1999.10.1(Fri)

後期突入

 決算月も無事終わり、今日から後期が始まった。前期の積み残しを早急に片づけて、オンスケ(On Schedule. つまり、スケジュール通りという意味で、うちの社内で流通している用語。他の業界でもこの用語は使われるのだろうか)でいきたいものだが、やんごとなき事情により VisualBasic などを使わねばならないハメになっており、いろいろと大変である。C++Builder や Delphi と作法はほとんど変わらないのだが、一見似ているようで、微妙に違うプロパティやメソッドの仕様に、「えぇ!?」と大きな独り言を放ちつつ、夜な夜なモニターとにらめっこの日々が続いている。

 オブジェクト(もどき)が使えるくせに、オブジェクト指向開発にほとんど対応していない言語仕様であるというのも、フラストレーションがたまる部分だ。古き良き構造化設計オンリーでの作業は、どうもこういうヴィジュアル開発環境には似つかわしくないなぁ。どうしても美しくなくなる部分は C++Builder で補いつつ、前期目標まであと一歩。一段落したら、久しぶりに仕事ではなく“趣味”のプログラミングでもやってみようかと思う今日この頃。

メモ

 たいしたことではないが、なんか気になることというのは、日々生活していると、2つや3つや4つ、誰しも持っていることだろう。でもこういう思いは、半年もすればすっかり記憶の山に埋もれてしまって、二度と掘り出すことはできなくなってしまう。ちょっとだけもったいないような気がしたので、私の気になってることを、ここに書き留めておこうと思う。なんだかこう書くと、すごい重大なことのように見えてしまうが、ほんとにつまらないことなのだ。では、書く。

  • Hysteric Blue の『なぜ…』。サビの付近のヴォーカルは、いつ聞いても Rebecca時代の NOKKO に聞こえてしょうがない。特に声がひっくり返る付近。
  • 椎名林檎の『本能』のプロモーションビデオ。白衣のコスチュームがとてつもなくいやらしくて良い!!はまりすぎである。

 …あ、ほかにもあったような気がするけど、思い出せなくなってしまっている。たぶんこのまま忘れてしまうんだろうな〜…。


1999.10.2(Sat)

いろいろと

 休日の常、みこりん早起き。私も起こされて、リビングへと連れていかれる。そしてサンルームを開け、さわやかな空気を胸いっぱい吸い込んで、ワーディアンケースのセントポーリアをじっくり観察。原種の1つに花芽がついていたのは、だいぶまえに発見していたが、そろそろ咲いているのではないか?と思ったのだ。

 をを!!まさしく開花した姿がそこにあった。だが、なんだか花びらの色が悪い。夏花と呼ばれるいじけた感じの花のようにも見えるが、最近の気候はおだやかで夏花であるはずがなかった。すると、これは咲いたばかりで花びらが伸びきっていない状態かもしれない。なんにしても、デジカメで記録である。原種は、園芸品種ほどばさばさ咲かないところも魅力の1つなのだ。

 ついでに液肥入りの水を、全部の鉢にやっておく。今、たっぷり大きく育てておけば、冬になっても受けるダメージは少なくてすむだろう。
 庭を見れば、ひっそりとメキシカン・チューリップ・ポピーの蕾が、ほころびつつあった。新鮮な太陽の光を浴びて、黄色い蕾が輝いて見える。ついに花を見ることができるかと思うとうれしくてたまらない。これもデジカメで記録である。最近更新が滞っている“めざせガーデナー”のページも、そろそろ手をつけないと…。

 朝ご飯を食べたら、さっそく庭で園芸作業に没頭する。雑草の芽をつみ、ゴミを片づけ、水やりをして…
 みこりんが、朝顔の付近でなにやらごそごそやっているなと思っていたら、やってきて見せてくれたのは“朝顔の種”。みこりんはこういうボール状のものに、たいそう弱い。だめと言っても千切ってしまうだろうから、一緒に朝顔の種を採ることにした。
 花が咲くまでは肥料も忘れずにやっていたけれど、花が咲いてからはついついほったらかしにしてしまっていたので、なんとなく種も小振りのものが多い気がする。来年は、みこりんにも1株育ててもらおうかな。

 お昼ご飯のあとは、観葉植物の植え替え。お盆休み、帰省中に暑さで消滅したかと思われた“ジャックと豆の木”は、葉っぱをすべて落としはしたが、無事復活して、今では新しい枝も3本ほど伸びてきた。やはり木である。完全に枯れてしまうことはなかった。買ってきたままの鉢と土も、そろそろ限界、赤玉土に堆肥をまぜて一回り大きな鉢に移動させる。ついでにLicのポトスも鉢替えしておいた。2つとも、しばらくはウッドデッキで充分に太陽の光を浴びててもらおう。暗く寒い冬を乗りきるには、今が勝負の時である。

 うらうらと、おだやかな日差し。夏のような暑さもなく。とくれば、お昼寝タイム!みこりんも、遊び疲れてベッドでころん。私もそばで横になる。最近の寝不足もあって、あっというまに眠りの世界へ…。目を覚ましたときには、すでに夕方。でも、今日はこういう過ごし方をカラダが欲していたのだろう。こわいくらい、充足感に満ちていたのだった。

サーキットの狼2・モデナの剣

 早く寝なくちゃと思いつつ、昼間撮ったデジカメの画像をページで使えるようにコンバート作業。チャンネルNECOでは、サーキットの狼2をやっていた。興味を惹かれて見てみると…。

 剣・フェラーリ役は、竹内 力 だった。今ではすっかりVシネマ系の顔的役者になったが、私にとっては『彼のオートバイ・彼女の島』の印象が今でも強く残っている。だから、クルマを運転する姿には、違和感を覚えてしまうのだった。やはり彼はバイクに乗ってるほうが似合う気がする。キャラ的にも、ちょっとゴツすぎるような気がしないでもない。ところで、原久美子が出てるのを見ると、どうしてもAV女優時代を思いだしてしまう。朝岡実嶺を見てもそう思わないのに、なんとしたことだろう。


1999.10.3(Sun)

ドラゴンズ優勝セール

 名古屋では、かなり盛り上がっているようだが、ここ岐阜でもその恩恵にあずかれる。スーパーなどは、こぞって優勝セールをやっているのだ。それを狙っていたわけではないが、午後からみこりんの靴を買おうとイトーヨーカ堂まで出撃である。来週は、みこりんの保育園で運動会があるのだが、最近、靴がきつくなっているらしいのだ。まぁ運動会とはいっても、みこりんのクラスは1歳と2歳の幼児ばかりなので、そんなに激しく動く競技もない。新しい靴でも、“くつずれ”の心配はほとんどないのだった。

 店内では、いたるところにセールの札がはためいていた。しかも衣料品は2割引!こいつはラッキーと、さっそく2階の売場へと向かった。
 オモチャ売場をうろついてみる。ここは1割引らしい。ウルトラマン&怪獣のソフビ人形が並んでいるところで、ちょっとみこりんを試してみる。初代バルタン星人を手に取り、「これなーんだ?」
 みこりんはすかさず「ばるたんせーじん!」と答え、手をハサミ状に構えて、「ふふふふふ」。素晴らしい。なかなかのリアクションだ。このバルタン星人の人形を買えば、さらにみこりんの技にも奥行きが出てくるのではないか?そう思って、みこりんに「いる?」と聞いてみたところ、意外にも「いらない」との返事。ならばと、「どれがほしい?」と問いかけてみる。ずらっとならんだ怪獣&ウルトラマンを、しばし迷ったふうに見つめるみこりん。やがて、手をのばし、1つの人形を選び出した。みこりんが選んだのは、はたしてどの人形だったろうか!?

 『眼Q』−ウルトラマン・ガイアに登場した、巨大目玉の怪獣−。みこりんは、その血走った巨大な目をした眼Qを手にして、にこやかに「これ!」と宣言したのであった。うーん、みこりんの好みって…
 それにしても、この眼Qというやつは、むかーし、バロムワン(別のヒーローモノだったかも)に怪人で似たようなやつがいなかったかな?なんか初めて見るデザインではないような気がする。
 眼Qはあまりにインパクトがありすぎなので、迷っていると、みこりんは怪獣に飽きたのか、幼児向けお医者さんごっこセットなどを物色しはじめた。ふぅ、助かった。

 みこりんがあーでもないこーでもないと選んでいる間、私は超合金魂シリーズの『コン・バトラーV』に釘付けになってしまったのである。発売されているのは知っていたが、現物を見たのはこれが初めて。完全合体分離が可能なところなどは昔の超合金そのままに、プロポーションなどもリファインされ、なかなかに購買意欲をそそるデキだ。しかし…、値段を見てぶっとんだ。12800円!。タテキンが買える値段である。が、この可動ギミックは触ってみたい気も…。もう1種類、超合金魂シリーズの『グレートマジンガー』ブラックタイプも、こちらの気をひいてやまない存在だ。クローム系の色彩で統一された姿は、あまりに渋く、カッコイイ。これを本棚にでも飾ればぐぐっと引き立つだろう。だが、値段はやはり8000円ほどする。あぁしかし、この“限定バージョン”の文字が、ぐいぐいと迫ってくるではないか。

 悩んだ末、結局、買わなかった。この冬は、『スーパーロボット大戦α』を買わねばならないのだ。衝動買いは抑えておかないと。

 みこりんに、キティちゃんのお医者さんごっこセットと、ミニカーのS2000を買い、オモチャ売場をあとにする。今夜の食材を買わなくては。
 レジを済ませ、カートに山と積んだ食品を乗せて、店を出るときにようやく気づく。みこりんの靴を買ってなかった。腹の虫が、これ以上待てないというので、本来の目的を果たさぬまま、帰途につく。あぁしかし、優勝セールは、今日までなのだった。逃した2割引は、ちょっともったいなかったかもしれない。

今日の園芸

 ホームセンターにて、秋まきの種&球根を買う。

  • ムスカリ“ブルーカーペット”30球セット
  • ピコフラワー19(高性)
    デルフィニューム,カスミソウ,ヤグルマソウなど19種類
  • ピコフラワー21(低性)
    上の種類の矮性のやつが21種類
  • ニンジン 黒田五寸
  • 日本ほうれん草(やまと)

 ニッセンより、注文しておいた球根が届く。
 “スプリング・プライド”という水仙の品種である。ラッパ部分がピンクになるとかで、珍しさに惹かれて買ったのだった。
 BRECK'Sという海外の園芸屋とニッセンが提携して売っているのだが、この会社、なんと創業は1818年らしい。そんな昔からインターナショナルに園芸品種の通販などをやっていたと聞けば、思い出すのはカレル・チャペックの『園芸家12ヶ月』。チャペックも、この会社からチューリップなどを買ったに違いない(BRECK'S は、アメリカ、カナダをテリトリーにしていたので、実際にチャペックがここから買うことはたぶんなかっただろうが)。世紀を超えて生き残るものっていうのは、凄いとかそういうのを超越して、人間の不変さを確認できて、ほっとする。

大変動

 ちょうどスーパーから出てきたとき、尋常ではない寒さがすでにあった。Tシャツでは寒すぎる。吹きすさぶ風が、なんとなく冬を予感させて、季節は確実に後半部分に突入したことを思い知る。
 それにしても、この急変は何だろう。徐々にではなく、まさに“ぽんっ!”と、寒い季節がやってきた感じだ。

 深夜になるころ、気温はさらにどんどん下がり、ストーブを出しても少しもおかしくない状況である。サンルームのワーディアンケースを締め切り、最高最低温度計をセット。今夜、いったい何度まで下がるのだろう。去年も、この時期にはこんなに寒くなっていたのだろうか。思い出そうとするのだが、どうしても記憶が曖昧なままはっきりしない。そろそろセントポーリアの防寒対策を考えないと。まだ先の予定だったので、ちょっと焦る。

 布団に入っても、昨日までなら肌掛け布団すらなくても大丈夫だったのに、今夜は毛布を欲してしまうほど冷え込んでいた。みこりんは、あいかわらず掛け布団から脱走している。冷え冷えだった。でも腹巻きをLicがしておいてくれたので、少しはマシだろう。Licのそばに、みこりんを寄せて、布団をかけておいた。

 明け方、寒さで何度も目が覚めてしまった。


1999.10.4(Mon)

 冬かと思うほど冷え込んだ朝だった。寒すぎて、6時ごろから意識は半分ほど覚醒していたのだが、布団のぬくもりが恋しくて起きられなかったのであった。おかげで、全身強張って妙に体が疲れてしまった。月曜の朝だというのに、困ったものである。
 起きると、寒さでがたがた震えてしまうほどだったので、長袖シャツを1枚余分に着ることにした。だが、リビングでいろいろ動き回っているうちに、今度は暑くて我慢できなくなってきたのである。太陽が昇るにしたがって、気温が上昇してきたらしい。

 昨夜セットした最高最低温度計を調べてみると、現在の最高気温は32度、最低温度は10度であった。気温差22度…、強烈である。
 結局、長袖シャツは脱ぐことにした。昼間は、まだTシャツだけでも大丈夫そうだ。もっとも、会社ではこの上から作業服を着るのだが。

 ところで今朝は、みこりんの食欲がすごかった。ご飯とソーセージ、それにブロッコリーを次から次ぎへと平らげてゆく。ブロッコリーは、特にお気に入りらしく、なくなったら私のところまでお皿をもってやってきて、「ぶろっこりーちょうだい!」と催促する。新しいマヨネーズをにゅるるる〜と出してやり、Licのお弁当からブロッコリーを抜き出して皿に盛ってやると、なんともいえない幸せそうな顔をするのだ。庭の畑でブロッコリーを育ててみようと思ったことは、これまでも何度もあったが、苗がいまひとつのデキだったので躊躇していたが、決定だ、ブロッコリーを栽培しよう。

臨界事故

 9月最後の日に発生した、東海村の臨界事故は、結局信じられないような手抜き作業が原因のようである。原子力事業に従事しているという使命感や責任感が、彼らにはみじんも存在しないのであろう。プロ意識の欠如でもある。金のために仕事をする、それはいいが、やることはやってもらわねば困る。“俺の安月給じゃそこまで面倒見れねぇんだよ”という無責任さは、行き過ぎた個人主義のツケであるのかもしれない。

 まぁしかし、こうした無責任・無能なやつはどこの世界にも多かれ少なかれいるのは確かである。沈殿槽の蓋には、小さな覗き穴があったらしい。そこに漏斗状のものを差し込んで、臨界に至るまで大量のウラン溶液を流し込んだ…。こういう手抜きができないようなシステムにすべきであるというのは、まさにそのとおりではあるのだが、完全なるシステムなど、やはりあり得ないわけで、フェールセーフにしとけばそれでよしといった論調には、少々危惧を抱いてしまう。

 それに加えて、避難マニュアルや臨界事故対策マニュアルなどがなかったことも問題視されている。まことにもっともな指摘ではあるのだが、それを言う大新聞社殿やTV局の報道のみなさんは、なぜか一番危機管理の必要な有事法制には大反対しているのだから、自己矛盾もはなはだしい。危険な事象には最悪の事態を常に想定した法律やマニュアル、訓練が欠かせないと本当に思っているのだったら、有事法制反対の理由に『そんな危険性は今、見あたらない』などと言ってる場合ではないだろうに。形骸化した安全審査を放置した国や官僚も無能には違いないが、ダブルスタンダードな主張を平然とできる大多数のマスコミ連中や市民団体などは、さらにタチが悪い。目くそ鼻くそである。
 この機に乗じて、原発などいらないと声高に言い出す輩に至っては、何をか言わんや。
 危機管理など、当分この国には定着しそうにない。

ライディーン

 昨日から、SkyPerfecTV! のファミリー劇場で『勇者ライディーン』が始まったので、もちろん録画しておいた。今夜、第一話を再生してみる。
 やはりライディーンは、待機状態からフェースオープン(?)の過程がなにやらぞくぞくっとして気色良い。ゴッドバードチェンジしようものなら、きっと総毛立つに違いあるまい。あぁぁ早くゴッドバードを見てみたいものだ。

 ガキの頃見てたはずだが、ストーリーなどはほとんど覚えていないので、これからゆっくりと記憶を補完してゆこう。


1999.10.5(Tue)

スパロボ

 昼休み中、何気なく Infoseek で、“スーパーロボット大戦α”を検索していて発見したそのページは、なかなかにそそられるものであった。こういうツールは、きっと誰かが創っているだろうとは以前から思っていたが、実際に遭遇したとなれば、なにやら感激してしまうではないか。そのページとは『SRC(Simulation RPG Construction)』である。
 シミュレーションRPGというゲームのジャンルがいつできたのか、詳しくは知らないが、このツールはそのシミュレーションRPGを作成するためのものだ。昔、アスキーだったかが“RPGツクール”とかいう、同じようなコンセプトのツールを売っていたと思うが(最近では“恋愛シミュレータツクール”などもあるようだが)、このSRCはフリーウェアである。しかも、ゲームシステムは、まんまスーパーロボット大戦なのであった。一度でもスパロボをプレイしたことのある人ならば、何の違和感もなく操作できてしまうであろう。
 ただ、シナリオ作成や各種ユニットデータなどは、テキストデータとして別途作成せねばならないようだが、すでに愛好家達によって、さまざまなシナリオが公開されており、プレイするだけでも十分楽しめるようになっているので、ツールというよりはスパロボシミュレータといった方がいいかもしれない。
 用意されているキャラやロボットなどの数は、まさに膨大。これからもどんどん増えてゆくことだろう。シナリオしだいで、夢の競演も可能である。

 SRC本体と、各種データをダウンロードしてインストール。データフォルダの配置を手動でやらねばならないが、特に問題はない。次に、シナリオデータをどれにするか迷ったのだが、『吸血姫 美夕』の文字に惹かれて『プリンセス・ヴァンパイア』をダウンロード。解凍しておく。ここで昼休みが残りわずかとなったので、自宅のマシンにもインストールできるように、せっせと分割ツールでFDに落としてゆく。全部でFD11枚分となった。

 帰宅してから、同じようにインストールしたあと、さっそく『プリンセス・ヴァンパイア』をプレイ開始。OVA版『美夕』第一話そのままといった感じに、ナレーションが進んでゆく。『サイレント・メビウス』の面々も、絡んでくる。序盤戦なので、敵もザコばかりで、さくさく進むが、本家スパロボでは絶対成立しないようなシナリオであるため、これからの予測がつかず、なかなか期待を持たせてくれる。
 結局、深夜3時ごろまでやっていたが、寒さが骨身にしみるようになってきたのでセーブしておいた。なかなかこのSRC、はまりそうである。

 ソフトウェアの完成度という点では、画面解像度をうまく取得できておらず、カーソル位置や表示枠などがズレるというバグが残っているものの、なかなかよくできていると思う。台詞表示のページ切り替えが高速すぎて、やや味気ない気もするが、そういう見てくれの部分はどうとでも改修可能だろうから、将来ヴァージョンでは改善されるにちがいない。
 じつはスパロボのシステムを採用したゲームというのは、自作してみようかとずいぶん迷っていた時期があった。もちろん、マクロスやらヤマトやら、そういう本家に登場しないユニットで遊んでみたいと思ったのだが…。ゲームシステムそのものは、特に問題となりそうな部分はないだろうと推測できたが、結局取りかかることなく現在に至るのは、“自作のゲームシナリオでは結果がわかっている”という単純な理由のためである。やはり未知のシナリオであるからこそ、燃えるのだ。その部分を、このSRCはうまく対処していると思う。シナリオの公募、投稿システム、これさえあれば、いくらでも未知のシナリオが楽しめるではないか。モノがモノだけに、NIFTYなどの商用BBS経由では困難なことも、インターネットの普及が個人による活動を容易にした。なかなか面白い試みだと思う。


1999.10.6(Wed)

素早い!

 仕事で必要な製品のカタログを、ウェブで注文したのが昨日の午前中のこと。なんと、今日の午前11時には、宅急便で到着した。1日かかっていないところが、素晴らしい。
 激しい競争にさらされている民生部門の業界は、さすがに動きが俊敏だ。独占にあぐらをかいた、どこぞの会社とは大違いである。加えて、宅急便の発達という影響も大きいのだろう。そろそろ信書は不可という、時代錯誤な法律も改定しなきゃね。

引き続きSRC

 SRC用のシナリオとして、今日は『超時空要塞マクロス+[完全版]』を落としてきた。SRCユーザーによるシナリオコンテストで、2位になった作品ということと、なによりマクロス世界でプレイできるのだから、これはぜひともやってみなければなるまい。

 スカル小隊以外のヴァルキリー隊が弱すぎるものの、マクロスでスパロボな世界は十分“あり”だと思えてくる。今、エクセリヲンとトップ部隊が出てきたところだが、ここまでの感触では、売り物のスパロボをやってるのとそんなに違和感がないのだ。たしかに派手なグラフィックなどはないが、こういうゲームはシナリオがほとんどゲームの善し悪しを決めてしまうことを考えれば、下手すれば思い入れたっぷりのアマチュアの手による深いシナリオのほうがはるかに面白いゲームになることはあり得るだろう。

 次期スパロボαは、値段に見合ったプロの作品の意地を見せてくれることを期待する。


1999.10.7(Thr)

映画 != ゲーム

 大阪地裁で、中古ゲームを開発者に無断で販売するのは著作権法に違反するという判決が出た。映画フィルム関係だけに認められている頒布権を、ゲームにも認めよというメーカーの主張が通ったわけだが、そもそもこの頒布権の存在は、著作権の問題というより、映画の配給システムに依存した後付的意味合いが強い。これをそのままゲームにも適用するというのは、無茶な話である。

 ソフトウェアに著作権が存在するのは、当然であるけれども、だからといって「ソフトはプロデューサーや映像担当者ら多数の者が組織的に製作に関与し、多額の費用と時間をかけて製作されており、投下資本の回収の機会を与えることには合理性があり、頒布権も認めるべき」という判決に至るには、根拠が不明確すぎる。だいたい、世に出るゲームソフトウェアは、そんな大作ばかりではない。しかも、そんな理由が通るのであれば、自動車、バイク、家、その他あらゆる製造物に“頒布権”が認められなければ筋が通らないだろう。

 デジタルデータであるソフトウェアには劣化がないので、新品と中古は市場を食い合うというが、同じく劣化のない音楽CDに“頒布権”はない。ゲームソフトだけが特別である理由は、いったいどこにあるというのか。中古市場が資本回収の妨害をしているというのは、あまりに短絡的にすぎる。中古市場にゲームを売ることで、次のゲーム購入資金を得、それによって中古市場がない場合よりも、多数のゲームを購入できるという現実を無視してしまって、ほんとうにそれでよいのだろうか。中古ゲームがなくなれば、それまで中古を買っていたユーザーが、新品市場にくると考えているのならば、おめでたいことである。なぜ中古が売れるかを、ゲーム会社は真剣に考える必要があるだろう。

 CGを駆使した高画質なゲームはたしかに増えたが、ゲーム内容は果たしてそれにみあったものになっているのか、はなはだ疑問である。不必要な投資をしているのでは?と自問する努力を、メーカーはしているのだろうか。CGや音楽に大金はたいて、ゲーム内容がお寒いものばかりを生み出す事態は、自滅の道を歩んでいるようにさえ見える。
 資金回収ができないことを、すべて中古市場のせいにして、凡作の高値安定の傲慢経営を続けるメーカーに、「アニメとゲームソフトは日本が世界に発信できる著作物ビジネス。この業界を衰退させてはいけない。」などという言う資格はまったくないのである。


1999.10.8(Fri)

ごっこ遊び

 先日の日曜、みこりんに買ってあげた“キティちゃんの診察セット”だが、一日に片手では足りないほど活用されているのであった。よほどみこりんの遊びのツボにはまったらしい。しかも芸が細かいのである。

 まず、みこりんが診察券を渡してくれるところから始まる(時にはカルテからスタートする場合もあるが)。このとき、みこりんが何か言葉を発しているのだが、私にはうまく内容が聞き取れない。状況からして「お願いします」という意味のことを言ってるのだろうと推測はできるのだが、気になるところだ。
 次に、問診をする。診察券(もしくはカルテ)を手にして、みこりんに「はい、みこりんですね。今日はどうしましたか?」という感じにやらねばならない。すると、みこりんは「おなかがいたいです」とか「むしむしにかまれてかゆいです」などと答えてくれる。病気のレパートリーはそれほど多くないが、みこりんなりにダブらないよう気を付けている感じさえする。

 あとは、聴診器→注射→体温計 と進んで、最後に薬の処方になるのだが、それまで患者をやってたみこりんが、このときだけはお医者さん役になる。いや、私がそう思っているだけで、ほんとうは役回りは変わってないのかもしれないが…。どうもこの部分だけはどう演じればよいのか、未だに悩んでいる場面なのだ。

 ところでこの診察セット、オモチャだから聴診器などの医療アイテムも簡単な作りになっている。聴診器の場合だと、ハート型のキャップに左右へとチューブが伸び、それを耳につっこんで終わりなのだが、驚くべきことにこれでも十分心臓音などが聞き取れるのである。原理的にその仕組みで心音が聞こえるのはわかっているのだが、“オモチャ”がまともに機能しているというアンバランスさが、違和感の原因と思われる。例えて言うならば、オモチャのままごとセットで、ほんとうに目玉焼きができてしまった感じといえばいいだろうか。

 この“ごっこ遊び”、最近ではほんとうに虫に噛まれた時や、転んだ時などにも、活躍しているようである。みこりんにとっては、それがたとえホンモノではなくても、自分が満足すれば小さな痛みは治ってしまうのだろう。まさに「痛いの痛いのとんでいけー」効果は健在なのであった。


1999.10.9(Sat)

爽やかな朝

 昨夜寝たのが夜明け前、ぽかぽか陽気のお日様にあっためられて朝寝するのは、学生時代の自由さを思い出す。至福のひととき、この瞬間が永遠に続くような気さえする。
 ぬくぬくと布団に転がりながら、そろそろ起きようかと思ったのは、すでにお昼近くのことであった。どうやらみこりんはまだ保育園らしい。Licがいないのは、みこりんを迎えに行ったからだろう。なんだか久しぶりに静かな休日の始まりである。

 ピーコの鳥かごをサンルームに吊し、セントポーリアに水をやり、魚達に朝の食事を提供してから、休日の日課である庭チェック。先週、蕾を膨らませていたチューリップ・ポピーの花はどうなっただろうか?あのあと、火曜日くらいには開花していたはずだが、デジカメで撮っておかないと…、期待しつつ花壇を眺めると、すでに花びらは萎れていたのであった。は、はやすぎ…。2番花咲いてくれるといいんだが。

 ワーディアンケースでは、ストレプトカーパスに待望の花が咲いていた!!さっそく激写しておく。次に、続々開花しつつある原種セントポーリアも撮ってやろうとしていたら、みこりんとLicが戻ってきた。ごきげんなみこりんの声が家に戻ってくると、ぱっと華やいだ雰囲気になる。子供の声には、一種独特な生命力が宿っているのを感じてしまう。もう、聞くからに若々しいというか、エネルギーに溢れているというか、自然の波長とよくシンクロしているようだ。

 ウッドデッキに並べたセントの花を見つけると、さっそくみこりんがやってきて、「あ、かとちゃん!」と指さしている。かとちゃん?かとちゃんって、あの『加トちゃん』のことか??なんでみこりんが『加トちゃん』知ってるんだ??私の頭の中では、『??』マークがトルネード状態だったが、みこりんが花を千切ってしまいそうなのが気になって、追求すること叶わず。今も『加トちゃん』が謎のままである。

 撮影も無事終了し、みこりんの興味が巨大シシトウに移る。ここのところ、巨大シシトウの結実率が高いのだ。肥料の効果と、気候の良さがぴったりあった結果だろう。みこりんが「ししとうなっとる!?」と楽しそうに採ろうとするので、手頃サイズなやつを収穫することにした。幸い、種採り用にと思って置いてある巨大サイズのものは、輝く朱に染まっており、みこりんにはそれがシシトウとは認識されてないのだった。

 小さいとはいっても、7cmサイズのシシトウをフライパンで炒める図は、なかなかダイナミックである。スーパーで買っておいた普通サイズのシシトウも一緒に炒めているため、いっそうデカさが際だっていた。前回巨大シシトウを食べた時には、麻婆茄子に入れていたので気づかなかったのだが、この巨大シシトウ、炒めると中の種部分がまるで茄子のようにしっとり黒ずみ、甘くジューシーな食感になる。Licによれば、ピーマンも丸のまま炒めればこうなるよ、とのことだったが、じつはこの巨大シシトウ“ユニコーン”、シシトウよりもピーマンにより近い品種なのでは…。ピーマンにしても、長さ30cmというのは巨大な部類に入るが、『30cmのシシトウ!!』と銘打ったほうがインパクトはある。どこかにこの“ユニコーン”のことが詳しく載ってればいいのだが。

今日の園芸

 ホームセンターで、なぜか大量に外国モノの花苗が売られていた。去年までは見なかった趣向である。ガーデニングブームの恩恵なのだろう。こういう苗は、大手専門店や通販でなければ入手できなかったシロモノだ。そのため、ホームセンターの苗にしては単価はやや高い。ポリポット1つが、400円から500円はする。送料などを考えれば、まぁこのくらいの値段はしょうがないと思うが、問題は品質だ。専門店ではない弱さが、まだまだ散見された。おそらくスタッフに園芸の知識のある人材が乏しいのであろう。管理のやや困難な苗などは、はやくも萎れつつあった。ありふれた花苗でさえ、管理が十分とはいえない状況で、さらに難しい品種を扱うことが正しいことなのか、若干疑問ではある。今年の成果をふまえて、来年は改善されていればよいのだが。

 その輸入モノの中で、世界のサクラソウのコーナーができており、青いサクラソウが並んでいたので即ゲットした。夏の暑さがネックのようだが、木陰で挑戦してみようと思う。
 あと、マツムシ草がどうしても買ってと引き留めるので、1株購入しておいた。紫の清楚な花は、秋明菊とよく似合いそうだ。

 帰宅後、すっかり日も暮れてしまっていたので買ってきた苗は明日植えることにして、今夜はシクラメンの植え替えをした。園芸用品半額コーナーで買ってきた、樹脂と木材粉の合成鉢に移すのだ。なかなかデザインが洒落ていて、普通の丸鉢以外に、角鉢も買ってしまったのだが、こちらはまだ入居予定は決まっていない。
 このシクラメンは、今年夏越しにようやく成功したもので、すでに花まで咲いているのであった。真夏の一時期、葉焼けがすさまじかった時にはもうダメかと思ったが、無事夏を乗り切ってくれた。本当は地植えにして夏越しする予定だったのだが、時期を逸してしまったので、鉢植えのまま置いていた。そのため、ちょっと窮屈そうになっていたのだ。今回、新しく買ってきた鉢は、ひとまわりはデカイ。去年よりも、さらに充実した株になってくれることだろう。

こいつはいっぽん

 家族そろって夕ご飯。みこりんも上手にお箸を使って食べている。
 そろそろみこりんがごちそうさまらしく、ちゃぶ台で遊びはじめてしまった。ちゃぶ台に足を乗せようとするので、「足乗せたらだめよ」と箸でつっつくように注意すると、みこりんは言った。「おはしでぷしゅってしたよ、おかーさん!」

 おぉぉぉ、Licに言いつけられてしまった。みこりんの口の達者さは、きっとLic譲りにちがいない。それにしても2歳と1ヶ月の幼児って、もうこんなふうに「ああいえば、こういう」能力が備わっているものなのかと、改めて驚かされたのだった。


1999.10.10(Sun)

運動会

 今日は保育園の運動会。狙ったような青空と、強烈な日差しである。まさに運動会日和といえよう。
 集合時間は午前9時過ぎ。さきほどから、Licがお弁当作りに集中しているようす。残り時間が気になるところだ。リクエストどおり、海老フライができあがりつつある。え?ほうれん草入れるスペースがなくなった??ががん!

 みこりんの着替えも済ませ、ビデオカメラに銀塩カメラ、デジカメの3種の記録機器を忘れないようにバスケットに詰めて、出発したのは時間ぎりぎり午前9時。なんとか間に合ったようだ。が、去年初めてみこりんの運動会に参加した時に比べて、クルマの数がぜんぜん少ないような??
 保護者席も、やたらスペースが空いてるし、これはいったいどうしたことだろう。園児の数が減っているとLicが指摘してたが、たしかに去年より少ない気もする。2000年ベビーの影響か??(いや、たぶんそれはないとは思うけど)。

 みこりんのクラスは、保育園でも最年少なため、オープニングセレモニーのあとは、ちゃっちゃと競技が回ってくる。競技の後は、保護者席でお昼寝タイムというわけだ。
 持参した映像記録装置を総動員して、みこりんの勇姿を焼き付ける。親子競技でLicも出場しているときには、私が三種の機材を使い分けねばならないのだが、まさに手が八本欲しい状態になってしまう。記録媒体が増えて、保存する楽しみが増えたのはいいが、昔のように一眼レフだけで済んでた時代は、ラクだったなぁとしみじみ思うのであった。ちなみに、今年も私が中学時代から愛用しているAE-1は電池切れで参戦できず。すでに単5サイズで6Vタイプの電池は、店子のラボ程度には置いてなかったのだった。

 全クラスによる親子競技のダンスでは、輪の真ん中で見本を示しつつ一緒に踊ってた先生達の、テンションの高さが印象的だった。特に若い先生の激しいアクション、めちゃめちゃ楽しそうだったなぁ。ん〜、いい感じである。
 去年はお昼ご飯のあとは、みこりん爆睡していたけれど、今年はなぜかぜんぜん眠くないらしい。出番がないので、あっちいったりこっちいったり、ちょこまか動く動く。いつも保育園ではこんな感じなんだろうか。Licによれば、かなり猫かぶってるそうなのだが。
 で、とうとうやってきたクラス対抗の保護者競技。みこりんのクラスは、人数が少ないため、出場しなければならない確率が高い。去年はタイヤ引きレースだったが、多勢に無勢で、散々な目にあってしまった。今年は綱引き。大きい組さんの保護者のみなさんは、たいへんな気合いの入れようである。人数からして、すでに劣勢は明らかなのだが、やはり私とLicが参加してもぜんぜん戦力になっていない感じ。それでも試合開始である。綱に手をかけ、いざ勝負…。まさに引く間もなく、あっというまに綱は相手陣地にもっていかれてしまった。人数不足は、こういうパワー勝負には致命的だ。猛烈な瞬発力で、普段使わない筋肉をたたき起こしてしまったため、なんだか手足がやばい感じ。

 午後2時すぎには、運動会も無事終了となった。結局、みこりんはお昼寝せず。家に戻ってからも、いつにもまして遊びに熱中しているようす。だが、お風呂から上がって、一緒に林檎を食べ終わったころ、みこりんが急に無口になってきた。今のうちに歯でも磨いておこうと、しゃこしゃこやってたら、みこりんが椅子に座ったまま、こちらをじぃっと凝視しているのが見えた。妙に目が据わっているので、「なんだろう??」と思って見つめ返していたら、ふいにみこりんの頭が“かくん”となった。どうやらみこりんは座ったまま寝ていたらしい。その夜、みこりんは微動だにせず、眠ったという。いつも激しく寝転がる寝相の悪さが、間違いと思えてしまうほどに。


1999.10.11(Mon)

今日の園芸

 土曜日、有機石灰を混ぜておいた畑に、1つ畝を作り、ニンジンの種を蒔いた。カレー&シチューの具計画第一段の実行である。ニンジンを種から育てるのは初めてなので、ほんとうに育つかどうか不安半分、期待半分。

 ピコフラワー21&19、アイスランドポピーの種も蒔いておいた。土壌改良している暇がとれそうにないので、荒れ地にそのまま振っておいたが、こいつらは丈夫なのでたぶん咲いてくれるだろう(ほんとか?)。

 ここのところ天気の良い日が続いているので、雑草の芽吹きもすごいものがある。午前中かけて、目に付く限り抜いておいたが気は抜けない。昨日植え付けたマツムシ草と青いサクラソウに、たっぷり水をやっておく。ピンクのカップ咲き水仙も、無事昨日植え付け終了。あと残っているのは、Licが買ってきたムスカリの群。どこに植えるのだろうか、楽しみである。

3連続晴天

 昨日は運動会が終わったあと、砂ネズミとロボロフスキー、そしてピーコの小屋掃除をした。今日は、水槽掃除である。天気がいいと、水仕事もやりやすい。
 それにしても、やはり今日は筋肉痛になってしまった。膝の関節も、ぎりぎり痛む。変な方向に力が加わったようだ。準備運動もなしに、全力解放などすれば、こういう結果になってもおかしくない。それでも去年よりは、まだマシだ。あれは“タイヤ引きレース”というより“タイヤ奪い合い”といったほうがいいようなシロモノだった。

 水槽掃除も粛々と終了したころ、Licとみこりんはすやすやお昼寝の真っ最中。時計は午後4時をまわったあたり。今夜は私が晩飯でも作ろうと、ビーフシチューの材料をチェックしてみたのだが、なんと牛の肉を切らしていることに気が付いた。このまま諦めるのは、とてつもなく悔しいので、さっそく買い出しに出る。肉だけ買ってくるつもりが、なにを間違ったかレンタルビデオ屋と本屋にまで寄ってきてしまい、たくさん荷物を抱えての帰宅となった。部屋の明かりが消えていたので、まだ昼寝から目覚めてないのかと思っていたら、夕闇迫る暗がりで、なにやら動く気配がする。みこりんだ。みこりんが起きて活動している。もぞっと、大きな影も動いたのが見えた。どうやらLicも起きているらしい。すぐにビーフシチューを作らねば。

 今夜のシチューには、庭で採ってきたローズマリーの若枝を使ってみた。肉料理といえば、ローズマリー。ハーブの定番中の定番である。できあがったビーフシチューは、いつになくスパイシーだった。ローズマリーだけの効果というより、この新製品のルーがこういう風味なのかもしれない。

 明日は、みこりんの保育園が運動会の振替でお休み。なのでLicもお休み。私は出勤だったが、借りてきたビデオが気になって時刻が明日になったころ、再生ボタンを押していた。借りてきたのは『ブレイド』。ヴァンパイヤとヴァンパイヤ・ハンターのお話らしい。冒頭、ヴァンパイヤの群れに立ち向かうハンターのアクションシーンに、釘付けとなった。動きに、日本の特撮ヒーローモノが昔から多用していた見栄を切る手法が取り入れられているのが印象的だ。武術として見せているというより、流れの美しさ、動きの華麗さを前面に押し出している感じだった。スティーブン・セガールが映画でよく見せる、合気道の動きもかなり入っているように見えた。それがカンフーや空手とは違った、見栄えを生んでいるようだ。香港映画ほどではないが、ワイヤーアクションも活用されていて、いやらしくなく決まっている。多用しないところが好感を持てる。

 これほど美しいアクションシーンは、なかなか見ることはできないのではないか。特に、ハンターを演じる黒人の体躯、肌の色、戦闘服の黒、ぞくぞくするほど魅力的だ。汗くさくないところが、すごい。シュワルツェネッガーやスタローンがアクションすれば、たいがい血と汗にまみれた男臭さを演出するところだが、この作品にはそういうシーンは意図的に抑えられている。ヴァンパイヤと、デイ・ウォーカーという、人間ではないモノ同士の闘いということから、あえてそうしているのだろう。
 冒頭のシーンだけでも、借りてきた価値があると思っていたが、最後までこのノリを維持してくれて、じつにすがすがしい思いだ。背中に帯びてる剣と、黒衣…、剣は違うが『ベルセルク』のガッツが、ふと思い浮かんでしまった。今日、『ベルセルク』の新刊を買ってきて、さっきまで読んでいた影響もあるだろう。白人が、ほとんど出てこないというのも、イメージを一新していて新鮮だ。ラストのあたり、なんとなく続編が出そうな予感。


1999.10.12(Tue)

怖いもの

 めっきり秋らしくなって、団地を巡回していた“わらび餅”屋さんも、近頃は“石焼きイモ”屋さんに変身である。今夜も、お決まりの台詞をスピーカーから流しつつ、石焼きイモ屋さんがやってくる。
 音がはっきりと聞こえてきた頃、さっきまで廊下で遊んでいたみこりんが、大慌てで洗面所にいた私のところまでやってきた。そして両手をめいっぱい突き出して、抱っこしてくれるよう無言で訴えかけている。表情はこわばり、明らかに怯えているらしい。

 そういえば、Licが以前言っていた。みこりんは、大きな音を怖がるのだと。なるほど、たしかにこれはそうとう苦手らしい。みこりんを抱っこしてやると、雷のときと同じように、ぎゅぅっとしがみついてきた。春頃は、こんなに怖がってなかったはずなのだが…
 Licがやってきて、みこりんに「石焼きイモ食べる??」と聞いている。『イモ』という単語を聞いたとたん、みこりんは先ほどまでの恐がりようが冗談であったかのように、ぱぱっと笑顔になって、「たべる〜!!」とLicに抱っこされていった。恐怖心より、食い気が勝った。石焼きイモに目がないあたり、さすが女の子であるなぁと、妙なところで感心したりもして。

 やがて戻ってきたLicとみこりん。みこりんの手には新聞の包みが握られていた。ほくほくの石焼きイモ。5本で500円と聞いて、「え!?」と思ったが、これでも安い部類らしい。みこりん、さっそくLicに皮をむいてもらってかぶりついてる。こんなにみこりんが石焼きイモ好きだったとは。来年は、サツマイモとジャガイモと、タロイモと山芋と、里芋を家庭菜園で栽培してみようという素晴らしい思いつきを、さっそくLicに話してみたが、栽培空間の問題を指摘されてしまった。しょうがない、サツマイモとジャガイモだけにしておこう。をを、みこりんがうれしそうに芋掘りする姿が目に浮かぶ。

はまってる

 LicがなにやらPCの前に陣取って、かちゃかちゃキーボードを撃っている(学生時代より、キーボードは“撃つ”ものであるというのが、習慣になっている)。画面に開いているのは、どうやら Visual Basic エディタ。Word で、複数文書検索のマクロを作っているとか言っていた。先週の金曜日には、ただの自動記録されたコードだけだったのに、今ではずいぶん進化しているようだ。
 ゆくゆくは、Word を起動せずにWord文書の全文検索をやってみたいと言っていたが、制御コードについて情報を持っていないらしい。昔は、“一太郎”や“松”などのビュワーを、フリーソフトなどで見かけたが、最近そういうものはあるのだろうか。情報をお持ちの方は、ぜひともLicに教えてやっていただきたい。


1999.10.13(Wed)

起床のメロディ

 ここのところ、目覚ましより早起きな日が続いている。そんなに早寝しているわけではないのだが、気候がよいのか、気持ちよく目覚めてしまうのである。目が覚めると、しばらくはそのまどろみを楽しみ、布団でごろごろしているのだが、やがて目覚ましが起動する。
 学生時代から愛用している古風な目覚まし時計が1つと、Licのミニコンポのタイマー起動の2段構えである。もはやこのような重装備な目覚ましシーケンスは不要なのだが、なくしてしまうのもやはり恐い。早起きが1年継続すれば、考えてもいいけれど。

 さて、ミニコンポのスイッチが入ると、流れてくるのは『イデオン発動篇サウンドトラック』である。毎朝毎朝『イデオン発動篇』を聞いているのだが、いっこうに飽きが来ない。『発動篇』に対する思い入れが、自分でもこれほど強いとは正直驚きである。季節が秋というのも、影響しているかもしれない。おそらく、春から夏にかけては、『イデオン発動篇』よりも、『メガゾーン23』のサントラを欲することだろう。

 あ、なんか今、とてつもなく春の桜吹雪が恋しくなってしまった。秋になったばかりというのに…


1999.10.14(Thr)

にゃんきちくん

 じつはLicは、犬や猫などの大型ほ乳類が苦手である。幼少期に、なにやら怖い体験をしたらしいのだが、詳しくは聞いていない。なので、我が家のにゃんきちくんにも、これまでほとんど触れることはなかったのだが…

 なんと最近では、にゃんきちくんの餌を替えてくれるまでになったのである。激しくじゃれつくのは、まだダメみたいだが、撫でたり抱っこするのもOKらしい。だから最近では、夜、にゃんきちくんをケージから出して家の中を遊ばせておく時間も長くなった。じつにうれしい変化である。
 やはり、にゃんきちくんの反則技的可愛さのせいだろうか。きっとそうだ、そうに違いない。これほど愛らしい猫を前にして、手を触れずにいられるものか。

 Licがにゃんきちくんを怖がらなくなったせいか(?)、みこりんもにゃんきちくんが以前ほど怖くなくなったらしい。今や、率先して餌をやってくれるのである。ただ、にゃんきちが、みこりんの三輪車などのオモチャにじゃれたりしていると、「みこりんの!!」なんて怒っているけど、どことなく姉妹喧嘩の雰囲気さえする昨今である。よしよし、このまま動物好きな子に育ってくれると、狙い通りだ。


1999.10.15(Fri)

大丈夫かな

 朝、あわただしい時間の中でも、みこりんにとっては遊びが一番。今日は追いかけっこで一緒に遊ぶ。真後ろにつけて、「まーてー」と足音響かせ迫ってやると、みこりんはちゃかちゃか短い手足で懸命に逃げてゆくので可愛らしい。
 だが、この接近しての追撃戦には、意外な危険が隠れていたのであった。

 ふいに、みこりんがコケた。まさに目の前でコケたので、私の急激な回避行動も間に合わず、接触してしまう。踏まないように大きく踏み出した足の下に、なぜかみこりんの右足が…。あぁぁ、踏んでしまった。しっかり踏んだ感触が残る。直後、みこりんが激しく泣き始めた。
 どこが痛いのか?という問いに、みこりんは右足の親指を示してくれた。おぉ、赤くなっている。私の足の裏に残る踏んだ感触は、まだ生々しい。かなり体重かかってしまったかも。
 泣きやまないみこりん。だが、Licがキティちゃんのお医者さんセットの注射器で、しっかりと注射してやったら、嘘のように泣きやんでくれた。恐るべしキティちゃん。

 心配していた骨折とかの心配はなさそうなので、いつもどおり保育園に連れていく。やや親指が腫れているようなのが気にかかるが、痛くはないらしい。ヒビとか、入ってなければいいのだが。

 *

 夜、会社に迎えにきてくれたLicとみこりん。「足痛くない?」と聞いてみると、「おとーさんがふんだ!」と、みこりんはしっかり覚えているようす。だが、幸い、どうもないらしい。ほっと安心である。

創立記念日

 勤務先の会社が創立記念日ということで、例年のごとく紅白饅頭が配布された。
 この饅頭だが、昔もらったやつは、もっと饅頭のサイズが大きかった気がしてならない。いわゆる豚まんタイプのお椀型だったと思うのだが、ここ数年は、小判型のこじんまりした饅頭である。いや、でかい方がよかったというのではけっしてない。記憶が曖昧なので、ちょっと気味悪いだけだ。
 たかだか十数年前の記憶というのに、風化の激しいことである。

 紅白饅頭といっても、本社が神戸にあるせいか、あの“ゴーフル”で有名な神戸 風月堂の品である。神戸 風月堂のゴーフルは、私の“菓子ベスト3”に入るほどのお気に入り。そこの饅頭となれば、たかが紅白饅頭といえどもあなどれないのである。
 白饅頭が粒あん、赤饅頭がこしあん。粒あんが苦手な私でも、大丈夫な控え目な甘さがありがたい。でも、やはりこしあんのしっとりさを味わってしまうと、白饅頭は食べられなくなってしまうのだが、みこりんが欲しそうに見ているので、白はみこりんにまかせることにした。

 ところがみこりんは、こういう中に餡やクリームが入った食べ物は、なぜか皮しか食べないのであった。結果、ナマコのような粒あんの塊だけが、ぽつんと1つ、テーブルに。皮がなくなったら、よけい食べにくくなってしまったではないか。あとは、Licがなんとかしてくれるのを待とう。

クロ 永眠

 いつものように、夜、ネズミ達に餌をやろうとケージをセッティングしていたら…。

 まるで冗談であるかのように、クロがチップの上で冷たくなっていた。予想もできない事態に、思考停止の空白状態に陥ってしまう。死の兆候は、まったくわからなかった。昨日も、元気に遊んでいた姿が、まだ脳味噌の中では鮮鋭な画像として残っている。それゆえに、信じられない思いしかない。

 お店から連れ帰ってきてから、約2年と1ヶ月。お店で8ヶ月以上売れ残っていたので、実質2年と9ヶ月ちょい。砂ネズミの寿命としては、短いのだろうと思う。やはり育ち盛りに、劣悪なショップのケージで長期間過ごしたのが、最後まで尾を引いてしまったのではないかと、つい考えてしまう。一生治ることのなかったクロの下顎の傷は、その当時の闘争が、いかに激しいものだったかを静かに語っているような気がして辛い。

 大好物のキュウリを多めに包んで、我が家のペットセメタリーに埋葬した。冷たい雨が降る夜だった。

VB

 Word の複数文書内容検索システムを作っているLicであるが、今夜は Visual Basic が起動していた。Word 付属の VBA での開発は、止めたらしい。
 画面では、ファイルオープンダイアログのようなレイアウトができつつあった。確認してみると、やはりファイル選択をするための画面とのこと。おぉぉ、全部自作するというのか。どうやらコモンダイアログなどの、コンポーネントの存在を知らなかったようだ。だが、Windowsでのプログラミングこそ初心者だが、プロのプログラマだったという経験は、やはり役に立つ。少しヒントを示せば、類推で進めていけるのだ。
 なにしろ、自分の結婚式の諸経費をシミュレーションするワークシートを、Excel で作って活用していた業師である。Windowsプログラミングの作法など、すぐに覚えてしまうだろう。

 Word 文書という制約がなければ、C++を勧めるのだがなぁ。なんだか悔しい。


1999.10.16(Sat)

ぴくぴく

 トイレで読書を決め込んでいたら、Licがにゃんきちくんを抱っこしてやってきた。今夜も早々にケージから出してもらえたようだ。で、何?と思ってると、にゃんきちくんを私の膝の上にのっけて、そのまま立ち去るLic。あ、あのー、この位置は気持ちよすぎるんだけど…。
 まるで仔猫の時のように、膝の上で極楽気分にくつろぐにゃんきち。動けない。こんな気持ちよさそうなにゃんきちをどかせるなんて、そんな鬼のようなことは不可能であった。

 ごろんと仰向けになって、じぃっとこっちを見上げるにゃんきち。かわゆさ爆裂である。そのうち、尻尾をくぃっくぃっと動かし始めた。まさに生きているような尻尾の動き!(生きているのには違いないのだが、別個の生命体のような感じなのだった)。
 そいつをじぃっと見つめていたにゃんきちだが、やがて辛抱たまらなくなったのか、自分の尻尾にじゃれつきはじめた。ちぇいちぇぃと猫パンチを繰り出しつつも、膝の上から落ちない程度にセーブしているらしい。猫なりに、考えているのだ。
 耳とか狭い額とか、首の後ろとか、顎の下とかを、さわさわしてやったら、ピンク色の小さな舌先を、ちろっと覗かせながら、目を細めている。いったいどんな快感が襲ってきているのか。それにしても、猫の額って、ほんと狭いなぁ…。

識別能力

 みこりんとミニカー遊び。サーキットの狼シリーズ6台に加えて、黄色い HONDA S2000 と、怪しげな黒のレースカーも混じっている。
 「どれが一番好き?」と聞いてみると、今夜はロータス・ヨーロッパな気分らしい。真っ赤なポルシェが7割、真っ白なロータスが2割、これまた真っ白な TOYOTA 2000GT が1割というのが、これまでの結果である。みこりんの好きな色は、どうやら赤と白らしいことが想像できる。だが、ブラックボディのカウンタックを指さして「カッコイイ!!」と言う場合もあるので、油断は禁物である。

 ふと、みこりんに「黄色のミウラ取って」と言ってみた。これまでミニカー遊びのときは、意識的にクルマの固有名詞を言うように努めてきた。みこりんにスーパーカーを覚え込ませるためである。その成果は出るであろうか?
 ちょっと迷って、みこりんは「みーら?」と一台のクルマを手渡してくれた。おぉぉ、“ポルシェ”と“ロータス”以外にも言えるようになったのか、みこりん!が、渡してくれたクルマは、HONDA S2000 であった。惜しい、じつに惜しい。たしかにこいつもボディは目に鮮やかな黄色には違いないのだが…
 この8台すべてを識別できるようになれば、もっと別なミニカーも買ってみてやろうと思う。

着々と

 昨日から始めたLicの Visual Basic いぢりだが、なんだか刻々とカタチになっているような気がする。言語は違えど、やはり元プログラマであるなぁ。
 Word のドキュメントを直接操作できるオブジェクトを発見したらしく、もはや勝ったも同然な雰囲気すら漂っている。が、検索関連のプロパティ設定で、あやしげなエラーに遭遇したらしい。かなりいらついている模様!

 そのうち、Word の検索ダイアログを VB で使う方法というのも発見したようで、テンション急上昇。VBA からスタートしたLicのWindowsプログラミングは、VB を超えて、どこを目指してくれるだろうか。できれば C++沼、Java沼に引きずり込んでみたいものである。


1999.10.17(Sun)

素晴らしい朝

 一番に目を覚ましたのはみこりんだった。カーテンの向こうでは、まさに天使の輝きのごとく、朝の日差しがまばゆい気配。まどろみを楽しんでいると、みこりんのちっちゃな指が顔に触れた。……う!?強烈なメントールの刺激!がばっと起きると、みこりんがメンソレータムを、一生懸命塗り塗りしてくれている最中であった。まぶたがスーッとして、とても寝ていられない状況になってしまった。しょうがないので起きる。もしや、みこりん意図的にメンタムを使ったのでは…。

 リビングに降りて、サンルームを開放すると、まさにこういう空気を吸ってみたかったのだと思わずにいられない適度の湿気と冷たさの混じった、爽やかな秋の風が流れ込んできた。時計はまだ午前8時を少し回ったところだ。今日もやることはたくさんある。さっそく腹ごしらえしておこう。

 軽く朝飯のあとは、金曜に届いていた大根と葱の種を畑にまくことにする。すでに大根のほうは時期を逸しつつあるので、今日を逃してはならない。どちらも国華園に通販で注文していたものだが、夏に続いて冬モノ野菜も、国華園らしい変わり種を多数用意してくれていたので、選ぶのに迷ったのだ。この大根は“満月聖護院大根”という品種である。真ん丸になるという、その姿に惹かれた。葱のほうは、“福だるま葱”といい、なんと直径9cmの太さにまで育つ。こいつを鍋にすれば、さぞやおいしかろうと期待しているのだが、9cmといえば、ちょっと痩せた大根並の太さである。いったいどんな味になるのかにわかには見当もつかないところが、また楽しい。

 畝を作っているのを、みこりんがじぃぃぃっと見つめていた。みこりんにしてみれば、お父さんは一人で砂遊びしてる!?といったところなのだろうが、今日の種はどれもこれも小さい。みこりんに手伝ってもらうには、ちょっと無理があるのだが、かといってみこりんの興味をまったく失わせてしまっては元も子もない。微妙な駆け引きが必要だ。
 ところで先週まいておいたニンジンは、無事、発芽が確認できた。でも、なんか2種類あるような気がする。雑草というには、少し揃って生えすぎている気もするし、抜いてしまうのは、もう少し大きくなって、正体が判明してからにしておこう。

 植え付けが終わった後、花壇のほうで液肥をやっていたら、宅急便屋さんのトラックが門の前で止まった。みこりんは、さっそく「はんこくださーぃ」と小声でささやきながら近づいていった。宅急便トラックを、みこりんは識別することができるのである。
 到着したのはセントポーリアの創生園からの荷物であった。注文しておいた植え替え資材と、原種の“コンフューサ”一株。これでようやく植え替えすることができる。ぎりぎり間に合ったかな。

 Licが、玄関脇で伸び放題になっていた月桂樹の枝を、心地よい音を響かせながら大胆にカットしている。カットした枝は、もちろんリースにするのである。みこりんもさっそく乱入してきたようす。Licの邪魔をしつつ、楽しそうに見まねでリースのようなものをこしらえているらしい。だが、私が雑草を抜き終わったころ、みこりんはお茶碗片手にウッドデッキに腰掛け、がつがついっている最中であった。まだお昼前だというのに、ものすごい食欲である。ご飯を食べ終わると、次は豚汁のお椀を持ってきて、これまたきれいさっぱり平らげてゆく。あぁ、たしかに今日は食欲の秋にも、申し分ない日和である。来週あたり、この夏新調した焚き火台で、焼き肉でもしてみようかと、ふと思ったのであった。

 朝早く起きると、一日が充実しすぎて怖いくらいだ。メンタム塗って、起こしてくれたみこりんに感謝せねばなぁ。

今日の園芸

 午後から、ホームセンターにお出かけ。特に目的はなかったのだが、この時期は秋の園芸特売などとやってたりするので、見逃せない。
 観葉植物が、案の定叩き売り状態であった。その中でも特に惹かれたのが、ヘデラのポット苗である。198円均一なのだが、5〜6種類は、品種があるようだ。ノーマルタイプ以外のヘデラを買うチャンス。

 さっそく斑入りとスプラッシュ模様のを1株ずつ買っておく。Licはミントベルに興味を惹かれたらしく、ピンクと白の花が咲くやつを1株ずつ買っていた。
 さて、こういう葉モノには、鉢も吟味してやらねばなるまい。我が家で余っている安いプラ鉢では、あまりに無粋。ヘデラには壁掛けタイプのお椀型の素焼き鉢を、ミントベルにはイタリアンな素焼き鉢をそれぞれ選択。昨今のガーデニングブームで何がよかったといって、多用な鉢を手軽にホームセンターで買えるようになったことだろう。昔懐かしの駄温鉢など、もはや見つけるのも困難なくらいだ。

 この時期の花モノといえば、やはりパンジー&ビオラである。毎年品種改良で登場した新色を楽しむのが常だが、私はどちらかといえばパステル調で、しかも単色系が好みである。昔からある“三色すみれ”タイプのは、ちょっと苦手。
 そうやって溢れんばかりのパンジー苗を見渡していると、ぐぐっと引きつけられる花色発見。“ピンクシェード”とラベルに書いてある。この名前は、記憶にあった。ほんとうにラベルの写真みたいな色になるかは、神のみぞ知るというやつだが、試してみる価値は十分にある。さっそく2株購入。こういう系統の色のパンジーは、シーズン始めでほとんど姿を消してしまうので、見つけた時に買って置かねばならないのである。
 これを植える鉢を悩んでいたら、Licが指さす木製の鉢はかなりいいように見えた。大中小と、3つのサイズが揃って1280円。ほぼ半額である。よし買おう。

 結局、今週もたっぷり買い物したのであった。ホームセンターでカードが使えるようになった影響は極めて大なり。


1999.10.18(Mon)

けもの

 寒い朝だった。Tシャツの上に長袖シャツを着込み、さらに作業服を装着しての出勤である。途中、みこりんを保育園に送っていかねばならないので、田舎道を走っていると、道ばたにぬいぐるみが転がっているのに気が付いた。……いや、どうやらそいつは生きているようだ。

 ぬいぐるみかと思ったほど、毛深い動物であった。一見して猫でも犬でもないことは明らか、ではいったいアレは何なのか。尻尾からの姿しか見えなかったのだが、Licはタヌキではないか?と言う。たしかにタヌキ、もしくはアライグマ系な色彩である。ここ岐阜県では、ペットのアライグマが野生化している地域がある。野良アライグマがいても、おかしくはない。
 みこりんを保育園に送りだし、さっきの道を戻ってゆく。今度は頭側から観察できるコースである。前後にクルマがいないのを幸いに、スローダウンしてじっくりと確認した。

 タヌキであった。サイズからいって、大人のタヌキに間違いあるまい。口から血を流して倒れている。クルマに跳ねられて死んでしまったのだろう。寒い外気温にさらされた冷たい毛皮の感触が、ふと生身に触れたような気がして、目をそらした。子ダヌキもいたのでは?と一瞬思ったが、死体の近くで考えることではないと思って、それ以上想像するのは止めておく。
 この付近では、ちょうど山が切れて平地に出てくる位置にあたる。ここから南に向かって、およそ10km以上はあると思われる山奥が広がっているのだから、タヌキも十分生きていられるのだろう。だが、野生のタヌキ(今回は死体だったが)を見たのは、これが初めてなのだった。キジやらイタチやらは、たまに見かけたが、タヌキもずっと昔からこの付近の山の中にいたのだろう。すると、イノシシやキツネ、野ウサギなどもいるにちがいない。

 秋深まりゆく季節、紅葉の山をかきわけ、散策してみるのもいいかもしれない。


1999.10.19(Tue)

教師の評価

 東京都教育庁が、来春にも公立学校の教師に対する評価制度を導入する予定とか。ようやく教育現場にも、少しはまともな環境ができあがるらしい。
 課外活動にも熱心でなく、定時でさっさと帰り、つまらない授業を面白くなさそうにやるような教師と、熱心に教育に取り組む教師とが、同じ給与しか得られない現状こそ、大問題なのだ。学級崩壊などが、この評価制度によってたちまちなくなるはずもないのはそのとおりであるが、だからといって評価制度を導入しないのは、単なる怠けたい教師の言い訳にしか聞こえない。当然やっておかねばならない制度なのだ。だいたい、評価されるのを嫌う教師の言い分は、ようするに自分の勝手にやらせてくれというワガママばかりだ。その結果、いじめ問題などの教室の不祥事は担任によって隠され、上司も把握できず、ついには自殺者まで出さなければ公になることはない。自分の教育方針に信念があるならば、どのように評価されようが胸をはっておればよいのだ。上司の方針と対立し、冷遇されたからといって、それがなんだというのか。そんなことは、一般社会では当たり前なのだ。自分を信じられず、信念を貫きとおすだけの度胸もないハンパものを守るために、真面目にがんばっている教師が犠牲になることはこれっぽちもない。

 ただ、相対評価というのはまずいだろう。絶対評価でなければ、レベルの低い学校では低レベルがそのまま維持されてしまう。
 そして評価制度を意味のあるものにするためには、評価内容が妥当であるかチェックする機構の存在が不可欠だ。内申書のように、評価される側に秘密になるような評価制度では、無能な上司をあぶり出せない。
 いずれにしても、今回実現に向けて動き始めた評価制度が、またもやサヨク教師やサヨクマスコミによって棚上げされないことを願うばかりだ。


1999.10.20(Wed)

謎の声

 保育園から戻ったみこりんは、玄関で、ふと足をとめたという。
 廊下の奥から、何か聞こえてくる!?みこりんは、耳をそばだてた。お父さんは会社から戻っていないし、お母さんは横にいるし、あの声はいったい誰が…。恐い。もう一歩も足を踏み出せない…

 「……ok? go! ok? go! ok? go! ok? go!……」

 *

 みこりんに三輪車を買ってあげたのは、ずいぶん前のことだ。真っ赤なボディに、電子装置が埋め込まれたハンドル部、昔の三輪車のイメージしかなかった私にとってもそれは、衝撃的であった。
 電子装置の操作パネルは、たくさんのボタンとスイッチ、ランプが並んでおり、何か操作するたびに、電子音や音声チップが反応するのだ。スイッチ大好きなみこりんが、このギミックの虜にならないはずもなく、三輪車に乗るというより、操作パネルで遊んでいることのほうが多い。もっとも、春までは前輪に足が届かなかったのだから、自分でこいで遊ぶのは不可能ではあったのだが。

 しかしその電子装置も、電池切れの運命には逆らえず、しばらく間延びしたようなか細い音しか鳴らなくなっていたのだった。それがみこりんには不満だったらしく、ついに先月、新しい電池を入れてくれと催促されてしまった。わずか2歳にして、電池で動作しているというのを理解しているあたりが、なにやらものすごい。かといって、チューちゃんが死んでも、電池を替えてと言ったりはしない。チューちゃんは、自分と同じく、ご飯を食べて生きているというのもわかっているのだ。

 さて、電池を交換すると、それまでの死にそうなよれよれの音や声は、見違えるように元気になって、みこりんを満足させた。スロットルレバーを操作するたび、いかす白人男性の声で『ok? go! 』…………

 みこりんを怖がらせた声の主は、三輪車のスロットルレバーであった。“彼”は、電池を替えたあと、なにやら接触不良のようで、触れてもいないのに勝手にしゃべるときがあるのだった。
 みこりんが、また恐い思いをしないように、はやめに修理しておかねば。


1999.10.21(Thr)

発芽!

 今朝は、爽快な天気だった。早起きしたので、庭で水やりをする。
 日曜、畑に植えた大根と葱はどうなっているだろうか?ホースを長く伸ばしながら、近づいてみると…。

 おぉ!!このカイワレみたいな葉っぱは、まさしく大根。覆土をぽっかり割るように、元気に頭をもたげていた。この時期の水不足は致命的、さっそく水をかけておく。
 葱はどうかと、見てみるが、こちらはまだ動く気配なし。まぁ、まだ播いてから4日しかたってないしと思いつつ、こちらにも水をたっぷりやっておく。

 さて、ニンジンの芽だが、今度こそどれがホンモノのニンジンかわかるようになった。2列に綺麗に並んで伸びてきてる、その細いやつが、そうだ。紛らわしい位置に、雑草が芽吹いていたのでややこしかった。だが、地上2cmにまで育ってくれれば、なんとか判別できる。
 それにしても発芽率が良すぎる。こんなに発芽してしまったら、間引くときに困るではないか。抜いた1本1本が、ニンジンや大根、葱になるかと思ったら、抜けなくなってしまうに違いない。

 ところで最近、お昼のお弁当には“ほうれん草”のおひたしが欠かせない。これまで、メインの野菜にはブロッコリーを使っていたのだが、ふと、ほうれん草にしてみて、それがとてもさっぱりしていて食欲を刺激するのに驚いたのだった。以来、ほうれん草にハマっているのだ。
 だが、このほうれん草というやつは、買うと意外に高い。こういうネタこそ、家庭菜園で自給自足せねば。種は買ってあるので、あとは植える場所を確保するだけなのだが、保存のきかない野菜だから、プランタで細切れに時間差栽培するのがいいかも。あぁしかし、プランタは野良猫の格好の餌食になるし………、悩みは尽きないのであった。

争奪戦

 夜、ご飯もおいしく食べ終わり、くつろぎのひとときである。
 にゃんきちくんも、ケージから出て、あちこち探検しまくっている。だが、そろそろ独りで遊ぶのにも飽きてきたらしい。ときおり近づいてきては、訴えかけるような瞳で見つめつつ、「ふにゃん」などと鳴いてみせるのだった。
 だが、私の膝の上にはすでにみこりんが陣取っている。みこりんにとって、ここのところ帰宅が遅い私と、こうして夜遊べるのは貴重なので、いつにもましてくっついているのだ。
 そのうち、にゃんきちが「撫でてくれないのなら、自分から擦り寄ってやる〜」とばかりに、ごろごろいわしながら、まとわりついてくるようになった。みこりんピンチ!

 「みこちゃんの!!」と言いつつも、大胆なにゃんきちに押され気味である。にゃんきちが回り込んでくる方向から、逃げるように私の周囲をぐるぐる回ってしまう。そのうち、にゃんきちがとうとう膝に上にのっかってきた。ごろんと長く伸びて、『ここは私の場所』と宣言しているかのようだ。ついにみこりんは、追い出されてしまった。やはり、にゃんきちがそばに寄ると、恐いらしい。でも、なんとかにゃんきちをどかそうと、いろいろ言葉を発しているのだが、こういう場合は言葉を理解しない猫が有利であろう。膝の上争奪戦は、にゃんきちの勝ちで幕を閉じたのだった。みこりんのリベンジは、おそらく近いうちに実行されるだろう。はたして、今度はどちらが勝つのか、成り行きを見守ろうと思う。

保護色

 明日も仕事なので、そろそろ寝ようと、2階へ上がる。寝室では、すでにみこりんが寝ているため、そぉっとLicが襖を開けた。豆球の弱い黄色の明かりが、ぼんやりと布団を浮かび上がらせている。みこりんを踏まないように、それぞれの布団まで辿り着かねばならないのだが……、みこりんの姿がなかった。

 寝相が激しいので、どこかに転がっているのでは?と、暗がりに瞳をこらすが、それらしき影は見あたらない。まさかとは思いつつ、みこりんの姿がないことに、やや不安になりはじめたころ、ようやく見つけることができた。みこりんは、いつものとおり、真ん中に寝ていたのだ。

 『保護色』という言葉が、とっさに思い浮かぶ。もともと彩度の低い照明下なので、保護色もあったもんではないが、それでも目を錯覚させるに十分な見つけにくさである。野生動物の子供には、住処に適した保護色を持つものが多い。ウリ坊の縞々、子鹿の点々などなど。ヒトの子供が、町に住むようになって久しいが、都市迷彩とでもいうべき保護色を獲得しているのではないか。ふと、そんなことを考えた瞬間であった。


1999.10.22(Fri)

核武装

 “プレイボーイ”ごとき週刊誌でも、政府の要職にあればそれなりの発言の重さはある。とはいえ、「核武装せよ!」と声高に叫んだわけでもなく、ただ「そういう議論をしよう」と言うだけで解任というのは、この国の民主主義というものがいかに貧しいものかを示している。情緒的、情動的、理性なき危うい感情のみで突っ走る。戦争当時の危険な軍国主義にも通じる怖さである。

 議員を辞職せよという声まであるが、それを主張するやつは、自分が気にくわない主義の人間の存在を認めることができないのだろう。恐ろしいことである。相違を認めることこそ、社会生活の基本なのではないのか。
 それにしても滑稽なのは、朝日新聞の社説である。今回の発言によって、日本の国益を損ねたので解任すべしというのだが、朝日新聞が日本の国益を口にするか。笑止。
 過去、教科書検定において“侵略”を“進出”に書き換えられたと一大デマゴーグを流し、国際問題にまで発展させておきながら、ついぞまともに謝罪もせず、責任もとらず、あいかわらず日本の国益を損なうような方向へと、世論操作を続けているのは、どこの誰か。恥知らずにもほどがある。

 で、セクハラか?罰がなければ『強姦』しまくるという男は、たしかに馬鹿だが、それをすぐにセクハラと言うのも、なんとかの1つ覚えだ。品がないのもその通りではあるが、では小学校や中学校の教科書で、慰安婦について書き立て、子供達を洗脳するのも同じレベルであろう。こんなレベルの議員、マスコミがてんこ盛りというのが、この国の不幸である。

女人禁制

 修験者の聖地の、その山は“女人禁制”であった。そこに日教組の女教師一行が登山を強行した。女人禁制は女性差別である、だからそんなものは粉砕すべしという。

 国旗・国歌法案が可決されたあと、あれほど内心の自由を叫んでいたのは、他でもない日教組ではないか。他人の信仰を尊重できないやつが、内心の自由を主張していたというわけだ。
 信仰に、理論的理由など求めてはならない。信仰とは、論理を超越したものである。理屈が存在しないからこそ、信仰たりうるのだ。

 ナバホ族の聖地に、ナバホ以外の者が立ち入り禁止にされたからといって、人種差別だ!と叫びながら、彼らの聖地を土足で踏み荒らすことが正しいか?女教師一行がやった蛮行は、まさにそれである。自分の権利だけを主張し、他人のことなどどうでもよい。こんな教師が、子供達を教えている。最近日本でタガが外れたような事故・事件ばかり増えているのは、このあたりに元凶があるのではないのか。

リリース

 時事ネタのあとは、がらっと関係ない話題を。

 Licからの要望で、とあるソフトウェアを作ってみた。ちょうど、似たような機能をもったカスタムコンポーネントを C++Builder で作っていたところだったので、追加するのも簡単に思えたからだ。
 今回作ったソフトウェアは、ディレクトリを指定すると、そのディレクトリ以下の、全サブディレクトリを含めて存在するファイルの情報(名前、サイズ、更新日時)を、テキストファイルに出力できるというものだ。私自身は、あまり必要性を感じないのだが、MOなどにどんなファイルが入っているのか印刷できれば便利ということらしい。もともと、こういうソフトを欲しがっていたのは、Licの職場の人だという。なので、Licも近頃 Visual Basic で、なにやらディレクトリサーチができそうな画面を開いていることが多かった。
 たぶんLicは、私が完成させたにしても、自分で VB を使って自作するような気がする。


1999.10.23(Sat)

時間の流れ

 習慣とは、まことにありがたいものである。今朝も目覚めたのは、午前7時30分。平日でも、この時間に起きればかなりいろんなことができる。お弁当に1品追加する余裕もあれば、水槽のコケ掃除はおろか、開花したセントポーリアの美麗な姿を激写しまくることさえ可能なのだ。ましてや、今日は休日である。お昼ご飯までに、予定していたすべての作業が片づいてしまうかもしれない。

たとえ睡眠時間が3時間ほどしかなくても、お昼まで寝るよりは、目覚めて活動したほうがいい。今日できることを今日やっておけば、明日はもっと新しいことにチャレンジできる。とはいうものの、このぽかぽか陽気に睡眠不足、油断するとうっかり庭いじりの最中でも寝込んでしまいそうだ。たった一日、明け方まで起きてこれである。もう若くはないのさと、ふっと風のささやきが聞こえてきそうだが、来月始めには母校で学園祭が行われる。しかも時同じくして、サークルの20周年記念のイベントまで実行されるのだった。卒業して、まだ11年しか経っていない。やりかけのままで、残している事がたっぷりある。加えて、新しくやりたい事も、それ以上に増えた。まさに時間との競争である。

植え替え

 先週、創生園からセントポーリアの植え替え資材が届いたので、さっそく今日は植え替え作業に取りかかる。この1週間は、比較的ぽかぽか陽気が多かったので、助かった。それでもまもなく夜間最低気温が、10度を切ってしまいそうだ。植え替えのタイミングとしては、かなりぎりぎりである。

 まずは原種から。今年は、ニチダ1株を溶かしてしまったものの、総じて具合がいい。ハウス・オブ・アマニ、ディプロトリカ・パーカーは開花中であり、ディプロトリカ、ルピコーラにも、待望の花芽がついた。この種類では初めての花芽だけに、大事にしたい。ニチダ、グランディフォーリア、ディフィシルスが、夏の暑さに続いて、残暑にみまわれ疲弊しているのが、少し気にかかる。幸いニチダはバックアップ用に2株持っていたので、我が家における種の消滅という最悪の事態は避けられたが、残った1株もけして楽観できる状態ではないので、慎重に治療を施しているところなのだ。ハイフレッシュを土に染み込ませた効果が、じわじわと現れて来ている。枯死した頭頂部分の下側から、新しい組織が再生しつつあり、小さな脇芽も2つほど確認できる。来春には、さらにバックアップ株を増やせそうである。

 その株が調子いいのか悪いのか、葉っぱの様子などで推測することはできるが、やはり根の状態を見るのが一番わかりやすい。植物を育てるとは、土を育てること、根っこを育てること。そこさえできていれば、地上部が健康に育つのは理屈に叶ったことである。だが、普段地下に隠れているだけに、ついつい忘れてしまいがちになる。こういう植え替えの時には、普段なかなか見ることのできない地下の世界が白日の下にさらされ、適切な世話ができていたのかどうかがありのまま示される貴重な瞬間でもある。地上部が、「ちょっと弱ってるかな?でもまだまだ大丈夫だろう」、というような株でも、地下の根っこはかなり悲惨な状態になっていたりして、はじめて事態の深刻さに気づいたりもする。申し訳程度に残った干からびた根っこを見せつけられると、自分の至らなさを思い知らされ、逆に、生き生きと健康そうな根っこがダイナミックに張り巡らされていたりすると、思わず“にやり”とせずにはいられない。

 おそらく、植物を育てるのが上手な人というのは、この地下部分の有様を、地上から透視できるのであろう。それは怪しげなパワーなどではなく、名医が触診や問診でほぼ正確に患部の状況を理解するがごとく、また、優れたプログラマがバグを内在したモジュールを、かなり瞬間的に推測できる能力に近いのだろう。私がそうした地下透視能力を会得できるのは、はたして何時になることか。日々是精進である。

今日の園芸

 午後からホームセンターに出かける。まるで狙っていたかのように、赤玉土が半額セールになっていた。これを買わずに、いつ買うのか。迷わず小粒大袋2つを購入。我が家の鉢物植え替え需要は、これで当分満たすことができるだろう。バーク堆肥、鶏糞もセール対象商品になっていたので、こちらも買いだめしておく。この冬は、畑の拡張をやってしまってもよい。
 そしてタマネギの苗を買う。じつは、タマネギの苗には、かねがね謎に思っていることがあったのだ。タマネギは、キャベツなどと同じく、1株で1つの収穫物しか得られない野菜である。キャベツなどは、苗が1本50円くらいなので、うまく収穫できれば200円分の大玉キャベツを50円で得ることができる計算になり(実際には、肥料などでもっと出費は多いのだが)、明らかにメリットがある。では、タマネギはどうかといえば、3〜4個のネット売りで150円〜200円なので、苗は1本10円程度でなければほとんど意味がないことになる。はたしてそんなに安い苗を売ってるんだろうか?というのが疑問だった。これまでタマネギの苗なんかに、ぜんぜん興味がなかったものだから、苗の売り方とか相場をまったく知らない状態だったのだ。

 さて、今回初めてタマネギの苗を手にとってわかった。こりゃたしかにメリットがある。なぜなら、100本パックで、たったの298円なのだ。1本あたりわずか約3円。これはわざわざスーパーで買うより、苗を育てたほうが圧倒的に有利である。
 これでニンジン、タマネギを確保した。残るはジャガイモだけだが、あれほどうなっていた種芋のカゴが、どこにも姿が見えなくなっていた。もしや時期を逸してしまったのかも。

 ついにムスカリを植えることができた。桃の木の下を、私が耕し、Licが植え付けたのだが、瓦礫をどけたら土のかさが減ってしまって窪みができた。まだまだ開墾の余地ありだ。

『るろうに剣心 追憶編』第四幕

 を借りてきた。『ブラックジャック』の最新巻と、最後までどっちにしようか迷ったのだが、続き物を先に見たいという心理状態が強く働いた結果である。

 みこりんが寝てから見ようと思っていたのだが、風呂から上がってみこりんを寝かし付けている間、私の方が先に寝てしまっていたらしいのだ。なので、時計の針が明日になってからの鑑賞タイムである。なぜ途中で目覚めることができたかといえば、にゃんきちくんが、ロボロフスキーのあかねちゃんを襲っている怖い夢を見たからだった。風呂から上がったときには、まだにゃんきちくんはケージの外で遊んでいたので、心の隅に心配事として記憶されていたのであろう。実際には、ちゃんとLicがケージに戻しておいてくれていたのだが。

 さて、ビデオのほうだが、巴が殺される場面である。おぉぉ、そうだったのか〜……、でも、少し物足りないような気もするなぁ……。凄腕の剣客(のはず)が、こういう事態になるのは、やや説得力に欠けるかも。でも、しかし、室温が低下したかのような錯覚を覚えるくらいには、引き込まれていたのだった。それにしても、巴の作画、なんだか既視感を覚えてしょうがない。ずっと昔、こんな感じのキャラいなかったかな。ちょっとすぐには思い出せないけど、頬の面積の大きな色白で、前髪の隙間から覗く黒い瞳って、たしかに記憶領域に痕跡があると私の脳が言っている。

 そして、エンディング。こういう作りは、かなり好きだ。終わってしまった遠い記憶というより、まさに今、生きているのだと主張できるだけのリアルさがいい。原作をまったく知らなくてもそう思えるかどうかは、もはや想像するしかないのだが、アニメの外伝的作品にありがちな、いわゆる“内輪受け”は、ほとんど感じさせていない。かなりいい部類に入るのではないだろうか。


1999.10.24(Sun)

目覚め

 習慣に従い、目覚めたのは午前7時30分。だが、体が動かない。ぎしぎしと、いやな軋みが聞こえてきそうな、体の重さ。筋肉痛である。
 昨日は、そんなに力仕事はしていないはずだが…、と思って、はたと気がついた。縄跳びだ。昨日、みこりんが縄跳びしようというので、一緒に縄跳びしたのだった。たかが縄跳びと思ってはいけない。アレは、そうとうに運動量がある。普段、運動をしない身で、いきなり縄跳びを5分間など、そうそうにできるものではない。1分も続ければ、地球の重力は、どうしてこんなに強いのかと、恨めしく思うこと確実である。

 そういえばその昔、縄跳びを1日5分すれば、健康的になれるという話をちらと聞いた覚えがある。そのときは、まだ私も二十歳そこそこで、若さに溢れていた(って書くと、今がしょぼしょぼのじいさんのようだ)。なので、たかが縄跳びでそんなうまい話なんかあるわけないと、ハナから信用していなかったのだが…。縄跳び1日5分、こいつは本物かもしれない。普段ばりばりに運動している人には関係ないかもしれないが、運動不足で下っ腹が気になる人ならば、だまされたと思って、縄跳びしてみることをお勧めする。私もさっそく縄跳びを続けてみようと思う。

植え替え

 昨日、赤玉土を買ってきたので、さっそくヘデラ2種と、ミントベル2種の植え替えをした。赤玉単体では水はけが良すぎるので、培養土を適度に混ぜる。混ぜ混ぜしていると、さっそくみこりんが嗅ぎつけて、やってくる。こういう作業は、みこりん大好きなのだ。

 「まーぜてまーぜて まぜまぜみくす!」などと歌いながら、みこりんが手伝ってくれる。私の手つきを真似て、ちゃんと培養土をほぐしながら、混ぜ込んでいるあたりが本格的だ。

 先週買っておいたイタリアンな素焼き鉢に、それぞれミントベルを植え込んでゆく。みこりんも、手際よく鉢底に木炭を敷き、土を入れ、根鉢を崩さないように株を収め、隙間にさらに土を流し込んでくれる。すっかりお手伝いが板についた感じだ。しかも手順もよく覚えているし。2歳にしてこれなら、将来どんな植物好きな女の子になってくれるかと、妄想は膨らむばかりだ。

 さらに驚かされたのが、無事植え替えも終わったあとのことだ。ホースの準備をしていると、みこりんが、自分用のちっちゃい“じょうろ”をかかえてやってきた。水を入れて欲しいらしい。なみなみと注いでやると、先ほど植え替えたばかりのミントベルの鉢のところまで行き、じゃぁと水を掛けてくれたのだった。植え替えたあとは、ちゃんと水をやらないといけないってわかっているらしい。ほんとに、私のやってることをよく見ているなぁと思う。子は親の鏡という言葉が、リアルに感じられる昨今である。

心配

 みこりんが、ガレージへと降りる階段の上で、なにやら表通りをじぃっと見つめているようだった。何かみこりんの興味を惹くようなモノがあったのだろうか?
 やがて、みこりんが怪訝そうな、心配そうな顔でやってくる。そばまでくると、じっと私を見上げつつ「にゃんきちくん、おそとあるいてる!」と言うではないか。玄関を開け放したままなので、にゃんきちはケージから出してはいないはず。もしや、ケージの扉が開いてしまったのか!?「にゃんきちくん、いっちゃったよ、おとーさん」みこりんの心配げな声は、明らかににゃんきちくんの様子を見に行こうと誘っているようだった。確かめねばなるまい。

 みこりんを抱っこして、廊下のケージへと向かう。はたして、みこりんが外で見たという猫は、にゃんきちくんであろうか?
 「にゃ?」にゃんきちは、いきなり現れた私とみこりんに向かって、一言眠そうに声を発しただけであった。にゃんきちは、無事だった。みこりんは、なんだか狐につままれたような釈然としない表情である。

 再びウッドデッキに戻ると、みこりんに言った。「にゃんきちくんそっくりの猫だったんやね」。しばし考えるような表情のみこりんだったが、やがて「にゃんきちくんそっくりの、しろいネコさんだった」と、自分を納得させているようす。たしかにこの周辺には、にゃんきちと兄弟ではないか?と思ってしまうようなそっくりさんなネコが1匹いる。みこりんが見たのも、たぶんそれだろう。非常に低い確率ではあるが、お昼寝中のにゃんきちくんの生き霊が、ふらふらとお散歩に出かけていたという線も、なくはないのだが、それではにゃんきちが化けネコみたいで怖いので、それはないことにする。いずれにしても、みこりんがにゃんきちくんの身の上を心配したことには変わりなく、みこりんの成長を実感した瞬間でもある。

今日の園芸

 昨日買ってきたタマネギの苗を植えた。先月、せっせと開墾したハーブガーデンのスペースを活用したのだが、さすがに100本の苗すべてを植えるだけの広さはなかった。たっぷり余ってしまった苗を前にして、さていったいどこに植えるべきかと悩んでいたのだが、新たに土が必要なプランタ植えは避けたい、となると必然的に花壇の隙間という隙間を有効活用するしかなかったのだった。

 桃の下に、ちょこちょこ。Licの花壇にもちゃちゃちゃ。そうやって、思いつく場所すべてを使い、なんとか100本すべてのタマネギ苗を植え終えたのだが、まだまだ未開墾の場所であるため、いかにも痩せた大地にひょろひょろの苗の図というのは、まさに西部開拓時代の荒涼とした大地にまかれたみすぼらしいコーンを彷彿とさせた。こんなかちかちの赤土の下で、はたしてタマネギは太ってくれるのだろうか。ハーブガーデンのほうは、ふかふかの土で気持ちよさそうに植わっているが、こっちの苗は、いかにも哀れを誘う姿だ。開墾し直したほうがいいかなと、ふと思ったりもしたが、こういうワイルドな植え方というのもちょっと気に入ってしまったので、このままにしておこう。栄養が足りなくて小玉タマネギになってしまったとしても、まるごと煮込むにはちょうどよい。
 だが、タマネギの収穫は来年の5月くらいなのだった。春の園芸まっさかりの時期である。それまでこの花壇はタマネギに占領される…、うーん、まずったかも。

 ロケットの時期がそろそろ終わる。まだ花が咲いているのもあったが、心を鬼にして引っこ抜く。空いたところには、ほうれん草の種を蒔くのだ。時間差で、途切れることなく収穫できるように、種の大部分は温存しておき、とりあえず第一陣のチャレンジである。うまくすれば、お弁当用のほうれん草は自給自足できるはず。かなり期待は高いのだった。

10まで数えて

 みこりんとお風呂たいむ。体も洗って、あとは湯船であったまるだけ。みこりんは、湯船につかるのを嫌がるため、いつもどうやって肩まで温まらせるか思案のしどころである。
 今夜は、私が先に10まで数えて、みこりんにも真似させようとした。「いーち、にー、さーん」すると、みこりんがふいに遮るようにして言う。「みこりんがさきにかぞえる!」

 ほぅ、これは珍しい。というわけで、みこりんに「じゃ、先に数えてごらん」と、成り行きをうかがっていると…。
 肩までつかったみこりんが、浴槽のほうを向いたまま、なにやら静かになってしまった。いつ数えてくれるのかな?とさらに待っていると、みこりんの口が小さく動いてるのに気がついた。耳をすませば、なにやらささやくような小さな声で「…ろーく、……ひーち。。。。はーち……」と言っている。おぉぉ、みこりんが自力で数を数えている!?

 「ひーち……、はーち……」どうやら、この付近がみこりんにとっての鬼門らしい。さきほどから何度も行きつ戻りつしているようす。だがここはじっくり待ってみよう。肩までつかって体もぽかぽか、一石二鳥でもあるし。
 「はーち……、きゅぅ…………」を、そろそろか??みこりんの顔つきが、なんだか自信に満ちたものになったような。

 「…………じゅぅ!」ちょっと大きな声で、みこりんは最後の十を宣言して、数え終えることに成功した。こちらに向き直り、にぱっと笑うみこりん。誇らしげである。よしよしと、たっぷり頭をなで回しておく。満足したように、みこりんはお母さんコールのボタンを押したのだった(上がるときには、風呂に設置されている緊急呼び出しボタンを押すのが、みこりんの習慣なのである)。
 数の意味するところも、みこりんにはなんとなくわかっているらしい。もっとも、3つ以上は、みこりんにとってみれば、すべて“たくさん”と同義語になってるようなのだが、いずれ100まで平気で数え始めるのかと思うと、なんだかわくわくしてくるのであった。


1999.10.25(Mon)

段ボール

 会社帰りに、家電量販店でS-VHSのテープを補充することにした。もっぱら SkyPerfecTV!のエアチェック用なのだが、近頃消費量がいつになく多い。10巻パックを2箱買うことにした。これも1ヶ月と持たないだろう。

 閉店間際だったが、店の入り口付近で段ボール箱を折り畳んでいる若い女性2人組が目にとまった。客、という雰囲気でもない。普段、このような店など利用してませんといった感じが、意識せずとも伝わってくるのである。
 あの段ボールをいったいどうするのか。考えようとして、ふと思い当たった。そう、学園祭だ。学園祭には、段ボールが不可欠である。私も学生時代、この時期になればスーパーなどで大量に段ボールを譲ってもらいに駆け回ったものだ。なにしろ競争率が激しいので、できるだけ穴場を探さねばならないし、段ボール集めも大変だった記憶がある。

 やがて段ボールを車に積み込み終えた彼女達が、店の人に挨拶して帰ってゆく。どこの短大・大学だろうか。この近辺の学園祭には、過去に一度だけ見に行ったことがある。まだ独身な頃だ。友達と二人で、女ばかりの短大へと出撃した。
 その時の感想は、二人とも「これ、ほんとに学園祭か?」というものだった。なんというか、覇気がなかったのだ。どよーんとしていて、盛り上がっている気配が微塵もなく。あれ以来、こちらの学園祭には出かけていないが…。
 最近は、どうなっているのだろう。久々に学園祭の空気を吸ってみるのもいいかな、と思ったりもする。


1999.10.26(Tue)

へりこぷた

 みこりんは、ジャングルジムで遊ぶのが大好きだ。夕食が終わると、「いこ!」と手を引かれて連れて行かれるのであった。

 ちゃかちゃか登ってゆくみこりん。てっぺんに手をかけたかと思うと、いきなり「へりこぷたー」と言いつつ、お腹を支点にぐいっと両足を水平に持ち上げてしまった。見事な身伸のバランスである。虚をつかれて、それがどんなにすごいことなのか戸惑っているうちに、みこりんはバランスを終了してしまった。「これは写真に撮っておかねば!」
 カメラを持ってきて、みこりんにもいっぺんやってとお願いしてみたのだが、「いやーーー」とつれない返事。うむぅ、カメラは常に携帯しておかねば。何度かみこりんにお願いしてみたが、やはり二度と『へりこぷたー』をやってはくれなかったのである。今度はチャンスを逃すまい。


1999.10.27(Wed)

連系

 この日が来るのを、どれだけ待ったことだろう。今日は、ようやく太陽光発電装置が、稼働する日なのだ。電力会社からの配線に、太陽光発電のラインからも、電力が供給されるようになるのである。

 パワーコンディショナーの作動には、Licが立ち会う。私は、残念ながら仕事を休めない。『ぽちっとな』のかけ声とともに、スイッチを押してみたかったが、仕方ない。ここは、Licに譲ろうではないか。
 あぁしかし、今日は朝から冷たい雨が降りしきっていた。設置工事のときも、台風に見舞われたし、なんだか雨づいている。果たして、こんな天候でも発電するものなのか、気になるところだ。

 午後3時すぎ、Licからメールが届く。無事、連系確認終了したそうだ。なんと雨だというのに、0.2kWの発電をしているらしい。なかなか優秀な太陽電池である。これから寒くなって、がんがん水槽のヒーターが熱を帯びる。電気代も激しく家計を直撃する季節に突入する。太陽光発電は、我が家の救世主となってくれるに違いない。明日はすっきり晴れてほしいものだ。どのくらい発電するのか、期待は高まる一方である。

猫!?

 今夜も、みこりんとお風呂たいむ。ひげ剃りを手伝ってくれるみこりんなのだが、今度は自分の髭も剃りたいという。どこに髭があるのかと聞いてみたところ、「おくちまわり」にあるという。そして、シェービングフォームを自力で開けられないことに気づいて、私に開けてくれという。このままでは、みこりんの玉の肌が傷モノになってしまう。なんとか思いとどまらさねば。

 正攻法で説得することにした。「みこりんは、お髭ないから剃らなくていいんだよ」

 もちろんそんな台詞では、まったく効果がなかった。さらに続けて、「みこりんは女の子だから、お髭生えないんだよ」と言ってみる。ぴくっと手がとまった雰囲気。この機を逃してはなるまい。
 「お母さんにも、お髭ないでしょ?お母さんも女の子だからね。」それを聞いたみこりん、ついと私を見つめて、こんなことを言った。

 「キティちゃんは、おひげあるよ」

 うぐぐ。恐るべきつっこみである。2歳の幼児とは、これほど臨機応変につっこみができるほどに育つものなのか。しかし、こんなことで狼狽えてはいけない。心の動揺を悟られないように、落ち着き払ってみこりんに言わねばならない。「キティちゃんは、猫だからね」

 その時の、みこりんの表情をどう表現すればよいだろう。「……ねこなの??」そう言ったまま、言葉を失うみこりん。あまりに衝撃を受けたらしい有様に、私もなんだか不安になってくる。キティちゃんが、じつは猫じゃなかったらどうしよう……。

 「キティちゃんのおひげ、ねこだから……」ぼそっとつぶやくみこりん。大好きなキティちゃんが、じつはにゃんきちくんと同じ猫だったことがショックなのだろうか。言ってはならないことを言ってしまったかも、というざわつきが私の背筋を駆け抜けるのを感じた。キティちゃんへの愛着が無くなってしまったら大変である。なんとかせねば。

 そう思っているうちに、みこりんはひげ剃りのことなどすっかり忘れたかのように、シャボン玉セットで遊び始めたのだった。切り替えの早いみこりんである。だが、忘れたようで、かなりしぶとく覚えているというのも、最近わかってきた。はたして、明日からキティちゃんに対する姿勢が変わるのかどうか、注目である。


1999.10.28(Thr)

発電中

 目覚めると、あふれんばかりのまばゆい日差しがカーテンの隙間からこぼれていた。いつもはしばらく寝起きの余韻を楽しむところだが、今朝は寝ている場合ではなかった。さっそく確かめねばならない。太陽光発電装置を。

 リビングに降りてくると、さっそくパワーコンディショナのスイッチを入れた。“連系”を示す緑のLEDが、ちかちか点滅を始める。発電モニタ表示は、まだ“−”のまま。えぇぃ、もったいぶった起動をするやつだ。

 規定により、中部電力の管轄内では300秒の時間が必要らしい。待っているうちに、なんだか空が曇ってきた。どうやら昨夜の名残が、東の空にあるらしい。なんだか風も強そうだ。どことなく冬の訪れを感じさせる。視線をパワーコンディショナに戻すと、ついに起動したらしい。LEDの点滅が終わり、なにやら頼もしげな常時点灯になっていた。発電モニタ表示は、“0.3kW”。やがて、雲が切れてくる。窓から見える外の景色に輝きが戻ってくると…。モニタの数値が一気に上がる。“1.3kW”。ちょっとした雲のかげりにも、敏感に反応している様子がわかる。蓄電装置を介していないので、安定供給というわけにはいかない。

 しばらくそうやってモニタの数値に一喜一憂していたが、秋、しかも朝の日差しでは1.3kWが限界らしい。外のメーターの針がどうなっているのか見てみることにした。昨日までは、通常の“買い電力用”メーターは、金属の円盤がまるでコマのように“きゅんきゅん”回っていたが…。先にメーターを見ていたLicが、ひどく感激したらしい挙動である。
 なんと!メーターの円盤は、それが動いているのかじっくり確認が必要なほどのったりのったり回っていたのである。我が家の電気メーターが、これほど回転速度を落としたのは、水槽を設置して以来初めてである。もしかすると、普通の家庭の電気メーターよりものろい回転速度かもしれない。太陽光発電装置の威力を、まざまざと見せつけられた瞬間である。とはいえ、朝の日差しであるので“売り電力用”のほうのメーターは、ぴくりとも動いていなかったが。こっちが回り始めると、我が家の電気需要と供給のバランスは、供給量が勝ることになるのだが、はたして今日一日で、いくらメーターは回るだろうか。これから毎日チェックしなければ。

 さて、Licの報告によれば、今日の売り電力用メーターは、目盛りの1桁目が1つだけカウントアップしたそうだ。昼間なので水槽のヒーター類がそれほど稼働しなかったためだろう。わずかでも供給量が消費量を上回ったのだ。画期的な事である。問題は、気温の下がる夜だ。当たり前だが、太陽光発電装置は、太陽が出ている昼間しか使えない。わかってはいるが、なんとも悩ましいではないか。通常の家庭ならば、昼間の供給量が十分あるので、夜の間、電気を買っても収支はだいたい±0になるらしいのだが、寒い季節、我が家は極端に夜の消費量が多いのだった。時間帯別電気料金に変更すれば、もっと改善されるかもしれないが、要検討事項である。

 こうして太陽光発電装置を我が家では導入したが、別に私は原子力発電を否定しない。太陽光発電だけでは、我が家の電力すら完璧にまかなうことができないのが、現状なのだ。設備投資に1000万近くかければ発電量は増えるが、そんなに大量の太陽電池パネルを設置するだけの屋根面積はないのだから。ところで、先の臨界事件を受けて“反原発”の論調を繰り返していた多くの報道各社とその社員のみなさんは、きっと社屋と個人宅で太陽光発電装置を導入しているのだろうが(自分ができもしないことを主張するようなことは、普通ならできまい)、はたしてそれでも原子力を置き換えることができると思っているんだろうかなぁ。


1999.10.29(Fri)

ゴーゴーファイブ

 いつも、朝は「お母さんといっしょ」にチャンネルを合わせているのだが、今日はたまたま SkyPerfecTV! をつけてみた。ちょうどスーパーチャンネルでは、「パワーレンジャーDX」の時間だった。さっそくみこりんを呼んでやる。ゴーゴーファイブ好きのみこりんなので、きっと喜んでくれるにちがいない。だが、みこりんに「いやーーー」と即答されてしまったのであった。聞き慣れない「パワーレンジャー」という単語よりも、Licが作ってるお弁当のほうが気になるらしい。さて、どうしたものか。

 「ゴーゴーファイブみたいなもんだよ?」と、付け加えてみたところ…。「みる〜!!」と、うれしそうにかけてくるみこりん。右腕を前に伸ばし、左手を右脇に添えて、決めポーズも怠りなく、ちゃっかりTVの前に陣取ったのである。ゴーゴーファイブの威力、恐るべし。

 パワーレンジャーに変身するシーンでは、しっかり真似しつつ「ごーごーふぁいぶぅ」と叫んでるし、ヒーローモノを楽しむ術は、教えられなくてもしっかり会得しているようだ。頼もしい限りである。ただ、パワーレンジャーとゴーゴーファイブの区別がついていないらしいのが、少しだけ気にはなるけれど。まぁ、そのうち覚えてくれるに違いない。


1999.10.30(Sat)

単純作業

 昨日の深夜から、今朝にかけて、『めざせガーデナー』の“旬の花”コンテンツを更新すべく、作業を行った。画像データは、週末ごとにデジカメで蓄積していたのだが、肝心の更新作業が滞ってしまっているうちに、とうとう10月も明日で終わってしまうので、やや焦りつつ。だが、結局、それぞれの花に関するコメント部分未完のまま、睡魔に負けてしまった。サムネイルを作って、さらに拡大表示用ページをそれぞれに用意するというのはじつに機械的作業となるため、眠気も倍増である。こういう単純作業部分に時間をかけるのは、なんだかもったいない。“旬の花自動更新ツール”の製作を決心する。

 浮いた時間で、コメント入れのような実のある作業をやらねば。デジカメ画像を、リサイズして画質調整する手順も、たしか Photoshop でマクロのような機能があったはず。こちらも要検討事項である。

訪問者

 わずかな睡眠時間ののち、目覚める。午前中のうちに、庭で液肥やりをすませておこうと、じょうろで液肥を希釈しつつやっていると、お隣の奥さんがやってきた。みこりんに何かプレゼントを持ってきてくれたらしい。Licと“奥さんどうしの会話”をやったあと、「庭を見せてね」ということになる。週末ごとに庭いじりをやっていた成果が披露できるのは、やはりうれしいものだ。

 白いサルビア“ファリナセア・シリウス”がたいそう気に入ったようす。種を確保しておくことを約束する。巨大シシトウ“ユニコーン”にも興味を惹かれるらしい。こちらも種を確保しておくこう。現在、種採り用に、20cmクラスの実を4つ残してあるので、余裕はある。そして最後に開花中のストレプトカーパスだ。容易に葉挿しで増やせることを言ったら、ぜひにとのことだったので、これも増やすことに決定。
 代わりといってはなんだが、並ヘデラ3本と、ピンクの孔雀草をいただいてしまった。物々交換によって、庭の植物の種類はネズミ算式に増えてゆくのであった。これもまた、園芸の醍醐味であろう。来年は、もっと度肝を抜くような植物を育ててみなくては。

お出かけ

 午後からは、先週からの懸念事項だった2m水槽の海水交換も無事終了したので、リラックス気分でホームセンター&マーゴへと出撃である。とはいえ、すでに午後4時を回っているので、そんなに長居はできそうにないのだが。

 ホームセンターでは、サンルームに吊すようになってから食欲倍増した感のあるピーコのために、換えの餌を買った。なくなりつつある補助餌も買っておこうと思ったのだが、なぜか商品そのものが棚から姿を消していた。まさか扱わなくなったんでは。よさそうな餌だと思ったのだが、どうしたことだろう。
 ところで、こうして小鳥関係のグッズを眺めていると、子供の頃、ベランダを鳥かごまみれにしていた“あの感触”が蘇ってくる。ここのペットコーナーで、小鳥も扱っていたならば…。桜文鳥の繁殖を、またやってみたいものだ。どんどん雛鳥が育ってゆくさまは、グッピーの稚魚が増える以上に感慨深いものがあるのだ。小鳥の子育ての様子は、見ていてほんとうにいじらしいというか、健気である。なによりも、卵をあたためるという行為が、ほ乳類の妊娠期間より分かりやすいため、応援しやすいというのもある。サンルームには、ちょうど鳥かごを吊せそうな突起が、あと3カ所あるなぁ……(ここで、きっとLicが身構えたことだろう)。

 そういう秘密の構想を胸に抱きつつ、ホームセンターをあとにする。あとはマーゴで米を買わねば。だが、そのまえに今夜は外食したい気分であった。Licもそのようなので、マーゴの手前に新装オープンしたファミレスに寄ってみる。別のチェーン店で食べたときには気づかなかったのだが、ここのウェイトレスさんはカントリー調の淡いブルーな色彩も可愛らしいエプロンドレスではないか。なかなか高得点である。
 これまでウェイトレスさんの衣装でベスト1だと勝手に思っているのは、学生時代によくコンパをしていた居酒屋の、明治・大正時代的雰囲気満載の“はかま姿”である。夏目漱石の『坊ちゃん』ゆかりの街だけのことはあると思ったものだ。なるほど、こうして思い返してみても、私の急所を刺激するコスチュームというのは古き良き時代のものであるらしい。どうりでアンミラの制服姿やバドガールにときめかないわけだ。今年の何かの展示会でいたという、シースルー浴衣のコンパニオンの写真を見たが、浴衣の下にキャミソールは、やや風情に欠ける。やはり浴衣とくれば、素肌でなくてはいかん。

 おいしく夕食のあと、ようやくマーゴへと突撃である。なぜかLicとはぐれてしまったので、みこりんを遊技場で遊ばせつつ待っていたのだが、さきほど飲んだ林檎酒がちょうどいい感じにまわってきて……。ふっと気が付いたら、みこりんの姿がない。どうやら、幼児コーナーで遊ばせているうちに、私のほうが寝てしまったようだ。田舎の気軽さで、つい緊張がゆるんでしまったようである。幸い、みこりんは5mほど離れた場所にある、体感ゲームによじ登って遊んでいた。ほっと安心。それにしても気持ちよく寝てしまったものだ。朝からの睡眠不足が一気に解消してしまった。たった5分に満たない昼寝が(今回は、すでに夕方ではあるが)、じつはとても健康にいいらしいという話は、かなり以前から言われていることだが、たしかにこんなに気持ちよければストレスなどの寄りつく隙もあるまい。

 やがてLicとも無事合流できたので、昨日発売となった『スパロボ64』を買った。『スパロボα』の前哨戦である。日本シリーズでドラゴンズは負けはしたが、昨日から1割引セールになっているのだった。勝っていたなら、2〜3割引きにはなったのかなと思うと、少しだけ残念である。

スパロボ64

 どうも違和感があるなと思ったが、やはりN64のコントローラはキャンセル用途で使用するBボタンの位置が悪い。Aボタンの上にあるため、親指を上下に動かさねば押せないので、面倒である。無駄のない動きをするには、BボタンはAボタンの斜め下方にあるのが正しい。スパロボ64を起動してから、何度もBボタンを探さねばならなかった。不自然なインタフェースはなんとも疲れるものである(とはいえ、リアルタイムシューティング系の操作には、この親指のラインに沿って配置されている今の状態が具合よいのだろうな、とは思う。ようは、オプションで選択できるようになっていれば、ということだ)。

 さて、スパロボ64の感想など。
 主人公選択の幅が、ちょっと少ない気がする。ストーリーに影響する搭乗タイプなどのファクターと、たんなる見栄えだけのファクターである顔グラは、別々に選択可になってれば、もっと幅が広がると思うのだが。今回は、どうも最初から感情移入度が制限されてしまった感じだ。
 気になる主人公メカ、いったいどんな感じなのだろう。『第四次』、『F』あたりのメカは、結構よかったが…。戦闘シーンとなって、姿が判明。うぅむ、ダグラムみたい。いや、ダグラムより数千倍かっこわるい。ダグラムは、好きな部類のメカなのだが、こいつはなんか違う。強そうでない(見かけは悪いが、実際にはかなり強いのがちょっと悔しい)。ますます感情移入度低下する。戦闘グラフィックのキャンセルオプションがあれば、もっとすっきりするような気もする。

 結局、今夜は3話まで進めたところで、クワトロ機と、レイズナーが破壊されてしまったので中断した。ゲイル先輩を、うっかり説得せぬまま破壊してしまったのも心残りだし。それにしても、過去スパロボをプレイしていて、これほどわくわく感がないのも珍しい。うーん、序盤戦だからかな。これから良くなってくるのか、やや不安はあるものの、まだエースパイロットがほとんど登場していないという、これまでのスパロボとは趣の違う雰囲気には、もしかすると大化けするかもという期待もこめて、進めてみることにしよう。


1999.10.31(Sun)

おいも

 みこりんが、保育園でもらってきたというどでかいサツマイモを大事そうに抱えている。そして口ずさんでいるのはお芋の歌らしい。「おいも どんどん うっ!」。しかも振り付き。「うっ!」のところで、両肘をぐっと腰に引き、片足を一本足打法のようにきゅっと上げるのだ。その動きを見て、思い浮かぶ光景がある。そう、保育園の運動会でのこと、ダンスに興じる若い先生の動きに、こんな感じのがあったはずだ。

 そこで、みこりんに誰に教えてもらったのか聞いてみると、「?*`$せんせい」と言う。何度聞いても、「せんせい」の前になんと言ってるのか聞き取れない。だが、やはり保育園の先生がお芋の歌を踊ってくれたのは確からしい。保育園では、片足上げダンスが流行っているんだろうか。なかなか気になる動きである。

トイレで“しー”

 朝は、座敷の畳の上にされてしまったが、お昼からは立て続けに2回も、オマルでちゃんと用を足せたみこりんである。いきなりの快挙にやや驚きつつも、幼児の進歩とは、このように突然訪れるものなのだろうと思えてくる。

 一番すごかったのが、今日も買い物に来ていたマーゴでのこと。「おしっこ」と言うので、トイレに連れていったのだが、途中何度も道草するのでてっきりもう出てしまっているのだと思っていた…(紙おむつをしていたのだ)。トイレに座らせてみると、それはそれは見事に出してくれたのである。
 3度続けば、もはや偶然とは思えない。みこりんのオムツが外れるのも、もうじきだろう。

お買い物

 昨日に引き続き、マーゴである。“シム・シメール展”を見るのが目的だったが、商談スペースが大きすぎて、落ち着いて見ることができなかったのが、やや残念。まぁ、スーパーの催し物なので、このくらいが限界か。

 “日本シリーズ記念”のセールは今日までなので、みこりんの服を物色する。いまいちピンとくるものがないなぁと思って見ていたのだが、ついに発見した。それは、ベージュのチェック柄のミニスカートと白いセーター、スカートと同じ柄のマフラーのセットである。じつは、この色違いを去年買ってあげたのだが、赤系だったのが心残りだったのだ。ベージュのがあるはずと、何度も探したがもうそのシーズンでは発見することができなかった。1年たって、ようやく見つけることができたのである。迷わず買いだ。

 夕方になって、小腹がすいてきたのでみこりん御用達のマクドナルドに行く。みこりんにとって、「マーゴへ行く」とは、この「マクドナルド」へ行くことを指すほど、ここのハンバーガーとポテトが大好きなのだった。だが今日は、Licが自分用に買ってきたゴマと紫芋のソフトクリームに釘付けとなったようだ。当然のように「ちょうだい」と手をのばし、Licが一口も食べる隙を与えることなく、みこりんの手に渡ったのであった。
 ゴマのソフトクリームという物珍しさもあり、私も横から味見しようと舌を伸ばすのだが、そのたびみこりんに「なんでーー!!」などと怒られてしまうのだった。
 一口も食べていないLicが、ついに我慢の限界か、一口ぱっくり横からかぶりついた時である。みこりんの動きが止まった。Licが食べたあとをじぃっと見つめるみこりん。直後、大泣きに泣き崩れたのだった。食い意地では負けていないみこりんである。

 なかなか泣きやまないので、みたらし団子を買ってやる。やはりセールということで、5本セットが160円とお買い得だったのだ。みこりんの食欲はすごかった。あっというまに3本の串を平らげてゆく。3本目の途中で、やや食べる速度が落ちてきたので、そろそろ限界だろうと食べるのを断念させた。みこりんは、限界を超えて食べてしまうことがあるのだ。

 帰りに、福引きをした。3回引けるので、私とLic、みこりんでそれぞれ1回ずつ引く予定だったが、全部みこりんに回されてしまう。だが、1本当たったのでよしとしよう。今日は、この福引きかなり当たりが出ているようだ。からんからんという鐘の音が、何度も何度も響いていた。マーゴの商品券大放出である。今日も、マーゴを堪能した一日だった。

明るさ倍増

 我が家の玄関の照明は、60Wの白熱電球が1つである。色は、黄昏色。ムードはあるが、やや暗いのが難点。そこで、以前から電球型蛍光灯の球に交換しようしようと思っていたのだが、いつも買い忘れて幾歳月。ようやく今日、買ってくることに成功した。

 脚立に上って、電球を取り替え、スイッチオン!ぶん、という微かな音とともに、放電が始まった。最初は薄暗く、やがて命溢れる輝きへ。うーん、感動である。明るさがこれほど違うとは。
 満足満足で、脚立を片づけようとしたとき、Licが重大なことに気がついた。電球型蛍光灯は、密閉型照明器具には使えないと説明書きがあったのだ。熱が問題になるのだろうか。元の白熱電球に戻すのは悔しすぎるので、階段に使っている開放型の照明器具を取り外し、玄関の密閉型と取り替えることにした。やや見てくれは悪くなるが、電球型蛍光灯が使えるのなら許容範囲である。さて、照明を昼光色に変更したあとは、クリスマスに向けて、緑と赤の植物でも飾ってみようか。

そして夜

 お風呂からあがり、みこりんを寝かしつけるため、しばし布団で一緒に横になるのが習慣だ。休日も今日で終わり、なんだか名残惜しい気分である。
 寝るときは、西枕になっているのだが、西側の窓の下に置いたサイドボードには寝転がって見る用のTVが置いてある。ちょうど、頭上を見上げる形で毎夜見ているのだが、今夜はLicの素晴らしい指摘があった。それは、枕の位置を、反対の東枕にすればTVも見やすいのでは?というものだった。さっそく枕と掛け布団を移動させてみる。お布団の海、大移動である。みこりんの黒い瞳がきらりんと輝いて、きゃっきゃと布団に潜ったりして遊んでいた。

 いざ東枕で横になり、TVを見る。おぉ!とても見やすい。見上げなくてよいので、楽である。どうしてこんな簡単なことに、これまで気がつかなかったのかと思う。
 やがてみこりんが静かな寝息を立て始める頃、起こさないようにそぉっと体を起こす私とLic。これからが本当の自由時間だ。Licは、今夜TVで得た情報をもとに、流しの下の食料品を、鍋類を置いてあった棚へと入れ替え作業を再開した。なんでも、流し下は細菌、カビなどの一大繁殖スペースになるらしい。だから、流し下には鍋類を、棚に食料品をしまうのがいいのだそうな。たしかに理にかなっている気がする。
 私はそれを見ながら、テーブルで先週リリースしたディレクトリリスト収集ソフトのヴァージョンアップ作業をする。Licが、さっそく修正要求を持ち帰っていたのだ。ふと足下を見ると、にゃんきちくんがこちらを見上げている。膝の上に来たいのだろう。目が合うと、それが合意のサインであったかのように、にゃんきちがジャンプしてくる。悠然と寝そべると、気持ちよさそうにくつろぎ始めた。見ているだけで心が和む。

 改訂作業は順調に進み、ほぼ満足のゆく動作である。仕上げに熱いお茶を飲もうと、席を立つ。にゃんきちが、不服そうに飛び降りた。
 急須を持って戻ってみると、椅子の上ではにゃんきちが丸まっていた。すっかり我が家にとけ込んでいるにゃんきちであった。


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