2008.3.1(Sat)
『小学五年生』
春三月、なれどいまだ冷気は居座ったまま、朝方など雪がちらつき、クルマのバンパーにもびっしりと霜のコーティングが施されている。でも、吹き抜けてゆく風には、どこか柔らかな雰囲気があり、固い蕾達も、ゆっくりその縛めを解いているのかもしれない。
午前中、いつもの病院からの帰り道、スーパーに食料など買出しに。みこりんは、今月発売になっているはずの、『小学五年生』の4月号を楽しみにしていた。
以前、同じような状況で『小学三年生』の4月号を買わなければならないのに、まちがって『小学二年生』の4月号を買ってしまったという過去をもつみこりんゆえに、今回はとてもとても慎重だった。同じ過ちは繰り返さない。そう固く心に誓っているかのように、あるいは念仏のように「5年生の4月号、5年生の4月号…」と繰り返している。
スーパーに店子として入ってる書店の陳列棚には、しかし、みこりんの求める『小学五年生』の4月号だけが、なぜか置いてなかったのである。他の学年のはあらかたそろっていたので、もしかしたらすでに『五年生』だけ売り切れたという可能性もあるが…。
ショックを隠しきれないみこりんであった。
帰宅後、さっそくみこりんがWebにて、小学館のサイトをチェックしている。それによれば、『小学五年生』の4月号は来週発売らしい。すると本屋に置いてあったあれは、フライングだったのかもしれない。まぁ何にしても、来週になれば手に入るので、いましばらくの辛抱だ。
ただ、みこりんがそのサイトの今年の読者モデルを発表しているコーナーで、5年生のモデルの子供達を、なにやら熱心に観察していたのが興味深かった。おしゃれのチェックでもしているのかもしれない。なんといっても、みこりんも今年で11歳、小学5年生ゆえ、やっぱり女の子的に、おしゃれは外せないところではなかろうか。
大きくなったなぁ、みこりん。
いやほんと、しみじみと実感する今日この頃。
2008.3.2(Sun)
さらさら
毎朝、髪の毛が爆発していて、それをなだめすかすのに苦労していたみこりん。今日はそんな苦労を過去のものとすべく、縮毛矯正のため美容院にLicに連れられてお出かけしている。
縮毛矯正と、ストレートパーマの違いも私はよくわかってないんだけれど、みこりんはちょっと前まで、「縮毛矯正すると突然雰囲気変わるから、春休みとか長い休みの間だけならやってもいいかなー」なんて言っていたものだが、さすがに毎朝爆発してる髪の毛に困ったのか、最近では進んでやりたがっていたらしい。
*
だいたい午後いっぱいくらいかかって、夜、みこりん帰宅。
おぉ!髪の毛、さらさらになっとる!
保育園な頃、みこりんの髪の毛はこんな感じにさらさらだった。あの当時の古い記憶が一気に蘇る感じ。
みこりんはというと、どことなく照れてるようないないような、微妙な表情。でもたぶん、内心はとてもうれしいに違いない。なんといっても、さらさらなんだもの。
それにしても、やっぱり女の子は髪型で雰囲気ものすごく変わるなぁと、しみじみと思う。
きっと明日は男子の視線、独り占めだ。
『リトル・フォレスト』
『リトル・フォレスト (1)』(作:五十嵐 大介)、『リトル・フォレスト (2)』(作:同じ)、一気に読了。五十嵐大介氏の作品に触れたのは、今回がはじめてだったのだけれど、買おうと思ったきっかけはAmazonのカスタマーレビューを読んでみて、これはなんだかいいかもしれないと思ったからだった。というのが1割で、じつは残りの9割近くは、表紙絵の女の子(というかすでに大人の女性なんだけど)が黒のゴム長を履いているという点。これは、かなりポイント高い。白のワンピースに黒のゴム長というアンバランスさに、とても興味を惹かれたのだった。
物語は、小森と呼ばれる架空の(でも実在のモデルあり)村で生まれ育った彼女が、いったんは故郷を離れて都会に出たものの、出戻ってきて日々農作業にいそしみ、自然の恵みをいかにおいしく食べるかという状況を克明に、美味そうに綴ってゆくというもの。でも、時には過疎の村に戻ってきて自分はこれからどうするのか、どうしたいのか…、という彼女の悶々とした悩みなどもさらりと語られつつ。
自然のものを、季節に合わせて調理し、あるいは自然の力を利用して貯蔵して、食糧の尽きる冬をいかに乗り越えるか、というあたり、実際にやってみるとたぶんすごい大変そうなことなんだけど、つい自分も「それやってみたい」と思わせてしまうところがすごい。納豆餅なんて、これまでその存在すら知らなかったのだけれど、もしかしたらとてもとても美味いんではないか、と思ってしまうほどに。
みこりんが私同様、表紙の女の子の絵に惹かれたらしく、「これ、どんな本?」と言うので、「んー、『鉄腕DASH』でやってる“DASH村”みたいな感じの本かなぁ」と答えたところ、だいたい通じたようだ。地上波のテレビで、唯一、この番組だけは、私は評価しており、時間があれば見るようにしているので、みこりんにも話は通じやすいのだ。
全2巻というのが、ちょっともったいないくらい。もう少し続いてくれたらなぁと思わずにはいられない。
大判サイズの本だから、定価も933円と若干高めだけれど、今回私は運良くいつも利用しているネットの古本屋さん“古本市場”でゲットできたため、かなり安く買うことが出来た(作者の人には申し訳ないけど)。次のシリーズは新刊で買おうかなと、思ってるところだ。
2008.3.4(Tue)
日本脳炎ワクチン
小学4年生のうちに受けておかねばならない予防接種の1つに、“日本脳炎”のワクチン注射がある。しかしながら、12月はインフルエンザの予防接種を優先し、1月は学級閉鎖などもあり様子見、2月はみこりん風邪っぴきで、ことごとく時期を逸してしまっていた。そして3月、もはやあとがない。
というわけで、みこりんが元気なうちにとっとと済ませてしまうべく、家の近くにある小児科に予約の電話を入れてみたところ…。
「ワクチンの在庫がなく、問屋にも入荷時期未定と言われているので、ちょっと…」
な、なんだってー!?
他の小児科を持つ病院の様子も聞いてみたのだが、どこも似たような状況じゃないかとのお答え。うーん…。やはり時期的に3月というのがまずかったかも。しかしいまさらそれを嘆いてもしょうがない。片っ端から指定病院リストに載ってる病院に電話かけまくって、聞いてみるしかないか。
でも私の住んでる市は、平成の大合併で4倍くらいに面積が増えており、病院の名前と住所を見ても、いまひとつピンとくる所がない。まぁ、場所が分からない所は、あとで Google Map ででも調べるしかあるまい。…と、思っていたら、リストの中ほどに一箇所だけ、見覚えのある病院名があるのに、今更ながら気がついた。あまりにさり気なく書いてあったので、あやうく見落としてしまうところだった。私がいつも利用している病院だ。小児科はないけれど、常勤ではないものの内科がある。
さっそく電話してみると、やはりここでもワクチンの在庫はなかった。けれども問屋に確認して、調べてもらえることになった。どきどきしながら待つこと、十数分。やがて、病院から電話があった。
ワクチン1個確保成功。
小児科がないというのが、意外な穴場だったのかも。というか問屋にも、いろいろ病院の種類によって系列とかがあるんだろうか。最初の小児科に電話した時には、問屋さん軒並み全滅みたいな感じに話してくれたんだけど。
しかしまぁ、これで一件落着。一安心だ。あとはみこりんが予約の日まで、風邪をひかないでいてくれたらいいのだが、今朝方、鼻声になってたのが少々気にはなる。雰囲気的に、風邪の初期症状というよりは、どっちかというと花粉症っぽい感じ…。来週の予防接種当日まで、どうか風邪ひきませんように。
2008.3.5(Wed)
『バトルスター・ギャラクティカ 第7話“裏切りの告発”』
先週はうっかり時間を忘れて水曜日放送分を見逃した『BATTLESTAR GALACTICA』だが、リピート放送が土曜日にあったので、無事、事なきを得た。サブタイトル“魔女狩り”の通り、潜入したサイロン工作員のギャラクティカ内部での自爆事件により、ヒトにそっくりなサイロンの存在が明るみに出ることとなり、サイロン狩りが行われることに。
しかしながら結局、追求はその方法のまずさゆえ、アダマ司令官により中止命令。結果的に、上官思いの部下1名が、無実にもかかわらず階級剥奪のうえ投獄という事で幕引き。
自分がサイロンであるという自覚のないギャラクティカ内部のシャロン・“ブーマー”・バレリーは、部下の身を挺した庇い立てで目が覚めたチーフに距離をとられることになった。一方、サイロン占領下にある惑星カプリカでは、サイロンであるという自覚のもとに行動しているもう一人のシャロン・“ブーマー”・バレリーが、男を手玉にとりつつあり。
対照的な二人のシャロンの存在が、今後、どう展開してゆくのか、興味深いところである。
そして今週の第7話“裏切りの告発”。ギャラクティカ内部にいる、もう1人のサイロン、“No.6”。これまでバルター博士の目にしか見えていなかった彼女が、突如、実体をもった存在として姿を現す。
結局、彼女はバルター博士の“自分が人類抹殺に加担してしまったことの告発”への恐怖を取り除いてやることに成功したわけだが、その意味するところは何か。毎回、冒頭ナレーションで語られる“サイロンの計画”が、着々と進みつつあるという漠然とした思いはあるのだけれど、それが何なのか、今現在、私には想像がつかない。
なんだか、わざと人類を追い詰めているものの、全滅させるのが主目的でもなさそうだし…。もしや懐かしの『ガルフォース』ばりに、新しい種の想像とかいう方向にいったりは…。
でも私にとって当面の最大の謎は、“なぜ行為中のサイロンの女の背骨は赤く光るのか?”ということだったりするのは、秘密だ。
2008.3.6(Thr)
芋づる式
夜、音楽教室までみこりんを迎えに行った帰り道、今日は学校で算数のテストがあったのだと教えてくれた。それだけならば、とりたてて珍しい事でもないのだけれど、みこりんが言うには今日のテストは最初の問題で間違えると、それが後の問題にも波及してくるので、50点以下の子が結構いたらしい。ふむふむ、たしかにそういうタイプのテスト問題が出てくるのは、これまでになかったかも、と思いつつ聞いていた。
中学校以上になると、逆にそういう問題の方が増えてくるので、みこりんのクラスでもそろそろ高学年への準備が始まったのかもしれない。
幸い、みこりんは最初の問題を間違わなかったので、満点がとれたらしい。算数との相性は、あいかわらずとてもよいようだ。
最初で間違えると、芋づる式にあとの回答にも影響する問題では、私にも痛い思い出がある。
大学入試のために行われる最初のテスト、共通1次試験(当時の呼称)。これの数学の問題は、国立理系クラスにおいては満点を取ることがほぼデフォルトとして要求されるレベルの問題だった。実際、それほど捻った問題ではなく、基礎がしっかり出来てれば、理系クラスを選択した生徒ならば、さほど苦労しないはず、だった。
しかし、私はここで最初の問いに痛恨のミス。後続の問題は、その最初の回答を前提にしているため、当然、最初をミスると、残りも全滅。全部で5問かそこらしかないのに、そのうち1問をまるまる取り逃すと影響も甚大だった。
同時に受けたクラスメイトがほとんど満点だったので、例年通りのレベルの問題だったことは間違いなかった。その時の私の落胆ぶりを象形文字で表すと、こんな感じ。
orz
当時、このような表現方法はなかったけれども、まさにこれ以外に他に言い表しようがないくらいに、ぴたりと当てはまる。
ただ幸いなことに、数学で落とした分、国語で思いのほかカバーすることができたため、事なきを得たのだけれど、理系クラスにあって、国語が一番点数がよかったというのは、かなり自分的に複雑な思いがあったことは確かだった。このまま理系の学科に進んで大丈夫なのか?と、まじに真剣になって悩んだりもしたような…。
まぁ、あれから20年以上経過した今となっては、「なにもかもみな懐かしい…」、若き日のよき思い出ではあるんだけど。
みこりんもこれからいろんな問題に遭遇するのだろう。みこりんの前に伸びた、未来に続く無数の選択肢が、一瞬、私の脳裏にイメージされる。
そろそろ春の気配のする、夜のことであった。
2008.3.8(Sat)
『BLAME!』
『BLAME!』全10巻(作:弐瓶 勉)、読了。
『バイオメガ(BIOMEGA)』を読み終わった後、“古本市場”にて全10巻セットが安価に出品されていたので、さくっと買っておいたもの。描かれた時期でいうと、こちらが90年代後期ごろなので、たぶんこっちの方が古い。ゆえに、1巻、2巻などの作画はかなりアマチュアっぽい雰囲気が残っている。しかし、巻を重ねるごとに徐々に洗練されてゆくので、作者の成長過程を見られるというマニア的視点では興味深いかもしれない。
『アバラ(ABARA)』で特に顕著だった、H.R.ギーガーの影響を受けたとみられるデザインは、この頃にも随所に確認することができるが、個人的にはそれよりも、『ファイブスター物語』の永野護的デザイン、『バブルガム・クライシス』におけるアンドロイド“ブーマ”のデザイン、OVA版『吸血姫 美夕』における神魔のデザイン、『アップルシード』の士郎正宗的球体関節メカデザイン、『アキラ』の大友克洋的グロテスクな生体デザイン等、ちょうどこの作品が発行される10年前くらい、OVA全盛期に発表されたコミックやOVA作品群のテイストが、いい具合に渾然一体になってるような感じがして、とても懐かしかった。
ちなみにこの作品内での重要なアイテムの1つ、重力子放射線射出装置は、『コブラ』のサイコガンを髣髴とさせるものが…。主人公の無口っぷりは、『ボトムズ』のキリコに……。弐瓶 勉氏が1971年生まれということなので、ちょうどいい時期にこれらの作品と接した年頃といえるんじゃなかろうか。と、デザイン方面の話はさておき。
物語の方は、東亜重工が空間転移してしまう前、全10巻のちょうど中盤くらいまでが個人的にはツボだった。そのあとのストーリー展開とラストシーンは、ちょっと方向が違うかなという印象。どことなく寂しげな、切ない、それでいてなにやら暖かな。悪くは無いのだけれど、やや静か過ぎるかなぁという感じ。しかし、ネットスフィアや、それ以前の時代背景などには謎が多く、とても興味を惹かれる。特に『バイオメガ(BIOMEGA)』にも出てくる東亜重工の存在。今は直接的な関連は示されていないけれど、今後、何らかのつながりが見えてくるのではと期待してしまう。
これの関連作品『NOISE』は、『BLAME!』の時代よりもずっと以前、ネット端末遺伝子が健在だった頃の話らしいので、一連の世界観を補完する意味でも読んでみなくてはなるまいと思っているところだ。
2008.3.9(Sun)
壊れた
電気メーターの寿命が約10年ということで、我が家のメーターも交換されることになった。通常ならば不在時でも交換可とのことだったが、うちの場合は太陽光発電装置を装着しているため、家の中からブレーカーを落とす必要があるらしい。
というわけで、私が在宅となる休日の今日、作業してもらうことになったのだった。NTTのように平日しか工事しないところとは、大違いである。
午前10時、作業員到着。指示されたタイミングでブレーカー断。配電盤の左側にあるのが、通常の外部から供給される電力用のブレーカー。右側にあるのが、太陽光発電装置用のブレーカー。2つを切ることで、完全に電力が遮断される。
冷蔵庫のたてる低い唸り声のようなモーター音が消えると、リビングにはいっとき、完全なる静寂が訪れる。私は、ついでなので配電盤周りや、冷蔵庫の上などにたまった埃の掃除などをやってみた。
メーターの交換作業は、15分ほどで終わったようだ。「もういいですよ」と言うので、ブレーカーをそれぞれ“入”にする。
様々な方向から、“ぴっ”とか“ぷっ”とか電子音が聞こえてきて、家電製品が息を吹き返したことを知る。電話機のFAXが、ギコギコギコと何やら紙送りの準備運動まで始めている。
玄関に置いてある水槽のモーターは、稼動し始めたものの、水位が低すぎたらしくて水が流れていなかった。水を足さねば。23度に保温した水槽なので、ただの水ではいけない。ちゃんと温度を合わせておく必要がある。
そんなわけで、風呂場に設置されているガス給湯装置のリモコンのスイッチを入れてみたのだが……。応答なし。液晶パネルには一切の表示が出てこない。試しに温度設定のボタンを押してみると、怪しげな数字が表示された。なんというか、どうみても意味不明な数値の羅列に見える。でも再現性が100%の数値なので、なにかのエラー番号を表示しているのかもしない。が、数字だけではなんのことやらさっぱり。
リビングにもリモコンが設置されているため、そちら側でも操作してみたが、結果は同じ。やはり電源は入らないものの、温度設定ボタンで怪しげな数値は表示される。
20分ほど放置してみて、再度、電源ボタンを操作してみたが、症状変わらず。
困った。こいつが作動しないと、お湯が出ない。水槽のモーターを停めておかねばならないのも問題だが、それ以上に困るのが、風呂だ。この季節、水風呂というのはなんとしても避けたいところ。
そんなわけで、メーカーであるノーリツのサイトを検索し、サポートセンターに電話してみると、一度本体のコンセントを抜き、挿しなおして欲しいとアドバイスを受けたので、さっそく実行。だがしかし、これでも症状は改善せず。再びサポートセンターに電話してみると、修理業者を派遣してくれることになった。
1時間半ほどで修理屋さん到着。
屋外設置のガス給湯装置本体を解剖してみているらしい。
しばらくして、リビング側のリモコンで電源スイッチを入れるよう言われたため試したところ、今度は、ちゃんと電源が入った。
修理屋さん曰く、「風呂場のリモコンが壊れているようです」
風呂場のリモコンに接続されているコネクタを抜いた状態にしてみたらしい。ふむふむ、それにしても片方のリモコンが壊れたら両方使えなくなるという仕様はどうかと思うぞ。
これで一応、電源は入るようになったので、水風呂という事態は避けられそうだ。しかしながらリビングのリモコンでは、風呂の自動給湯の温度設定ができないのだった。ついでに追い炊きも不可。これらのスイッチは、風呂場のリモコンにしかついていない。自動給湯はともかく、追い炊き不可というのは、まだ夜寒い3月にはかなり痛い。
追い討ちをかけるように、修理屋さんがこんなことを言うのだ。「機種が古いので、リモコンの交換部品がない可能性があり、その場合、給湯装置本体を買い換える必要があります」
本体を買い換えたらいくらになるのか。その答えは…、約25万円。
な、なんとぉ!リモコン1個壊れただけで、それかい。本体はまだ生きてるのに。…もったいなさすぎる。
給湯装置のリモコンなんぞ、さほど機能はついてないんだから、最新型のでも流用可能な作りにしておいてほしいと思ったが、こういう業界では“互換性”という言葉はないのかも。
というか、リモコンの故障くらい修理してもらいたいものだが、修理屋さんが言うには、メーカーではそういう技術はないのだとか。壊れたら修理するんじゃなくて、基盤そのものを丸ごと交換で済ませてるらしい。そりゃ、そのほうが簡単とは思うが、ガス給湯装置は安い買い物ではないのだから、もうちょっとなんとかしてもらいたいものだ。
2008.3.10(Mon)
宇宙人
『ドキドキ!宇宙人っているの?』(作:吉川 豊)という本を、みこりんが買いたいといって持ってきた時には、正直ちょっと驚いた。昨日の本屋での出来事だ。『小学五年生 4月号』を買いに行ったついでに、いろいろと棚を物色しているうちにその本に惹かれてしまった模様。
学校の怪談系や、ドキュメンタリー系というのが、これまでのみこりんの嗜好パターンなので、“宇宙人”との接点となる何かが最近あったのか気になるところだ。
みこりんの知ってる“宇宙人”の代表格は、ウルトラセブン。いわゆるUFOに乗ってやってくる系のリアルな宇宙人とは、ちょっとタイプが違う。みこりんが買った宇宙人の本は、『ムー』なんかに載ってそうな雰囲気のものだ。
ただ、最近、UMAに関する話題がちょこちょこみこりんの口から出てくることはあったので、その筋でエリア51とかのキーワードを知り、検索エンジンで調べてみたのかもしれない。ちなみにUMAとの接点は、『ドラえもん』に出てくるツチノコと思われる。
…と、ここまで書いてきて、ふと思い出したのだけれど、みこりんがはまってた『ブラック・ジャック』に、そういえば怪我した宇宙人を治療する話があったような気がしてきた(『ドラえもん』にも宇宙人は出てくるけれど、あれはちょっと今回のと雰囲気が違いすぎる気が…)。
みこりんの知りたい宇宙人の秘密とはいったい何なのか。私もちょっとみこりんの買ってきた本を読ませてもらおうかな。こういう系統の本を読むのは、じつに30年ぶりくらいだが、書いてある内容が昔とほとんど変わってない方に、100カノッサ(古っ)。
2008.3.11(Tue)
予防接種
どうしたことか早朝5時半に目覚めてしまったので、しばらく布団のぬくもりを堪能した後、いつもよりだいぶ早く出勤。今日はみこりんの日本脳炎の予防接種の日なので、定時退社することになっていたため、早朝出勤分の思わぬ時間外手当は、かなりラッキーだった。
そして夕方、終業のチャイムと共に仕事を終え、帰宅。みこりんにはあらかじめ今日の予定を伝えておいたので、ばたばたすることもなく、すんなりと病院到着。予約時間よりも8分ほど早く着くことができた。
体温計も忘れずに持ってきたし、同意書にサインするようのボールペンも、抜かりなくポケットにある。か、完璧だ。
受付に保険証と問診票兼同意書を提出して、名前を呼ばれるのを待つ、みこりんと私。みこりんは12月にやってインフルエンザの予防注射が、思いのほか痛かったせいか、少しだけ緊張しているように見えるが、もはや注射ごときで泣くほど小さくもないので、大丈夫だろう。
やがて、内科の担当看護士さんがやってきた。
ん、時間だな。と思ったら、ここに大きな落とし穴が。
あろうことか、私はもっとも重要なアイテムを忘れてきたのである。
“母子手帳”、これがないと予防接種は受けられない。
代替のきく体温計やボールペンよりもなによりも、まず母子手帳を確認せねばならなかったのに、すっかり意識の外にあった。何もかも順調そうにみえる時こそ、慎重にあらねばならないというのに。不覚をとった。
病院は家からクルマで片道3分ほどの距離にあるため、なんとか診療時間内に戻ってくることができたのは、不幸中の幸いであった。
こうして無事、予防接種は終了した。母子手帳の記録によれば、受けなければならない予防接種は、今回がどうやら最後だったらしい。あとは…、「インフルエンザの予防接種は毎年受けるの?」と、みこりんがやや不安げな声で言った。そうだね、受けておいたほうがいい。でも、新型インフルエンザには、まったく無力。それだけが、とても怖い。
2008.3.13(Thr)
攻撃急増中
例えるならば、警備会社が泥棒に入られたようなものか。
トレンドマイクロのウイルス情報ページが改ざん 閲覧者にウイルス感染のおそれ
トレンドマイクロは3月12日、同社のウイルス情報ページが11日午後7時ごろから改ざんされ、アクセスしたユーザーに、ウイルスをダウンロードさせる状態になっていたと発表した。
ITmediaエンタープライズ 2008年03月12日 17時47分
これと同一犯によるものかどうかはまだ不明だが、非常に手口が似ているのでおそらく同じと思われる事件。
セキュリティサービスのラックは3月12日、日本のWebサイトを狙ったSQLインジェクション攻撃が急増しているとして、Web管理者やインターネット利用者に注意を呼びかけた。Webサイトが不正に改ざんされ、閲覧者をマルウェア感染サイトに誘導する被害が想定されるという。
同社のセキュリティ監視センターJSOC(Japan Security Operation Center)の調べでは、3月11日夜から通常時の70〜100倍にもなる攻撃が確認され、現在も継続しているという。
感染サイトのURLは「www.2117966.net」となっており、閲覧者が気付かないようにマルウェアを感染させる可能性がある。同社によれば、このマルウェアはオンラインゲームの情報をPCから盗み出すタイプだと推定されるという。
ITmediaエンタープライズ 2008年03月12日 19時20分
今回のマルウェアは、オンラインゲームのアカウント情報を盗み出すものだと言われている。最近は特に、オンラインゲームのアカウントハックを目的とした罠サイトへのリンクや、不正なスクリプトの埋め込みが話題になっていたが、ここまで大規模な攻撃は初めてだろう。
まったく、油断も隙もない。
オンラインゲームのアカウントを不正に取得すると、どんないいことがあるかといえば、RMTである。リアルマネートレーディング。ゲーム内通貨を、実際の通貨と換金することで、不正に利益を得ることができる。
特に、物価の安い中国は、日本ではさほどの金額ではなくても、十分なほどの利益になるとかで、中国からの攻撃が後を絶たない。私のやってるファイナルファンタジーXIでも、ゲーム内での様々な問題行動(高額で売れるアイテムを落とすモンスターの独占や、不正なツールを使用しての釣り、24時間体制で売れる素材を落とす狩場の独占等)は以前からあった。しかし、開発元によるスペシャルタスクチームが、ゲーム内における不正な操作を厳しく取り締まるようになってからは、こうしたアカウントハックによって、直接的に他人の資産を強奪する手法が増えてきているようだ。
ちなみに、問題の「www.2117966.net」をGoogleで検索をかけると、まだサイト内に不正なこの文字列を含んだスクリプトに改変されたサイトは、うじゃうじゃとあるようだ。なにしろ検索結果のトップページからして、感染サイトだし。
ついでに、このサイトのドメイン所在地を、www.aguse.jp で調べると、まさに中国。犯罪者天国の様相すら示され始めている感じ。
しばらくはJavaScriptやiframeは無効にしておくのが無難かもしれない。
2008.3.14(Fri)
金曜の午後
朝から激しい雨が降る。
こんな日は、花粉やら黄砂やらも落ち着いて、目が痒くならないのがいい。しかしどうしたことか、ずきずきと毛細血管が破裂しそうな頭痛が止まらない。おまけに、胃の中に異物が混入してしまったかのような気持ち悪さもあった。
いつもの花粉症とはちょっと違う症状だ。
昼休みを過ぎ、午後に入ると、顔面に何やらあやしげな汗が、じんわりと噴出してきて気色悪いことこのうえない。そのうち、座っているのも耐え難くなってきたので、半休を取ることにした。
*
ほどよく冷えたリビングの床が、異様に心地よく、ぺったりと伸びて休んでいると、いつのまに接近していたのかにゃんちくんが後頭部付近で丸くなる気配。猫族の隠密性、おそるべし。
しばしひとりと1匹、寝転んで、午後の静寂を堪能する。
時間感覚が、だんだんあやふやになってゆく。
今日、大掃除があると言っていたみこりんは、まだ戻ってきていない。
雨はあいかわらず降り続いていた。
ふいに後頭部付近から、「しゃりしゃり」いう音が聞こえてきて驚いた。にゃんちくんが私の髪を舐め始めたのだ。
音だけ聞いていると、なんだかとても美味そうな感じ。でも実際に美味いとはとても思えないので、これはたぶんにゃんちくんの暇つぶしなのだろう。
しゃり… しゃり… しゃり… しゃり… しゃり… しゃり…
始まったのと同じくらい唐突に、音は止んでいた。
後頭部に、にゃんちくんの気配はすでにない。
じつは見ていないところで、本当に瞬間移動してるんじゃないかと思わせるほどの、見事な消えっぷり。
直後、玄関付近で物音がして、みこりん帰宅。家の中に、魂が戻った。
2008.3.15(Sat)
悪魔の魂
クルマの定期点検のため、カーディーラーへと向かう土曜日の朝のこと。いつものようにくっついてきていたみこりんが、私が点検中に読もうと持参した本、『12DEMONS―12の悪魔 (2)』(著:御堂 彰彦)をぱらぱらとめくっている。
みこりんも、この本はすでに途中までは読んでいるらしい。私はまだ100ページほどしか読んでいないので、みこりんの方が進んでいるかもしれない。
前作『12DEMONS』を、みこりんは以前、一気に読みきった。それに比べると、続巻となるこの本の読み進みペースは、かなり遅いような気がする。
あまり面白くなかったんだろうか?気になったので、みこりんに聞いてみたところ、「ちょっと怖くなってきた」というのが真相らしい。でも、やはり続きは気になるようで、どうしたもんかと迷っているところみたい。
そんなに怖くなってゆくのだろうか。どんな風に怖いんだろう。私はみこりんとは別の意味で、続きが気になってしまった。
ここでみこりん、ふとページをめくる手を止め、ふいにこんなことを言った。
「へー、“悪魔の魂”の持ち主って、○○○だったんやね!」
………!?
悪魔の12の部位を保持する生徒の中でも、“悪魔の魂”は、いわゆるこの物語のキーとなる重要な部位。これまで誰がその持ち主か、私が読んだ部分でも、まだ明らかにはなっていなかった…。
み、みこりん、それ、とーさんも誰が“悪魔の魂”の持ち主か推理しながら読んでたのに。
こうして、あっさりと真相が分かってしまったのだった。いや、だいたい想像はついてたんだけど…。
と、とにかく、“誰が”というのは分かってしまったけれど、いまだ“理由”が判明していないので、謎は残っている。みこりんがそれ以上ネタばれしてしまう前に、クルマ屋さんに到着。私は続きを読み進め、みこりんは持参してきていたDSで、何かの続きを始めていた。
昨日とはうってかわって、春のようなぽかぽか陽気。
そろそろタイヤをノーマルに戻しておかねば。
2008.3.16(Sun)
スプリング・コンサート
本日も晴天也。
午後からみこりんの通っている音楽教室の発表会があるため、例によって文化会館まで出かけた。開場14:00だが、受付やら写真撮影等があるので、13:15必着とのこと。渋滞も考慮してちょっと早目に家を出たら、こういう時に限って道は順調に流れ、13:00に現地到着。
時間余りすぎ。
大ホールの分厚い扉が開かれるまで、どうやって時間を過ごすか。今日が雨なら、迷わずロビーのソファへ直行だが、幸いにして穏やかな晴れ。外に植えられた木の下が、いい具合に空いていたので、巨大な天然石で造られたベンチに座り、ぼーっとして過ごす。
もはやセーターなしでもぜんぜん平気なほどに、あたたかな風。これで花粉と黄砂がなければ言うことなしなんだけれど、マスクは外せない。
木にたっぷりとエネルギーを充填してもらった頃、大ホールの扉が、ごごごと開いた。動き出した人の列に加わる。
今日は三脚使用禁止令が出ているため(暗がりで子供が足をひっかけて転んだりするのを防止する目的)、場所取りにさほど神経質になることもない。それでも堂々と三脚立ててる親がいたのには、正直、あきれたが、どこにでもこういう奴はいるものだと半ば諦めの境地。
今日の発表会は、団体で行われる。みこりんのクラスも、今年から他のクラスとの合同となった。合同練習は一度しか行われていないのだが、エレクトーンの場合、曲データさえあれば一人でも大勢で弾くのと同じ環境が作り出せるため、あまり問題はないのだろう。
みこりんの担当パートは、今年はベースだ。主旋律ではないので、一人で練習するとき、今どのあたりを弾いてるのかわかりにくいとみこりんは言っていた。…もしかして曲データ、使ってなかったんだろうか。
そんな一抹の不安はあったけれど、演奏は大人数なので、たぶん大丈夫だろう。ソロではミスが目立つが、10人以上いれば、わずかなノイズだ。
実際、演奏はほぼパーフェクトに聞こえた。私の耳では判別不能。それよりも、撮影のために片手で保持したビデオカメラの手ぶれを抑えるべく、呼吸を極力浅くしようという方に注意力が向いていたので、たぶん誰かが間違えていたとしても、きっと気付かなかったことだろう。
発表会ラストは、講師陣によるホルスト作曲『惑星 第4曲“木星”』の演奏。
圧巻だった。20台近くのエレクトーンによる演奏は、まさにフルオーケストラに匹敵する(と思う)。脳内で漆黒の宇宙空間に浮かぶ、木星のイメージがありありと再現されてしまうほどに。
久しぶりに音楽で酔えるような、そんな感じ。いい演奏だった。
記念品が配られ、発表会終了。開演からは2時間弱だったため、さほど疲れは感じなかったが、なんとなくみこりんがグロッキー気味なような…。なんでもなければよいのだけれど。
2008.3.17(Mon)
奇怪な音
そろそろみこりんが寝ようかという時刻、突如として轟きわたる不気味なサイレンのような音。しかもそれがリビングのすぐそば、おそらく隣の和室からであることは、容易に推測できた。なんという生々しく、恐ろしげな音……、いや、声であろうか。
私はおそるおそる暗がりの和室に足を踏み入れ、声の主を探した。
「にゃ、にゃんち…?」
にゃんちくんは、すぐに見つかった。障子戸のすぐ前で、破れて穴の開いた向こう側にむかって、激しく威嚇のポーズ。その障子の穴は、にゃんちくんが以前、じゃれついて破ってしまったものだ。縦3つ分の区画にわたって、障子紙がきれいに破り去られている。そしてその向こうには、ガラス戸があった。今は漆黒の闇にしか見えないが…。
何かがいるにちがいあるまい。私は和室の明かりをつけた。
一瞬、ガラスに、にゃんちくんの顔が映っているのかと思った。しかし、よくよく見れば、微妙に顔の模様が違う。
ガラスの向こうの猫は、金色の瞳をもった、三毛猫だった。
障子戸を、がばっと開けても、その猫は逃げる様子もなく、ちょこんと庭側にあるウッドデッキの上に行儀良く座って、ガラスに顔をくっつけるようにしてこちらを見つめていた。その表情には、どことなく愛嬌があり、育ちの良さが垣間見える。たぶん、ただの野良猫ではあるまい。どこかの飼い猫が、庭に入ってきたのだ。
「しっ!」と言って、足音を鳴らしてみたが、外の猫は微動だにせず。かわりに、にゃんちくんがびっくりして部屋のすみにすっこんでいってしまった。それでも、威嚇のうなり声はおさまっていない。にゃんちくんにしては珍しく、そうとう怒っているようだ。
ガラス戸をがらっと開けると、猫はようやくウッドデッキから降り、闇の中へと溶けるように姿を消した。
うちの庭の周囲には、花壇や菜園へのフン害防止のために、ぐるりとネットを張り巡らしてあって、少なくともここ数年は、猫の侵入を許したことはない。猫に勝る運動能力を有する野良アライグマには突破されてしまったことはあるが、猫に対してはいまだその有効性を失ってはいないはずだった。
いったいあの猫は、どこから侵入してきたのか。『完璧な防壁』に、穴が開いたのだろうか。私の不安はそっちの方に向いていたが、みこりんはさきほどのにゃんちくんの唸り声にびびってしまっていて、とても寝る雰囲気ではなかった。
そのうち、にゃんちくんが再び障子の穴の前まで戻ってくると、またしても「うぅぅううう〜!」なんて怖い声を出し始めた。まだ猫が外にいるのか。
ガラス戸を開け、外に出てみる。
猫は、2メートルくらい離れた位置に、ひっそりとたたずんでいた。動作がおっとりしていて、なんとなく憎めない雰囲気。でも、このままいつかれても困るので、追い出しにかかる。ついでに、猫がどこから侵入してきたのか、見届けなくては。
猫は、ゆるやかな足取りで、てとてとと庭の南側と西側を区切る、ネットに向かって歩き出した。そこは、人間が通れるように、ラティスを改造したドアが付けてある場所だった。…、ま、まさか。
ラティスの格子の隙間を通り抜けられるのかと一瞬思ったけれど、そうではなかった。猫はあっさりとドアを普通に通過して、今度こそ、庭から出て行ったのだった。
どうやら、ドアの下側部分が、風で傾き、支柱との境に空間が開いてしまっているらしい。
ただちに修復に向かう。傾いたラティスを元に戻し、念のため、ホースリールをドアの前に置き、動かないように固定する。これでもう入っては来られないだろう。
そのようにみこりんには言ってみたものの、恐怖は容易には去ってくれないようだ。障子の破れた穴が見えるのが怖いというので、紙のボードをたてかけて、完全に見えないようにした。ただ、障子には他にもにゃんちくんが穴を開けた箇所があって、そこがちょっとでも見えていると怖いらしく、結局、Licがポストイットで応急修理を試み、それでどうにかみこりんは安堵してくれた。
まあ、たしかに猫の喧嘩する時の声は、異様な怖さがある。とても同じ生物が発しているとは思えないほどに。
みこりんが眠りについたのは、それから2時間ほど経ってからのことであった。どうか、怖い夢を見ませんように。
ラティスドアも、早めに修理しておかねば。
2008.3.18(Tue)
微熱
昨日の朝、頭が痛いとみこりんが言うので、体温計でチェックしてみたところ、微熱があったため、念のため一日学校を休ませたのだが、今朝もやはり頭痛があるらしい。体温計によれば、同様に微熱が続いていることもわかった。
喉の痛みはないらしい。咳もなし。鼻も大丈夫っぽい。腹痛が若干あるみたいだが、これは今日に限ったことではないので除外するとしても、客観的に見て風邪ではなさそう。でも微熱。体のどこかに炎症がある、もしくは外部からの侵入物に対して抵抗している証。
日本脳炎の予防接種をしたのが、先週の火曜日だ。私はこれが気になっていた。説明書によれば、不活性ワクチンの場合は24時間様子見とあったが…。
学校で重要な行事がないっぽいので、念のため今日は病院に連れて行ってみることにする。
平日なので午前中がいいかなと思って来てみたのだが、いつもの小児科は婦人科もやっており、これが結構盛況らしく、ほぼ1時間待ちとなってしまった。
待ってる間、ケータイでニュースサイト巡りなぞしていると、“韓国で中国産スナック菓子からネズミの頭部らしき毛のはえた物体が見つかった”というものがあり、みこりんと二人して「気色悪すぎる〜」なんて会話をしているうちに、名前をコールされたので診察室へ。
先生の問診でも、風邪の諸症状の有無が確認されたが、頭痛以外には目立ったものがないことを再確認する結果となった。そこで、日本脳炎の予防接種を行ったことを話すと、先生は何事か合点がいったようで、机の上の資料ケースから一枚の紙を抜き出し、説明をしてくれた。
予防接種後、1週間のうちには、体内で抗体が作られる関係上、このように微熱が出る状態が2〜3日続くことがあるらしい。でも自然に消えるので、問題ありませんとのこと。一応、喉のチェックもしてくれたが、特に気になる点はないようだった。
とりあえず、頭痛と腹痛の薬を処方してくれることになったが、今日で2日目だから(なんとなくだが、日曜日から微熱は既に出ていたのではないかという気もするし…)、たぶんもう必要ないかもしれない、
*
夕方、近所の同学年のお友達が、プリント等を届けに来てくれたのだけれど、「お大事に」と言ってくれたのがとても印象に残った。小学4年生で、もうこんなにしっかりとした受答えができるとは。自分の小学4年生時代と比較すると、まさに雲泥の差である。ちょっと感動。
2008.3.19(Wed)
冒険
みこりんの微熱は終息した模様。今朝は元気に学校へ出かけていった。出かける前、みこりんが重要な指摘をしてくれたのだが、明日は全国的に祭日で、学校は休みらしい。私の勤務先のカレンダーでは、明日はド平日のため、すっかりそのことを忘れていた(GWや盆暮に連休を作るべく、全社的にこうして単独の祭日を先取りするのが慣わしとなっているのだ)。
そんなわけで、明日は午前中に半休をとることにした。
帰宅後、そのことをみこりんに伝えると、「お弁当作ってくれたら、ひとりで留守番できるよ」と言われた。…そ、そうか。ちょっと前まで、ひとりは怖いと言っていたような気もするのだが、強くなったな、みこりん。
でも、すでに休暇申請してきたので、また変更するのはいろいろ面倒だし、そのままとしよう。
朝がゆっくりできるとなると、前日の夜はなんとなくほっとする。丸一日休みになるみこりんは、なおさらだろう。
だからかもしれないが、ファイナルファンタジーXI用の自分のキャラを、私のキャラが常駐している場所まで連れて行って欲しいと、みこりんは言った。私のキャラが常時居る場所は、『アルタナの神兵』で追加された過去エリアの1つ。祖国バストゥークに隣接する北グスタベルク。赤茶けた大地と岩山しかないような殺風景なエリアだが、このゲームを始めた頃、最初にレベル上げをした場所の過去エリアということで、なんとなく落ち着くのである。
過去エリアでは、頻繁に獣人軍との戦闘が勃発しており、これに参加することで、経験値や戦績を、地味だがコツコツと貯めることができるのだ。みこりんは、私のいる場所で、一緒に戦闘に参加してみたいらしい。
ちなみにみこりんのキャラは、レベル22の白魔道士ゆえ、道中は非常に危険。過去エリアにおける移動は、そのエリアに一度でも入ったことがあれば、以後は各地にテレポで瞬間移動させてもらえるのだが、最初はひたすら走って移動せねばならない。しかも過去エリアではチョコボによる移動がまだ実装されていないため、己の足で走らねばならないのだ。マップにして4つ分の、冒険である。おまけに道中もっとも危険な場所のマップを、みこりんは入手していない。したがって、私のキャラを随伴させることにした。
みこりんのキャラとパーティを組み、ひたすら走る。私のキャラでも敵に絡まれてしまうエリアを抜けてゆくので、慎重に慎重に。聴覚遮断と視覚遮断の魔法をみこりんキャラにかけながら、しかし自分の姿は極力さらしてみこりんが迷子にならないように努めつつ。
湿地帯で一度、目測を誤り、ペット付きのゴブリンに絡まれた。しかもそのペットと同類のモンスターがその場所にいたものだから、そいつもリンクして、計3匹にタコ殴りにされてしまったものの、皆おとなしく寝てくれる相手だったので、問題なし。みこりんは私のHPが、あっという間に半分まで減ってしまうのを見て、とてもびっくりしていたようだが、かように過去エリアは危険なのであると実感してもらえたかもしれない。ちょうどタイミング悪く、強化魔法が全部切れてる時だったというのもあるけれど。
みこりんがマップを持ってないエリアも無事通過し、いよいよ目的地へ突入。方向感覚に優れたみこりんだけに、一度も迷子にならずに済んだのは、幸いであった。
こうして、一時間にわたる旅は終わった。やはり徒歩だけだと、かなり時間を食ってしまう。コントローラで操作してるだけだからまだいいけれど、このインタフェースがWiiのような体感型のもの、例えばルームランナーで移動なんてことになったら、ものすごい運動量になることであろう。
でもこれで、みこりんは過去エリアの3分の2に、テレポで移動できるようになった。一度通過してしまえば、あとは楽。みこりんの行動範囲も、さらに広がること間違いなし。
うまい具合に私が常駐している場所には、みこりんのキャラから見て“丁度よい”強さの敵がいる。ここならレベル上げにも使えるし、みこりん待望の蘇生魔法“レイズ”を覚えるレベル25も、意外に早くやってくる、かもしれない。
2008.3.20(Thr)
付箋紙
自治体のゴミ捨てにも、いろいろルールがあるように、職場のゴミ捨てにもやはり“捨て方”が定められている。
リサイクルの観点から、上質紙は、雑誌や新聞と分けるとか、ペットボトルやビン・缶は別にするとか、いろいろ。製造現場レベルだと、金属材料ごとにさらに細かく規定があったりするので、もっと大変。それに比べると、設計業務担当は、せいぜい紙の捨て方に気を配ってればまず問題ないので、かなり楽。
しかしながら、それでも間違った捨て方をする人がいる。
設計室の片隅には、紙のリサイクルボックスが設置されており、上段に上質紙、中段に雑誌類、下段に新聞と区分されているのだが、間違いの中で一番多いのが新聞のところに、新聞以外の紙が混ざっているというもの。でもこれは、雑誌類と新聞は結果的に同じ処分方法となるので、あまり問題ではない。
上質紙を別の場所に入れる人は滅多にいないが、上質紙には特別ルールがあって、付箋紙は剥がしておかねばならないのだった。上質紙は雑誌や新聞類と違って、良い紙にリサイクルされるので、不純物は混ぜてはいけないのだ。
ところが、これを知ってか知らずか、絶対に守らない人がいる。捨てた紙の内容を読めば、誰が間違った捨て方をしてるのか一目瞭然なのだけれど、その人は、雑誌類の中に、保険の申込書等を配られたビニール袋入りのまま捨ててたりもする。もちろん、紙の中にビニール袋を混入させるのは御法度だ。
私は今年度、職場のリサイクル委員を割り当てられているため、リサイクルボックスが一杯になってきたら、中の紙を紐で結束してゴミ集積所に移動させておくという役割がある。そんなわけで、大量の上質紙の中から、付箋紙がはみ出しているのをいちいちチェックし、剥がすはめになっているのだった。ビニール袋入りの紙は、袋から出し、ビニール袋の方は専用のゴミ箱にポイだ。
間違った捨て方をしている当人に直接言うと、いろいろカドが立つかなと思い、課内の電子掲示板に“紙の捨て方について”の注意事項を掲示してみたが、効果なし。そこで、“付箋紙はダメ”ということを強調すべく、太字で文字サイズをでかくし、誰が見ても見逃さないように改修してみたりもしたが、やはりこれも効果なし。
そしてついに年度末。残すところ10日あまりとなってしまった。
おそらく今年度最後となる紙ゴミの整理。あいかわらず貼られた付箋紙を、剥がしつつ思う。いくら社則で決め、それを周知徹底させようとしても、はなからその気のない人にそれを知らせるのは無理なんじゃないか、と。まぁこれは、地域のゴミ出しにも感じていることではあるのだが…。守らない人は、徹底的にルールを無視する。まるでそんなものはないかのごとく。
なんか…、虚しい。
2008.3.22(Sat)
戦闘不能
昼間のリビングは、窓の向こう側が怖くらいに白く輝いていて、春の訪れを強烈に感じさせるものだった。庭のプラムの花芽も、心なしか膨らんでいるような感じ。いかにもあたたかで、おだやかで。窓辺で寝そべっているにゃんちくんも、陽だまりの中ぺったりと伸びて、とても気持ち良さそうだ。
しかし、このすばらしい空気を部屋に取り込むことは出来ない。目には見えないが、きっと花粉と黄砂が充満しているのだ…。
無念すぎる。
*
そして夜。ファイナルファンタジーXIを起動し、ヴァナ・ディールの地にて。いつものように、過去世界で獣人軍とのカンパニエバトルに参戦中。
敵の親衛隊の戦力は強力であり、それに対して味方のPCは真夜中ということもあり数も少なく劣勢だった。味方NPCも、戦線に投入されている部隊の数が少なく、じりじりと押され気味。
敵親衛隊のボスクラスによる猛烈な範囲攻撃を食らって、ばたばたと倒れてゆく味方PC達。私のキャラも、強化魔法が切れるとあっさりと戦闘不能に。
こんなこともあろうかと、あらかじめ自己蘇生魔法を掛けておいたのだが、いくら待っても蘇生する兆候が見られない。不思議に思って、さきほどまでの戦闘ログを確認してみたところ…、敵の特殊技で自己蘇生魔法を消されてしまっていたのだった。ありゃまぁ。
敵部隊との戦闘を、地に倒れ伏したまま見守ることしばし。
やがて、味方NPC軍の増援により、からくも撃退した模様。ほっとしたのもつかのま、自分が倒れている場所が、拠点からちょっと離れていて、しかもまん前に石造りの壁みたいなのがあって、見通しが悪いことに気が付いた。拠点にいるPCからは、こちらの姿が確認できないかもしれない。
10分経過。
戦闘不能のまま、誰も通らない道ばたで流れ行く雲など見つつ…。あぁ、いい天気だ。
20分経過。
再度、敵部隊の襲撃があったが、やはり拠点からわずかに離れているのと、目の前の壁で誰にも見つけてもらうことができず…。いや、一度だけ、高そうな甲冑を身にまとったナイトが一人、こちらをちらっと見たのだが、そのまま去られてしまったのだった。ナイトはあのレベルならば蘇生魔法が使える。しかし、倒れているのが男キャラでは、蘇生しがいがないのかも…
30分経過。
ヴァナ・ディールの一日は地球時間よりも、かなり早い。夜になり、再び朝となっていた。
戦闘不能のまま、地球時間で1時間経ってしまうとホームポイントに強制送還されてしまう。そうなれば戦闘不能になるまでに稼いだはずの経験値と戦績がもらえない。
そして、あいかわらず誰も通りかかる気配なし。ここはあまり人気スポットじゃないからなぁ…
仕方が無いので、Licのキャラに降臨してもらうことにした。幸い、過去世界にいれば、各地への移動はテレポで一瞬だ。そんなわけで、ようやく私のキャラは蘇生することができたのだった。
拠点に戻ってみれば、なんとそこには先ほどまでの私と同様、地に倒れ伏している女性キャラの冒険者がいるではないか。さっきのナイトは、よほど急いでいたのか。それにしても蘇生魔法が使えるキャラが他に一人もいなかったとは思えず…。みんな、誰かが蘇生してあげるだろと思って、転戦していったのかな。
さっそく蘇生してさしあげる。
実際、過去にもカンパニエバトルが終了したあと、MP補充のため座ってヒーリングさせたまま数分放置して戻ってみると、ぽつんと近くで戦闘不能になってる人を何度か見かけたことがある。それからは、バトルが終了したあとは、周囲に戦闘不能になってる人がいないか点検のため見回りするのが日課になっているほどだ。私のキャラはずっとここに常駐してるし、急いで転戦のために戻る必要もないし。
生き返った彼女にさよならを言った後、しばらく荒野にたたずみ、青い空を眺め。星空に浮かぶ大きな彗星を見。
そして、寝た。
土曜の夜は、なんと心地よいことか。
2008.3.23(Sun)
改竄事件
オンラインゲームのアカウントハックを目的とした正規サイトの改竄事件は、いまだ継続中のようだ。
ファイナルファンタジーXIに限ってみても、3月上旬あたりにFC2ブログを利用して開設されているプレイ日記や攻略情報のサイトが複数、テンプレートが改竄され、閲覧しただけでマルウェアに感染してしまう状態(もちろんセキュリティホールを塞いでいれば問題なし)にあった。テンプレート内に、いつのまにかiframe要素が追加され、そこから犯人の用意したサーバに接続するよう記述がされていたという仕組み。
同時多発的に、FC2ブログを利用したサイトだけが標的にされていたので、サイト管理者のパスワードが破られたというよりは、FC2ブログのサーバ本体に穴があるんじゃないかという話もあったが…
そして今週末、ファイナルファンタジーXIの運営サポートが土日休みに入ったのを見越したかのように、再度、FC2ブログのテンプレートが改竄され、閲覧しただけでマルウェアに感染してしまう状況が再現されてしまったのだった。
今回は、いつのまにかscript要素が追加され、そこから犯人の用意したサーバに接続するよう記述がされていた。前回iframe要素を使ったことで、「iframeに注意!」みたいな雰囲気になっていたのを逆手にとったかのような手口。
今回は私もリアルタイムに状況を追うことが出来たので、改竄されたサイトのソースを実際に見て、確かに不正なスクリプトが埋め込まれていることを確認することができた。今回は念のいったことに、犯人の用意したサーバへのアドレスが、URLエンコードされており、ぱっと見には記号の羅列にしか見えず、危険なドメインであることがわかりづらくなっていた。使用されたドメインは、前回のと同じらしい。aguse.jpで確認してみると、いかにも怪しい登録者情報だった。やっぱりというか、これも中国産。
犯人のサーバ上のスクリプトを追ってゆくと、さらに3度ほど別のページに遷移させたあげく、目的の攻撃コードに到達する仕組みのようだった。各種掲示板の情報によれば、ウイルスバスターやノートンでは検出不能だったらしい。有志によって検体が届けられた結果、カスペルスキーがもっとも素早く対処してくれたとかで、一気に株を上げた模様。
そうこうしているうちに、またしてもFC2ブログの新たな改竄報告があったので、さっそくそちらも見に行ってみると、同様な手口で怪しいscript要素がソースの中に確認できた。混入の位置が、先ほどのサイトと同じだ。文字列があいかわらずURLエンコードされている。URLデコードしてサーバ名を確認。今回の誘導先のサーバは、先ほどまでのとドメインが異なっていた。しかし、aguse.jpで確認する限り、登録者情報は酷似していたので、おそらく同一犯が用意したものだろう。おまけに登録日が今日の日付になっている。今まさに犯人(達)が動いていることがありありとわかる、不気味な生々しさ。
こちらのサーバでも、どんな攻撃コードが用意されているのか追いかけてみた。ふむふむ、2度のページ遷移で攻撃コードに到達。こちらの攻撃コードは、暗号化されていないため、ソースが丸見え。脆弱性を有するモジュール名を指定してあるのだが、その文字列を細切れにして変数に代入するなど、若干の工夫が見られる。安易な検索パターンでは引っかからないようにしてあるのだろう。
そして最終的に潜り込ませるコードは、各種オンラインゲームのアカウント情報を盗むものやら、PCをボット化するためのもの一式が揃ってるらしい。感染すると、自分のゲームアカウントを盗られるだけでなく、ボットネットの一員として今後も知らぬうちに悪事に加担させられてしまうという、まさに踏んだり蹴ったりなことになってしまう模様。
とはいえ、既知の脆弱性を塞いでいれば、なんら問題ないというのも事実なので、闇雲に恐れる必要はない。…しかし、これでゼロデイアタックされたら、対処のしようがないので、それはそれで怖いのも事実ではあるのだけれど。
それにしても、不可解なのは、なぜFC2ブログばかりが狙われるのかということだ。前回の改竄事件の時、サイト管理者がFC2ブログの運営側に多数問い合わせたらしいが、のらりくらりと明確な回答がないらしい。
サーバのログをチェックすれば、どのように攻撃されたか、どんな手を使って侵入されたか、手がかりはありそうなものだが、なぜそれを行わないのだろう。ログを消されて何にもわからないという状況も有りうるけれど、それならそれで、そのように言えばいいだけのこと。そうすればFC2そのものに穴があることになるので、ブログの移転で問題解決だ。それをしないのは、FC2運営側が自己保身に走っているとしか思えない…。
しかし一番問題なのは、ここまで明確に犯罪行為が行われているというのに、犯人が海外(十中八九、中国)にいるので、日本の警察が動けないということだろう。国内での捜査くらいは出来ても、そこから先は、闇の中。
ネットに国境なし。自分の身は自分で守るしかないのか。とりあえず、MicrosoftUpdateは忘れずに。それと、Microsoft以外のアプリケーションの、セキュリティアップデートもしっかりやっておく必要あり。実際、今回狙われた脆弱性は、RealPlayerのものだ。RealPlayerは、最新バージョンでも穴が開いたままになってるらしいので、これは削除が吉。あと忘れがちなFlashやらAdobe ReaderやらShockwave等も、狙われる確率が高いので、常にアップデート情報には目を通しておかねばなるまい。でも、普通の人はそこまでやれないような気もする…。PCにインストールされているソフトすべてのセキュリティアップデートの有無をチェックして、自動で全部アップデートしてくれるような仕組みでもなければ、ちょっと困難かも。
2008.3.24(Mon)
『AQUA』
先ごろ12巻で完結した『ARIA』(作:天野こずえ)は、じつは読んだことがないのだけれど、ずっと以前から本屋に足を運ぶたび、とてもとても気にはなっていた。独特の透明感あふれる美しい彩色と、繊細なキャラクターデザイン。今となっては、なぜ手に取るのをためらっていたのか思い出せないのだけれど、きっと天邪鬼な自分の悪い癖が出ていたのだと思う。
しかし、完結ということで、思い切って読んでみることにした。
ところで『ARIA』には、その第0巻とでも呼ぶべき『AQUA』1,2巻があるというのは知っていたので、まずはこちらから。
例によって“古本市場”に出品されていたやつを、順次購入。『AQUA』は、出版社を変えて2度世に出されているのだが、古本屋で購入したため、1巻がエニックス版、2巻がマッグガーデン版になってしまった。ちょうどそれしか在庫がなかったのだ。どちらかというと、最初のエニックス版で揃えたかったのだけれど…
そして本日、2巻目読了。
買ってよかったと思える、満足な完成度だった。
舞台はテラフォーミングされ、水の惑星となった、かつて火星と呼ばれた惑星“アクア”。水の惑星ゆえ、船による交通が発達している。船といっても、SFちっくな奴ではなく、情緒あふれるゴンドラ等が使われており、主人公はこのゴンドラを操る水先案内人(ウンディーネ)を目指す女の子(子、よりは大きいけど)。
人語は話せないが知能はヒト並みという火星猫が、よいアクセントになっている。そして描かれる情景が、じつに穏やかでのどかな雰囲気なのも癒される。おそらく、この時代の地球には、こんな自然はすでに残っていないのだろう。
“猫の集会”の話で、ひとけのない街並みに、ふと彷徨いこみ、路地に並んだ家の窓から無数の風車が回っているところなど、昔、TV版『うる星やつら』で押井守がちょくちょく描いていた情景に酷似してたりもして、おもわずにやりとしてしまいそうになる(映画版『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』の、風鈴のシーンと言った方が思い出す人は多いかもしれない)。
緑の大地に立ち並んだ巨大な風車は、『マクロス・プラス』のワンシーンを彷彿とさせ、これもまた懐かしい。
ツボを刺激されまくりであった。
というわけで、次は本編『ARIA』1巻に進んでみようかと思っているところである。
2008.3.25(Tue)
春はあけぼの
がちゃり、という乾いた音が聞こえた気がして、目が覚めた。
目覚めてすぐは、まだ脳が完全起動状態にはないので、それが何の音なのか思いつくのに少々時間を要してしまった。
玄関ドアが閉まる音だと気付くまで、約5秒。枕元のケータイをぱかっと開いて時間を確認。
午前7時5分。…みこりんが登校していったに違いあるまい。
階段を降り、まず玄関をチェック。
みこりんの靴がない。
次にリビングをチェック。
いつもここに置いてある学校の登校セットがなくなっていた。
そして流し台には、みこりんの茶碗と箸、それに何かを盛り付けたと思しきあとの残る皿が一枚、置いてあった。
みこりんは自力で起きた後、自分で朝食の用意をし、そして学校へ出かけていったようだ。ちょっと前なら「朝ごはん〜」と起こしてくれたものだが。
以前、私用に買ってきたスーパー目覚まし時計は、今はみこりんが使うようになっている。私は自分のケータイのアラームを、10分ごとに鳴らす設定にして対処しているのだけれど、やはりスーパー目覚まし時計ほどの威力はないらしい。
春眠暁を覚えず…
桜は、ほぼ三分咲き。庭の桃の木にも、もうじき彩り豊かな花びらが、いっせいに開くことだろう。
春は、いつのまにかやってきていたようだ。
2008.3.26(Wed)
『バトルスター・ギャラクティカ 第10話“聖なる預言”』
「会見の演壇の上をヘビがはい回っていた」
「何匹です?」
「12匹ほど」
「ご冗談を。ピュティアのつもり?」
「ピュティアって誰?」
「預言者の1人です。
3600年前、ピュティアは人類の追放と復活を預言し、神々は人類を新天地へ導く指導者を任命しました。
指導者にはヘビの幻覚が見えます。
その数は“2”と“10”。
事が始まるしるし。」
「予言書に?」
「指導者は新天地に着く前に重病で亡くなるとか。でも、あなたは重病じゃないでしょ?」
『BATTLESTAR GALACTICA 第10話“聖なる預言”』より
遥か昔、預言書に書かれていたことが、ついに現実のものとなるのか。12惑星の残存人類による新天地への脱出と、その指導者に見えるという10と2の蛇の幻覚、そして、12機のバイパー・マーク2によるサイロン基地への攻撃。
奇妙に符合する“12”の数字。
ヒト型サイロンには、“ゴースト”が存在するのか否か。高度に知能化されたプログラムと魂の境界線とは何か。
サイロン占領下の惑星カプリカにおける、シャロン・“ブーマー”・バレリーの、あのシーンはもしかして“お約束”というやつではないのか。新人類誕生も間近なのでは…。と、いろんな妄想膨らむ『BATTLESTAR GALACTICA』。
残り2回分の超光速航行しかできないほどの燃料不足に陥っている船団は、何年分にも相当する大量の燃料となる物質を蓄えた小惑星を発見するも、すでにそこにはサイロンの基地があった。
基地を破壊し、燃料を手に入れるためにアダマ司令官は、“スターバック”に作戦立案を指示する。戦力で劣るギャラクティカに、勝算はあるのか。しかも“スターバック”自身は、まだ膝の怪我が癒えておらず、実戦に出られない。
技量では“スターバック”に劣るのではないかと思われる“アポロ”が、プライドを刺激されてちょっといじけつつも、「やっぱ自分ではダメなんじゃ…」と不安感に苛まれているところが、なかなかかわいい。そんな息子を勇気付けるアダマ司令官が、じつに渋い。まさに父親の鏡。こ、こうありたいと思う…
さて、今回はバイパー・マーク2の表現(扱い)が、これまでになくツボだった。
囮の船体から本命の攻撃隊として出現する12機のマーク2のシーンとか、もう鳥膚もの。
そしてなにより、敵基地に潜入する時の、マーク2の機動が心地よい。飛行機というよりは、どっちかというと『逆襲のシャア』等で表現されていたようなモビルスーツの動きに近い。うにょんと自在に空間を動くところが、まさに機動兵器かくあるべしみたいな感じで、旧作のバイパーとは一線を画す表現方法だったと思う。すばらしい。
それにしても、大作映画でもない、普通のドラマ作品でここまで凝ったことのできるアメリカのコンテンツ産業の、底力を思い知らされた気がする。日本の現状(というか惨状)を思うに、クリエイターを正当に評価しなかった(扱わなかった)上の方の連中の罪はとても重いと言わざるを得ない。まぁこれは、技術職全般に言えることなのかもしれないけれど…
2008.3.27(Thr)
セキュリティチェック
我が家のPCには、セキュリティ対策ソフトとして、NOD32とNorton AntiBotを常駐させ、ブラウザもマイナーどころのOperaを使ったりしているわけだが、みこりんのPCにおいては標準ブラウザはIEである。これはひとえに、IEじゃないと動かないページを、みこりんがよく使っているための措置だ。
メジャーどころのブラウザの方が狙われやすいのは道理だが、マイナーなOperaだから安心というわけではない。そもそも最近問題になっている正規サイトの不正改竄は、狙われたセキュリティホールがブラウザ以外のものならば、ブラウザ非依存で攻撃コードは作動する。
ということもあり、念のため、我が家のすべてのPCを、カスペルスキーのオンラインスキャナでチェックしてみたところ…
私とLicのPCは、問題なし。
しかし、みこりんのPCでは、昨夜の時点でマルウェアが1種、そいつに感染したファイルが十数個という結果が出ており、ちょっとどきどきだった。
全ディスクのチェックゆえ、ほぼ一日かかってしまったが、夕方にはチェックも終了したらしい。最終的に発見されたマルウェアは3種、感染ファイルが30個弱。うーん、妙に多いな。いったいどこで感染したんだろう…、と思いつつ、感染ファイルの存在するディレクトリを確認してみたところ、真相がわかった。
それら感染ファイルは、昔、メール添付型のウイルスが大流行していたころに、受信はしたものの、そのままメールソフトのゴミ箱にポイしたやつだった。みこりんのPCは、我が家のファイルサーバも兼ねているので、過去のデータがすべて格納されている。今回のカスペルスキーによるオンラインスキャナは、それら過去のゴミに反応しただけのようだ。
メールソフトを秀丸メールに替える前、まだBecky!を使ってた頃のゴミ箱なので、すっかり忘れていた。さくっと削除してもよかったが、深い階層にあるし、間違ってみこりんが起動してしまうことはおそらくないだろう。歴史的遺物として、このままにしておいてもいいかな、なんて思ったりもし。
みこりんも、ブラウズ中に怪しいポップアップなどが出ると、すぐに私に報告してくれるのと、インストール済みソフトウェアのセキュリティアップデートは小まめにやっているので、今のところPCはクリーンな状態を保てているようだ。
みこりん、わりと慎重なタイプかもしれない。
2008.3.29(Sat)
春爛漫
午後1時、買い物から戻ってみれば、玄関脇の庭が、一気に春めいていて驚く。クルマの中ではクーラーが必要なほどの陽気だ。このエネルギーで木や花も、一斉に開花を始めたのだろう。
白く輝くコブシの花。数日前からぼちぼち花開いていたものもあるのだけれど、今は枝という枝に鈴なり状態である。今のところ、鳥に花びらを食べられてしまうこともなく、無事でいる。ちょっと花のサイズが小ぶりになってきたような気もするのだが、それに反比例するかのように木そのもののサイズは、でっかくなった。何か関連があるのか気になるところだ。
その足元に植えてある水仙の群れ。大輪のラッパ水仙は、まだ蕾だけれど、小さな花を咲かせる方は、満開状態。ここ2、3年、葉っぱばかりで肝心の花がさっぱり咲かなくなっていたのだけれど、ようやく栄養の蓄積が終わったらしい。植えたばかりの頃のように、花数が多い。
そして我が家のシンボルツリーともいえる、ほうき性花桃“照手桃”はどうかといえば…、ようやく1つ2つ、花開いた状態だった。こちらは満開までもう少しかかりそうだ。でもこの陽気が続けば、あっという間のような気もする。
そよそよと流れてゆく風が心地よく、もうしばらくこの情景を満喫したかったが、あいかわらず花粉と黄砂で目が痒い、頭痛がする、体中がしんどいという症状が出ているので、とっとと撤収。
んー、じつにもったいない…。
2008.3.30(Sun)
『碧 水惑星年代記』
昨日の陽気が幻だったかのように、今日は朝から柔らかな雨が降り続いている。
それでもあまり肌寒くないのは、いかにも春らしくてほっとする。
というわけで、届いたばかりの『碧 水惑星年代記』(作:大石まさる)を、リビングに寝転び読み進めてみることにした。
『水惑星年代記』シリーズも5作目となる、今作品。贔屓のシリーズが続くのは、とてもうれしい。
前々からそうじゃないかな、とは思っていたのだが、大石まさる氏は、けっこうシスコンの気があるのでは…。本作にも、存分にそのテイストがあふれんばかりににじみ出ているような。血の繋がらない姉に恋する弟が、プロポーズのために土星まで宇宙機を飛ばしてしまう第2話“どってん☆”とか、“ちょっとガサツだけど、少年を放っておけずについつい面倒みてしまう第5話“ホシテルムシ”の華(ホア)さんとか、第4話“凪と波”で移民船の最後の生き残りである男の子を一人前に育てるべく奮闘しているホログラム(AI)の女の子(子というのは語弊あるかな)ナミさんとか。
雰囲気的に、鶴田謙二氏の作風にだぶるところが結構あるのだけれど、大石まさる氏の方は、わりとSFネタは小道具的扱いで、少年少女のピュアな感じを描き出すことに長けているように思う。体はオトナでも、どこか子供っぽいところに重点を当ててみたり。
ほのぼの、しんみり、どきどき、きゅーん、などという擬音(擬態語もまじってるけど気にしない)が漏れ聞こえてきそうな臨場感。今回の作品も、秀作揃い。基本、短編集だから、どこからでも読めるのがいい感じ。
心に休息を、そして、明日への活力を、ちょっぴりもらえるような、そんなお話。