2006.12.1(Fri)
「月に願いを!」
来年夏、日本の月探査機『セレーネ』が打ち上げられる。この探査機にも、『のぞみ』や『はやぶさ』と同様、名前を乗せてくれるキャンペーンが始まったが、今回はメッセージも“可”になってるところが、これまでよりもちょっとすごい。
20文字までという制限はあるものの、みこりんの得意な俳句ならば十分すぎるサイズだ。
応募期間は来年の1月31日まで。
うっかり忘れないうちに、メッセージ考えて応募しておこうと思う。
2006.12.2(Sat)
組み合わせ問題
いつも利用している家電量販店のオマケとして、“数独”の携帯用ゲームマシンをゲットしてきたのがはじまりだった。もともとこういう系統のパズルゲームに秀でたLicは、小さなゲームマシンのインタフェースでは“数独”を堪能するのに制約が大きすぎるというわけで、紙媒体の“ナンプレ”を買ってきたのが昨日のこと。以来、Licとみこりんが、“ナンプレ”に、ずっぽりはまってしまっている。
“数独”は登録商標なので、一般的には“ナンバープレース”略して“ナンプレ”と呼ばれる、ただし海外では登録商標になっていないため“SUDOKU”で通じる、ということを、私は今日まで知らなかった。なんか似たようなのがあるなぁ、くらいにしか思ってなかったのだけれど、同じものだったとは。
ルールは、一度Licに説明してもらったことはあるのだが、今ひとつ理解できず。今日になって紙媒体でじっくり眺め、初めて「あぁそういうことだったのか」と理解するに至る。昨日の時点で、小学3年生のみこりんでもすらすら解いていたくらいだから、ルールそのものはじつに簡潔なものであった。…ちょっと難しく考えすぎていたようだ。
午前中は『ポケモン ダイヤモンド』でレベル上げにいそしんでいたみこりんだが、午後に突入すると“ナンプレ”一筋に没頭中。昨夜は途中で「わからんー」と、ちょっとなげやりモードになってた事もあったけれど、今日は『困難に直面しても、それがパズルの醍醐味である』、みたいな境地に至ったらしい。時折、じっと考え込んだりなんかしつつも、さらさらっと紙に鉛筆を走らせている。
やはり、みこりんにはLicの“パズル好き”な血が流れていることがわかる。ものすごい集中力だった。
しかもこの“ナンプレ”の雑誌には、みこりんの集中力を更にパワーアップさせる要因の1つ、“懸賞問題”が含まれていた。みこりんは『何かに答えてプレゼントをもらう』ということに、限りなく燃えるタイプなのだ。“パズル”+“懸賞”が、いい具合に融合したこの雑誌にみこりんがはまってしまうのは、必然ともいえた。
みこりんは“くじ運”がよい。この懸賞問題にことごとく当選すれば、1ヶ月分のみこりんの本代くらい余裕である。ぜひ、当たりますように。
そんなことを思いつつ、みこりんの背後からじーっと回答状況を観察したり、同じくLicの背後から覗き見たりしていると、みこりんが「とーさんはやらんの?」と聞いてきた。
ぎく!
い、いや、やるよ。やるとも。今はちょっとやり方を勉強してるだけだよ。
私は、パズルが苦手だった…。でも、これならなんとなくいけそうな予感。
2006.12.3(Sun)
こうもりのおしり
もうじき目が覚める。夢と現の微妙な狭間で移ろう意識の中、階段を上がってくるみこりんの気配を察知した。
寝室に入ってくるなり、みこりんは言った。
「おとーさん!こうもりのおしりってどこにあるの??」
……、こ、こうもりの尻。なんでそんなことを知りたがるのか、という疑問は目覚めたばかりの朦朧とした頭には沸いてこず、ただ思ったことをそのまま口に出していたのだった。
「こうもりのお尻は、こうもりの足と足の間にあるよー」
………
しばしの沈黙の後、みこりんは辛抱たまらんといった感じに、笑い転げていた。
そして笑いながら「こうもりのおしりじゃなくてー、こうもりのぉ、しーでぃーのこと!」と、みこりんは言った。
こうもりのしーでぃー…
こうもりのCD…。蝙蝠のCD。
あぁ、シュトラウスの『こうもり』が入ったCDのこと?
ようやく合点がいった。
こうして、今朝のBGMはシュトラウスで始まったのだった。
冷え込み厳しい初冬の日曜のことである。
2006.12.4(Mon)
猫ソファ
にゃんちくんのソファは、いわゆる冬仕様にはなっていないので暖かな“もこもこ”も付いていないし、ペット用ヒータを装着するのに必須のコードを通すための穴も開いていなかった。
12月に入り、夜ともなれば温もりの恋しい季節。にゃんちくんがソファの中で丸まっている姿も、心なしか寒そうに見える…
というわけで、新しく冬用ソファを買ってやるべく、仕事を定時で終えるとそのままホームセンターへと直行。ペット用品売り場で物色にかかる。
今年の流行は角型ソファらしく、昨年まで使っていたような丸くて屋根のついたタイプは1種類しかなかった。しかもそれはMサイズ。にゃんちくんには少々大きすぎる。
そして肝心のペット用ヒーターも、どうしたことか角型ばっかり。丸いタイプは1つもなし。
こうなっては仕方がない。角型には屋根がついてないのでいまいち暖かそうではないのだが、この中から選ぶしかあるまい。…足跡柄に、なんだかよくわからないオレンジ色と白のマーブル模様のやつ、チェック柄 etc...
それにしてもSサイズだというのにやけにでっかいような。最近の猫は、大きくなってきてるのだろうか。んー、しかも肝心のヒーター用コードを通す穴が開いてないな。
コード穴が開いていて、さほど大きくなく、柄もそれなりに悪趣味でなく…、となるとほとんど選択肢はないに等しく、ソファ選びはほどなく終わった。あとはこれにジャストフィットするヒーターを買うだけだ。
パッケージに書かれているサイズを何度も見直し、ソファよりも一回り小さいサイズのヒーターに決定。でも、妙に箱がでっかいような?ソファよりも明らかに大きいのがちょっとだけ気になったが、サイズ表示を信じるならば大丈夫のはず。
*
買い物を終えて、帰宅。にゃーにゃーと歓喜の声を上げているにゃんちくんをケージから出し、さっそく新しいソファの設置にとりかかる。
ヒーターを箱から出し、ソファの中に入れ……
……入らない orz...
角型ソファといっても、微妙にコーナーがカーブしていて、長方形のヒーターではその中にきっちりとは収まらないのだった。しかもソファの方のサイズがタグに印刷してたのより、やや小さい感じ。
やはりSSサイズのヒーターにしとけばよかったか…、と思ってもあとのまつり。悩んだ末に、まずヒーターをケージの2階部分に設置し、その上にソファを乗せるということで落ち着いた。しかしこれではせっかくヒーターを入れたとはいっても、あまり暖かくなさそうな気もするが…。
夕食を食べ終えたにゃんちくんが、ソファに飛び乗り、おもむろに丸くなった。
角型ということで、丸くなったにゃんちくんが入るとちょっとスカスカな感じ。でも、特に不満等はないようで、満足気に目を細めている。
しばらくはこれで様子を見てみよう。
*
20時過ぎ、みこりん達が音楽教室から戻ってきた。
リビングに入ってきたみこりんは、その時すでに笑い虫に取りつかれており、辛抱たまらんといった感じに笑い転げていた。いったい何がそんなに面白いのか。このまま笑い死にするんじゃないかと心配になるほど、みこりんは笑い続けた。
あとでこっそりみこりんが教えてくれたことによれば、ソファにちょこんと収まっているにゃんちくんの姿がツボにはまったらしい。
箸が転んでもおかしい年頃、なのかも?
2006.12.5(Tue)
動物病院にて
じっと観察していると、5分〜10分に1度程度という非常にゆっくりとしたサイクルではあったが、にゃんちくんの背中がぴくっとして、なんとなく咳込んでいるような症状があった。はっきりと咳をしているとは感じられないのだが、小さく 「けふ」 といった具合に、何か体内で起きているらしい。もしかすると咳ではなく、しゃっくりなのかもしれないけれど。
もうしばらく様子を見てみるという選択肢もあったが、何か重大な病気の初期症状だったりしては大変なので、退社後、動物病院に連れて行くことにした。
にゃんちくんは滅多にキャリングケースに入った事がないので、そこに入れるだけでも一苦労。でも今回は病院の診察時間が午後7時までということもあり、迅速な行動が要求される。会社から家まで40分。家から動物病院まで30分は軽くかかる。ここで手間取っていてはいけない。
そこでキャリングケースを諦め、洗濯ネットに入れてゆくことにした。これなら抱き寄せて油断している隙に、すぽっとお尻から被せればOK。じつにお手軽だ。そのまま抱っこしてクルマの助手席にネットにくるまったにゃんちくんを乗せ、発進。
にゃんちくんは石のように固まって、呼吸するのも忘れたかのように静かだった。時折名前を呼んでやりつつ、病院に到着。ここに来るのもずいぶん久しぶりだったが、その間に病院は駐車場だったところに新築移転しており、2回りほどでっかくなって迎えてくれたのだった。
二重扉の自動ドアを抜けると、新築特有の香りに包まれた明るい待合室が広がっており、受け付けには若い女医さんが一人いた。以前にはいなかった人だ。もともと夫婦2人で運営されていた小さな病院なのだが、建物がでっかくなると共に、人手も不足してきたのだろう。
祭日のみ休診、それ以外は一年中フル稼働状態、しかもよその動物病院では断られるハムスター等の小動物も診てもらえるとあって、固定客が増えていったにちがいない。
にゃんちくんの診察カードを女医さんに渡し、症状などを軽く説明する。私の他には3人ほど先客がいたのだが、定期検診みたいな感じだったらしく、ほどなく私とにゃんちくんだけになった。
改めて病院内を観察してみると、診察室だけでも3つくらいあるのがわかった。そして犬と猫に分けられた入院施設も発見。2階にも何かありそうだったが、そちらを探検してくる前に、名前を呼ばれたので、診察室へ。
洗濯ネットからにゃんちくんを出し、診察台の上に乗せた。ただでさえ人見知りの激しいにゃんちくんは、見知らぬ獣医さんを警戒して耳を伏せ、低い声で唸っていた。ちなみにこの診察台は体重計も兼ねており、その表示によれば、にゃんちくんの現在の体重は3.2kgらしい。前回(2年前)計った時には2.2kgくらいだったと思うので、だいぶ大きくなったようだ。たしかに最近の食欲はものすごく、朝、晩ともにがつがつとあっという間に食べ尽くす。とても元気そうだが…
改めて先生に症状を説明し、近頃の食欲や様子などを伝え。女医さんがにゃんちくんを押さえてる間に、院長先生が体の各部をチェック、そして体温測定。
特に目立った異常はみられないらしい。
そこで、にゃんちくんが年に2〜3回、激しく咳込むことがあることも伝える。咳込んでる時間は5秒ほどで、私もまだその場面を直接見たことがないうえに、駆けつけたときには、にゃんちくんはすでにけろっとした表情になってるため、本当に咳込んでたのかすらあやしくなってくるほどの稀な現象なのだ。先生も、しばらく「うーん…」と何事か考え込んでから、「もしかしたら喘息の可能性もあるので、レントゲン撮っておきましょう」ということになった。
女医さんに抱かれて奥のレントゲン室に消えてゆくにゃんちくん。暴れないといいんだけど…。女医さんの手の甲には、無数のひっかき傷があった。痕に残りそうなほどの深い傷もあり、ハードな一日を想像させるに十分だった。
院長先生が2階へと上がっていく。もしかすると装置本体は2階にあるのかもしれない。なんだかものすごい巨大な装置をイメージしてしまい、ぞくぞくとする。
しばらく待った後、奥の部屋に案内された。Dellのマシンが鎮座しており、29インチほどの高解像度LCDに、4分割されたにゃんちくんのレントゲン写真が表示されている。左、右、下、上と、全身くまなく撮られていた。
私の目にも心臓やら気管、肺の血管、胃腸の区別がつくくらい、くっきりと写っている。にゃんちくん丸裸状態だ。
先生が懇切丁寧に説明してくれたところによれば、これをみる限り、今すぐに何か重大な疾患にかかっている様子は見られないらしい。ただ気管の入り口付近がやや狭くなってるのが気に掛かる。でも、その咳込む症状が出てる時か、その直後くらいに見ないとはっきりとはわからない、とのこと。んー、年に2〜3回だからそれもまた難しいかもしれない。
とりあえず喘息系の薬を処方してもらうことになった。
女医さんに抱かれたにゃんちくんは、もう唸ってはいなかったが、洗濯ネット越しに見える表情は、とても固かった。にゃんちくんを受け取り、待合室の椅子に腰掛けると、ようやくにゃんちくんも一息つけたのか、ぐっと体重が重くなったような気がした。
そして支払い。
「九千四百円になります」
うはっ、やっぱ保険効かないと高いな。財布から有り金をはたいてみたが、あと200円足りないことが判明。し、しまったぁ。
その様子を見ていた女医さんが、カードでも払えることを教えてくれた。そう言われてみれば、レジの所にカードの一覧が表示されていたような。
いや実際のところカード払いでもなければ、いちいち現金で用意するのは大変だ。
帰宅。助手席とドアの隙間に頭をつっこんでびびっているにゃんちくんをどうにかクルマから降ろし、家の中へ。チーッ、と洗濯ネットを開け、そこから出してやると、ほっと安心したかのように「にゃぁ」と鳴いた。
よしよし、晩御飯にしような。処方された薬は粉薬。にゃんちくんの缶詰に混ぜてしまえば、薬が入っていることはわからないはず。
案の定、にゃんちくんはいつもどおり、ぱくぱくと食べ、途中、不審がることもなかった。
なんともなければよいが、推定8歳を越えるにゃんちくんだけに、油断大敵である。
2006.12.6(Wed)
あの疑問
Webで地上波のテレビガイドを見ていたらしいみこりんが、唐突にこう言った。
「ねぇ、『14歳の母』って、どういうこと?」
…んーーーーーーーーーーーーー、と。
何か気の効いた答えを考えてみたものの、思いついたのは結局…
「14歳で母になることじゃないかなぁ」だった。ひねりもなんもない、そのまんまの答え。っていうか、これじゃ答えになってない。
だがしかし、みこりんは「……ふーん」と言ったきり、何事か納得している様子だ。
幸い、このあと、さらなる追究はなかった。
みこりんは今現在9歳なので、14歳というとまだまだ先の話ではあるのだが…。ちょっと気になるのだろうなぁ。
今のうちに何か良い説明を考えておかねばなるまい…。
2006.12.7(Thr)
フリーダム
12月に入ってから、みこりんの通う小学校にも、各教室にストーブが設置され、暖かな日々を過ごしていたらしいのだが、みこりんのクラスでは今週に入り、ストーブ禁止令が出たそうである。「なぜ?」と問う私に、みこりんはこう答えてくれた。
「教室の中で男の子が走ったから」
くわしく状況を聞いてみたところ、ストーブを教室に入れる代わりに、教室内では走るの禁止という取り決めがなされていたという。それなのに、一部の男子が教室内で走ってしまったため、ストーブは封印されてしまったということらしい。
安全対策上、そういう取り決めがあるのは自然なことだと思ったが、みこりんの学校ではストーブの周囲に柵が設けられておらず、立ち入り禁止区域を示す赤いビニールテープで囲われているだけなのだそうな。
私の子供時代はどうだったかと古い記憶を呼び覚ましてみると…、たしか教室のストーブの周囲には柵があり、手袋やら靴下なんかを干して暖めていたような気がする。私の育った四国では、もともと雪など滅多に降らない地域だったということもあり、ストーブが使われていたのはもっぱら小学校低学年だけだった…、はず。だから柵があったのかもしれないが。
とはいえ“走るの禁止”だけで“柵”がない、というのはちょっと問題ありのような気がする。禁止したところで、規則を破る子供は完全にはなくならない。だから、柵は最後の砦として設けられる必要があるのではなかろうか。もしも走ってストーブに突っ込んだりしたら、教室内大炎上という可能性も無きにしも非ず。
ところでその規則を破って走った男子というのが、例によって問題児。授業中に平気で騒ぐ、他人に迷惑をかける、etc...
以前、学級懇談会の時にその子の親に会ったのだが、自己紹介で「我が家の方針」として“自由”にさせているようなことを言っていた。まったく、こういう“自由”を履き違えた輩には閉口させられるばかりだ。
“自由”を享受するには、それ相応の“義務”の履行が必要だ。小学校における“義務”とは、規則を守る、他の子に迷惑をかけない、などが相当するだろう。このような“義務”の履行を伴わない“自由”は、ただの我侭である。
みこりんの学年は2クラスしかないため、この問題児とはずっと一緒になる可能性が高い。今後も要チェックである。
2006.12.8(Fri)
黒猫
会社を目前にした最後の交差点を過ぎたあたりで、その事故は起こった。
道路の左側にある空き地から、黒猫が1匹、ててててっと走ってきて、道路を横断しようとした。私はその猫が空き地にいる時から気付いていたが、私の前にいたクルマの運転手は、まったく見ていなかったらしい。道路に猫が出てきても減速することなく、そのまま突っ込んでいったのだ。
黒猫はクルマが自分に向かって突っ込んでくるのに気付くと、大慌てで引き返そうとした。だが、その時にはすでにクルマは猫の頭上にあり、なおも脱出しようとする猫の下半身を、左後輪で轢いていったのである。
タイヤからはみ出した猫の前半分が、まるで地面から生えてきてるような感じの、とてつもなく不条理な光景。
クルマはそのまま猫を轢き、何事もなかったかのように走り抜けていった。
轢かれた猫は、一目散に空き地を駆け、民家の影に消えていった。その時の後ろ足は奇妙に曲がっており、下腹を地面にこすりつけるようにして這っていったのを、私の目はずっと捉えていた。ほんの数秒の出来事が、とても長く感じられた。
下半身をタイヤにもろに轢かれて無事で済むとはとても思えない。私も一度、足の甲をクルマのタイヤに通過されたことがあるが、ゴムとはいえ圧倒的な圧迫感があった。足の甲のような骨と筋肉だけの部分ならまだしも、内臓を含む下半身をあれにやられては、内臓破裂は免れないのではないか。いくら体の柔軟な猫とはいえ…。
這いながら姿を消した猫の事が、その後もずっと脳裏をかすめ、ぞわぞわと胸の奥がざわついたまま今も、こうしてキーボードを打っている。
あの時、クルマを停め、猫のあとを追うべきではなかったのか。そのことだけが悔やまれてならない。
2006.12.9(Sat)
ネットゴースト
みこりんが学校の図書室で借りてきた本を、しきりに薦めてくれるので、ひょいと手にとりページを開く。タイトルは『マジックショーは死のかおり―平成うわさの怪談〈9〉』(小暮正夫、国松俊英 編)、みこりんお得意の怪談ものであった。
目次を見ると、12篇の小作品を集めて1冊の本にまとめてあるらしい。
最初の話は、『インターネットはあの世の入口』(石崎洋司 著)。MMORPG、いわゆる多人数参加型のネットワークゲームを題材にした“怪談”であった。
ネットワークゲームを実際にやったことがないと、あまりピンとこないかもしれない。だが、初版2004年という時代背景を考えるに、もはや子供たちの間ではネットワークゲームは一般常識化しており、特別なものではなくなっているのだろう。
ネットワークゲームで知り合った“友達”が、じつは………
という展開に、ふっと“ネットゴースト”という言葉を思い出す。
“ネットゴースト”、懐かしい言葉だ。
90年代、まだインターネットが一般に普及する以前、パソコン通信全盛期の頃、夜な夜なチャットにはまっていたという人ならば、おそらくこの意味するところは語らずとも感覚的にわかってしまうのではないだろうか。
ネットの向こう側で、チャット画面に表示されているテキストを打ち込んでいるのが、本当に生身のヒトだと、どうしてわかる。もちろんオフ等で知ってる間柄ならまったくそんな心配もないけれど、チャット空間には突如として見知らぬ人がやってくることもある。それが真夜中で、部屋の灯りを落とし、ブラウン管の発光だけがこの世のすべての光であるかのような状況だと、雰囲気としては申し分ない。
でも、そのうち本当にネットゴーストのように振舞うコードの断片が、インターネットに放たれるかもしれず…。そうなってくると、ネットゴーストなのか、ただのコードなのかという新たな問題も出てきそうで、なかなか愉快な世の中になりそうである。
みこりんに借りた本は、1時間ほどですべてを読み終えることができた。これまでの体験談風な学校の怪談シリーズよりは、物語としての完成度はかなり高くなってきている。さすが中学年対象図書だ。
みこりんが薦めてくれた理由が、なんとなくわかったような気がした。
2006.12.10(Sun)
冬支度
12月ともなれば、そろそろこのあたりも雪が降ってもおかしくない時期である。昨年はスタッドレスタイヤの交換時期を甘く見積もっていたため大変なことになってしまったが、同じ過ちは二度と繰り返すまい。
Webで週間天気予報をチェック。むこう1週間、雪の気配は感じられないが、最低気温が2度とかいうのを見て、決心した。タイヤ交換は、今日行うこととする。すでに夕方に差し掛かりつつあったが、1台30分と仮定しても1時間あれば終わる計算だ。
みこりんが「なに?みこりんもお手伝いしたい!」と、先頭きってガレージへと向かっていった。その心意気やよし。大いに手伝ってもらうとしよう。
まずガレージに2台並んでるクルマのうち、私の方を出し、脇へ停め、Licのクルマをガレージの中央へ移動。後部ドアを開けると、みこりんが珍しいものを見る目つきで、隠しアイテムのように巧みに収納されているさまざまな工具を取り出す私のようすを見ていた。
準備は整った。
積み上げてあったスタッドレスタイヤを降ろし、4本並べる。タイヤの磨り減り具合を確かめてみると、2本ほどやばそうなのがあった。みこりんが、どんなタイヤが危ないのかと質問してきたので、実物を見せつつ、「ほら、ここの溝が磨り減ってて消えかかってるでしょ?」と言うと、首を大きく頷かせて納得。
磨り減り具合の少ないやつを駆動輪の前輪へ、磨り減ってる方を後輪へ。このへんの仕組みも軽くみこりんに説明してやったが、それなりにイメージはできたらしい。
ジャッキアップをやりたいというので、任せてみた。ジャッキを咬ませる位置があることを教えセッティングは私が行い、あとのハンドル操作を見守っていると、徐々に車体は上昇し、やがてタイヤが地面から浮き上がった。ほぅ、なかなか力強くなったものだ。
ナットを外し、タイヤをごばっと抜いて、スタッドレスタイヤをはめ込み、再度、ナットで絞めこみ、1本終了。
2本目からは、ジャッキアップだけでなく、タイヤのナット外しと締め込みもやりたいと言うので、コツ等少々伝授しつつ、見守ってみる。最初のナットを緩め始める時と、最後のナットを締めこむ最終段だけは、私がやったが、あとはみこりんだけでどうにかなった。さすが小学3年生だけのことはある。十分、みこりんも役に立つようになったことに、感動を禁じえない。
こうして順調にタイヤ交換は進んでいったが、3本目のスタッドレスタイヤの締め込みが終わり、ジャッキダウンしていた時に、それは起こった。
みこりんが「おとーさん!たいへん、パンクしとるよ!」と、指差している。
私はジャッキから手をどかし、みこりんの指差す方を、見た。
「な、なんじゃぁ、こりゃぁ!」
ジャッキダウンすると共に、タイヤの方もふしゅるるるる〜と空気が抜けて、ホイールが地面に接触する寸前で止まっていた。
仕方がないので、再度ジャッキアップし、パンクしたタイヤを取り外し、元のノーマルタイヤを付け直す。いずれにしても磨り減ったスタッドレスタイヤは新品と交換する必要があるので、パンクしたやつはトランクにぽいっと。
4本目は、特に不都合なく交換完了。以上で1台分が終わったのだが、ここでみこりん満足してしまったのか、「おうち入る」と言って玄関へと消えていってしまった。
残された私は、ガレージのクルマを出し入れして、私のクルマをセッティング。黙々とタイヤを外し、スタッドレスタイヤを取り付け……。この段階で、夕日は急速に山の向こうへと沈んでしまいつつあり、周囲は濃い闇に支配され始めていた。そう、暗すぎてタイヤのボルト穴の位置決めができないくらいに orz...
太陽沈むの早すぎ。冬なんて嫌いだ。と思ったところで、どうにかなるものではない。そこで、今一度、みこりんを召喚することにした。
DSで『ポケモン』の戦闘中だったみこりんだが、一時停止しておけば大丈夫と、快くお手伝いしてくれることになったのである。ありがたやありがたや。
みこりんに懐中電灯を持ってもらい、穴の位置を照らしてもらえば、タイヤはすぽっとはまり、ナットを締め、1本終了。
この調子で残る3本もお願い。
そして最後の1本を取り付け終えると、みこりんはダッシュで玄関方面へと消えていった。一刻も早く、一時停止にしてあるポケモンのバトルを再開したいのだろう。
私は軽く疲労を訴え始めている腕、腰、足などを気にしつつ、クルマを2台とも、元の位置に戻すのであった。これで一応冬支度はできたことになるが、Licのクルマの方は、磨り減ったのと、パンクしてるのを新品に交換する必要があるので、まだまだ油断禁物だ。
雪は、唐突に降り始めるものだから。…しかし、例年ならばもう初雪降っててもおかしくはないのに、いまだその気配なし。もしや今年の冬は、暖冬、なんだろうか。私には願ってもない事だが、みこりんはソリ滑りできなくなるので、大雪降ってほしいらしい。んー、大雪は……、週末限定でなら可、かな。
2006.12.11(Mon)
夜の散髪
デスマーチに突入しているソフト開発の火消し要員として、私を含む数名が新たに召喚されてしまった。ソフト開発のできる人間なら見境いなく部門を越えて呼び出しがかかっているもよう。スケジュールの締め切り間際で続々と人を投入している時点で、すでにこの開発は相当にやばい状況なことはある程度想像していたが、まさかここまで……。
まぁそんなこんなで、その現場まで毎日通うことになったのだが、そこは私の所属する部署が入ってる建物からは徒歩約15分くらいの距離にあった。午前中に一往復、午後に一往復、そして今日はおまけに社内の健康診断があったので同じく徒歩15分くらい離れている建物まで一往復。
合計すると、なんと1時間半も歩いている計算になる。これを毎日繰り返したら、とてもとても健康によさそうだ。
それにしても今日はいい天気だった。屋外では作業帽を被ってないといけないので、髪が蒸れてばさばさだ。しかも目に入るくらい伸びてるので、鬱陶しいことこの上ない。
そこで、風呂に入る前、ちょっとだけ前髪を切っておこうと散髪用のハサミを手に、洗面台の前でちょきちょきやってると、みこりんが自分の前髪もだいぶ伸びてきたので切ってほしいと言った。ん、とーさんのが終わったら切ってあげる、と答えたものの、ちょっとだけのつもりが、いつのまにか本格的な散髪へと移行していたのだった。
前髪を切ったら、側面も気になりだしてハサミを入れる。すると当然のように後ろ髪も…。
みこりんが「おとーさん、ちょっとだけっていったのに、めちゃ髪型変わってるやん」と、湯船につかりつつ鋭い指摘を放ってくる。でも、こうなってしまっては、もう誰にも止められないんじゃよ。
後ろ髪は自分ではできないので、Licを呼んで、ばっさりとやってもらった。背中をぱらぱらと落ちてゆく髪の毛の感触が、なにやら心地よい。
やがて散髪は終わった。頭がものすごく軽くなった気がする。いや実際、相当の髪が床に堆積していた。「で、これ、誰が掃除するん?」とLicが言う。あ…、私がやります、風呂上りに…、いや今からすぐに。でもLicはとっとと私を風呂場に向かわせると、後片付けをやってくれていた。あぁ、後光が見えるようだ。
髪が短くなると、髪を洗うのも、タオルで拭くのも、ドライヤーで乾かすのも、すごい楽。……でも、何か忘れてるような…?
あ、みこりんの前髪!でもこの時すでにみこりんは夢の中。また今度、覚えてたら切ってあげよう。
2006.12.12(Tue)
擬音の罠
劇場版『どうぶつの森』、これのオフィシャルファンブックをLicに買ってもらったみこりんは、本の後ろの方に載ってるスペシャルまんがで笑いのツボを百烈拳で突かれたらしい。先ほどから悶絶死するのではと心配になるほど、笑い転げて止まらない。
どうやら「ペキッ」(ひざの鳴る音)とか「ピキッ」(着信音)とか「プキッ」(屁の音)とかいうのに、してやられたようだ。
うん、気持ちはわかる。私もそれを牛乳飲んでる時に聞いたら、きっと大変な事になってると思うし。
で、ちょっと前まで、みこりんは映画『ライアンを探せ!』を観たいと言っていたはずなのだが、今日からは『どうぶつの森』に変わったらしい。
主題歌『森へ行こう』を歌ってる大貫妙子の声を映画館で聴くのも、ちょっといいかも。…しかし大貫妙子といえば、私が中学生の頃からほとんど声質変わってないような。
さすがだ。
2006.12.13(Wed)
もこもこが欲しいみこりん
月初めに、にゃんちくんのソファを新調したわけなのだが、みこりんはそれがうらやましくて仕方がないらしい。曰く「にゃんちくんの、とても温かそう」「こういうのに寝てみたい」「みこりんもこんなのが欲しい」
ソファの内側についた、いかにも温かそうなもこもこが、みこりんの好奇心を刺激しているのだろうか。
でもみこりん、にゃんちくん用のだと小さすぎるんじゃない?と、聞いてみると、「大型犬用のがあるでしょ?あれならみこりんでも入れるから、大丈夫」なのだそうだ。大型犬、か…。たしかに大型犬が入れるサイズなら、今のみこりんでもぴったりだろう。でも…、大型犬用のソファって、あるんだろうか。私の知らないところで、みこりんは目撃したのかもしれないが。
ところで、みこりんがここまで猫ソファ型のもこもこで眠ることに執着しているのには、今みこりんが使ってるベッドの毛布や掛け布団が、朝になると半ば床にずり落ちていることが多い、というのも大いに影響してそうだ。時には、みこりん自身も床に半身が落っこちてることもあるらしい。いったいどんな寝方をしてるのか。
やはりベッドガードを取り付けてやるべきなのかもしれない。……それか、私のキャンプ道具の1つとして保存してある寝袋を試してみるというのはどうだろう。かれこれ20年ほど昔の代物だが、あれには随分と世話になった。きっとみこりんも気に入ってくれることだろう。もこもこしてるし。
2006.12.14(Thr)
夜の地震
22時を回ったころ、突然、大地が揺れた。下からズンと突き上げるような力が家を一瞬軋ませ、そして静かになった。
地震だ。
息を殺して、全神経を下側に集中させてみたが、それ以上何も起きる気配はなさそうだった。
夜の地震は、心臓に悪い。少しの揺れでも、体が過剰に反応してしまう。
やがて、階段を下りてくる小さな足音が聞こえ、がちゃりとリビングのドアを開けて入ってきたのは、みこりんだった。まだ完全には眠りの中に入ってなかったらしく、さきほどの地震ですっかり恐怖に取り付かれてしまったらしい。
「こわい」と訴えるので、急遽リビングに布団を広げ、みこりんを寝かすことにした。
今夜の地震は、たぶん震度1程度。でも、いつかは巨大地震がやってくる。シミュレーションでは震度3〜4の領域に、このあたりは入っているはずだった。
一度、耐震調査やってもらったほうがいいかなと思う今日この頃。
2006.12.15(Fri)
ソラノコエ
帰宅すると、ネット古書店に注文していたブツが届いていた。みこりんに「おとーさん、また何か買ったの?」とチェックされつつ、緩衝材で分厚く膨らんだ封筒を開ける。
『ソラノコエ』 angela
あぁ、ようやく手に入った。今年中に中古の出品がなければ、新品で買うかなと思っていたのだが、タイミングよく“入ったメール”が届いていたので速攻で注文した次第。
そして真夜中、おもむろにCDからPCに転送しつつ、再生してみる。
2曲目の“明日へのbrilliant road”と、ラストの“The end of the world”は、
やはり格別の思いを沸き立たせてくれた。この感覚は、たぶん『宇宙のステルヴィア』との相乗効果によるものなのだろう。しかし…、映像作品の方を知らなかったとしても、たぶんこれはツボにはまったであろう曲だ。
まさに出会うべくして出会ったような。
2006.12.16(Sat)
プレゼント選び
明日、団地の子供会主催によるクリスマス会が行われる。その余興の1つに、プレゼント交換というものがあるのだが、今日はその買出しのため、みこりんと共にスーパーにお出かけ。
さっそく2階のファンシーショップへと向かった。
みこりんが「ほら、いろいろあるやろう」と指差してくれたとおり、プレゼントの上限額である500円付近で、可愛い系なデザインの文房具セットがパッケージ化されて並んでいた。ほぅほぅ、プレゼントシーズンだものなぁ、なんて思いつつ、「じゃ、これで決まり?」と問えば、みこりんは「みこりんはそれ好きじゃない」と、きっぱりと言ったのだった。
セットものよりも、単品を1つ1つ吟味して選ぶのが、みこりんのこだわりであるらしい。
みこりんは、かなり時間をかけて無数に並んだ鉛筆を1本1本手に取り、しげしげと眺め、また戻し、山と詰まれた消しゴムから丹念に自分の感性に響くものを探している。
まだまだ時間がかかりそうなので、私はちょいとそのへんを軽くひとまわり。ふたまわり。さんまわり。『DS完売しました。次回入荷は未定です』の貼り紙が、ちょっと哀しい。
そろそろいいかなと、みこりんの篭ってそうなコーナーに入っていくと、鉛筆、消しゴム、メモ帳の3品を手にしたみこりんを発見。どうやら決まったらしい。見せてもらうと、それらはすべて同一のキャラによる品だった。バラで売ってるだけあって、1個1個の値段もそこそこするため、1種1個ずつで限度額に達してしまった。
量より質、か。なかなかこだわりのある選び方をするなと、少し感心する。
クリスマス梱包をしてもらい、みこりんはご機嫌だった。まるでそれが自分のものであるかのような喜びようだ。
明日、みこりんはどんなプレゼントを交換してくるのだろう。みこりんの厳選したプレゼントをもらう子は、それを喜んでくれるだろうか。みこりんは自信満々のようだが、それだけに外した時のショックを考えると、私はちょっと複雑な心境だった。
うまくいきますように。
2006.12.17(Sun)
子供会主催クリスマス会
朝方、夢の中に没入していたところを、みこりんによって現実へと呼び戻された。
窓の向こうがまばゆく輝いて、とても眩しい。でも、家の中に漂う冷気は、半端ではなかった。指先の感覚が…、消えそうなくらい寒い。
そんな中、みこりんは一人早起きして何をしていたかといえば、今日の子供会主催によるクリスマス会の、昼食に使う米を計っていたのだった(例年、自分の食べる米は持参ということになっている)。冷蔵庫に貼ってある案内状によれば、“米1kg”と手書きで追加されている。これを忘れたら一大事だ。
みこりんは、自力で料理用の薄型はかりを探し当てており、その上にビニール袋を乗せ、米びつからカップで1杯ほど米を移し終えていた。そして、みこりんが困ったような表情で言う。「おとーさん、1kgってどのくらいなの?」
この料理用はかりは、最大1kgまでのものが計れるタイプだった。そこで、みこりんにも直感的にわかりやすいように、手でぐるっと円を描き「針が一周したら1kgだよ」と教えてやる。「…ふーん。じゃ、まだまだやねぇ」みこりんはさらに追加の米を袋に移し変えようと…。
ここで、何かがおかしいと気がついた。1kg?まじで?1kgっていったら、めちゃ多くない?カップ1杯で100gほどだから、10杯分…。お昼のカレー用に一人1kgも米は必要ないような…。
みこりんもちょっと怪訝そうな表情である。たぶん、みこりんも1kgは多いと思っているのだろう。
そこでLicに確認してみたところ…、米1kgとLicに伝えたのは私だというのである。今明かされる衝撃の真実!
しばし記憶をまさぐってみる…。
そうだ、子供会の連絡網の電話を受けたのは、確かに私。そして私の耳には、「米1kg」の記憶がくっきりと刻み込まれ、それをそのままLicに伝えた。
な、なんてこった orz...
1kgじゃなくて1合の聞き間違いだ、きっと。
真相が明らかになり、心配そうなみこりんの表情も、ぱっと元に戻ったような感じ。
1合分の米をしっかりビニール袋に詰めて、準備完了。あとはクリスマス会に行くばかり、なのだが、その前にやることがあった。今日はクリスマス会であると同時に、みこりんの音楽教室の発表会が行われる日でもあるのだ。発表会そのものは午後遅くからだが、そのためのリハーサルがちょうどクリスマス会のはじまりの時間とかぶっているのだった。
リハーサルはエレクトーン発表会には不可欠なものなので、まずこっちから片付けることにする。クルマで15分ほどの、いつもの会場に到着。分単位でリハーサルやってるので、遅れたら大変大変。リハーサルといっても、演奏者向けのものではなく、もっぱら音響効果(エレクトーンは事前に音色データをメモリに記憶しておき、演奏時に使用するため)の調節がメインのもの。
みこりんの音色データに修正が施されることになった。それを待つ間、約40分ほど。
書き換えの終わったメモリを受け取り、団地へと引き返し、そのままクリスマス会場の公民館までみこりんを乗せてゆく。時刻は午前11時というあたりだったので、まだビンゴ等の余興には間に合うだろうと思っていたのだが…、すでに昼食の配膳が終わったところだったらしい。なんだか展開がものすごく速いような。少々びっくりしつつ、みこりんを会場に残し、私は家へと帰還した。
*
12時を告げるチャイムが団地内に鳴り響いたあと、しばらくして“がちゃり”と玄関のドアが開いた。
驚いたことに、そこにはみこりんの姿があった。クリスマス会が終わったので、帰ってきたのだという。例年、午後の2時くらいまでやってるので、かなり意表を突かれた。だいたい11時にもう昼食開始っていう時点で、すでにちょっと妙な感じではあったのだが…。まぁそれはそれとして、みこりんの様子がなんだかおかしいことに、私とLicは気付いていた。なんというか、こう、いかにも何かあったんじゃないかなと思わせる風なんだけど、みこりんは極力普通にしてようと努めてる感じの違和感があった。
クリスマス会で何かあったのだろうか。Licがさらっとみこりん本人に質問してみたりしたものの、黙して語らず。んー、やはり何かあったんだろうなぁ。でもまぁこういう時には無理に聞き出そうとしてもうまくいかないだろうから、しばらくそっとしておくことにする。
午後の発表会までの数時間、にゃんちくんと戯れたりなんかしつつ、静かな土曜日を堪能し。
クリスマス会で何があったのか、何故、みこりんは妙だったのか。それは、発表会後に判明したのだった。
発表会
15時55分、発表会開演。
ソロ部門、総勢26人によるエレクトーンとピアノの演奏が始まった。例によって年齢の小さい順なので、今年9歳になったみこりんは、もはや後ろから数えた方が早くなっていた。たしか去年は中学生や高校生もいたような気がするのだが、今年は最年長の子でも11歳ということもあり、余計みこりんがお姉さんっぽく見える。
みこりんがこの音楽教室に通い始めた保育園年少組さんの頃から、グループレッスンではずっと一緒だった他の二人の女の子も参加していたのだが、改めて「大きくなったなぁ」と思う。みこりんの場合は日々観察しているので、目に見えて大きな変化を感じることはあまりないが、この二人については普段見慣れていない分、この時期の子供の成長力に驚かされる。
さて、順調に演奏は進み、ようやくみこりん達の順番が回ってきた。三脚にセットして待機していたビデオカメラを撮影モードの位置まで移動させ、録画開始。
今回は最前列のお母さん達が、ごっつい三脚を使っていたこともあり、やや視界クリアとは言い難い条件ではあったのだが(三脚使ってる時には液晶ビューは閉じておいて欲しかった…)、比較的舞台に近い席を確保できていたので、そこそこ問題なく撮影できた。
で、肝心の演奏は、というと…。みこりん作曲によるチョコボをテーマにした曲は、広大な砂漠を優雅に駆け抜けていくようなイメージに仕上がっていて、わりといい感じに思えた。普段、家では滅多に練習しないため、私があまり聞き慣れていなかったのもあり、よけい新鮮に感じたのかもしれないけれど。
昨年のサンドアートにインスパイアされて完成した曲もそうだけれど、どことなくみこりんオリジナルのゆったりとした幻想的な雰囲気は共通しているような感じ。右手の主旋律はほぼみこりんの手によるもので、左手とベースは先生によって調整されているらしいのだが、たぶんこれは先生の好みというよりは、みこりんがこういう感じの曲を得意とするのだろう。同じ先生に指導を受けている他の子達も、何年か続けて聞いていると、みこりんと同じくそれぞれに独自の世界観があるみたいで、聞いていて「あぁたしかにこの子は、こんな感じの曲を創ってたな」と思い出すのだった。
ところで、演奏がすべて終わり、最後に出演者全員が表彰されている場面を撮影している時、私は一抹の不安に突如襲われることとなる。
ファインダーの片隅に表示されている撮影時間が、妙に短いような気がするのだ。みこりんも含めてお友達6人分を撮ったのだから、少なくとも30分くらいはあるはずなのに、今表示されているのは、わずか7分ちょっと。…ありえない。嫌な予感。
ホールの照明が通常モードに切り替わり、皆がぞろぞろと退出を始めた時、私は席に座ったままビデオテープを巻き戻し、おもむろに再生を始めていた。
液晶ビューに表示されている映像は、どう見てもこのテープに以前録画されていた古い映像だった。そして時折、ストライプ模様のように、今日の新しい映像が割ってはいる。………、し、失敗や orz...
このビデオカメラを買ってから、およそ9年。これまで大きな故障もなく黙々とその仕事をこなしてくれたハンディカムにも、ついに寿命がやってきてしまったらしい。
今日の演奏を録画できなかったショックとも相まって、私の気力メーターはほぼゼロに落ち込んでいた。HDビデオカメラが登場しつつある今日この頃、旧式のDV方式を今更どうにかしなければならないというのも、ちょっと…。しかし撮りためたテープをすべてPCに取り込んでいない状況では、これを修理するより他に方法がない。あるいはDVを再生できるマシンをどこかで安価に買ってくるか…。
ま、保存できなかったものはしょうがない。私のリアル記憶媒体には不完全ながらも記録できているので、まったく思い出が消滅したわけでもなく。
と思い直し、ホールを出る。演奏会を聞きに来てくれていた義妹夫婦から、冬場をしのぐ貴重な食糧のおすそ分けをいただき、感謝しつつ、それぞれに帰路につく。
帰り道、スーパーで寄り道。軽く夕食をすますと、みこりんはファンシー文房具コーナーでの買い物に夢中になっていた。そう、みこりんが昼間、クリスマス会のあと、妙な感じになっていたのは、プレゼント交換で回ってきた品が、自分の用意してきた厳選ファンシー文房具3点セットよりも、みこりん的にポイントがかなり低いものだったかららしい。みこりんは前日プレゼントを選んでいるうちに、ついつい自分も欲しくなってしまっていたようなのだ。
というわけで、大いに買い物を堪能させてみる。その間、私は店内を一周り、二周り、三周り、ついでに本屋で立ち読みなどしつつ、そろそろいいかなーとみこりんの元へ戻ってみると、まだまだ熱心に選んでいる真っ最中だった。
Licは言う。「女の子の買い物は長いものなの」
そ、そうだね。じゃ、もう1周〜
*
夜、みこりんはご機嫌だった。悩みぬいて選んだファンシー文房具がうれしくて仕方がないらしい。鉛筆、メモ帳、消しゴムにキャップ。昨日のよりも、ちょっとグレードアップしている。
なかなか微妙なお年頃である。
2006.12.18(Mon)
文房具
夜、みこりんがお友達に手紙を書いている。使っている鉛筆やメモ帳は、昨日じっくり吟味して買ってきたファンシー文房具だ。消しゴムは使ってしまうと汚れるからか、普通のやつを使用していた。
いったいどんな手紙を書いてるのかな?と、そーっと覗き込もうとすると、「見ちゃだめ」と、視界をシャットアウトされてしまった。
仕方がないので、みこりんが書き終わるまでヴァナ・ディールの街並みを散策しつつ、競売で掘り出し物なんかを探してみたり。
手紙を書き終えたらしいみこりんが、メモ帳を一枚切り取って、今度は封筒を作り始めた。半分に折って、その中に書き終えたばかりの手紙をさらに小さく折り畳んで、はさみこむ。左右の2辺をテープで留めて、口を折り曲げると完成だった。
メモ帳自体がもともとミニサイズなので、出来上がった封筒はみこりんの手のひらにすっぽりと収まっている。とても小さい。そのちっこいところが、ファンシーな図柄とも相まって、さらに可愛さ倍増である。
みこりんはメモ帳の上に封筒を乗せると、両手で大事そうに捧げ持つような感じに、そろりそろりと2階へと上がっていったのだった。たぶん明日学校で、お友達に渡すのだろう。
*
真夜中、そっとみこりんの部屋を覗いてみると、ベッドサイドに置いた小さなテーブルの上に、丸いクッションを乗せ、その中心に例のメモ帳とキャップ付きの鉛筆、そして封筒が置かれているのが見えた。まるでお供え物のような感じ。
よほど気に入ったとみえる。
まぁ、これほどの入れ込みようならば、昨日のプレゼント交換でショックを受けたのも、なんとなくわかるような気もする。ファンシー文房具の威力、恐るべし。
2006.12.19(Tue)
音の記憶
先日、中古でようやくゲットしたアルバム『ソラノコエ』から、“明日へのbrilliant road”を再生していたら、みこりんがふと「これ、聞いたことある」と呟いた。でも、どこで聞いたのかはすぐに思い出せないらしく、うんうんと悩み中。
この曲は『宇宙のステルヴィア』のオープニングであり、これが放送されていたのはみこりんが寝静まった週末の夜のことなので、みこりんとの接点はないような気もしたのだが…。
突如、みこりんがぱっと顔を上げて、こう言った。
「これ、おとーさんのケータイで朝、かかってたような気がする」
………、おぉ!そういえば思い出した。しばらく朝の目覚ましとして、メロディのみの“明日へのbrilliant road”を使ってたことがあった。たぶん2〜3ヶ月前、いや、それ以上前だったかもしれない。
「よく覚えてたね」と言うと、みこりんは、自分は耳で聞いたメロディはわりと記憶しやすいのだと答えた。その代わり、楽譜を読むのはちょっと苦手らしい。
いずれも音楽教室の進級試験でチェックされるスキルである。
以前、音楽教室の先生に、みこりんは耳が良い、と褒められたことがあるとLicが言っていたように思うのだが、たしかにそういう傾向はあるようだ。クルマに乗ってるときのBGMとして流してる甲斐バンドやREBECCAの、わりとテンポの速い曲を、みこりんがいつのまにか鼻歌で歌ってることもあるし。いや実際、みこりんがREBECCAの“フレンズ”など口ずさんでるのを初めて聞いた時には、そりゃドキっとしたものだ。
この調子でどんどんいろんな曲を聞かせてみたくなる今日この頃。
2006.12.20(Wed)
窓ガラスにリクエスト
クリスマスまであとわずか。この夜、ついにみこりんが自分の部屋の南向きの窓ガラスに、サンタさんへのリクエストを書いた紙を貼ったらしい。今年から寝る部屋が変わったことを、みこりんはずっと気にしていたので、自分の部屋の場所をサンタさんに教えてあげるという意図もあるようだ。
「もし、サンタさんが間違えてとーさんの枕元にプレゼント置いて行ったら、それってとーさんのモノになるのかな?」なんて冗談めかしてみこりんに言ってたりしたので、みこりんもだんだん不安になってきたのだろう。
さりげなくみこりんにリクエスト内容を聞いてみたところによれば、『たまスク』が最有力候補であることに変わりはないらしい。でも、“24色の色鉛筆セット”とか“百ます計算用の何か(固有名詞をみこりんは言ってたのだが、失念)”、DS用の『チョコボと魔法の絵本』、そして『Wii』などが、ずらずらっと書かれてあるという。
「それ全部?」と、平静を装いつつみこりんに確認してみたところ、それらの中からどれか1つをください、ということのようで、一安心。
去年のイブの夜は、手製のクッキーを枕元に置いてサンタさんをもてなしたみこりん。今年は「ケーキ作ってあげたい」と意気込んでいる。それだけ『たまスク』に対する思い入れは強いということだろうか。ただ、ちょっと気になったのは、『たまスク』の色指定だ。一度はブルーということに落ち着いてほっとしていたのもつかの間、「やっぱりホワイトがいいなぁ」、と呟くみこりんの内なる声に、ドキドキである。とはいえ、以前買った『たまごっち』のように“人気商品は色指定できないこともある”というのを身をもって体験しているためか、「もらえれば何色でもいい」と妥協の余地は十分にありそうで、色の心配はさほどしなくても大丈夫かもしれない。
ところで、Licがサンタさんにお願いしている『DS Lite』だが…。申し込んでおいた抽選は、ことごとく外れ。任天堂がクリスマス商戦用に大量投入してくるという話は、やはりただの噂にすぎなかったようだ。『DS Lite』は諦めて、来年新発売になるという新型DSに望みをたくすほかなし。
2006.12.21(Thr)
謎のポケモン
学校の怪談…、ではないが、学校の噂としてみこりんが聞いてきた情報によれば、DSの『ポケモン ダイヤモンド&パール』には、本来ゲットすることのできないポケモンが存在しているのだという。その謎のポケモンをゲットする方法を、みこりんは仔細に説明してくれたのだが、かなり怪しげなものだった。東へ何歩、西へ何歩、って、まるで何かの宝捜しのような…。しかもその方法でゲットしたとしても、代償としてDSが壊れてしまうんだとか。うーん、ますますあやしげな。
謎のポケモンはこれまでのところ3匹ほどの名前が挙がっているようなのだが、やはりこういうのはさくっとサーチエンジンで調べてみるのが早い。みこりんから聞いたポケモンの名前“ダークライ”で検索してみたところ…、ははぁ、たしかにそれらしい情報がずらずらっと出てくる出てくる。
みこりんの目がキラっと光り、その情報を記したページに釘付けである。私も一緒に読んでみたが、そういうポケモンのデータが入っているのは事実らしい。ただ、いわゆる隠しキャラではなさそうで、攻略すればゲットできるという類のものではないようだ。つまり、ゲットできること自体が、本来はあり得ないことらしい(今後のイベント等で封印が解除される可能性はアリ)。
ではなぜゲットしてる人がいて、しかもその画像までアップされてるのか、といえば…。プログラムの不正改造、あるいはプログラムのバグを利用して本来通れないはずのルートに入りゲットする。バグを利用した方法は、運が悪いとそのまま身動きとれなくなって、どうにもならなくなるっぽい。オンラインのRPGだと、身動きとれなくなってもゲームマスターによって救出してもらうことができるが(バグで身動きとれなくなったり、本来入れない所に行けてしまうというのは、あり得ないことではない。実際私もFFXIでそういう事態に陥ったことは何度かある)、オフラインのゲームの場合にはお手上げである。任天堂に送りつければ修理(というか復旧)してくれるらしいが、バグ技を“意図的”に使うのは自己責任で、ということになるだろう。
というようなことをみこりんに話して聞かせてみたところ、謎のポケモンの画像を見て正体が判明したことで、みこりんはほぼ好奇心を満たしたらしく(デザインがあまりみこりんの好みじゃなかったこともかなり影響してそう)、「DSがこわれたらいやだから、やらない」と言った。
ついでなので、こういう系統の情報が載ってる掲示板では、不用意にリンクをクリックしないことなども教えておく。ウイルス対策ソフトとスパイウェア対策ソフトを常駐させているとはいえ、用心するにこしたことはない。
2006.12.22(Fri)
金曜の夜
Licは職場の忘年会。みこりんはそのお供としてくっついて行ってるので、今宵はいつになく静かなリビングルームだった。
静か過ぎるのもちょっと寂しいので、例によって『ソラノコエ』をリピート再生させてみたり。
ヴァナ・ディールの世界では、今週始めに割と大きなバージョンアップがあり、新たなバトルフィールドが追加された。しかもバージョンアップ後に迎える初めての週末ということもあって、私の主な収入源である錬金術関連の品(薬品類)が、結構な高値で売れてゆく。この商機を逃す手はなく、さくっと合成して、ささっと競売へ。いかに安く原料を仕入れ、売れ残らないギリギリの値段に設定するかというのがこの時期の楽しみの1つでもある。
そんなことをやってるうちに、いつのまにか時は過ぎ、22時を回った頃、Lic達が戻ってきた。酔ってるわけではないが、妙にハイなLicとみこりん。楽しいひとときを過ごしてきたようである。
でも、風呂に湯を満たしている間に、みこりん撃沈。座布団を枕にして、すぅすぅと寝息を立てていた。そしてさらに夜は更けて、私がちょっと席を外してる間に、今度はLicがすやすやと夢の世界へ旅立ってしまっていた。
こうなっては、二人を寝室に連れて行くのは至難の業である。そこで私もそのままリビングで寝てしまうことにする。石油ファンヒーターは3時間で自動的に切れる仕様のため、夜明けまではもたない。今は温風が心地よいが、寝ている間に凍ってしまっては大変なので、寝室からでかいダブルの掛け布団を1つ持って降りてきた。
これを、互いに1本の線のように重なって眠ってるみこりんとLicに掛け、私はその隙間にそっと体を潜り込ませ、愛用の低反発マットを枕にして目を閉じた。みこりんが小さかった頃は、こうして1つの布団に3人で寝ても十分余裕があったものだが…、今は少々足の置き場に困ってしまう。
「大きくなったな、みこりん…」
こうして金曜の夜はひそやかに過ぎてゆくのであった。
2006.12.23(Sat)
『どうぶつの森』
お友達が今日、映画『どうぶつの森』を観に行くのだということを、ちょっとうらやましそうに話す、みこりん。こういう時は、たいてい“自分もそうしたい”という願望を言外に告げているパターンなことが多いので、おそらく今回もそうなのであろう。公開初日、しかもクリスマス目前の土曜日ということもあり、混んでいることは予想されたが、最寄の映画館は全席指定のため、早めにチケットを買ってしまえば問題なし。
というわけで、「『どうぶつの森』観に行ってみる?」と、みこりんに聞いてみたところ、案の定「行く!」と即答だった。
さっそく映画館のサイトで公開時間など調べてみたところ、午前中の3回の上映にはちょっと間に合いそうもないが、午後からの2回については大丈夫そうなことがわかった。子供向けということもあり、夕方からの上映はない。
午後イチの上映に余裕で間に合うように仕度をし、1時間前には家を出る。出かける間際まで、髪型とか服の組み合わせに気を使っていたみこりんに、やや衝撃を受けたりなんかしつつ。まだまだ保育園な頃のちっちゃなみこりんのイメージが記憶に焼きついているので、現在とのギャップに驚かされること多し。
*
駐車場には、ほどよく空きスペースが残っていた。ふむ、この状態ならば楽勝かもしれない。みこりんを伴い、チケット売り場に並ぶ。待ち行列は、ほとんどなかった。…が、油断禁物。
私たちの順番になり、希望の座席を指定するわけなのだが、もっともリラックスして観られる中段最前列は、すべて埋まっていることが判明。次点の中段2列目通路側を2名分指定して、チケット購入することができた。早めに来ておいて正解だったかもしれない。
さて、朝食が遅かったとはいえ昼食抜き午後イチの上映では、途中でお腹がすくかもしれない。みこりんに何か食べ物を買っていくかと問えば、ポップコーン(キャラメル味)と即座に返答があったので、それを買い。いつもはレギュラーサイズをチョイスするところだが、今日はみこりんが「Sがいい」と言うので、ちっちゃい方にする。みこりんと私の2人しかいないということから、みこりんなりに考えてそうしたのだろう。ちょっと感心。
開始10分前、指定位置に着席。この時点では、ほどよく空席があったのだが、開始1分前くらいになると、一気に人が増え、ほぼ座席は埋まったような感じ。ほとんどが親子連れだった。女の子率高し。
映画は、冒頭からゲーム版と同じようなシーンから始まった。とはいえ、『どうぶつの森』は、決められたシナリオはないに等しいゲームゆえ、いったいどんな映画になってるのかというのは、私も気になっていたところだ。
途中、昨夜の寝不足がたたって「おとーさん、寝ちゃいかん」と、みこりんにつっつかれたりなんかしつつも、上手い具合にゲーム世界を映画の舞台として使ってるなと思う。主人公の女の子と深く関わってくるキャラを厳選してあるところとか、ゲーム内の小技をさりげなく表現してたりとか(木をゆすって果物を落とす、魚釣り、虫取り、ボトルメール、落とし穴、星空、化石 etc...)、なかなかツボを押さえた作品に仕上がっていたのではなかろうか。
そしてやはり大貫妙子によるエンディングは、絶品。みこりんも、この曲はとてもとても気に入ったらしい。二人して聞き入っていたのだが、ここで半数ほどの人が退場してしまったのは、ちょっと意外。そして案の定というか、曲が終わったところで、本編の続き(エピローグ)があった。うん、いい〆だ。
*
帰り際、隣接する大型スーパーの文具売り場で、みこりんが欲しがっていた24色の色鉛筆セットを買ってやった。パッケージのピンク色したやつが売り切れていて、青い方しか残ってなかったのだが、みこりんは「青い方がいい!」とやや興奮状態。かなり24色色鉛筆に飢えていた事を窺わせる瞬間だった。
小学校入学当時、学校がクーピー12色セットを推奨していたので、みこりんも今日までそれを使ってきた。しかし、クーピーは書きやすく消しゴムで消せるという特性をもつ代わりに、発色がよくないとか、鉛筆タイプの色鉛筆のように繊細なタッチが苦手とか、学年が進んでくるとデメリットが目立ってくるようだ。実際、みこりんのクラスでも、クーピーを今でも使ってる子は圧倒的少数派になってしまってるらしい。
こうして24色色鉛筆セットは、みこりんの宝物になった。
ところで映画といえば、『ライアンを探せ!』はどうなったのだろう。最初、みこりんはこっちの方を観たがっていたはずだが…?
みこりんに確認してみたところ、「それはもういい」んだそうな。『どうぶつの森』で満足しきったのか、あるいは、みこりんなりに映画は金がかかるというのを気にしてるのか。映画はあとでDVDでも観られるよ、と教えてやったことも影響してるかもしれない。
ま、今日のところは『どうぶつの森』でお腹一杯かな。
2006.12.24(Sun)
一日早いクリスマス
クリスマス・イブ。本当なら今夜サンタさんがプレゼントを持ってくることになっていたのだが、みこりんは今朝、枕元にプレゼントが置いてあるのを発見したのであった。なぜ一日前倒しになったのか。これには少々事情があった。
昨夜のこと。いつものように、私とLicが眠る前に、みこりんの様子を確認していると、枕元の丸いクッションの上に、なにやら手紙らしきものがあるのに気が付いた。そぉっと近付き読んでみたところ、それはサンタさん宛の手紙だった。
プレゼントを持ってきてくれたことのお礼などが書かれてある。
みこりんもプレゼントが届くのは月曜の朝、ということは知ってるはずなのだが、どうして土曜日の夜にサンタさん宛の手紙を置いたのだろう。我々はおおいに悩んだ。みこりんが一日早めてサンタさんへの手紙を書いたのには、おそらく何か理由があるはず。それは何か…。
考えうる理由の1つに、月曜日には学校があり、しかも夕方からは音楽教室まであって、もしもプレゼントが届いていたとしても十分に遊べる時間がない、ということが挙げられる。そういえばいつだったかみこりんが「月曜日にプレゼントが届いても、遊べるのは火曜日かな」なんて言っていたような…
そして私とLicは決断したのだ。一日早いけど、ここまで準備してるなら、日曜日にプレゼント届けても大丈夫なんじゃないか、と。実際、日曜に届いた方が、みこりんも十分それを堪能することができるんだし。
というわけで、隠しておいたプレゼントを手紙があったクッションの上に置き、手紙の方は例によって私がサンタさんの代わりにもらっておくことになったのだった。
*
そして朝。私が目覚めたときには、すでにみこりんは起動状態にあり、サンタさんからのプレゼントであるブルーの『たまスク』で遊びの真っ最中だった。
みこりんは私が起きてきたのに気が付くと、「おとーさん、今日ね、サンタさんプレゼント持って来てくれたんよ!」と、やや興奮気味に話してくれた。「今日ケーキを焼いてあげるはずだったのに」と、ちょっと残念そうなそぶりも見せたが、やはり『たまスク』の魅力には替え難いものがあるようで、さっそく公式サイトにアクセスし、クラスメイトを増やすべくミニゲームにチャレンジしているのだった。
『たまスク』本体は、『エンたま』や『ウラたま』との直接通信機能は持っているが、PCとの直接通信はできない。しかし、『エンたま』などと同じく、ログインNo.を入力することにより、本体のコピーをインターネット上に転送できる仕組みになっている。逆に、公式サイト上で得られたアイテムやキャラは、ログアウトNo.を『たまスク』に入力することで、ゲットするという仕組みである。
みこりんはすでに何人かのキャラをゲットしている模様。以前買った『たまスク』の攻略本が役に立っているようだ。
ところが、ロボッチをゲットする“四葉のクローバー探し”で苦戦中。その名のとおり、1分以内に画面上に表示された花壇の中から、四葉のクローバーを探し出さねばならないのだが、いくら目を凝らして探してみても、四葉は発見できず。私も参戦してみたものの、惨敗に終わった。…おかしい。これは視覚で探し出すのではないのかもしれない。どう見ても四葉なんてないし。
この仮説を補強すべく、サーチエンジンで同様の悩みを持った人の情報を探してみる。いくつかのサイトがヒットした。つらつらと読んでみるに、そのものズバリの解は載っていなかったが、目で探してもダメだってことはわかった。となると、やはり手当たり次第にクリックするほかなさそうだ。おそらくランダムに仕込まれているにちがいない。
みこりんは挑戦しすぎてややグロッキー気味だったので、Licが代わりに画面のクローバーを次々とクリックしてゆく。何度目かの挑戦の時、いつもは“ブブー”と鳴る音が、違う音になった個所があった。ついに、四葉のクローバー発見。
こうしてロボッチは、無事、みこりんの『たまスク』へと転入してきたのであった。
ところで、この『たまスク』だが、夕方頃、夜の食材を買いに出たついでにオモチャ売り場を覗いてみたところ、これでもかっ!と言わんばかりに在庫が豊富に並んでいた。これは予想外。もしかして“たまごっち関係”の売上伸び悩んでる、とか?
DSやWiiはまったく見当たらず。PSPだけが寂しそうに買われるのを待ってたのが、そこはかとなく哀れであった。なむなむ。
2006.12.25(Mon)
『チョコボと魔法の絵本』
今年はツリーを飾り忘れ、しかも昨日の朝、みこりんの枕元にサンタさんはプレゼントを置いていってくれたので、私の中ではクリスマスはすでに終わったような気がしていたのだが…。夜、Licがみこりんにプレゼントを手渡しているのを見て、あぁ今日はまだクリスマスだったんだと思い出す。
そのプレゼントは、私とLicからみこりんへ、という事になっているようだ。形状は、薄い正方形。クリスマスラッピングが美しく施されたその中身は、いったい何か。私もそれは知らない。…でも、なんとなくその形はCDか、もしくは…何かのゲームカートリッジ(正方形なのでたぶんDS用)を思い起こさせた。
みこりんがその美しいラッピングをびりびりと開封にかかったその時、私にひらめきが訪れた。これはあれだ、チョコボのゲームにちがいない。なんていったか…、最近DS用に発売されたあのチョコボの出てくるやつ。
中から出てきたのは、まさにソレだった。発売直後にみこりんに「やってみたい?」と聞いてみた時には、あまり乗り気ではなかったはずなのだが、実際手元に来てみると、やはり好奇心を刺激されるようで、さっそくDSに差込み、起動している。
そして付属のマニュアルをさらっと一読したのち、おもむろにゲームスタート。オープニングもなかなか美しく、愛らしいチョコボとみこりん一押しの可愛らしい白魔道士のシロマ、そしてみこりんちょっと怖い黒魔道士のクロマなどが登場してくる。
みこりんかなり気に入った様子。でも…、みこりんが眠りについたあとは、Licが遊んでそうな予感がひしひしとする。
*
真夜中、LicはDSに夢中であった。
2006.12.26(Tue)
『しあわせイッパイ!ゆめイッパイ!これがたまごっちの生きるみっちゲーム』
双方の実家からのクリスマスプレゼントということで、みこりんが日曜日に買ってきた『しあわせイッパイ!ゆめイッパイ!これがたまごっちの生きるみっちゲーム』。みこりんはずっとこれをやりたがっていたのだが、日曜日は買い物が遅くなって出来ず、月曜日は音楽教室とチョコボのソフトがあったので出来ず。というわけで今日、ようやく家族でやってみることになった。
いわゆる“人生ゲーム”系なボードゲームである。とりあえず始めてみた。
途中、不明な点が出てくるとLicが取説を読みつつ、ゲームを進める。
駒を進めるのに使うのは、ルーレットでもサイコロでもなく、おみくじだった。一握り程度の大きさの箱の中に薄い板状のおみくじが6種類入っていて、この箱をかちゃかちゃと振り、出てきたくじの目で駒を進めたり、条件分岐に使う。1〜6までの数字と、吉とか凶などの文字も一緒に書かれてあるのだが、ゲーム進行には今のところ数字しか用いていない。吉凶が役立つときはあるのだろうか。そんなことを気にしつつ、ゲームは進む。
対象年齢が6歳以上ということもあり、難易度はさほどではなく、一度やれば覚えてしまえる感じ。普通にスゴロクやってるのと大差ない。途中で自駒に家族が増えたり、アイテムをゲットしたり、資金が増えたり減ったりというオマケはある。
しかし、このゲームの本当にすごいところは、すべての参加者がゴールしてから発覚した得点の集計方法だった。
家族、資金、アイテムのすべてを、“ハッピーポイント”と呼ぶものに換算するのである。家族や資金は単純に数値をハッピーポイントに読み替えればOKだったが、アイテムがくせものだった。ゲーム中に買ったり、交換したり、奪い取ったりできるこのアイテムカードには、いろいろ属性が付加されており、自分の種族属性と一致してたり、種族以外にもおおまかな系統分けもされていて、それらをすべて加味したうえで、ポイントが変動するのだ。
暗算では対処しきれないので、紙に表を書いて計算する必要があった。たぶん6歳の子供だけではちょっと難しいかもしれない。まぁでも、子供は遊びのことになると案外さらさらっと計算しちゃったりするのかもしれないけれど。
どうやらこのゲームの勝敗を決める重要なポイントは、アイテムカードにあるようだ。いかに属性の合ったアイテムカードが来るか、あるいは相手から奪うor交換するか、というあたりが勝敗に大きく影響しそう。
みこりんは続けて2戦目もやりたそうだったけれど、今日はここでおしまい。
2006.12.28(Thr)
『PYXIS NR401K』
天気予報によれば、明日は雪。
雪道をクルマで出勤すると、大渋滞は必至。過去の経験では最大で3時間なんてのもあった。あの当時はフレックス制度が生きていたので特に問題はなかったが、今年からフレックスが廃止され、定時出社になってしまっているので気が重い。8時に間に合うためには、普段でも7時には起きていないとダメなので、少なくとも1時間は早く目覚めていなければ、確実に遅れる。それ以上早起きするのは肉体的に無理なので、その場合には半日休暇とする予定。
というわけで、朝の目覚めを確実なものとすべく、帰りにホームセンターへと立ち寄り、目覚まし時計を物色してみた。
いろいろある中で、もっとも大音量で鳴りそうなものを探す。
今使ってる目覚まし時計は2つ。電子音のものと、ベルのもの。個人的にはベルの音が好みなので、そいつを重点的に絞り込んでみたところ、2機種が残った。
1つは今使ってるのと同じく、いわゆるもっともポピュラーな上部に2つのベルが並んだ目覚まし時計。もう1つは…、時計本体の両サイドを大型のベルで挟んだ、いかにもごっついタイプのやつだった。売り文句は“超激音”。たしかに、こいつならば死んだヒトをも目覚めさせるんではないかと思わせる大音量を発しそうだ。
決めた。こっちを買おう。展示品の背後に並んでいるパッケージを両手で取り出す。目覚まし時計にしては、結構な大きさの箱だった。
『PYXIS NR401K(セイコークロック製)』
帰宅後、付属の乾電池をセットし、時刻を合わせ、目覚まし時刻もセットする。
これで明日はきっと大丈夫。
みこりんがこの新型に妙に惹かれているようなので、近々さらにもう1つ我が家にやってくるかもしれない。
2006.12.29(Fri)
初雪
新型の目覚まし時計の威力はすさまじく、2度ほどベルを停止させたところできっちりと目覚め。
冷え切ったリビングから窓の外を見てみると、昨夜遅くから降り出した雪は、辺りを白の世界に変貌させていたが、今はもう止んでいるようだ。ここからでは道路の様子はよく見えないが…、とりあえず朝食をとる時間も惜しいので、そのまま着替えて出勤。
ガレージに屋根はついているのだが、屋根以外はオープンなので横殴りの雪によってクルマの表面は全体に白くコーティングが施されており、そいつを走行に支障のない程度に剥がすのに約10分。予想外の展開だった。気温が相当低いのだろう。積もった雪は、とても硬く、氷のようだった。
慎重にクルマを発進させる。
しかし、団地を出たあたりで道路は黒いアスファルトがむき出しになっており、まったく問題なし。拍子抜けするほど雪の抵抗はなく、余裕で出勤時間に間に合ってしまった。
今年初めての雪の朝は、こうしてあっけなく突破できたのであった。願わくば、これ以上の雪が降りませんように。
みこりんはソリ遊びに期待を膨らませていたらしく、ちょっと残念そうだったけれど、雪だるまを作るには十分だったようで、帰宅後の私にその時の様子を話して聞かせてくれたのだった。
みこりんの作った雪だるまを見たいと思ったのだが、みこりんによれば、「モアイみたいになったので、こわした」んだそうな。いったいどんな雪だるまだったのか、すごく気になる。
2006.12.30(Sat)
もちついた
午前中、宅急便が届いた。送り主は、うちの実家からだったので、中身はわかっている。そこで、そのままの状態で座敷に安置しておいたのだが、それを目敏く見つけたみこりんが、「おとーさん、“さとうきび”って何?」と興味津々で聞いてきた。
そのダンボール箱の側面には、大きな文字で“さとうきび”と書いてあったのだ。
みこりんに箱の中を開けてみるように言うと、嬉々として座敷へと駆けていった。
しかし、梱包に使われているガムテープが剥がせなかったらしく、私に救援要請が出た。というわけで、開封。
箱の中には、“もち”が入っている。鏡餅用と、普通に食べる用の2種類。
みこりんは“もち”は好きなので大きな落胆はしなかったみたいだが、期待していたようなすごいものではなかったようで、ちょっと微妙な感じ。
餅が着いたことを実家に報告すべく、みこりんに電話をしてもらったところ…、どうも会話の様子がおかしい。みこりんが「おもち着いたよ」というと、電話の向こうでは“もちつき”をしたという風に受け取ってるようだ。こんな天然なボケをかますのは、きっと父に違いあるまい。その後の会話も妙にちぐはぐ。やがてみこりんが私に電話を代わるよう言われたとのことで、受話器を受け取ってみると、電話口の向こうでは父が驚いていたのだった。
どうやらみこりんのことを、私の弟の娘と勘違いしていたらしい。で、弟が出ると思っていたところに私の声がしたので、ようやく電話をかけてきたのがみこりんだったとわかったようだ(真ん中の弟の家は、実家の近くにある)。なのでもう一度みこりんと話したいと言う父のため、再びみこりんを呼ぶ。
道理で会話が噛み合ってなかったわけだ。
*
夕方、年越し&正月用の品々を買いにスーパーまで家族で出かけた。
新しいパジャマとか、注連飾りとか、おせちの食材とか、いざという時のための保存用食糧品とか、etc...
カートにぎっしり袋を乗せてクルマに戻り、さぁ帰ろう、とした時、ふと目に留まったデジタル時計の緑のLEDの光に、愕然とする。体感時間では今が19時頃のはずが、なんと21時になっていたのだ。スーパーの中と外では、時間の進み方が違うのではないかと、本気で思ってしまうほどの違和感があった。これは私だけではなく、Licやみこりんも感じたようなので、私の個人的な資質によるものではないのだろう。んー、恐るべき“時間”の威力。
帰宅後、みこりんが寝静まってから、大きな鏡餅を床の間にセットしたり、小さい餅を2段に重ねて家の要所要所に飾ったり。
生け花はLicが担当。丸いボールのように咲く菊と、松、葉牡丹、万両に、そして正体不明なやや赤っぽい肌をした細い木の枝。花芽はついてないので、この枝はずっとこのままなのかもしれない。いったい何の木の枝なのか気になったが、まったく見当がつかず。
最後に神棚に新しい注連縄を装着。………、一社用のしかなかったので、うちの神棚にはちょっと短い。バランス的にはすごくコミカルなんだけれど、普段はにゃんちくんがじゃれつかないように外しておくので、まぁ問題なし。
2006.12.31(Sun)
大晦日の夜
新年を迎えるにあたり、家の外回りを片付けることにした。草ひきもするというと、みこりんもぜひ参加したいというので、二人、軍手装着のうえ、玄関を出る。
門扉脇の小さい花壇の草ひきをみこりんに任せ、私は大きくなりすぎた月桂樹の剪定やら、高い所の作業をやった。それが終わると、いつのまにか庭のそこここで朽ち果てている不燃ごみやら可燃ごみやらを、ごみ袋に回収。点々と散らばってる分にはそんなに気になるほどではないのだが、やはりこういう時に処分しておかないとずっとそのまま残りそうだし。
その過程で発見した古いセラミック製の植物用用土(土と言っていいかはちょっと微妙)に、みこりんが俄然興味を示してきた。これで遊んでみたいというので、みこりんに手渡してやる。こういう土遊びが、みこりんはなによりも好きなのだ。
フェンスからはみ出している木の枝を刈り込んでいると、みこりんが私を呼んだ。
何事かと駆けつけてみると、セラミック製の土の中に、虫がいたというのである。「ほら、これ」と指差す先の地面でうにうに動いているのは、何かの幼虫。細い芋虫形態だった。そして、いまだセラミックの表面に残っていたワラジムシの子供が、みこりん的にはかなり怖かったらしい。とってとってと言うので、そっと指でつまみ、撤去した。「これはワラジムシだよ」と教えてやったら、ダンゴ虫の親戚みたいなものという認識はあったらしく、やや安心した感じ。
みこりんは芋虫のようなものよりは、足のたくさんある虫に弱いらしい。それにしても、セラミックの粒粒の中で、この虫達はいったい何を食べて暮らしていたのだろう。自由に出入りできるほど、袋に隙間はなかったように思うのだが…。おそるべき虫の生命力である。
やがて土遊びに満足したみこりんが家の中に戻っていった。私はひとり、黙々と残りの作業をこなす。北側で立ち枯れている雑草を抜いたり、道に落ちているハリエンジュの木の葉を買ってきたばかりの竹箒で掃き清め。
ごみ袋にして4袋分ほどの量があった。思った以上に多かった。そうやって中腰の姿勢でずっと作業していたのが悪かったのか、粗大ごみとして捨てるべく庭に置いてあった90cm水槽に溜まった雨水を流すために、無理な体勢で力を加えたのがまずかったのか、腰にきていた。
まずい。腰はちょっと…。
そんな不安を残しつつ、日は暮れて、作業終了。
*
みこりんは今年こそ、来年になるまで起きていると意気込んでいた。昨年は惜しくも20分前にして轟沈してしまったのだが、今年はかなり気合が入っているようだ。でも、今朝は5時に目が覚めたとか言ってたので、ちょっと心配。
DSでチョコボの冒険をしたり、地上波を見たりして刻々と時間は過ぎてゆく。
昨年の記録を超え、来年まであと…、3分。DSの『どうぶつの森』では、いちはやく新年を告げる鐘の音が響いている。
そしていよいよ、リアルでも新年を迎えた。みこりんは、ずっと聞きたがっていた“除夜の鐘”の音を、地上波で聞き、「これが、そう?」と、ちょっと不思議そうな感じである。いったいどんな派手なのを想像してたのか。108回、鐘をつくのだと教えてやると驚いていたので、もしかすると西洋式の教会の鐘みたいなのを考えていたのかも?
新年を迎えたことでみこりんは安心したのか、やがてそのまま横になり、すぅすぅと…。
さらば、2006年。