2001.7.1(Sun)
赤い川
まだお昼前だというのに、「かっ」と焼け付くような猛烈な日差しになってきた。むき出しの肌がちりちりするほどの空気が心地よい。かねてよりの約束通り、みこりんとお散歩に出かけることにした。
三輪車に搭乗したみこりんは、下りはまさに快適そのものといった感じ。行きはよいよい、だ。散歩コースはいつもの川まで。団地の下までやってくると、一面に広がった田園の緑に、しばし我を忘れて見入ってしまう。ざざざざと風が渡ってゆく音が懐かしい。でもみこりんは畦の中が気になるようだ。土手の上からなのではっきりとはわからないものの、小さく黒光りする虫が水面をすいすいすばしこく泳いでいるのが見えた。あれはたぶんミズスマシ…アメンボもいる。よく探せばタイコウチやらミズカマキリもいそうな雰囲気だが、畦遊びはまた今度。
川に到着。昨日の雨の影響はほとんどなさそうだ。川岸の土手は夏草が鬱蒼と茂り、みこりんの目線からでは川の様子がよく見えないらしい。抱っこしてやったら、「おさかな!」と指差してくれた。私もまだ魚影は確認していないというのに、なんて鋭い…と思ったら、“お魚の形をした石”のことだった。やるなぁ、みこりん。
足元に視線を移すと、緑のジャングルの中に、きらきらとルビーのように輝くものが見える。「こ、こここここれはぁっ!!」思わずニワトリもどきに言葉を詰まらせてしまったが、そこにあったのはまさしく“野いちご”であった。これを最後に口にしたのは、もう何十年前になるだろうか。小学校低学年の頃だったかもしれない。あの時、たわわに実った野いちごを摘み、1つ口に含んだあと、何気なくもう1つを割ってみたのだ。すると、そこにいたのは……。
美味い果実は、人間にとってもおいしい食べ物だが、虫、特に柔らかく足のないにょろっとした感じの幼い虫にとってもたいそうなごちそうなのだと思い知った瞬間であった。その後、どんなに美味そうに野いちごが成っていても、以前のようには手が出なかった…。遠い遠い思い出だ。
だがもはやそんなことはどうでもいい。食おう、これを。あの懐かしい味を。
私は一番きれいそうな赤い実を摘み、まず半分に割った。「よし!」
粒の根元の白い産毛が、一瞬カビに見えて焦ったが、大丈夫だ。口に含む。歯で噛みつぶす時の、あの種のこりこり感がたまらない。野生の味だ。酸っぱくて、ほんの少し甘い。枝垂れ桜のサクランボに、ちょっとだけ似てる。みこりんも私の真似をして1粒2粒と食べてみているが、やけに慎重だ。イチゴに目がないみこりんならば、自ら率先してずばずば摘み取り口いっぱいにほおばりそうなものだが。……もしやみこりん、道ばたの赤い実で失敗したことがあるのでは。赤い実は、いつも甘いとは限らない。
野いちごを堪能したあと、ふたたび川縁に沿って歩いてみた。まだ魚の姿はない。それでもやがて川底に変化が見えてきた。底をさらった工事箇所を過ぎたようだ。古びたコンクリートブロックが沈んだところに、数十の魚影を確認。体長10cm〜15cmほどの、細長いやつ。中にはフナっぽい体型をしたやつもいたが、ここからでは種別までは確認できなかった。それにしても、ちょっと数が少ないのが気に掛かる。しかしそんな不安も、やがて吹き飛ぶような光景が待っていたのだ。
大群だった。川がそこだけうっすら赤っぽく見えるほどに。そう、そこに群れているのはオイカワ達。オスが婚姻色の赤に染まりつつあるのだ。これほどのオイカワの群れが、こんな近くの川に残っていたとは…。去年もこうだったのだろうかと思い出そうとしたが、あいにく夏場は長良川の記憶しかない。でもきっと、以前からこうだったのだろう。春頃に群れていた稚魚は、やはりオイカワだったのだ。
今でもこれほど川を赤く染めるのだから、これがお盆頃になったらどれほど見事な眺めになろう。私が初めて燃えるように赤く染まったオイカワのオスと出会ったのは、子供の頃、父方の実家に遊びに行っていた時のことだった。とにかく田舎だったので、自然には不自由しない場所だった。お盆休み、親戚のおじさん連中に連れられて、近くの小川で魚採りをしたときのこと、見慣れぬ赤い魚が網の中に入ってきた。あまりの鮮やかさに、一瞬、金魚かと思ってしまったほどだ。それが婚姻色を身に纏ったオイカワのオスの姿だった。もちろんその前からオイカワという魚のことは知っていたが、ここまで見事に朱に染まったのは見たことがなかった。とても同じ種類とは思えないほどの変貌ぶりだった。さすがホンモノの田舎は一味違うと、妙に納得したことを覚えている(自分ちも田舎だったのだが、どこか中途半端なところが子供心にも感じていたのだろう)。
来週も晴れたら、みこりんと釣りに来よう。ついでに野いちごも1株掘っていこうか。
帰り道、「みこりん、ちょっとつかれてきたんやけど〜」と遠慮がちに言うので、おんぶしてやった。最近みこりんは機嫌の良いとき、こうした遠回しな表現をよく使う。ずばっと主張するよりも、効果的だと学習したのだろうか。
ぬくぬくのみこりんを背負って、片手で三輪車を操作しながら上り坂を一歩一歩と踏みしめ歩く。あぁ、この暑さがたまらなく好きだ。
収穫の初夏
夕方から市民農園で野良仕事。あいかわらずスゴイ雑草だ。畑の中へと踏み込んでいくと、足元をわらわらといっせいに跳ね飛んでいくやつがいる。な、なにヤツっ!?
それは小さな小さなカエル達だった。全長1cmに満たないほどの、ミニサイズ。全身が黒っぽい。足の踏み場もないほどに散開しているようす。踏んでしまいそうで、どきどきする。みこりんはさっそくカエル採りに熱中し始めたが、素手ということになれば、まだまだ幼児の手に余るらしい。網でもあったらなんとかなっただろうけれど。だんだん癇癪起こしてきたので、Licが三匹ほど捕まえてやっていた。これだけ小さいとLicも触れるらしい。
さて野菜達だが、二週間の間にずいぶんと大きく育ったものがある。特にカボチャと白ズッキーニ(あの花形の実をつけるやつ)が猛然と勢力を拡げつつあった。驚いたことに、実もすっかり食べ頃サイズだ。白ズッキーニは去年庭で育てたのよりも、ずいぶんと肉厚だった。まるで別種かと思うほどに。それに収穫期も早いし、量も多い。これが地力の差というものだろうか。あるいは交配に必要な虫の数に、雲泥の差があるのかもしれない。
うねうねと地面を覆ったカボチャの葉っぱ。その中に埋もれるように、プッチーニの可愛らしい実が見え隠れしている。直径約8cmほどだが、黄色と茶色のストライプ模様はかなり目立つ。こちらも立派に食べ頃サイズだ。その他のオモチャカボチャ達にも、続々と奇怪な実が育ちつつあった。
レモンキュウリにも、かなり大きな実がついている。去年枯らしてしまったので、今年はなんとしても種採り用を確保しなければ。
ピクルス用の小型キュウリ“ピックルキュウリ”と、普通種のノーマルキュウリには、まだネットを立ててなかったのだが、すでに丸々太った実がたくさん成っていた。土の上にごろごろしてる。なんだか奇妙な光景だ。ナメゴンに1つもやられていないのが奇跡的。ここにはナメゴンはいないのかもしれない。収穫をみこりんにお願いして、ネット張りの準備に取りかかった。
“ピックルキュウリ”は、ピクルス用というには大きくなりすぎたかもしれない。みこりんが両手で持っても持ちきれないほどの逞しさ。さっそく洗ってきて丸かじりしてみたが、やや大味な感じ。次回はもう少し可愛いサイズのときに収穫しよう。…といっても週末ファーマーでは、そうそううまくはいかないけれど。
トマトに支柱を立て、西瓜の蔓を整理し、ひたすら雑草を抜いてゆく。気がつけば、すっかり日も暮れかけていた。いかんいかん、撤収だ。ここの作業時間は夜明けから日暮れまでと決まっているのだ。
*
夕食にはさっそく収穫してきた白ズッキーニとプッチーニ、そしてキュウリ二種が登場した。白ズッキーニの直径は15cmはあって、さすがにこれだけ大きいと食いでもある。ぶつ切りにしたものを軽くソテーし、シーチキンを乗っけた料理法は去年のとおりだが、一切れのサイズが倍増以上なので十分主役になれる。
プッチーニは種袋の説明書きによれば、電子レンジで3〜4分加熱すればOKらしい。栗のようなほくほくした味だという。ではさっそく実食してみよう。
まずは種の部分から。さすがに種は固くて無理だったが、その周囲の繊維状の果肉は和カボチャにはない独特の食感があった。カボチャというより、……トウモロコシのような味。種を全部掘り出し、ようやくメインの実の部分へと到達。スプーンですくって、「ぱくっ」!
栗というより、甘みを省いたサツマイモのような感じ。マヨネーズかバターを塗ったら、もっとおいしいかもしれない。あるいは肉を詰めるといい感じかも。皮の模様がきれいなので、見た目もおいしそうだし。かるーく茹でてサラダにもいいかな。新しいカボチャとの出会いだ。みこりんも薄皮一枚まできれいに食べてしまってた。来年も育ててみよう。
2001.7.2(Mon)
オタマの脚
オタマジャクシには手が生えるけど、脚は生えないと主張するみこりん。でも、カエルの子はオタマジャクシってのは知っている。じゃぁカエルの脚はどこからきたのと聞くと、答えに窮してしまうのが見ていて面白い。でもしばらくじっと考え込んだあげく、やがてそれはそれは小さな声で「はえてくるの」と呟くところを見ると、オタマジャクシに脚が生えることについて何か知ってるのかもしれない。ただ、自分的に納得できない部分があるんだろうか。
ところでオタマジャクシは脚が先だったろうか、手が先に生えてくるんだったろうか。私の記憶によれば、たしか脚から先だったはず。でも、もし手が先だったら……。それはちょっと怖いかも。
2001.7.3(Tue)
涼しい場所へとお引っ越し
我が家のジャンガリアンハムスターの“ことりさん”は、小さいながらもトイレの場所はちゃんと覚えていた。だからケージの隅っこのその場所だけは、いつもしっとりと湿っている。湿気も高い梅雨時ゆえに、そろそろ敷き詰めたチップを交換してやらねばと思っていた矢先のことであった。
みこりんが“ことりさん”のその仕草にたいそう受けていたので、覗いてみると、なんと彼はトイレのまさにその場所に、すっぽり首まで埋もっているのだった。時折、顔を上げてこちらの様子を窺っているのだが、やっぱり首から下はチップに埋まったままなので、じつにおもろかしい状況である。あぁしかし、どうしてトイレなのだ。あんなにいい子だったのに。
その時、思い出したようにLicが言った。「暑いからじゃない?」
な、なるほど、暑いのでトイレの湿気を利用して涼んでいると、そういうわけだな?たしかに今日は異様に暑い。中途半端にぬるい湯に頭の先までどっぷりと浸かってるような感じだ。いきなりの真夏日到来に、ことりさんもまいっているのだろう。
今の飼育ケージは、フタの部分しかメッシュになっていないプラスティックケースを使っているので、たぶん熱もこもりやすいのだ。冬場はこれのほうが都合が良かったけれど、夏場はこのままだとまずい。ほんとは梅雨前に引っ越しさせておけばよかったんだが…。とにかく夏仕様のケージを用意しよう。
金網タイプのケージを物置から発掘し、真新しいチップを敷き詰める。みこりんもさっそくお手伝いしてくれた。木のおもちゃと、餌入れ、それに紙の箱と布の残骸でできた“おうち”を移し替えれば、引っ越し完了だ。
ことりさんを手の平からそっと新居に移してやると、お決まりのように全体をくまなく探検し、特に回し車のところは念入りに調査したのち、“おうち”の中へと消えていった。
とりあえずリビングでもっとも涼しいと思われる窓際にケージを移動してやったが、昼間無人の間は窓を開けるわけにもいかず、ここも安全ではない。いや、むしろ危険かもしれん。我が家でどこが一番涼しかったか、今夜一晩じっくり思い出すこととしよう。
2001.7.4(Wed)
変化の季節
月曜日にYahoo!BB(Broadband)の予約申し込みをしておいたところ、今夜“準備完了”とのメールが来ていたので、早速“本申し込み”をする。田舎だ田舎だと思っていたが、いつのまにかADSL提供エリアになっていたとは。
さてNTT側の工事がいったいいつ完了するかによるのだが、早ければ今月中には常時接続環境に「さくっ」と移行できるかもしれない。Yahoo!BBについては、Annex Aを使ってることからいろいろ意見もあるみたいだが、私にとっては今のISDNより速ければ問題ない。Yahoo!BBの月々の料金が990円+1290円(これにモデム等のレンタル代で+550円)に対して、現在のISDN+テレホーダイだけで、それ以上かかっているのだから。しかも常時接続じゃないし。本格的なブロードバンドは光等が来てからでいい。
これに加えて現在のプロバイダ料金も今月が更新月なので、これを機会に独自ドメイン+レンタルサーバへの移行を考えていたりする。今のプロバイダは標準料金についてはべらぼうに高いというわけではないけれど、CGIオプションとかちょっと変わったことをやろうとすると、いきなり勘弁してほしい料金プランになってるので、そろそろ潮時かなと思っていたのだ。年に2万とか浮くだけでもめっけもの(2万あればカスミチョウで7匹、タテジマキンチャクダイで特大サイズが1匹は余裕で買えるほどの価値がある)。
だがもし移行が来月にかかってしまったら、ちょっと面倒なことになるかもしれないなぁ…
2001.7.5(Thr)
古きもの
来るべき常時接続環境に備えて、長らく眠りについたままだったGateway2000 486DX2-66Vを目覚めさせることにした。名前からして推察できるとおり、このPCは搭載CPUが80486DX2、バスにはVL-busなんかが使われていたりする。1993年に並行輸入業者から買った品だ。PC98に見切りをつけ、最初に個人持ちとなったPC/ATマシンだったが、当時は存分にその力を発揮してくれたものだ。V-Textによる広大な画面で一気に視野が広がった新鮮さは、今でもはっきりと思い出すことが出来る。
最後にこいつを起動したのがいつのことなのか、定かではないのだが、たぶん2年か3年ほど前の今頃じゃなかったかと思う。それからはずっと、寝室の片隅にまるで墓標のように(フルタワーなので墓石に見えなくもない)ひっそりとたたずんでいた。それを今夜、リビングまで降ろしてやった。相変わらず重い。
ずしっと重いわりに、すっからかんなフルタワーの筐体を開けて使わない予定の拡張ボード類を取っ払ったあと、キーボード、マウス、モニタ、そして最後に電源をつないだ。
満を持して電源スイッチをぐぐっと押し込む。懐かしい電源ファンの作動音とともに、ハードディスクのしゃりしゃりいう摩擦音が聞こえ、やがて画面には昔設定したままの設定ファイルにしたがって起動シーケンスが滞りなく進行してゆくさまが表示されていく。最後にモニタの解像度が切り替わってV-Textの1280x1024モードになったところで、無事起動終了。つい、指が“FD”などと入力してしまう。どうやら動いているようだ。よしよし、そうこなくては。
このPCが今後24時間連続稼働であと何年(いや何週間か?)生き続けるかはまったく未知数だけれど、交換可能な中古部品を探す方が高価になってしまうまでは、なんとか生かし続けてやりたいと思う。
ところで彼はいったい何のために生き返ったかというと、近頃何かと話題のfloppyfwを稼働させるためである。それにしても…
Requires only a 386sx or better with two network interface cards, a 1.44MB floppy drive and 8Mbyte of RAM ( for less than 12M, use the ONLY_8M=y option in /config )
floppyfwのサイトより
日本語による解説だと、『ゼロ円でできるブロードバンド・ルータ 1FD Linuxで古いPCをルータにする』とかが参考になる。
ってのは素晴らしい。HDD不要というのも不安がなくていい。こうしてPC/ATマシンはどんどん再利用の道が生まれてくるけれど、いまだ押入に眠るPC9801シリーズ5台をどうしたものか。LANボードさえあれば、彼らにもまだまだ活躍の道が残されているはずなのだが、安価に入手することは難しそうだし…。98ノートはまだしも、デスクトップ98の行く末や如何に。やはりみこりんの遊び道具と化すしかないのか。
2001.7.6(Fri)
女医さん
体調がすぐれないので、社内の診療所で診てもらうことにした。ここの診察料金は、会社持ちなのか組合持ちなのか確認したことはないが、とにかく社員は無料なので仕事を休むほどではない場合にはじつに重宝している。常駐の医師は二人。一人はかなりお年を召した男医(ってこんな単語はないみたいだけど)。もう一人は、普通の女医さん。曜日によってどちらが診察してくれるかが決まっている。
女医さんがやってきてからというもの(たぶんここ2〜3年のこと)、女医さんの診療日は混むらしいという情報は私も聞いたことがあった。たしかに工場を抱える社内では、従業員の男女比は大昔のパソコン通信コミュニティ以下とさえ思われるため、その気持ちもわからなくはないけれど……
今日がその女医さんの診療日であることを知ったのは、診療所に着いてからだった。いや別に女医さんが田中麗奈ちゃん似とかだったら私も真っ先に担当曜日を確認するのだが、まぁそれはそれということで。それにしてもなんだここは。まるで本格的な病院の待合い室のようではないか。普段は閑散としているだけの廊下の椅子が、すべて埋まるほどの盛況ぶりだ。ようやく見つけた空きスペースに腰を埋め、ぼんやりする頭で周囲のさざめきのような私語のやりとりを何とはなしに聞いていると、そのほとんどが検査結果を聞きに来たとか、いつもの薬をもらいに来たとか、そういうおじさんばかりらしい。しかも大部分が顔見知りのような雰囲気。
中には本当に具合が悪くて来てた人もいたみたいだったが、あまりに待ち時間の長さに耐えられず、一人、また一人と去っていってしまった。幸い私は午前中はそれほど忙しくなかったので、待つことにした。とにかく診てもらって薬を処方してもらわないことには午後からの仕事を乗り切ることは難しいだろうと思ったからだ。
それにしても彼らの会話を聞けば聞くほど、不思議な気分になってくる。この工場だけでも数千人からの従業員がいるというのに、どうやったらここまで顔見知りな人たちが集まれるのだ。現場はどこもこんなアットホームな雰囲気なんだろうか。謎すぎる。1つの仮説を思いついたが、さすがにそれはちょっといくらなんでも……というものだったので忘れることにする。
あぁやっと名前を呼ばれた。なんだか今日の先生、全体にソフトフォーカスがかかってるような独特なオーラが感じられたのは、気のせいではないような(頭ぼーっとしてるせいかもしれないけど)。
2001.7.7(Sat)
実いろいろ
おぉ、ヒナゲシが咲いている。さっそく激写だ激写。
……「あれ??」なんか数が減ってるような?たしかヒナゲシは18株くらい苗が出来て、みんなここに植え込んだはずなのに、えらく隙間が空いている。おまけにみんな茎が倒れ伏して……
恐るべき光景だった。なんとヒナゲシの根元が、大部分青黒く変色し、腐っていたのだ。すでに半数以上が消滅し、残ったものの、健在なのが4株程度しかない。惨状であった。花をつけているのは1株だけ。あとのは生長の遅い背丈の低いものが3株。たぶん大きく育っていたものが軒並み枯れてしまった結果なのだろう。ちょっとまえまで元気にたくさん花芽をつけていたというのに、いったい何が起きたのか。
考えられる原因といえば……やはり雨か。そして急な高温多湿。本当ならヒナゲシはもっと早くに開花してしかるべき花だ。苗作りで失敗してここまで遅れたのが災いしたのかもしれない。むぅぅ、ぬかったわ。来年こそきっとヒナゲシの群生を仕上げてくれる。
*
ユスラウメの実がいい感じに赤く色づいていた。みこりんが食べたそうにじぃぃっと見つめているので、1個だけ採らせてみた(こういうのは興味が向いてるタイミングで体験させるのがけっこう重要じゃないかと思っているので)。いつもなら「食べていいよ」という私の言葉を待つみこりんだったが、今回は問答無用で摘むなり口にもっていってかぶりついてしまった。ユスラウメなんか食べたことないのに、まったく不安というものはないのだろうか。見ている私のほうがちょっと怖かった。もしこれが酸っぱかったら…とか、苦かったらとか余計な心配をしてしまう。
でも、みこりんは満足したらしい。「おいしいよ」なんて言ってる。たしかに色彩はとってもおいしそうなんだけど、いちおう「梅」って名前についてるしなぁ……酸っぱくないんだろうか。あぁ気になる。気になるけど、みこりんには1つだけって言った手前、自分も採って食べるわけにいかず、悩ましい。そう、いつもならみこりん、私に一口くらい味見させてくれるのに、今回はそれもなかった。よっぽど食べたかったんだろう。
あんまりみこりんがおいしそうに食べたので、みこりんがお昼寝してる隙に、私も1個食べてみることにした。同じく庭でとれた黄色いミニトマト“イエローペア”と一緒に、冷やしうどんの彩りに乗っけてから、いざ実食。
ひゅぅぅっっっっぅぅ、すっぱっ!やっぱりもうちょっと待ったほうがよかったかも。酸っぱいというか、苦みもけっこうあるような。完熟してからもう一度挑戦してみよう。幸い、今年はユスラウメの出来もいい。あと十個以上は残っているから、うまくすれば果実酒にも使えそうだ。
木イチゴ(ブラックベリー)が、だいぶ黒くなってきた。来週には食べ頃な予感。みこりんは待ちきれないのか、何度も何度も黒っぽい実を触って固さを確認していた。さすがにまだ食べられないことはわかってるようなのが救い。ひょっとして固いのを1つくらいつまみ食いしたことあるのかも。
2001.7.8(Sun)
じょーりじょり
洗濯機をいじっていると、みこりんが二階から下りてきた気配がする。そぉっとリビングを覗くと、てけてけと窓辺に向かって歩いてゆくみこりんの姿が見えた。そのままカーテン越しにサンルームの向こうを透かして見ているみこりん。私を探しているのだろう。いつも朝は庭で植物と戯れていることが多いから。
でも今朝は私はみこりんの予想とは違って、まだ室内にいた。しかも音もたてずにそろりそろりとみこりんの背後へと迫っている。そして……、びっくりさせすぎないように気をつけながら、「わっ!!」と背中に触ってみた。
ノーリアクション。みこりんは、まったく動じた風もなく、ゆっくりとこちらを振り返ったのだった。そ、そんな、ばかな…。いちおうみこりんに聞いてみる。「驚いた?」すると、みこりんは「くすっ」とただ静かに頷くのみであった。うーん、驚いたのか驚いてないのか、どっちなんだ。これはみこりんなりの気の利かせ方なのかもしれない。
みこりんが抱っこを所望したので、ぎぅっと抱き上げてやる。すると、さらに“おひげじょりじょり”も重ねてリクエストしてきたので、思いっきり叶えてやった。が、みこりん「いたくなーぃ(“切れてなーぃ”のイントネーションで……言ってくれたら面白かったのだが)」とうれしそう。昨夜キレイにそり上げてあるので、じょりじょりにはほど遠いつるつるなのだった。ち、残念。
畑で遊ぶ
午後、いつもより早めに市民農園に出かける。相変わらず雑草が多い。連日の晴天で、畑の土はがっちがちに締まり、なかなか抜けない。先週抜いた雑草も、ほとんどが原型をとどめていた。
収穫物のほうは、レモンキュウリ、普通のキュウリ、ピックルキュウリ、そしてプッチーニカボチャ1つに、オモチャカボチャを2種類ほど。特にキュウリはとてつもなくぶっとくなって地面に転がっていた。まるで棍棒のようだ。今年の夏はハムスター用のキュウリを買う必要はなさそうである。
オモチャカボチャはそこそこ面白そうな色と形のものが採れた。みこりんに保育園にでも持って行かせれば楽しかろう。でもちょっと食べてみたい気も少し。
西瓜の実が3つほど大きくなってきているのを発見。よしよし、これで完全に元を取ったな。去年の屈辱をようやく晴らせるというものだ。でもみこりんは野菜よりも、さっきからずっとカエルを追っかけるのに忙しい。先週に引き続き、ちっこいカエルがあちこちでびょんびょん跳ねているのだ。でもやっぱり自分では捕まえられないので、Licにアマガエルやらツチガエルを捕まえてもらってた。いやぁしかしほんとうに小さい。みこりんの細っこい指でも、ぷちっとすぐにいってしまいそうだ。
畑の脇に流れる用水路に、小さな魚が泳いでいるのを見つけた。メダカではなさそう。モロコかな、モツゴかな。ちょっと気になる。
おなじみのレモンキュウリ
花のカタチのズッキーニ
色がちょっと薄くなったプッチーニ
おもろいカボチャの仲間
2001.7.9(Mon)
NASDAより
宇宙開発事業団から封筒が届いていた。開封してみると、一枚の紙と、……H-IIロケットの携帯ストラップが入っていた。以前、H-IIAロケットの愛称募集に応募していたのだが、ついにその返事が来たようだ。見事私の名付けた愛称が当選したことだろうと手紙を読んでいくと…
H-IIAの愛称&シンボルマークは“無し”
ということになってしまったらしい。H-IIを立て続けに失敗し、開発体制に問題ありということがようやく皆の知るところとなり、愛称だのシンボルマークだのと浮かれるのは時期尚早、と、まぁだいたいこのようなことがそこには書かれてあった。たしかに“はしゃぐ”ような状況じゃないのはわかるけど。……、でも個人的には愛称やシンボルマークを実験機段階で用いるのに特に違和感はない。H-IIAは純粋な実験機ってわけでもないけれど、あんまりそう悲愴な雰囲気を漂わせてると、成功するものも成功しないんじゃないかと、つい心配になってしまう。
Licも応募してたので、我が家にはH-IIケータイストラップが2個やってきたことになる。これってNASDAの売店で普通に売ってるものなんだろうか。今使ってるのと付け替えようかと一瞬だけ迷ったけれど、打ち上げの日まで未開封にしとこうと思う。無事、打ち上がりますように。
ところでH-IIAロケット愛称募集の前の、宇宙ステーションの日本モジュールの愛称募集のときに送られてきたのは、毛利宇宙飛行士のブロマイドだった。これは今でも我が家の冷蔵庫に磁石で大事に留められている。みこりんがこれを毎日見て、自分も宇宙飛行士になりたいって言ってくれたら、なんていう野望も、ちょびっとはあったりするのだった。
2001.7.10(Tue)
お引っ越し開始
独自ドメインが無事登録され、レンタルサーバ会社のほうからアカウント情報が送られてきた。というわけで、さっそくユーザーの作成だ。みこりん用のメールアカウントもちゃんと作って、と。
その後、サイトの引っ越しのためにちょこちょことファイルを修正し、一気にFTP転送開始。最初のうちは順調だったのだが、途中で必ずエラーで止まってしまうようになった。
妙だなと思いつつ、telnetで入って調べていると、どうやらディスクの割り当てサイズを超えたらしい。申し込んだコースは50MBまでOKなんだが、現在の空き容量は2MBほどしかない。まだまだ余裕はあるはずなのに…。さっそくメールで問い合わせ(→翌日返事が届く。設定ツールで指定できるサイズ割り当てのところを、私がメールの分だけだと思い込んでいたのが敗因だった。メールも含めて各ユーザーごとに使用可能なディスク容量というのが正解なので、トータルサイズで設定しておかないといけなかったのだ。いや失敗失敗)。
それにしてもいつのまにかうちのサイトも27MBほどの容量になっていたとは。ADSL未開通の現在、ISDNでちまちま転送してたら、いったいすべて完了するまで何日かかることやら。結局、今夜は徹夜になってしまった。見張ってないと、ちょくちょくFTPの接続が切れてしまうのがちょっと痛い。
2001.7.11(Wed)
“映像”の魅力
みこりんは最近ビデオをよく観る。以前も自分の映ったビデオを食い入るように見てたが、近頃は既成の映像作品が多い。特にディズニーの映画はかなりお気に入りらしい。『トイ・ストーリー』とか、『リトル・マーメイド』とか、朝起きては自分でビデオをセットするほどの入れ込みようだ。こういうストーリー性のある物語には、なかなか興味を示してくれなかったのだが、4歳を目前に控え、ある程度複雑な物語でも理解できるようになったのだろう。
この状況でなら、平成のウルトラ・シリーズでもちゃんと観てくれそうな気がする。試してみなくては。
2001.7.12(Thr)
“数”の魅力
みこりんは最近数をよく数える。以前も絵本の中のものを数えてはいたが、近頃は実際のモノが対象になることが多い。お箸が並んでいたり、お菓子が並んでいたりすると、すかさず端から1つずつ指さしながら「いち、にぃ、さん、し…」とやるのだ。そして数え終わると、それはそれは満足そうな表情になる。
数字が読めるようになったということが、かなり影響しているのかもしれない。ひらがなを覚え始めたころのように、クルマの中から過ぎゆく町並みにちらとでも数字を発見すると、その都度教えてくれる。いまはまだ2桁の数字でも1桁ずつ分解してしまっているが、“10”が“じゅう”に対応していることを覚えるのも時間の問題だろう。
数字をマスターしたあと、次にみこりんが興味を向けるものは……カタカナ、ではなくて、ひょっとすると漢字かもしれない。あの図形のような独特な紋様が好奇心を刺激してるフシが見られるのだ。1文字でたくさんの言葉に対応してるところもいいらしい。でも漢字まじりの絵本はとても少ないので、悩ましいところだ。漢字入りの絵本といえば、我々用のコミックになってしまうのだが、うっかりみこりんが本棚の“禁断の書”に触れてしまっても困るので、そろそろ内容物の整理をしておいたほうがいいのかも。
2001.7.13(Fri)
悩ましき選択
秋用の園芸カタログ最終注文選抜。値段を考慮せずに一通り欲しいものをリストアップしたあと、いちおう合計を計算してみた。「な、なんという…」電卓に表示された数値におののいてしまう。ロングフィンスナッパー(約1万2千円)がもう1匹買える金額だ。やはり理想は現実からはほど遠いことを思い知り、取捨選択を開始する。
今年はユリの原種にこだわってみたい。特に笹ユリなどは、小さい頃、山の中で見つけたときの感動を今でも鮮明に思い出せるほどに好きな花だ。こいつはそうそう外せない。…外したくないが、3球で1800円というのはかなり痛い。延々1時間悩んだ末、よく似た乙女ユリで妥協した。こちらは3球1140円。あとは白と赤の対比が美しい阿州ユリ(2球1100円)と、赤が鮮やかな赤鹿の子ユリ(3球550円)。他にもまだまだ食指の動くものはあったのだが、この辺で収拾を付けておかねばいつまで経っても決まりそうにない。原種じゃないけど、赤に白の縁取りという涼しげな色彩に惹かれてユリの交配種“コンサート”(3球650円)を追加したとことで、ユリ系はこれで決定。
果物系だとレッドカーラント(1260円)は外せないし、大実クランベリー(700円)も必要だ。あとは花モノを少々。…少々とはいっても、こちらも選抜するのに結局3時間かかってしまった。まったく品種が多すぎる。うれしいことだが、選んでる間に、冬になってしまいそう。
以上でもう一度合計を計算する。……うぉぉ、ブラックキャップバスレットに匹敵する値段(約9000円)。ここからさらに絞るなんて、もはや私にはとうてい不可能に思える。無理だ。出来ない。これ以上は削れない。
んんん、これでGOすべきか。まだしばらく悩まねばならないようだ。
一段落
独自ドメインへのアップロードはすべて完了した。あとはタイトルなどの若干の修正と、カウンタ類の設置作業を残すのみ。ここのサーバではPerlの他にPHP3&4も使える。残念ながら私の選択したコースではデータベースまでは使えないが、そちらは必要とあれば自宅のサーバで動かすという手もある。……あとは睡魔に負けさえしなければ……こいつが一番厄介な問題だ。
2001.7.14(Sat)
魚釣り第一弾
快晴。川へ出撃だ。
釣り竿一式持って、冷たい飲み物&みこりんのおやつなどつめこんだクーラーバックと、そして水槽道具から大型の網とバケツ2種にプラケ1つ。団地下の川に行くだけにしては、ちと大袈裟かもしれないが、装備は万全にしといたほうが、なにかといいこともあるだろう。
それにしても暑い。気温はすでに体温を上回っているような予感。
荷物が多いので、Licにクルマで団地下まで送って行ってもらう。目指すオイカワ群のポイントで川岸へ降り、まずは竿のセッティング。今日の仕掛けはサビキ式で試してみよう。というか他の仕掛けは用意してなかったので、どうにもならない。
練り餌を川の水で練って、カゴに詰め、上流から流すように…。だが水深が浅いので、サビキではどうもうまくいかない。でもそのうち、アタリが来た。オイカワだ。赤と青の模様が、出始めたぐらいの若いオスだった。が、手元まであと一歩というところで針が外れ、あえなく川へと逆戻り。ぬぅぅぅ、不覚!
みこりんも一緒に竿を振ったりしつつ、その後もしつこくオイカワを狙うものの、なかなか釣果は上がらず。ようやく訪れた2回目のヒットでは、とてもちっちゃいのが1匹かかってた。でもこれはオイカワじゃない。3cmくらいのちっこいフナだった。フナを釣ったのは何十年ぶりだろう。しかもこんな小さいのは、たぶん記憶にない。じつは私は大きなフナより、小さなフナのほうが好きだったりする。子供のころはこういうのを水槽で飼いたくて、近くの小川に通いつめたものだが、なかなか捕まえられずに悔しい思いをした。
二十数年の歳月を経て、ようやく今、こうして手元にちっこいフナを手にすることができた。…感無量である。
3回目のアタリ。今度こそオイカワだ。逃がさないように慎重にバケツに入れる。だが模様があまりはっきりしない。ひょっとしてメスか?川の中では、赤く色づきつつある大きなオスの群がすごい速さで行ったり来たりしてるのだが、彼らは一向に食いついてこない。いや、正確に言えば、食いつこうとはしていた。でも針じゃなくて、浮きを付けるためのゴム管のところに。
水面ぎりぎりにゴム管が付くや否や、猛然とダッシュして食いつこうとする。そしてカゴから流れ出す餌には見向きもしない。どうやら彼らには毛針のような疑似餌のほうがいいのかも。仕掛けの選択を誤ったようだ。でも今日はサビキ式の仕掛けしかないので、こいつで頑張るしかない。これも結局、餌を直接針に付けるわけじゃないので、うまく糸を操ればヒットするかもしれないし。
なんて期待したものの、さっぱり釣れない。
そのうちみこりんが川に入って遊ぶと言い始めたので、竿をLicにバトンタッチし、少し上流でハゼ採りすることにした。みこりんでも大丈夫なくらいの水深の浅瀬には、小さなハゼの子供が無数に水底に貼り付いているのだった。
この手の魚を捕獲するには追い込み漁に限る。大型の網(といっても水槽用具なので、せいぜい幅30cmほど)を沈めて、手でそぉっと追い込んでいくと……入った。2匹。とても小さい。でもこの小ささがみこりんには大変好評で、その後も何度も追い込み漁に挑戦した。みこりんはやみくもに手で追い込んでるようなのだが、それでも採れてしまうほど、ここにはハゼ子が多い。このすぐ下が堰になってて、大型の魚が上ってこれないのが幸いしているのかも。
結局8匹ほどのハゼ子を捕まえることが出来た。このくらいの数なら水槽で飼えるだろう。では少し歩いてみようか。みこりんの手を引き、川を上流に向かってさかのぼってゆく。じわじわと水深が増えてゆき、みこりんは腹まで水に浸かってた。私も膝がそろそろ水に没しそうになったので、引き返す。途中、川岸の水草が茂ってるところで網を入れ、揺すってみた。何が採れたかな?みこりんが網を覗き込む。中には小さなタニシの子供と、イトトンボのヤゴが1匹。期待したエビはいなかったが、こういう遊びも出来るんだよと、みこりんに何度か網を入れて見せてやった。子供の頃、私の父親が同じように川岸をこうやってジョウレンでがさごそやってたのを思い出す。
すぐ近くに大きなタニシがいるのに気付いてみこりんに教えてやった。でも怖がって後ろに隠れようとする。水中にいるものは、実際よりもかなり大きく見えるものだ。得体の知れない生物がすぐ近くにいたら怖いかもしれないが、私が捕まえて水面から出してやったらようやく“貝”だと認識できたようで安心してた。これも持って帰るというので、バケツへ投入。
その時、Licがなんだか慌ててやって来た。魚が釣れたけど、針が外れなくなったらしい。みこりんをLicにまかせて、釣り竿のところまで戻ってみると、バケツの中で針をつけたまま泳いでいたのは「ブッラクバス!」。なんでこいつがこんなところに、と一瞬思ったが、去年ブラックバスらしき魚影を橋の下で見かけたいことを思い出した。繁殖してるのか。なんてこった。バケツで泳いでるブラックバスは、体長4cmほどの幼魚だった。
そろそろ夕方になってきたので撤収。オイカワのオスは、次回におあずけだ。今度は毛針で勝負してみよう。あるいはオーソドックスに追い込み漁でもいけるかもしれない。川幅2mほどだし、水深も浅いところだと5cmもない。そういうところをオイカワ達が泳ぐと、背中が露わになって、じつに生々しくていい感じだ。
来週も晴れますように……。
(釣ってきた魚の様子は“お魚日記”に記載)
2001.7.15(Sun)
着せ替えの旅
今日は犬山にある野外民族博物館リトルワールドへお出かけ。
上松美香ちゃんも出演するラテンミュージックコンサートが主目的だが、野外民族博物館リトルワールド本来の探索も兼ねている。各国(といっても展示されてるうちの、さらに一部の箇所に限られるが)の民族衣装をLicとみこりんに着せることとか、台湾ラーメンやらワニ料理といった民族色豊かな食い物を堪能することとか、まぁいろいろある。
上松美香ちゃんが登場するのが午後1時。それに間に合うように家を出て、到着したのがちょうど正午ごろ。時間までコース順に沖縄、アイヌ地方、台湾と巡り、台湾ラーメンの食欲をくすぐる匂いに負けてここでランチタイムと相成った。みこりんはさっそく冷たいものを所望した。たしかに今日はハンパじゃないくらいに暑い。真夏日だ。日に当たってるだけで体力消耗しそうなくらいに攻撃的な光線が容赦なく降り注いでいる。
台湾ラーメンは見た目ほど辛くはなかったが、暑い時にはふはふと滝のように汗をたらしながら暑いラーメンを食うというのも、なかなか気持ちいいものである。みこりんは、これが辛いものだという認識はあるようで、いつもなら横からちょっと欲しがる仕草も、今は微塵も見ることが出来ない。代わりに自分のかき氷に没頭している。このかき氷には南国のフルーツ類(ライトとかマンゴーとか)が乗っていたのだけれど、みこりんの口にはちょっと合わなかったようだ。全部私とLicにプレゼントしてくれた。たしかに美味というほどではない。が、この手のフルーツが冷凍ものしかなかった頃に比べると、まだマシかも。
そうこうするうち午後1時が迫ってきたので、急いで来た道を引き返して、ラテンミュージックコンサート会場となっている野外ホールへと向かった。10分前、野外ホール100m手前。ぜんぜん余裕じゃん…とか思ってたら、なんだか拍手が沸き起こっている。続いてアルパの心地よい音色が響いてくる!うぉぉぉ始まってるやん!!ダッシュで急ぐ。事前情報によれば、彼女の演奏は3曲しかないのだ。
それほど広くないすり鉢状の野外ホールは、ぎっしり満員…ということもなくほどよく隙間が空いていて余裕で席に着くことが出来た。約10mの距離から見た生上松美香ちゃんは、以前TVで見た時よりも初々しい可愛らしさが溢れていた。純白の衣装にトリコロールカラーのベルトをラフに巻き、赤い髪飾りでまとめたシンプルな姿に、アルパ(インディアンハープ)はじつによく似合っている。
ハープというイメージだと地中海とかギリシャのゆったりとした妖艶さを連想しがちだが(そんなことない?)、インディアンハープはずっと小型で音にも跳ねるような明るさがある(ラテンギターをもっとすっきり高音にしたような感じ)。2曲目からは彼女の父親もギターで加わり、さらにラテンパワー炸裂であった。3曲+アンコール1曲で、彼女の演奏は終了。観客もごそっと減る。大半は彼女目当てであったようだ。
我々も席を立ち、野外ホールを出た……ところに、なんと上松美香ちゃん&父上が!お、おぉぉ、至近距離だ。しかもいまは人だかりが皆無。チャンスである。……チャンスであったが、いきなり突撃するだけの度胸を持ち合わせていない小心者の私は、思いっきり後ろ髪引かれつつ、その場を立ち去ったのであった。
*
で、リトルワールド巡回の続き。みこりんはここがどういう趣旨の場所なのか最初理解できていなかったようで、なんとなくつまらなそうな様子だったのだが(遊具もレジャー施設ほどには充実していないし、着ぐるみ着た人もいないし)、インドネシア館で民族衣装に着替えてからは徐々に気分も乗ってきたようだ。ここリトルワールドでは、各国の伝統建築物を丸ごと屋外に展示してあるだけでなく、その国の民族衣装を着ることもできる(だいたい300円くらい)。若い女性グループは、ほとんどたいてい民族衣装に挑戦してたように思う。可愛い系なお姉さんはフランスはアルザス地方がお似合いで、ちょっとお水入ったような感じのセクシー系なお姉さんはインドのサリー、インドネシアの民族衣装はやっぱり彫りの深いお姉さんがお似合いだなぁ…なんて思いつつ、子供用サイズが用意されている場所ではみこりんにも着せてやってばしばしカメラで激写しておいた。来年の年賀状用写真には、これで困ることもあるまい。
それにしてもインドのサリーを着たLicとみこりんは、そのまま現地の風景を切り取ってきたような感じにずばっと景色にはまってた。いや、別にLicがセクシー系というわけではないのだが、不思議と違和感がないのである。みこりんも色黒が幸いしてか、すさまじく似合っていた。ぜひとも普段からサリーを着用してもらいたいところだ。
展示されている各家々の中は、たいてい自由に入れるようになっていて、家具とかも置いてある。そうすると、つい引き出しとか戸棚とかを開けてみたくなるのが人情である。古びた木製の引き出しなどは、お約束の乾いた軋みをたててくれたりするので、なんだか『MYST』の世界を疑似体験しているようだった。もっといろんなアイテムが用意されていればと思ったが、小物類はすぐに持ち帰られてしまいそうだから、そうもできないんだろう。
みこりんも台所を探したり、ベッドルームを覗いてみたり、普段見慣れない家の中を走り回って探検してる。で、ときおり現地の人を模した等身大の人形が居たりするので、そういうところではぎくっと立ち止まり、そろりそろりと出てくるところがまたおかし。みこりんにとっての鬼門は、テント(砂漠の民用など)と寂しげな建物みたい。
ところでリトルワールドに用意されている各国レストランでは、なぜか水が出てこない。どうやらこのあたりの水道水はとても客に出せるような代物ではないらしいのだが、おかげで持参してきた水筒のお茶が尽きてしまってからというもの、あやうく日干しになるかと思ってしまった。強烈な日差しは弱まるどころかますます激しく照りつけているし。
行程の半分を過ぎたあたりでようやく自販機発見!500mlのウーロン茶のペットボトルを硬貨のゆるす限り仕入れて置いた。冷たいのをラッパ飲みして、ようやくひと心地着いた気分。次回来るときはもっと大きな水筒を持ってこよう。あるいは季節は秋か春がいいかな。
午後いっぱいつかっても、結局最後のほうは結構はしょってしまった。しかも屋内展示場はぜんぜん見てないし、これは丸一日使っても全部見て回るのは厳しいかもしれない。
できれば食欲の秋にリベンジしたいところ。今度こそワニの肉を食ってやる。
博物館というのを忘れなければ、ここはなかなかいいんじゃなかろうか。テーマパークみたいなのを期待したらちょっとアレだけど。
(ベビーカーのレンタルがあるのもいい。でもスロープの完備具合が中途半端なのはマイナス。それに地面が砂利なところが多くて、よく車輪をとられたのも、ちょっと痛かった)
2001.7.16(Mon)
ころころ〜かちっ〜すたっすたっ
マグネロボか。なにやら楽しげである。
歩き出した合体変形ロボット(産業技術総合研究所プレスリリース)
合体変形する宇宙ロボ,デビュー 産業総研(ITmediaの紹介記事)
こういう合体ロボットの場合、同一のユニットが、いかにして“私はどこの部分に、今なっている”と認識しているのかがポイントなのだが、今回のは“全モジュールはホストのコンピュータにより、集中的に制御されていて、あらかじめ計画した動きを行わせている。”ということのようである(個別にID等が振られているのだろう)。克服すべき課題はとても大きいけれど、このユニットを無償貸出などしてみると、いろいろ面白い結果が得られるかもしれない。
ところで先のプレスリリースのページからダウンロードした合体変形の動画を見てたら、Licが「だまされとる」とぼそっと呟き、その後、何度も繰り返し繰り返し再生させて確認していた。たしかに途中で編集が加わっているとはいえ、滑らかな合体変形(クローラから4足歩行モードへの変形)をいきなり見せられたらCGか何かかと思うだろうなぁ。
2001.7.17(Tue)
“人体探知装置”
DKL社のLifeGuardという製品がある。その日本代理店は(有)ハイボル・ジャパンなのだが、今日は午後からそこの製品デモがあったので参加してみることにした。デモの紹介メールに、“生体探知装置”という一文があって、それがじつに妖しげな響きをもっていたからである(実際、このLifeGuardは、各方面でさまざまに議論されているらしい:たとえばこことか)。
LifeGuardは、一件すると光線銃でっか?みたいな形状をしている。グリップと、平面を多用したセンサ部は、ともに黒一色で塗られており、いかにもB級SFに出てきそうなデザインだった。センサ部分は左右方向に自由に稼働できるようになっていて、少しの外部モーメントでもぶらんぶらん揺れる。
デモに移る。
感度を高めるためにセンサ部のロッドアンテナ(のような感じ)を伸ばし、人体に向けてサーチしていくと……不思議なことに、人体周辺でセンサ部に外力が加わり、反発するように振れるのである。説明によれば、人間の心臓が発する10Hz程度の低周波の電場を、同じくプラス荷電されたLifeGuard(人間が保持している必要あり)のセンサ部分とが反発することで、人間の存在を検出できるというものであった。地上では検出距離は500m、水中だと数十キロに及び、地中でも、あらゆる遮蔽物をも透過するということだった。
この装置のもっとも特徴的な点は、人間にしか反応しないとされる点である。心拍数に影響されるのかという質問には、それだけでは説明不可能なファクターがあるらしいという、なんとも怪しげな説明であった。この代理店は、技術的なことはよくわからないと自ら言っていたので、詳細は開発元に聞くしかないのだが、果たしてこの“人間探知装置”、本物なんだろうか。いちおう海上保安庁や警察での納入を巡るやりとりの際、実際に実験してみて効果ありと判断され、納入となった実績があるということだったが。
私も試させてもらったが、たしかに人体周辺で何らかの外力が加わってセンサ部が動いているように見えた。遠距離でも試して見ようと、窓の向こうに見える距離にして100m以上離れた駅のホームに向かって装置を向けてみたのだが、たしかにここでも人間周辺で反発力が生まれている…ように見える。この外力の微妙な動きは、なんというか昔、中学生のころ、コックリさんで体験したような力の動きに似てなくもない。それゆえに怪しさも倍増なのだが、自分1人で保持していることや、意図的にそのような微妙な動きをさせるのは難しそうな気もするので、もしかしたらと思ってしまいそうになるが、しかし原理不明という代物ではどうにも…怪しすぎる。たくさん説明資料ももらったが、一般向けのものばかりで理論的なものがないのだ。
しかも人体の電荷を検出するなら、装置を保持している自分自身はどうなんだという問題もある。
今回のデモは、この製品を買って貰おうというのではなく、共同開発しないかという提案のためらしい。開発元はとにかく資金が枯渇気味ということだった。理屈はともかく、現にこうして動いているじゃないかというのが彼らの言い分。でも少なくとも技術系の人間を説得するには、それではちょっと不十分すぎる。一般向け資料の文面も、いかにもトンでも系な謳い文句が多くて、それだけで怪しさ倍増な感じだし。
でもまぁしかし、自分で試してみたときのあの感触は、ちょっと忘れられそうにない。装置のブラックボックス開けたら、中には得体の知れないオーバーテクノロジーが詰まっていたり……なんて、さすがにそれはないか。
2001.7.18(Wed)
どこで食うか、だ
久々の名古屋出張。ところでこうした出張のときに、私がいつも悩むことがある。それは昼飯をどこで食うかということだ。
東京ビッグサイトとか、だだっぴろいところでなおかつ公園が併設されてるような場所なら弁当持参でもぜんぜん構わないので苦労しないのだが、街の中だとどうしても食い物屋さんに頼るしかない。バブル期なら、外資系メーカー主催のものなら、昼飯は付属してきたものだが、もはやそんな時代でもないし、悩みは大きい。
なにを悩むのかというと、それは何を食うかとかそういうのじゃなくて、どこで食うかということである。私は押し合いへし合いした食堂で食べるのも、やたらこぎれいなおしゃれ系なところで1人で食べるのも、たいへん苦手なのだ。もっとも得意とするのが“うどん屋系”。むろん立ち食い系ではない。和風な感じで、カウンター席とボックス席が適度に用意されていて、ちょっと暇そうな感じのところがあったら文句ない。ただしショーケースが汚いところは論外。いくら暇そうでもそういうところは息が詰まるような圧迫感がある。
そういう店を探し求めて、私は炎天下、スーツの上着を脱ぐのも忘れてさっきから30分以上彷徨っている。暑い……汗が乾いて塩を吹きそうだ。
結局、求める店は発見できなかった。仕方がないので、出張先の会場のビルに、店子として入っているパスタ屋に滑り込む。ちょうどお昼時を過ぎつつあり、適当に閑散としてきていたので妥協した。その店は、雑貨屋の内部にあって、通路が丸見えという、私にはできれば避けたいシチュエーションだったのだが、人通りがさほどなかったのが幸いした。
お決まりですか?と聞きに来たウェイトレスのお姉さんに、何が出てくるかお楽しみのショートパスタランチとジンジャエールを注文して待つこと10分。トレイを持ってきたお姉さんの人なつっこい笑顔に心が洗われる。いやもうそれだけで十分なくらいのとびっきりの表情だった。次回もしこちらに出張する機会があったら、今度は昼飯に困ることはあるまい。
2001.7.19(Thr)
うっかり見誤り
我が家の家庭内LANに、サーバを1つ新調するためのパーツが届いた。さっそく開封して部品を確認していると、とんでもない事実に気がついた。あれほど注意していたにもかかわらず、マザーボードとCPUのソケット形状が違う…。ショップが間違ったんじゃなくて、私の発注ミスである。
やはり、明け方の眠い目をこすりつつのパーツ選定は、いかん。注意力が散漫になりすぎだ。
それにしても困った。ソケット形状をコンバートする製品は、もはや存在しないらしい。となれば、手元に届いたCPUかマザーボードのいずれかを再発注するしかない。マザーボットのソケット形状は、すでに時代遅れのもので、対応CPUの入手がすでに困難になりつつあることがわかった。すると取るべき道は1つ。CPUをもう1個買おう。今手元にあるCPUにはまだ将来があるのだ。
さすがに入手困難という噂どおり、売ってる店を探すのに、サーチエンジンを駆使して夜通しかかった。発見しても、ちょっと調べモノしてるあいだに完売になってしまったりして、競争力の高さを窺わせる。
それでもようやく1つ発注することができた。納期が△印になってたのが気になったが、まぁいい。もともと今回の発注品は単品がそれぞれ数千円という安い品なのだ。どうしても無いということになったら、そのときはそのときである。
あぁしかし、1つだけ困ったことがある。明日からの夏休み第一弾の間に、サーバとして動かせるように準備しようと思っていたのだが、どうもできそうにない。失敗失敗。
2001.7.20(Fri)
夏といえば…
さて今日から夏休み第一弾ということで、朝も優雅に……といきたいところだが、昨夜の調べモノのせいでほとんど寝ていない。が、今朝のこのまばゆいまでの輝かしい朝陽はどうだ。まさにこれぞ“夏”!
深呼吸するためウッドデッキに出てみると、まっ黒に熟した木イチゴを多数発見。よしよし、今朝はたっぷり食べられそうだ。やがて起き出してきたみこりんに、さっそく摘んでもらうことにする。待望の木イチゴ摘みに、みこりんの動きもいつになく軽快だ。
およそ20個ほどの木イチゴの実が採れた。軽く洗って皿に盛り、ほぼ同時にみこりんと私は1粒、口に放り込んでいた。
「おいしい〜!」とみこりん。私は(…ちょっと“すっぱー”)と思いつつも、このワイルドな酸味もなかなかいいかな〜などと2個目3個目と口に運ぶのだった。と、その時、みこりんが叫んだ。「あまぃ!!これすっごくあまいよ!」とてつもない発見をしたかのような声に、私も少しその実を味見させてもらうことにした。
みこりんがつまんでいる実には、他とは明らかに違う感触があった。柔らかさが全然違う。ちょっと強く触れると、すぐに薄皮がはじけ飛んでしまいそうなくらいの柔らかさ。口に入れると、たしかにそれまでの酸っぱさとは次元の異なる甘味がじゅわっと広がった。たしかに甘い。まるで別種の果物のよう。色は同じような黒さだった。どうやら我々はまたしても早まってしまったようだ。このレベルにまで完熟させないと木イチゴは甘くならないのだろう。ぬかったわ。次こそは、必ず。
ところで夏といえば向日葵である。去年はゴッホの向日葵がこんな具合に咲いてくれたが、今年は同じく画家シリーズでゴーギャンの向日葵が開花した。花びらのカタチは期待どおりだったけれど、ちょっと高さが足りなかったかな。だいたい1mといったところで、茎の太さにもあまり逞しさが感じられない。大きく育った種よりも、ひょろっと痩せた感じになってしまったものの方が多く、やや外した感じ。このサイズならば、もっと群生させないと華やかさに欠ける。種袋2つ分は買っておくべきだった。とりあえず今年咲いた花の種を上手に採っておいて、来年再挑戦しようと思う。
ゴーギャンの向日葵
2001.7.21(Sat)
ことりさんの異変
夏の長期休暇といえば、毎回悩んでしまうのが帰省のタイミングとスケジュールである。みこりんもそろそろ記憶がしゃきっとしてきたので(以前から記憶力はいいような雰囲気だったけど)、じじばばと触れ合う機会をそれなりに確保してやらねばなるまいし…。その他諸々の要因(距離、時間、集うことが可能な親類縁者数など)を考慮しつつ、今回はLicの実家から先に済ませることにした。
そして夜。そろそろ明日の準備でもしようかなという矢先のことであった。ジャンガリアンハムスターの“ことりさん”に異変を発見。なんか左前脚の先が赤く腫れているような〜。
さっそく手に乗せて観察観察。ずしっと重い。ちょっと太り気味だ。ヒマワリの種はもっと減らさなければ…。いやいやそんなことより、前脚だ前脚。後ろ脚は比較的見やすいのだけれど、前脚をじっくり観察するのはなかなか骨が折れる。ハムスターは常に4足歩行する動物じゃないので、見ようとすると引っ込めるし。プラケに入れて下から見上げてみようかと思ったほどだったが、なんとか観察には成功した。
どうやら爪が折れてるような感じ。あるいは抜けてしまってるかも。しかもなんとなく指の1本が短くなってしまってるような〜……。しかもかなり腫れている。厚みでいうと2倍くらい。
明日は動物病院行き決定。はたして結果や如何に!
2001.7.22(Sun)
ことりさんの診察結果
朝イチで動物病院に向かう。午前中だというのに、はや猛烈な日差しだ。ことりさんを入れた小さなプラケに、布で覆いをしてやっていても不安になるほどの…。
クルマを降りると、慎重に陰を選びつつ移動し、病院の中に滑り込む。先客がいた。どでかい犬と、丸々太った犬。そして入院中の猫。室内のクーラーが効き過ぎているのが、今度は心配になってきた。かといって室外に出れば灼熱地獄が待っている。それを考えると寒いほうがまだましだ。直接冷気が当たらないように、しっかりと胸の前でプラケを抱きしめながら、待つこと30分。ようやく順番が回ってきた。まだどでかい犬の診察途中だったのだが、ちょっと時間がかかりそうだったので、先に診てもらえることになったのである。診察台の上じゃなくて、受け付けのテーブルの上での診察になったが、小さなジャンガリアンハムスターにとっては、どっちでも大差はない(手の平に乗せて診察するから)。
爪はあった。少し短くはなっていたが、爪がどうにかなったわけではなさそうとのこと。おそらく前脚を金網ケージのどこかに引っかけてしまったんではなかろうかという診察結果だった。昨日今日のモノではないというのも判明した。指にも、特に別状はなかった。ただ、腫れているので、抗生剤が処方された。とはいえ怪我を負ってから日数が経っているため、さほど心配することもないらしい。つまりは、治りかけということなのだった。
となれば二泊三日程度の留守は大丈夫だろう。動物病院から戻ってすぐ、家族揃っての帰省準備にとりかかったのであった。
昨夜の段階ではLicとみこりんだけが、帰省するのを前提にしていたのでさして準備もしていなかったのだが、もっとも念入りに準備の必要な生き物達を順に片づけていくまに、刻々と電車の発車時刻は迫ってくる。かといって急げば、何か重大なミスをしそうで怖い。あぁだめだ。次の電車にしよう。次といってもこのへんは田舎なので、一時間後である。たっぷり余裕ができた。
余裕ができたはずなのに、鉢植えを避難させたり、なんやかやとやってるうちに、またしてもタイムアップ。間に合いそうにない。次だ、次。幸い次の電車は30分後。これならなんとかなるだろう。
ところがやらねばならないことが、さらに次々と判明してくる。我が家でもっとも涼しいところに配置せねばならないハムスター&ヤドカリのケージが、最初置いていた風呂場ではどうもダメっぽいことがわかったり、室内のクーラーの設定温度が高すぎたり、持っていく用に準備した水筒をすっかり忘却していたり…。まったく焦るとろくなことはない。
今度こそ電車に間に合うように家を出た。そして気がついた。常備薬でもっとも優先順位の高いものを、置いてきてしまったことに。不覚…。
*
今回の帰省先までは、新幹線を使っても、在来線でも、時間的には30分しか変わらない。でも金額は二人合わせて1万円ほども違ってくる。というわけで、今回はすべて在来線を使うことにした。平日だと接続がとてつもなく悪い路線なのだが、休日だとそれほどでもないらしい。みこりんにとっても、初めての在来線による帰省となる。いい子にしてくれればいいんだけど……との心配は無用だった。ちょうどお昼寝時とも重なり、途中からすっかり熟睡モードに突入したみこりん。幸い座席は確保できていたので、さしたる問題もなく着々と電車は目的地へとひた走る。私もいつのまにか爆睡していたようだ。
じじばば宅、到着。その夜、みこりんは異様なくらいにハイテンションで、なかなか寝付かなかったのであった。めでたしめでたし。
2001.7.23(Mon)
海遊館へGO
夏恒例の水族館巡り。今日のターゲットは大阪の海遊館である(館内の様子などはお魚日記に記載)。
この日もやっぱり猛暑だった。まずJRで大阪まで出て、そこから地下鉄に乗り換えるのだが、今回、“海遊切符”なるものを利用した。地下鉄乗り放題+入館料がセットになって、お値段は2500円。入館料だけで普通は大人2000円必要だから、移動のことを考えるとそこそこお得…かも。
海遊館へは、最寄り駅からしばらく歩かねばならない。15分ほどかかっただろうか。いやそれにしても暑い。燃えるようなアスファルトにより近いみこりんは、はやグロッキー気味。電車下りるまではぐっすり寝ていたのに、とてもそれどころじゃなくなったようすだ。でも海遊館に隣接する巨大観覧車が近づいてくると、とたんに元気回復してるあたりに、若さを感じずにはいられない。
ちょうどお昼頃に到着したので、まず腹ごしらえ。海遊館手前にある天保山マーケットプレース内を物色し、とある和食処で一息入れる。食い物の値段は比較的安い。窓の外には海が広がり、日頃海のない県で暮らすストレスを、思う存分晴らせるのもいい。はぁ、極楽極楽…と、満腹になったところで海遊館へ。
夏休みに入ったとはいえ、今日は平日。あまり混んでいないだろうと踏んでいたが、甘かった。日本人はそれほどいなかったが、代わりに異国の旅人たちでごった返していたのだ。あちらこちらで様々な言語が飛び交っている。関空の影響だろうか。
それでも入ってしらばくすると、徐々に人並みは拡散していき、比較的ゆったりと見て回ることが出来た。もともとそれほど広くない海遊館だから、脚が棒になってしまうこともなく、みこりんをベビーカーに乗っけるまでもなく(ベビーカーのレンタルはなかったようだが)、2時間ほどで出口に到着。しかしながら、そこからさらに1時間半ほど売店にいたので、結局今日は海遊館だけで終わってしまった。予定ではこのあと日本橋をぶらつくつもりだったのだが、いたしかたない。なにしろ水族館に来たらTシャツ買わないと気が済まないのだ。
手持ちの海系Tシャツがそろそろ限界なこともあり、ここはひとつじっくりと選ばねば、なんて悩みに悩んで選んだ2枚は、1つが多数のクジラが輪になってる絵柄、もう1つが黒地に白っぽい色彩で大型魚類のイラスト数点を配置した絵柄となった。それにしてもほとんどのTシャツに“海遊館”もしくは“Kaiyukan”あるいは“大阪”か“Osaka”って入ってるのにはやられた。幸い、気に入ったヤツにはそういうのが入ってなかったからいいんだけれど、もしも入ってたら悩みは数十倍にふくれあがったことだろう。おそるべし大阪。
2001.7.24(Tue)
待ち行列
帰省最終日。今日も暑い。午前中早く、ちょっと外を散歩しにみこりんと歩いてみたのだが、あまりの日差しの強烈さにみこりん自力歩行を拒否する始末。家に残してきた“ことりさん”のことを、ふっと思い出してしまった。クーラー止まってなければいいが…
午後3時、駅にて。来るときはすべて在来線だったが、平日は接続がすさまじく悪い予感がしたので新幹線で帰ることにした。以前同じコースを平日に在来線で戻ったことがあったのだが、あの時は電車乗ってる時間より、ホームで電車待ちしてる時間のほうが長かったような記憶がある。
みどりの窓口は、そこそこの待ち行列だった。対応する職員の数は男4、女1。途中で男が+1されて5:1。この女性職員が眉のきりっと引き締まった理知的な顔立ちで、なかなかよい。どうせ切符買うならこの人に…と、徐々に短くなってゆく待ち行列を進みつつ、思う。
窓口は順番に空いてゆくとは限らないので、これがまたスリリングである。「どうぞー」と明るい声があがるたびに、自分の順番までどんな具合に窓口が空いてゆくのかシミュレーションをしてみたりしていたのだが(ただじっと待つよりも頭の体操になっていい…と理屈をつけてみる)、私の前が残り3人にまで減った時、ひょっとしてこれはいけるかもしれないという予感がした。職員達の手元の動きによって、発券作業がどの程度進行しているのかだいたいの予測はつく。残り2人。まだぎりぎり大丈夫。このままややこしい経路指定とかなければいけるはず。残り1人。いけるか?次に声が上がるのは……
「どうぞー」と明るい声に呼ばれたのは、私ではなかった。タッチの差だ。ほどなくして私も男性職員の窓口に呼ばれた。アンラッキー。
でもまぁいい。JR新神戸駅には、明石の鯛飯駅弁があるのだ。こいつが買えただけでもよしとしよう。この鯛飯は、鯛の形状を模した壺に入っていて、見た目も面白い。ちょうど壺に尻尾と頭が生えたような感じ、と言えば想像していただけるだろうか。味の方も、みこりんが思わず完食してしまうほど美味い。これが980円。お買い得といえよう。食べた後のおもろかしい壺は、鉢植えにしてもよし、貯金箱にしてもよし、いろいろと使いではありそう。
*
無事帰還。クーラーは止まっていなかった。ことりさんも無事だ。にゃんちくんは例によって少々よそよそしい雰囲気になっていたが、夜にはすっかり甘えん坊に戻っていた。明日で夏休みもおしまい。一日が過ぎるのが、妙に早い今日この頃。
2001.7.25(Wed)
白い茄子
つい徹夜してしまった朝。はやくも猛暑の予感。庭土が乾燥しきって、みこりんが狂喜乱舞しそうな“サラ粉”がいたるところに出来ている。
サンルームに出しっぱなしのビニールプールから、水をくみ出しせっせと花壇に撒いてやったが、まさに焼け石に水といった雰囲気だ。それでも地植えのものたちは元気がいい。大地の奥深くまで根を張っているのだろう。
やがて起き出してきたみこりんが、さっそく水着に着替えてプールに浸かっている。それを久しぶりにビデオにおさめつつ、花壇のすみっこでこっそり育っている白ナスの様子など窺ってみると、片手では持ちきれないほどに大きくなっているのがわかった。さっそく収穫。焼いて食うか、煮て食うか、迷った末に、その丸々とした形状から、焼いて食うことに決定。包丁を入れる。
とてつもなく固い。茄子とは思えぬほどに。それでもなんとか輪切りにしてみると、種がすっかりできているのがわかった。どうやら育てすぎたらしい。もっと早くに収穫しておけば……。いちおう焼いてみることにする。皮が白いだけで、中は普通の茄子のように見える。焼き上がりの匂いも、茄子っぽい。
これに醤油をたらして、いざ実食。
茄子というより、甘くなりきっていないサツマイモみたいな感じ。ひょっとすると、焼き茄子より、煮茄子のほうがよかったのかも。種の部分を食べてみると、少し唇あたりがぴりぴりと痺れてくるような…。なんかいけない成分でも入ってたんだろうか。でも不味くはない。ちゃんと適期に収穫すれば、もっと美味いにちがいない。来年用に種採っておこう。
おにゅうの浮き輪
浮き輪が欲しいというみこりんのために、買い物に出かけた。これまでみこりんには両脚をつっこむタイプの浮き輪(?)というか浮き椅子(?)を使わせていたのだが、保育園で大きい組の子達が普通の浮き輪で泳ぐのを見て、自分も欲しくなったらしい。たしかに浮き椅子では装着したままだと泳げないので、泳ぎを楽しむなら普通の浮き輪のほうがいいんだろう。
ついでに水着も新調してやることにする。みこりんが言うことには、今のビキニタイプは先生が着せにくいそうなのだ。ちょっときつくなってもきているし、そろそろ新しいものが必用になってきたようだ。
いざ売り場で物色してみると、みこりん浮き輪にばっかり神経が集中していて水着のことなどどうでもいいような感じ。さんざん却下された挙げ句に、ようやく選んだ一枚も、いまいち気に入ってないようす。でも、ひとたび浮き輪を選んでしまうと、こちらの言うとおりの水着でもOKになった。まったく、なんてわかりやすい反応だろう。
結局今回は私の趣味が反映されて、オレンジのワンピースタイプに決定した。でも来年は浮き輪よりも水着のほうに執着してそうな予感がする。
帰宅後、さっそく浮き輪で泳ぐみこりん。さほど大きくないビニールプールなのに、意外に泳げるものである。ただ、実際に川や海で浮き輪を使うのは、まだちょっと早いかな。
2001.7.26(Thr)
会心の焼き
みこりんが熱を出した夜、遅くに帰宅した私は、晩飯を自作することになった。食材は冷蔵庫にそろっているので問題ない。今夜は餃子だ。野菜室にはそろそろやばそうな茄子、そして庭で収穫したまま放置していた巨大な赤オクラが2本。こいつらも料理してやろう。
さっそくフライパンに油をひいて、加熱開始。まずは餃子からだ。
焼くこと約3分。蓋をとってみると、まさに会心の焼き加減。試しに1つ口に放り込んでみると……んんんんまい。焼きたての餃子はどうしてこうも美味いのか。
茄子とオクラはざくっと切って、同じく油で炒め、豆板醤と醤油で味付け。やっぱり夏は茄子のもの。どんな料理でもおいしく感じる。
たっぷり二皿に盛りつけて、食べる。これを一人だけで食べるのがなんかとてつもなくもったいないような……。でもLicはどうやらみこりんと一緒に寝てしまったらしい。仕方あるまい。冷めないうちに、食べちゃおう。
2001.7.27(Fri)
風呂場にいたもの
先にみこりんが寝入ってしまったので、今夜は一人でシャワーを浴びる。
しゃかしゃか頭など洗っていると、ふいに目の端に黒っぽいものが見えたような気がして手を止めた。しかもそれは動いていたような…
目にシャンプーの泡が入らないように微妙に瞼を動かしながら、そちら方向を探っていると、……見つけた。お風呂セット一式が並べられた小さなカゴに、黒光りする昆虫がいる。甲虫だ。
思わず手に取ってみると、体長5cmほどのクワガタのメスであることがわかった。コクワガタのメスにしては大きすぎるような。ノコギリクワガタにしては厚みがありすぎる気もするし、ミヤマクワガタとは色がちょっと違うっぽい。私の子供時代だったら、オオクワガタかヒラタクワガタのメスだと思ってしまうほどの体格の良さである。でもまさかこの時代にそれはなんぼなんでも無理なんじゃないか…と思いつつ、このあたりではひょっとするとまだ野生のオオクワガタが普通にいたりするのかも、なんて思ってしまうのだった。
とにかくこれから頭を湯で流さねばならない。ちょうどいい具合に窓の向こうにはニセアカシアの枝が来ており、その葉っぱにつかまらせてやることにした。ばいばい、クワガタさん。
野生じゃなくて、どこかで飼われていたやつが逃げ出した可能性もあるかな、と思ったのは、風呂から上がってしばらくしてからのことだった。ま、どっちにしても自然に帰ったんだからいいか。
2001.7.28(Sat)
寒い国のワイン
先日の帰省のおり、カナダ旅行から戻ったばかりという義妹からお土産にもらったアイスワインは、じつにうまかった。アイスワインとは、自然に凍った葡萄の実のみを搾って作られるワインで、なんと1粒の葡萄から1滴しか採れないらしい。そのため、よけいな水分がほとんどなくて、たいへん濃厚な味に仕上がるのが特長ということだった。その独特の製法から、いまではほとんどがカナダでしか作られていないという。
まるで蜂蜜でも入ってるのかと思うほどの口当たりの甘さと香りは、まさにデザートワインといった雰囲気である。甘いのがダメな人にはちょっと厳しいかもしれないけれど、幸い私は甘いのも辛いのもどっちもOKなので、おいしく飲むことが出来た。これは癖になる味だ。
今回飲み干したアイスワインのワイナリーのサイトにはなぜか日本語ページが設けられていて、通販も可能になっている。関係者に日本人がいたからか、あるいは日本人客が多いのか…。でもこういうのがあると、つい買ってしまいたくなる。懐があったかくなるまで、もうちょっと我慢我慢。
2001.7.29(Sun)
新たなるペットショップ
例の新しくできたペットショップとやらに行ってみることにした。郊外型店舗が多数集結している場所にあるという。その1つにみこりんお気に入りのスーパーも入っているので、みこりんのテンションも高い。
到着。巨大なログハウス風の総合ペットショップだ。店内に入った私を強烈な違和感が襲う。ずらっと並んだカラフルな“おやつ”は、もちろん人間用ではない。こ、これはペットショップなのか。まるでキャンディーバーのような明るさはなんとしたことだろう。ペット屋といえば、うずたかく怪しげなケージが積み上げられ、狭く薄暗い店内をぼそぼそとケージの隙間をすり抜けるようにして歩くもんじゃないのか(何年前の話をしとるんだ)。おぉぉ、おそるべし。
犬、猫、はともかく、このショップをちょっと印象づけるラインナップが外国産の甲虫類である。かなりのケージが並んでいる。アトラスオオカブトとか、そういう類の一風変わったカブトムシやらクワガタムシが蠢いていた。値段もそれほど高くない。数年後には、このあたりの山でもツノが3本あるようなカブトムシが見つかるようになったりして…。
ところでこの小動物の部屋に並べられていたハムスター類は、ほとんどがドワーフハムスターだった。パール、サファイア、斑、ロボにジャンベリー(ジャンガリアン+キャンベリー) etc...いずれも安い。あぁぁしかし、なぜに砂ネズミがいないのだ(マウス類もいないし)。あの遠い目をした生き物を、またふたたび飼える日は訪れるのだろうか。今度リクエストしてみようかな…
ボタンインコに、オカメインコ、手乗りの雛がちょうどよい頃合いに育っている。ピー子が野生に帰った今、我が家にもそろそろ小鳥を迎えてやってもいいのではないか。そんな気がしてしょうがない今日この頃。
ところでこの店の半分以上の面積を、アクセサリー類が占めている。犬猫用品のラインナップはこのあたりではダントツなのではなかろうか。で、ついつい猫用首輪のところで物色物色。にゃんちくんが、もし外に出てしまったりしたときのために首輪をしておいてやるのはいいかもしれない。ちょうどここに雪ヒョウ柄の艶めかしいのがあるようだし……。でも一番小さなサイズのが売り切れになっていたので次回に持ち越し。
なかなか楽しめそうな場所ができたものである。
見えないチラシ
それに気が付いたのは、本屋に入ってからしばらくしてからのことだった。いったい誰に見せるためのものかと思うほど低い低い場所に貼られていた一枚のチラシには、こんな文字が並んでいた。
『攻殻機動隊2 十年ぶりに発売決定。6月28日』
ふ、不覚。ぬかったわ。これを買い逃すとは、どうかしている。もう一ヶ月も前に出ていたというのに。しかも初版限定でマウスパッド付きとある。のぉぉぉぉ〜っ。
レジのお姉さんに聞いてみたが、やはり完売状態らしい。そりゃそうだ。店長が系列店に電話で確認してくれていたが、やはりどこにも残っていないっぽい。というわけで注文しておいた。バイトらしきお姉さんが、攻殻の“攻”を、甲殻の“甲”と間違えなかったあたりに、発売直後の状況が見えてくる。きっと一瞬で売り切れたんだろうなぁ……
草の海
夕方から市民農園で雑草と格闘。ここしばらく来ていなかったので、ものすごいことになっていた。雑草の海に野菜達が埋もれている。他の区画がキレイに除草されてるのとじつに対照的。なんだかとっても目立ってるような。よそはそろそろ夏野菜も終わりらしくて、かなり畝が空いているのだ。うちはほとんど種から育てたからなぁ…
とにかく雑草を抜こう。固くしまった大地に手を焼きつつも、ひたすらにLicと分担して片付けてゆく。みこりんはもいだトマトやらキュウリやらを囓りながら、適当に畑を楽しんでいる様子。でもだんだん飽きてきたのか「かえろう」と言い始めた。
雑草はなんとかあらかた抜き終えた。あとは収穫物をいただいて、帰るとしよう。待ちかねていたみこりんと共に、カゴに実った野菜達を詰めていく。長茄子、トマト(黄色&赤色)、カボチャ3種、花のズッキーニ、それからベビーコーンにキュウリ2種。例によってキュウリは棍棒のごとく巨大化していて、みこりんでは持ちきれない。
カゴいっぱいの収穫物。気になるのは3つ育っていたはずの西瓜が2つに減っていたこと。1つ消滅したようだ。残りの2つが順調に甘くなるのを願いつつ、日没とともに畑を後にする。
晩飯には野菜たっぷりサラダに長茄子の煮物、焼きベビーコーン(ベビーというには少々育ちすぎたような…)が登場。あと1週間は大丈夫。それにつけてもニンジンがないのが痛い。来年の課題はニンジンだ。
2001.7.30(Mon)
じめじめ系な生き物たち
ここ数日来、家の中で成虫にまで育ったゴキブリが、数匹ちょろちょろ走り回っている。うち、2匹は捕獲に成功したが、まだ若干残っているようだ。
だいたいゴキブリは1匹見つけたらその百倍(だったかな?)いると思えという格言もある。まったく油断はできないのだが、ここにいたってLicがゴキブリ捕獲器をあちらこちらに配置したようである。じっくり罠にかかるのを待つとしよう。
ところで私の実家では、ゴキブリのことをアブラムシと称していた時期がある。もちろんゴキブリとアブラムシは違う生物なのだが、なぜか一緒くたになっていた。おもに母親が「あぶらむしっ!」と叫んでいたような記憶が強く残っている。
あのテカテカ光った、いかにもあぶらぎったゴキブリの姿が、“アブラムシ”と呼ばせたのかも…という気はするのだけれど、真相は定かではない。
だから今でも“アブラムシ”という語感には、植物の害虫以上の何か得体の知れない不快感を感じてしまうのである。小さい頃の刷り込みは、なかなか消えてはくれないようだ。
ところでみこりんに夜ごと聞かせている創作即興お話には、いわゆる湿ったところが好きそうな虫やら生物がよく登場する。ムカデだの、ゲジゲジだの、蜘蛛だの、ゴキブリだの、ミミズだの、オケラだのといった具合だ。もちろんテントウムシとか蝉とかカブト虫とか、そういう日の当たる世界の虫達も登場してはいる。でも、比率でいうと、6:4あるいは7:3で、じめじめ系が勝っている。どうしてこうなってしまうのか、話し手である私にも理由はわからない。即興で話を作っている手前、よく目にする生き物の方が登場させやすいのかもしれないけれど、毎夜毎夜そういうお話を聞いているみこりんはどう思っているんだろう。今のところ、特に不満は聞こえてこないが、気になるところである。
2001.7.31(Tue)
闇に響く“きちきちきち”
夜、Licのお迎えで仕事から戻る。いつものように明かりの消えた薄暗い玄関にたどり着くと、なにものかが“きちきち”と嫌な音をたてているのに気がついた。
な、なにやつっ!
目がだんだん闇に慣れてくると、その音を発するモノの正体が、おぼろげながらも見えてくる…
カミキリムシらしい。しかもかなりでかい。裏返って悶えている。
きちきちきちきちきちきちきち…
みこりんが見たら、きっと悪夢にうなされるだろう。私のあとに続いて来ているはずのLicとみこりんがここに到達するまえに、こいつをなんとかせねば。
直接手を触れるには少々“牙”が凶悪だった。爪先を使おう。ちょいっとひっくり返してやる。節のぶっとい触角が特徴的な黒いヤツ。ノコギリカミキリ…という名称が瞬時に思い浮かんだが、はたしてそんな虫がいたかどうかは定かではない。足先で注意深く庭の奥へとやってしまうと、静寂が戻ってきた。
このように我が家には、カミキリムシは結構訪れてくれるのだが、いまだ見たことがないのがミヤマカミキリ。できれば今度はミヤマカミキリにひっくりかえっていてもらいたいものである。