドシートは助手席に移動。みこりんは視界が広がってうれしそう。
 道ばたに咲いてる花のことやら、対向車などについて、いろいろお話してくれてたけれど、急にひっそり静かになった。ちらっと見やれば、眠そうな目をしてる。いまにも微睡みに落ちてしまいそうな、とろんとろんな表情だった。よしよし、このままお昼寝してもらおう。ん〜、しかしもうじき目的地のスタンドに到着だ。起こさないように、起こさないように。

 でも結局、チャイルドシートから抱き上げるときに起こしてしまって、スタンドで待ってる間、ずぅっとハイなみこりんであった。待合室(って言うのかな?)の古びたソファを順繰りに座ってみたり、タイヤの形をした灰皿やテーブルを指さしては「たいやみたい〜!」と飽きずに何度も何度も教えてくれた。置いてあった観葉植物が、どれもこれも枯れ枯れだったので、「おみずあげてくる」と言い出したときには、どこから水を持ってくるんだろうと不思議に思ったが、みこりんにとって現実の水である必要はなかったらしい。適当な突起物を蛇口にみたてて、「じゃーーー」と水を汲んでいた。
 30分ほどでノーマルタイヤに換装終了。せっかく街まで出てきたので、ホームセンターに寄っていく。

 園芸コーナーでは、今年の新作が多数揃えられていた。狙っていた黄色のミリオンベルがあったので、1ポット購入。ついでに薄紫のリリカシャワーも1ポット。ラヴェンダーが7種類ほどあったので、“デンタータ”を1ポット。計3ポットの新株購入だ。植え場所は、去年アネモネの球根を植えた鉢にしよう(アネモネは、結局、土に還ってしまったのだ)。

 帰り道、途中で買ってやった“麦の穂”パンを握りしめたまま、みこりんは今度こそ熟睡してくれた。

つくしを食す

 夕食では、待望のつくしが登場した。昨夜から灰汁抜きしていたので、まったく苦味がない。モヤシよりも、口当たりの良い食感になっていた。
 つくしは、こうやって卵綴じにする以外で食べたことはないけれど、もっと美味い調理法はあるんだろうか。この地方でも、やっぱりつくしは卵綴じにするらしいから、全国的につくしといえば、卵綴じなのかもしれないなぁ。
 初めてつくしを食したLicとみこりんだが、ぜんぜん大丈夫そうだった。次は、ぜひ苦いタイプにも挑戦してもらおうかな。

 食後、みこりんが急に「おとーさん、いやっ!」と泣き出してしまった。べったべたの手をティッシュで拭いてやろうとしただけなのに…。では、と、Licが抱っこしようとすると、今度は「おかさーん、いやっ!」ときた。
 結局、1時間くらいそうやって泣き伏したみこりんである。けっこう繊細なみこりん。いったい何が気に入らなかったのか。たまーにこうしてみこりんが原因不明で泣き出すことがあるのが、ちょっとだけ気になる。気にしすぎと言えばそうなんだけど。


2000.4.10(Mon)

さくら

 雨模様である。小雨。満開の桜が、はや散りそうな気配。
 会社の桜並木が、鈍色の背景にけぶるように溶け込んで、幻想的。桜吹雪が、はまりすぎだ。芝生の向こうにできた桜のトンネルを覗くと、あたかも異次元への入り口が存在するかのような錯覚にとらわれる。
 週末には、はや葉桜かもしれない。

夢の世界

 今夜はちょっと早めに寝ようと布団に入った。睡魔の到来を待っていると、ふいにみこりんが「んひゃひゃひゃ んんんんん〜」と笑い声を発する。あまりに楽しそうなその声に、私とLicは思わずつられて笑ってしまった。するとどうだろう。それに呼応するかのように、またもやみこりんが「きゃっきゃ」と笑うではないか。そのタイミングは、とても偶然とは思えなかった。そこで、今度は意図的に私が笑い声をみこりんに向けて聞かせてみると、おぉ!今度も返答するようにみこりんが笑う。Licも試してみたが、結果は同じ。

 夢が、外界からの刺激で影響されるらしいことは、私にも覚えがある。背中を化け物にかみつかれる夢に、はっとして起きてみれば、布団の下に硬いものがはさまってたりとか…。灼熱地獄の熱砂を放浪していて、ばたりと倒れた拍子に目が覚めると、真夏の昼間に、汗だくでうたた寝していたとか…。
 みこりんの夢の中で、私とLicの笑い声はどう作用したのだろう。どんな夢を見てるのか、覗いてみたくなるが、あの笑い声から想像するに、とっても楽しい夢だったにちがいない。恐い夢でなくてよかった。ほんとうによかった。


2000.4.11(Tue)

継続

 会社にお迎えに来てくれたLicとみこりん。チャイルドシートでは、みこりんがぐっすり寝入っている。そろぉっと発進。
 と、突然、「あいすくりーむたべたぃぃぃ!!!」とみこりんが泣き始めた。意表を突きすぎである。Licによれば、寝入る前、ずぅっと「あいすくりーむたべたかった」と駄々をこねていたらしい。マーゴでアイスを買って貰えなかったのが、原因とか。まぁ、夕食前なので、それは仕方あるまい。
 起きて早々、寝る直前の意識状態に戻ったということだろうか。まるでサスペンド機能を保有するかのよう。休日のみこりんの起動シーケンスがむちゃくちゃ早いのは、このへんに理由があるのかもしれない。

しゃーわせ

 「おててつなご」とみこりんが手を差し出す。私だけでなく、Licにも輪に入れと言うのだ。いったい何をするつもりなのか。Licが夕食の後かたづけを中断して、3人で輪をつくると…。
 「はーるだはーるだはーるだー」と歌いながら、ぐるぐると回り始めるみこりん。つられて回る私とLic。思い出した、これは保育園のお遊戯だ。運動会で、これと同じのをやったような気がする。やがて回るのをやめ、手拍子するみこりん。そしてその場回転へと移行して、それはそれは楽しげに笑い声をあげた。なんという幸福感、至福の極みであろう。今がまさに、私にとって人生最良の日々なのかもしれないと思いつつ…。


2000.4.12(Wed)

覚え間違い

 みこりんの歌う『春だ』の中に、こんな一節がある。

 “ぺとぺとぺとぺとぺとぺとぺとぺと”

 いったいなんのことだろう?と思っていたら、じつは本当の歌詞では、こうなっていることがわかった。

 “手と手と手と手と手と手と手と手と”

 字が読めないみこりんには、耳から聞く音だけが頼りなので、こういう覚え間違いは、けっこうあったりする。“くろべとななのたっきゅうびん”然り、“ちゅっちゅき”然り。でも、“ぺとぺと”言うのが、一番可愛らしい間違いに聞こえる今日この頃なのであった。

『冷たい血』

 出演:石橋凌、鈴木一真、遠山景織子
 監督:青山真治
 脚本:青山真治
 製作:タキコーポレーション、東北新社
 配給:ピターズ・エンド
 1997.12.20 109分 カラー ワイド

 石橋凌と遠山景織子が出ていたのと、95円だったので先週の金曜に借りてきてた作品。夜11時ごろから見始めたのだが、とにかく台詞が聞き取りにくいので、評価する以前に鑑賞する気を失せさせる。TV(東芝のバズーカ)のスピーカーでは埒があかず、アンプ経由で外部スピーカーから流してみたものの、効果音と台詞とのバランスが悪すぎてやかましいだけだった。それでも聞こえないよりは、多少マシにはなったので我慢して聞くことにする。

 延々、退屈な映像が続いた。こういうのが好きな人もいるかもしれない、、、とは思ったけれど、自分には受け入れがたいものだった。語られる台詞に、特別ピンと来るものもなく、予定調和のラストシーンで、あまりに平凡。これほど起伏のない映像表現ならば、環境映像として流すのには、ちょうどいいかもしれない。いったいこの作品で、何を表現したかったのか、私には理解不能だった。価値観があまりに違いすぎたらしい。
 「愛することの証明」云々は、ありふれすぎてて、いまどき中学生がシナリオ書いてもこうはならないのでは?と思ってしまうほど。他にも、防護服に防毒マスクの連中が意味不明。奇をてらったにしても、思い入れが空回りしてるというか、逆に醒めた目で見てしまう。それっぽい表現を意味無く挿入しとけばいいやという、“軽い意図”すら感じてしまった。

 石橋凌の、ややお腹の出てきた体格と、肉付きの良い丸顔に、どことなく哀愁を感じた作品であった。それにしても遠山景織子の細さは、以前からだったっかな…。なんだか痛々しかった。

『THE MATRIX』

 出演:Keanu Reeves,Laurence Fishburne,Carrie-Anne Moss,Joe Pantoliano
 監督:Larry & Andy Wachowski
 脚本:Larry & Andy Wachowski
 製作:Joel Silver
 配給:WARNER BROS.
 1999. 2時間16分 ドルビー SRD/SDDS/DTS

 先日の土曜、深夜に鑑賞した。友人が、去年、映画館で見てきて、「なんというか、すごかった」と誉めていたので、期待しつつ(この友人とは、けっこう趣味が合っているもので)。
 ところが、見ているうちに、どんどん違和感が増大し、「うーん、こんなはずでは」と“ガッカリ感”に支配されていたのだった。何がいけなかったって、マトリックスの存在意義の説得力のなさに尽きる。コンピュータのエネルギー供給のため、人間を発電所として使用するというが、ではなぜ他の哺乳動物ではいけないのか?豚や牛なら人間よりも、効率的に量産可能だし、飼育も容易だ。どうして人間でなければならないのか。人間のほうがお話が面白いからっていうのは、私にとっては答えになってないので、この時点で“SF”として見るのを諦めた。作品の根幹をなす設定だけに、思わず信じてしまうくらいの“はったり”がなけりゃ、ダメ。あるいは、“おばか映画”路線をひたすら邁進するくらいの、開き直りがないといかん。変に気取ってるとこが嫌らしい。
 1000歩ゆずって、人間が栽培されることを許容したとしても、まだ問題が残る。マトリックスにおける人間の行動や思考に、他からの干渉がほとんどされていない状態にもかかわらず、『抑圧に立ち向かい、自由を!』と力まれても、いまひとつ共感できないのだ。『ダーク・シティ』のように、記憶操作までされて作りモノの世界で生活することを強要されているのならば、まだ話もわかるのだが…。逆に裏切ったサイファーの方に、「うん、おまえの言うことのほうが説得力あるわい」と同感してしまったし。勧善懲悪モノとしては、これは致命的欠陥じゃないのかな。
 というわけで、あとはアクションモノとして、どこまで見せてくれるかが勝負。

 格闘にカンフーを使用するのは、まぁいいとして、気になったのは重量感のなさ。同じカンフー系アクションを駆使した最近の米国映画としては、『ブレイド』のほうが圧倒的に見せ方はうまかった。筋肉の躍動感が、びしびし伝わってきたものだ。
 で、最後は結局、銃弾の雨霰っていうのに、うんざりしてしまう。銃器などに細かいこだわりは散見されるものの、今となっては当たり前のシーンの連続で、とくに目を惹くところもない。たしかに“弾丸避け”は新しかったが、日本においては弾丸をよけるシーンは昔から結構ある(私がさっと思いつくだけでも、8マンを筆頭に平井和正の作品に出てくるサイボーグ達、キリコ・キュービィ、ルパン3世に出てきた弾丸が見えるオトコなど)。これをアクションの目玉に持ってきても(CMで繰り返し流してたことから、ウリだったろうことは予想できる)、なんだか肩すかしを食った気分だ。
 せっかくサイバー空間という場所を与えられているのだから、物理的攻撃ばっかりではもったいない。空間形状を自力で変動するとか、実体化せずに内部攻撃するとか、いろいろ手があるのに。なんのための凄腕ハッカーなの?接続するだけなら、ハッカーである必要ぜんぜんないやん。(まさか覚醒後のやつが、“ハッカー”としての真の発現とか?うーん、それじゃ遅すぎ)

 ネオが覚醒したシーンについても、そうだ。『アキラ』系のパクリというかなんというか。パクるのはいいけど、元ネタを超えるアレンジがいるだろう。演出のほうも、せめて『イクサー1』における“初シンクロ”のシーン程度には、盛り上げてもらわないと。
 完全に私にとっては外した作品だった。これを形容して古の“サイバーパンク”という言葉を、“売る側”じゃなくて、“見る側”がけっこう使ってるってのにも驚いたなぁ。


2000.4.13(Thr)

さくらさく

 はらはらと桜の花びらが舞っていた。微風だったが、そろそろ葉っぱも芽吹いてきて、葉桜の季節に移行するのだろう。開花時期は去年に比べてかなり遅かったけど、散り始めるのはあまり変化がないような。一気に気温が上がったんだろうなぁ。そろそろ夏物植物の種を蒔かなければ。。。

 庭の“枝垂れ染井吉野”が、いつのまにか開花していた。最初、葉っぱしか出てこなかったので今年は無理かと諦めつつあったのに、この種類は葉っぱが先に出てくるらしい。品種名に染井吉野とは付いているものの、遺伝子的には遠いのかも。なんにしても、記念すべき初開花に感動しつつ、夜中、デジカメで記録しておいた(去年の狂い咲きは、忘れておく)。
 “揃い咲き”がウリだったチューリップも、今朝、開花していた。もしかすると昨日から咲いてたかもしれないけれど。“揃い咲き”とはいうものの、まだ開花率10%ほどで、満開にはほど遠い。それでも、みこりんは「ちゅーりっぷさいとる!」と喜んでくれたので、よしとする。

黒髪

 みこりんの髪を、お友達の男の子が誉めてくれたという。みこりん曰く、「『かわいいねぇ』っていってくれた」とのこと。どの子が言ってくれたの?と聞いてみたところ、3人ほど名前を挙げてくれた。す、すごい、日本のオトコが誉めベタだってのは、彼等が少年になるころには、すっかり過去形になってるに違いない。
 でも、3人の中にはまだ1歳ちょっとの男の子(っていうか赤ちゃん?)も含まれていたので、みこりんの思いこみも多分に入っている可能性はある。

『ドーベルマン刑事』

 出演:竹内力、吉野真弓、宮坂ひろし
 監督:後藤大輔
 脚本:森岡利行
 原作:武論尊、平松伸二
 製作:
 配給:ギャガ・プロダクション
 1996年 カラー ステレオ 81分

 やはり竹内力にはバイクが似合う、と思ったのだが、なんか今回の革ジャンと革パン、きつすぎない??いや、彼の脚が細すぎるのかな?でも、『彼のオートバイ・彼女の島』のときは、もっと普通に着こなしてたと思うんだけど。まぁ10年の歳月が流れれば、どうなっててもおかしくはないなぁ。
 さて、内容の方はといえば、こじんまりとまとまってて、週末の夜、深夜映画で見るにはちょうどいい具合の脱力さ加減なところがよい。力むことなく、分をわきまえた感じの作品。私は原作を知らないので、もしかすると原作ファンには受け入れがたい作品になってる可能性はあるけれど。
 現実に銀座のクラブで皆殺しの惨殺事件があったら、『凶悪犯罪』ってことになるんだろうけど、作中の描かれ方はどうにもチープさがぬぐい切れずに、緊迫感や緊張感は皆無だった。これはひとえに、犯人達にインテリジェンスが感じられなかったことに尽きると思う。設定によれば、某国特殊部隊の連中のはずなのに、ただのゴロツキにしか見えなかったなぁ。最初から皆殺しにするつもりなのに、マスクかぶってるのは不自然すぎるし、縛り上げる必要もないし。やたら異国語でどなってるのも安っぽい。無口なままで殺るシーンに替えれば、ぐぐっと迫力は出たかも知れない。ま、この犯人たちがメインの悪党じゃないので、それほど気合い入れる必要はないか。
 ただ、ラストの山小屋で狙撃されるシーンは、もうちょい捻ってほしかった。黒幕が誰かわかってたのに、あまりに無防備というか…。子供にデリンジャー持たせてたから、狙撃されることもすべて折り込み済みだった可能性はあるけども。


2000.4.14(Fri)

闇夜の散歩

 夜の10時過ぎ、私はクルマを走らせていた。もうみこりんは寝ちゃったかなと思いつつ、田圃を抜ける農道へと入る。家まであと800m。
 ヘッドライトをハイビームにした瞬間、何かが蠢いているのに気が付いた。目の錯覚かと思うほどの小さな黒い影が、路面に這いつくばるように、ちろちろと動いている。

 「な、何者!?」

 ブレーキをかけつつ、ゆっくりと接近してみれば、なんとそれはカモの夫婦だった。水掻きのついた足で、よちよちと歩きにくそうに道路の真ん中あたりで寄り添っている。ヘッドライトを気にすることもなく、逃げようともしない。なんでこんなところにカモが…。しばらく待ってみたが、カモの夫婦は何をするでもなく、その場から離れようとしなかった。しかも悪いことに200m向こうに対向車の灯りを発見。なんとかせねば。

 クルマから降りてみるか、と思ったまさにその瞬間、突然、カモの夫婦は、垂直に飛び立った。やっとクルマの存在に気が付いたように、あたふたと激しい風切り音をたてて、そのまま山の方へと消えてゆく。無事ねぐらにたどり着ければよいがと見送ってから、私はクルマを発進させた。

『StarWars Episode1-The phantom Menace』

 出演:Liam Neeson,Ewan McGregor,Natalie Portman,Jake Lloyd,Ray Park
 監督:George Lucas
 脚本:George Lucas
 製作:George Lucas
 配給:Lucas Film
 1999年 THX ドルビーデジタル 133分

 今夜、ビデオとCDを返しに行ったら、だいぶ戻ってきていたので借りてきた。なんといってもレンタル料金99円っていうのが、うれしい。一泊二日なので、さっそくLicと二人で鑑賞する。

 ストーリーがどうこういうより、登場人物がこれからどうなってしまうのか、というのがとても気になる作品だった。そういう意味では、過去の蓄積に相当助けられていると言えるかもしれない。今回が初登場のクワイ=ガン・ジン、アミダラ女王についても、善人すぎるという弱点はあったものの、まぁ拒否反応が出るほどではなかったので、良しとする。特にアミダラ女王役のNatalie Portmanは、まさに今が旬な肌の艶で、妖しい魅力が悩ましい。今後、EpisodeIIIに至るまで、この雰囲気を維持してくれれば言うこと無しだ(EpisodeV以降のレイア姫のようになってしまったら、かなりショック)。

 ダース・モールの凶悪さ加減がぜんぜん足りないのは、大きな減点。身震いするほどの“悪”を出せないのは、何か理由でもあるのだろうか。惑星一個をいとも簡単に破壊したダース・ベイダーのふてぶてしさを、ぜひとも超えて欲しいものだが。
 とはいえ、たぶんLDを買ってしまうほどには、気に入った作品であった。


2000.4.15(Sat)

雨の日の遊びその1

 雨の土曜日。それでも花壇の様子は気になるので、傘をさして見てまわる。みこりんも、自分用のちっちゃな傘で、ついてきた。
 枝が隠れるほど花に埋もれた花桃は、しっとり水を含んだ花びらが、いまにも熟して落ちてきそう。枝垂れ桜は咲いたばかりのみずみずしさで、雨をしゃんと弾いてた。プラムは8割がた、花びらを落とし、もはや見る影もない。南西の角で、雪柳がいつのまにか真っ白な花を咲かせていた。みこりんの誕生記念に植えたハリエンジュ、根っこから芽吹いた子株のほうには新芽が覗いていたが、本家にはまだ動きなし。昨年、テッポウムシにやられてしまったので、ちょこっと心配。雨足が強くなってきたので、見回り終了。今日は一日、みこりんと部屋の中で遊ぶことにしよう。

 ジャングルジムの最上段から飛び降りるのをサポートしつつ、新しい遊びを思案する。何かのヒントになればと、よじ登るみこりんに向かって、ジャングルジムの中から“こんにちは”してみたところ、なんだか受けがよい。ジャングルジムに頭をつっこんだだけなのだが、どうやら上目づかいの目とか、顔つきが面白かったらしい。ためしに、白目を剥いて、静かに怖い系の“化け物”風をやってみたら、これまたきゃぁきゃぁ喜んでくれた。ふむ、これは使える。
 “化け物”憑き遊びをしよう。だらっと垂らした腕で、首だけかくっと曲げ、死んだ魚のような目つきでみこりんに迫る。口は半開きで、舌先を覗かせるのがポイントだ。ちょっと怖いけど、新鮮な刺激が楽しいのか、みこりんも『じょーだん止めてよ、おとーさん』風リアクションで、なかなか好評である。さらに表情に気合を入れて、“化け物”になりきってみよう。首をがうがうと左右に振って、いまにも噛みつかんと接近!
 ここで“怖い < 楽しい”が、“怖い > 楽しい”に切り替わったらしい。いやぁぁぁぁぁ〜と、台所のLicのもとへと一目散。逃がさぬぞ、逃がしはせぬぞぉ〜。四つ足を不器用に動かして“化け物”=私は、あとを追った。首を時々しゃくるような動作を加えつつ、ひょこっひょこっと接近し、物陰からちろっとみこりんを見やる。Licの足元で隠れていたみこりんと、目が合った。へへっという感じに、口元を歪め、笑う“化け物”=私。みこりんは盛大に悲鳴を上げ始めた。
 そうだ、もっと怖がれ、その恐怖が肉の味を引き立たせる。これから始まる血の宴を思い、“化け物”はぞろっと舌を舐めあげた。ひたっ。ひたっ。一直線に、みこりんに向かう。へへ。へへ。へへ。泣き声が聞こえる。この声は、誰だ?もっともっと怖がらせなければ。………

 はっ!! と気づいたときには、本気で大泣きしているみこりんがいた。い、いかん、“化け物”に心まで奪われてしまうところであった。大慌てで立ち上がり、“化け物”は去ったことをみこりんに告げる。やがて泣き止んだみこりんは、それでもまだ不審の瞳で私を見上げていたので、これ以上ないくらいの笑みをもってみこりんに笑いかけ、抱っこしてやるのだった。そのまま庭に出て、咲き乱れる花々で心を浄化し、怖い遊びは終了した。

雨の日の遊びその2

 怖い遊びのあとは、ほのぼの系の遊びを。みこりんは、『おかあさんといっしょ』の最後でやってる「すぷらぴすぷらぱすぷらぴふぅふぅ」と手と手を合せて、トンネル作るのが好きだった。今日も「やって」と手を斜め前方に伸ばしてくるので、私もそっと手を沿わせてトンネル完成。みこりんはもう一方の手も差し出し、こちらはLicとトンネル作成。私とLicも残った手を合せて、全部で3つのトンネルができた。
 にこにこしているみこりんに、「トンネルを誰が通るの?」と聞いてみると、「くまさん」と言ってから困ってしまったらしい。くまさんを取ろうにも、手が足りないのだ。あやうしみこりん。このままでは三すくみだ(意味不明)。

 こういう時には、やはり“小人さん”に登場いただこう。心の美しい人にしか見えないという、伝説の“小人さん”の登場である。「きたきたっ!」廊下の向こうから歩いてきた小人さんを最初に見つけたのは、私。みこりんが「え!」という表情で、私の視線をトレースしたが、心構えができていなかったのか見えないらしい。てくてくてくてく近づいてくる小人さんを、みこりんはなんとかして見てやろうと焦ってる。「ほら、トンネルくぐってるよ」と言えば、「あ、ほんとだ!」ようやくみこりんにも“見えた”らしい。そのままLicとのトンネルに向かう小人さん。やがて、小人さんは3つともトンネルをくぐると、天井方面へと消えていった。ばいばい〜する、みこりん。小人さん、ありがとう。

 この夜、小人さんはいろんなところに出没した。廊下でも、お風呂場でも。間違って“怖い小人さん”が来ないように、みこりんにおまじないを教えておかねば。


2000.4.16(Sun)

サボの手術

 待望の“いい天気!”。
 午前中のうちに、セントポーリアに殺菌剤を噴霧しておこう。買ってきておいた計量カップ、ピペット、噴霧器を玄関先に並べ、棚から薬剤のビンを4本とってくる。さっそくみこりんが興味を示して寄ってくるが、危ないお薬だから近づかないようにとの言いつけを、よく聞いてくれた。ゴム製の透明手袋(Licが持ってた料理用のやつ)を装着し、調合開始。
 殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、それに展着剤(薬剤のノリをよくしてくれるもの)を加え、規定濃度に水で薄めてできあがり。噴霧器に注いだら、セントポーリアを順次運び込んで、噴霧噴霧。少し風が強いので、慎重に。

 庭で遊んでいたみこりんが、時々覗きにやってきた。でも、危ない薬というのはわかってくれているのか、3m以内には近寄らない。だいぶ賢くなったようである。その手に薄紅色の花を持っていたので「そのお花、なぁに?]と聞いてみたら、バラだと言う。た、たしかにバラ科の花には違いないが、それは桜の花だった。教えてあげたが、やっぱりバラのほうがしっくりくるらしい。ホンモノのバラが咲いたら、しっかり見せておかねばなぁ。花桃が、風に吹かれてはらはらと花びらを散らしていた。少し肌寒いくらいだけれど、それがまた汗っぽくなくて心地よい。

 セントポーリアが終ると、次はサボテンだ。Licが独身時代から育ててるやつで、Licと共にこの家にやってきたが、いまでは4鉢だけになっていた。そのうちの1鉢が、この冬、少々過湿にしてしまって、傾いて危ない状態になっているのだった。
 倒れているのを起こしてみると、根元はぐずぐずに柔らかくなっているのがわかった。い、いかんかも。さらに症状を観察すると、なにかがもぞもぞ蠢くのが見える。うねうねうねうね。柔らかくなった箇所に、長さ5mmほどの透明な幼虫が無数に取付いているのだった。き、気色悪い。「なにそれ?」とみこりんが寄ってきたので、「おかーさんにナイフもらってきて」とことづける。サンルーム方面へと消えていったみこりんは、はたして無事カッターナイフを取ってくることができるだろうか。案じつつ、さらに病巣を見ようと手をかけたとたん、「あ…」というまに、サボテンは根元からぽっきり折れてしまったのだった。

 予想以上にサボテンの腐敗は進んでいた。外から見ると、それほどでもなかったのに、内部はほとんどがやられていて、ずっと奥までぬめぬめと先ほどの幼虫が食い荒らしている。大手術になりそうだ。やがてタイミング良くみこりんが、カッターナイフを手に戻ってきた。何が始まるのかとみこりんが見守る中、サボテンの手術を敢行する。切っても切っても正常部位が見えてこないので、だんだん不安になってしまう。はたしてこのサボ、生き残るだろうか…。
 全長10cmのうち、9cmを切除した。先端部1cmになっても、内部の腐敗は進んでいたので、ナイフでえぐってきれいにしておく。薬剤をたっぷりかけて、あとはこのまま1週間ほど乾燥させればいい。無事ならば、そのあと植え付けで復活するはず。他のサボテン3鉢にも薬剤噴霧しておいた。

 あとはシクラメンとカラーの球根にも薬剤をかけて、午前中の作業は終了だ。今日はなかなか順調に進む。

夏準備

 午後一番の作業は、ワーディアンケース(室内温室)を部屋からサンルームへと移すこと。だいぶ気候もよくなってきたので、屋外栽培へと切換えるのだ(といってもサンルーム内なので、雨などは当たらないけど)。
 朝のうちに中のセントポーリア達は薬剤散布のため運び出してあるので、あとは棚を外し、ガラス戸を取ってしまえば、らくらく動かすことができる。Licに手伝ってもらって、とりあえず庭まで移動。一冬の汚れを落としてやろう。ホースで勢い良く水をかけ、きれいに雑巾で拭いた。アルミ製なので、すぐに元どおりぴかぴかの状態に。

 私がそうやって水をかけているのを見て、みこりんもさっそく自分の“ぽぽちゃんのお買物カート”を洗車し始めるのだった。なんでも真似したいお年頃。
 洗いおわったワーディアンケースを、サンルームに設置する。去年は東側に置いたが、今年は部屋の窓に沿わせてみよう。このほうが広く見えるはず。西日が当たるのは、寒冷紗で防げばいいし。
 棚を戻し、ガラス戸を大8枚、小4枚、それぞれ水洗いしてから、装着。お風呂上がりの“さっぱり感”に満ち溢れたワーディアンケースの完成だ。
 セントポーリアを原種、園芸品種の順に並べ、最下段にはサボを置く。なんだか棚が隙間だらけになってしまった。部屋に置いてたときには、過密状態だったのに。鉢数は一緒だというのに、この不思議。棚の配置を変えるだけで、えらく様子が違って見えることだ。

 アジアンタムは、ケースから出して、リビングのテーブルへと移動させた。ここ最近の気温上昇で、葉っぱがちりちりになりつつあったのだ。丸坊主にしてしまうまえに、なんとか復活させねば。
 ワーディアンケースがなくなったリビングは、やたらと広々して見えた。

午後のひととき

 午後の作業が一段落すると、ウッドデッキでLicの焼いてくれたクレープをみんなでいただく。みこりんは、庭で食べるのがとても気に入ってくれたようだ。クレープに、たっぷりクリームとフルーツを包み込んで、ものすごい食欲で食べまくっていた。顔よりおっきなサイズのものが、どうやって消えて行くのか不思議なくらい。
 椅子に座ってそよ風に吹かれていると、無性にカクテルをカラダが欲したので、今日は自分で創ってみた。レシピは我流、てきとうに見つけた酒類3種類を、レモンソーダで割ってできあがり。カリブの深い海の色をしたカクテルだ。みこりんも野菜ジュースをLicに持ってきてもらってた。一緒に“ぱんかーぃ”して、ぐぃっとやる。はぁ、もういつでもGW来てもいいや。

拭き掃除

 ゆすら梅が咲いていた。ひとしきり花々を撮影したあと、午前中消毒しておいたカラーの球根を、鉢に植えた。みこりんもしっかりお手伝い。初夏にはシックなブラックレッドの深い色彩を楽しませてくれることだろう(変わった色のカラーを注文してみた)。
 モンステラに水をやろうとデッキの手すりに鉢を置いてたら、風で飛ばされてしまった!ぐしゃっていう嫌な音が…。プラ鉢が割れてしまった。さらに、枝の1つが根元からぽっきりと。う、植えかえなきゃ。
 またもやみこりんと一緒に植え替え作業。一回り大きな鉢に移しておいた。折れた枝は、別の鉢で挿し木として。

 遅めのお昼寝に入ったみこりん。そろそろ拭き掃除を始めようか、サンルームの。
 ウッドデッキと一体成型のサンルームなので、床はかなり汚れている。しかも冬の間、鉢植えを避難させておいたのでさらに水漏れ風な染みが…。ぎゅぅぎゅぅ力を入れて雑巾がけ。瞬く間に雑巾が真っ黒になる。何度も洗い直して、拭き拭き拭き。意外にきれいになるものだ。来週は塗料の塗り直しをやるとしよう。それにしても拭き掃除は体力を使う。しばらく息があがって意識が朦朧としてしまった。運動不足だなぁ…。

 気温はまだ昼間でも16度だったりするので、種はもう少し待たねばならないようだ。


2000.4.17(Mon)

スリットの有無

 な、なんと、キッズメイツのお姉さん方のコスチュームが変わったような!?(キッズメイツとは、SkyPerfecTV!などで放送されている KidsStation チャンネルの、キャンペーンガール3人組だ)
 たしか以前はミニスカートの左脚方面に、きわどいスリットが入っていたはずだが。今夜の彼女は、まったく普通のミニスカートであった。しかも若干、長くなってしまったような気もする。ミニというより、普通の膝上丈のスカートに近いかもしれない。
 あのスリットは、座って対談などをやってるときには、ことのほか光っていた。ぱっくり開いてしまうので、それはそれはキケンな状態になっていたものだ。もうあの光景を見られないかと思うと、夕食のおかずが一品減ったくらいには哀しい。なんとか復活してほしいなぁ…。

 お子さま向け番組もかなりあるので、教育上好ましくないとかクレームがついたのかも(というのはLicの見解)。あるいは3人のコスチュームには微妙な違いがあって、たまたま彼女の分には最初からスリットがなかった可能性もある(ちなみに今日見たのはリョウさん。スリットがあったのを覚えているのは、カオリさん。)。明日もチェックしてみるとしよう。

 と書いてみてから、前述のキッズメイツの公式サイトを覗いてみたところ、初期の頃のコスチュームは、今とはかなり様子が違っていたことがわかる。初登場した頃は、あまり気にしてなかったらしい。この当時もスリットは入っているのだが、なぜか記憶に残っていない(おそらく座ってる姿を、あまり見かけなかったからだろう)。スリットがみょーに目に付き始めた1月あたりからのコスチュームは、セパレートタイプに変わったうえに、スカート丈が短くなった(と思う)。このへんからチェックが入るようになり、そしてこの春、またもや微少なマイナーチェンジがなされたっぽいなぁ。


2000.4.18(Tue)

省いてはいけないもの

 昨年末に着陸失敗したMPL(Mars Polar Lander)は、結局、着地していないのに接地センサがはるか上空で誤作動してしまったのが原因らしい。この発表があった今月始めからずっと、接地センサの誤作動の原因は何だったのか気になっていた。そのあたりの事情が、宇宙作家クラブ ニュース掲示板 - SPACE SERVER Next Generation -の No.52,No.53 に情報が掲載されていたので、さっそく読んでみたところ…。

 当たり前の試験をちゃんと実施していれば、容易に発覚するレベルの不具合だったことがわかる。着陸脚を展開したとき、約60%の確率で接地センサが誤作動してしまうなんていうのは、着陸シーケンスを通しで行うまでもなく、脚単独の機能試験で発覚してなければおかしな話だ。これはソフトウェアの不具合というよりも、ハードウェアの不具合というべきものである。
 もちろん、接地を認識する条件が、この接地センサだけの情報によるとはとうてい思えないので(宇宙用に限らず、このようなクリティカルレベルの高い部分では、少なくとも2系統の情報を使用するはずだから)、ソフトウェアのほうにも状態遷移における条件設定に不具合があったのだろう。しかし、ソフトウェア設計者が、着陸脚の接地センサが約60%の確率で誤作動するという情報を知らなかったとすれば、この条件は本来組み込まなくても正常に作動するところなので、ハードウェアの機能試験が不十分であったことに、すべての原因があると考えてよいだろう。

 ただ、約60%の誤作動というのが既知の仕様だったとすれば、ソフトウェアの不具合ということになるけれど、そんなあやふやなセンサならばあってもなくても一緒なので装備している意味がない。そこまでNASAの開発陣が抜けているとも思えないが…。
 いずれにしても、ソフトとハードを結合したのち、きちんと統合試験をやってさえいれば、その時点でも不具合に気づくことはできた。試験を軽視してはいけないのだ。部分部分は正常に作動しても、このように合わせ技一本となってしまうことは、よくある話だ。

 以前、某宇宙モノのソフトウェア開発をやっていたとき、スケジュールを勝手にシステム担当が決めてしまっていて、ソフトウェアとハードウェアの結合試験がざっくりカットされていたことがあった。結合試験もなしに納入するなど、常識外れもいいところだが、システム担当の言い分は、「ソフトとハードそれぞれを単独に試験して100%OKならば、組み合わせても100%になるはず。だから問題ないだろう?」だった。同じような試験を、さらに行う必要がどこにあるのか?と、まったく迷惑そうな顔をされた。現場を知らないと、こういう理想論を信じてしまうらしい。
 スイッチ類のチャタリング、外部装置の応答速度の微妙な誤差など、ハード単独の試験ではわからない部分は山とあるのに。もちろん組込みソフトの常套手段として、ある程度ソフトウェアでそれら機器の特性をカバーするアルゴリズムはあらかじめ組み込んであるが、実際に試験してみないとカバーしきれているかどうかは、確認できない。予想外の事象というのは、どこにでも潜んでいるのだ。結局、なんとかスケジュールを組み直させて結合試験を行ってみたところ、たくさんの仕様外の事象が発覚して、そのたびにソフトウェアで対策せねばならなかった。その間中、システム担当は現場にはほとんど顔を出さなかったので、今でもソフト/ハード結合試験の意義を理解していない可能性はある。

 効率化のために、本来必要なモノを省いて事故っていては、本末転倒。ようやくNASAが正常に戻りそうで、来世紀には期待が持てるかも。

季節はずれの

 花火をやった。どこから持ってきたのか、子供用花火セットが一式あったのだ。
 昨年は、花火をやたらと怖がっていたみこりんだったが、今夜はぜんぜん平気らしい。成長した印だろうか。自分でちゃんとロウソクから火を移して、上手に遊んでいる。

 立て続けに30本ほどを燃やし尽くし、しんと静まり返った春の夜は、どことなく夏の面影さえあったりして。花火どこから持ってきたのかな?と聞いてみたら、保育園で貰ってきたのだと教えてくれた。明日ももらえるかな〜なんて楽しみにしてるようす。いったい保育園で、何があったんだろう。


2000.4.19(Wed)

明け方、風呂場で布団を踏む

 昨夜は少々風邪気味だったので、早く寝ようと思っていたにもかかわらず、つい「ちょっとだけ、次のターンが終わるまで」と始めたスパロボFにはまってしまい、結局3時過ぎ、いやほとんど4時近くなってから床についた。むさぼるように眠りを求めたが、この匂いはいったい何だ?どこか懐かしい甘さと、耐え難い臭さが渾然一体となったこの匂い。ずっと昔、私がまだ中高生だったころ、柔道や剣道に使っていた道場の畳が、たしかこんな悪臭を放っていたような記憶がある。汗くさい野郎どもの、シンボルとも言えるかぐわしきカオリだ。

 嫌な予感があった。じつは今夜、にゃんちくんが行方不明だったのだ。寝る前にケージに戻そうと探したものの、にゃんちくんが出入りできそうな箇所には見あたらず、「か、神隠しぢゃぁ」と思い始めた頃、Licが寝室にいたのを見つけてくれた。リビング以外へは入れないように、各部屋のドアは閉じておいたはずだった。どうして寝室に侵入できたのか。にゃんちくんは、まだ怪猫の域には達していないので、自力で襖を開けたりはできない。我々が出入りしたわずかな瞬間を狙って、こっそり足元をすり抜けた?うーん、出入りの瞬間は、みこりんを起こさないように慎重にやってるから、そういう異変には敏感になってるはずなんだけれど…。でも実際、にゃんちくんが寝室にいたんだから、何らかの手段で入り込んだことは間違いない。猫族の隠密性には、まったく人間など太刀打ちできないらしい。

 にゃんちくんの姿を最後に確認してから、発見するまで、じつに4時間以上が経過していた。その間、ずっと寝室に閉じこめられていたにゃんちくんは、ふかふかの布団に、つい「やってしまった」に違いない。
 捜索すること数分間。Licが見つけた。掛け布団に広がった、大きな染みを。しっとり濡れている。間違いなく例の匂いは、ここから発せられているようだ。続けて、もう1つの染みも発見。私の掛け布団が集中的に狙われている。にゃ、にゃんちくん、親愛の情を、こんな風に表現してくれなくてもいいじゃないか。
 とにかくこのまま何事もなく寝てしまえるほど私はワイルドにできていないので、布団の丸洗いを決意した。汚れは早めに落とすに限る。といっても掛け布団をそのまま洗濯機に入れるわけにもいかず、結局、浴槽での足踏み洗濯をすることになった。

 湯を張り、トランクス一丁で踏み踏み踏み。心地よい振動は、眠気を誘う。半ば意識朦朧としながらも、踏み続けるのだった。
 洗剤を2回入れ替えた。そのあと、すすぎで5〜6回湯を換えた。すでに窓の外は明るく、小鳥のさえずりが聞こえていた。午前5時過ぎ。限界だ。辛抱たまらん。眠すぎる。お腹空いた。なんでこんなに布団が重いんだ。いくら踏んでも泡は吹きだし、悪夢の無限ループに陥った気さえする。と、ここで気が付いた!踏みしめた布団は、うまく折り畳めば洗濯機に入るのではなかろうか。

 たたんでたたんで、なんとか洗濯機に押し込むことに成功。“すすぎ”と“脱水”をセレクトして始動させてみたところ、重そうな回転音だったが性能的には大丈夫そうだ。よぉし、あとは機械にまかせておけばいい。Licの作ってくれたチャーハンを食いつつ、早朝の『暴れん坊将軍』再放送を見たりして時間をつぶす(Licは、ことのほか『暴れん坊将軍』が気に入っているらしい)。
 天気予報によれば、今日は雨模様になるという。せっかく布団を洗い終わっても、外に干せなければ意味がない。庭の物干し台を、カーポートの下へと移動させることにした。ここならば、よほどの嵐でなければ大丈夫。
 無事、洗い終わった布団を干して、今度こそ布団に倒れ込むようにして寝た。午前5時半過ぎのこと。目覚ましは9時にセットし直した。3時間半あれば、仕事に支障が出ない程度には復活できるはず。

 *

 起きると、すっかり喉をやられていた。でも、それ以外は恐いくらい気力がみなぎっている感じ。ややナチュラルハイの傾向はあったが、かえってそれが心地よいくらいだ。やはり気温の高い季節は、私に合っているらしい。

バラ苗到着

 京成バラ園から、注文していたバラ苗が到着した。
 “オーバーナイトセンセーション”。スペースシャトル・ディスカバリーで、宇宙に出た初めてのバラ(と、同一品種)というのに惹かれて買ったものだ。香りに特徴があるという。“微少重力下で花の香りはどのように変化するか”を調べる実験で、宇宙のほうが地上よりも“より花らしく”“より強い”芳香を放ったことが確認されたと、カタログの説明には書いてあった。
 新苗なので、開花は来年までおあずけだが、たくさん花を咲かせられるように、今年しっかり育てておかねば。

 *

 セントポーリアの創生園から春の新苗リストが到着。今年消滅させてしまった原種“ハウス・オブ・アマニ”がリストに載ってるのを確認した。さっそく注文しておかねば。


2000.4.20(Thr)

驚きの朝

 早寝したので、いつもより1時間は早く目が覚めた。これだけ余裕があれば、ワーディアンケースの植物たちに水やりもできるし、花の写真も撮っておけるだろう。
 ところが、朝一番の仕事としてピーコをサンルームに吊そうとした時だ。みこりんが、なにやら泣きながら階段を降りてくるではないか。お尻が痒いと訴えている。「うん○出てるんじゃないの?」と聞いたら「出てない〜、しっこだけ。これから出る」なんて答えるみこりん。なんだか芳しい気配が漂っているのに気づいていたので、慎重に紙オムツを外してみると(寝るときには、まだ紙オムツが手放せないみこりんであった)…
 たっぷりのブツを発見。出てから時間が経っている感じだった。こんなのがずっとお尻に貼り付いてたら、そりゃ痒くもなるだろう。「まだ出る」と言うので、オマルに座らせておいて、紙オムツの処理をする。ピーコもちょっと臭そうな表情。はいはい、今、吊ってやるから。

 みこりんが再び私を呼ぶ。痒いのが止まらないと訴えていた。そこで、お尻拭きでキレイに拭いてやったけれども、まだ治まらないらしい。よぉし、丸洗いだ。
 洗面所に連れていって、ざばざば洗ってやった。やっと落ち着いたみこりんに、新しい服を着せてやっていたら、すっかり時間はいつもと変わらない状況になってしまっていた。もし早起きしてなかったら、今朝はとんでもなく慌ただしいことになっていたであろう。

 それでも一応、庭の様子を見たりして。デジカメで変化を記録。明け方まで雨が降っていたらしい。水滴が、いい感じにアクセントになっていた。揃い咲きチューリップのいくつかが、重そうに頭を垂れているのが見える。みこりんはそれを指差し、「あめがついとるで、こんにちはしとるねぇ」と、思わず耳を疑うような鋭い分析を披露してくれた。たしかにチューリップの花の中に雨水がたまると、こうなる。自力でその答えを導き出したのだろうか。い、いや、まさかそれはいくらなんでも高度すぎる。うーん、でも幼児の観察力は、時に我々をぶちのめすほどの着眼点を持ってるからなぁ。もっと確かめて見なくては。


2000.4.21(Fri)

晴れ男

 今日は会社でちょっとした記念行事があった。私が属している研究部門が、創立されてちょうど10周年になるので、そのお祝いということだった。
 といっても招待客のほとんどが、他の研究部門のトップとか、下々にはあまり縁のない方々ばかりなので、発表や説明で忙しいのはもっぱら課長級以上。幹部以外は、その他雑用役務を少々といったところ。
 ただ、うちのグループでは例のロボットのデモをやるので、その時間だけはさすがに緊張が走る。失敗してはかなりまずい状況だ。前日までの天気予報では、雨の確率が高かった。朝も、少しぱらついていたし。ロボットは、雨の中はまだ動けないので、晴れてくれないとせっかくの準備が水の泡だ。

 デモ直前、かなり大粒の雨が、ついに鈍い色の空から落ちてきてしまった時には、もうダメかと思いかけた。でも、きっかり10分後には雨が降ったのさえ忘れるほどの爽やかな空。待機中のロボットが、雨にやられて最初の起動に失敗したものの、無事デモは成功し、4月最大のイベントは、完了したのだった。


2000.4.22(Sat)

葉焼け

 昨夜は激しい雨が降ったり止んだり、イヤな天気だったが、今日は薄曇りで雨の心配はない。セントポーリアの植え替えには絶好のチャンスだ。さっそくサンルームにビニールシートを敷いて、植え替えセットをひと並べ。みこりんが機敏に察知して寄ってくる。
 園芸品種の植え替えは、ほぼ終わっているので(3月25日の日記にて)、今日は原種系をやってしまおう。じつは最近、天気が複雑で、よく晴れたかと思うと雨だったり、うっかり4月も後半に入ったことを忘れていた。本当なら、もうサンルームの日除けは展開しておかないといけないのに、やってなかったのだ。当然のように、ワーディアンケースのセント達には葉焼けの兆候が現れてしまっていた。植え替えと同時に、痛んだ葉っぱの整理もしなくては。

 植え替えセットには、用土やミリオンなどを取りやすいように計量スプーンを入れてある。みこりんにとっては、楽しい御砂場セットみたいなものといえよう。さっそくスプーンを手に、ミリオンをざくざくすくってる。そのうち、ミリオンAにまで手を出してきたので、「それは高価な資材なので、こぼさないように」と釘を刺しておく(100グラム100円くらい)。とりあえず理解してもらえたようなので、ほっと安心。
 みこりんがパーライトで遊んでいるすきに、植え替え作業は続く。石灰岩の鉢に植え込んであるやつが、1鉢、どうしても株が抜けないので往生した。おそらく根っこが、岩に浸透してしまったのだろう。これは無理に抜くより、このまま自然にまかせるのがいい。土の上にハイフレッシュを散らし、グアノを施せば(たぶん)大丈夫。

 さて、セントはこんな感じでいいとして、問題はストレプトカーパスだ。すっかり新芽が葉焼けして、しおしおになってしまっている。それでも先端部分では、新しい芽が育ち、生命力の逞しさを感じずにいられなかった。脇芽の生長を邪魔しないように、痛んだ葉を、すべて取り除かなくては。とにかく量が多いのと、枝葉がとても折れやすいので細心の注意を払いつつ…。
 結局、2〜3、枝が折れてしまったが、これはまた挿し木にしよう。挿し木といえば、お隣の奥さんに頼まれていたやつを、そろそろ鉢に移さねば。こっちも少々葉焼けの被害が出ていたので、キレイに整理し、植え替えた。GW頃には渡せることだろう。

記念樹

 みこりんが産まれたのを記念して、庭の片隅に植えた樹がある。“ハリエンジュ”と呼ばれるその樹は、和名を“モモイロアカシア”と言った。マメ科の植物で、花はピンクの愛らしいいかにもマメっぽい花をつける。
 そろそろ新芽が出てもいいはずだが、なぜか今年は真冬の様相から変化がない。ランナーで殖えた若樹のほうは、すでに小さな葉っぱが展開しつつあるのとは、対照的だ。たしか去年の春も、なかなか芽吹かないのでやきもきした記憶がある。でも、あのときは若樹が育ってなかったので比較できなかった。単に遅れているような気がしただけに過ぎない。でも、今年は比較すべき若樹がある。これほど生育に差があると、悪い予感に取り憑かれてしまうのだった。

 昨年の冬、ハリエンジュは鉄砲虫に複数ヶ所、やられていた。もしやそれが致命傷になってやしまいか。これがみこりんの記念樹というのはもちろん、昨年、この樹の種が欲しいという方からメールをいただき、今年花が咲いたら分けて上げる約束をした。今年もたくさんの花を咲かせてほしいと思う今日この頃であった。

わらわら

 雨ですっかり花を散らしてしまった枝垂れ染井吉野と、プラムの樹。新緑を眺めていたら、イヤなものが目にとまった。白い布状の物体が、プラムの枝にしっかと巻き付いているのだ。それが毛虫の集団野営場である可能性は、過去の経験上、9割5分以上と思われる。さらによく観察してみると…、いた。うにょうにょと、毛虫が1匹2匹。数が少ないようだが?と視線を別の枝に転じてみれば、「うぉっ!」とのけぞる光景が!

 毛虫の密集状態っていうのは、どうしてこうも嫌悪感を抱かせるのか。新たな野営場は、すぐそばに展開されていた。50匹以上はいると思われる。わらわらと、うねうねと。「さ、さっちゅうざい。」火で焼くには、樹への影響が大きすぎる場所だった。オルトランCスプレーを取りに走る。

 少々噴霧しても、毛虫の全身を覆った密な毛によって弾かれ、まったく効果が出ない。ぎりぎりと奥歯を噛みしめ、さらに接近してぶしゅぅぅぅぅ。ようやく毛細管現象で薬剤が体表に届いたらしい。毛虫が次々動かなくなった。
 ほっと安心したのもつかのま、まるで焼き殺したはずの怪物が、灰の中から復活するかのように、毛虫が再び動き始めたのである。お、おそるべし。
 私は“脚のない虫”にとことん弱い。いや、正確には“脚が昆虫のようでない虫”というべきか。だからあまねく芋虫、毛虫の類はそれに該当する。ところがLicは普通の虫には弱いのに、こういう芋虫毛虫ナメクジ系は平気らしいのだ。チョウチョウやトンボを怖がるのに、なぜこの忌まわしき毛虫が大丈夫なのか、私には理解不能だが、こういうときには実に頼りになるのでバランスがいい。活動再開しつつあった毛虫は、すべてLicによって“箸でトール”攻撃のまえに撤去完了したのであった。ほぅ、良かった〜。

 で、みこりんだ。みこりんは袋の中でうにょうにょ蠢く毛虫がとってもとっても気になるらしい。じぃっと覗き込み、触りたそうにしている。薬剤をかけてあるので、「ちょっとだけだよ」と言ったら、ほんとに少しだけ触ってみたようで、満足げな表情だった。みこりんは、おそらく9割9分、Licの性質を受け継いでいるに違いない。あ、でも普通の昆虫系も平気みたいなので、うまく私とLicの虫に対する耐性がブレンドされているのかも。

広葉樹チップ

 夕方、砂ネズミとロボロフスキーのチップを交換した。今回使ったのは広葉樹のチップだ。手触りからして、ぜんぜん違う。しっとりしてて、気持ちいい。繊維状にほぐしてあるので、パインチップに見られる電気的工具で削ったような堅さがないのだ。
 チャッピーもあかねちゃんも、ダンも、かなり気に入ってくれてる感じ。表情でわかる。
 パインチップのほうが圧縮して入れてあるので、値段比で広葉樹チップのほうが1.5倍ほどになるが、今後はずっと広葉樹チップに切り替えようと思う。

電話で見せる

 みこりんとお風呂から上がって、爪を切ってやっていたら、電話が鳴った。受話器をとると、「みこちゃん」と“か細い”声がした。お、驚かせてくれるのぉ、と思いつつ、みこりんに「おばあちゃんからだよ」と受話器を渡してやった。電話をかけてきたのは、うちの実家のばばからだった。そろそろGWも近いので、探りを入れに来たのだろう。
 みこりんはけっこう上手に受け答えしてくれていた。「みかんのチューリップさいたの」とか「おさかなにごはんあげたの」とか。会話が弾んでいる感じ。でもやっぱり飽きたのか、「はい」と私に返してくれた。

 ばば的には「みかんのチューリップ」というのが気になったらしい。オレンジ色のチューリップのことなのだが、言われてみればあまり咲いたのを見たことないかな?。しきりに「どんなふうに咲いているのか」とか聞いてくる。揃い咲きのユリ咲きで、今年ホームセンターで買ってきたのだ、しか甘い香りが素晴らしいのだ、と教えていたら、みこりんが急に「ばーちゃんにみせてあげる」と、サンルームへのガラス戸を開けようとするではないか。一瞬、『?』マークが頭上に点滅したが、すぐに合点がいった。みこりんは、電話をよこせ、お庭に持ってくと言ってる。つまり、電話を通して庭で咲く『みかんのチューリップ』を、ばばに見せてあげようというのだろう。あるいは電話にばばが宿っていると思っているのかもしれない。とにかく、電話に見せれば、ばばにも見えると思っているのは確からしい。

 我が家にTV電話が導入されるのも、そう遠くないことであろう。


2000.4.23(Sun)

みかん色のチューリップ

 みこりんに起こされてリビングへと向かう。カーテンの向こうが妙に薄暗いのは、昨日、サンルームに日除けを展開したからだ。そのことにすぐに思い至らなくて、今日は雨でも降ってるのかと少しだけ心配した。
 なんという爽快な気候であろう。サンルームを全開にすると、全身を穏やかな風になで上げられて、身震いするほど心地よい。みこりんも、いぃ感じに“伸び”をしてる。朝食は、デッキで食べることにしよう。

 みこりんが卵料理を所望したので、オムライスに決定。材料を用意していたら、Licがタイミングよく台所に現れてくれたので、タッチ交代。スケジューリングされていた次のジョブに移った(お魚への餌やりと、セントへの水やり、花壇への液肥やりなどなど)。

 ミニバラに少々病気の兆候が現れつつあったので、オルトランCをスプレーしていたら、庭の方からLicの声が。食事の支度ができたらしい。手を入念に洗ってサンルーム方面に行ってみると、みこりんが食う気満々で皿を見やっていた。外の空気に満たされての食事は、みこりんの食欲をことのほか刺激してくれるらしい。さっそく「いただきます」してみたところ、食べる食べる。みこりんの小さなお腹が破裂するのではないかと心配してしまうくらい、食べてくれた。いつもは途中で席を立ったり遊んだり、なかなか集中して食べてくれないのだが、こうして外で食べれば満腹するまで一心不乱に食べてくれる。ウッドデッキでの食事は、いいことづくめだ。

 食後、きれいに揃い咲きしたユリ咲きチューリップ(広告に偽りなしだった)を見ていたら、これを背景にみこりんの写真を撮っておこうと思いついた。撮影しやすいように、チューリップを植えてあるテラコッタを広い場所へと移動させてみる。これだけだと、なんだか物足りない感じがしたので、盛大に咲き誇っている白菜の“ぽち”も、添えてみることにした。とても白菜とは思えない見事な開花の“ぽち”。一般的な菜の花より大迫力で、けっこういい感じである。

 みこりんを間に立たせて、「はい、ポーズ!」。銀塩カメラで、ばしゃばしゃと撮りまくってみた。撮られ慣れしているみこりんなので、ポーズ変化などもお手の物。ところが突然、カメラの可動部分に異変発生。ズームとストロボが、かたかたいう嫌な音を発して、機能しなくなってしまったのだ。内部で接続部品が外れたような感じ。簡単には治りそうになかったので、カメラをデジカメに換えて撮影続行。立ち位置を、テラコッタの後方へと移動させてみた。ちょうど、チューリップ畑に入ったようなイメージである。こっちのほうが、雰囲気がいい。飽きるまで撮って、撮影終了。じじばばにも送っておこう。

 そういえば最近ビデオカメラを使ってない。シーケンシャルにしか見ることのできないメディアというのが、かなり影響しているかも。記憶媒体がテープじゃなくなって、ランダムアクセスが超高速になったなら、もっと使いでが出てくるんだがなぁ。

日がな一日

 あとはひたすら草取りをして過ごす。ちょっと見ない間に、ものすごい事になりつつあった。この雑草のように、みこりんもぐんぐん大きくなってくれるといいんだが、などと思いつつ。
 みこりんとLicがお買い物に出かけたあとは、一人で黙々と地べたに貼り付いていた。ツバメのさえずりと風の音もいいが、倉木麻衣の声も捨てがたい。リビングの窓を全開にして、CDをリピートさせた。

 おそらく十数回目のイントロが始まったとき、まだ私はウッドデッキ前で苦戦していた。硬い地面にへばりつくように展開している頑固な“芝”のようなヤツに、手こずっているのだ。スコップで削るように土ごと掘り返しているのだが、その量が半端ではなく、みこりんの遊ぶスペースすべてをやってしまうには、まだまだかかりそうである。
 そのうち、Licとみこりんが戻ってきた。さっそくみこりんがお手伝いしてくれるのだが、みこりんの力ではスコップを土に突き立てられない。さらにLicが参戦したが、みこりんを連れて、もっと抜きやすい場所へと移っていった。

 音楽聞くならラジカセ持ってくればいいのに、とのLicの提案に従い、みこりん用のラジカセを取ってきてもらう。たしかにこのほうが経済的だ。庭で音楽聞くのに、部屋の中のA級アンプを鳴らすのは、かなり贅沢。スピーカーが庭に向いてるわけでもないし。BGMは、倉木麻衣から地元FMへと変更した(さすがに30回以上もリピートさせていたら、Licが飽きてきたらしいのだ)。低音高音の抜けた、ほわほわした感じがじつにチープで良い。そろそろウッドデッキ前の掃討作戦も終了しそうだ。

 残るは花壇方面。枝垂れ桜の付近が、またしても雑草に埋もれつつあったので、ちゃきちゃき抜く。点在するイチゴの株は、今が花盛りで、みこりんが『じちご狩り』できるのはGW明けくらいになりそうだ。
 ここの雑草はカラスノエンドウが主流なのだが、こいつがまた抜きにくい。細いうえに、ツル性なので株もとがわかりにくいのが原因だ。一本一本、慎重に根っこを残さないようにピンポイントで抜き取ってゆくので、時間がかかる。それでも日のあるうちに、なんとか片づけることができた。抜き去られた雑草は、庭の真ん中にうずたかく積まれ、はやくもしなびつつある。去年はこのまま天日干しコースにしたが、今年は堆肥製造コースを選んでみよう。といっても、今日はもう時間がない。また来週だ。

 ところで今日は、さらにやっておかねばならないことがあった。先日届いたミニバラ“オーバーナイト・センセーション”を植えるのだ。少々植え場所に迷ってしまったが、結局、メイン花壇のHT“ブルームーン”手前に落ち着いた。バラはバラで固めておくのが、見栄えがよいと思ったからだ(ブルームーンの隣のHTが枯れてしまったこともあり)。
 シャベルで大穴を掘り(といっても、この春に土を入れ直したばかりなので、労せず掘ることができた)、たっぷりホースで水を入れ、底なし沼状態に。こんな楽しげなことを、みこりんが黙って見ているはずもなく、さっそく泥遊びを始めてしまった。まぁちょっとだけなら遊ばせてもいいだろうと見ていたら、みこりん突然、右足を突っ込んでしまった。深さ30cmはある“底なし沼”だ。もう、それは見事に“ぬっぽり”はまってしまっていた。
 子供の頃、同じような経験のある方ならおわかりだろう。こうなってしまった場合、脚を引き抜くのはなかなか容易ではない。まるで泥の中に何者かが潜んでいて、がっちり握られているかのように。やはりみこりんも、自力では抜くことができなかった。予想外の出来事に、不安げな表情である。助けを求められたので、脇に手を入れ、引っぱり出してやった。泥まみれの自分の足を見て、みこりんが笑う。自分の足ではないような感じが面白いのかも。
 みこりんを洗ってから、バラを植え付ける。植え付けると言っても、底なし沼にたぷんと浮かべて、支柱を深く挿し、固定するだけだ。無事、根付いてくれますように。

 とりあえず一段落したので、夕食にする。夕闇がだんだん迫っていたので、室内にて食べた。やはり夏にはランタン灯して、ウッドデッキで過ごしたいものである。ところが私のアウトドアライフでは、たいていロウソクもしくは焚き火が光源になっていたので、ランタンは持っていなかったりする。みこりんを連れてのキャンプのことを考えても、やはりランタン程度の明るさは欲しい。…ボーナスと要相談だ。

 食後、まだ明るさの名残があったので、立体花壇のラベンダーを仕立て直すことにする。なぜかうまく自立してくれなくて“へたって”しまっているのを、針金と支柱できれいに立たせなければならない。ラベンダーの香りに包まれながらの作業は、なかなか心地いいものだ。今年2年目の株なので、そろそろ咲いてくれるかも?と期待しつつ、整えてやった。
 来週は、はやGW初日となる。そろそろ夏花壇の準備もしなくては。


2000.4.24(Mon)

食欲の春

 いつもお風呂上がりには、みこりんとヨーグルトを食べるのが習慣になっている。冷蔵庫から人数分のヨーグルトを出すのは、みこりんの役目。私が手伝おうとすると、「みこりんがするのっ」と譲ってくれないほど、お気に入りの仕事だった。
 ところが今夜は様子が違う。みこりんの右手にはヨーグルト、左手には紙パックのジュースがあった。「とーさんのは?」と聞いてみたところ、「じぶんでもってきてよぉ」などと言うではないか。ななななななな、なんで?どうして?いったい何があったというのだ。別に今夜、みこりんの機嫌が悪かったわけではない。一緒にお風呂に入ってるときも、保育園であったことなどをたくさんお話してくれた。
 やはり“食い気”は何者にも勝るということだろうか。最近、みこりんの食欲が著しいのは、ウッドデッキで食べてるからだけでは、なさそうである。


2000.4.25(Tue)

否定形

 それにしても昨夜は異様に冷え込んだ。7度というのは、この時期反則技に近いのではないか。膨らみつつあった海老根の蕾が、びっくりして萎えてしまわねばいいが。
 と、気象状況の記録が終わったところで、本日の話題に入る。
 みこりんは最近、否定形として「ちがうちがう」というのをよく使うようになった。かなり早口で言うので、めっちゃ手慣れた感じに聞こえるので最初は驚いた。いつのまにそんな流暢にしゃべることができるようになったのか、という驚きだ。聞きようによっては「ちゃぅちゃぅ」とも聞こえたりするので、本格的といえよう。
 だから近頃は、会話がなんとなく本格的だ。
 今までは「みこりん、今日はお外で遊んだの?」と聞いた場合、否定形として「あそんでないよ」と、問いかけを否定形で返していたが、今や「ちがうちがう!おへやであそんだの」という風に、スムーズに次のフレーズへと続くようになったのである。
 だんだんしっかりした言葉遣いになってゆくみこりんのために、もっともっと絵本を買ってやらねば。


2000.4.26(Wed)

場違いなもの

 今週から、会社のチャイムの音が新しくなった。音色が変わっただけでなく、音量まで激弱になってしまっていた。そのあまりの変貌ぶりに、最初聞いたときは何かの冗談かと思ったほどだ。そして、なぜか無性に笑いの衝動がこみ上げてしまうのだ。それは三日たった今日になっても、慣れるものではなかった。
 先週までは、いかにも事務的なキンコンカンだった。なんの飾りもなく、ただ無機質な時報としての機能しかない、ごくごくありふれたものだった。“ありふれた”という意味では、今回の新しい音色も、耳新しいものではない。おそらく誰もがどこかで聞いたことはあると思う。ただ、それがふさわしいのは、こんなむさくるしい野郎どもばかりの製造業では決してなく、“女生徒に満たされた中流程度の中学校”なのであった。そのイメージのギャップゆえに、チャイムが鳴るたび奇妙な違和感に包まれてしまうのである。

 私が入社した当時は、チャイムなどという可愛げなものではなく、始業・昼休み・午後開始・終業と、まるで空襲警報のごときサイレンが鳴り響いていたものである。その音圧はすさまじく、うっかり屋外で浴びようものなら空気の振動をはっきりと体感できたほどだ。鼓膜が痛いほどの大音量は、まるで戦時中の暗い怨念に今でもどっぷり取り憑かれているかのようだった。それでも、そのサイレンが鳴り終わったあとの不思議な心地良さは、いまでも何かの拍子に思い出してしまうほど甘美であった。
 だだっぴろい工場群には、無骨なサイレンがよく似合う。巨大なマシンを黙々と製造してゆく広大な空間を満たすには、お上品なチャイムではまったくの力不足であろう。いや、サイレンでなくても別にいいのだ。気力みなぎるパワーある音楽なら、もっといいかもしれない。たとえばハウンドドッグの『ff(フォルテシモ)』など流れた日には、皆がいっせいに拳を突き上げることだろう。あるいはARBの『ファクトリー』なんてのも意外にいいかもしれない。

 今回の女子中のチャイムがいつまで続くかわからないが、こんな変更を思い付いた事務方の担当者は、半年くらい現場でみっちり再研修の必要があるな。現場を直視できない体質っていうのは、かなりヤバイ。

発熱

 みこりんが熱を出した。ここ数ヶ月は、扁桃腺が腫れることもなく、病気らしい病気もせずに元気でやっていたのに、どうしたことだろう。
 保育園での環境が大きく変わったことで、心身ともに疲れが溜まってしまったのか。新しい先生には、まだあまり慣れてないとLicは言っていた。以前ほど人見知りは強くなくなったが、その分、内にためてしまっているのでは。気配り上手のみこりんだから、へんに気を使っていたりして。
 ま、こういうストレスにさらされて強くなっていくものだから、これも必要な試練である。5月病になったりしないように、気をつけておかねば。


2000.4.27(Thr)

スパロボFの続き

 再び宇宙へ。この辺りになると、ほとんど内容を忘れてしまっていることに気づく。地上か宇宙かの選択肢が出てくるのは、まだまだ先だったらしい。といいつつ、初回プレイ時とは、まったくシナリオの流れが違う分岐に入っている可能性もあり。
 声質が気に入っているので、クリスの活躍場面が多くなっている。努力持ちなので、いつのまにやらショウに次ぐレベル30になっていた。でも、やっぱり弱い。弱いけど、今後もばしばし最前線で使い続けることだろう。

クッキー

 って、それはあんまりじゃないかと思う。クッキー、クッキー…、何度聞いてもヘンすぎる。せっかく“倉木麻衣”っていう素晴らしい名前があるのに、どうしてわざわざ落とす必要があるのかわからない。ニックネームだからこそ、もっとイメージしやすいのにしとかなきゃいかんのではなかろうか。
 Hikki の真似って、余計言われるだけだろうになぁ。3ヶ月後には自然消滅してることを願ってやまない。Hikki といえば、今度の新曲『Wait&See〜リスク〜』のPV、自分的にはかなりハマっている。私はエアバイクに、とことん弱いのだ。
 『うる星やつらTV版』、あれに出てくる弁天様の真っ赤なエアバイクが、たまらなく刺激的だったことがすべての始まりだ。いまだにアレを超える魅惑的なメカはないとさえ思っている。メガゾーン23のガーランドバイクがかなりイイ線行ってるが、バイク形態で空を飛べなかったのが痛い。で、今回のPVに登場するエアバイクは、フォルムも色彩もギミックも、なかなかに凝っていて目が離せない(動きが軽すぎるのは、まぁこの際目をつぶろう)。アメリカンスタイルなのが、やや減点ではあるものの、久しぶりにぞくぞくするメカを見た思いである。

GWの予定

 みこりんの熱は下がらず。40度近い。GWに長良川で魚取りしようねと、しきりに言ってる。「とーさんと、かーさんと、みこりんと、かわでおさかなとるの」。だから、熱を下げようねと言えば、酸っぱいお薬もがんばって飲んでくれるのだった。GW、なんだか天気予報では良くないらしいのが気がかりだ。


2000.4.28(Fri)

ふわふわりん

 明け方ごろまでスパロボFやってた余韻が、起きてもずっしり残っていた。頭の奥がぎしぎし痛い。寝不足もいいとだ。今日は午後からの仕事なので、それまでに気分転換を済ませておこう。大事をとってみこりんは今日も保育園をお休み。朝、出がけにLicが花壇で黄色い花が咲いてると言ってた。たぶんメキシカン・ポピーだろう。でも、昨日はまだ蕾の先端が1mmほど裂けてただけだ。どうやらあの花は、ぱちんと弾けるように一気に開花するものらしい。
 デジカメ片手にみこりんと庭へ出る。みこりんもカメラで撮るというので、インスタントカメラを持たせてやった。咲いていたのはやはりメキシカン・ポピー。鮮やかな黄色が、中空でゆらゆら風になびいてた。片膝ついてレンズを向けると、みこりんも隣で同じポーズ。なかなかさまになっている。
 他の植物達にも、ひととおり挨拶をすませておこう。生長記録は、どんどん溜まる。みこりんも、さっきから一枚撮っては、私に「ぎりぎりして」とフィルム送りを言いつけてる。でもなんかヘンだ。みこりんの構え方。カメラの中央を覗き込んでるような?
 あ、反対に持ってる。みこりんはレンズから覗いて、裏返しに一生懸命写真を撮っていた。そのことを指摘したものの、「ここにみこりんうつっとるで、いいの」と言う。どうやらデジカメの液晶画面と同様、なにか反射するものを覗いて撮るのだと思っているらしい。以前は、ちゃんとファインダー覗いてそれなりに写真撮れてたのに…。

 チューリップの花びらが、数枚、地面に散っている。明日からGWというのに、なんだかあまり実感がない。低すぎる気温が、その一因であることはたぶん間違いのない事実。温暖化って、どうなったんだろうな。

見えないモノ

 寝室の音声モニタから、みこりんの泣き声が!だだっと階段を掛け上り、ふすまを開ける。みこりんはすでに起きあがっていた。何ごとか必死に訴えかけているようだ。
 泣きながらなので、ほとんど言葉になってなかったが、どうやら「何か」がいるらしい。腕を伸ばし、ソレを指し示そうとしていた。寝室の南西の隅、常夜灯のセピアの暗い灯りが、そこだけ影に覆われてよく見えない。いったい何が潜んでいるのか。もはや私にはなんにも視ることはできないが、みこりんの夢と現実の狭間では、たしかにそこに何者かがいたのであろう。
 なかなか泣きやまないみこりんを、なんとか寝かしつけるのに数十分。苦しげな寝息だったが、どうやら寝てくれたらしいのを確認して、布団から忍び出た。

 今夜は買ってきたコミック2冊を読むことにする。『犬夜叉15巻』『センチメントの季節5巻』。犬夜叉は、前巻の14巻を買ってなかったことが判明した。ふ、不覚。でも一応最後まで読んでしまう。ふむふむふむふむ。桔梗がどうなってしまったのか気になる。14巻、明日にでも買ってこなくては。
 センチメントの季節。今回は一冊通しで一編のストーリー。だが、どうも台詞が私には空回りして聞こえてならない。はっきりいえば、ちょっとくどいと思った。前巻までの短編集には、それなりに惹かれる作品もあったのだが…。もはや何の共感も示すことができなくなったらしい。私がオトコだからかとも思ったが、Licも同様みたいなので、これは作者の描く世界が我々には遠すぎたということなんだろう。ただ、モノローグで何度も似たような台詞を繰り返させるのは、少々鼻につく。次巻も同様だったら、この作者とも見切りをつけるかもしれない。


2000.4.29(Sat)

GW初日

 気がついたら誰も居なかった。リビングにもカーテンが閉まったまま、まるで真昼の深い森の奥にさまよい込んだみたいな仄暗さ。あと30分で正午の時報だ。とりあえずピーコを外に吊ってやらないと。
 サンルームは、日除けのおかげでほどよい涼しさだったが、外はけっこういい感じに晴れていて、なにか白い綿毛のようなものがふわふわふわふわ漂っていた。ケセランパサランをちっちゃくしたようなソレは、始めて見たときにはいろいろ好奇心を刺激されたが、今では正体見たり枯れ尾花、そいつは空き地に生えてる名称不明の樹が放っていることをLicによって突き止められている。毎年、この季節になると見られる現象だ。
 ガレージにクルマがない。まだ病院から戻っていないらしい。病院の予約が早朝になってしまった、というのを昨日Licが言っていた。混んでいるのか、それともどこかで寄り道してるのか。いや、そんなことより早くセントポーリアに水やりしよう。お昼になる前にやっておかねば、どうにも気分が落ち着かないのだ。

 セントの水やりが、あと4鉢で終わる頃、Licとみこりんが戻ってきた。熱はもう出ていないらしい。なんだか足がおっきく見えるな〜と思ったら、おにゅぅの赤いサンダルを買って貰ってた。なるほど、これでいつ長良川に遊びに行っても大丈夫ってわけだ。Licはクーラーバッグを買ってきたもよう。ますます装備は完璧だ。
 あとは魚を捕まえてきても大丈夫なように、水槽の水換えやっておこう。だが慌てることはない。まだまだGWは始まったばかりだ。今日の予定はすでに決めてある。“種”を播くのだ。『変わった野菜シリーズ』は、今年さらにグレードアップして我が家の庭を飾ってくれることだろう。

種まき1回目

 昼食をいつもの土曜と同じくデッキでとり、食後のカクテルなどでリラックスしたあと、みこりんと花壇の花に液肥をやる。海老根がぽつぽつ開花しているのを発見。チューリップは、開ききってそろそろおしまい。ムスカリは、まだ頑張っているが、来週まで持つかどうか微妙な様子。そうした花々に代わって、いつしか庭は新緑に包まれていた。

 Licとみこりんがお出かけしたあと、種まきの準備をする。場所はサンルームにて。今日は風が強いので、入り口を閉めた。ビニールシートに苗用の土、ジフィーポットに各種受け皿、そして買っておいた種の袋達。受け皿の1つに水を張り、霧吹きも準備しておく。そうそう、デジカメも忘れずに。今年は観察記録を当サイトで公開する予定。

 種の袋を直播き、ポット播き、発芽適温などに分類していたら、種を一昼夜水に浸さねばならないやつがいくつかあるのに気づく。今日中に種まきしたかったが、仕方あるまい。今日はとりあえず適温25度くらいのやつで、ポット播きをやることにしよう。
 1種類、平均5ポット程度で播いてゆく。今年は多品種少量生産なのだ。種が細かいやつはピート板のほうが播きやすいが、私は間引くのが大の苦手なので、最初からポットに数粒ごとに播く手法を選んだ。これだとそれほど間引くのも苦にならないはず。
 種のパッケージと、種そのものをデジカメで記録したあと、ポットに名前を書いて、土を入れ、水に浸して、さらに霧吹きで湿らせ、種をピンセットで埋め込み、受け皿にひと並べ。そうこうするうちLicとみこりんが戻ってきてしまった。え?もう1時間半もたったの?いかん、こんな悠長なことやってたら今日中に終わらない可能性が。

 Licも察したのか手伝ってくれた。みこりんにも手伝ってもらおうとしたが、みこりんにできそうな土入れ作業は、ちょこっとやったら飽きてしまったようで、あとはひたすら朝顔の種を水に浸したり袋に戻したり、一心不乱に遊び始めてしまった。明日は朝顔とヒマワリの種を、みこりんと一緒に播くことにしよう。

 かなり日が傾いてしまった。サンルームに差し込んでいた陽光は、すでに見えない。種のパッケージを接写するのに、太陽光線がないと少々まずい。お腹も空いてきたし、残りは明日にしよう。花が数種類、明日に持ち越し決定。野菜のポット播きは、いちおう完了。
 播き終えたポットは、少数精鋭ゆえに1つでもナメゴンにやられるわけにはいかない。しばらくはサンルーム内で育てることにしよう。去年よりも播いた種の数は少ないが、種類では軽く4〜5倍はある。家庭菜園二号を開墾してはあるものの、はたしてこれら全部の植え場所を確保できているのか、じつは確信がない。足りなくなったら…、ま、その時はその時で、あらゆる場所を花壇にしよう。タマネギもそのころには収穫できてるはずだし。

鏡の中の

 夜も熱を出さなかったので、みこりんを久しぶりにお風呂に入れた。体を洗ってやってると、みこりんは鏡にボディソープを擦り込んで「きれいきれいしとるの」。いつもこうしてみこりんは鏡と蛇口を洗ってくれる。どうして鏡と蛇口なのか、理由は今でも定かではないのだが。
 湯船で温まっていると、みこりんが鏡を取ってくれという。今夜も鏡遊びをするつもりらしい。では、私もいつものネタでいくとしよう。

 鏡に写して遊んでるみこりんに、「鏡の中のみこりんに、出てきてもらおうよ」と提案する。すかさずみこりん応戦。「みこりんおっきいで、でてこれんよ」そう言って、15cm四方の鏡を、自分のお腹にあてがった。大きさを対比して見せてくれているらしい。この鏡より、自分は明らかに大きいので、この中から『鏡の中のみこりん』を召還することは不可能である、と。
 だが、私には切り札があった。それを思いついた時には、思わず身震いしてしまったほどだ。
 「大丈夫やって。はいはいすれば、通れるやろ?鏡の中のみこりん、はって出てくるかもしれんで」

 一瞬、みこりんが真顔になったような気がした。じっと鏡の中を見つめてから、そっと目をそらすみこりん。「みこりんは、鏡の中のみこりんに出てきて欲しくないの?」そう聞いてみたところ、間髪入れずに「いや」という答えが返ってきた。理由を聞けば、なにやら小声でぼそぼそしゃべってくれる。3回聞き直しても、解読不能だった。みこりんはいったい何をそんなに怖がっているのだろう。なんだか気になって仕方がない。
 でも、『鏡の中のとーさん』には出てきて欲しいのだという。「とーさんが二人いてもいいの?」という問には、明確に肯定の意思表示。では「鏡の中のかーさんは?」
 この答えは、Licに直接聞いてもらうことにしよう。


2000.4.30(Sun)

白身+黄身

 昨夜のスパロボFでは、戦術ミスでハマーンを討ち漏らしてしまい、じつに悔しい思いをした。時折、睡魔に意識を持っていかれつつも、夜明けまで粘ってみたが、命中率0%ではクイックコンティニューも使いようがない。これで前編が終了、次回から完結編に入る。

 ふらふらっと寝室に倒れ込み、布団からはみ出してるみこりんを戻してから、気を失うように寝入った…、と思ったら、みこりんのせっぱ詰まった声に気づいて目を開いていた。「しっこ。しっこでる〜」。最近みこりんは「しっこでる」攻撃で起こしてくれることが多い。お漏らし対策で夜だけ紙おむつにしているが、そういえばここのところ“おねしょ”した形跡はないように思う。これも進歩なのだろうか。
 みこりんをオマルに座らせてから時計を確認してみると、9時半だった。3時間ちょっとしか寝てないことになるが、不思議と眠気は消えている。“1時間半の法則”というやつにちがいあるまい。
 用を足してすっきりしたみこりんは、さっそく空腹を訴えた。元気でなにより。それでは、今朝のメニューは“卵かけご飯&野菜サラダ”としよう。Licから、みこりんが卵かけご飯を食べると聞いていたので、それを確かめようというのである。たしかにみこりんは「卵かけご飯」と聞いたとたん、いそいそとお手伝いを始めてくれた。かなり好きそうな気配である。
 いざ生卵を割る段階になって、ふと気になったので聞いてみた。「白身も食べる?」と。

 私の子供時代、卵かけご飯は決まって黄身だけだった、親父は白身も一緒くたにして食べていたが、私はあの白身のぬるっとした食感が、どうしてもダメだったのだ。だから、黄身だけより分ける作業は入念に行った。たしか小学校の中学年あたりで、すでに自分でその作業をやってたように記憶している。卵を二つに割って、その殻を使い、交互に流し込む過程で白身を捨て去る技は、ゲームのようで意外にはまるのだ。そんな私が白身も一緒に食べることができるようになったのは、大学に入ってからのことになる。コンパのあとは、よく牛丼で締めることが多かったのだが、あれの“玉付き”が抵抗無く“するっ”と胃の中に収まったのが最初だ。年齢とともに、味覚その他感覚も変容するらしい。あれほど苦手だった白身のぬるぬるが、もはやなんの嫌悪感も抱くことなく、いや、かえって美味に感じるほどになっていたのだから。

 それゆえに、みこりんがさらっと「たべるよ」と答えたときには、少なからずショックを受けた。こ、こんな幼児が“卵かけご飯”で白身も食べることができる!?どこかの誰かではなく、みこりんが。う、うそだ、信じられない、そんなはずがあるものか。もう一度確認しなければ。けれど、3度質問内容を変えて問うてみても、結果は同じ。みこりんは白身を何とも思っていないらしい。
 しかしである。みこりんの言葉をうっかり信じると“とんでもないこと”になる場合も、多々あり、ここはひとつ大事をとって、黄身だけを食べさせることにしよう。幸い、みこりんは自分の卵のほうが黄身が大きかったのに満足したらしく、さして不平は出なかった。やれやれ一安心。

 今朝もサンルームで食事。みこりんは、卵かけご飯をおいしく食べてくれた。野菜サラダも好評で、みこりん用に取り分けてやったのを、トマト以外完食。トマトをどうして残したかというと、Licの分ということらしい。みこりんは生野菜はたいていばりばり食べてくれるので、ほんとうに食事の準備に手が掛からなくて助かる。今年、世界の変わった野菜シリーズが食卓に上る頃には、すっかり野菜通のみこりんになっていたりして。

種まき2回目

 昨日やり残した種まきの続き。ミックス系ばかりだったので、苗床を使った。ポットに5〜6粒播いたのでは、花色がへんに偏ってしまうのではと思ったからだ。
 それが終わると、みこりんが昨夜準備しておいてくれた朝顔の種を播く。小型のプランタ3つに、赤玉土+培養土を混合したのを入れて、播くべき場所に指で穴を開ければみこりんの出番である。最初は上手に穴に入れてくれてたが、途中で飽きたらしく、適当にばらまかれてしまった。みこりんには、鉢植えで“行灯仕立て”を目指したほうが良かったかもしれないなぁ。

 ヒマワリの種は、2種類を用意した。1つは数年前から種袋でほったらかしになってた“ミニ・ヒマワリ”。もう1つは今年サカタのタネから通販で買った『ゴッホのヒマワリ』だ。もちろん、みこりん用がミニ・ヒマワリである。これは2つとも花壇に直播き。朝顔と同じように、指で開けた穴に、1つ1つ播いてもらった。
 今回は上手に最後までやってくれた。ヒマワリの種が、チャッピーやあかねちゃんが毎日食べてる餌と一緒ということに気づいたからかもしれない。

 それにしても南側の花壇は、この冬、思い切って開墾し直したというのに、どういうわけか以前よりも土が硬くしまってしまった。菜園2号と、混ぜる資材は同じ配合にしてあるはずだが、雲泥の差だ。どうやら土の粒が均一かつ細かすぎて、粘土のようになっているらしい。元の土が、同じ赤土のようで微妙に性質が違っていた可能性はある。
 とりあえず応急措置として、赤玉土を2袋ほど混ぜ込んでおいた。あまり改善したようには見えないが…。ポット苗が育つまでには、もっと腐葉土(あるいは培養土)を投入しておかねばなるまい。

 直播きついでに、黄莢インゲンも菜園2号のほうに播いてみた(5粒づつを3ヶ所に)。菜園2号、初の植物となる。うまく育ってくれますように。

眠りを覚ます

 菜園1号から白ネギ少々、ニンジンのすべてを収穫した。この白ネギ、結局直径6cm以上にはほど遠い状況のままだ。それでも薬味ネギみたいだった3月ころの状態に比べると、ずいぶんマシにはなったのだが。来年は、もっとうまく育てられるようになっていたいものである。
 ニンジンは地上部が大爆発状態になっていたので、みこりんに全部抜いてもらった。地下も、そこそこ太ってはいたが、どうしても色が薄いままでよくならない。根っこよりも、地上の葉っぱのほうが食いでがあるというのも、なんだかわびしい。一抱え以上収穫してしまったので、葉っぱを洗うのも大変だ。しかし、私が鍋と火の準備をしている間、Licがすっかり準備を整えてくれていた。ありがたやありがたや。

 鍋は、アウトドア用のでかいやつ。火は、同じくアウトドア用のストーブを使う(ストーブといっても、家庭用のアレとは違う)。ここ数年、これの出番がなかったので作動チェックも兼ねていた。ポンピング、プレヒートの後、ちょっとドキドキしつつ点火。気化したホワイトガソリンの心地よい噴出音と、「ぼぼぼぼぼぼぼ」という安定した火炎の響きが蘇る。数年間眠ったままだったとは思えない寝起きの良さだ。

 順調に鍋の水を温めているはずだったが、やけに時間がかかりすぎているような?なにか忘れていることがあるのではないか。ふっと頭をよぎった過去の記憶。あ、この鍋、2発で加熱するんだった。Licの視線が背中に痛い。さっそくもう1個のストーブを引っぱり出してくる。こちらはプレヒートがいらないタイプ。ポンピングの後、やはり機嫌よく作動してくれた。これで大丈夫……。でも、もう夕方5時近い。これから沸騰するのを待って、大量のニンジンの葉っぱを茹でる間中、火の番をしてたら晩飯食ってる暇もないのでは。なにしろニンジンの葉っぱは、3山あるのだ。鍋の湯も3回交換しないと足りないだろう。
 1分ほど迷ったが、結局、この作業を終えることにした。ストーブが無事だったことがわかっただけでもめっけもの。今年こそは、こいつらが活躍できるような夏の休暇を過ごしたいものである。


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