2006.2.1(Wed)

“ともちょこ”

 「おとーさん、“ともちょこ”って知ってる?」と、みこりんが問う。
 “ともちょこ”…、私の現役時代(謎)には存在しなかったような単語だが、幸いにして私はその意味を知っていた。通勤時に聞いてるFMラジオで、ちらっとそんな話題があったのを覚えていたのだ。

 みこりんがそんなふうに聞いてくるということは、たぶんみこりんも最近知った言葉なのだろう。ぜんぜん知らない言葉の意味を尋ねているのとは、ちょっと趣がちがっていた。私が知っているかどうか、試しているのかもしれない。

 そこで、いかにも昔から知ってる感じに、さらっと私は答えた。
 お!という感じのみこりん。そして少しの間があって「うん、そう」と、私の答えを肯定した。
 よかった、正解で。なんとなくほっとする私。

 もし不正解だったり、知らなかったりしたら、みこりんはどんな反応をしたのだろう。みこりんのことだから、嬉々として新しい言葉の意味を教えてくれたのかもしれない。…知らない振りをしたほうがよかった、のかも。
 ところでなぜそんな話題になったかといえば、みこりんが大学生になったら、あるお友達と“ともちょこ”を交換し合うのだという。なぜそんな未来のことなのかというのが気になったが、この時期の女の子はこういうものなのかな?と思いつつ、深く考えるのはやめておいた。みこりんが大学生…、順調にいけば、今から10年後か。長いようで、短いようで、なんだかしんみり(最近こういうのが多い)。


2006.2.2(Thr)

謎の力

 今でもふと思い出す、不思議な出来事がある。私がまだ、小学生だった頃のことだ(たぶん5年生か6年生くらい)。
 超能力ブームがあった。TVの特番では、超能力者と称する人々が続々と登場し、透視や念写、スプーン曲げなどを披露してみせたものだ(まぁいかにもうさんくさそうな人物も少なからずいたのだけれど)。中でもユリ・ゲラーは世界的にも有名で、扱われ方も別格だったような気がする(彼が本物かどうかというのは、おいておく)。

 あるTV番組に、そのユリ・ゲラーが招かれ、「みんなで一緒にスプーン曲げをしましょう」という企画があった。TVの中のユリ・ゲラーと共にスプーンを手に持ち、「まがれ!」と強く念じれば、TVの前のあなたでもスプーンは曲がる、というのだ。
 この時、家にいたのは、父と私、そして真ん中の弟の三人。「ほんまかいな(訳:ほんとうだろうか)」というわけで、さっそく試してみることになった。いつもカレー等を食べるときに使っていた大きなスプーンをそれぞれ1本ずつ手に持ち、TVの中のユリ・ゲラーと共に、念じる。(まがれ、まがれ…)
 結構真剣に念じていたように思う。まだ小学生だったし。

 しかしスプーンは硬いままで、曲がる気配微塵もなし。思わず指先に力が入り、ぎゅぅぅぅぅっと力任せに押してみたりして。やっぱ曲がらんなぁ…、なんて思ってた時だ。
 「お」とも「あ」ともつかない叫び声をあげたのは、父であった。その手元を見て、私は固まっていた。スプーンがどんどん曲がっていくのだ。まるで、プラスチック棒をライターの火であぶってるかのごとく。重力に引かれて、くにゃぁっと。
 しかも曲がるだけならまだしも、そのスプーンは我々の眼前で、ぽたりと捻じ切れてしまったのである。むろん父が力任せに引き千切ったり、曲げたりしたのではない。指先(人差し指)を軽く触れさせていただけで、そんなになってしまったのだ。

 「指先が熱い」と、父が言った。さらに「まだ曲がりそうな気がする」と言うので、私の持っていたスプーンを渡してみた。さっきまでぴくりとも曲がる気配を見せなかった私のスプーンが、父の指先が触れた瞬間から、まさに飴のようにくにゃぁっと曲がり始め、またしても捻じ切れてしまった。
 今回はとっさに私も手を伸ばして、その曲がっていく箇所に指先を当てていた。「熱い」確かに、体温よりも高温になっているような気がした。そして、指先を通して伝わってくる微妙な金属の動きに、どことなく恐怖も感じていた。あってはならないことが起きている。そう思ったのだ。

 テーブルの上に並んだ2本のスプーン。いずれも首のところで千切れている。ユリ・ゲラーはとうに画面から消えていた。なんとなく重苦しい雰囲気。父をはじめ、弟も、私も、目の前で起きた事実を受け入れるのに苦労していたのではないかと思う。
 その夜、寝る前に私は、玄関側の門と、裏口の門と2箇所、塩を撒いていた。なぜか、そうしなければならないと漠然と感じたからだ。何かが入ってくるのを、とても不安に思っていたように記憶している。

 あれから30年が経ち、私も当時の父と同じくらいの年齢になった。
 一度みこりんとスプーン曲げ、試してみようかな…。と思うこともあるが、私では曲げられないという確信もあり、そのまま今日に至る。何故スプーンが曲がり、あまつさえ捻じ切れるのか、この謎は私が生きている間には解明されそうにない。


2006.2.3(Fri)

 「“えほう”って、どっち?」と、みこりんが気にしている。今日は節分。豆まきの日だ。
 節分の日に、恵方(えほう)を向いて、太巻きを無言で一気食いするという風習は、我が家ではLicからもたらされたものだが、今年は全国チェーンのコンビニなどで大々的にキャンペーンが展開されており、いまや全国区の習慣へと変貌を遂げようとしているらしい。なんとなく定着しそうな予感。

 さてその恵方だが、朝みこりんを学校に送っていく途中(起きたら7時半だった orz...)、カーラジオから流れてきた情報によれば「南南東」らしい。みこりんも「なんなんとう、か〜」と、なにやら納得した様子。でもたぶん、南南東がどっちの方角かというのはわかってないかもしれない。東西南北はみこりんも知っているけど、その間の方角の言い方は、まだ教えてなかったような。

 豆と鬼の面は、先週のうちに手配を済ませてある。若干、鬼の面が可愛すぎるというLicの指摘はあったものの、暗がりからぬぅっと現れたら可愛いものでも怖くなるんじゃないかな、と期待して。…でも、そろそろみこりん、節分の鬼を怖がらなくなっていたりは……。小学2年生だものなぁ。

 *

 今年の鬼は、Licが担当することになった。鬼の面は、みこりんがいそいそと準備してくれていたので、ぜんぜん平気なのかと安心していたのだが…
 Licが廊下に消えていくちょっと手前あたりから、急に怖くなってきたのか泣き出してしまった。豆ぶつけて一緒に鬼を追い出そうと勇気づけてみたものの、1袋ぺしっと投げただけで、もう怖くてたまらないというように、リビングにとどまったっきり大泣きモードに移行するみこりん。
 まだ小学2年生だからなぁ…


2006.2.4(Sat)

野生の血

 カーテン越しにリビングへと射し込む日光が、床の上でまばゆい幾何学模様を描いている。手にしたCDが、たまたまその領域を通過した時、銀盤に反射した光が一瞬天井へと映ったのを、みこりんは見逃さなかった。
 光と反射の関係に気付いたみこりんは、さっそくCDを手に窓際へと歩み寄る。光源により近い位置で、反射させようというつもりらしい。もっとも、太陽と地球の距離からすると、わずか数メートルなんていうのはあってないようなものではあるのだが。

 高く頭上に掲げたCDは、反射衛星砲のごとく陽光を天井へと誘導する。わずかな手の動きで、その反射光はきらきらと天井に軌跡を描き、みこりんを狂喜させた。
 ところで、その動きがツボにはまったのは、みこりんだけではなかった。
 さっきまでストーブの前でぬくぬくと丸まり、極楽気分で目を細めていたにゃんちくん(推定8才)が、しゃきっと両耳を立て、水色の瞳をかっと見開き、天井の光を目で追っているのだ。

 猫はこういう場合、瞳は固定したまま頭全体を動かして追跡するものらしい。かくかくと、まるで精巧な機械のように、にゃんちくんの白い頭部が動いている。野生の血が騒ぐのだろうか。「にゃおにゃお」と短く鳴きながら、長い尻尾をぎゅんぎゅんと振っている。その動きが、さらにみこりんの笑いのツボを直撃し、もっと激しく反射光を揺さぶるのであった。

 しばらくそうやって追っかけあいをしていたみこりんと、にゃんちくんだが、そろそろハンターとしての血がどうにも抑えきれなくなったらしい。ふっと後足だけで立ち上がると、しゃっと猫パンチが…、空を切る。
 届かない。悔しそうなにゃんちくん。
 いや、たとえ届いたとしても、光をつかむことはできないのだが…。猫ゆえに、そんなことまではわからない。

 近頃はじゃれつき用のボールとかを投げてやっても、ちらっと一瞥されるだけで終わってしまい、もう仔猫じゃないものなぁとしみじみ思っていたところだったのだが、まだまだやる気まんまんのにゃんちくんの姿に、ひと安心な午後の出来事だった。


2006.2.5(Sun)

廃屋

 自治会の班長の仕事の1つに、受け持ちの班に対して毎月2回、市の広報誌を配布するというのがある。数日前に広報誌の束が届いていたので、今日は配布の日だ。
 うちの班の世帯数は約30、間違いないように広報誌や広告やらを世帯数分にまとめ直し、徒歩にて配布。近頃はみこりんも一緒についてきてくれなくなったので、一人寂しく回ることになる。

 1軒ずつポストに入れてゆくだけなので、集金などに比べると、楽。回るついでに空き地の様子や、不審なものがないかなどもチェックしつつ。
 ところで私がこの団地に引っ越してきてから12年になるが、これまで一度も家人と顔を合わせたことのない家が、1軒だけある。その家は、玄関前に駐車スペースのある一軒家なのだが、以前からどうしたことかゴミの山と化している。ゴミ袋に入れられたものもあれば、そのまま放り投げられたかのようなコンビニ弁当の容器とかペットボトル、なんだかわからない紙の束とか、雑多なものが捨てられている。そのどれもが長い年月をそこで過ごしてきたかのような枯れっぷり…。私が気付いた時からこんな感じなので、かれこれ10年以上放置されているような。

 一見するとまるで廃屋のようだったが、住んでいる人はいるらしい。ただ、普段ほとんど家にいないっぽいので、自治会費などの集金にはことのほか苦労するようだ。
 それでも毎月広報誌を差し込んだ郵便受け(玄関の引き戸に作りつけられている)が空にはなっていたので、生存確認はできていた。ところが今日は、前回の広報誌がそのままだった。雨ざらしでボロボロだ。しかも驚くべきことに、玄関の引き戸がレールから外れて手前に大きく傾いているのだ。
 いったいこの家で何が起きているのか…

 外れた引き戸の隙間は30cmほどあり、猫ならば余裕で出入りできることだろう。隙間から覗けば何か見えるのかもしれないが、薄暗い空間のその向こうに、もし見えてはならない何かがあったりしたら怖いので、さっさと広報誌を差し込み、あとにする。ゴミを踏まないようにジャンプして、と。
 以前、みこりんと一緒に広報を配っていた時に、この家を見た瞬間みこりんが「こわい」と言ったのを思い出す。何かの気配を感じ取っていたのだろうか。

 というか、これ、やばいんでは…。玄関のドアが外れたままっていうのは、いくらなんでもちょっと普通じゃない。

 …普通じゃない、けど、この家、もともと普通じゃなかったからなぁ。この程度は想定内だったりして。次回の広報配布まで様子見、かな。


2006.2.6(Mon)

笑って、恵みのもとへ

 ちょっとまえに何かをサーチエンジンで調べていたときに、ふと見かけたサイトの片隅に、その名前はあった。

 Rie fu

 ここのところの音楽シーンにはとんと疎いので、彼女が誰なのかまったく知らなかったのだが、それ以来、頭の中に妙にその名前が残っていた。
 そしてたまたま立ち寄ったレンタルCD屋で、偶然に見つけたのが『Rie fu』だった。

 1曲目、“笑って、恵みのもとへ”
 音が始まるまえに、かすかに吸い込む空気の流れ。ヘッドフォンで聴いていることもあり、なんだかすごくリアル。むかーし、私がまだ中学生くらいだった頃に聴いた、久保田早紀のアルバム『夢がたり』を、思い出す。彼女の呼吸音もまた、独特な艶があった。
 ちょっとドキっとするような生々しさを、久しぶりに味わった気がする。

 流れるような旋律が美しい。丁寧な歌い方が、気に入った。


2006.2.7(Tue)

失った記憶

 午後7時30分、退社。1階まで続く長い長い階段を降り、建物を出る。微風、大気の冷え込み具合は、許容範囲。呼吸困難に陥るほどではない。
 立ち並ぶ工場群の合間を抜け、門を出た時には、空からぽつぽつと雨の気配。ちょっと急ごう。

 会社の駐車場にようやくたどり着き、ポケットからキーをじゃらりと取り出したところで、唐突に不安になった。…車、どこに停めたっけ?
 朝の光景を必死に思い出そうと試みたが、まったく心当たりがない。この広い駐車場の、どのあたりに停めたかさえわからなくなっていた。奥なのか、手前なのか、右なのか、左なのか…

 たしかに私はもともと方向音痴の傾向があり、空間把握能力には難がある。しかし、初めての場所ならともかく、もう12年近くも通っているこの場所で、かつてこれほど記憶を失ったことはなかった。
 徐々に雨足は強まりつつあり、じっと突っ立っていてもしょうがない。まるっきりアテがないので、入り口から順に1台ずつ確認していくしかあるまい。

 街灯はなく、車のシルエットは闇に溶け、車種の判別も容易ではない。
 ちがう、これもちがう…
 私より後から駐車場に入ってきた人たちが、続々と自分の車に乗り込み、走り去ってゆく。しかも近頃の車は、キーに反応してハザードランプを点灯させるものが多く、そういうのを見ていると「いいなぁ以心伝心」などと思ってしまうのであった。
 なんだか自分だけが取り残されたかのように感じて、妙に心が沈んでゆく。

 *

 大きなRVの陰に、ようやく見慣れた姿を確認したときは、心底ほっとした。いつのまにか雨は止んでおり、駐車場に残った車も半分ほどに減っていた。時計を確認すると、10分近く、私はこの駐車場内をさ迷っていたことになる。ひどく寒い。

 それにしても…、部分的とはいえこれほどきれいさっぱり記憶を失うとは、なんとしたことか。脳の血管そろそろ危ないかも?一度DSの例のヤツで、脳年齢を計測したほうがいいかもしれない。


2006.2.8(Wed)

謎の音

 昨夜のこと。みこりんと肩まで湯につかってのほほんとあったまっていたところ、頭の中におどろおどろしい呪文のような、お経のような、不気味な声(というか音)がかすかに流れているのに気がついた。
 じっと息を潜め、耳をそばだてて、音の正体を探ろうとしたが、なんだかはっきりしない不明瞭な音が、ぐるぐると脳の中を回るだけで特定にいたらず。もしかして耳鳴り?それとも洗面台の隣に置いてある水槽のたてるノイズだろうか。

 「おーん ゆおーん どぉぉ〜ん…」

 みたいな感じに聞こえる。耳で聞いてるというよりは、頭の中に直接届いているようなかすかな音だ。
 ためしにみこりんに「なんか聞こえる?」と聞いてみたところ、きょとんとされた。うーん、やっぱ耳鳴りか?

 しかも、時おり「ごぉぉぉごごぁぁっ〜」みたいな、重低音も混じるようになった。こっちは明らかに何かが発している音のような気がするのだが、これについてもみこりんに同意を求めたところ、やはり「?」な表情をされるばかり。いよいよ私の耳も壊れ始めたのだろうか。たしかに今日は異様に疲れたけれど…
 困ったね。気になるが、湯のぬくもりが心地よすぎて、変な音のことはさほど重大事には思えず、ただひたすらあたたまるのみ。

 ゆっくりと時間が流れ…。なんかみこりんが妙にくっついているのに気がついて、どうしたのかと聞いてみたところ、「こわい」とのお返事が。何が怖いかといえば、私がじぃっと聞き耳たててるのが怖いんだとか。
 そ、そうか。そういうのも怖いのね、とへんなところに感心しつつ。

 「あ」私は重要なことに気付いていた。呪文の正体が、なんとなくわかったような気がしたのだ。
 「みこりん、石焼き芋屋さんの音してる?」と聞いてみたところ、小さく頷くみこりん。そう思えば、徐々に呪文の中身が明瞭になってきたような気もする。じわじわと接近してきているのだろうか。

 待つこと数分。もうどこから聞いても立派な「いーしやーきぃもぉぉぉ〜」の音になっていた。そうか、そうだったのか。これで安心。
 みこりんもなんとなく安堵したような表情になった。でも、私にはまだ聞こえていた。「ごぉぉぉごごぁぁっ〜」という重低音が。これの正体は結局判明せず…

 風呂から上がって、Licに本を読んでもらい、布団に並んで寝転んだ頃には、石焼き芋屋のトラックも、どこかに去っていってしまったはずだった。が、静かな寝室の中、横たわる私の頭の中には、まだ呪文のような声が小さく小さく聞こえていたのである。んー、これは本物の耳鳴りっぽい?。幸い重低音の方は、もう聞こえなくなっていたが、呪文の方は聞こえるか聞こえないかの微妙なところで認識できてしまうので、それが気になってなかなか寝付けず。

 *

 そして今朝、耳鳴りは去っていた。でも、お昼過ぎから、動悸が激しくなって息が苦しい…。こ、これは、なんとなくVDT障害のような気も。休憩しなきゃ休憩。


2006.2.9(Thr)

Borlandが開発ツールを売却

 “Borlandが開発ツールを売却、Segue Software買収

 Borland Softwareは2月8日、アプリケーションライフサイクル管理(ALM)推進の一環として、統合開発環境(IDE)に関連した事業の一部を売却する計画を発表した。

 売却の対象にはBorland Developer Studio(Delphi、C++Builder、C#Builder)とJBuilderが含まれる。

ITmedia 2006.2.9の記事より

 前世紀、BorlandがWindows用ソフトウェア開発ツールでMicrosoftを圧倒していた時代、肝心要のエンジニアであるAnders Hejlsberg氏を筆頭に30人以上を、そのMicrosoftに引き抜かれてから今日まで、いつかはこうなる日が来るんじゃないかとは思っていたが…。ついこの間、新製品の発表を行ったばかりだというのに、なんだかちぐはぐした印象を受ける。売却されるのがエンジニア込みかどうかで、今後の行方も変わってくるかもしれないけれど、なんとなく、終わりな予感。

 引き抜かれたAnders Hejlsberg氏は、今やMicrosoftのTechnical Fellowとして重要な地位を占めるに至っている。Microsoftの眼力、恐るべし…。逆に言えば、Borlandが不甲斐なさすぎたのかもしれないが。

 この際、IBMにでも買ってもらって、ついでにソース公開なんてことになったら面白いのに。ないかな、そういうストーリー。


2006.2.10(Fri)

チョコ

 小さい頃には2月14日のことを“ハートの日”と言っていたみこりんも、小学2年生になった今では“バレンタインデー”と称するようになっていた。しかも手作りチョコに興味があるらしい。風の噂で、私に作ってくれるようなのだが、作り方が分からないので悩んでいるもよう。
 ところでここで問題である。先ほど『私に“も”』と書いたとおり、どうやら今年は私の他にもチョコをあげたい人がいるっぽい。な、なんてことだ…

 そこでみこりん本人にこっそり聞いてみたところ、たしかに一人の名前が挙がったのだった。読み方からして、男の子に違いあるまい。おぉぉぉ。
 これまで一度もその子のことが話題になっていなかっただけに、不意をつかれた感じだ。みこりんによれば、女の子の友達連中でいろいろと誰にチョコあげるのなんのと、盛り上がっているらしい。
 もう小学2年生だものなぁ…


2006.2.11(Sat)

『ICO』

 子供会の集まりから戻ってきたLicが、「はい」っと私に手渡したもの。それは、『ICO』だった。
 以前から私が『ワンダと巨像』と『ICO』を天秤にかけ、どっちにしようか迷っていたのを知っていたLicが、家電量販店に立ち寄ったついでに買ってきてくれたのだ。おぉぉ、ありがとうありがとう。

 雑事を片付け、午後、おもむろに『ICO』を起動。
 オープニングムービーが終わり、プレイヤーに制御が渡される。ムービーで描かれるシーンと、時間的にも空間的にもつながりがあるので、シームレスに世界観に引き込まれる感じ。なかなかうまい。ムービーの質と、ゲーム時のCGの質が、同じ(ように見える)というのもポイント高いかも。

 プレイヤーが操作するのは、角の生えた少年。前後左右への歩行、そして壁に飛びつき上り下り、鎖やハシゴの上り下り、そしてジャンプと、多彩に動ける。だから意外な場所が通れたりするので、部屋からの脱出もなかなか楽しい。
 そして少女との出会い。互いに手をとり合い、この城を脱出する、のが最終目的のようだ。ボタンを押すと、少年が少女を呼ぶ。遠く離れている時には「おーぃ」と呼び、ある程度近くにいる場合には、「行こ!行こ!」と聞こえる。だからタイトルが『ICO(イコ)』なんじゃ…、と思ったりもしつつ。

 マップによっては、黒い影のような敵(?)も出現する。少女を闇の中にさらわれてしまうとゲームオーバーになるので、手にした棒きれを振り回し、影を倒さねばならない。つないだ手を離してしまうと、さらわれやすくなるっぽいので、少女を背後にかばう感じに敵と対峙させるあたり、なかなかツボを心得たつくりになっている。

 少年が死んでもゲームオーバーになる。どういう時に死ぬかというと、高い場所から落ちたとき。ある程度の高さならば飛び降りても平気だが、私がやってしまったように、地面がはるか下方にみえるような高い高い場所から落ちたら、ぷちっとつぶれておしまい。どうやら私は高くて、しかも道が細い場所というのは、かなり苦手のようだ。目眩にも似た焦りを感じてしまう。

 とはいえゲームオーバーになっても、その少し前の安全なシーンからコンティニューできるので、安心だ。一度死に、二度ほど少女を闇にさらわれながらも、どうにか先に進めてこれた。
 だが、とある部屋からの脱出で行き詰まる。ジャンプしても届かない段差を越えなければならないのだが、少年一人なら吊るされた鎖を上れば突破可能。しかし、少女はいくら呼びかけても、ついてきてくれない。鎖の位置が高すぎるのかもと、大きな箱を押していって踏み台を作ってみたのだが、どうも少女は鎖を上れない仕様になっているらしい。

 「はてどうしたものか?」と悩んでいると、先ほどお友達の家から戻ってきたみこりんが、「やらせて」と言うのでコントローラを渡してみた。ちょこまかと走り回ったり、鎖を上り下りしたり。やがてそのうち、箱をぐいっと引っ張る技を発見したみこりん。おぉぉ!押すだけしかできないと思っていたが、引っ張れるとは。もしかしてこれか?さっきまでの踏み台の位置は、鎖の真下じゃなかったのでダメだったのでは。箱の一方が壁と接触していたため、押すだけでは鎖の真下に持ってくることができなかったのだ。
 さっそく引っ張って、鎖の真下に箱を移動させてみる。そして少年を鎖に上らせ、少女を呼んでみた。……が、だめだった。やはりこの鎖は上れないらしい。

 うーむ。脳みそをふりしぼって考えていたところ、今度もみこりんがやってくれた。見ていた私が驚くような手法を使って、無事に突破。な、なるほど、そういうのもアリなのか。やはり、みこりんの方が柔軟な思考ができるようだ。頭固いとダメダメ。
 しかし、みこりんにも苦手なものがあった。それは黒い影だ。影がわらわらと出てくると、「こわい」と言って、コントローラを押し付けてくる。うぉぉぉ、と敵をやっつけるのが私の仕事になった。
 これに謎解きの得意なLicの助言などもあり、そこそこ進めたような気がした。でも、中庭に出たところでまたもや行き詰まり。謎というより、今回のは敵が問題だった。これまでよりも、強く悪賢くなってるような?ばしっと殴られ倒れている隙に、少女がさらわれ、闇へ。というのをエンドレスに…。
 というわけで、今日はここまで。

 それにしても、少女のグラフィックが全身輝くような白になってるのは素晴らしい。廃墟と化した寂しげな城の中にあって、ほっと魂を洗われるような気分になれる。そして動き。少女の近くでバシッと壁などを棒で叩くと、びくっとして後退りするところとか、芸が細かい。呼んでもすぐには駆けてこないで、ためらうそぶりなど見せつつ、じわじわっと寄ってきて、そして手をつなぐあたり、激しくツボにはまる。なんだかすごく生物的。いい出来だ。


2006.2.12(Sun)

 にゃんちくんのおやつを買いに、最寄のスーパーまでお出かけ。お供は、みこりん。そのポケットには、『どうぶつの森』をすれちがい通信モードにしたDSが入っている。いつの日にか、見知らぬ誰かとすれちがい通信できることを期待して。

 スーパーまでは、クルマで約10分。その途中には、山あり、川あり、田園あり。のどかな風景が広がっている。
 小川沿いにクルマを走らせているとき、ふいにみこりんが言った。「あ!赤いひこうき!」
 ぬ?飛行機はさほど珍しくもないが、赤いのとなるとちょっと変わってるかも。みこりんの指差す方向に、ちらと視線を向けてみる。「おぉぉ!」真っ赤だ。

 ばたばたと風を受け、激しく翼を波打たせながら空中に浮かんでいたのは、飛行機…、というよりは、どうやら凧っぽい。その鮮やかな色彩から、昔懐かしい洋凧“ゲイラカイト”を思い出したが、近付くにつれて、ちょっと形が違っていることに気がついた。
 全体の形は、Tシャツのような感じになっている。首の辺りに、顔のような模様が描いてあって、そこだけ見るとなんとなく日本のヤッコ凧のような印象。でも着ている服は真っ赤だった。そして尻尾はない。
 かなり大型の凧のようだ。

 みこりんもそれが凧だと気付いたようで、さっそく自分も保育園の頃に凧を作ったことなどを話し始めてくれた。みこりんの作った小さなビニール凧は、全力で走っていないとすぐに落下してしまったものだが、今、空に浮かんでいるやつは、強風に恵まれて微動だにせず、びしっと高空にあった。
 今日は風が強い。よく晴れてはいるけど、この風のせいで体感温度が10度は下がってるんじゃないかと思うほどに。…、凧揚げには絶好のコンディションなのかも。

 誰が、どこで、凧揚げしているのか。みこりんはそれが気になり始めたようだ。凧の糸は、ここからでもよく見える。つつつーっと目で追ってゆくと、やがて広い田んぼの片隅に、5〜6人の集団を発見した。大人が1人、残りは子供っぽい。糸を操っているのは大人だった。全身を使ってぐいぐいと糸を動かしている。かなり力が入ってそうだ。
 みこりんも凧揚げの現場に気がついたらしく、「ふーん」となにやら納得している雰囲気。このように本格的な凧揚げを実際に見たのは、今日が初めてなんじゃなかろうか。
 全力疾走しなくても凧が揚がっていることを不思議に思ったのだろう、「どうして凧って飛ぶの?」と質問がきた。「…、風の力?かな」私もあんまり自信がない。私の父がそうしてくれたように、私もまた自分の子供と一緒に凧を作り、凧揚げしてみるべきなのかもしれない。

 *

 帰り道、赤い凧はもういなかった。
 DSのすれちがい通信、成功。凧よりも、誰かからのお手紙のほうが気になるみこりんであった。


2006.2.13(Mon)

本物の…

 「はい、これ」とLicから手渡されたもの、それは…
 「・・・!おぉぉぉ、チョコレート!」

 普通に売ってる姿のままの板チョコだったのだが、マカが配合されている新製品(?)っぽい雰囲気。いやいや、そんなことより、驚いた。Licからチョコもらうの、かれこれ10年ぶりだったから。

 10年前も、やはりごく普通に売られていたチョコ(たしかアーモンド入りのやつ)をそのままの姿でもらったんだった。あんまり普通だったので、それがバレンタインのチョコだと気付かないくらい… orz...

 で、私はお返しを忘れた。以来、Licは二度とチョコをくれることはなかったのであった。くぅぅ。まぁFFXIのゲーム内世界ではアイテムとして、ハートチョコをプレゼントしてくれてたんだけど。やっぱり本物のチョコがいいよぅ、というわけで。
 お返しはちゃんとすること>自分


2006.2.14(Tue)

お返しは…

 仕事で少々凹むことがあり、妙に疲れて帰宅。
 リビングでは、みこりんが『どうぶつの森』で通信中。みこりんのリアル友達がDS用のWi-Fiコネクタを買ったとかで、一緒に遊ぶ約束をしてきたのだとか。もはや父母の助けなしでチャットもこなせるようになったとは。DSの優れたインタフェース様様である。

 小一時間ほどで通信終了。
 さて、今日が何の日か覚えていたみこりんが、私にチョコをくれるというので、何が出てくるのかなっと、見守っていたところ…。おもむろに自分のオヤツBOXを、がさがざと探り始めたみこりん。やがて、目的のブツを発見したようだ。
 「これ、みこりんあんまり好きやないで、あげる」その手に握られていたのは、開封済みのピンキーのチョコレートだった(ピンキーをチョコレートコーティングした菓子)。

 それ自分用に買ったやつやん。しかも食べさし。でもありがたくもらっておく。
 「で、お返しはねー、何でもくれるん?」と、みこりん。もはやお返しをもらうことが主目的になっていたみこりんであった。
 どんな豪勢なプレゼントを要求されるのかと思ったら、たまごっち関係の小物が欲しいらしい。金額にして200円くらいっぽい。安っ。まぁ小学2年生にとっては、200円でも大金だ。私が小学6年生の頃のおこづかいで、月に500円くらいだったし…(時代背景が思いっきり違うけど)

 買ってあげることを約束して、就寝。いつものようにみこりんが寝静まったら起きるつもりだったけれど、眠りへの誘いが強すぎてうつらうつらと意識を失う。昼間のストレスが結構堪えていたようだ。
 一度気力をふりしぼって起きてみたのだが、今度はリビングにていつのまにやら爆睡していたらしい。はっと気付いた時には、時計の針がすっかり明日になっていたのだった。…、寝よう。


2006.2.15(Wed)

小さなブラウザ

 あったらいいなぁと、以前の日記で書いたDS用のブラウザが、案の定というかやっぱり発売されることになったようだ。
 しかもブラウザの開発はOperaだし。きっとDSのタッチスクリーンをいかした、ジェスチャー入力もOKになることだろう。2画面あるので、文字入力用のソフトキーボードと、ブラウザとで分割できるし、かなり便利そうな予感(『どうぶつの森』でチャットしてるのと同じ状況か)。
 これがあれば、ブラウザを使いたいがために、わざわざPC1台持ち込まなくても大丈夫ってところが、我が家的にはもっともポイントが高いかもしれない。

 ただ1つ気になるのは、画面の小ささかな。みこりんのような若々しい目玉は、小さな文字でもたやすく判別可能かもしれないが、近頃めっきり目の弱くなった(特に右目)私にはきついかも。かといって拡大表示にしてしまうと、1画面あたりに読める文字の量が少なくなりそうだし。なかなか悩ましそうな…。そういうときには、これか。

 “電子制御式ピクセルで視力が飛躍的に向上、次世代眼鏡レンズ

 よさげな感じ。


2006.2.16(Thr)

カーリング

 TVでたまたまカーリングの試合をやっていたので、何気なく見守ってみた。日本vsデンマーク戦。
 勝っているらしいのだが、ルールがまるっきり分かってないので、実況アナウンサーが「これはいい手だ!」と力説してくれても、いまひとつ盛り上がれず、なんとなく悔しい。でもまぁサークルの中心に石を寄せれば勝ち?というような漠然とした印象はあった。

 それにしてもよくすべる石だ。石のすべりも気になったが、それ以上に謎だったのが試合中、選手達がしきりに何かを叫んでいたことだ。日本語?じゃないような…。何語?
 たぶん石の向きなどについて指示してるんじゃないかな、とは思っているのだけれど、最後まで謎は謎のまま残った。

 結局、試合は逆転されて負けたっぽい。どのくらい惜しいのかが分からないので、もやもや感が残った。
 というわけで、カーリングのルールについて、少々検索。ふむふむ、やはりサークル中心にストーンの近い方が勝ちか。で、相手のストーンよりも内側にある自チームのストーンの数で点数が決まる、と(ちなみに負けた方は0点)。なるほど。案外わかりやすい、かも。長年の謎が一気に氷解して、気分すっきり。サーチエンジンがなければ、ずっと分からないままだったろうな、と思うと何やら感慨深いものがある。このへんの感覚は、物心ついた時からインターネットがあるみこりん達の世代では、たぶん味わえないんだろうな…。

 ところで日本選手団のページの顔写真、もうちょっと普通に撮ってあげればよいのに。TV映りはわりとよかったのに、もったいない。


2006.2.17(Fri)

疑惑

 たとえ送信者と受信者が黒塗りされていなかったとしても、そんなもので「このメールは本物だ」などということはできない。どこか別の会社のサーバに履歴が残っているとか、そういう偽造しにくいケースでもなければ、メールなどいくらでも捏造が可能だ。メール以外に確たる証拠があるのならば、ぐだぐだやってないでとっととそいつを表に出したらよいだけのこと。本物だ、偽物だ、などとくだらぬ言い合いをしている場合ではない。知的レベルを疑ってしまう。

 なんとなく話の筋が、ちょっとまえにあったNHKにおける放送内容への政治家の介入疑惑と、それに関する朝日新聞の捏造報道疑惑に似ているような気もする。結局、この疑惑はうやむやになったままだ。じつにくだらない。


2006.2.18(Sat)

二重跳び、その後

 夕方、みこりんが縄跳びを見て欲しいというので、表でチェック。挑戦しているのは二重跳びだ。
 先週見たときには、二重跳びに移行したとたん、なんだか体が緊張するのかジャンプの高さも低く、着地と同時にしゃがんでしまうということになっていたので、いくつかアドバイスしておいたのだが、みこりんはこの1週間の間に、かなり練習を重ねてきたようだ。
 ジャンプの高さに乱れはなく、着地も安定してきており、しゃがみこむということもなくなった。しかし、相変わらず二回転目の縄を飛び越えることはできず。

 もうちょっとなんだが。
 二重跳びを成功させるには、いかに早く縄を回転させることができるかにかかっているといっても過言ではあるまい。みこりんの場合、縄を回転させるときに、まだ上手に手首のスナップをきかせて“びゅびゅん”といった感じにならず、どことなくもったりと腕全体を使って回している。そのことに、みこりんも気付いているので、どうにか早く回転させられないかと苦慮しているようだ。しかし逆に意識しすぎると、余計変になってきてしまうので、悩ましい。

 ついにみこりんは、私が二重跳びするときの手の回転を、自分の手をつかんだままで再現してほしいと言った。どんな具合なのか体感してみたいらしい。
 というわけで、みこりんの手を握り、“びゅびゅんびゅびゅんびゅびゅん”。
 「おー!」という感じのみこりん。はい、ではその感じでやってみよう。

 みこりんの縄は、“びゅんびゅん”と唸り、二回転目を…、飛び越せなかった。惜しい。でも来週は、なんとなく“びゅびゅん”といわしてそうな予感。


2006.2.19(Sun)

染み

 朝から自治会の側溝掃除があり、早起きして参加。みこりんも子供会のゴミ拾いに出動していった。Licはその付き添いに。
 雑草の生い茂る季節でもないので、30分ほど汗を流して終了。みこりんも戦利品を袋に詰めて戻ってきた。袋の中には可燃物やら不燃物が、渾然一体となっている様子。それにしても…、自分の家の周囲に自らゴミを捨てる人は、ほとんどいないんじゃないかと思われるので、いったいこれらのゴミはどこから沸いてきているのか?という謎が少々。山の中の造成地にできた団地のため、他の地区の住人が道すがらポイ捨てするような環境じゃないのだけれど。

 早起きしたついでに、自分ちの外観をチェック。庭を囲っている『完璧な防壁』は、昨年末の大雪で深刻な被害が出ており、いまでは野良猫どもがノーチェックで庭を堂々と歩いてたりする。幸い、冬のため花壇や菜園には手を入れておらず、土も硬くしまっているので、糞害はいまのところない。が、これから春に向けてそろそろ花壇の準備もしなければならず、『完璧な防壁』の修復は最優先事項である。とはいえ、まだ大雪の可能性が残っているので、うかつに手出しすると、元の木阿弥ってこともあり、なかなか悩ましい。
 ま、とりあえず来月になってから考えるとして…。

 家の北側を2週間ぶりぐらいに見た。伸び放題の紫陽花達が、ぎゅうぎゅうにつまっていたので、これも新芽の出ないうちになんとかせねばなるまい。
 ん?この壁の染みは…?
 1階部分の壁に、なにやら大きな染みのようなものが浮き出していた。だいたい等間隔くらいに分割したような感じで、上から下までスプレーで吹いたようにやや色が濃くなっている箇所がある。
 この染みが“人型”だったりしたら、いろいろ妄想もできるのだが、残念ながら角の丸くなったでっかい長方形だった。こんなふうに染み出してくるもの…、といえば、水かな?でも水道管やら下水管は壁の中は通っていないはず。屋根の雨漏りの可能性もあるが、北側の壁ほぼ一面に染みが広がっているため、ちょっと考えにくい。局所的にそこだけ色が変わってる、とかであれば、雨漏り説も有力なんだが。

 いつからこうだったんだろう。先週は見ていないのでわからない。さらに先々週の記憶となると、もはや曖昧で思い出せるはずもなく。しかし、特に気にはならなかったので、おかしなところはなかったんではないかと思う。この2週間で変わったことといえば…
 春のような陽気の日が何日かあった。そして後半は雨が多かった。…、雨か。

 Licは雨で濡れてるんじゃないかと言った。たしかにそう考えるのがもっともらしいが、最後に雨が降ったのって、木曜か金曜だったかな?乾きそうな気もするけれど…、なにしろ自然のやることなのでなんともいえない。もしかすると朝露とか霜とかの可能性もある。
 あるいは…、天井裏に巣食っている、ヤツか。この正体不明の生物が、壁の中で何かやらかしていたりは…。

 とりあえず、来週もチェックしてみよう。ずっと残ってるようなら、何か手を打たねばなるまい。


2006.2.20(Mon)

学級閉鎖

 「7人休むと、学級へいさになるんよー」と、みこりんは言った。
 ちなみに、今日現在の欠席者は、4人らしい。あと3人。なんだかみこりん、わくわくしてるんでは?

 年末頃には、学級閉鎖になったら自分一人でお留守番しなければならなくなるため、怖いとか言ってたような気もするが、1ヶ月とちょっとの間に、みこりんに何が起きたのか。今なら、みこりん一人で留守番してしまいそうな勢いだ。

 4人休んでいるうちの、3人はインフルエンザ。残る1人は、未確認。
 私はインフルエンザの予防接種を受けたものの、どうも今年は型が違ったらしくて、役に立っていないそうだ。したがって家族全員感染の可能性はあった。

 そこで毎日の予防が重要になってくるわけだが、帰宅時の手洗いとうがいは必須項目としてある。みこりんも今ではじょうずにがらがら〜っとうがいができるので、安心だ。はたしてこれが効果を発揮しているのかどうかはわからないが、いまのところ激しく風邪をひくこともなく、冬もあと1ヶ月と少々。無事に乗り切ることができるだろうか。みこりんが朝方、げほげほと咳をしてるのが、ちょっと気になるが…。


2006.2.21(Tue)

 深い霧に包まれた朝。腕を伸ばすと、その指先がぼんやりと白い微粒子に包まれているのがわかるほど、濃密な霧だった。息を吸えば、肺の中いっぱいに侵入してきそうで、なんとなく息苦しい。
 みこりんが、これは何か?、なぜこうなっているのか?と聞いてきた。この辺りで、朝霧というのは珍しい。みこりんの記憶にあるのは、おそらく夜の霧。クルマの中からしか見たことがないはずだった。

 これも霧であることを話したところ、「“きり”って、しゅっしゅするあの“きり”といっしょ?」ときた。たぶん霧吹きのことを言ってるのだろう。ちょっと違うような気もしたが、水つながりでいけば、おおむね合っているともいえる。水蒸気のことを話すのは、みこりんがもう少し大きくなってからのほうがいいかもしれない。難しすぎると、かえって混乱してしまうだろう。
 というわけで霧発生のメカニズムは…、「みこりんはどう思う」と逆に質問してみることにした。

 みこりんは言った。
 「お空の神さまが、しゅっしゅってやってるのかなぁ?」
 そうだね、そうかもしれない。

 “お空の神さま”というフレーズが妙に心に残った一日だった。


2006.2.22(Wed)

『あかり』

 祝!M-Vロケット8号機打ち上げ成功(本日早朝)。
 祝!H-IIAロケット9号機打ち上げ成功(2月18日午後)。

 ポンポンと、好調に打ち上げが成功してうれしい限り。
 軌道に投入されたASTRO-Fの愛称『あかり』というのは、なかなかいい名前かもしれない。自身が明るく輝くのではなくて、宇宙の始まりの“あかり”を、マイナス267℃に冷却した口径約70cmの望遠鏡で観測する…。冷え冷えなのに、どことなく暖かな感じがするので不思議。
 願わくば長命でありますように。


2006.2.23(Thr)

漏洩

 仕事で防衛庁や自衛隊から貸与された“秘”の文書を扱う場合、取扱者はそれなりの身辺調査をクリアした適格証を持っていなければならない。さらに、“秘”文書(紙媒体であっても、電子データ化されたものでも)の保管及び閲覧場所は、特別のセキュリティを施した部屋に限られる。そのセキュリティルームは、LANは言うに及ばず、電話すらない、外部との接続を一切絶たれたまさに陸の孤島と呼ぶにふさわしい場所である。

 それほどまでに厳重に扱うべきものが、なぜこうも自衛隊本体からやすやすと漏れるのか orz...

 “海上自衛隊の「秘」情報がWinnyで流出、防衛庁が調査を開始

 これはたまたまインターネット上に流出したから漏洩が発覚したけれど、こんなざるみたいな(データのお持ち帰りが自由自在な)セキュリティなんだとしたら、気付かないうちに情報漏洩はいたるところで起きているのかもしれない。いやほんと、本気でどうにかしないと、このままじゃ、どんどんだめになる…


2006.2.24(Fri)

古い写真

 みこりんが、朝食をごちそうさましたのが午前7時20分。急げば8時出社できなくもなかったが、あわてて運転して事故でもおこしたらなんにもならないので、30分遅らせることにした。フレックスタイム制がなくなる春からは、こういうこともできなくなるかと思うと、ちょっとわびしい。
 浮いた時間でPCを起動し、ネットで新聞各紙にざっと目を通し。みこりんはみこりんで、なにやら古いアルバムを発掘してきて、あーでもないこーでもないと写真を見比べている。

 やがて1枚の写真を選び出し、「これもっていってもいい?」ときた。写真には、1歳の頃の赤ん坊なみこりんを、私がバイク(FZ250)に乗っけてやってる図が写し込まれている。懐かしい写真だった。この写真をどうするのか?と聞いてみると、国語の時間に作っているもの(文集みたいなもの?)に貼るのだと、みこりんは言った。ふむふむ。
 もっていきたまえ。私がそう言うと、みこりんはさらにもう1枚(たぶんこれはネズミーランドのモノレール乗り場で撮ったやつ)を抜き出し、「これももってくー」とはりきっている。いったいどんな作品を書いてるんだろう。中身が気になるところだ。

 ところで今日は、今年度最後の授業参観の日。みこりんは「これる?」と、とても来て欲しそうだったのだが、有給休暇が残りゼロなので、いかんともしがたい。フレックスのコアタイムぎりぎりで退社しても、午後3時半になってしまう。授業参観は午後2時からなので、とても間に合わない。
 残念そうなみこりん。来年度はちゃんと有給休暇残しておこう。今日のような日のために。
 有給休暇残りゼロになってから、はや3ヶ月が経とうとしている。残りあと1ヶ月ちょっと。なかなかスリリングな毎日である。


2006.2.25(Sat)

春…

 締め切ったサンルーム内に吊るした温度計の水銀柱が、40℃を軽く突き抜けていた。春を飛び越して、いきなり真夏な雰囲気。さっそく扉を開放して換気する。それにしても暑い。もはや雪なんか降りはしないのではないかとさえ思えてくる。
 寒い間に、花壇の手前で大きくなってしまったユスラウメを奥に植え替えようと思っていたのだが、時期を逸したかもしれない。

 リアルな気候と合わせるように、みこりんの『どうぶつの森』でも雪が消え、地表が緑で輝いている。木々の葉っぱも、生き生きとして見えるから不思議だ。
 森の住人たちも、一人を除いてみんな入れ替わってしまい、なんだか別な森になってしまったかのよう。春三月、別れの季節(まだ2月だけど)。

 Licが鼻がむずむずすると訴えている。そういわれてみれば、なんとなく目の辺りが痒いような気もしてきた。春三月、花粉の季節(まだ2月だけど)。

 *

 午後、花粉にはめっぽう強いみこりんが遊びから戻ってきた。というわけで、『ICO』起動。門を目前にしながら、再び城内へ。まだまだ先は長いらしい。
 Licとみこりんと私の3つの頭脳を駆使しつつ、謎を解き、1つ、また1つとマップを進め、風車のところまでやってきた。ゆるやかに回転する巨大な羽根。これはどう見ても、この羽根につかまって風車の上に登らねばならないようだ。しかしどうやって。

 風車の下から、羽根にむかってジャンプ、ジャンプ、ジャーンプ。…届かない。
 そのうちみこりんが、風車によじ登れることに気がついた。それだ!
 と思ったが、途中までしか登れないようだ。さて、ここからどうする。やはり羽根か。なんとなく答えが見えてきそうな予感もしつつ、脳がそろそろオーバーヒートしそうだったので続きは明日。


2006.2.26(Sun)

『ICO』の続き

 昨日とはうってかわって、雨。ひたすら雨。
 土砂降りの中、班長としてはおそらく最後の大きな仕事になるであろう、来年度のゴミ袋の配布を行う。指定ゴミ袋(有料)以外でのゴミ出しは禁止なので、各家庭、燃えるゴミ、不燃ゴミ、プラスチックゴミ用で、合わせてだいたい150枚くらいの割り当てだ。一枚一枚は軽くても、これだけの量になると、ゴミ袋とはいえ結構重い。
 ダンボール3箱分を配布したところで、雨に打ちのめされ、一時終了。集計用紙がびしょ濡れだ。

 リビングにて、あつい紅茶などすすりつつ、一息入れる。
 やがて、みこりんが起き出して来た。今朝はLicと共に、えらい早起きだったらしいのだが、私が起きると、入れ替わるように二人とも二度寝に入っていたのだ。

 というわけで、『ICO』の続き。風車によじ登り、高い位置から助走をつけて、ジャーンプ!。だが、手は空をつかみ、そのまま落下。水溜りの中に、ぼちゃん。
 ここに水溜りがあるということは、この上からジャンプするというのは正しいらしい。失敗しても、痛い思いをしなくてすむように、水溜りが用意されているのであろう。

 みこりんの操作によって、何度目かのジャンプが試みられた時、「おぉ!」ようやく羽根に取り付くことができたのだった。が、そのままくるぅりと回っているうちに、手が滑って落下。むむむ。
 ジャンプして取り付き、回転する羽根をつたってその先端へ移動。そして、羽根が一番高い位置まで来たとき、手を離す。すると、風車の上へとたどり着いた。そこからさらにカラクリがあったのだが、これはみこりんによって見事解決。柔らかい脳がうらやましい。

 しばらく結構さくさくと進めたのだが、城の外壁を伝っていくあたりで行き詰まり。疲れてきたので、今日はここまで。

冷やされていたもの

 冷蔵庫の中に、何やら見慣れない箱が冷やされているのに気がついた。はて?
 そろりと取り出し、しばし観察。……「も、もしかしてこれはぁ」

 箱を結わえたリボンに、なんだかみこりんが作ったような紙の切れ端がくっついていた。よく見ると、切れ端というか、小さな手紙(封筒)みたいな感じ。みこりんに聞いてみると、開けてもよいとのことだったので、開封すると…。「父へ」と書いてあった。差出人は、みこりん。ということは、この箱は私宛のプレゼントかな?

 いよいよ箱の開封。
 おぉぉぅ。中に並んでいたのは、ころころの…、茶色い玉。あわせて8個の玉が、きっちりと詰められていたのである。
 その正体がいまひとつはっきりしないまま、おそるおそる1つを楊枝で刺して、口に入れる。
 甘ぃ!
 やっぱりこれはチョコレート。

 どうも近頃Licとみこりんの様子に、どこかあやしげなところがあるなーっと思っていたのだが、私に内緒で、みこりんが手作りチョコを用意してくれていたらしい。
 おいしいよ、みこりん。そう言ったのだが、さっきからみこりん、後ろを向いて何かやってるようす。んん?これはもしかして、照れ隠しみたいな?
 春から小学3年生だものなぁ。


2006.2.27(Mon)

不調な日

 目覚ましが鳴ったような気がしたので、目を開ける。いつのまにか朝になっていた。眠った実感がない。ずきずきと偏頭痛がして、関節の節々が痛む。しばらく布団の中でじたばたしてみたが、有給休暇が残りゼロなことに変わりはなく、思い切って起床。私が起きると、みこりんもむくっと起き上がった。

 いつものように朝食を準備して、はぐはぐと食べ、食後、頭痛薬を少々投入。いつもの時間より30分遅れだ。とりあえずみこりんを学校へ送っていき、いったん家に戻る。15分ばかり休憩。
 結局、のんびりと9時出社にすることにした。

 職場にて。薬が効いた気がしない。とてもとても頭が痛い。首の後ろが、すごく凝っていて座っているのが辛くなる。なんだかへんな汗はでてくるし。
 資料に目を通してみても、アルファベットの字面だけが流れ込んでくるみたいで、ちっとも内容が理解できない。それでもどうにか定時まで耐え切り、帰宅。

 不思議と、家に着いたらさっきまでの不快感はかなり和らいでいた。
 なんとなく安心して、みこりんと湯につかり、ぽーっと温まっていると、肩凝りとか首の痛みとか目の奥のじんじんくる刺激とか、偏頭痛とかが、汗と一緒に体外に排出されてゆくようなすっきり感が。
 ただの疲れか。そんなことを思いつつ、風呂上り、日課となっているヨーグルトの摂取。そして襲い来る突然の吐き気。必死に耐え、30分後、少し治まってきたので、みこりんを寝かしつけ。
 横になってると、やがて吐き気も消え、目も冴えて来る。

 眠れそうにないので、FFXIを少々。同じくFFXI中のLicは、最近加入した新しいLSの人たちと、車座になっていた。それってもしかして人狼?実際にやってるの初めて見た。ルールよく分かってないけど。なんだか楽しそう。

 午前2時、ようやく眠れそうな気がしてきたので、就寝。もしかすると胃腸風邪なのかもしれない。


2006.2.28(Tue)

起きたらいなかった

 はっと気付いたら、朝だった。
 頭痛もなく、すっきりとした目覚め…。って、もう9時!道理ですっきりしてるわけだ。
 みこりん?みこりんがいない。

 急いで階段を駆け下り、リビングへ。テーブルの上には、パンの残りがきちんとラップをかけて置いてあった。みこりんだ。
 玄関の靴を確認してみたところ、みこりんのがなくなっている。やはり自力で起きて、朝食をとり、学校に出かけたものと思われる。集団登校には間に合ったんだろうか。

 数ヶ月ぶりに10時出社。
 午前、午後と、わりと調子よく過ぎていったが、夕方ごろからまたしても不調に。胃薬もあまり効果ないようす。やはり胃腸風邪か。よりによって週の始まりからこれとは。金曜日まで耐えきるしかない。

 *

 帰宅。みこりんは集団登校にきっちり間に合ったそうである。
 春から小学3年生だものなぁ。


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